印刷システム、印刷方法、端末装置、およびコンピュータプログラム
【課題】プルプリント型の印刷システムにおいてプリントサーバの使用ができない状態であっても印刷をセキュアに行うことができるようにする。
【解決手段】プリント要求装置1は、印刷データを、プリントサーバ装置2が稼働していることが確認できた場合はプリントサーバ装置2へ送信し、確認できなかった場合はプリントサーバ装置2を介することなくプリンタ装置3へ送信する。プリントサーバ装置2は、プリンタ装置3からの要求に応じて印刷データをプリンタ装置3へ送信する。プリンタ装置3は、ユーザの認証に成功した場合に、プリント要求装置1またはプリントサーバ装置2から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【解決手段】プリント要求装置1は、印刷データを、プリントサーバ装置2が稼働していることが確認できた場合はプリントサーバ装置2へ送信し、確認できなかった場合はプリントサーバ装置2を介することなくプリンタ装置3へ送信する。プリントサーバ装置2は、プリンタ装置3からの要求に応じて印刷データをプリンタ装置3へ送信する。プリンタ装置3は、ユーザの認証に成功した場合に、プリント要求装置1またはプリントサーバ装置2から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印刷要求装置、印刷装置、およびそれらの装置を仲介する仲介装置によって構成される印刷システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のプルプリントシステムSYSPの例を示す図である。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータなどからの出力結果を紙などの記録媒体に印刷する印刷装置が広く普及している。
【0004】
このような印刷装置は、「プリンタ」などと呼ばれ、専用ケーブルまたはLANなどのネットワークを介してコンピュータと接続される。ネットワークを介しての接続が可能なものは「ネットワークプリンタ」などと呼ばれる。
【0005】
また、印刷(プリント)機能のほかに、コピー、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの様々な機能を備えたものは、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれる。
【0006】
ネットワークプリンタを用いた印刷システムの中には、図1に示すような、印刷の対象となる印刷データを一時的に保存(スプール)するための(プル)プリントサーバ2Pを設けておき、パーソナルコンピュータ1Pなどから送出され、プリントサーバ2Pに保存されている印刷データを適宜ネットワークプリンタ3Pへ送出するように構成された印刷システムSYSPがある。このような印刷システムは「プルプリントシステム」などと呼ばれる。
【0007】
プルプリントシステムにおいては、ネットワークを介してプリントサーバに接続されている印刷装置が複数台ある場合に、ユーザは、そのうちのいずれの印刷装置を用いても、プリントサーバに保存されている印刷データを取得し印刷することができる。また、認証を経てから印刷する必要のある印刷データ、または直ちに印刷する必要のない印刷データなどをいったんプリントサーバに保存しておくことができる。このように、プルプリントシステムにおいて、プリントサーバは、パーソナルコンピュータなどと印刷装置との間における印刷データの送受信を仲介する役割を果たす(特許文献1参照)。
【0008】
そのほか、システムの中に認証サーバを設けることが、提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−56756号公報
【特許文献2】特開2010−170451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の通り、プルプリントシステムを構築することにより、印刷装置を利用するユーザの利便性を高めたり、印刷装置の利用上のセキュリティを高めたりすることができる。
【0011】
しかし、プルプリントシステムにおいては、プリントサーバが使用不可能な状態に陥ると、プリントサーバが修復されて再び使用可能な状態に回復するまで、ユーザはプリントサーバを介して印刷を行うことができない。
【0012】
この場合に、ユーザは、プリントサーバを介さずに、印刷装置へ直接印刷データを出力することにより印刷を行うことができるが、そのためには、出力先の印刷装置に対応したプリンタドライバがパーソナルコンピュータなどにインストールされている必要がある。そのようなプリンタドライバが事前にインストールされていない場合には、ユーザは面倒なインストールの作業から行わなければならないし、そのようなプリンタドライバが事前にインストールされている場合であっても、ユーザは改めて印刷を行うための面倒な設定を行わなければならない。また、印刷装置へ直接印刷データが出力されると、印刷装置の利用上のセキュリティが保たれない可能性もある。
【0013】
本発明は、プルプリント型の印刷システムにおいてプリントサーバの使用ができない状態であっても印刷をセキュアに行うことができるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態に係る印刷システムは、印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムであって、前記端末装置には、前記仲介装置と通信することができる場合は、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ発信する、発信手段、が設けられ、前記印刷装置には、前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求する、要求手段と、前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、印刷手段と、が設けられている。好ましくは、前記印刷装置は、前記認証を認証装置に行わせる。
【0015】
または、前記印刷装置には、復号鍵が付与されており、前記発信手段は、前記印刷データを、前記ユーザが入力した第1のパスワードを前記復号鍵に対応する暗号鍵で暗号化した暗号化パスワードと対応付けて発信し、前記印刷装置には、当該印刷装置自身の前記復号鍵によって前記暗号化パスワードを前記第1のパスワードに復号する復号手段、が設けられており、前記印刷手段は、当該が当該印刷装置に入力した第2のパスワードと復号された前記第1のパスワードとが一致する場合に、前記印刷を行う。
【0016】
または、前記印刷装置が複数台ある場合は、前記復号鍵は前記印刷装置ごとに付与しておく。そして、前記仲介装置には、前記第1のパスワードを、前記複数台の印刷装置のうちの要求元である印刷装置に対応する前記暗号鍵によって前記暗号化パスワードに暗号化し直して当該要求元である印刷装置へ送信する、送信手段、を設けておく。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プルプリント型の印刷システムにおいてプリントサーバの使用ができない状態であっても、印刷をセキュアに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のプルプリントシステムの例を示す図である。
【図2】第1の実施形態における印刷システムの例を示す図である。
【図3】プリンタ装置におけるハードウェアの構成の例を示す図である。
【図4】プリント要求装置およびプリントサーバ装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【図5】プリントサーバ装置およびプリンタ装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【図6】プリントサーバ装置が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図7】プリントサーバ装置が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図8】印刷データの例を示す図である。
【図9】個人ボックスに格納されているデータの例を示す図である。
【図10】ユーザログイン画面の例を示す図である。
【図11】暗号化キーテーブルの例を示す図である。
【図12】印刷データの例を示す図である。
【図13】印刷データ選択画面の例を示す図である。
【図14】プリントサーバ装置が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図15】プリントサーバ装置が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図16】印刷データの例を示す図である。
【図17】個人ボックスに格納されているデータの例を示す図である。
【図18】プリント要求装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図19】プリントサーバ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図20】プリンタ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図21】プリンタ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態における印刷システムの例を示す図である。
【図23】プリンタ装置および認証装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
図2は、第1の実施形態における印刷システムSYS1の例を示す図である。図3は、プリンタ装置3におけるハードウェアの構成の例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、印刷システムSYS1は、プリント要求装置(端末装置)1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3(3A〜3C)がネットワークNWに接続されることにより構成されている。
【0021】
プリント要求装置1は、ユーザが、文書作成用のソフトウェアなどを使用して文書ファイルを作成したり、プリントサーバ装置2を介してまたは直接に、プリンタ装置3へ作成した文書ファイルの内容の印刷を要求したりするための装置である。プリント要求装置1として、例えばパーソナルコンピュータが用いられる。
【0022】
プリントサーバ装置2は、印刷の対象となる印刷データをプリント要求装置1から受信し、受信した印刷データを一時的に保存(スプール)し、保存している印刷データをプリンタ装置3からの要求に応じてプリンタ装置3へ送信する機能を有する装置であり、いわゆるプルプリントサーバである。
【0023】
プリンタ装置3は、プリントサーバ装置2を介してまたは直接に、プリント要求装置1から印刷の対象となる印刷データを受信し、受信した印刷データに示される画像を出力用紙などに印刷する機能を有する装置である。なお、図2には、プリンタ装置3の例として、ネットワーク機能および印刷機能のほかに、コピー、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの様々な機能を備える「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれるものが示されているが、少なくともネットワーク機能および印刷機能を有していれば足りる。
【0024】
ネットワークNWは、それに接続された各情報処理装置の間での通信を可能にするための通信回線であり、例えばLAN(Local Area Network)である。
【0025】
図3に示すように、プリンタ装置3には、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、HDD(Hard Disk Drive)34、表示操作装置35、原稿読取装置36、印刷ユニット37、ファックスモデム38、およびネットワークインタフェース39が設けられている。ただし、プリンタ装置3は、ネットワーク機能および印刷機能を有していれば足りるので、原稿読取装置36およびファックスモデム38などは、設けられていなくてもよい。
【0026】
CPU31は、ROM33またはHDD34に格納されているプログラムおよびデータのほか、ネットワークインタフェース39を介して入力される種々のデータに基づいて、RAM32をワークエリアとして演算処理を実行することにより、プリンタ装置3の中心的な制御を行う。
【0027】
HDD34は、電源が供給されていないときも記憶されたデータを保持する不揮発性の記憶装置である。ただし、HDD34の代わりに、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリなどの半導体メモリを用いてもよい。
【0028】
プリンタ装置3には、いわゆるファイル管理システムの機能が備わっている。プリンタ装置3の管理者などのユーザは、この機能を用いて、ファイルを分類して管理するための「ボックス(BOX)」と呼ばれる論理的な格納場所をHDD34に作成することができる。例えば、プリンタ装置3を利用するユーザごとのボックスを作成することができる。その際、複数のボックスが階層構造をなすように作成することもできる。また、作成した各ボックスには、アクセス制限をかけることができる。つまり、ボックスは、パーソナルコンピュータ向けのOS(Operating System)が提供するフォルダまたはディレクトリに相当するものである。
【0029】
表示操作装置35は、表面がタッチパネルとなっているディスプレイおよび各種の操作スイッチなどによって構成されており、ユーザに対して各種の画面を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりする装置である。
【0030】
原稿読取装置36は、光源およびイメージセンサなどによって構成されており、原稿に描かれている文字、図形、および記号などの画像を光学的に読取って、画像データを生成する装置である。
【0031】
印刷ユニット37は、プリンタコントローラおよびプリンタエンジンなどによって構成されている。プリンタコントローラは、ネットワークインタフェース39を介して受信した、プリンタ言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データを解釈して、印刷の対象となる画像データを生成する。プリンタエンジンは、電子写真方式、インクジェット方式、または熱転写方式などの印刷機構を備えており、プリンタコントローラにおいて生成された画像データ、および原稿読取装置36において生成された画像データに示される、モノクロまたはカラーの画像を出力用紙などに印刷する。
【0032】
ファックスモデム38は、公衆回線を介して他のファックス装置との間でデータを送受信するための装置である。データの送受信には、G3などのFAXプロトコルが用いられる。
【0033】
ネットワークインタフェース39は、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するための装置である。データの送受信には、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルが用いられる。
【0034】
プリント要求装置1およびプリントサーバ装置2には、CPU、RAM、ROM、HDDなどの不揮発性の補助記憶装置、および、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するためのネットワークインタフェースなどが設けられている。プリント要求装置1には、そのほかに、ディスプレイなどの表示装置、ならびに、キーボードおよびポインティングデバイスなどの入力装置などが設けられている。
【0035】
図4は、プリント要求装置1およびプリントサーバ装置2における一部の機能の構成の例を示す図である。図5は、プリントサーバ装置2およびプリンタ装置3における一部の機能の構成の例を示す図である。
【0036】
図4に示すように、プリント要求装置1は、文書データ取得部101、プリント対応処理部102、プルプリント対応処理部103、および印刷データ発行部104の各制御部を有している。プリント対応処理部102は、パスワード暗号化部102aおよび印刷データ作成部102bによって構成されている。プルプリント対応処理部103は、プリントサーバ稼動判別部103a、パスワード再暗号化部103b、および印刷設定変更部103cによって構成されている。各制御部101〜104は、プリント要求装置1において、いわゆるプリンタドライバとして機能する。プリント要求装置1のROMまたは補助記憶装置には各制御部101〜104を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。そのほか、プリント要求装置1にはOS(Operating System)、および文書作成ソフトウェアなどのアプリケーションソフトウェアがインストールされており、それらのプログラムも適宜実行される。
【0037】
図4および図5に示すように、プリントサーバ装置2は、印刷データ受付部201、印刷データ格納部202、印刷データ供給部203、印刷データ引出部204、およびパスワード再暗号化部205の各制御部を有している。プリントサーバ装置2のROMまたは補助記憶装置には各制御部201〜205を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。また、図4および図5に示すように、プリントサーバ装置2の補助記憶装置には、印刷システムSYS1を利用するユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザC、…)ごとに個人ボックスPB2(PB2a、PB2b、PB2c、…)が作成されている。各個人ボックスPB2には、各ユーザのために設定されているパスワードによる保護がかけられており、各ユーザの印刷データが格納される。
【0038】
図5に示すように、プリンタ装置3は、ログイン処理部301、認証処理部302、ユーザ情報データベース303、待機印刷データ確認部304、印刷データ受付部305、印刷データ格納部306、印刷実行制御部307、および印刷データ引出部308の各制御部を有している。ROM33またはHDD34には各制御部301〜308を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPU31により適宜実行される。また、図5に示すように、プリンタ装置3のHDD34には、印刷システムSYS1を利用するユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザC、…)ごとに個人ボックスPB3(PB3a、PB3b、PB3c、…)が作成されている。各個人ボックスPB3には、各ユーザのために設定されているパスワードによる保護がかけられており、各ユーザの印刷データが格納される。
【0039】
次に、図4および図5に示すプリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3それぞれの機能を、プリントサーバ装置2が稼動している場合と稼働していない場合とに大別して説明する。
【0040】
〔プリントサーバ装置2が稼動している場合〕
図6および図7は、プリントサーバ装置2が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。図8は、印刷データ7PDの例を示す図である。図9は、個人ボックスPB2に格納されているデータの例を示す図である。図10は、ユーザログイン画面SG1の例を示す図である。図11は、暗号化キーテーブルETBの例を示す図である。図12は、印刷データ7PDaの例を示す図である。図13は、印刷データ選択画面SG2の例を示す図である。
【0041】
以下、プリントサーバ装置2が稼動している場合のプリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3それぞれの機能を、図6および図7を参照しながら説明する。
【0042】
プリント要求装置1の文書データ取得部101(図4参照)は、ユーザが文書作成ソフトウェアなどを用いて作成した文書ファイルの内容を印刷するための操作が行われると、その内容を示す文書データ7ADを文書作成ソフトウェアから取得する(図6のS521)。
【0043】
プリント対応処理部102の各部は、文書データ取得部101が取得した文書データ7ADに基づいて、図8に示すような、印刷に必要な情報が所定のプリンタ言語で記述された印刷データ7PDを次のように作成する(S522〜S524)。
【0044】
パスワード暗号化部102aは、メッセージを表示するなどして、パスワードを入力するようにユーザに対して要求する(S522)。そして、入力されたパスワードを、プリント対応処理部102に固有の暗号化キーを用いて暗号化する(S523)。なお、「固有の暗号化キー」とは、プリント対応処理部102が対応している機種のプリンタ装置3に付与されている暗号化キーである。
【0045】
印刷データ作成部102bは、文書データ取得部101が取得した文書データ7ADおよびパスワード暗号化部102aが暗号化したパスワードなどを示すデータを含む印刷データ7PDを生成する(S524)。なお、印刷データ7PDは、所定のプリンタ言語で記述される。
【0046】
図8に示すように、印刷データ7PDには、ヘッダ部pd1および本体部pd2が含まれる。ヘッダ部pd1には、その印刷データ7PDを識別するためのジョブID(identification)、その印刷データ7PDがいずれの機種向けに作成されたか(いずれの機種向けのプリンタドライバで作成されたか)を識別するための機種ID(identification)、その印刷を指示したユーザを識別するためのユーザID(identification)、その印刷を指示したユーザにより入力されたパスワードが暗号化されたパスワードを示すユーザパスワード情報、およびその印刷データ7PDに基づく印刷の出力形式を示す出力形式情報などが記述される。本体部pd2には、出力すべき画像の内容を示す情報が記述される。
【0047】
プルプリント対応処理部103のプリントサーバ稼動判別部103aは、プリントサーバ装置2との通信状態をチェックするなどの方法によって、プリントサーバ装置2が稼働しているか否かを判別する(S525)。
【0048】
印刷データ発行部104は、プリントサーバ装置2が稼働しているとプリントサーバ稼動判別部103aによって判別されたら、プリント対応処理部102が生成した印刷データ7PDをプリントサーバ装置2へ送信する(S526)。
【0049】
プリントサーバ装置2において、印刷データ受付部201は、プリント要求装置1から印刷データ7PDを受け付ける(S621)。
【0050】
印刷データ格納部202は、印刷データ受付部201が受け付けた印刷データ7PDを個人ボックスへ格納する処理を次のように行う(S622〜S626)。
【0051】
印刷データ格納部202は、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザIDを取得する(S622)。さらに、ヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S623)。各ユーザの個人ボックスPB2のうちの、取得したユーザIDに対応する個人ボックスPB2を特定する(S624)。そして、取得したパスワードと特定した個人ボックスPB2へのアクセス制限のために掛けられているパスワードとを照合し(S625)、両者が一致する場合に、特定した個人ボックスPB2へ印刷データ7PDを格納する(S626)。
【0052】
なお、共通鍵暗号方式を採用する場合は、印刷データ格納部202は、プリント要求装置1において暗号化の際に使用された暗号鍵が、復号鍵として用いられる。一方、公開暗号方式を採用する場合は、印刷データ格納部202は、プリント要求装置1において暗号化の際に使用された公開鍵に対応する秘密鍵が、復号鍵として用いられる。
【0053】
このような処理が次々に行われることによって、図9に示すように、プリントサーバ装置2の補助記憶装置に作成された各個人ボックスPB2(PB2a、PB2b、PB2c、…)には、印刷データ7PD(7PD1、7PD2、7PD3、…)が格納される。
【0054】
ユーザは、プリンタ装置3A〜3Cのうちのいずれかのプリンタ装置3を直接操作し、プリントサーバ装置2にスプールされた印刷データ7PDに基づく印刷をプリンタ装置3に行わせることができる。以下、プリンタ装置3Aに印刷を行わせる場合を例に説明する。
【0055】
プリンタ装置3Aにおいて、ログイン処理部301は、ユーザによって所定の操作が行われると、ログインのための処理を次のように行う。
【0056】
ログイン処理部301は、図10に示すようなユーザログイン画面SG1を表示操作装置35に表示させる(S821)。そして、表示操作装置35を介して、ユーザが入力したユーザIDおよびパスワードなどを示すユーザデータ7UDを取得する(図7のS822)。
【0057】
認証処理部302は、ログイン処理部301が取得したユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびパスワードとユーザ情報データベース303に格納されているユーザIDおよびパスワードとを照合することによって、ユーザの認証を行う(S823)。具体的には、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびパスワードが、ユーザ情報データベース303に格納されているユーザIDおよびパスワードと一致すれば、正規のユーザである旨の認証を与える。認証に成功したら、プリンタ装置3Aへのユーザのログインが完了する。この際に、認証処理部302は、認証チケット7ATをログイン処理部301へ通知する。
【0058】
待機印刷データ確認部304は、認証処理部302からログイン処理部301へ認証チケット7ATが通知されると、ログインしたユーザの印刷データ7PDがプリントサーバ装置2にスプールされているか否かを確認する(S824)。そして、スプールされていれば、それをプリンタ装置3Aへ送信するようにプリントサーバ装置2に要求する(S825)。
【0059】
具体的には、待機印刷データ確認部304は、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDをプリントサーバ装置2に対して指定することによって、プリントサーバ装置2に印刷データ7PDがスプールされているか否かを問い合わせる。そして、スプールされていれば、印刷データ7PDを送信するように要求する印刷データ送信要求RD1をプリントサーバ装置2へ発行する。印刷データ送信要求RD1には、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびプリンタ装置3A自身の機種IDが示される。
【0060】
プリントサーバ装置2において、印刷データ供給部203は、プリンタ装置3Aから印刷データ送信要求RD1を受け付ける(S631)。
【0061】
すると、印刷データ引出部204は、各ユーザの個人ボックスPB2のうちの、印刷データ送信要求RD1に示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB2を特定する(S632)。そして、特定した個人ボックスPB2に格納されている印刷データ7PDの全部または一部を引き出す(S633)。
【0062】
パスワード再暗号化部205は、印刷データ引出部204が引き出した印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S634)。そして、取得したパスワードを、印刷データ送信要求RD1に示される機種IDに対応する暗号化キーを使用して暗号化し直す(S635)。
【0063】
なお、パスワード再暗号化部205は、図11に示すような暗号化キーテーブルETBを参照することによって、使用する暗号化キーを決定する。例えば、印刷データ送信要求RD1に示される機種IDが「C102」であれば、暗号化キーテーブルの機種ID欄etb1に「C102」が示されるレコードの暗号化キー欄etb2に示される「XXX2」に決定する。
【0064】
そして、パスワード再暗号化部205は、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを、暗号化し直したパスワードに書き換えることによって、図12のような印刷データ7PDaを生成する(S636)。
【0065】
印刷データ供給部203は、パスワード再暗号化部205によって生成された印刷データ7PDaをプリンタ装置3Aへ送信する(S637)。
【0066】
プリンタ装置3Aにおいて、印刷データ受付部305は、プリントサーバ装置2からの印刷データ7PDaを受け付ける(S831)。そして、図13に示すような印刷データ選択画面SG2を表示操作装置35に表示させる(S832)。印刷データ選択画面SG2には、受け付けた印刷データ7PDaの一覧が示されている。ここで、ユーザは、今回の印刷の対象の印刷データ7PDaを選択する。
【0067】
すると、印刷実行制御部307は、ユーザが選択した印刷データ7PDaのヘッダ部pda1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S833)。そして、取得したパスワードとユーザデータ7UDに示されるパスワードとを照合し(S834)、両者が一致する場合は、この印刷データ7PDaに基づいて印刷を行うように印刷ユニット37を制御する。これにより、印刷ユニット37において、印刷データ7PDaに示される画像が出力用紙などに印刷される(S835)。なお、両パスワードが一致しない場合は、この印刷データ7PDaに基づく印刷を行わない。
【0068】
以上の通り、プリントサーバ装置2が稼動している場合は、ユーザは、プリントサーバ装置2にスプールされた印刷データに基づく印刷を容易に行うことができる。また、パスワードの照合による認証を経て印刷が行われるので、印刷物のセキュリティを確保することができる。
【0069】
〔プリントサーバ装置2が稼動していない場合〕
図14および図15は、プリントサーバ装置2が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。図16は、印刷データ7PDbの例を示す図である。図17は、個人ボックスPB3に格納されているデータの例を示す図である。
【0070】
次に、プリントサーバ装置2が稼動していない場合のプリント要求装置1およびプリンタ装置3それぞれの機能を、図14および図15を参照しながら説明する。プリントサーバ装置2が稼働している場合と共通する処理については、説明を省略する。
【0071】
プリント要求装置1において、プリントサーバ装置2が稼動している場合と同様に(図6のS521〜525)、文書データ取得部101およびプリント対応処理部102は、文書データ7ADより印刷データ7PDを生成し(図14のS571〜S574)、プリントサーバ稼動判別部103aは、プリントサーバ装置2が稼働しているか否かを判別する(S575)。
【0072】
プリントサーバ装置2が稼働していないとプリントサーバ稼動判別部103aが判別した場合は、プルプリント対応処理部103の各部は、図16に示すような印刷データ7PDbを次のように作成する。
【0073】
パスワード再暗号化部103bは、プリンタ装置3A〜3Cのうちのいずれかのプリンタ装置3を出力先として指定するようにユーザに対して要求するメッセージを表示する(S576)。いずれかのプリンタ装置3が指定されると、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているパスワードを復号することによって、ユーザが先に入力したパスワードを取得する(S577)。取得した元のパスワードを、ユーザが指定したプリンタ装置3の機種IDに対応する暗号化キーを用いて暗号化し直す(S578)。なお、この暗号化キーは、プリントサーバ装置2が稼働している場合と同様、図11に示すような暗号化キーテーブルETBを参照することによって決定される。
【0074】
そして、パスワード再暗号化部103bは、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを、暗号化し直したパスワードに書き換える。
【0075】
印刷設定変更部103cは、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されている出力形式情報に示される印刷の出力形式を変更する(S579)。具体的には、通常のモードから、認証を経た後に印刷を実行するモード(認証プリントのモード)に書き換える(S579)。
【0076】
以上のように印刷データ7PDに記載されるパスワードの暗号化をやり直しモードを書き換えることによって、印刷データ7PDbが生成される。
【0077】
印刷データ発行部104は、生成された印刷データ7PDbを、ユーザが指定したプリンタ装置3へ送信する(S580)。以下、ユーザがプリンタ装置3Bを指定した場合を例に説明する。
【0078】
プリンタ装置3Bにおいて、印刷データ受付部305が印刷データ7PDbを受け付けると(S871)、印刷データ格納部306は、このユーザの個人ボックスPB3に印刷データ7PDbを格納するための処理を行う(S872〜S876)。この処理の内容は、プリントサーバ装置2が稼働している場合にプリントサーバ装置2が行った処理の内容と同様である(図6のS621〜S626)。
【0079】
上述の処理が次々に行われることによって、図17に示すように、各個人ボックスPB3(PB3a、PB3b、PB3c、…)には、印刷データ7PDb(7PDb1、7PDb2、7PDb3、…)が次々に格納される。
【0080】
ユーザは、プリンタ装置3Bを直接操作し、プリンタ装置3Bにスプールされた印刷データ7PDbに基づく印刷をプリンタ装置3Bに行わせることができる。
【0081】
プリンタ装置3Bにおいて、ログイン処理部301および認証処理部302は、ユーザの認証およびプリンタ装置3Bへのログインのための処理を行う(S877〜S879)。この処理の内容は、前に図6のS821〜図7のS823で説明した通りである。
【0082】
ユーザの認証が成功したら、印刷データ引出部308は、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB3を特定し(S880)、この個人ボックスPB3に格納されている印刷データ7PDbの全部または一部を引き出す(S881)。そして、引き出した印刷データ7PDbの一覧を示す画面(図13の印刷データ選択画面SG2のような画面)を表示操作装置35に表示させることによって、印刷の対象の印刷データ7PDbをユーザに選択させる(S882)。
【0083】
印刷実行制御部307は、ユーザが選択した印刷データ7PDbのヘッダ部pdb1に記述されているパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S883)。そして、取得したパスワードとユーザデータ7UDに示されるパスワードとを照合し(S884)、両者が一致する場合は、この印刷データ7PDbに基づいて印刷を行うように印刷ユニット37を制御する。これにより、印刷ユニット37において、この印刷データ7PDbに示される画像が出力用紙などに印刷される(S885)。なお、両パスワードが一致しない場合は、この印刷データ7PDbに基づく印刷を行わない。
【0084】
以上の通り、プリントサーバ装置2が稼動していない場合であっても、ユーザは、出力先のプリンタ装置3を指定するだけでセキュアに印刷を行うことができる。しかも、このプリンタ装置3に対応するプリンタドライバがプリント要求装置1にインストールされていなくてもよいので、ユーザにとって利便性が高い。
【0085】
図18は、プリント要求装置1における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。図19は、プリントサーバ装置2における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。図20および図21は、プリンタ装置3における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0086】
次に、各装置における全体的な処理の流れを、図18〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0087】
ユーザは、プリント要求装置1に、印刷の対象の文書データ7ADを用意するとともにパスワードを入力する。
【0088】
図18において、プリント要求装置1は、文書データ7ADを取得すると(S501)、ユーザが入力したパスワードを暗号化し(S502)、図8のような印刷データ7PDを生成する(S503)。
【0089】
そして、プリント要求装置1は、プリントサーバ装置2の状態を確認し、プリントサーバ装置2が稼働していれば(S504でYes)、印刷データ7PDをプリントサーバ装置2へ送信する(S505)。
【0090】
一方、プリントサーバ装置2が稼働していなければ(S504でNo)、印刷を行わせるプリンタ装置3をユーザに選択させ、ユーザが入力したパスワードを、ユーザが選択したプリンタ装置3に対応する暗号キーで暗号化し直す(S506)。これと前後してまたは並行して、印刷の設定を変更する(S507)。これらの処理を印刷データ7PDに行うことによって、図16のような印刷データ7PDbが生成される。そして、プリント要求装置1は、ユーザが選択したプリンタ装置3へ印刷データ7PDbを送信する(S508)。
【0091】
図19において、プリントサーバ装置2は、プリント要求装置1から印刷データ7PDを受信するごとに(S601でYes)、この印刷データ7PDを、依頼者であるユーザの個人ボックスPB2へ格納する(S602)。
【0092】
または、プリンタ装置3から印刷データ送信要求RD1を受信するごとに(S603でYes)、この印刷データ送信要求RD1に示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB2から印刷データ7PDを抽出し(S604)、抽出した印刷データ7PDに示されるパスワードを復号し、このプリンタ装置3に対応する暗号キーで暗号化し直すことによって印刷データ7PDaを生成する(S605)。そして、このプリンタ装置3へ印刷データ7PDaを送信する(S606)。
【0093】
プリンタ装置3は、図20に示す処理と図21に示す処理とを並行して実行する。図20において、プリンタ装置3は、プリント要求装置1から印刷データ7PDbを受信するごとに(S701でYes)、この印刷データ7PDbを、この印刷データ7PDbに示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB3に格納する(S702)。
【0094】
また、図21において、プリンタ装置3は、ユーザのログインに成功するごとに(S801でYes、S802でYes)、プリントサーバ装置2に設けられているこのユーザの個人ボックスPB2に印刷データ7PDが格納されているか否かを確認する(S803)。格納されていれば(S804でYes)、この印刷データ7PDに対応する印刷データ7PDaをプリントサーバ装置2から受信し(S805)、この印刷データ7PDaに基づいて印刷を行う(S806)。
【0095】
さらに、プリンタ装置3は、プリンタ装置3自身に設けられているこのユーザの個人ボックスPB3に印刷データ7PDbが格納されているか否かを確認する(S807)。格納されていれば(S808でYes)、この印刷データ7PDbを抽出し(S809)、この印刷データ7PDbに基づいて印刷を行う(S810)。
【0096】
〔第2の実施形態〕
図22は、第2の実施形態における印刷システムSYS2の例を示す図である。図23は、プリンタ装置3および認証装置4における一部の機能の構成の例を示す図である。
【0097】
図22に示すように、印刷システムSYS2は、プリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3(3A〜3C)のほかに、認証装置4がネットワークNWに接続されている点で、図2に示す第1の実施形態における印刷システムSYS1と構成が異なっている。
【0098】
第1の実施形態における印刷システムSYS1は、ユーザがプリンタ装置3にログインした際のユーザの認証をプリンタ装置3において行うように構成されていた。これに対し、第2の実施形態における印刷システムSYS2は、ユーザがプリンタ装置3にログインした際のユーザの認証を認証装置4において行うように構成されている。
【0099】
認証装置4には、CPU、RAM、ROM、HDDなどの不揮発性の補助記憶装置、および、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するためのネットワークインタフェースなどが設けられている。
【0100】
図23に示すように、認証装置4は認証処理部401およびユーザ情報データベース402の各制御部を有しており、ROMまたは補助記憶装置には各制御部401〜402を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。
【0101】
認証処理部401およびユーザ情報データベース402は、それぞれ、第1の実施形態におけるプリンタ装置3の認証処理部302およびユーザ情報データベース303に相当する制御部である。
【0102】
よって、認証処理部401は、プリンタ装置3のログイン処理部301からユーザデータ7UDを受け取り、ユーザデータ7UDに示される情報とユーザ情報データベース402に格納されている情報とを照合することにより、ユーザの認証を行う。そして、ユーザの認証が成功すると、認証チケット7ATをログイン処理部301へ通知する。
【0103】
第2の実施形態におけるそのほかの構成部分は第1の実施形態と共通しており、それらについては、第1の実施形態の説明の際に用いた符号と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0104】
その他、プリント要求装置1、プリントサーバ装置2、プリンタ装置3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0105】
SYS1 印刷システム
SYS2 印刷システム
1 プリント要求装置(端末装置)
102 プリント対応処理部(発信手段)
103 プルプリント対応処理部(発信手段)
104 印刷データ発行部(発信手段)
2 プリントサーバ装置(仲介装置)
3 プリンタ装置(印刷装置)
37 印刷ユニット(印刷手段)
304 待機印刷データ確認部(要求手段)
305 印刷データ受付部(要求手段)
307 印刷実行制御部(印刷手段)
【技術分野】
【0001】
印刷要求装置、印刷装置、およびそれらの装置を仲介する仲介装置によって構成される印刷システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のプルプリントシステムSYSPの例を示す図である。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータなどからの出力結果を紙などの記録媒体に印刷する印刷装置が広く普及している。
【0004】
このような印刷装置は、「プリンタ」などと呼ばれ、専用ケーブルまたはLANなどのネットワークを介してコンピュータと接続される。ネットワークを介しての接続が可能なものは「ネットワークプリンタ」などと呼ばれる。
【0005】
また、印刷(プリント)機能のほかに、コピー、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの様々な機能を備えたものは、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれる。
【0006】
ネットワークプリンタを用いた印刷システムの中には、図1に示すような、印刷の対象となる印刷データを一時的に保存(スプール)するための(プル)プリントサーバ2Pを設けておき、パーソナルコンピュータ1Pなどから送出され、プリントサーバ2Pに保存されている印刷データを適宜ネットワークプリンタ3Pへ送出するように構成された印刷システムSYSPがある。このような印刷システムは「プルプリントシステム」などと呼ばれる。
【0007】
プルプリントシステムにおいては、ネットワークを介してプリントサーバに接続されている印刷装置が複数台ある場合に、ユーザは、そのうちのいずれの印刷装置を用いても、プリントサーバに保存されている印刷データを取得し印刷することができる。また、認証を経てから印刷する必要のある印刷データ、または直ちに印刷する必要のない印刷データなどをいったんプリントサーバに保存しておくことができる。このように、プルプリントシステムにおいて、プリントサーバは、パーソナルコンピュータなどと印刷装置との間における印刷データの送受信を仲介する役割を果たす(特許文献1参照)。
【0008】
そのほか、システムの中に認証サーバを設けることが、提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−56756号公報
【特許文献2】特開2010−170451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の通り、プルプリントシステムを構築することにより、印刷装置を利用するユーザの利便性を高めたり、印刷装置の利用上のセキュリティを高めたりすることができる。
【0011】
しかし、プルプリントシステムにおいては、プリントサーバが使用不可能な状態に陥ると、プリントサーバが修復されて再び使用可能な状態に回復するまで、ユーザはプリントサーバを介して印刷を行うことができない。
【0012】
この場合に、ユーザは、プリントサーバを介さずに、印刷装置へ直接印刷データを出力することにより印刷を行うことができるが、そのためには、出力先の印刷装置に対応したプリンタドライバがパーソナルコンピュータなどにインストールされている必要がある。そのようなプリンタドライバが事前にインストールされていない場合には、ユーザは面倒なインストールの作業から行わなければならないし、そのようなプリンタドライバが事前にインストールされている場合であっても、ユーザは改めて印刷を行うための面倒な設定を行わなければならない。また、印刷装置へ直接印刷データが出力されると、印刷装置の利用上のセキュリティが保たれない可能性もある。
【0013】
本発明は、プルプリント型の印刷システムにおいてプリントサーバの使用ができない状態であっても印刷をセキュアに行うことができるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態に係る印刷システムは、印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムであって、前記端末装置には、前記仲介装置と通信することができる場合は、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ発信する、発信手段、が設けられ、前記印刷装置には、前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求する、要求手段と、前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、印刷手段と、が設けられている。好ましくは、前記印刷装置は、前記認証を認証装置に行わせる。
【0015】
または、前記印刷装置には、復号鍵が付与されており、前記発信手段は、前記印刷データを、前記ユーザが入力した第1のパスワードを前記復号鍵に対応する暗号鍵で暗号化した暗号化パスワードと対応付けて発信し、前記印刷装置には、当該印刷装置自身の前記復号鍵によって前記暗号化パスワードを前記第1のパスワードに復号する復号手段、が設けられており、前記印刷手段は、当該が当該印刷装置に入力した第2のパスワードと復号された前記第1のパスワードとが一致する場合に、前記印刷を行う。
【0016】
または、前記印刷装置が複数台ある場合は、前記復号鍵は前記印刷装置ごとに付与しておく。そして、前記仲介装置には、前記第1のパスワードを、前記複数台の印刷装置のうちの要求元である印刷装置に対応する前記暗号鍵によって前記暗号化パスワードに暗号化し直して当該要求元である印刷装置へ送信する、送信手段、を設けておく。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プルプリント型の印刷システムにおいてプリントサーバの使用ができない状態であっても、印刷をセキュアに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のプルプリントシステムの例を示す図である。
【図2】第1の実施形態における印刷システムの例を示す図である。
【図3】プリンタ装置におけるハードウェアの構成の例を示す図である。
【図4】プリント要求装置およびプリントサーバ装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【図5】プリントサーバ装置およびプリンタ装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【図6】プリントサーバ装置が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図7】プリントサーバ装置が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図8】印刷データの例を示す図である。
【図9】個人ボックスに格納されているデータの例を示す図である。
【図10】ユーザログイン画面の例を示す図である。
【図11】暗号化キーテーブルの例を示す図である。
【図12】印刷データの例を示す図である。
【図13】印刷データ選択画面の例を示す図である。
【図14】プリントサーバ装置が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図15】プリントサーバ装置が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【図16】印刷データの例を示す図である。
【図17】個人ボックスに格納されているデータの例を示す図である。
【図18】プリント要求装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図19】プリントサーバ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図20】プリンタ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図21】プリンタ装置における処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態における印刷システムの例を示す図である。
【図23】プリンタ装置および認証装置における一部の機能の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
図2は、第1の実施形態における印刷システムSYS1の例を示す図である。図3は、プリンタ装置3におけるハードウェアの構成の例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、印刷システムSYS1は、プリント要求装置(端末装置)1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3(3A〜3C)がネットワークNWに接続されることにより構成されている。
【0021】
プリント要求装置1は、ユーザが、文書作成用のソフトウェアなどを使用して文書ファイルを作成したり、プリントサーバ装置2を介してまたは直接に、プリンタ装置3へ作成した文書ファイルの内容の印刷を要求したりするための装置である。プリント要求装置1として、例えばパーソナルコンピュータが用いられる。
【0022】
プリントサーバ装置2は、印刷の対象となる印刷データをプリント要求装置1から受信し、受信した印刷データを一時的に保存(スプール)し、保存している印刷データをプリンタ装置3からの要求に応じてプリンタ装置3へ送信する機能を有する装置であり、いわゆるプルプリントサーバである。
【0023】
プリンタ装置3は、プリントサーバ装置2を介してまたは直接に、プリント要求装置1から印刷の対象となる印刷データを受信し、受信した印刷データに示される画像を出力用紙などに印刷する機能を有する装置である。なお、図2には、プリンタ装置3の例として、ネットワーク機能および印刷機能のほかに、コピー、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの様々な機能を備える「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれるものが示されているが、少なくともネットワーク機能および印刷機能を有していれば足りる。
【0024】
ネットワークNWは、それに接続された各情報処理装置の間での通信を可能にするための通信回線であり、例えばLAN(Local Area Network)である。
【0025】
図3に示すように、プリンタ装置3には、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、HDD(Hard Disk Drive)34、表示操作装置35、原稿読取装置36、印刷ユニット37、ファックスモデム38、およびネットワークインタフェース39が設けられている。ただし、プリンタ装置3は、ネットワーク機能および印刷機能を有していれば足りるので、原稿読取装置36およびファックスモデム38などは、設けられていなくてもよい。
【0026】
CPU31は、ROM33またはHDD34に格納されているプログラムおよびデータのほか、ネットワークインタフェース39を介して入力される種々のデータに基づいて、RAM32をワークエリアとして演算処理を実行することにより、プリンタ装置3の中心的な制御を行う。
【0027】
HDD34は、電源が供給されていないときも記憶されたデータを保持する不揮発性の記憶装置である。ただし、HDD34の代わりに、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリなどの半導体メモリを用いてもよい。
【0028】
プリンタ装置3には、いわゆるファイル管理システムの機能が備わっている。プリンタ装置3の管理者などのユーザは、この機能を用いて、ファイルを分類して管理するための「ボックス(BOX)」と呼ばれる論理的な格納場所をHDD34に作成することができる。例えば、プリンタ装置3を利用するユーザごとのボックスを作成することができる。その際、複数のボックスが階層構造をなすように作成することもできる。また、作成した各ボックスには、アクセス制限をかけることができる。つまり、ボックスは、パーソナルコンピュータ向けのOS(Operating System)が提供するフォルダまたはディレクトリに相当するものである。
【0029】
表示操作装置35は、表面がタッチパネルとなっているディスプレイおよび各種の操作スイッチなどによって構成されており、ユーザに対して各種の画面を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりする装置である。
【0030】
原稿読取装置36は、光源およびイメージセンサなどによって構成されており、原稿に描かれている文字、図形、および記号などの画像を光学的に読取って、画像データを生成する装置である。
【0031】
印刷ユニット37は、プリンタコントローラおよびプリンタエンジンなどによって構成されている。プリンタコントローラは、ネットワークインタフェース39を介して受信した、プリンタ言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データを解釈して、印刷の対象となる画像データを生成する。プリンタエンジンは、電子写真方式、インクジェット方式、または熱転写方式などの印刷機構を備えており、プリンタコントローラにおいて生成された画像データ、および原稿読取装置36において生成された画像データに示される、モノクロまたはカラーの画像を出力用紙などに印刷する。
【0032】
ファックスモデム38は、公衆回線を介して他のファックス装置との間でデータを送受信するための装置である。データの送受信には、G3などのFAXプロトコルが用いられる。
【0033】
ネットワークインタフェース39は、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するための装置である。データの送受信には、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルが用いられる。
【0034】
プリント要求装置1およびプリントサーバ装置2には、CPU、RAM、ROM、HDDなどの不揮発性の補助記憶装置、および、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するためのネットワークインタフェースなどが設けられている。プリント要求装置1には、そのほかに、ディスプレイなどの表示装置、ならびに、キーボードおよびポインティングデバイスなどの入力装置などが設けられている。
【0035】
図4は、プリント要求装置1およびプリントサーバ装置2における一部の機能の構成の例を示す図である。図5は、プリントサーバ装置2およびプリンタ装置3における一部の機能の構成の例を示す図である。
【0036】
図4に示すように、プリント要求装置1は、文書データ取得部101、プリント対応処理部102、プルプリント対応処理部103、および印刷データ発行部104の各制御部を有している。プリント対応処理部102は、パスワード暗号化部102aおよび印刷データ作成部102bによって構成されている。プルプリント対応処理部103は、プリントサーバ稼動判別部103a、パスワード再暗号化部103b、および印刷設定変更部103cによって構成されている。各制御部101〜104は、プリント要求装置1において、いわゆるプリンタドライバとして機能する。プリント要求装置1のROMまたは補助記憶装置には各制御部101〜104を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。そのほか、プリント要求装置1にはOS(Operating System)、および文書作成ソフトウェアなどのアプリケーションソフトウェアがインストールされており、それらのプログラムも適宜実行される。
【0037】
図4および図5に示すように、プリントサーバ装置2は、印刷データ受付部201、印刷データ格納部202、印刷データ供給部203、印刷データ引出部204、およびパスワード再暗号化部205の各制御部を有している。プリントサーバ装置2のROMまたは補助記憶装置には各制御部201〜205を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。また、図4および図5に示すように、プリントサーバ装置2の補助記憶装置には、印刷システムSYS1を利用するユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザC、…)ごとに個人ボックスPB2(PB2a、PB2b、PB2c、…)が作成されている。各個人ボックスPB2には、各ユーザのために設定されているパスワードによる保護がかけられており、各ユーザの印刷データが格納される。
【0038】
図5に示すように、プリンタ装置3は、ログイン処理部301、認証処理部302、ユーザ情報データベース303、待機印刷データ確認部304、印刷データ受付部305、印刷データ格納部306、印刷実行制御部307、および印刷データ引出部308の各制御部を有している。ROM33またはHDD34には各制御部301〜308を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPU31により適宜実行される。また、図5に示すように、プリンタ装置3のHDD34には、印刷システムSYS1を利用するユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザC、…)ごとに個人ボックスPB3(PB3a、PB3b、PB3c、…)が作成されている。各個人ボックスPB3には、各ユーザのために設定されているパスワードによる保護がかけられており、各ユーザの印刷データが格納される。
【0039】
次に、図4および図5に示すプリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3それぞれの機能を、プリントサーバ装置2が稼動している場合と稼働していない場合とに大別して説明する。
【0040】
〔プリントサーバ装置2が稼動している場合〕
図6および図7は、プリントサーバ装置2が稼動している場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。図8は、印刷データ7PDの例を示す図である。図9は、個人ボックスPB2に格納されているデータの例を示す図である。図10は、ユーザログイン画面SG1の例を示す図である。図11は、暗号化キーテーブルETBの例を示す図である。図12は、印刷データ7PDaの例を示す図である。図13は、印刷データ選択画面SG2の例を示す図である。
【0041】
以下、プリントサーバ装置2が稼動している場合のプリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3それぞれの機能を、図6および図7を参照しながら説明する。
【0042】
プリント要求装置1の文書データ取得部101(図4参照)は、ユーザが文書作成ソフトウェアなどを用いて作成した文書ファイルの内容を印刷するための操作が行われると、その内容を示す文書データ7ADを文書作成ソフトウェアから取得する(図6のS521)。
【0043】
プリント対応処理部102の各部は、文書データ取得部101が取得した文書データ7ADに基づいて、図8に示すような、印刷に必要な情報が所定のプリンタ言語で記述された印刷データ7PDを次のように作成する(S522〜S524)。
【0044】
パスワード暗号化部102aは、メッセージを表示するなどして、パスワードを入力するようにユーザに対して要求する(S522)。そして、入力されたパスワードを、プリント対応処理部102に固有の暗号化キーを用いて暗号化する(S523)。なお、「固有の暗号化キー」とは、プリント対応処理部102が対応している機種のプリンタ装置3に付与されている暗号化キーである。
【0045】
印刷データ作成部102bは、文書データ取得部101が取得した文書データ7ADおよびパスワード暗号化部102aが暗号化したパスワードなどを示すデータを含む印刷データ7PDを生成する(S524)。なお、印刷データ7PDは、所定のプリンタ言語で記述される。
【0046】
図8に示すように、印刷データ7PDには、ヘッダ部pd1および本体部pd2が含まれる。ヘッダ部pd1には、その印刷データ7PDを識別するためのジョブID(identification)、その印刷データ7PDがいずれの機種向けに作成されたか(いずれの機種向けのプリンタドライバで作成されたか)を識別するための機種ID(identification)、その印刷を指示したユーザを識別するためのユーザID(identification)、その印刷を指示したユーザにより入力されたパスワードが暗号化されたパスワードを示すユーザパスワード情報、およびその印刷データ7PDに基づく印刷の出力形式を示す出力形式情報などが記述される。本体部pd2には、出力すべき画像の内容を示す情報が記述される。
【0047】
プルプリント対応処理部103のプリントサーバ稼動判別部103aは、プリントサーバ装置2との通信状態をチェックするなどの方法によって、プリントサーバ装置2が稼働しているか否かを判別する(S525)。
【0048】
印刷データ発行部104は、プリントサーバ装置2が稼働しているとプリントサーバ稼動判別部103aによって判別されたら、プリント対応処理部102が生成した印刷データ7PDをプリントサーバ装置2へ送信する(S526)。
【0049】
プリントサーバ装置2において、印刷データ受付部201は、プリント要求装置1から印刷データ7PDを受け付ける(S621)。
【0050】
印刷データ格納部202は、印刷データ受付部201が受け付けた印刷データ7PDを個人ボックスへ格納する処理を次のように行う(S622〜S626)。
【0051】
印刷データ格納部202は、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザIDを取得する(S622)。さらに、ヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S623)。各ユーザの個人ボックスPB2のうちの、取得したユーザIDに対応する個人ボックスPB2を特定する(S624)。そして、取得したパスワードと特定した個人ボックスPB2へのアクセス制限のために掛けられているパスワードとを照合し(S625)、両者が一致する場合に、特定した個人ボックスPB2へ印刷データ7PDを格納する(S626)。
【0052】
なお、共通鍵暗号方式を採用する場合は、印刷データ格納部202は、プリント要求装置1において暗号化の際に使用された暗号鍵が、復号鍵として用いられる。一方、公開暗号方式を採用する場合は、印刷データ格納部202は、プリント要求装置1において暗号化の際に使用された公開鍵に対応する秘密鍵が、復号鍵として用いられる。
【0053】
このような処理が次々に行われることによって、図9に示すように、プリントサーバ装置2の補助記憶装置に作成された各個人ボックスPB2(PB2a、PB2b、PB2c、…)には、印刷データ7PD(7PD1、7PD2、7PD3、…)が格納される。
【0054】
ユーザは、プリンタ装置3A〜3Cのうちのいずれかのプリンタ装置3を直接操作し、プリントサーバ装置2にスプールされた印刷データ7PDに基づく印刷をプリンタ装置3に行わせることができる。以下、プリンタ装置3Aに印刷を行わせる場合を例に説明する。
【0055】
プリンタ装置3Aにおいて、ログイン処理部301は、ユーザによって所定の操作が行われると、ログインのための処理を次のように行う。
【0056】
ログイン処理部301は、図10に示すようなユーザログイン画面SG1を表示操作装置35に表示させる(S821)。そして、表示操作装置35を介して、ユーザが入力したユーザIDおよびパスワードなどを示すユーザデータ7UDを取得する(図7のS822)。
【0057】
認証処理部302は、ログイン処理部301が取得したユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびパスワードとユーザ情報データベース303に格納されているユーザIDおよびパスワードとを照合することによって、ユーザの認証を行う(S823)。具体的には、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびパスワードが、ユーザ情報データベース303に格納されているユーザIDおよびパスワードと一致すれば、正規のユーザである旨の認証を与える。認証に成功したら、プリンタ装置3Aへのユーザのログインが完了する。この際に、認証処理部302は、認証チケット7ATをログイン処理部301へ通知する。
【0058】
待機印刷データ確認部304は、認証処理部302からログイン処理部301へ認証チケット7ATが通知されると、ログインしたユーザの印刷データ7PDがプリントサーバ装置2にスプールされているか否かを確認する(S824)。そして、スプールされていれば、それをプリンタ装置3Aへ送信するようにプリントサーバ装置2に要求する(S825)。
【0059】
具体的には、待機印刷データ確認部304は、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDをプリントサーバ装置2に対して指定することによって、プリントサーバ装置2に印刷データ7PDがスプールされているか否かを問い合わせる。そして、スプールされていれば、印刷データ7PDを送信するように要求する印刷データ送信要求RD1をプリントサーバ装置2へ発行する。印刷データ送信要求RD1には、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDおよびプリンタ装置3A自身の機種IDが示される。
【0060】
プリントサーバ装置2において、印刷データ供給部203は、プリンタ装置3Aから印刷データ送信要求RD1を受け付ける(S631)。
【0061】
すると、印刷データ引出部204は、各ユーザの個人ボックスPB2のうちの、印刷データ送信要求RD1に示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB2を特定する(S632)。そして、特定した個人ボックスPB2に格納されている印刷データ7PDの全部または一部を引き出す(S633)。
【0062】
パスワード再暗号化部205は、印刷データ引出部204が引き出した印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S634)。そして、取得したパスワードを、印刷データ送信要求RD1に示される機種IDに対応する暗号化キーを使用して暗号化し直す(S635)。
【0063】
なお、パスワード再暗号化部205は、図11に示すような暗号化キーテーブルETBを参照することによって、使用する暗号化キーを決定する。例えば、印刷データ送信要求RD1に示される機種IDが「C102」であれば、暗号化キーテーブルの機種ID欄etb1に「C102」が示されるレコードの暗号化キー欄etb2に示される「XXX2」に決定する。
【0064】
そして、パスワード再暗号化部205は、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを、暗号化し直したパスワードに書き換えることによって、図12のような印刷データ7PDaを生成する(S636)。
【0065】
印刷データ供給部203は、パスワード再暗号化部205によって生成された印刷データ7PDaをプリンタ装置3Aへ送信する(S637)。
【0066】
プリンタ装置3Aにおいて、印刷データ受付部305は、プリントサーバ装置2からの印刷データ7PDaを受け付ける(S831)。そして、図13に示すような印刷データ選択画面SG2を表示操作装置35に表示させる(S832)。印刷データ選択画面SG2には、受け付けた印刷データ7PDaの一覧が示されている。ここで、ユーザは、今回の印刷の対象の印刷データ7PDaを選択する。
【0067】
すると、印刷実行制御部307は、ユーザが選択した印刷データ7PDaのヘッダ部pda1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S833)。そして、取得したパスワードとユーザデータ7UDに示されるパスワードとを照合し(S834)、両者が一致する場合は、この印刷データ7PDaに基づいて印刷を行うように印刷ユニット37を制御する。これにより、印刷ユニット37において、印刷データ7PDaに示される画像が出力用紙などに印刷される(S835)。なお、両パスワードが一致しない場合は、この印刷データ7PDaに基づく印刷を行わない。
【0068】
以上の通り、プリントサーバ装置2が稼動している場合は、ユーザは、プリントサーバ装置2にスプールされた印刷データに基づく印刷を容易に行うことができる。また、パスワードの照合による認証を経て印刷が行われるので、印刷物のセキュリティを確保することができる。
【0069】
〔プリントサーバ装置2が稼動していない場合〕
図14および図15は、プリントサーバ装置2が稼動していない場合の各装置の処理の流れの例を説明するシーケンス図である。図16は、印刷データ7PDbの例を示す図である。図17は、個人ボックスPB3に格納されているデータの例を示す図である。
【0070】
次に、プリントサーバ装置2が稼動していない場合のプリント要求装置1およびプリンタ装置3それぞれの機能を、図14および図15を参照しながら説明する。プリントサーバ装置2が稼働している場合と共通する処理については、説明を省略する。
【0071】
プリント要求装置1において、プリントサーバ装置2が稼動している場合と同様に(図6のS521〜525)、文書データ取得部101およびプリント対応処理部102は、文書データ7ADより印刷データ7PDを生成し(図14のS571〜S574)、プリントサーバ稼動判別部103aは、プリントサーバ装置2が稼働しているか否かを判別する(S575)。
【0072】
プリントサーバ装置2が稼働していないとプリントサーバ稼動判別部103aが判別した場合は、プルプリント対応処理部103の各部は、図16に示すような印刷データ7PDbを次のように作成する。
【0073】
パスワード再暗号化部103bは、プリンタ装置3A〜3Cのうちのいずれかのプリンタ装置3を出力先として指定するようにユーザに対して要求するメッセージを表示する(S576)。いずれかのプリンタ装置3が指定されると、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているパスワードを復号することによって、ユーザが先に入力したパスワードを取得する(S577)。取得した元のパスワードを、ユーザが指定したプリンタ装置3の機種IDに対応する暗号化キーを用いて暗号化し直す(S578)。なお、この暗号化キーは、プリントサーバ装置2が稼働している場合と同様、図11に示すような暗号化キーテーブルETBを参照することによって決定される。
【0074】
そして、パスワード再暗号化部103bは、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されているユーザパスワード情報に示されるパスワードを、暗号化し直したパスワードに書き換える。
【0075】
印刷設定変更部103cは、印刷データ7PDのヘッダ部pd1に記述されている出力形式情報に示される印刷の出力形式を変更する(S579)。具体的には、通常のモードから、認証を経た後に印刷を実行するモード(認証プリントのモード)に書き換える(S579)。
【0076】
以上のように印刷データ7PDに記載されるパスワードの暗号化をやり直しモードを書き換えることによって、印刷データ7PDbが生成される。
【0077】
印刷データ発行部104は、生成された印刷データ7PDbを、ユーザが指定したプリンタ装置3へ送信する(S580)。以下、ユーザがプリンタ装置3Bを指定した場合を例に説明する。
【0078】
プリンタ装置3Bにおいて、印刷データ受付部305が印刷データ7PDbを受け付けると(S871)、印刷データ格納部306は、このユーザの個人ボックスPB3に印刷データ7PDbを格納するための処理を行う(S872〜S876)。この処理の内容は、プリントサーバ装置2が稼働している場合にプリントサーバ装置2が行った処理の内容と同様である(図6のS621〜S626)。
【0079】
上述の処理が次々に行われることによって、図17に示すように、各個人ボックスPB3(PB3a、PB3b、PB3c、…)には、印刷データ7PDb(7PDb1、7PDb2、7PDb3、…)が次々に格納される。
【0080】
ユーザは、プリンタ装置3Bを直接操作し、プリンタ装置3Bにスプールされた印刷データ7PDbに基づく印刷をプリンタ装置3Bに行わせることができる。
【0081】
プリンタ装置3Bにおいて、ログイン処理部301および認証処理部302は、ユーザの認証およびプリンタ装置3Bへのログインのための処理を行う(S877〜S879)。この処理の内容は、前に図6のS821〜図7のS823で説明した通りである。
【0082】
ユーザの認証が成功したら、印刷データ引出部308は、ユーザデータ7UDに示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB3を特定し(S880)、この個人ボックスPB3に格納されている印刷データ7PDbの全部または一部を引き出す(S881)。そして、引き出した印刷データ7PDbの一覧を示す画面(図13の印刷データ選択画面SG2のような画面)を表示操作装置35に表示させることによって、印刷の対象の印刷データ7PDbをユーザに選択させる(S882)。
【0083】
印刷実行制御部307は、ユーザが選択した印刷データ7PDbのヘッダ部pdb1に記述されているパスワードを復号することによって、ユーザがプリント要求装置1に入力したパスワードを取得する(S883)。そして、取得したパスワードとユーザデータ7UDに示されるパスワードとを照合し(S884)、両者が一致する場合は、この印刷データ7PDbに基づいて印刷を行うように印刷ユニット37を制御する。これにより、印刷ユニット37において、この印刷データ7PDbに示される画像が出力用紙などに印刷される(S885)。なお、両パスワードが一致しない場合は、この印刷データ7PDbに基づく印刷を行わない。
【0084】
以上の通り、プリントサーバ装置2が稼動していない場合であっても、ユーザは、出力先のプリンタ装置3を指定するだけでセキュアに印刷を行うことができる。しかも、このプリンタ装置3に対応するプリンタドライバがプリント要求装置1にインストールされていなくてもよいので、ユーザにとって利便性が高い。
【0085】
図18は、プリント要求装置1における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。図19は、プリントサーバ装置2における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。図20および図21は、プリンタ装置3における全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0086】
次に、各装置における全体的な処理の流れを、図18〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0087】
ユーザは、プリント要求装置1に、印刷の対象の文書データ7ADを用意するとともにパスワードを入力する。
【0088】
図18において、プリント要求装置1は、文書データ7ADを取得すると(S501)、ユーザが入力したパスワードを暗号化し(S502)、図8のような印刷データ7PDを生成する(S503)。
【0089】
そして、プリント要求装置1は、プリントサーバ装置2の状態を確認し、プリントサーバ装置2が稼働していれば(S504でYes)、印刷データ7PDをプリントサーバ装置2へ送信する(S505)。
【0090】
一方、プリントサーバ装置2が稼働していなければ(S504でNo)、印刷を行わせるプリンタ装置3をユーザに選択させ、ユーザが入力したパスワードを、ユーザが選択したプリンタ装置3に対応する暗号キーで暗号化し直す(S506)。これと前後してまたは並行して、印刷の設定を変更する(S507)。これらの処理を印刷データ7PDに行うことによって、図16のような印刷データ7PDbが生成される。そして、プリント要求装置1は、ユーザが選択したプリンタ装置3へ印刷データ7PDbを送信する(S508)。
【0091】
図19において、プリントサーバ装置2は、プリント要求装置1から印刷データ7PDを受信するごとに(S601でYes)、この印刷データ7PDを、依頼者であるユーザの個人ボックスPB2へ格納する(S602)。
【0092】
または、プリンタ装置3から印刷データ送信要求RD1を受信するごとに(S603でYes)、この印刷データ送信要求RD1に示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB2から印刷データ7PDを抽出し(S604)、抽出した印刷データ7PDに示されるパスワードを復号し、このプリンタ装置3に対応する暗号キーで暗号化し直すことによって印刷データ7PDaを生成する(S605)。そして、このプリンタ装置3へ印刷データ7PDaを送信する(S606)。
【0093】
プリンタ装置3は、図20に示す処理と図21に示す処理とを並行して実行する。図20において、プリンタ装置3は、プリント要求装置1から印刷データ7PDbを受信するごとに(S701でYes)、この印刷データ7PDbを、この印刷データ7PDbに示されるユーザIDに対応する個人ボックスPB3に格納する(S702)。
【0094】
また、図21において、プリンタ装置3は、ユーザのログインに成功するごとに(S801でYes、S802でYes)、プリントサーバ装置2に設けられているこのユーザの個人ボックスPB2に印刷データ7PDが格納されているか否かを確認する(S803)。格納されていれば(S804でYes)、この印刷データ7PDに対応する印刷データ7PDaをプリントサーバ装置2から受信し(S805)、この印刷データ7PDaに基づいて印刷を行う(S806)。
【0095】
さらに、プリンタ装置3は、プリンタ装置3自身に設けられているこのユーザの個人ボックスPB3に印刷データ7PDbが格納されているか否かを確認する(S807)。格納されていれば(S808でYes)、この印刷データ7PDbを抽出し(S809)、この印刷データ7PDbに基づいて印刷を行う(S810)。
【0096】
〔第2の実施形態〕
図22は、第2の実施形態における印刷システムSYS2の例を示す図である。図23は、プリンタ装置3および認証装置4における一部の機能の構成の例を示す図である。
【0097】
図22に示すように、印刷システムSYS2は、プリント要求装置1、プリントサーバ装置2、およびプリンタ装置3(3A〜3C)のほかに、認証装置4がネットワークNWに接続されている点で、図2に示す第1の実施形態における印刷システムSYS1と構成が異なっている。
【0098】
第1の実施形態における印刷システムSYS1は、ユーザがプリンタ装置3にログインした際のユーザの認証をプリンタ装置3において行うように構成されていた。これに対し、第2の実施形態における印刷システムSYS2は、ユーザがプリンタ装置3にログインした際のユーザの認証を認証装置4において行うように構成されている。
【0099】
認証装置4には、CPU、RAM、ROM、HDDなどの不揮発性の補助記憶装置、および、LANなどのネットワークを介して他の情報処理装置との間でデータを送受信するためのネットワークインタフェースなどが設けられている。
【0100】
図23に示すように、認証装置4は認証処理部401およびユーザ情報データベース402の各制御部を有しており、ROMまたは補助記憶装置には各制御部401〜402を実現するためのプログラムが格納されており、それらのプログラムはCPUにより適宜実行される。
【0101】
認証処理部401およびユーザ情報データベース402は、それぞれ、第1の実施形態におけるプリンタ装置3の認証処理部302およびユーザ情報データベース303に相当する制御部である。
【0102】
よって、認証処理部401は、プリンタ装置3のログイン処理部301からユーザデータ7UDを受け取り、ユーザデータ7UDに示される情報とユーザ情報データベース402に格納されている情報とを照合することにより、ユーザの認証を行う。そして、ユーザの認証が成功すると、認証チケット7ATをログイン処理部301へ通知する。
【0103】
第2の実施形態におけるそのほかの構成部分は第1の実施形態と共通しており、それらについては、第1の実施形態の説明の際に用いた符号と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0104】
その他、プリント要求装置1、プリントサーバ装置2、プリンタ装置3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0105】
SYS1 印刷システム
SYS2 印刷システム
1 プリント要求装置(端末装置)
102 プリント対応処理部(発信手段)
103 プルプリント対応処理部(発信手段)
104 印刷データ発行部(発信手段)
2 プリントサーバ装置(仲介装置)
3 プリンタ装置(印刷装置)
37 印刷ユニット(印刷手段)
304 待機印刷データ確認部(要求手段)
305 印刷データ受付部(要求手段)
307 印刷実行制御部(印刷手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムであって、
前記端末装置には、
前記仲介装置と通信することができる場合は、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信手段、が設けられ、
前記印刷装置には、
前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求する、要求手段と、
前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、印刷手段と、
が設けられている、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、
前記認証を認証装置に行わせる、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷装置には、復号鍵が付与されており、
前記発信手段は、前記印刷データを、前記ユーザが入力した第1のパスワードを前記復号鍵に対応する暗号鍵で暗号化した暗号化パスワードと対応付けて発信し、
前記印刷装置には、
当該印刷装置自身の前記復号鍵によって前記暗号化パスワードを前記第1のパスワードに復号する復号手段、が設けられており、
前記印刷手段は、当該が当該印刷装置に入力した第2のパスワードと復号された前記第1のパスワードとが一致する場合に、前記印刷を行う、
請求項1または請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷装置が複数台あり、
前記復号鍵は前記印刷装置ごとに付与されており、
前記仲介装置には、
前記第1のパスワードを、前記複数台の印刷装置のうちの要求元である印刷装置に対応する前記暗号鍵によって前記暗号化パスワードに暗号化し直して当該要求元である印刷装置へ送信する、送信手段、が設けられている、
請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムにおける印刷方法であって、
前記端末装置は、
前記仲介装置と通信することができる場合に、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、
前記仲介装置と通信することができない場合に、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信し、
前記印刷装置は、
前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求し、
前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを仲介する仲介装置へ接続可能な端末装置であって、
ユーザが入力したパスワードを前記印刷装置に対応する暗号鍵で暗号化することによって暗号化パスワードを生成する、暗号化手段と、
前記印刷データを前記暗号化パスワードと対応付けて、前記仲介装置と通信することができる場合は前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は前記仲介装置を介することなく前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信手段と、を有する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを仲介する仲介装置へ接続可能なコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
ユーザが入力したパスワードを前記印刷装置に対応する暗号鍵で暗号化することによって暗号化パスワードを生成する生成処理を実行させ、
前記印刷データを前記暗号化パスワードと対応付けて、前記仲介装置と通信することができる場合は前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は前記仲介装置を介することなく前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムであって、
前記端末装置には、
前記仲介装置と通信することができる場合は、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信手段、が設けられ、
前記印刷装置には、
前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求する、要求手段と、
前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、印刷手段と、
が設けられている、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、
前記認証を認証装置に行わせる、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷装置には、復号鍵が付与されており、
前記発信手段は、前記印刷データを、前記ユーザが入力した第1のパスワードを前記復号鍵に対応する暗号鍵で暗号化した暗号化パスワードと対応付けて発信し、
前記印刷装置には、
当該印刷装置自身の前記復号鍵によって前記暗号化パスワードを前記第1のパスワードに復号する復号手段、が設けられており、
前記印刷手段は、当該が当該印刷装置に入力した第2のパスワードと復号された前記第1のパスワードとが一致する場合に、前記印刷を行う、
請求項1または請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷装置が複数台あり、
前記復号鍵は前記印刷装置ごとに付与されており、
前記仲介装置には、
前記第1のパスワードを、前記複数台の印刷装置のうちの要求元である印刷装置に対応する前記暗号鍵によって前記暗号化パスワードに暗号化し直して当該要求元である印刷装置へ送信する、送信手段、が設けられている、
請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
印刷データを発信する端末装置、前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置、および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを前記印刷装置へ仲介する仲介装置を有する印刷システムにおける印刷方法であって、
前記端末装置は、
前記仲介装置と通信することができる場合に、前記印刷データを前記仲介装置へ発信し、
前記仲介装置と通信することができない場合に、前記仲介装置を介することなく前記印刷データを前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信し、
前記印刷装置は、
前記端末装置のユーザの認証に成功した場合に、前記仲介装置へ前記印刷データを要求し、
前記認証に成功した場合に、前記仲介装置または前記端末装置から受信した前記印刷データに基づいて前記印刷を行う、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを仲介する仲介装置へ接続可能な端末装置であって、
ユーザが入力したパスワードを前記印刷装置に対応する暗号鍵で暗号化することによって暗号化パスワードを生成する、暗号化手段と、
前記印刷データを前記暗号化パスワードと対応付けて、前記仲介装置と通信することができる場合は前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は前記仲介装置を介することなく前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信手段と、を有する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置および前記印刷装置からの要求に基づいて前記印刷データを仲介する仲介装置へ接続可能なコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
ユーザが入力したパスワードを前記印刷装置に対応する暗号鍵で暗号化することによって暗号化パスワードを生成する生成処理を実行させ、
前記印刷データを前記暗号化パスワードと対応付けて、前記仲介装置と通信することができる場合は前記仲介装置へ発信し、前記仲介装置と通信することができない場合は前記仲介装置を介することなく前記印刷装置へ認証プリントの指令と対応付けて発信する、発信処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−177969(P2012−177969A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39265(P2011−39265)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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