説明

印刷ヘッド位置を調節する方法及び装置

画像受け取り手段上に印刷するべく配置されたプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームと、を含み、プリントヘッド及びプラテンの一方が第1フレームに取り付けられ、第1フレームを固定支持体に関して駆動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線移動させるための駆動手段と、を含むプリントヘッドアセンブリが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像受け媒体、例えばテープ上への印刷方法に関し、及びそうした印刷方法で使用する感熱式プリンター及びプリントヘッドの配置に関し、詳しくはプリントヘッド位置の調節に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱式プリンターは既知のものである。そうしたプリンターのためのプリントヘッドは一般に、選択的に起動、即ち加熱される複数の印刷要素を含んでいる。画像は、中間インクリボンを設け、プリントヘッドの印刷要素を賦活、即ち加熱し、この加熱した印刷要素と接触する中間インクリボン部分のインクを加熱して画像受けテープに移行させる方法か、あるいは加熱した印刷要素を感熱性の画像受けテープと直接接触させて熱作用によりテープに画像を形成させる方法の何れかによって発生される。
【0003】
画像受けテープには、プリントヘッドによって確定される印刷ゾーンと、印刷中に画像受け媒体を支持するプラテンとに通されることで画像が印刷される。プリントヘッドとプラテンとの間の印刷ゾーンを確定する間隙が、印刷ゾーンへの画像受けテープの通過を許容する一方で、プリントヘッドと画像受けテープとの接触によるテープ上への画像の印刷を可能とする。
【0004】
画像受けテープは色々のタイプの材料から製造され、その用途に最適な種々の厚みを有している。異なる材料形式の画像受けテープに対し、この画像受けテープ上に画像を印刷するための異なる圧力を行使するプリントヘッドが必要とされ得る。更には、プリンターは、厚さの異なる画像受けテープを印刷ゾーンに通過させ得つつ、プリントヘッドを画像受けテープと接触させ得るべきでもある。
【0005】
BradyのEP1066975には、ピボット取り付けしたプリントヘッドが、インクリボンからラベル用媒体にインクを熱転写させる際にプラテンを押圧して可変プラテン圧を提供する構成が記載される。しかしながら、様々な厚みを有するラベル用媒体と共に使用する場合、ピボット取り付けしたプリントヘッドはラベル用媒体の厚さに依存する異なる角度でラベル用媒体と接触し、それ故、プリントヘッドとラベル用媒体との印刷領域に不整合が生じてしまう。
【0006】
【特許文献1】EP1066975
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
材料及び厚さの異なる画像受け媒体上に印刷するためのプリンターを提供すること及び従来技術の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様相によれば、プリントヘッドアセンブリであって、画像受け手段上に画像を印刷するように配置したプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームと、第1フレームを固定支持体に関して駆動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させる駆動手段とを含むプリントヘッドアセンブリが提供される。
【0009】
本発明の別の様相によれば、プリントヘッドアセンブリであって、画像受け手段上に画像を印刷するように配置したプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームにして、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームと、画像受け手段に記録された情報に従い、第1フレームを固定支持体に関して駆動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させる駆動手段とを含むプリントヘッドアセンブリが提供される。
【0010】
本発明の更に他の様相によれば、データを入力するための入力手段と、画像受け手段に印刷するように配置したプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結され、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームと、第1フレームを固定支持体に関して移動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させるための駆動手段と、を含むプリンターが提供される。
本発明の更に他の様相によれば、プリントヘッドアセンブリーの制御方法であって、プリントヘッドアセンブリーが、画像受け手段上に印刷するべく配置したプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームにして、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームとを含み、第1フレームを固定支持体に関する所定位置に駆動することを含む制御方法が提供される。
【0011】
本発明のまた更に他の様相によれば、プリンターを使用した印刷方法であって、
プリンターが、データを入力するための入力手段と、画像受け手段上に印刷するように配置したプリントヘッドと、プラテンと、固定支持体と、固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームにして、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームとを含み、第1フレームを固定支持体に関する所定の位置に駆動すること、入力されたデータに従い画像受け手段上に画像を印刷すること、を含む印刷方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には本発明の一実施例におけるテーププリンター61の平面断面図が示され、カセット60が内部に配置されている。テーププリンター61は代表的には、ハンディータイプあるいは小型デスクトップタイプの装置である。カセット60はカセット受けベイ62内に位置付けられ、画像受けテープ63の供給スプール64を収納している。カセット受けベイ62には、感熱プリントヘッド9と、印刷ゾーン65を確定するべく協動するプラテン10もまた収受される。カセット60は、インクリボン供給スプール48と、インクリボン巻き取りスプール50をも有する。インクリボン12はインクリボン供給スプール48から印刷ゾーン65へと案内され、インクリボン巻き取りスプール50に巻き取られる。画像受けテープ63はインクリボン12と重ねられ、その画像受け層をインクリボン12と接触させる状態下に印刷ゾーン65を通過する。プリントヘッド9は、今後詳しく説明する本発明の一実施例においては調節自在のプリントヘッド配列構成20に結合される。調節自在のプリントヘッド配列構成20は、印刷のためにプラテン10と接触する状態となり得るよう、また、プラテン10から離動してカセット60を取り出し及び交換可能とし得るように可動とされる、作動位置においては、プラテン10が回転され、画像受けテープ63が駆動されてプリントヘッド9を通過し、プリントヘッドがインクリボン12からのインクを熱転写させ、かくして画像受けテープ63上に印刷がなされるように制御される。プリントヘッド9は印刷要素列を有する熱転写ヘッドを含み、各印刷要素は所望の被印刷画像に従い熱的に賦活され得る。
【0013】
プラテン10は、DCモーターあるいはステップモーター67(図7参照:以下、単にモーター67とも称する)により駆動され、印刷中に画像受けテープ63をテーププリンター61の印刷ゾーン65を通過させるべく回転される。かくして画像は画像受けテープ63上に印刷され、印刷ゾーン65を出てテーププリンター61の出口66に向かう。
【0014】
画像は、画像受けテープ63の移動方向に相互に隣り合うカラム毎のベースで、プリントヘッド9により画像受けテープ63上に印刷される。各カラムの画素が選択的に賦活されて斯界に周知の態様下に画像を構成する。モーター67には、その回転速度を監視する為の軸エンコーダーを設け得る。プリントヘッド9によるカラムの画素の一連の印刷は、モーター67の、監視される回転速度に応じて制御される。モーター67の回転速度制御は、プリントヘッド9により印刷されるところのカラムの画素データのストロボ信号を発生するマイクロプロセッサーチップ100(図7参照)により実行される。
テーププリンター61は、ブレード70を担持する切断装置69を切断位置68に有し得る。ブレード70は画像受けテープ63を切断した後、カセット60内に位置付けられた長孔71に入る。
【0015】
図2には本発明の他の実施例が示される。本実施例ではプリンターのカセット受けベイ62’内に2つのカセットが配置される。上側カセット72は、プリンターの印刷ゾーン65を通過して出口66’に向かう画像受けテープ63’の供給体を収納する。画像受けテープ63’は、その表面の何れかに印刷画像を受けるための上側層を含む。一実施例では、画像受けテープ63’は、釈放自在の裏当て層を固定する接着材層を他方の面上に有する。そうした実施例では、画像受けテープの一部分に接着性ラベルとしての表面を被着させ得る。あるいは、画像受けテープ63’は接着性の層を有さず、その一部分に、プラスチック製のタブその他を用いて物品を付着させ得る。上側カセット72はプリンターのプラテン10’を収受するための凹所80を有する。プラテン10’は回転取り付けされる。
【0016】
下側カセット74は、その内部で供給スプール76から巻き取りスプール78にかけて延在するインクリボン12を収納する。熱転写リボンであるインクリボン12は、画像受けテープ63とオーバーラップする状態で印刷ゾーン65’を通して伸延される。下側カセット74は、プリンターの調節自在のプリントヘッド配列構成20を受けるための凹所71を有する。プリントヘッド9は、プラテンと接触して、インクリボン12と画像受けテープ63’とを重ねた状態でプリントヘッド9及びプラテン10間に保持する作動位置と、プラテンから離動してインクリボンと画像受けテープ63’とを釈放する非作動位置との間を可動である。作動位置ではプラテン10は図7に示すようにモーター67の作動下に図1に関連して説明したような態様で回転される。プリントヘッドは、インクリボンからのインクを熱転写させることで画像受けテープ上に画像を印刷するように制御される。
インクリボン12は、画像受けテープが感熱性材料のものである場合は省略することができる。その場合画像は、感熱性の画像受けテープ上に直接、熱転写されることで印刷される。
【0017】
本発明の第1実施例に従う調節自在のプリントヘッド配列構成20を図3を参照して説明する。図3には調節自在のプリントヘッド配列構成20の分解斜視図が示される。調節自在のプリントヘッド配列構成には、相互連結セクション22によって相互連結された平行な2つの支持体240及び241が含まれる。支持体240及び241の内壁は対向する凹所242及び243を有し、これら凹所内には長孔付きの2つの支持部材41及び42が形成される。支持部材42は支持体241を透かして点線で示され、支持体241は、この支持体241の外壁に開口を有するモーターハウジング29にして、対向する支持体240に向けて伸延するモーターハウジング29を更に含む。
相互連結セクション22は支持体240及び241間に位置付けられ、2つの圧縮バネ45及び46を夫々貫かせて位置付けた2つの円筒状チューブ340及び341を含んでいる。
【0018】
調節自在のプリントヘッド配列構成は、プリントヘッドホルダ19とプリントヘッド9とを支持するためのプリントヘッド支持体8を更に含み、このプリントヘッド支持体8は、プレート35の各端部に設けた平行な2つの突出部260及び261を含む。プレート35は圧縮バネ45及び46の端部が通る2つの孔320及び321を有する。プリントヘッドホルダ19は、バネ45及び46の各端部がプリントヘッドホルダ19と接触するような状態でプレート35の下側に連結される。プリントヘッド9はプリントヘッドホルダ19の裏側に接着される。プリントヘッド支持体8の平行な2つの突出部260及び261は、プリントヘッド支持体8のプレート35、プリントヘッドホルダ19、プリントヘッド9、が第1フレーム1の相互連結セクション22に対して接近及び離動示得るように第1フレーム1の長孔付きの支持部材41及び42に摺動自在に連結される。
【0019】
調節自在のプリントヘッド配列構成20は更に、プリントヘッド起動フレーム7を含み、プリントヘッド起動フレーム7は、上部プレート80と、上部プレート80の各端部に配置されてプリントヘッド支持体の平行な2つの突出部260及び261を受ける平行な2つの受け部材91及び92とを含む。プリントヘッド起動フレーム7の上部プレート80の2つの孔を通して、ネジ溝付きの2本のスピンドル48及び49が伸延される。各スピンドルに螺装した2つのナットが、一方のナットが上部プレート80の上方に配置され、他方のナットが上部プレートの下方に配置されるようにして各スピンドルを上部プレート80に連結する。この配置によりプリントヘッド起動フレームは、スピンドルをナットに関して回転させることによりスピンドルの軸を中心として移動することが可能となる。プリントヘッド起動フレーム7は、その平行な受け部材91及び92がフレーム1の長孔付きの支持部材41及び42の内部に摺動自在に取り付けられるようにして、フレーム1の各支持体間に嵌合配置される。
【0020】
プリントヘッドカバー3は、調節自在のピン2により、フレーム1の長孔付きの支持部材41及び42の上部に固定取り付けされる。各スピンドル48及び49の上端はプリントヘッドカバー3の2つの孔280及び281を各貫いて突出する。円形の2つの歯付ギヤ51及び52が、プリントヘッドカバー3の上に配置されるようにしてスピンドル48及び49の各突出端に連結される。本発明の好ましい実施例では、歯付ギヤ51及び52の歯数は各40である。駆動ギヤ6が、プリントヘッドカバー3上で歯付ギヤ51及び52間に位置決めしたスピンドル90に各歯付ギヤ51及び52を相互連結するようにして回転自在に配置される。
支持体241のモーターハウジング内にはモーター13が配置され、モーター13は駆動ギヤ6と相互連結するウォームギヤ14を駆動するよう配置される。
プリントヘッド起動フレーム7は更に、このプリントヘッド起動フレーム7の上部プレート80の下方に延在する中空の2本の円筒状部材30及び31を含む。円筒状部材30及び31は、プリントヘッドホルダ19から伸延してプレート35の孔320及び321を通り、相互連結セクション22の円筒状チューブ340及び341を通して延在する2つの圧縮バネ45及び46を受けるように配置される。
【0021】
本発明の好ましい実施例に従う調節自在のプリントヘッドを図4を参照して説明する。モーター13が矢印Aで示す反時計方向に駆動されるとウォームギヤ14が、駆動ギヤ6を歯付ギヤ51及び52が時計方向に回転されるように回転させる。時計方向に回転される歯付ギヤ51及び52はスピンドル48及び49を時計方向に回転させ、結局、プリントヘッド起動フレームに装着したナットを各スピンドルの軸線に沿って下方に移動させる。これにより、プリントヘッド起動フレーム7の平行な受け部材91及び92が相互連結セクション22の長孔付きの支持部材41及び42に沿って移動する。プリントヘッド起動フレーム7と、プリントヘッド支持フレーム8と、プリントヘッドホルダ19と、プリントヘッド9とは、かくして第1フレーム1に関して摺動自在に下方のプラテン10に向けて駆動される。モーター13にはモーターの回転数を監視するための軸エンコーダーが設けられる。モーター13の回転数の制御は、プリントヘッド起動フレームを所定距離に沿って駆動するためのマイクロプロセッサチップ100(図7参照)により実施される。
【0022】
図5を参照して説明するに、図5にはプラテンローラー10の画像受けテープ63と接触するプリントヘッド9が示されている。プリントヘッド9とプリントヘッドカバー3との間の距離は記号Yで示される。距離Yはプリントヘッドがプラテンに向けて移動するに従い増大する。またこのプリントヘッド9とプリントヘッドカバー3との間の距離Yはプリントヘッド9が画像受けテープと接触する時に最大値となり、従って、画像受けテープの厚みに依存する。
【0023】
プリントヘッドカバーは長孔付きの支持部材41及び42に固定状態で結合されることから、プリントヘッドカバー3とプラテン10との距離は一定である。従って、距離Yの最大値はプリントヘッドカバー3とプラテン10との間の一定距離を超えることがない。厚みを無視し得る画像受けテープの場合は距離Yの最大値はプリントヘッドカバー3とプラテン10との間の一定距離に等しい。
プリントヘッド9が画像受けテープと接触するとき、圧縮バネ45及び46の圧縮量は最小となり、かくして、この時のプリントヘッド9とプリントヘッド起動フレーム7のプレート80との間の、記号Xで表す距離は最大となる。プリントヘッド起動フレームの移動距離は記号Zで表される。
【0024】
モーターがプリントヘッド起動フレーム7をプラテン10に向けて移動させ続けるに従い、圧縮バネ45及び46は、プラテンによって移動しないようにされたプリントヘッドと、プリントヘッド起動フレーム7のプレート80との間で圧縮量が増大されつつプラテンに向けて移動し続ける。プリントヘッドとプレート80との間の距離Xが減少するとプリントヘッドが画像受けテープに付加する圧力が増大する。従って、画像受けテープに加わる圧力はXの関数、即ち、
P=f(−X)
として表される。
ここで、Pはプリントヘッドにより画像受けテープに付加される圧力を表す。
Y=Z+X
であるから、
P=f(Z−Y)
となる。
【0025】
Yは画像受けテープの厚みだけに依存することから、特定の厚みのテープへの各印刷作業に対するY値は一定であり、画像受けテープに付加される圧力はZの関数として変化する。従って、画像受けテープに付加される圧力はプリントヘッド起動フレームの位置と、画像受けテープの厚みとの既知の値に対しては直接算出することが可能である。
図6には調節自在のプリントヘッド配列構成の斜視図が示され、プリントヘッド起動フレーム7がスピンドル48及び49の各端部に位置付けられている。プリントヘッド支持フレーム8のプレート35がプリントヘッド起動フレームの平行な受け部材91及び92と衝突状態下に接触している。この位置でのプリントヘッド起動フレームの移動距離、即ちZ値は最大となる。圧縮バネ45及び46はこれ以上圧縮されることが無く、プリントヘッドは画像受けテープに最大の圧力を付加する。
【0026】
本発明の他の実施例では、プリントヘッド起動フレームはプリントヘッド支持フレームに関して固定され、圧縮バネ48及び49は省略される。この実施例ではモーター13がプリントヘッドをプラテンに関して接近及び離動させ、夫々作動位置及び非作動位置とする。従ってプリントヘッド9とプリントヘッド起動フレームのプレート80との間の距離Xは一定となる。
図8を参照して説明するに、図8には本発明の更に他の実施例に従う調節自在のプリントヘッド配列構成20’が示される。本配列構成の各部品は、図3に関連して説明したそれらと同じであるので同じ参照番号が付記される。図3に示すプリントヘッド支持フレーム8とプリントヘッド起動フレーム7とは、固定したプリントヘッド起動及び支持フレーム333によって置き換えられている。プリントヘッド起動及び支持フレーム333は単一のものであることから、圧縮バネ45及び46と、円筒状部材30及び31と、相互連結セクション22とは省略される。
【0027】
本実施例ではプラテン10はプリンターに関して圧縮状態下に支持される。プラテン10はプラテン支持フレーム338上に支持される。プラテン支持フレーム338と、プリントヘッド起動及び支持フレーム333とは、プラテンベースプレート336上で、突出部350及び351上に摺動自在に取り付けられる。バネ450及び460がプラテンベースプレート336と、プラテン支持フレームの中央セクションの裏側との間に取り付けられる。
【0028】
次ぎに図9を参照して説明する。プリントヘッドはモーター13が回転することによってプラテンの方向に移動する。プリントヘッド起動及び支持フレーム333の移動距離は記号Z’で表される。距離Z’は、プリントヘッドがプラテン方向に移動するに従い増大する。各圧縮バネは、プリントヘッドが画像受けテープと接触する時、プリントヘッド起動及び支持フレームが移動することで圧縮状態下に配置される。プリントヘッドが画像受けテープと接触する時のプリントヘッド起動及び支持フレームの位置は、画像受けテープの厚さに依存する。各圧縮バネが非圧縮状態となったときのプラテンの位置はプラテンの休止位置として参照される。
【0029】
プリントヘッドがプラテン上で画像受けテープと接触する時、圧縮バネ450及び460の圧縮量は最小となる。従って、プラテンとプラテンベースプレート336との間の記号Bで表す距離は最大となる。モーターがプリントヘッド起動及び支持フレーム333をプラテン10に向けて駆動し続けるに従い、圧縮バネ450及び460は可動のプラテンとベースプレート336との間で圧力増大下に配置される。距離Bが減少するに従い、プリントヘッドが画像受けテープに付加する圧力は増大する。従って、画像受けテープに加わる圧力はBの関数、即ち、
P=f(−B)として表される。
ここで、Pはプリントヘッドにより画像受けテープに付加される圧力を表す。
【0030】
プリントヘッドが画像受けテープと接触した後における距離Z’の増大分は距離Bの減少分に等しい。従って、距離Z’が、プリントヘッドと画像受けテープとが接触するときの距離Zよりも大きい時は、
P=f(Z’)
となる。
プリントヘッドが移動することによって圧縮バネが圧縮されるところの距離Z’の値は画像受け媒体の厚みに依存する。従って、画像受け媒体に付加される圧力は、プリントヘッド起動フレームの位置(Z’)と、画像受けテープの厚みとの既知の値に対しては直接算出することができる。
【0031】
上述した各実施例において、圧力は、プリントヘッド起動フレームの移動距離と、画像受けテープの厚みとから直接算出し得る。プリントヘッド起動フレームの移動距離はモーター13によって制御されることから、画像受けテープに付加する圧力を、モーター13の回転数を制御することによって制御することが可能である。
本発明の実施例において、画像受けテープ上に画像を印刷するために必要な圧力を表示するための情報を画像受けテープに記憶させることができる。画像受けテープに記憶させた情報は、プリンターに位置付けた検出装置を使用して検出することが可能である。例えば、そうした情報は、画像受けテープを収納するカセットに位置付けたRFID装置に記憶させ得、このRFIDのタグに記憶させた情報を検出するためのトランスポンダをプリンター内に位置付けすることができる。別の実施例ではこの情報をカセット上のバーコードに記憶させ、プリンターに組み込んだバーコードリーダーによって読み取ることができ、あるいはカセットに位置付けた電気的に寄り取り可能なROMチップに記憶させ得る。
【0032】
本発明の他の実施例では、画像受けテープに記憶させた情報は、画像受けテープ上に印刷するために必要な圧力を指定するものであり得る。更に、あるいは別様には、テープの厚みに関する情報が提供され得る。そうした情報は画像受けテープに記憶されるか、若しくはユーザーによって入力され得る。好ましい実施例ではプリンターは0.13mm〜1mmの間の範囲の厚さの画像受けテープに印刷するように配置され得る。指定圧力あるいは指定のテープ厚さに関する情報は、以下に説明するように、調節自在のプリントヘッドの動作を制御するために使用することが可能である。
本発明の他の実施例において、プリンターに記憶された情報は調節自在のプリントヘッドの位置を直接制御するために使用される。
【0033】
調節自在のプリントヘッドの制御を図7を参照して説明する。図7にはプリンター1を制御するための基本回路が示される。この回路には、読み出し専用メモリー(ROM)102を有するマイクロプロセッサーチップ100と、マイクロプロセッサー101と、ランダムメモリーアクセスキャパシティー(RAM)104と、が含まれる。マイクロプロセッサーチップ100は、ディスプレードライバチップ109を介してディスプレーを駆動して、印刷するべきラベル(あるいはその一部)を表示させ及び又はユーザーのためのメッセージを表示させるデータを出力する。あるいはディスプレードライバは、マイクロプロセッサーチップの一部を構成し得る。マイクロプロセッサーはキーボード108からの入力を受ける。また、マイクロプロセッサーチップ100は、プリントヘッド9の印刷要素をラベルを形成するように駆動するためのデータをも出力する。マイクロプロセッサーチップ100は、プラテン10を駆動するDCモーター67と、調節自在のプリントヘッド配列構成を駆動するためのモーター13とをも制御する。本発明の別の実施例ではマイクロプロセッサーチップはモーター13を制御し得る。マイクロプロセッサーは、長いテープを切断させるために切断装置28をも制御し得る。
【0034】
先に説明したように、モーター13には、その回転数を監視してプリントヘッド起動フレームの移動距離がマイクロプロセッサーチップ100によって制御され得るようにするための軸エンコーダーが設けられる。
本発明の一実施例によれば、ROMに記憶されたルックアップ表が、モーターの回転数を決定し、かくしてプリントヘッド起動フレームの移動距離を決定するために使用され得る。図10に示すように、ルックアップ表の欄510にはモーターの回転数のリストが表示され、画像受けテープの相当する検出パラメーターが欄520に記憶されている。
【0035】
本発明の一実施例では、検出パラメーターはテープの厚さである。このルックアップ表には、プリントヘッド起動手段を駆動して特定の厚さの画像受けテープに所定の圧力を提供するために必要なモーターの回転数が、画像受けテープの相当する厚さと共に記憶され得る。異なる印刷圧力を必要とする異なる形式の材料をプリンターで使用するための別々のルックアップ表をROMに記憶させ得る。画像受けテープの厚さはユーザーによって入力され得、あるいは先に説明した検出用の配列構成を用いて検出することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施例では、検出パラメーターは画像受けテープに記憶させた任意の値であり得る。この値が、カセット内に収納した画像受けテープに必要圧力下に印刷するために必要なモーターの回転数を指定する。この場合、材料上に印刷するためのプリントヘッド起動フレームの位置が製造者によって予め算出されていることから、プリンターにおける、材料の形式や画像受けテープの厚みを考慮してテープ上に印刷する上での更に他の情報は不要である。本発明の一実施例では、前記任意の値は、図10に関連して説明したようなルックアップ表によるモーターの回転数を指定し得る値である。他の実施例では
この値は、ROMに記憶させたアルゴリズムにおいて、モーターの回転数を算出するために使用され得る。
【0037】
本発明の更に他の実施例において、プリントヘッド起動フレームの位置はマイクロプロセッサーのROMに記憶させたアルゴリズムを用いて算出され得る。先に説明したように、圧力及び画像受けテープの厚さはプリントヘッド起動フレームの位置から直接算出され得る。異なる画像受けテープに対しては異なる圧力が要求されることから、プリンターに異なる画像受けテープが組み込まれる場合は異なるアルゴリズムをROMに記憶させ得る。
【0038】
本発明の好ましい実施例では、プリンターには、プリントヘッド起動フレームを参照位置に戻すための、プリントヘッド起動フレームホームスイッチが設けられる。プリントヘッド起動フレームホームスイッチは、ユーザーが画像受けテープを取り出せるようにするために操作され得る。プリントヘッド起動フレームホームスイッチはまた、停電などに際し、プリントヘッド起動フレームを参照位置に再位置付けさせ得るようにするためにも操作され得る。
【0039】
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例におけるテーププリンターの概略平面断面図である。
【図2】本発明の他の実施例おけるテーププリンターの概略平面断面図である。
【図3】本発明の一実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の斜視図である。
【図6】本発明の一実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の斜視図である。
【図7】図1の実施例におけるプリンターのための制御回路のダイヤグラム図である。
【図8】本発明の他の実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の分解斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例における調節自在のプリントヘッド配列構成の側面図である。
【図10】本発明の一実施例におけるルックアップ表である。
【符号の説明】
【0041】
1 フレーム
2 ピン
3 プリントヘッドカバー
6 駆動ギヤ
7 プリントヘッド起動フレーム
8 プリントヘッド支持体
9 感熱プリントヘッド
10、10’ プラテン
12 インクリボン
13 モーター
14 ウォームギヤ
19 プリントヘッドホルダ
20 調節自在のプリントヘッド配列構成
22 相互連結セクション
29 モーターハウジング
30、31 円筒状部材
35 プレート
41、42 支持部材
45、46 圧縮バネ
48、49 スピンドル
48 インクリボン供給スプール
50 インクリボン巻き取りスプール
51、52 歯付ギヤ
60 カセット
61 テーププリンター
62、62’ カセット受けベイ
63、63’ 画像受けテープ
64 供給スプール
65、65’ 印刷ゾーン
66、66’ 出口
67 DCモーター
68 切断位置
69 切断装置
70 ブレード
71 凹所
71 長孔
72 上側カセット
74 下側カセット
76 供給スプール
78 巻き取りスプール
80 凹所
80 上部プレート
90 スピンドル
91、92 受け部材
100 マイクロプロセッサーチップ
101 マイクロプロセッサー
104 ランダムメモリーアクセスキャパシティー
108 キーボード
109 ディスプレードライバチップ
240、241 支持体
242、243 凹所
260、261 突出部
320、321 孔
333 プリントヘッド起動及び支持フレーム
336 プラテンベースプレート
338 プラテン支持フレーム
340、341 円筒状チューブ
350、351 突出部
450、460 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドアセンブリーであって、
画像受け手段に印刷するように配置したプリントヘッドと、
プラテンと、
固定支持体と、
固定支持体に摺動自在に連結され、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームと、
第1フレームを固定支持体に関して駆動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させるための駆動手段と、
を含むプリントヘッドアセンブリー。
【請求項2】
第1フレームとプリントヘッドあるいはプラテンとの各間部分に圧縮手段を更に含む請求項1のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項3】
第2フレームを更に含み、プリントヘッド及びプラテンの他方が第2フレームに取り付けられる請求項1のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項4】
第2フレームとプラテンあるいはプリントヘッドとの各間部分に圧縮手段を更に含む請求項3のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項5】
固定支持体に摺動自在に結合した第3フレームを更に含み、圧縮手段が第1フレームと第3フレームとの間に連結される請求項2のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項6】
駆動手段が、固定支持体に関して第3フレームと第1フレームとを共に駆動する請求項5のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項7】
プリントヘッドが第1フレームに取り付けられ、プリントヘッドが画像受け手段と接触すると駆動手段が第3フレームを第1フレームに向けて駆動して圧縮手段を圧縮するようになっている請求項5のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項8】
プリントヘッドが第1フレームに取り付けられ、プリントヘッドが画像受け手段と接触すると駆動手段が第1フレームを固定手段に関して駆動してプラテンを第2フレームに向けて移動させるようになっている請求項3のプリントヘッドアセンブリー。
【請求項9】
プリントヘッドアセンブリーであって、
画像受け手段に印刷するように配置したプリントヘッドと、
プラテンと、
固定支持体と、
固定支持体に連結され、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームと、
画像受け手段に記憶させた情報に従い、第1フレームを固定支持体に関して駆動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させるための駆動手段と、
を含むプリントヘッドアセンブリー。
【請求項10】
プリンターであって、
データを入力するための入力手段と、
画像受け手段に印刷するように配置したプリントヘッドと、
プラテンと、
固定支持体と、
固定支持体に摺動自在に連結され、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けたした第1フレームと、
第1フレームを固定支持体に関して移動してプリントヘッド及びプラテンの一方を他方に向けて直線方向に移動させるための駆動手段と、
を含むプリンター。
【請求項11】
第1フレームが、入力データに従い第1フレームを固定支持体に関する所定の位置に駆動する請求項10のプリンター。
【請求項12】
プリントヘッドアセンブリーの制御方法であって、
プリントヘッドアセンブリーが、画像受け取り手段上に印刷するべく配置したプリントヘッドと、
プラテンと、
固定支持体と、
固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームにして、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームとを含み、
第1フレームを固定支持体に関する所定位置に駆動すること、
を含む制御方法。
【請求項13】
プリンターを使用した印刷方法であって、
プリンターが、データを入力するための入力手段と、
画像受け取り手段上に印刷するように配置したプリントヘッドと、
プラテンと、
固定支持体と、
固定支持体に摺動自在に連結した第1フレームにして、プリントヘッド及びプラテンの一方を取り付けた第1フレームとを含み、
第1フレームを固定支持体に関する所定の位置に駆動すること、
入力されたデータに従い画像受け取り手段上に画像を印刷すること、
を含む印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−516863(P2007−516863A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540408(P2006−540408)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013546
【国際公開番号】WO2005/051667
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(501208637)
【Fターム(参考)】