説明

印刷システム

【課題】本発明はホスト機器から印刷装置に省電力状態の指示を行い、印刷装置側で省電力に関する情報を管理し、煩雑な処理を行うことなく、印刷装置の省電力状態の制御を行うものである。
【解決手段】印刷データに基づいて記録媒体に印刷出力を行う印刷装置と、この印刷装置に上記印刷データを出力するホスト機器が接続された印刷システムにおいて、上記ホスト機器は、機器の状態に従って複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示を出力し、上記印刷装置は上記ホスト機器から送信された省電力状態への移行指示の情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択手段と、この選択手段によって選択された省電力状態に装置を設定する設定手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の省電力状態の設定が可能な印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が要求されている。印刷装置において消費電力を削減するために行われる方法は、例えば印刷処理を終了した後一定時間の待機期間を設けた後、電源を切断する方法である。しかし、この方法では、印刷装置の電源切断後に印刷処理が必要になった場合、再度電源投入を行い、印刷装置が使用可能状態になるまで待つ必要があった。
【0003】
また、予め時刻を設定し、当該設定時刻以降に一定時間待機中状態を継続し、その後電源切断を行う方法も行われている。しかし、この方法では、上記設定時刻以降に印刷装置を使用する場合には、上記と同様、再度電源投入を行い、印刷装置が使用でき状態になるまで待つ必要があった。
上記問題を解消する方法として、例えば特許文献1の発明が開示されている。この発明は印刷装置にネットワークを介して接続されたホストコンピュータがコンピュータ間で情報交換を行い、印刷装置を使用する予定が無いと判断した場合、印刷装置に電源切断の指示を行う発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−30138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の方法では、印刷装置を使用する可能性のある全てのホストコンピュータから情報を集め、ホストコンピュータ側で情報を管理し、印刷装置に電源切断の指示を行わなければならず、非常に煩雑な処理が必要であった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、ホスト機器は印刷装置に省電力状態の指示を行うだけでよく、印刷装置側で省電力に関する情報を管理し、煩雑な処理を行うことなく、印刷装置の省電力状態の制御を行うものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は第1の発明によれば、印刷データに基づいて記録媒体に印刷出力を行う印刷装置と、該印刷装置に前記印刷データを出力するホスト機器が接続された印刷システムにおいて、前記ホスト機器は、該ホスト機器の状態に従って複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示を出力する出力手段を有し、前記印刷装置は、前記ホスト機器から送信された省電力状態への移行指示の情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された省電力状態に装置を設定する設定手段とを有する印刷システムを提供することによって達成できる。
【0008】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記選択手段は、前記ホスト機器の管理期限、又は前記省電力状態の省電力レベルに基づいて、前記1つの省電力状態の選択を行う印刷システムを提供することによって達成できる。
【0009】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記ホスト機器から前記印刷装置への省電力状態の移行指示は、前記印刷装置の状態監視情報の通信メッセージと共に出力される印刷システムを提供することによって達成できる。
【0010】
また、上記課題は第4の発明によれば、印刷データを出力するホスト機器とネットワークを介して接続され、前記印刷データに従って記録媒体に印刷出力を行う印刷装置において、前記ホスト機器から送信された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示の情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された省電力状態に装置を設定する設定手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は第5の発明によれば、前記選択手段は、前記ホスト機器の管理期限、又は前記省電力状態の省電力レベルに基づいて、前記1つの省電力状態の選択を行う印刷装置を提供することによって達成できる。
【0012】
さらに、上記課題は第6の発明によれば、印刷データを出力するホスト機器とネットワークを介して接続され、前記印刷データに従って記録媒体に印刷出力を行う印刷装置の制御方法において、前記ホスト機器から送信された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示の情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択処理と、該選択処理によって選択された省電力状態に装置を設定する設定処理とを行う印刷装置の制御方法を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のホスト機器が機器の状態に基づいて複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示を行うだけで、以後印刷装置が各ホスト機器からの指示を解析し、印刷装置を最適な省電力状態に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンタ装置とホストコンピュータとの接続関係を説明する図である。
【図2】本実施形態の印刷システムのシステム構成図である。
【図3】省電力状態への移行指示メッセージの構成を示す図である。
【図4】状態監視情報の概念図である。
【図5】印刷装置に設定されるホストコンピュータの管理テーブルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本実施形態の印刷システムのシステム構成図である。
本例の印刷システムはLAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワークに接続されたプリンタ装置1、複数のホストコンピュータ2〜5、プリントサーバ6、ウエッブ(Web)サーバ7、及びデータサーバ8で構成されている。尚、ホストコンピュータ2は、コンピュータ上でユーザの使用状況を検出するアプリケーションに基づく処理表示2aが可能である。このような機能を持つコンピュータは、他にホストコンピュータ4、及び5であり、残るホストコンピュータ3は上記機能を有しない。このため、ホストコンピュータ2、4、及び5を特に一般使用のコンピュータ(クライアント)とし、ホストコンピュータ3を一時使用のコンピュータ(クライアント)とする。
【0016】
プリンタ装置1は複数の異なる消費電力レベルの省電力状態の設定が可能な印刷装置であり、ホストコンピュータ2〜5やプリントサーバ6から出力される印刷データに従って記録媒体に印刷出力を行う。また、ウエッブ(Web)サーバ7はウエッブ上でドキュメントやオブジェクトの表示を提供し、データサーバ8はシステム内のデータ管理を行う。
【0017】
図1は、上記システムにおいて、特にプリンタ装置1とホストコンピュータ2との接続関係を説明する図である。尚、同図に示すホストコンピュータ2は、ホストコンピュータ2〜5を代表して示すものである。
【0018】
ホストコンピュータ2はプロセッサ10、オペレーションシステム(OS)11、ROM12、RAM13、アプリケーション14、プリンタドライバ15、キーボード制御部16、マウス制御部17、及び表示装置18で構成されている。ROM12には本例のホストコンピュータ2の制御プログラムが記憶され、プロセッサ10はオペレーションシステム(OS)11に基づいて、ROM12から本例制御プログラムを読み出し、例えばRAM13をワークエリアとして使用して処理を行う。また、キーボード制御部16は不図示のキーボードからの操作信号を制御し、マウス制御部17は不図示のマウスからの操作信号を制御し、表示装置18は上記アプリケーションに基づく表示を行う。
【0019】
アプリケーション14は文書等の印刷データを作成し、プリンタドライバ15によってプリンタ装置1に対応した中間コードに変換し、LANインターフェース19を介して印刷データをプリンタ装置1に出力する。また、ホストコンピュータ2はアプリケーション14に基づいて後述する省電力状態移行指示メッセージを作成し、プリンタ装置1に出力する。尚、上記説明ではホストコンピュータ2について述べたが、他のホストコンピュータ3〜5についても上記と同様の構成である。
【0020】
プリンタ装置1はEEPROM9、CPU21、ROM22、RAM23、パネル制御部24、バッファ25、解析部26、描画データ処理部27、イメージメモリ28、ビデオ制御部29、及びエンジン部30で構成され、ホストコンピュータ2からLANボードインターフェース20を介して印刷データが供給される。プリンタ装置1に入力した印刷データは、バッファ25に一旦格納され、CPU21の制御に従って解析部26でコマンド解析が行われ、描画データ処理部27によってイメージメモリ28への描画データの展開処理が行われる。
【0021】
イメージメモリ28に展開された描画データはビデオ制御部29の制御によって、エンジン部30のエンジンコントローラ31に送信され、印字ヘッド32によって記録媒体に印刷出力が行われる。
【0022】
以上の構成の印刷システムにおいて、ホストコンピュータ2からプリンタ装置1に送信する省電力状態移行指示メッセージについて説明する。図3は省電力状態移行指示メッセージの構成を示す図である。尚、同図に示す省電力状態移行指示メッセージは、同時に状態監視情報の通信メッセージとしても使用される。
【0023】
同図に示すように、省電力状態移行指示メッセージは新たな省電力状態指示記述部35、有効となるまでの経過時間記述部36、状態監視情報アクセスキー記述部37、及び状態監視情報内容記述部38で構成されている。尚、この省電力状態移行指示メッセージを状態監視情報の通信メッセージとして使用する場合には、上記省電力状態指示記述部35と経過時間記述部36には何も記述しない。
【0024】
省電力状態指示記述部35には、「印刷開始予定」、又は「通常の省電力状態」、又は「より消費電力の少ない省電力状態」、又は「電源切断」の何れかの指示が記述される。また、経過時間記述部36には上記省電力指示が有効になるまでの現在時刻からの時間は記述される。ここで、上記「印刷開始予定」、「通常の省電力状態」、「より消費電力の少ない省電力状態」、「電源切断」の各状態において、省電力レベルが最も大きい状態は「電源切断」であり、次に省電力レベルが大きい状態は「より消費電力の少ない省電力状態」であり、以後、「通常の省電力状態」、「印刷開始予定」と続く。
【0025】
ホストコンピュータ2〜5の場合、省電力状態指示記述部35及び経過時間記述部36には以下の記述が行われる。例えば、利用者はキーボード等を操作し、印刷処理を行うため、プリンタ装置1のプロパティを開いた時、省電力状態指示記述部35に「印刷開始予定(通常電力状態)」の記述を行い、経過時間記述部36に経過時間として0秒(即時有効)の記述を行う。また、例えば印刷データ送信後に新たな印刷データのスプールが無い場合、省電力状態指示記述部35に「通常の省電力状態」の記述を行い、経過時間記述部36の経過時間30秒の記述を行なう。
【0026】
また、例えば一定時間マウスやキーボード等のデバイスからの入力がない場合、省電力状態指示記述部35に「より消費電力の少ない省電力状態」の記述を行い、経過時間記述部36に経過時間60秒の記述を行なう。さらに、例えばホストコンピュータ2の使用を終了する場合、省電力状態指示記述部35に「電源切断」の記述を行い、経過時間記述部36に経過時間15秒の記述を行なう。
【0027】
また、プリンタサーバ6の場合、通常ではユーザが直接操作することはなく、印刷指示は時々行う程度であり、省電力状態指示記述部35に、例えば「より消費電力の少ない省電力状態」の記述と共に、経過時間記述部36に経過時間30秒の記述を行なう。
また、ウエッブサーバ7及びデータサーバ8の場合、管理ログなどの印刷が希に発生する程度であり、新たな省電力状態の指示と同指示が有効となるまでの経過時間をメッセージへ記述せず状態監視情報の記述だけを行う。
【0028】
一方、状態監視情報アクセスキー記述部37には、図4に示す状態監視情報番号を設定する。この状態監視情報番号は状態監視情報アクセスキーに対応し、プリンタ装置1から同図の状態情報内容例に示す情報を取得するためのアクセスキーである。
【0029】
例えば、状態監視情報番号(状態監視情報アクセスキー)“1.1.1.1”は、印刷装置1の状態情報を取得するためのアクセスキーであり、この場合印刷装置1は状態情報として、同図に示す通常、省電力中、エラー発生中の何れかの応答を同図に示す番号で通知する。また、状態監視情報番号(状態監視情報アクセスキー)“1.1.1.2”は印刷装置1の省電力状態の詳細を取得するためのアクセスキーであり、印刷装置1は通常電力状態(印刷開始予定)、通常の省電力状態、より消費電力の少ない省電力状態、電源切断状態の何れかの応答を同図に示す番号で通知する。
【0030】
以下、状態監視情報アクセスキー(状態監視情報番号)と状態情報内容との関係は同図に示す通りであり、状態監視情報アクセスキーの設定を行うことによって、プリンタ装置1は対応するプリンタ装置1の状態情報の応答を行う。尚、プリンタ装置1の応答情報は、例えば上記状態監視情報内容記述部38に記述される。また、図4に示すホストコンピュータの使用用途別状態監視情報に基づいて、各ホスト機器は○印、又は◎印が付加された状態監視情報の取得が可能である。
【0031】
上記省電力状態移行指示メッセージ(状態監視情報の通信メッセージ)は、例えばホストコンピュータ2からプリンタ装置1に送信される。プリンタ装置1は上記省電力状態移行指示メッセージを受信すると、バッファ25に一旦格納し、CPU21の制御によって省電力状態指示記述部35や状態監視情報アクセスキー記述部37に記述された内容が読み出される。ここで、状態監視情報アクセスキー記述部37に記述されたアクセスキーは、前述のように印刷装置1の状態情報を取得するためのアクセスキーであり、プリンタ装置1は対応する応答を行う。
【0032】
一方、省電力状態指示記述部35に記述された内容はプリンタ装置1を省電力状態に設定する情報であり、以下のように処理される。また、図5はプリンタ装置1のEEPROM9に生成されるホストコンピュータの管理テーブルである。
先ず、CPU21はホストコンピュータ等から送信された情報に基づいてアドレス情報を抽出し、上記管理テーブルに対応するアドレスが存在するか検索する。尚、このアドレスは前述のホストコンピュータ2〜5、プリンタサーバ6等に固有に付与されたアドレスであり、同じアドレスを検出した場合には、管理テーブルの情報を更新する。また、検出しない場合には新規に管理テーブルに情報を追加する。
【0033】
図5に示す例では、2010年3月31日のある時刻(例えば、17時台のある時刻)において、各ホスト機器からの省電力状態移行指示メッセージに従って管理テーブルに設定された省電力情報の例である。
【0034】
例えば、No.1に示すアドレス(192.1.10.1)の機器はデータサーバ8であり、データサーバ8の場合、前述の省電力状態移行指示メッセージには省電力状態指示記述部35と経過時間記述部36に記述がないので、省電力指示は行われない。また指示動作開始時刻は初期値“0”のままである。尚、管理期限は、例えば同図に示す例では2010.03.31 17:42:15に設定されている。
【0035】
次に、同図のNo.2に示すアドレス(192.1.10.10)のホスト機器はプリントサーバ6であり、プリントサーバ6の場合、前述のように「消費電力の少ない省電力状態」の設定が行われ、指示動作開始時刻は現在時刻に30秒を加算した時刻が設定されている。尚、管理期限は、例えば同図に示す例では2010.03.31 17:45:02に設定されている。
【0036】
次に、同図のNo.3に示すアドレス(192.1.10.51)の機器はホストコンピュータ2であり、現在「消費電力の少ない省電力状態」に設定され、指示動作開始時刻は2010.03.31 17:40:24に設定されている。この場合、例えばホストコンピュータ2の利用者が離席等によって一定時間マウスやキーボード等のデバイスからの入力がない場合、前述のように上記設定は行われたものであり、上記指示動作開始時刻は現在時刻に60秒を加算した時刻である。また、ホストコンピュータ2の管理期限は指示動作開始時刻である2010.03.31 17:40:24まで更新されている。
【0037】
次に、同図のNo.4に示すアドレス(192.1.10.55)の機器はホストコンピュータ3であり、「印刷開始予定」に設定され、指示動作開始時刻は2010.03.31 17:40:55に設定されている。この場合、例えばホストコンピュータ3の利用者が印刷処理のために印刷ダイアログを開いた場合、前述のように設定されたものであり、上記指示動作開始時刻は現在時刻に0秒を加算した時刻である。
【0038】
次に、同図のNo.5に示すアドレス(192.1.10.56)の機器はホストコンピュータ4であり、「通常の省電力状態」に設定され、指示動作開始時刻は2010.03.31 17:41:33に設定されている。この場合、例えばホストコンピュータ4の利用者がキーボード等の操作を行っている場合に設定されたものであり、上記指示動作開始時刻は現在時刻に30秒を加算した時刻である。
【0039】
最後に、同図のNo.6に示すアドレス(192.1.10.57)の機器はホストコンピュータ5であり、「電源切断」に設定され、指示動作開始時刻は2010.03.31 17:45:43に設定されている。この場合、例えばホストコンピュータ5の利用者がコンピュータをシャットダウンする操作を行った場合に設定されたものであり、上記指示動作開始時刻は現在時刻に15秒を加算した時刻である。
【0040】
以上の管理テーブルの設定状態において、以下に本例の処理動作を説明する。プリンタ装置1は上記管理テーブルを参照し、省電力指示内容、指示動作開始時刻を更新し、必要に応じて管理期限の更新を行う。そして、管理テーブルの記憶状態に基づいて、最適な省電力状態に移行する。
【0041】
先ず、上記状態において、例えば現在時刻が17:42:20であるとし、現在の省電力状態が「通常の省電力状態」である場合、以下の判断を行い、プリンタ装置1の省電力状態の設定を行う。すなわち、先ず管理テーブルの管理期限を参照し、現在時刻において管理期限が経過している機器を排除する。例えば、図5に示すNo.1のデータサーバ8は管理期限が経過しており、排除される。また、図5に示すNo.3のホストコンピュータ2も管理期限が経過しており、排除される。
【0042】
次に、省電力の内容を参照し、「通常の省電力状態」より省電力レベルの高い機器を排除する。例えば、同図に示すNo.2のプリントサーバ6は「通常の省電力状態」より省電力レベルの高い「消費電力の少ない省電力状態」であり、排除される。また、同図に示すNo.6のホストコンピュータ5は「通常の省電力状態」より省電力レベルの高い「電源切断」であり、排除される。
【0043】
したがって、上記処理により残る機器は、同図に示すNo.4のホストコンピュータ3とNo.5のホストコンピュータ4となる。ここで、前述のコンピュータの機能に基づいて「一時使用クライアント」からの印刷開始予定を省電力状態解除の要件に含める場合、ホストコンピュータ3が管理対象となり、且つ動作開始時刻も現在時刻より前であるので、現在の「通常の省電力状態」を解除し、プリンタ装置1を通常印刷状態に設定する。一方、「一時使用クライアント」からの印刷開始予定を省電力状態解除の要件に含めない場合、ホストコンピュータ3は管理対象外となる。この場合、ホストコンピュータ4の省電力レベルと同じ「通常の省電力状態」であり、動作開始時刻も現在時刻より前であるので、プリンタ装置1を「通常の省電力状態」のままとする。
【0044】
また、例えば現在時刻が17:44:10である場合、以下の判断を行い、プリンタ装置1の省電力状態の設定を行う。前述と同様、先ず管理テーブルの管理期限を参照し、現在時刻において管理期限が経過している機器を排除する。この場合、例えば図5に示すNo.1のデータサーバ8、No.3のホストコンピュータ2、No.4のホストコンピュータ3、No.5のホストコンピュータ4の機器が管理期限を経過しており、排除される。したがって、この場合上記処理により残る機器は、同図に示すNo.2のプリントサーバ6とNo.6のホストコンピュータ5となる。
【0045】
次に、省電力の内容を参照し、何れの機器が省電力レベルが小さいか判断する。この場合、プリントサーバ6の指示に基づく「消費電力の少ない省電力状態」と、ホストコンピュータ5の指示に基づく「電源切断」が比較され、より省電力レベルの小さい「消費電力の少ない省電力状態」が選択される。したがって、この場合プリンタ装置1は「消費電力の少ない省電力状態」の省電力状態に移行する。
さらに、例えば現在時刻が17:46:32である場合、以下の判断を行う。この場合、現在時刻に比較して管理期限が残っている機器は、図5に示すNo.6のホストコンピュータ5のみであり、従ってホストコンピュータ6の指示に基づく「電源切断」が選択され、以後プリンタ装置1を「電源切断」状態に移行する。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、ネットワークに接続されたホストコンピュータ2〜5、プリントサーバ6等のホスト機器は、自己の機器状態に基づく省電力状態移行指示を印刷装置に送信するだけで、以後プリンタ装置1が上記処理によって最適な省電力状態に設定するので、ホストコンピュータ側でプリンタ装置1の省電力状態の設定に関する情報収集や情報管理等の煩雑な処理を行う必要がない。
【0047】
また、このように構成することにより、ホストコンピュータ等のホスト機器がプリンタ装置1を使用する際、電源の再投入操作を大きく減らすことができる。
尚、上記実施形態の説明では、ホスト機器として図2に示す機器の例を説明したが、図2に示す機器に限定されるものではない。また、ホスト機器の省電力移行指示の状態も図5に示す管理テーブルの例を説明したが、図5に示す管理テーブルの状態に限定されるものではない。
管理期限及び指示動作開始時刻は「年月日 時分秒」の絶対形式としたが、当該印刷装置の起動時からの経過時間を用いても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・プリンタ装置
2〜5・・ホストコンピュータ
6・・・プリントサーバ
7・・・ウエッブサーバ
8・・・データサーバ
9・・・EEPROM
10・・プロセッサ
11・・オペレーションシステム
12・・ROM
13・・RAM
14・・アプリケーション
15・・プリンタドライバ
16・・キーボード制御部
17・・マウス制御部
18・・表示装置
19・・LANインターフェース
20・・LANボードインターフェース
21・・CPU
22・・ROM
23・・RAM
24・・パネル制御部
25・・バッファ
26・・解析部
27・・描画データ処理部
28・・イメージメモリ
29・・ビデオ制御部
30・・エンジン部
31・・エンジンコントローラ
32・・印字ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて記録媒体に印刷出力を行う印刷装置と、該印刷装置に前記印刷データを出力するホスト機器が接続された印刷システムにおいて、
前記ホスト機器は、
該ホスト機器の状態に従って複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示を出力する出力手段を有し、
前記印刷装置は、
前記ホスト機器から送信された省電力状態への移行指示の情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択手段と、
該選択手段によって選択された省電力状態に装置を設定する設定手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記ホスト機器の管理期限、又は前記省電力状態の省電力レベルに基づいて、前記1つの省電力状態の選択を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記ホスト機器から前記印刷装置への省電力状態の移行指示は、前記印刷装置の状態監視情報の通信メッセージと共に出力されることを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
印刷データを出力するホスト機器とネットワークを介して接続され、前記印刷データに従って記録媒体に印刷出力を行う印刷装置において、
前記ホスト機器から送信された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示の情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態の選択手段と、
該選択手段によって選択された省電力状態に装置を設定する設定手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記ホスト機器の管理期限、又は前記省電力状態の省電力レベルに基づいて、前記1つの省電力状態の選択を行うことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷データを出力するホスト機器とネットワークを介して接続され、前記印刷データに従って記録媒体に印刷出力を行う印刷装置の制御方法において、
前記ホスト機器から送信された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態への移行指示の情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、
該記憶手段に記憶された複数の省電力状態の中の1つの省電力状態を選択する選択処理と、
該選択処理によって選択された省電力状態に装置を設定する設定処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−3424(P2012−3424A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136502(P2010−136502)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】