印刷データ編集装置、印刷システム、印刷データ編集方法、およびプログラム
【課題】責了紙等による修正指示に基づく修正を確実に行えるとともに、該修正の内容を容易に確認できるレイアウト編集装置を提供する。
【解決手段】校正済プルーフをイメージスキャナによってスキャンし、修正指示データを取得する(ステップS1)。RIP展開データとの間で差分処理を行い、差分データを抽出する(ステップS2)。校正前印刷データと差分データとをレイヤー化する(ステップS3)。修正対象レイヤーを仮想的に格子状に分割し、複数のブロックを生成する(ステップS4)。レイヤー化データと領域分割データとを得たうえで、差分レイヤーに記述された修正指示に従って印刷データを修正する(ステップS5)。その際、修正に関係するブロックを関連付けて修正履歴データを記録する。これにより、ブロック単位の修正履歴の確認と再修正、および個々の修正処理単位の修正の採否の選択が可能となる。
【解決手段】校正済プルーフをイメージスキャナによってスキャンし、修正指示データを取得する(ステップS1)。RIP展開データとの間で差分処理を行い、差分データを抽出する(ステップS2)。校正前印刷データと差分データとをレイヤー化する(ステップS3)。修正対象レイヤーを仮想的に格子状に分割し、複数のブロックを生成する(ステップS4)。レイヤー化データと領域分割データとを得たうえで、差分レイヤーに記述された修正指示に従って印刷データを修正する(ステップS5)。その際、修正に関係するブロックを関連付けて修正履歴データを記録する。これにより、ブロック単位の修正履歴の確認と再修正、および個々の修正処理単位の修正の採否の選択が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルーフに記入された修正指示に基づく修正の実行に好適な印刷データ編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業者が、クライアントからの受注に応じて印刷物を作成する場合、本印刷に先立って、校正のための印刷物、いわゆるプルーフを作成し、クライアントによる校正を受けるのが一般的である。係る校正の結果、修正の必要がないと判断されれば、「校了」となって本印刷が行われることになるが、一般には、このように直ちに校了となる場合よりもむしろ、「責了(責任校了)」となる場合が多い。責了とは、修正の必要があるがこれが軽微である場合などに、印刷業者側が責任をもって修正し校了とすることを前提として、クライアントが校了とすることをいう。責了の場合、印刷業者の側で、クライアントからの修正指示が記された責了紙の内容を確認しつつ印刷データを修正し、修正結果の校正を行うことになる。
【0003】
係る場合の校正や、あるいはプルーフ作成時における校正などの作業支援を目的とする技術は、既に公知である(例えば特許文献1および特許文献2参照。)。
【0004】
また、修正前後の印刷データを比較して、その差分を表示するデジタル検版装置も公知である(例えば特許文献3および特許文献4参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−6975号公報
【特許文献2】特開平9−231390号公報
【特許文献3】特許2816091号公報
【特許文献4】特開平8−202014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
責了時の印刷物の校正においては、クライアントによって指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できることが重要である。さらには、修正がこれを満たさない場合に、再度の修正を容易に行えることが好ましいといえる。
【0007】
特許文献1に係る装置においては、初校時のレイアウトデータと、修正後の(再校時の)レイアウトデータとの差分データを生成させることが可能であるが、装置上で該差分データと校了紙の内容との比較や、あるいは校了紙に基づく修正を行うことはできない。
【0008】
特許文献2に開示された装置によれば、初校時のレイアウト画像と修正すべき箇所とをディスプレイ上に重ね合わせて表示させ、その表示内容に基づく修正を行うことは可能であるが、その修正が正しくなされたか否かを該装置において直接に確認することはできない。
【0009】
特許文献3に係る装置においては、初校時のレイアウト画像と、修正後の(再校時の)レイアウト画像との差分画像とこれに基づく修正指示を、ディスプレイ上に表示させることが可能であるが、修正そのものを行うことはできない。
【0010】
特許文献4に係る装置においては、初校時のレイアウト画像と、修正後の(再校時の)レイアウト画像と、あるいはこれらの差分画像とを、単独であるいは重ね合わせてディスプレイ上に表示させることが可能であるが、その表示内容に基づく修正を行うことはできない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、責了紙等による修正指示に基づく修正を確実に行えるとともに、該修正の内容を容易に確認できる印刷データ編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、を備え、前記編集処理手段は、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、前記履歴参照処理手段は、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷データ編集装置であって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷データ編集装置であって、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、印刷システムであって、a)紙媒体上の画像を光電的に読み取って読取画像データを生成する画像読取装置と、b)所定のデータ形式にて記述された出力用データに基づく出力を行う出力装置と、c)表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、c-1)前記印刷データを生成元として生成された前記出力用データと前記読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、c-2)前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、c-3)前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、c-4)前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、c-5)所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、を備える印刷データ編集装置と、を備え、前記編集処理手段は、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、前記履歴参照処理手段は、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の印刷システムであって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載の印刷システムであって、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷システムであって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項10の発明は、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の印刷システムであって、前記印刷データ編集装置が、c-6)前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11の発明は、表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う方法であって、前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理工程と、前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理工程と、前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理工程と、前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を所定の表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として行う編集処理工程と、所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理工程と、を備え、前記編集処理工程においては、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容が、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録され、前記履歴参照処理工程においては、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の印刷データ編集方法であって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項13の発明は、請求項11または請求項12に記載の印刷データ編集方法であって、前記領域分割処理工程においては、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0025】
また、請求項14の発明は、請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0026】
また、請求項15の発明は、請求項11ないし請求項14のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成工程、をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項16の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷データ編集装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1ないし請求項16の発明によれば、第1のレイヤーと第2のレイヤーを重ね合わせ表示した状態で、任意の箇所を履歴参照対象位置として指定すると、その箇所(を含む分割領域)についてなされた編集処理のみの履歴が表示されるので、その箇所についての第1のレイヤーの記述内容と、該履歴とを直接に対比することができ、その結果に応じて、第2のレイヤーを構成する印刷データに対し必要な編集処理をさらに加えることができる。
【0029】
特に、請求項2、請求項7、および請求項12の発明によれば、単位編集処理を単位として編集処理が管理されるとともに、任意の箇所における編集処理の履歴が参照可能とされているので、特定の箇所においてなされた特定の単位編集処理を選択することで、その箇所において以降になされた編集処理のみを選択的に取り消すことを容易に行うことができる。その際には、係る編集処理に関係がない箇所の処理内容を処理の先後に関係なく維持することができる。
【0030】
特に、請求項3、請求項8、および請求項13の発明によれば、編集処理の履歴を参照する際の参照単位となる分割領域の大きさを、印刷データによって得られる印刷物の内容に適したものとすることができ、履歴の参照を編集処理に際してより実効的なものとすることができる。
【0031】
特に、請求項4、請求項9、および請求項14の発明によれば、校正に際し校正用印刷物に記入された修正内容が差分データとして得られ、該修正内容と印刷データとを重ね合わせた状態で印刷データの修正を行うことができる。また、特定の箇所の修正内容を選択的に確認することができるので、校正時に指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できる。よって、校正時の修正指示を確実にかつ忠実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷データ編集装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。印刷システム100は、印刷データの作成から、校正、出力までの一連のワークフローを担うシステムである。印刷システム100は、印刷データ編集装置1と、印刷データ作成装置2と、イメージスキャナ3と、出力装置4とを主として備える。なお、図1においては、印刷データ編集装置1と印刷データ作成装置2とが、例えばLAN(Local Area Network)などのネットワークNを介して互いに電気的に接続されており、かつイメージスキャナ3と出力装置4とが通信線CLを解して印刷データ編集装置1と電気的に接続されている態様を示しているが、これは必須の態様ではない。これに代わり、イメージスキャナ3と出力装置4についても、ネットワークNに接続されていてもよい。また、各装置が独立に存在し、所定の記録媒体を用いることによって、各装置間におけるデータの授受がなされる態様であってもよい。
【0033】
印刷データ編集装置1は、印刷データ作成装置2において作成された印刷データに基づいて得られる印刷物の校正に用いるプルーフ(校正用印刷物)の出力を、出力装置4に行わせる装置であると共に、該校正の結果に基づいてオペレータが印刷データの修正を行える装置である。印刷データ編集装置1の詳細については後述する。
【0034】
印刷データ作成装置2は、印刷物における文字組版や画像配置等のレイアウト処理を行い、印刷データの作成を担う装置である。印刷データ作成装置2は、例えば、所定のレイアウトソフトウェアが読み込まれることにより係るレイアウト処理が実行可能とされたコンピュータによって実現される。
【0035】
印刷データ作成装置2によって作成された印刷データは、印刷データ編集装置1に受け渡され、必要であれば後述のようにRIP処理(ラスタライズ処理)されるなどしたうえで、プルーフの出力など、後段のワークフローに供される。なお、図1においては、3つの印刷データ作成装置2がネットワークNを介して印刷データ編集装置1に接続される態様を示しているが、これはあくまで例示であり、1つ、2つ、あるいは4つ以上の印刷データ作成装置2が接続される態様であってもよい。また、印刷データ作成装置2がRIP処理機能を備え、RIP処理済のRIP展開データが印刷データ作成装置2から印刷データ編集装置1へと受け渡される態様であってもよい。
【0036】
イメージスキャナ3は、紙媒体上の像を光電的に読み取って電子データ(画像データ)化する画像走査読取装置である。本実施の形態においては、主として、いったん出力された後、校正者(クライアントなど)によって校正記号等の修正指示が記入されたプルーフ(あるいは責了紙)の像を読み取って、読取画像データ(修正指示データ)を得るために用いる。イメージスキャナ3としては、必要な解像度の条件を満たすことを条件に、公知のスキャナを用いることができる。
【0037】
出力装置4は、所定のデータ形式の印刷データに基づいて、印刷物の出力を行う装置である。本実施の形態における出力装置4は、少なくともプルーフとしての使用に適う印刷物の出力を行えるものであれば、その種類は限定されず、印刷物の内容や校正の目的に応じて適宜に選択され、用いられてよい。例えば、インクジェットプリンタや熱転写プリンタ、あるいはレーザプリンタを用いる態様であっても良いし、実際に印刷物に近い網点化画像の出力が可能なハイエンドDDCP(Direct Digital Color Proofer)を用いる態様であってもよい。プルーフの出力に使用される出力装置4において出力処理可能なデータ形式のデータが、プルーフ出力用のデータとして印刷データ編集装置1から出力装置4に与えられることになる。出力装置4に対しては、通常、RIP処理により得られるRIP展開データが出力用のデータとして供されるが、出力装置4がRIP処理機能を有する場合であれば、RIP処理前の印刷データをそのまま出力処理に供することも可能である。なお、出力装置4としては、デジタルデータを用いて直接にプルーフの出力が行えるものが好ましいが、イメージセッタによっていったんフィルムを作成し、これを用いてケミカルプルーフやプルーフの出力を行う態様であってもよい。ただし、係る場合は、イメージセッタを含めて出力装置4と称することになる。また、本印刷用の高解像度の網点化画像を出力する出力装置が用いられてもよい。
【0038】
<印刷データ編集装置の構成>
印刷データ編集装置1は、コンピュータによって実現されるものである。すなわち、印刷データ編集装置1には、図1に示すように、オペレータが各種の指示を入力するためのマウスやキーボードなどからなる操作部11と、ディスプレイ等の表示部12と、ハードディスクなどにより構成され、該コンピュータを印刷データ編集装置1として機能させるためのプログラム13pなどを保存するための記憶部13と、DVD−RAM/RW、CD−RWなど種々の可搬性の記録媒体との間でデータのリード/ライトを行うメディアリーダ/ライタなどからなるR/W部14と、ネットワークN上の他の装置との間や、通信線CLを介しイメージスキャナ3や出力装置4との間でデータの受け渡しを行うためのインターフェースとしての通信部15と、CPU16a、ROM16b、およびRAM16cから構成され、後述する各機能を実現する制御部16とが主として備わっている。
【0039】
なお、印刷データ編集装置1においては、操作部11を通じた操作内容や、種々の処理についての処理状況などを表示部12にて表示させつつ処理を行うことができる、いわゆるGUI(Graphical User Interface)が、制御部16、操作部11、表示部12の機能により実現されている。制御部16に実現される後述する各部における処理も、このGUIを用いて行われる。
【0040】
図2は、印刷データ編集装置1の制御部16において実現される機能を説明するための図である。制御部16においては、記憶部13に記憶されている所定のプログラム13pが、CPU16a、ROM16b、およびRAM16cによって実行されることにより、入力処理部21と、RIP処理部22と、出力処理部23と、修正処理部24とが主として実現される。
【0041】
入力処理部21は、外部から印刷データ編集装置1へのデータの入力、およびイメージスキャナ3からの画像データの取得に係る処理を担う。入力処理部21は、データ入力部21とスキャナ制御部212とを主として備える。
【0042】
データ入力部211は、印刷データ編集装置1の外部からネットワークN経由でデータ入力を受ける際や、所定の記録媒体に記録されているデータをR/W部14において読み込む際、さらにはイメージスキャナ3から画像データを取得する際の、処理ダイアログあるいは処理メニューの生成や、操作部11を介したオペレータからの操作指示に従った所定の処理を担う。
【0043】
スキャナ制御部212は、操作部11を介し、データ入力部211の作用によりイメージスキャナ3において画像データ(修正指示データ)を取得する旨の実行指示がオペレータによってなされた場合に、該実行指示に応答して所定の解像度や走査範囲、走査速度などに従ってスキャンを行うよう、イメージスキャナ3の動作を制御する。
【0044】
RIP処理部22は、上述のように、印刷データ作成装置2から受け渡された印刷データを、出力装置4において出力処理可能なビットマップ形式のデータに変換するRIP処理を担う。RIP処理においては、出力装置4の出力解像度に応じたRIP展開データが生成される。通常は、300〜400dpi程度の出力解像度のRIP展開データが生成されるが、例えば、出力装置4がハイエンドDDCPなどの実際の印刷物と同等の網点形成が可能な装置である場合には、RIP展開データとして、2400dpi程度の高解像度の網点化画像データが出力される。RIP処理には、公知の技術を適用可能である。
【0045】
なお、上述のように、印刷データ作成装置2においてRIP処理がなされる態様や、出力装置4においてRIP処理がなされる態様も考えられるが、以降の説明においては、主として、印刷データ編集装置1において印刷データがRIP処理されてRIP展開データが得られ、該RIP展開データが出力装置4における出力処理に供される場合を例に説明する。
【0046】
出力処理部23は、出力装置4におけるプルーフの出力に必要な処理、あるいは、校正が完了することにより得られる本印刷用の印刷物データを外部に受け渡す処理を担う。出力処理部23は、データ出力部231と、出力装置制御部232とを、主として備える。
【0047】
データ出力部231は、印刷データ編集装置1の外部へネットワークN経由でデータを出力する際や、R/W部14において所定の記録媒体にデータを書き込む際、さらには出力装置4へ出力用のデータを送信する際の、処理ダイアログあるいは処理メニューの生成や、操作部11を介したオペレータからの操作指示に従った所定の処理を担う。
【0048】
出力装置制御部232は、操作部11を介し、データ出力部231の作用により出力装置4においてプルーフを出力する旨の実行指示がオペレータによってなされた場合に、該実行指示に応答して、出力装置4の種別に応じて作成された出力用のデータ(例えば、RIP展開データ)に基づいてプルーフを出力するよう、出力装置4の動作を制御する。
【0049】
修正処理部24は、プルーフに書き込まれた修正指示に従った印刷データの修正を実現するための処理を担う。本実施の形態においては、後述するように、プルーフに書き込まれた修正指示をイメージスキャナ3で読み取って画像データ化した後に、係る画像データ化された修正指示に従って修正処理を行える点で特徴的である。修正処理部24は、差分処理部241と、レイヤー化処理部242と、領域分割処理部243と、編集処理部244と、履歴参照処理部245とを、主として備える。
【0050】
差分処理部241は、修正指示が書き込まれた校正後のプルーフをイメージスキャナ3においてスキャンすることによって得られた画像データである修正指示データから、プルーフにおいてもともと表現されていた印刷物の内容(プルーフ出力用のデータによって表現される印刷像)を差し引いて、書き込まれた修正指示だけを画像データ(これを差分データと称する)として抽出する差分処理を担う。差分処理においては、修正指示データと、プルーフ出力用のデータ(ここではRIP展開データ)との間で、各画素ごとの色濃度値の差分演算が行われ、差分データが生成される。
【0051】
レイヤー化処理部242は、差分処理部241によって得られた差分データと、プルーフ出力の対象となったデータ、つまりは、修正処理の対象となる印刷データとが、それぞれレイヤーをなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理を担う。レイヤー化データにおいては、差分データによって形成されるレイヤーを差分レイヤーと称し、印刷データによって形成されるレイヤーを修正対象レイヤーと称することとする。
【0052】
領域分割処理部243は、印刷物を格子状に分割した状態を、その印刷物を表現する修正対象レイヤー(実体は印刷データである)について仮想的に実現する領域分割処理を担う。なお、分割によって得られる各分割領域を、ブロックと称することとする。
【0053】
編集処理部244は、オペレータが印刷データの内容を変更する編集処理を担う。係る編集処理が、本実施の形態において印刷データに対し施される修正処理の実質的な内容である。本実施の形態においては、特に、レイヤー化データの修正対象レイヤーに対する修正処理を、該レイヤー化データにおいてこれに重ね合わされている差分レイヤーに記述された修正指示に従って行う点で特徴的である。なお、新規に印刷データを作成することが可能であってもよく、この場合、編集処理部244は、印刷データ作成装置2と同様の機能を担うことになる。
【0054】
修正対象レイヤーに対して何らかの修正処理がなされると、修正処理の内容を反映したテンポラリデータが生成される。テンポラリデータは、新たな修正処理がなされるたびに更新される。オペレータが操作部11を介して、編集処理の内容を確定するための指示入力を行うと、その時点における最新のテンポラリデータが反映された修正済み印刷データが生成される。
【0055】
また、修正処理がなされると、編集処理部244の作用により、修正履歴データが併せて生成される。修正履歴データには、何らかの修正処理がなされるたびに、その処理内容が追記される。その際には、修正処理がどのブロックに関連する処理であったかを示す関連ブロック情報が、修正処理内容と併せて記述される。
【0056】
履歴参照処理部245は、修正処理が行われている場合に、印刷物のどの箇所にどのような修正がなされたのかを、ブロック単位で参照可能とする履歴参照処理を担う。
【0057】
<プルーフの出力>
次に、本実施の形態に係る印刷システム100においてなされるプルーフの出力について説明する。図3は、プルーフの出力の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【0058】
上述したように、印刷データ作成装置2において印刷データが作成されると、例えばネットワークNを介して、校正前印刷データD1として印刷データ編集装置1へと受け渡される。図3に示すように、校正前印刷データD1は、印刷データ編集装置1のデータ入力部211の作用により取得され、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。
【0059】
その後、オペレータにより操作部11を通じてRIP処理の実行指示がなされると、RIP処理部22が、校正前印刷データD1をラスタライズして、出力装置4における出力に適した解像度のラスターデータであるRIP展開データD2を生成する。RIP展開データD2は、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。オペレータにより操作部11を通じてプルーフ出力の実行指示がなされると、RIP展開データD2は、データ出力部231の作用により通信線CLを通じて出力装置4に送信される。
【0060】
出力装置4は、受け取ったRIP展開データD2に基づいて、プルーフの出力を実行する。出力装置4の動作は、出力装置制御部232によって制御される。出力されたプルーフは、校正者による校正作業に供されることとなる。
【0061】
なお、出力装置4がRIP処理機能を備える場合は、RIP処理部22におけるRIP処理を行うことなく、出力装置4へ校正前印刷データD1を直接に送信する態様となる。係る場合、プルーフの出力に際しては、印刷データ編集装置1を経ることなく、印刷データ作成装置2から出力装置4へと直接に校正前印刷データD1が受け渡される態様であってもよい。ただし、後述する修正処理を行うためには、校正前印刷データD1は印刷データ編集装置1に与えられている必要がある。
【0062】
プルーフを用いた校正作業においては、レイアウトされた文字、画像などの配置や体裁、色再現性などに誤りがないか、印刷データ作成時に意図したものと合致するか、などが校正者によって確認される。そして、必要に応じ、修正指示が校正者の手でプルーフ上に直接に記入される。修正指示は、所定の校正記号などを用い、通常は赤字で記入される。
【0063】
<修正処理>
次に、本実施の形態に係る印刷データ編集装置1においてなされる、プルーフに記入された修正指示に基づく印刷データの修正処理について説明する。図4は、修正処理の流れを示す図である。図5は、修正処理の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。図6は、そのうちの一部のデータについて例示する図である。
【0064】
まず、オペレータが修正指示が記入されたプルーフをイメージスキャナ3によってスキャンし、プルーフの画像データを修正指示データD3として取得する(ステップS1)。修正指示データD3は、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。イメージスキャナ3の動作は、スキャナ制御部212によって制御される。図6(a)を校正前印刷データD1によって表現されるレイアウト像の一例とすると、修正指示データD3は、図6(b)のように、修正指示を含んだ画像データとして得られる。図6(b)においては、2つの修正指示C1、C2が与えられている場合を示している。修正指示C1は、背景(バック)の色を「青」色とすることを内容とする指示である。ただし、ここでは簡単のため、単に「青」色とする修正指示であるとするが、実際には、より厳密な色指定、例えばCMYK表色系に基づく色指定がなされることが好ましい。いま、修正指示C1における色指定が、C:100%、M:50%、Y0%、K:30%であるとする。修正指示C2は、文字のサイズを「18pt(ポイント)」に変更することを内容とする指示である。なお、修正指示データD3は、ビットマップ形式のデータとして取得されるが、プルーフを出力する際に用いたRIP展開データD2の解像度と同程度の解像度か、あるいはそれよりも高い解像度にて取得されるのが好ましい。
【0065】
修正指示データD3が得られると、差分処理部241の作用により、修正指示データD3とRIP展開データD2との間で差分処理が実行され、差分データD4が抽出される(ステップS2)。図6(c)は、差分データD4を例示する図である。差分データD4は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。なお、差分処理においては、画素単位で差分演算が実行されるので、修正指示データD3とRIP展開データD2との解像度は同程度であることが好ましい。ただし、仮に両者の解像度が異なっていたとしても、一方のデータに解像度変換を行ったうえで差分処理を行えば、問題が生じない場合もある。
【0066】
差分データD4が得られると、レイヤー化処理部242の作用により、校正前印刷データD1と差分データD4とを一のデータにおいてレイヤー化するレイヤー化処理が実行される(ステップS3)。レイヤー化処理によって、図6(d)に示すように、差分データD4に由来する差分レイヤーL1と校正前印刷データD1に由来する修正対象レイヤーL2とがレイヤー構造をなすレイヤー化データD5が生成される。レイヤー化データD5は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。レイヤー化処理においては、校正前印刷データD1における各オブジェクトの配置位置が、ビットマップ形式のデータである差分データD4を記述する座標系と関連付けられて記述される。レイヤー化処理がなされると、レイヤー化データD5に基づいて、図6(e)に示すように両レイヤーが重ね合わさった像が視認可能とされる。すなわち、レイヤー化処理によって、プルーフにおいて所定の修正対象箇所に対し修正指示が書き込まれている状態と同じ状態が、表示部12に表示される。なお、修正対象レイヤーL2をRIP展開データD2によって構成する態様であってもよいが、この場合はさらに、校正前印刷データD1における各オブジェクトの配置位置が、ビットマップ形式のデータであるRIP展開データD2を記述する座標系とあらかじめ関連付けられている必要がある。
【0067】
なお、レイヤー化データD5と修正指示データD3とは、表示部12上で視認する限りにおいては、略同一の像を表すように見受けられる(図6(b)(e)参照)が、レイヤー構造をなすか否かで相違する。また、表示部12におけるレイヤー化データD5の表示態様としては、図6(e)に示すような両レイヤーが重ね合わされた状態と、差分レイヤーL1のみが表示される状態と、修正対象レイヤーL2のみが表示される態様とが、容易に切替可能とされる態様が好ましい。
【0068】
レイヤー化処理がなされると、次に、領域分割処理部243の作用により、修正対象レイヤーL2(校正前印刷データD1)に対して、領域分割処理がなされる。これにより、修正対象レイヤーL2が仮想的に格子状に分割され、複数のブロックが生成される(ステップS4)。領域分割処理部243は、所定のダイアログを表示部12に表示させることによって、領域分割を行うにあたっての縦方向および横方向のブロックの個数M,Nの入力を、オペレータに対して要求する(M、Nは自然数)。
【0069】
オペレータが操作部11を通じて任意の自然数値を個数M、Nの値として入力すると、領域分割処理部243はこれに応答し、入力された値に従って、領域分割データD6を生成する。領域分割データD6は、修正対象レイヤーL2におけるブロックを定義するデータである。領域分割データD6は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。図7は、修正対象レイヤーL2を対象として、領域分割処理を行う場合の例を示す図である。図7においては、左上端から数えて、縦方向にm番目、横方向にn番目のブロックのブロック数を(m,n)と記述するものとし、さらに、M=12、N=10とした場合を例示する。領域分割処理は、図7に示すような複数本の分割ラインdlを仮想的に設定する処理であるといえる。
【0070】
個数M、Nの値は、ブロックの大きさを規定する数となるが、本実施の形態においては、ブロックが修正の履歴を参照する際の参照単位となることから、個数M、Nの値は、かかる履歴の参照に際して実用的なブロックが生成されるように、印刷物の内容に応じて設定することが好ましい。例えば、細かい文字や図形などが多く、修正指示が微小な領域を単位としてなされていることが多い場合には、M、Nに比較的大きな値を設定して、ブロックの大きさを小さくすることが好ましいが、反対に、大きな文字や図形などが多い場合には、M、Nに比較的小さな値を設定して大きなブロックを得るようにしてもよい。
【0071】
なお、図7においては説明の都合上、縦横の分割ラインdlを図示しているが、実際の修正対象レイヤーL2に係る分割ラインdlが書き込まれるわけではなく、これに代わり、修正対象レイヤーL2が規定される座標平面においてこのような分割ラインdlが通る位置が、ブロック数(m,n)の値と関連付けて領域分割データD6に記述される。すなわち、修正対象レイヤーL2と領域分割データD6とを参照することで、ブロック数(m,n)のブロックが、修正対象レイヤーL2においてどの位置に相当するかが判別される。
【0072】
ちなみに、領域分割処理を、差分データの生成に先立って、校正前印刷データD1を対象に行い、同様に領域分割データD6を得る態様であってもよい。
【0073】
レイヤー化データD5と領域分割データD6とが得られると、修正対象レイヤーL2の内容をプルーフに記述された修正指示に従って修正する、オペレータによる修正処理が可能となる(ステップS5)。修正処理は、編集処理部244の作用により編集可能とされた修正対象レイヤーL2に対して、オペレータが修正指示に基づく修正作業(編集作業)を行うことで実現される。係る作業は、印刷データ作成装置2によるレイアウト時に行われる作業と基本的には同様で、表示部12に表示されたレイヤー化データD5が表現するレイアウト像において、オブジェクトの配置や削除、変更などをGUIを介して行い、修正対象レイヤーL2に係る記述内容を適宜に編集することで実現される。何らかの修正処理がなされると、これを反映した修正対象レイヤーL2の状態を表現するテンポラリデータD7が生成される。テンポラリデータD7は、RAM16cに記憶され、修正がなされるたびに更新される。すなわち、修正処理の間においては、テンポラリデータD7が、修正対象レイヤーL2を表現することとなる。
【0074】
ただし、本実施の形態においては、図6(e)に示すように修正対象レイヤーL2の上に、修正指示が画像データ化された差分レイヤーL1が重ね合わされており、これにより、プルーフにおいて所定の修正対象箇所に関する修正指示が書き込まれた状態が、表示部12において同様に表現されている。そこで、オペレータは、その修正指示を表示部12において確認しつつ、修正対象レイヤーL2の対象箇所について、その修正指示に従った修正指示を行うことができる。これにより、校正結果に基づく修正を、確実に行うことができる。図8は、図6(e)に示すレイヤー化データD5に対して、修正指示C1、C2に基づく修正指示を行った後のテンポラリデータD7が表現するレイアウト像を示す図である。なお、実際のレイアウト像において係る図8に示すような分割ラインdlが書き込まれるわけではないことは、上述の場合と同様である。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、何らかの修正処理を行うと、編集処理部244の作用によって、修正履歴データD8が生成される。図9は、修正履歴データD8のデータ構成単位となる単位修正データD8Sを例示的に説明するための図である。単位修正データD8Sは、例えば、図9(a)に示すように、個々の修正処理を識別するための修正IDが記述される修正ID領域R1と、修正の対象となるオブジェクトの描画情報が記述されるオブジェクト描画情報領域R2と、その修正が関連するブロックを示す関連ブロック情報が記述される関連ブロック情報領域R3と、その修正が結果的に採用されるか否かを示す採否フラグが記述される採否フラグ領域R4とから構成される。
【0076】
ここで、オブジェクト描画情報としては、例えば、その修正処理がオブジェクトを新たに追加する処理であるのか、あるいは既に配置されているオブジェクトを削除する処理のかを示す処理情報や、対象となるオブジェクトが文字なのか、画像なのか、あるいは線画なのかなどを識別する種別情報や、対象となるオブジェクトを規定する情報、例えばオブジェクトが図形ならば形状や大きさ、色などを規定する情報であり、文字ならばフォントの種類やサイズ、さらには記述される文章などを規定する情報である記述情報などが該当する。また、関連ブロック情報領域R3には、個々の修正処理の記述情報の、特にサイズに係る情報に基づいて、修正に係るオブジェクトが配置される(あるいは配置されていた)ブロックのブロック数が記述される。採否フラグ領域R4には、それぞれの修正処理を反映させる場合には「1」が、取り消す場合には「0」が記述される。
【0077】
修正対象レイヤーL2に対してオペレータによって何らかの修正処理がなされるたびに、修正履歴データD8には、その修正処理の内容が、単位修正データD8Sとして逐次に記述される。すなわち、修正履歴データD8は、単位修正データD8Sの集合した形式のデータとして記述される。図9(b)は、修正対象レイヤーL2に対して、修正指示C1、C2(図6参照)に従った修正を行った結果として、図8に示すレイアウト像の状態が実現された場合の修正履歴データD8を例示する図である。図9(b)によれば、係る修正は、3つの修正処理がなされることで実現されていることになる。修正処理は、修正IDの小さいものから順になされているので、図9(b)に例示する修正履歴データD8においては、塗りつぶしオブジェクトOBJ1(図8)の追加処理が、修正IDが「1」の単位修正データD81に係る修正処理であったことになる。これは、背景(バック)の色を青とする旨の修正指示C1に従ってなされた修正処理に相当する。なお、オブジェクト描画情報領域R2には、実際には、オブジェクトが記述されるデータ形式やオブジェクトの定義に従った具体的な内容が記述されるが、煩雑を避けるため、ここではその記述を省略する。
【0078】
続けて、修正IDが「2」、「3」の単位修正データD82、D83に係る修正処理がなされているが、これらは、文字のサイズを18pt(ポイント)に変更する旨の修正指示C2に従ってなされた修正処理であり、もともと配置されている文字オブジェクトOBJ0(図7)をいったん削除(単位修正データD82に係る修正処理)した上で、18ptの文字オブジェクトOBJ2(図8)を配置する(単位修正データD83に係る修正処理)ことで、係る修正指示C2に沿った修正が実現された場合が示されている。なお、関連ブロック情報領域R3には、それぞれの修正処理が関係するブロックのブロック数(m,n)が記述されているが、単位修正データD82に係る修正処理のように、オブジェクトを削除する場合には、削除前にオブジェクトが配置されていたブロックのブロック数(m,n)が記述されることになる。
【0079】
あるいは、もともとの文字オブジェクトOBJ0に対して直接にフォントサイズを変更する態様の修正処理がなされてもよく、係る場合は、その修正処理の内容が単位修正データとして記述された修正履歴データが生成されることになる。
【0080】
図10は、図8に示す、上記の修正処理がなされた後のテンポラリデータD7に基づくレイヤー化データD5’の表示部12におけるレイアウト像を例示する図である。図10に示すように、レイヤー化データD5’においては差分レイヤーL1と修正対象レイヤーL2(この場合はテンポラリデータD7によって表現される)とが重ね合わされているので、修正指示C1、C2に従って修正処理がなされていること、および、処理がなされていない修正指示が残っていないことが、オペレータによって視認されることになる。
【0081】
オペレータは、修正指示に従って全ての修正処理が正しくなされたものと判断すると、操作部11を通じて所定の操作指示を行い、修正処理の内容が確定させる。具体的には、最新のテンポラリデータD7の内容が修正済み印刷データD9とされる。この修正済み印刷データD9は、記憶部13やRAM16cなどに記憶され、所定の指示に応じて本印刷用のRIP処理に供される(ステップS6)。
【0082】
以上、説明したように、本実施の形態においては、プルーフに記入されていた修正指示とプルーフ出力用の印刷データが表現する印刷像とがレイヤー化データD5において重ね合わされており、オペレータはこれらを表示部12において視認しつつ、印刷データに対し校正結果に基づく修正処理を行えるので、修正漏れを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係る印刷データ編集装置によれば、校正時の修正指示を確実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【0083】
<修正履歴の参照と再修正>
本実施の形態に係る印刷データ編集装置1においては、上述の態様に加えて、履歴参照処理部245の作用によって、ある箇所についてどのような修正がなされたのかを、すなわち印刷像における任意の場所についての修正履歴を、容易に確認することができる点で特徴的である。以下、図11に示すように、レイヤー化データD5’が表現するレイアウト像(図10に示した像と同じ)におけるポイントP1、P2を対象として、修正履歴を参照する場合について説明する。
【0084】
図4のステップS5における修正処理の途中、修正対象レイヤーL2(テンポラリデータD7)のレイアウト像が表示されている状態で、オペレータが操作部11を操作することによって(例えば、図示しないマウスでクリックするなどしてポイントアウトする等の態様により)上述のポイントP1あるいはP2を指定すると、履歴参照処理部245は、これらのポイントが、どのブロックに該当するかを判断する。ポイントP1の場合は(4,4)なるブロック数のブロックに該当し、ポイントP2の場合は(9,6)なるブロック数のブロックに該当することになる。
【0085】
該当するブロックが特定されると、修正履歴データD8においてそのブロック数が関連ブロック情報領域R3に含まれる修正処理が特定され(図9参照)、その結果に基づいて、修正履歴表示がなされる。図12は、修正履歴表示の一例として、表示部12に表示される修正履歴表示ウィンドウW1およびW2を例示する図である。
【0086】
ポイントP1と対応するブロック数(4,4)のブロックについては、単位修正データD81に係る修正処理、すなわち、背景(バック)の色を青とする内容の修正処理のみがなされている(図9波線部分)ので、オペレータによってポイントP1が指定されると、これに応答して、図12(a)に示すような修正履歴表示ウィンドウW1が表示部12に表示されることになる。具体的には、修正履歴表示ウィンドウW1において履歴項目I11として示すように、塗りつぶしオブジェクトOBJ1が追加されたことが、オブジェクトの内容とともに、所定のフォーマットに従って具体的に表示される。また、係る場合、引き続いてなされている単位修正データD82、D83に係る修正処理については、ブロック数(4,4)のブロックには関係しないことから、履歴としては表示されない。
【0087】
一方、ポイントP2と対応するブロック数(9,6)のブロックについては、単位修正データD82に係る修正処理および単位修正データD83に係る修正処理がなされている(図9二重波線部分)ので、オペレータによってポイントP2が指定されると、これに応答して、図12(b)に示すような修正履歴表示ウィンドウW2が表示部12に表示されることになる。具体的には、修正履歴表示ウィンドウW2においては、履歴項目I21に示すように文字オブジェクトOBJ0が削除されたこと、および、係る削除の後に、履歴項目I22に示すように文字オブジェクトOBJ2が追加されたことが、オブジェクトの内容とともに、所定のフォーマットに従って表示される。また、係る場合、先んじてなされている単位修正データD81に係る修正処理については、ブロック数(9,6)のブロックには関係しないことから、履歴としては表示されない。
【0088】
このように、本実施の形態においては、履歴参照処理部245の作用によって、修正対象レイヤーL2に基づくレイアウト像が表示されている状態で、該レイアウト像の任意の箇所を指し示すことにより、その箇所(を含むブロック)についてなされた修正処理のみの履歴を、修正処理がなされた順に表示部12に表示させることができる。なお、履歴常時の態様は、上述の場合に限定されず、例えば、ある位置が修正履歴を参照するポイントとして指定されると、該ポイントが含まれるブロックの近傍に、そのブロックに関する修正履歴が、いわゆる「吹き出し」のような表示形式で表示されるなどの態様であってもよい。
【0089】
ここで、対比のため、修正指示に沿った修正処理がなされず、誤った修正処理がなされてしまった場合について説明する。図13は、その例として、修正指示C2に基づく修正処理は正しくなされているものの、修正指示C1に基づく修正処理として、図8に示された正しい塗りつぶしオブジェクトOBJ1ではなく、誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合のレイヤー化データD51に基づくレイアウト像を示す図である。図13において、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’は「青緑」色のオブジェクトであるとする。ただし、ここでは簡単のため、「青緑」色として説明するが、実際には、より厳密な色指定、例えばCMYK表色系に基づく色指定がなされることが好ましい。いま、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’においては、「青緑」色としてC:100%、M:50%、Y50%、K:30%なる色指定がなされているとする。また、図14は、この場合に、上述の場合と同様に生成される修正履歴データD8’を示す図であり、図15は、図11と同一のポイントP1についての修正履歴表示ウィンドウW1’を示す図である。
【0090】
オペレータが、修正処理の内容を確認すべくポイントP1を指定すると、修正履歴表示ウィンドウW1’が表示されて、ポイントP1においてなされている修正処理が、単位修正データD81’に関係する背景を青緑色(C:100%、M:50%、Y50%、K:30%)とする塗りつぶしオブジェクトの追加処理であることが、オペレータに示されることになる。差分レイヤーL1には修正指示C1の内容が記述されているので、オペレータは、差分レイヤーL1と修正履歴表示ウィンドウW1’の記述内容を比較対照することで、ポイントP1の近傍でなされている修正処理が、修正指示C1に沿ったものであるか否かを容易に確認することができる。いま、実際には、修正指示C1が要求している背景を青色(C:100%、M:50%、Y0%、K:30%)とする修正処理ではなく、Y成分の色濃度が相違する色による塗りつぶしオブジェクトの配置であるので、このことがオペレータによって認識されると、これを正しく修正し直す再修正が施されることになる。
【0091】
係る再修正には、いくつかの方法があるが、例えば、いったん追加した塗りつぶしオブジェクトOBJ1’を削除して正しい塗りつぶしオブジェクトOBJ1を配置することによって再修正を図る場合、つまりは、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’の追加を取り止めて塗りつぶしオブジェクトOBJ1を配置することによって再修正する場合を考える。係る場合、操作部11を介して修正履歴表示ウィンドウW1’の履歴項目I11’を選択し、所定の操作によってこの修正を取りやめた上で、新たな修正処理を実行することになる。
【0092】
この場合の修正履歴データD8''は、図16のようになる。すなわち、単位修正データD81’(図14)に係る修正処理によるオブジェクトの追加を取り消すことになるので、操作部11を通じたオペレータによる削除指示がなされると、編集処理部244の作用により、単位修正データD81’の採否フラグ領域R4には、それまでの「1」(図14参照)に代わり「0」が記入される。そして、オペレータによる操作部11を介した追加指示によって新たに塗りつぶしオブジェクトOBJ1を追加する処理が、編集処理部244の作用に基づいてなされる際に、修正IDとして「4」が付された新たな単位修正データD84’が追加されることになる。修正指示C1に従った修正処理が行われる場合、係る単位修正データD84’の記述内容は、単位修正データD81の内容と同じものとなる。図17は、単位修正データD81’の採否フラグ領域R4に「0」が記述された際のレイヤー化データD52によるレイアウト像を示す図である。図17に示すように、修正指示C1に基づく修正処理の後になされた修正指示C2に基づく修正処理の内容には一切無関係に、必要な箇所だけの再修正が行える。
【0093】
また、図12(b)に示されたポイントP2(図11参照)についての修正履歴表示ウィンドウW2に係る修正処理、すなわち修正指示C2に基づく修正処理のうち、履歴項目I21に基づく修正処理、すなわち単位修正データD82に基づく修正処理を取り消すよう、操作部11を介して指示がなされたような場合は、それ以降になされた修正処理をそのまま有効であるとすると、修正処理後の状態に整合がとれないため、ポイントP2が属するブロック数(9,6)のブロックが関係する修正処理であって、単位修正データD82に基づく修正処理よりも後にされた修正処理、換言すれば大きな修正IDが付与された修正処理についても、併せて取りやめられることになる。これは、修正履歴データD8の関連ブロック情報領域R3において、ブロック数(9,6)が記述されている単位修正データを抽出し、該当する単位修正データの採否フラグを「0」とすることで実現される。図18は、係る場合のレイヤー化データD53に基づくレイアウト像を示す図である。
【0094】
なお、操作部11を介して所定の操作指示を行うことで、いったん取り消した修正を再度有効なものとすることも可能である。この場合、対応する単位修正データにおける採否フラグ領域R4には再度「1」と記述されることになる。
【0095】
すなわち、本実施の形態においては、修正履歴データD8によって個々の修正処理が管理されるとともに、任意の箇所における修正履歴が参照可能とされているので、不具合があると判断された場所においてなされた修正処理だけを取りやめたり、再度修正し直したりすることが、容易に行える。そして、その際には、係る再修正に関係がない箇所の修正内容は修正処理の先後に関係なく維持されることになる。
【0096】
以上より、本実施の形態においては、ブロック単位の修正履歴の確認と再修正に加え、個々の修正処理を単位として、修正の採否の選択が可能となる。これにより、クライアントによって指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できる。よって、校正時の修正指示を確実にかつ忠実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷データ編集装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。
【図2】印刷データ編集装置1の制御部16において実現される機能を説明するための図である。
【図3】プルーフの出力の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【図4】修正処理の流れを示す図である。
【図5】修正処理の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【図6】修正処理の過程で用いられるデータの一部について例示する図である。
【図7】修正対象レイヤーL2を対象として、領域分割処理を行う場合の例を示す図である。
【図8】レイヤー化データD5に対して、修正指示C1、C2に基づく修正指示を行った後のテンポラリデータD7が表現するレイアウト像を示す図である。
【図9】修正履歴データD8のデータ構成単位となる単位修正データD8Sを例示的に説明するための図である。
【図10】図8に示す修正処理後のレイヤー化データD5’のレイアウト像を例示する図である。
【図11】修正履歴を参照するポイントP1、P2を示す図である。
【図12】修正履歴表示の一例として、表示部12に表示される修正履歴表示ウィンドウW1およびW2を例示する図である。
【図13】修正指示C1に基づく修正処理として、誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合のレイヤー化データD51に基づくレイアウト像を示す図である。
【図14】誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合の修正履歴データD8’を示す図である。
【図15】誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合の、図11と同一のポイントP1についての修正履歴表示ウィンドウW1’を示す図である。
【図16】再修正の場合の修正履歴データD8''を示す図である。
【図17】単位修正データD81’の採否フラグ領域R4に「0」が記述された際のレイヤー化データD52によるレイアウト像を示す図である。
【図18】履歴項目I21に基づく修正処理が取り消された場合のレイヤー化データD53に基づくレイアウト像を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷データ編集装置
2 印刷データ作成装置
3 イメージスキャナ
4 出力装置
100 印刷システム
C1、C2 (データ化された)修正指示
OBJ0、OBJ2 文字オブジェクト
OBJ1、OBJ1’ 塗りつぶしオブジェクト
P1、P2 (修正履歴の参照)ポイント
W1、W2 修正履歴表示ウィンドウ
dl (ブロックの)分割ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルーフに記入された修正指示に基づく修正の実行に好適な印刷データ編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業者が、クライアントからの受注に応じて印刷物を作成する場合、本印刷に先立って、校正のための印刷物、いわゆるプルーフを作成し、クライアントによる校正を受けるのが一般的である。係る校正の結果、修正の必要がないと判断されれば、「校了」となって本印刷が行われることになるが、一般には、このように直ちに校了となる場合よりもむしろ、「責了(責任校了)」となる場合が多い。責了とは、修正の必要があるがこれが軽微である場合などに、印刷業者側が責任をもって修正し校了とすることを前提として、クライアントが校了とすることをいう。責了の場合、印刷業者の側で、クライアントからの修正指示が記された責了紙の内容を確認しつつ印刷データを修正し、修正結果の校正を行うことになる。
【0003】
係る場合の校正や、あるいはプルーフ作成時における校正などの作業支援を目的とする技術は、既に公知である(例えば特許文献1および特許文献2参照。)。
【0004】
また、修正前後の印刷データを比較して、その差分を表示するデジタル検版装置も公知である(例えば特許文献3および特許文献4参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−6975号公報
【特許文献2】特開平9−231390号公報
【特許文献3】特許2816091号公報
【特許文献4】特開平8−202014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
責了時の印刷物の校正においては、クライアントによって指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できることが重要である。さらには、修正がこれを満たさない場合に、再度の修正を容易に行えることが好ましいといえる。
【0007】
特許文献1に係る装置においては、初校時のレイアウトデータと、修正後の(再校時の)レイアウトデータとの差分データを生成させることが可能であるが、装置上で該差分データと校了紙の内容との比較や、あるいは校了紙に基づく修正を行うことはできない。
【0008】
特許文献2に開示された装置によれば、初校時のレイアウト画像と修正すべき箇所とをディスプレイ上に重ね合わせて表示させ、その表示内容に基づく修正を行うことは可能であるが、その修正が正しくなされたか否かを該装置において直接に確認することはできない。
【0009】
特許文献3に係る装置においては、初校時のレイアウト画像と、修正後の(再校時の)レイアウト画像との差分画像とこれに基づく修正指示を、ディスプレイ上に表示させることが可能であるが、修正そのものを行うことはできない。
【0010】
特許文献4に係る装置においては、初校時のレイアウト画像と、修正後の(再校時の)レイアウト画像と、あるいはこれらの差分画像とを、単独であるいは重ね合わせてディスプレイ上に表示させることが可能であるが、その表示内容に基づく修正を行うことはできない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、責了紙等による修正指示に基づく修正を確実に行えるとともに、該修正の内容を容易に確認できる印刷データ編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、を備え、前記編集処理手段は、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、前記履歴参照処理手段は、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷データ編集装置であって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷データ編集装置であって、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、印刷システムであって、a)紙媒体上の画像を光電的に読み取って読取画像データを生成する画像読取装置と、b)所定のデータ形式にて記述された出力用データに基づく出力を行う出力装置と、c)表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、c-1)前記印刷データを生成元として生成された前記出力用データと前記読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、c-2)前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、c-3)前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、c-4)前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、c-5)所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、を備える印刷データ編集装置と、を備え、前記編集処理手段は、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、前記履歴参照処理手段は、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の印刷システムであって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載の印刷システムであって、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷システムであって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項10の発明は、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の印刷システムであって、前記印刷データ編集装置が、c-6)前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11の発明は、表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う方法であって、前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理工程と、前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理工程と、前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理工程と、前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を所定の表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として行う編集処理工程と、所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理工程と、を備え、前記編集処理工程においては、前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容が、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録され、前記履歴参照処理工程においては、任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の印刷データ編集方法であって、一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項13の発明は、請求項11または請求項12に記載の印刷データ編集方法であって、前記領域分割処理工程においては、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする。
【0025】
また、請求項14の発明は、請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする。
【0026】
また、請求項15の発明は、請求項11ないし請求項14のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成工程、をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項16の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷データ編集装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1ないし請求項16の発明によれば、第1のレイヤーと第2のレイヤーを重ね合わせ表示した状態で、任意の箇所を履歴参照対象位置として指定すると、その箇所(を含む分割領域)についてなされた編集処理のみの履歴が表示されるので、その箇所についての第1のレイヤーの記述内容と、該履歴とを直接に対比することができ、その結果に応じて、第2のレイヤーを構成する印刷データに対し必要な編集処理をさらに加えることができる。
【0029】
特に、請求項2、請求項7、および請求項12の発明によれば、単位編集処理を単位として編集処理が管理されるとともに、任意の箇所における編集処理の履歴が参照可能とされているので、特定の箇所においてなされた特定の単位編集処理を選択することで、その箇所において以降になされた編集処理のみを選択的に取り消すことを容易に行うことができる。その際には、係る編集処理に関係がない箇所の処理内容を処理の先後に関係なく維持することができる。
【0030】
特に、請求項3、請求項8、および請求項13の発明によれば、編集処理の履歴を参照する際の参照単位となる分割領域の大きさを、印刷データによって得られる印刷物の内容に適したものとすることができ、履歴の参照を編集処理に際してより実効的なものとすることができる。
【0031】
特に、請求項4、請求項9、および請求項14の発明によれば、校正に際し校正用印刷物に記入された修正内容が差分データとして得られ、該修正内容と印刷データとを重ね合わせた状態で印刷データの修正を行うことができる。また、特定の箇所の修正内容を選択的に確認することができるので、校正時に指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できる。よって、校正時の修正指示を確実にかつ忠実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷データ編集装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。印刷システム100は、印刷データの作成から、校正、出力までの一連のワークフローを担うシステムである。印刷システム100は、印刷データ編集装置1と、印刷データ作成装置2と、イメージスキャナ3と、出力装置4とを主として備える。なお、図1においては、印刷データ編集装置1と印刷データ作成装置2とが、例えばLAN(Local Area Network)などのネットワークNを介して互いに電気的に接続されており、かつイメージスキャナ3と出力装置4とが通信線CLを解して印刷データ編集装置1と電気的に接続されている態様を示しているが、これは必須の態様ではない。これに代わり、イメージスキャナ3と出力装置4についても、ネットワークNに接続されていてもよい。また、各装置が独立に存在し、所定の記録媒体を用いることによって、各装置間におけるデータの授受がなされる態様であってもよい。
【0033】
印刷データ編集装置1は、印刷データ作成装置2において作成された印刷データに基づいて得られる印刷物の校正に用いるプルーフ(校正用印刷物)の出力を、出力装置4に行わせる装置であると共に、該校正の結果に基づいてオペレータが印刷データの修正を行える装置である。印刷データ編集装置1の詳細については後述する。
【0034】
印刷データ作成装置2は、印刷物における文字組版や画像配置等のレイアウト処理を行い、印刷データの作成を担う装置である。印刷データ作成装置2は、例えば、所定のレイアウトソフトウェアが読み込まれることにより係るレイアウト処理が実行可能とされたコンピュータによって実現される。
【0035】
印刷データ作成装置2によって作成された印刷データは、印刷データ編集装置1に受け渡され、必要であれば後述のようにRIP処理(ラスタライズ処理)されるなどしたうえで、プルーフの出力など、後段のワークフローに供される。なお、図1においては、3つの印刷データ作成装置2がネットワークNを介して印刷データ編集装置1に接続される態様を示しているが、これはあくまで例示であり、1つ、2つ、あるいは4つ以上の印刷データ作成装置2が接続される態様であってもよい。また、印刷データ作成装置2がRIP処理機能を備え、RIP処理済のRIP展開データが印刷データ作成装置2から印刷データ編集装置1へと受け渡される態様であってもよい。
【0036】
イメージスキャナ3は、紙媒体上の像を光電的に読み取って電子データ(画像データ)化する画像走査読取装置である。本実施の形態においては、主として、いったん出力された後、校正者(クライアントなど)によって校正記号等の修正指示が記入されたプルーフ(あるいは責了紙)の像を読み取って、読取画像データ(修正指示データ)を得るために用いる。イメージスキャナ3としては、必要な解像度の条件を満たすことを条件に、公知のスキャナを用いることができる。
【0037】
出力装置4は、所定のデータ形式の印刷データに基づいて、印刷物の出力を行う装置である。本実施の形態における出力装置4は、少なくともプルーフとしての使用に適う印刷物の出力を行えるものであれば、その種類は限定されず、印刷物の内容や校正の目的に応じて適宜に選択され、用いられてよい。例えば、インクジェットプリンタや熱転写プリンタ、あるいはレーザプリンタを用いる態様であっても良いし、実際に印刷物に近い網点化画像の出力が可能なハイエンドDDCP(Direct Digital Color Proofer)を用いる態様であってもよい。プルーフの出力に使用される出力装置4において出力処理可能なデータ形式のデータが、プルーフ出力用のデータとして印刷データ編集装置1から出力装置4に与えられることになる。出力装置4に対しては、通常、RIP処理により得られるRIP展開データが出力用のデータとして供されるが、出力装置4がRIP処理機能を有する場合であれば、RIP処理前の印刷データをそのまま出力処理に供することも可能である。なお、出力装置4としては、デジタルデータを用いて直接にプルーフの出力が行えるものが好ましいが、イメージセッタによっていったんフィルムを作成し、これを用いてケミカルプルーフやプルーフの出力を行う態様であってもよい。ただし、係る場合は、イメージセッタを含めて出力装置4と称することになる。また、本印刷用の高解像度の網点化画像を出力する出力装置が用いられてもよい。
【0038】
<印刷データ編集装置の構成>
印刷データ編集装置1は、コンピュータによって実現されるものである。すなわち、印刷データ編集装置1には、図1に示すように、オペレータが各種の指示を入力するためのマウスやキーボードなどからなる操作部11と、ディスプレイ等の表示部12と、ハードディスクなどにより構成され、該コンピュータを印刷データ編集装置1として機能させるためのプログラム13pなどを保存するための記憶部13と、DVD−RAM/RW、CD−RWなど種々の可搬性の記録媒体との間でデータのリード/ライトを行うメディアリーダ/ライタなどからなるR/W部14と、ネットワークN上の他の装置との間や、通信線CLを介しイメージスキャナ3や出力装置4との間でデータの受け渡しを行うためのインターフェースとしての通信部15と、CPU16a、ROM16b、およびRAM16cから構成され、後述する各機能を実現する制御部16とが主として備わっている。
【0039】
なお、印刷データ編集装置1においては、操作部11を通じた操作内容や、種々の処理についての処理状況などを表示部12にて表示させつつ処理を行うことができる、いわゆるGUI(Graphical User Interface)が、制御部16、操作部11、表示部12の機能により実現されている。制御部16に実現される後述する各部における処理も、このGUIを用いて行われる。
【0040】
図2は、印刷データ編集装置1の制御部16において実現される機能を説明するための図である。制御部16においては、記憶部13に記憶されている所定のプログラム13pが、CPU16a、ROM16b、およびRAM16cによって実行されることにより、入力処理部21と、RIP処理部22と、出力処理部23と、修正処理部24とが主として実現される。
【0041】
入力処理部21は、外部から印刷データ編集装置1へのデータの入力、およびイメージスキャナ3からの画像データの取得に係る処理を担う。入力処理部21は、データ入力部21とスキャナ制御部212とを主として備える。
【0042】
データ入力部211は、印刷データ編集装置1の外部からネットワークN経由でデータ入力を受ける際や、所定の記録媒体に記録されているデータをR/W部14において読み込む際、さらにはイメージスキャナ3から画像データを取得する際の、処理ダイアログあるいは処理メニューの生成や、操作部11を介したオペレータからの操作指示に従った所定の処理を担う。
【0043】
スキャナ制御部212は、操作部11を介し、データ入力部211の作用によりイメージスキャナ3において画像データ(修正指示データ)を取得する旨の実行指示がオペレータによってなされた場合に、該実行指示に応答して所定の解像度や走査範囲、走査速度などに従ってスキャンを行うよう、イメージスキャナ3の動作を制御する。
【0044】
RIP処理部22は、上述のように、印刷データ作成装置2から受け渡された印刷データを、出力装置4において出力処理可能なビットマップ形式のデータに変換するRIP処理を担う。RIP処理においては、出力装置4の出力解像度に応じたRIP展開データが生成される。通常は、300〜400dpi程度の出力解像度のRIP展開データが生成されるが、例えば、出力装置4がハイエンドDDCPなどの実際の印刷物と同等の網点形成が可能な装置である場合には、RIP展開データとして、2400dpi程度の高解像度の網点化画像データが出力される。RIP処理には、公知の技術を適用可能である。
【0045】
なお、上述のように、印刷データ作成装置2においてRIP処理がなされる態様や、出力装置4においてRIP処理がなされる態様も考えられるが、以降の説明においては、主として、印刷データ編集装置1において印刷データがRIP処理されてRIP展開データが得られ、該RIP展開データが出力装置4における出力処理に供される場合を例に説明する。
【0046】
出力処理部23は、出力装置4におけるプルーフの出力に必要な処理、あるいは、校正が完了することにより得られる本印刷用の印刷物データを外部に受け渡す処理を担う。出力処理部23は、データ出力部231と、出力装置制御部232とを、主として備える。
【0047】
データ出力部231は、印刷データ編集装置1の外部へネットワークN経由でデータを出力する際や、R/W部14において所定の記録媒体にデータを書き込む際、さらには出力装置4へ出力用のデータを送信する際の、処理ダイアログあるいは処理メニューの生成や、操作部11を介したオペレータからの操作指示に従った所定の処理を担う。
【0048】
出力装置制御部232は、操作部11を介し、データ出力部231の作用により出力装置4においてプルーフを出力する旨の実行指示がオペレータによってなされた場合に、該実行指示に応答して、出力装置4の種別に応じて作成された出力用のデータ(例えば、RIP展開データ)に基づいてプルーフを出力するよう、出力装置4の動作を制御する。
【0049】
修正処理部24は、プルーフに書き込まれた修正指示に従った印刷データの修正を実現するための処理を担う。本実施の形態においては、後述するように、プルーフに書き込まれた修正指示をイメージスキャナ3で読み取って画像データ化した後に、係る画像データ化された修正指示に従って修正処理を行える点で特徴的である。修正処理部24は、差分処理部241と、レイヤー化処理部242と、領域分割処理部243と、編集処理部244と、履歴参照処理部245とを、主として備える。
【0050】
差分処理部241は、修正指示が書き込まれた校正後のプルーフをイメージスキャナ3においてスキャンすることによって得られた画像データである修正指示データから、プルーフにおいてもともと表現されていた印刷物の内容(プルーフ出力用のデータによって表現される印刷像)を差し引いて、書き込まれた修正指示だけを画像データ(これを差分データと称する)として抽出する差分処理を担う。差分処理においては、修正指示データと、プルーフ出力用のデータ(ここではRIP展開データ)との間で、各画素ごとの色濃度値の差分演算が行われ、差分データが生成される。
【0051】
レイヤー化処理部242は、差分処理部241によって得られた差分データと、プルーフ出力の対象となったデータ、つまりは、修正処理の対象となる印刷データとが、それぞれレイヤーをなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理を担う。レイヤー化データにおいては、差分データによって形成されるレイヤーを差分レイヤーと称し、印刷データによって形成されるレイヤーを修正対象レイヤーと称することとする。
【0052】
領域分割処理部243は、印刷物を格子状に分割した状態を、その印刷物を表現する修正対象レイヤー(実体は印刷データである)について仮想的に実現する領域分割処理を担う。なお、分割によって得られる各分割領域を、ブロックと称することとする。
【0053】
編集処理部244は、オペレータが印刷データの内容を変更する編集処理を担う。係る編集処理が、本実施の形態において印刷データに対し施される修正処理の実質的な内容である。本実施の形態においては、特に、レイヤー化データの修正対象レイヤーに対する修正処理を、該レイヤー化データにおいてこれに重ね合わされている差分レイヤーに記述された修正指示に従って行う点で特徴的である。なお、新規に印刷データを作成することが可能であってもよく、この場合、編集処理部244は、印刷データ作成装置2と同様の機能を担うことになる。
【0054】
修正対象レイヤーに対して何らかの修正処理がなされると、修正処理の内容を反映したテンポラリデータが生成される。テンポラリデータは、新たな修正処理がなされるたびに更新される。オペレータが操作部11を介して、編集処理の内容を確定するための指示入力を行うと、その時点における最新のテンポラリデータが反映された修正済み印刷データが生成される。
【0055】
また、修正処理がなされると、編集処理部244の作用により、修正履歴データが併せて生成される。修正履歴データには、何らかの修正処理がなされるたびに、その処理内容が追記される。その際には、修正処理がどのブロックに関連する処理であったかを示す関連ブロック情報が、修正処理内容と併せて記述される。
【0056】
履歴参照処理部245は、修正処理が行われている場合に、印刷物のどの箇所にどのような修正がなされたのかを、ブロック単位で参照可能とする履歴参照処理を担う。
【0057】
<プルーフの出力>
次に、本実施の形態に係る印刷システム100においてなされるプルーフの出力について説明する。図3は、プルーフの出力の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【0058】
上述したように、印刷データ作成装置2において印刷データが作成されると、例えばネットワークNを介して、校正前印刷データD1として印刷データ編集装置1へと受け渡される。図3に示すように、校正前印刷データD1は、印刷データ編集装置1のデータ入力部211の作用により取得され、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。
【0059】
その後、オペレータにより操作部11を通じてRIP処理の実行指示がなされると、RIP処理部22が、校正前印刷データD1をラスタライズして、出力装置4における出力に適した解像度のラスターデータであるRIP展開データD2を生成する。RIP展開データD2は、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。オペレータにより操作部11を通じてプルーフ出力の実行指示がなされると、RIP展開データD2は、データ出力部231の作用により通信線CLを通じて出力装置4に送信される。
【0060】
出力装置4は、受け取ったRIP展開データD2に基づいて、プルーフの出力を実行する。出力装置4の動作は、出力装置制御部232によって制御される。出力されたプルーフは、校正者による校正作業に供されることとなる。
【0061】
なお、出力装置4がRIP処理機能を備える場合は、RIP処理部22におけるRIP処理を行うことなく、出力装置4へ校正前印刷データD1を直接に送信する態様となる。係る場合、プルーフの出力に際しては、印刷データ編集装置1を経ることなく、印刷データ作成装置2から出力装置4へと直接に校正前印刷データD1が受け渡される態様であってもよい。ただし、後述する修正処理を行うためには、校正前印刷データD1は印刷データ編集装置1に与えられている必要がある。
【0062】
プルーフを用いた校正作業においては、レイアウトされた文字、画像などの配置や体裁、色再現性などに誤りがないか、印刷データ作成時に意図したものと合致するか、などが校正者によって確認される。そして、必要に応じ、修正指示が校正者の手でプルーフ上に直接に記入される。修正指示は、所定の校正記号などを用い、通常は赤字で記入される。
【0063】
<修正処理>
次に、本実施の形態に係る印刷データ編集装置1においてなされる、プルーフに記入された修正指示に基づく印刷データの修正処理について説明する。図4は、修正処理の流れを示す図である。図5は、修正処理の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。図6は、そのうちの一部のデータについて例示する図である。
【0064】
まず、オペレータが修正指示が記入されたプルーフをイメージスキャナ3によってスキャンし、プルーフの画像データを修正指示データD3として取得する(ステップS1)。修正指示データD3は、記憶部13やRAM16cなどに記憶される。イメージスキャナ3の動作は、スキャナ制御部212によって制御される。図6(a)を校正前印刷データD1によって表現されるレイアウト像の一例とすると、修正指示データD3は、図6(b)のように、修正指示を含んだ画像データとして得られる。図6(b)においては、2つの修正指示C1、C2が与えられている場合を示している。修正指示C1は、背景(バック)の色を「青」色とすることを内容とする指示である。ただし、ここでは簡単のため、単に「青」色とする修正指示であるとするが、実際には、より厳密な色指定、例えばCMYK表色系に基づく色指定がなされることが好ましい。いま、修正指示C1における色指定が、C:100%、M:50%、Y0%、K:30%であるとする。修正指示C2は、文字のサイズを「18pt(ポイント)」に変更することを内容とする指示である。なお、修正指示データD3は、ビットマップ形式のデータとして取得されるが、プルーフを出力する際に用いたRIP展開データD2の解像度と同程度の解像度か、あるいはそれよりも高い解像度にて取得されるのが好ましい。
【0065】
修正指示データD3が得られると、差分処理部241の作用により、修正指示データD3とRIP展開データD2との間で差分処理が実行され、差分データD4が抽出される(ステップS2)。図6(c)は、差分データD4を例示する図である。差分データD4は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。なお、差分処理においては、画素単位で差分演算が実行されるので、修正指示データD3とRIP展開データD2との解像度は同程度であることが好ましい。ただし、仮に両者の解像度が異なっていたとしても、一方のデータに解像度変換を行ったうえで差分処理を行えば、問題が生じない場合もある。
【0066】
差分データD4が得られると、レイヤー化処理部242の作用により、校正前印刷データD1と差分データD4とを一のデータにおいてレイヤー化するレイヤー化処理が実行される(ステップS3)。レイヤー化処理によって、図6(d)に示すように、差分データD4に由来する差分レイヤーL1と校正前印刷データD1に由来する修正対象レイヤーL2とがレイヤー構造をなすレイヤー化データD5が生成される。レイヤー化データD5は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。レイヤー化処理においては、校正前印刷データD1における各オブジェクトの配置位置が、ビットマップ形式のデータである差分データD4を記述する座標系と関連付けられて記述される。レイヤー化処理がなされると、レイヤー化データD5に基づいて、図6(e)に示すように両レイヤーが重ね合わさった像が視認可能とされる。すなわち、レイヤー化処理によって、プルーフにおいて所定の修正対象箇所に対し修正指示が書き込まれている状態と同じ状態が、表示部12に表示される。なお、修正対象レイヤーL2をRIP展開データD2によって構成する態様であってもよいが、この場合はさらに、校正前印刷データD1における各オブジェクトの配置位置が、ビットマップ形式のデータであるRIP展開データD2を記述する座標系とあらかじめ関連付けられている必要がある。
【0067】
なお、レイヤー化データD5と修正指示データD3とは、表示部12上で視認する限りにおいては、略同一の像を表すように見受けられる(図6(b)(e)参照)が、レイヤー構造をなすか否かで相違する。また、表示部12におけるレイヤー化データD5の表示態様としては、図6(e)に示すような両レイヤーが重ね合わされた状態と、差分レイヤーL1のみが表示される状態と、修正対象レイヤーL2のみが表示される態様とが、容易に切替可能とされる態様が好ましい。
【0068】
レイヤー化処理がなされると、次に、領域分割処理部243の作用により、修正対象レイヤーL2(校正前印刷データD1)に対して、領域分割処理がなされる。これにより、修正対象レイヤーL2が仮想的に格子状に分割され、複数のブロックが生成される(ステップS4)。領域分割処理部243は、所定のダイアログを表示部12に表示させることによって、領域分割を行うにあたっての縦方向および横方向のブロックの個数M,Nの入力を、オペレータに対して要求する(M、Nは自然数)。
【0069】
オペレータが操作部11を通じて任意の自然数値を個数M、Nの値として入力すると、領域分割処理部243はこれに応答し、入力された値に従って、領域分割データD6を生成する。領域分割データD6は、修正対象レイヤーL2におけるブロックを定義するデータである。領域分割データD6は記憶部13やRAM16cなどに記憶される。図7は、修正対象レイヤーL2を対象として、領域分割処理を行う場合の例を示す図である。図7においては、左上端から数えて、縦方向にm番目、横方向にn番目のブロックのブロック数を(m,n)と記述するものとし、さらに、M=12、N=10とした場合を例示する。領域分割処理は、図7に示すような複数本の分割ラインdlを仮想的に設定する処理であるといえる。
【0070】
個数M、Nの値は、ブロックの大きさを規定する数となるが、本実施の形態においては、ブロックが修正の履歴を参照する際の参照単位となることから、個数M、Nの値は、かかる履歴の参照に際して実用的なブロックが生成されるように、印刷物の内容に応じて設定することが好ましい。例えば、細かい文字や図形などが多く、修正指示が微小な領域を単位としてなされていることが多い場合には、M、Nに比較的大きな値を設定して、ブロックの大きさを小さくすることが好ましいが、反対に、大きな文字や図形などが多い場合には、M、Nに比較的小さな値を設定して大きなブロックを得るようにしてもよい。
【0071】
なお、図7においては説明の都合上、縦横の分割ラインdlを図示しているが、実際の修正対象レイヤーL2に係る分割ラインdlが書き込まれるわけではなく、これに代わり、修正対象レイヤーL2が規定される座標平面においてこのような分割ラインdlが通る位置が、ブロック数(m,n)の値と関連付けて領域分割データD6に記述される。すなわち、修正対象レイヤーL2と領域分割データD6とを参照することで、ブロック数(m,n)のブロックが、修正対象レイヤーL2においてどの位置に相当するかが判別される。
【0072】
ちなみに、領域分割処理を、差分データの生成に先立って、校正前印刷データD1を対象に行い、同様に領域分割データD6を得る態様であってもよい。
【0073】
レイヤー化データD5と領域分割データD6とが得られると、修正対象レイヤーL2の内容をプルーフに記述された修正指示に従って修正する、オペレータによる修正処理が可能となる(ステップS5)。修正処理は、編集処理部244の作用により編集可能とされた修正対象レイヤーL2に対して、オペレータが修正指示に基づく修正作業(編集作業)を行うことで実現される。係る作業は、印刷データ作成装置2によるレイアウト時に行われる作業と基本的には同様で、表示部12に表示されたレイヤー化データD5が表現するレイアウト像において、オブジェクトの配置や削除、変更などをGUIを介して行い、修正対象レイヤーL2に係る記述内容を適宜に編集することで実現される。何らかの修正処理がなされると、これを反映した修正対象レイヤーL2の状態を表現するテンポラリデータD7が生成される。テンポラリデータD7は、RAM16cに記憶され、修正がなされるたびに更新される。すなわち、修正処理の間においては、テンポラリデータD7が、修正対象レイヤーL2を表現することとなる。
【0074】
ただし、本実施の形態においては、図6(e)に示すように修正対象レイヤーL2の上に、修正指示が画像データ化された差分レイヤーL1が重ね合わされており、これにより、プルーフにおいて所定の修正対象箇所に関する修正指示が書き込まれた状態が、表示部12において同様に表現されている。そこで、オペレータは、その修正指示を表示部12において確認しつつ、修正対象レイヤーL2の対象箇所について、その修正指示に従った修正指示を行うことができる。これにより、校正結果に基づく修正を、確実に行うことができる。図8は、図6(e)に示すレイヤー化データD5に対して、修正指示C1、C2に基づく修正指示を行った後のテンポラリデータD7が表現するレイアウト像を示す図である。なお、実際のレイアウト像において係る図8に示すような分割ラインdlが書き込まれるわけではないことは、上述の場合と同様である。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、何らかの修正処理を行うと、編集処理部244の作用によって、修正履歴データD8が生成される。図9は、修正履歴データD8のデータ構成単位となる単位修正データD8Sを例示的に説明するための図である。単位修正データD8Sは、例えば、図9(a)に示すように、個々の修正処理を識別するための修正IDが記述される修正ID領域R1と、修正の対象となるオブジェクトの描画情報が記述されるオブジェクト描画情報領域R2と、その修正が関連するブロックを示す関連ブロック情報が記述される関連ブロック情報領域R3と、その修正が結果的に採用されるか否かを示す採否フラグが記述される採否フラグ領域R4とから構成される。
【0076】
ここで、オブジェクト描画情報としては、例えば、その修正処理がオブジェクトを新たに追加する処理であるのか、あるいは既に配置されているオブジェクトを削除する処理のかを示す処理情報や、対象となるオブジェクトが文字なのか、画像なのか、あるいは線画なのかなどを識別する種別情報や、対象となるオブジェクトを規定する情報、例えばオブジェクトが図形ならば形状や大きさ、色などを規定する情報であり、文字ならばフォントの種類やサイズ、さらには記述される文章などを規定する情報である記述情報などが該当する。また、関連ブロック情報領域R3には、個々の修正処理の記述情報の、特にサイズに係る情報に基づいて、修正に係るオブジェクトが配置される(あるいは配置されていた)ブロックのブロック数が記述される。採否フラグ領域R4には、それぞれの修正処理を反映させる場合には「1」が、取り消す場合には「0」が記述される。
【0077】
修正対象レイヤーL2に対してオペレータによって何らかの修正処理がなされるたびに、修正履歴データD8には、その修正処理の内容が、単位修正データD8Sとして逐次に記述される。すなわち、修正履歴データD8は、単位修正データD8Sの集合した形式のデータとして記述される。図9(b)は、修正対象レイヤーL2に対して、修正指示C1、C2(図6参照)に従った修正を行った結果として、図8に示すレイアウト像の状態が実現された場合の修正履歴データD8を例示する図である。図9(b)によれば、係る修正は、3つの修正処理がなされることで実現されていることになる。修正処理は、修正IDの小さいものから順になされているので、図9(b)に例示する修正履歴データD8においては、塗りつぶしオブジェクトOBJ1(図8)の追加処理が、修正IDが「1」の単位修正データD81に係る修正処理であったことになる。これは、背景(バック)の色を青とする旨の修正指示C1に従ってなされた修正処理に相当する。なお、オブジェクト描画情報領域R2には、実際には、オブジェクトが記述されるデータ形式やオブジェクトの定義に従った具体的な内容が記述されるが、煩雑を避けるため、ここではその記述を省略する。
【0078】
続けて、修正IDが「2」、「3」の単位修正データD82、D83に係る修正処理がなされているが、これらは、文字のサイズを18pt(ポイント)に変更する旨の修正指示C2に従ってなされた修正処理であり、もともと配置されている文字オブジェクトOBJ0(図7)をいったん削除(単位修正データD82に係る修正処理)した上で、18ptの文字オブジェクトOBJ2(図8)を配置する(単位修正データD83に係る修正処理)ことで、係る修正指示C2に沿った修正が実現された場合が示されている。なお、関連ブロック情報領域R3には、それぞれの修正処理が関係するブロックのブロック数(m,n)が記述されているが、単位修正データD82に係る修正処理のように、オブジェクトを削除する場合には、削除前にオブジェクトが配置されていたブロックのブロック数(m,n)が記述されることになる。
【0079】
あるいは、もともとの文字オブジェクトOBJ0に対して直接にフォントサイズを変更する態様の修正処理がなされてもよく、係る場合は、その修正処理の内容が単位修正データとして記述された修正履歴データが生成されることになる。
【0080】
図10は、図8に示す、上記の修正処理がなされた後のテンポラリデータD7に基づくレイヤー化データD5’の表示部12におけるレイアウト像を例示する図である。図10に示すように、レイヤー化データD5’においては差分レイヤーL1と修正対象レイヤーL2(この場合はテンポラリデータD7によって表現される)とが重ね合わされているので、修正指示C1、C2に従って修正処理がなされていること、および、処理がなされていない修正指示が残っていないことが、オペレータによって視認されることになる。
【0081】
オペレータは、修正指示に従って全ての修正処理が正しくなされたものと判断すると、操作部11を通じて所定の操作指示を行い、修正処理の内容が確定させる。具体的には、最新のテンポラリデータD7の内容が修正済み印刷データD9とされる。この修正済み印刷データD9は、記憶部13やRAM16cなどに記憶され、所定の指示に応じて本印刷用のRIP処理に供される(ステップS6)。
【0082】
以上、説明したように、本実施の形態においては、プルーフに記入されていた修正指示とプルーフ出力用の印刷データが表現する印刷像とがレイヤー化データD5において重ね合わされており、オペレータはこれらを表示部12において視認しつつ、印刷データに対し校正結果に基づく修正処理を行えるので、修正漏れを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係る印刷データ編集装置によれば、校正時の修正指示を確実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【0083】
<修正履歴の参照と再修正>
本実施の形態に係る印刷データ編集装置1においては、上述の態様に加えて、履歴参照処理部245の作用によって、ある箇所についてどのような修正がなされたのかを、すなわち印刷像における任意の場所についての修正履歴を、容易に確認することができる点で特徴的である。以下、図11に示すように、レイヤー化データD5’が表現するレイアウト像(図10に示した像と同じ)におけるポイントP1、P2を対象として、修正履歴を参照する場合について説明する。
【0084】
図4のステップS5における修正処理の途中、修正対象レイヤーL2(テンポラリデータD7)のレイアウト像が表示されている状態で、オペレータが操作部11を操作することによって(例えば、図示しないマウスでクリックするなどしてポイントアウトする等の態様により)上述のポイントP1あるいはP2を指定すると、履歴参照処理部245は、これらのポイントが、どのブロックに該当するかを判断する。ポイントP1の場合は(4,4)なるブロック数のブロックに該当し、ポイントP2の場合は(9,6)なるブロック数のブロックに該当することになる。
【0085】
該当するブロックが特定されると、修正履歴データD8においてそのブロック数が関連ブロック情報領域R3に含まれる修正処理が特定され(図9参照)、その結果に基づいて、修正履歴表示がなされる。図12は、修正履歴表示の一例として、表示部12に表示される修正履歴表示ウィンドウW1およびW2を例示する図である。
【0086】
ポイントP1と対応するブロック数(4,4)のブロックについては、単位修正データD81に係る修正処理、すなわち、背景(バック)の色を青とする内容の修正処理のみがなされている(図9波線部分)ので、オペレータによってポイントP1が指定されると、これに応答して、図12(a)に示すような修正履歴表示ウィンドウW1が表示部12に表示されることになる。具体的には、修正履歴表示ウィンドウW1において履歴項目I11として示すように、塗りつぶしオブジェクトOBJ1が追加されたことが、オブジェクトの内容とともに、所定のフォーマットに従って具体的に表示される。また、係る場合、引き続いてなされている単位修正データD82、D83に係る修正処理については、ブロック数(4,4)のブロックには関係しないことから、履歴としては表示されない。
【0087】
一方、ポイントP2と対応するブロック数(9,6)のブロックについては、単位修正データD82に係る修正処理および単位修正データD83に係る修正処理がなされている(図9二重波線部分)ので、オペレータによってポイントP2が指定されると、これに応答して、図12(b)に示すような修正履歴表示ウィンドウW2が表示部12に表示されることになる。具体的には、修正履歴表示ウィンドウW2においては、履歴項目I21に示すように文字オブジェクトOBJ0が削除されたこと、および、係る削除の後に、履歴項目I22に示すように文字オブジェクトOBJ2が追加されたことが、オブジェクトの内容とともに、所定のフォーマットに従って表示される。また、係る場合、先んじてなされている単位修正データD81に係る修正処理については、ブロック数(9,6)のブロックには関係しないことから、履歴としては表示されない。
【0088】
このように、本実施の形態においては、履歴参照処理部245の作用によって、修正対象レイヤーL2に基づくレイアウト像が表示されている状態で、該レイアウト像の任意の箇所を指し示すことにより、その箇所(を含むブロック)についてなされた修正処理のみの履歴を、修正処理がなされた順に表示部12に表示させることができる。なお、履歴常時の態様は、上述の場合に限定されず、例えば、ある位置が修正履歴を参照するポイントとして指定されると、該ポイントが含まれるブロックの近傍に、そのブロックに関する修正履歴が、いわゆる「吹き出し」のような表示形式で表示されるなどの態様であってもよい。
【0089】
ここで、対比のため、修正指示に沿った修正処理がなされず、誤った修正処理がなされてしまった場合について説明する。図13は、その例として、修正指示C2に基づく修正処理は正しくなされているものの、修正指示C1に基づく修正処理として、図8に示された正しい塗りつぶしオブジェクトOBJ1ではなく、誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合のレイヤー化データD51に基づくレイアウト像を示す図である。図13において、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’は「青緑」色のオブジェクトであるとする。ただし、ここでは簡単のため、「青緑」色として説明するが、実際には、より厳密な色指定、例えばCMYK表色系に基づく色指定がなされることが好ましい。いま、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’においては、「青緑」色としてC:100%、M:50%、Y50%、K:30%なる色指定がなされているとする。また、図14は、この場合に、上述の場合と同様に生成される修正履歴データD8’を示す図であり、図15は、図11と同一のポイントP1についての修正履歴表示ウィンドウW1’を示す図である。
【0090】
オペレータが、修正処理の内容を確認すべくポイントP1を指定すると、修正履歴表示ウィンドウW1’が表示されて、ポイントP1においてなされている修正処理が、単位修正データD81’に関係する背景を青緑色(C:100%、M:50%、Y50%、K:30%)とする塗りつぶしオブジェクトの追加処理であることが、オペレータに示されることになる。差分レイヤーL1には修正指示C1の内容が記述されているので、オペレータは、差分レイヤーL1と修正履歴表示ウィンドウW1’の記述内容を比較対照することで、ポイントP1の近傍でなされている修正処理が、修正指示C1に沿ったものであるか否かを容易に確認することができる。いま、実際には、修正指示C1が要求している背景を青色(C:100%、M:50%、Y0%、K:30%)とする修正処理ではなく、Y成分の色濃度が相違する色による塗りつぶしオブジェクトの配置であるので、このことがオペレータによって認識されると、これを正しく修正し直す再修正が施されることになる。
【0091】
係る再修正には、いくつかの方法があるが、例えば、いったん追加した塗りつぶしオブジェクトOBJ1’を削除して正しい塗りつぶしオブジェクトOBJ1を配置することによって再修正を図る場合、つまりは、塗りつぶしオブジェクトOBJ1’の追加を取り止めて塗りつぶしオブジェクトOBJ1を配置することによって再修正する場合を考える。係る場合、操作部11を介して修正履歴表示ウィンドウW1’の履歴項目I11’を選択し、所定の操作によってこの修正を取りやめた上で、新たな修正処理を実行することになる。
【0092】
この場合の修正履歴データD8''は、図16のようになる。すなわち、単位修正データD81’(図14)に係る修正処理によるオブジェクトの追加を取り消すことになるので、操作部11を通じたオペレータによる削除指示がなされると、編集処理部244の作用により、単位修正データD81’の採否フラグ領域R4には、それまでの「1」(図14参照)に代わり「0」が記入される。そして、オペレータによる操作部11を介した追加指示によって新たに塗りつぶしオブジェクトOBJ1を追加する処理が、編集処理部244の作用に基づいてなされる際に、修正IDとして「4」が付された新たな単位修正データD84’が追加されることになる。修正指示C1に従った修正処理が行われる場合、係る単位修正データD84’の記述内容は、単位修正データD81の内容と同じものとなる。図17は、単位修正データD81’の採否フラグ領域R4に「0」が記述された際のレイヤー化データD52によるレイアウト像を示す図である。図17に示すように、修正指示C1に基づく修正処理の後になされた修正指示C2に基づく修正処理の内容には一切無関係に、必要な箇所だけの再修正が行える。
【0093】
また、図12(b)に示されたポイントP2(図11参照)についての修正履歴表示ウィンドウW2に係る修正処理、すなわち修正指示C2に基づく修正処理のうち、履歴項目I21に基づく修正処理、すなわち単位修正データD82に基づく修正処理を取り消すよう、操作部11を介して指示がなされたような場合は、それ以降になされた修正処理をそのまま有効であるとすると、修正処理後の状態に整合がとれないため、ポイントP2が属するブロック数(9,6)のブロックが関係する修正処理であって、単位修正データD82に基づく修正処理よりも後にされた修正処理、換言すれば大きな修正IDが付与された修正処理についても、併せて取りやめられることになる。これは、修正履歴データD8の関連ブロック情報領域R3において、ブロック数(9,6)が記述されている単位修正データを抽出し、該当する単位修正データの採否フラグを「0」とすることで実現される。図18は、係る場合のレイヤー化データD53に基づくレイアウト像を示す図である。
【0094】
なお、操作部11を介して所定の操作指示を行うことで、いったん取り消した修正を再度有効なものとすることも可能である。この場合、対応する単位修正データにおける採否フラグ領域R4には再度「1」と記述されることになる。
【0095】
すなわち、本実施の形態においては、修正履歴データD8によって個々の修正処理が管理されるとともに、任意の箇所における修正履歴が参照可能とされているので、不具合があると判断された場所においてなされた修正処理だけを取りやめたり、再度修正し直したりすることが、容易に行える。そして、その際には、係る再修正に関係がない箇所の修正内容は修正処理の先後に関係なく維持されることになる。
【0096】
以上より、本実施の形態においては、ブロック単位の修正履歴の確認と再修正に加え、個々の修正処理を単位として、修正の採否の選択が可能となる。これにより、クライアントによって指示された修正が全て実行されていること、および、修正の必要のない箇所が誤って修正されていないことが、確実に確認できる。よって、校正時の修正指示を確実にかつ忠実に反映させて、校正後の(再校の)印刷データの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷データ編集装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。
【図2】印刷データ編集装置1の制御部16において実現される機能を説明するための図である。
【図3】プルーフの出力の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【図4】修正処理の流れを示す図である。
【図5】修正処理の過程で用いられるデータと、その受け渡しの流れを示す図である。
【図6】修正処理の過程で用いられるデータの一部について例示する図である。
【図7】修正対象レイヤーL2を対象として、領域分割処理を行う場合の例を示す図である。
【図8】レイヤー化データD5に対して、修正指示C1、C2に基づく修正指示を行った後のテンポラリデータD7が表現するレイアウト像を示す図である。
【図9】修正履歴データD8のデータ構成単位となる単位修正データD8Sを例示的に説明するための図である。
【図10】図8に示す修正処理後のレイヤー化データD5’のレイアウト像を例示する図である。
【図11】修正履歴を参照するポイントP1、P2を示す図である。
【図12】修正履歴表示の一例として、表示部12に表示される修正履歴表示ウィンドウW1およびW2を例示する図である。
【図13】修正指示C1に基づく修正処理として、誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合のレイヤー化データD51に基づくレイアウト像を示す図である。
【図14】誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合の修正履歴データD8’を示す図である。
【図15】誤った塗りつぶしオブジェクトOBJ1’が追加された場合の、図11と同一のポイントP1についての修正履歴表示ウィンドウW1’を示す図である。
【図16】再修正の場合の修正履歴データD8''を示す図である。
【図17】単位修正データD81’の採否フラグ領域R4に「0」が記述された際のレイヤー化データD52によるレイアウト像を示す図である。
【図18】履歴項目I21に基づく修正処理が取り消された場合のレイヤー化データD53に基づくレイアウト像を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷データ編集装置
2 印刷データ作成装置
3 イメージスキャナ
4 出力装置
100 印刷システム
C1、C2 (データ化された)修正指示
OBJ0、OBJ2 文字オブジェクト
OBJ1、OBJ1’ 塗りつぶしオブジェクト
P1、P2 (修正履歴の参照)ポイント
W1、W2 修正履歴表示ウィンドウ
dl (ブロックの)分割ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、
前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、
前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、
前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、
前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、
所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、
を備え、
前記編集処理手段は、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、
前記履歴参照処理手段は、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷データ編集装置であって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷データ編集装置であって、
前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、
前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、
をさらに備えることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項6】
印刷システムであって、
a)紙媒体上の画像を光電的に読み取って読取画像データを生成する画像読取装置と、
b)所定のデータ形式にて記述された出力用データに基づく出力を行う出力装置と、
c)表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、
c-1)前記印刷データを生成元として生成された前記出力用データと前記読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、
c-2)前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、
c-3)前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、
c-4)前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、
c-5)所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、
を備える印刷データ編集装置と、
を備え、
前記編集処理手段は、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、
前記履歴参照処理手段は、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷システムであって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の印刷システムであって、
前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記印刷データ編集装置が、
c-6)前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、
をさらに備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う方法であって、
前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理工程と、
前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理工程と、
前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理工程と、
前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を所定の表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として行う編集処理工程と、
所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理工程と、
を備え、
前記編集処理工程においては、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容が、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録され、
前記履歴参照処理工程においては、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷データ編集方法であって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の印刷データ編集方法であって、
前記領域分割処理工程においては、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項15】
請求項11ないし請求項14のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、
前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成工程、
をさらに備えることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項16】
コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷データ編集装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、
前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、
前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、
前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、
前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、
所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、
を備え、
前記編集処理手段は、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、
前記履歴参照処理手段は、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷データ編集装置であって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷データ編集装置であって、
前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷データ編集装置であって、
前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、
をさらに備えることを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項6】
印刷システムであって、
a)紙媒体上の画像を光電的に読み取って読取画像データを生成する画像読取装置と、
b)所定のデータ形式にて記述された出力用データに基づく出力を行う出力装置と、
c)表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う印刷データ編集装置であって、
c-1)前記印刷データを生成元として生成された前記出力用データと前記読取画像データとの差分データを生成する差分処理手段と、
c-2)前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理手段と、
c-3)前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理手段と、
c-4)前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を前記表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として実行させる編集処理手段と、
c-5)所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理手段と、
を備える印刷データ編集装置と、
を備え、
前記編集処理手段は、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容を、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録し、
前記履歴参照処理手段は、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷システムであって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の印刷システムであって、
前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記印刷データ編集装置が、
c-6)前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成手段、
をさらに備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
表示手段に処理状況を表示させつつ印刷データの編集処理を行う方法であって、
前記印刷データを生成元として生成され所定の出力装置において出力可能な形式で記述された出力用データと所定の画像読取装置によって得られた読取画像データとの差分データを生成する差分処理工程と、
前記印刷データと前記差分データとがレイヤー構造をなすレイヤー化データを生成するレイヤー化処理工程と、
前記印刷データによって表現される印刷物を仮想的に分割して複数の分割領域を得る領域分割処理工程と、
前記印刷データの内容を変更する編集処理を、前記差分データがなす第1のレイヤーと前記印刷データがなす第2のレイヤーとの重ね合わせ像を所定の表示手段に表示させた状態で前記第2のレイヤーを対象として行う編集処理工程と、
所定の履歴参照指示に従い、前記編集処理の履歴を前記表示手段に表示させる履歴参照処理工程と、
を備え、
前記編集処理工程においては、
前記編集処理における処理単位である単位編集処理ごとの処理内容が、前記複数の分割領域のうち前記処理内容が関連する関連分割領域と関係付けて履歴データとして記録され、
前記履歴参照処理工程においては、
任意の履歴参照対象位置の指定に応答し、前記履歴データに基づいて、前記編集処理のうち前記履歴参照対象位置を含む分割領域が前記関連分割領域となる処理内容のみを前記履歴として表示させる、
ことを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷データ編集方法であって、
一の分割領域に係る履歴に含まれる特定の単位編集処理の実行を取り消す場合は、前記一の分割領域を前記関連分割領域とする編集処理のうち、前記特定の単位編集処理の以降になされた編集処理が併せて取り消される、
ことを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の印刷データ編集方法であって、
前記領域分割処理工程においては、前記分割領域を得る際の分割数を任意に設定できることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、
前記読取画像データが、前記出力用データに基づいて作成された校正用印刷物を読み取ることによって得られるデータであることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項15】
請求項11ないし請求項14のいずれかに記載の印刷データ編集方法であって、
前記印刷データをラスタライズ処理することによって前記出力用データを生成する出力データ生成工程、
をさらに備えることを特徴とする印刷データ編集方法。
【請求項16】
コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷データ編集装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−65486(P2006−65486A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245403(P2004−245403)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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