印刷制御プログラム、及び印刷制御装置
【課題】縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる印刷制御プログラム、及び印刷制御装置を提供する。
【解決手段】印刷制御プログラムは、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、複数のシート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に仮想媒体を構成しているシート状媒体の余白領域に印刷される余白領域部分と、シート状媒体の余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに画像を分割する分割手段と、分割手段によって分割された1以上の印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、分割手段によって分割された余白領域部分を印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる。
【解決手段】印刷制御プログラムは、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、複数のシート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に仮想媒体を構成しているシート状媒体の余白領域に印刷される余白領域部分と、シート状媒体の余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに画像を分割する分割手段と、分割手段によって分割された1以上の印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、分割手段によって分割された余白領域部分を印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御プログラム、及び印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用する記録紙のサイズより大きいサイズの文字情報や画像情報を複数枚の記録紙に分割して印刷するポスター印刷が可能な印刷制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷制御装置では、媒体(記録紙)の周囲に印刷不能領域(余白領域)が発生する状況となる場合、言い換えると、縁なし印刷を行えない場合、ユーザが各媒体の余白領域を切り落とし、余白領域を切り落とした各媒体を貼り合わせることによって1枚の大きなポスターを作製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷制御装置によると、各媒体の余白領域を切り落とすので、元の媒体を並べたサイズに比べて切り落とした余白領域の分だけポスターのサイズが小さくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる印刷制御プログラム、及び印刷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、印刷制御プログラムであって、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる。
この発明によると、ユーザは印刷領域部分が印刷された複数のシート状媒体を並べ、余白領域部分が印刷されたシート状媒体から切り出した余白領域部分によってそれらのシート状媒体を貼り合わせることにより、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段は、前記余白領域部分を分割してシート状媒体の前記印刷領域内に配置する配置手段を有する。
この発明によると、余白領域部分を分割してシート状媒体の印刷領域内に配置するので、余白領域部分を印刷するために必要なシート状媒体の枚数を低減できる。
【0008】
第3の発明は、第2の発明の印刷制御プログラムであって、前記配置手段は、前記余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、当該余白領域部分を複数のシート状媒体に分けて配置する。
この発明によると、余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、複数のシート状媒体に分けて配置するので、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0009】
第4の発明は、第2の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段により印刷されるシート状媒体は長尺シート体であり、前記配置手段は、前記余白領域部分の幅と前記長尺シート体の幅とを比較し、当該余白領域部分の幅が前記長尺シート体の幅よりも広い場合は、当該余白領域部分を幅方向に分割し、前記長尺シート体上に当該長尺シート体の長さ方向に並べて配置する。
この発明によると、余白領域部分の幅が長尺シート体の幅より広い場合であっても、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0010】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記第1の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第1の指定手段と、前記第2の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第2の指定手段とを備え、前記第1の指定手段と前記第2の指定手段とは互いに異なるトレイを指定可能である。
この発明によると、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した種類のシート状媒体に印刷させることができる。
【0011】
第6の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とは互いに異なる印刷装置に印刷させる。
この発明によると、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した印刷装置に印刷させることができる。
【0012】
第7の発明は、第6の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段はラベルライターに印刷させる。
この発明によると、余白領域部分をラベルライター(裏面が糊付けされたシールに印刷する印刷装置)に印刷させるので、ユーザは張り合わせ作業を簡単に行うことができる。
【0013】
第8の発明は、第1〜第7のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記余白領域部分及び前記印刷領域部分の配置を示す配置図を出力する出力手段を備える。
この発明によると、ユーザは出力された配置図を見ながら張り合わせ作業を行うことができるので、ポスターの作製が容易になる。
【0014】
第9の発明は、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段と、を備える。
この発明によると、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る印刷制御装置、及び印刷装置を示すブロック図。
【図2】作製されるポスターの一例を示す模式図。
【図3】ポスター印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図4】ポスター印刷設定ウィンドウを示す模式図。
【図5】余白領域印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図6】余白領域部分の分割を示す模式図。
【図7】余白領域配置処理の流れを示すフローチャート。
【図8】仮想ページの一例を示す模式図。
【図9】配置図の一例を示す模式図。
【図10】実施形態2に係る印刷制御装置、及び印刷装置を示すブロック図。
【図11】配置図の一例を示す模式図。
【図12】配置図の一例を示す模式図。
【図13】余白領域印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図14】余白領域部分の分割を示す模式図。
【図15】テープ印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図16】余白領域部分が配置されて印刷された長尺シート体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
(1)印刷制御装置の電気的構成
図1は、本発明の実施形態1に係るパーソナルコンピュータ1(印刷制御装置の一例、以下「PC」という)の電気的構成を示すブロック図である。PC1は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶部14、表示部15、操作部16、通信インタフェース(通信I/F)17などを備えて構成されている。
【0018】
CPU11(分割手段、第1の制御手段、第2の制御手段、配置手段、第1の指定手段、第2の指定手段の一例)は、ROM12や記憶部14に記憶されている各種のプログラムを実行することによりPC1の各部を制御する。ROM12にはCPU11が実行するための各種のプログラムやデータなどが記憶されている。RAM13(記憶手段の一例)はCPU11が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0019】
記憶部14は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のプログラムやデータを記憶する外部記憶装置である。記憶部14には、オペレーティングシステム(OS)、プリンタ2用のプリンタドライバ(印刷制御プログラムの一例)、OSを介してプリンタドライバにポスター画像の印刷を要求する各種のアプリケーションプログラムなどが記憶されている。
【0020】
表示部15(出力手段の一例)は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置やその表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。
操作部16(第1の指定手段、第2の指定手段の一例)は、マウスやキーボードなどで構成されている。
【0021】
通信インタフェース17は、USB(Universal Serial Bus)やRS−232Cなどの通信規格に準拠して構成されており、通信ケーブルを介してプリンタ2と接続されている。なお、通信インタフェース17はLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介してプリンタ2と接続される構成であってもよい。
【0022】
プリンタ2(印刷装置の一例)は、紙などの印刷用紙(シート状媒体の一例)にレーザー方式、LED方式、インクジェット方式などで画像を印刷する装置である。プリンタ2は印刷用紙の縁部に余白領域を残して画像を印刷する装置であり、所謂「縁なし印刷」には対応していない。余白領域の幅(短手方向の幅)を示す情報はプリンタ2用のプリンタドライバに予め書き込まれていてもよいし、プリンタドライバがプリンタ2に余白領域の幅を問い合せることによって幅の情報が取得される構成であってもよい。
【0023】
(2)ポスターの作製例
図2は、本実施形態によって作製されるポスターの一例を示す模式図である。図示する例では2×2サイズのポスター20を示している。2×2サイズとは、縦置きした印刷用紙21を横に2枚並べ、それを上下2段に並べたサイズをいう。
【0024】
図中において破線で示す矩形領域22は、ポスター20を構成している各印刷用紙21の印刷領域を示している。図示するように本実施形態に係るポスター20は、ポスター20を構成している印刷用紙21の印刷領域22以外の領域、すなわち余白領域にもポスター画像の一部が印刷されているように見える。ポスター画像のうち余白領域に印刷されているように見える部分(余白領域部分)は、実際には印刷用紙の余白領域に印刷されているのではなく、余白領域部分を別の印刷用紙の印刷領域に印刷し、その印刷用紙から余白領域部分を切り出して張り付けたものである。つまり、図示するポスター20は、2×2サイズに並べた4枚の印刷用紙21を、切り出した余白領域部分によって貼り合わせることによって作製されている。
【0025】
(3)ポスター印刷処理
図3は、ポスター印刷処理の流れを示すフローチャートである。本処理は画像編集ソフトなどのアプリケーションでユーザにより印刷が指示されると開始される。
【0026】
ここで、ユーザはアプリケーションによって印刷を指示する前に、以下に説明するポスター印刷設定ウィンドウでポスター印刷の設定を行っておくものとする。
図4は、ポスター印刷設定ウィンドウを示す模式図である。ポスター印刷設定ウィンドウ31はプリンタドライバによって表示部15に表示されるウィンドウである。ポスター印刷設定ウィンドウ31においてポスターサイズ欄32は、印刷するポスターのサイズを選択するための欄である。「2×2サイズ」は図2で説明したサイズである。ユーザはこの他にも1×2サイズ、2×1サイズ、3×3サイズなどのサイズを選択することができる。なお、ユーザが選択できるサイズはこれらに限られるものではなく、これら以外のサイズを選択できるようにしてもよい。
【0027】
印刷領域用トレイ欄33は、ポスター画像のうち余白領域部分以外の部分である印刷領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイを指定するための欄である。
余白領域用トレイ欄34は、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイを指定するための欄である。
決定ボタン35は、ポスター印刷設定を確定するためのボタンである。
【0028】
ポスター印刷の設定を行った後、ユーザがアプリケーションで印刷を指示すると、アプリケーションからプリンタドライバにポスター画像が出力され、以下に説明するポスター印刷処理が開始される。
【0029】
S101では、プリンタ2用のプリンタドライバを実行するCPU11(以下、単に「プリンタドライバ」という)は、ポスター印刷設定ウィンドウ31で設定された設定内容を取得する。
【0030】
S102では、プリンタドライバは取得した設定内容に基づいてポスター画像の拡大率を計算する。
以下、拡大率の計算について図2を参照して説明する。先ず、プリンタドライバは、2×2サイズに並べた4つの印刷用紙21を仮想的な1枚のシート状媒体(仮想媒体)とみなし、左上にある印刷用紙21の印刷領域22の左上の角部P1、左下にある印刷用紙21の印刷領域22の左下の角部P2、右上にある印刷用紙21の印刷領域22の右上の角部P3、及び、右下にある印刷用紙21の印刷領域22の右下の角部P4によって囲まれる矩形領域を、その仮想媒体の仮想的な印刷領域(「仮想印刷領域」という)とみなす。
【0031】
次に、プリンタドライバは1枚の印刷用紙の印刷領域22と同じサイズのポスター画像を生成し、基準サイズとする。仮想印刷領域の高さと印刷領域22の高さとの比は、印刷領域22の高さをh1、下側の余白領域の幅(短手方向の幅)をh2、上側の余白領域の幅(短手方向の幅)をh3とすると、(2×h1+h2+h3)/h1である。そこで、プリンタドライバは、基準サイズのポスター画像を(2×h1+h2+h3)/h1倍に拡大する。この(2×h1+h2+h3)/h1が上述した拡大率である。
【0032】
なお、ユーザが拡大率を指定できるようにしてもよい。その場合に、拡大後のポスター画像が仮想印刷領域からはみ出す場合は仮想印刷領域からはみ出す部分は破棄されるものとする。また、ポスター画像を拡大せずに印刷してもよい。
また、ここでは仮想印刷領域の高さを基準に拡大率を計算する場合を例に説明したが、仮想印刷領域の幅を基準に拡大率を計算してもよい。仮想印刷領域の幅は、印刷領域22の幅をw1、右側の余白領域の幅(短手方向の幅)をw2、左側の余白領域の幅(短手方向の幅)をw3とすると、2×w1+w2+w3である。
また、拡大率の計算方法は上述した方法に限られるものではなく、例えば仮想印刷領域の高さ、印刷解像度、画像の1ピクセル当たりのプリンタのドット数などから拡大(ポスター画像の元のサイズが大きい場合には縮小)後のポスター画像の縦方向のピクセル数を逆算し、逆算したピクセル数を拡大(あるいは縮小)前のポスター画像の縦方向のピクセル数で除算することによって拡大率(あるいは縮小率)を計算してもよい。
【0033】
S103では、プリンタドライバは基準サイズのポスター画像をS102で計算した拡大率で縦横等倍に拡大する。
S104では、プリンタドライバは拡大したポスター画像を印刷領域部分と余白領域部分とに分割する。具体的には例えば、プリンタドライバは、ポスター画像上の各印刷領域部分の4隅の座標をh1〜h3、及びw1〜w3に基づく比に基づいて特定する。一方、余白領域部分については、プリンタドライバは特定した印刷領域部分以外の部分として特定する。プリンタドライバは、特定した印刷領域部分、及び余白領域部分をポスター画像から抽出することにより、ポスター画像を印刷領域部分と余白領域部分とに分割する。
【0034】
なお、余白領域部分については、少なくとも印刷領域部分以外の部分が含まれていればよく、実際にはそれよりも広い部分(すなわち、印刷領域と重なる領域を含んでいる部分)であってもよい。
【0035】
S105では、プリンタドライバは印刷用紙を取り出すトレイとして、ポスター印刷設定ウィンドウ31の印刷領域用トレイ欄33で選択されたトレイを設定する。
S106では、プリンタドライバは分割した1以上の印刷領域部分をプリンタ2に送信する。プリンタ2は受信した印刷領域部分をそれぞれ1枚の印刷用紙に順番に印刷する。ポスターサイズが「2×2サイズ」と設定されていれば、4枚の印刷用紙に印刷領域部分が印刷される。
【0036】
S107では、プリンタドライバは印刷用紙を取り出すトレイとして、ポスター印刷設定ウィンドウ31の余白領域用トレイ欄34で選択されたトレイを設定する。
S108では、プリンタドライバは余白領域部分を印刷する処理である「余白領域印刷処理」を実行する。「余白領域印刷処理」については後述する。
【0037】
S109では、プリンタドライバは印刷領域部分が印刷された印刷用紙の配置や余白領域部分が印刷された印刷用紙から切り出した余白領域部分の配置をユーザに案内するための配置図(図9参照)を生成する。配置図の詳細については後述する。
S110では、プリンタドライバは生成した配置図を出力する。配置図の出力は表示部15に表示することによって行ってもよいし、配置図をプリンタ2に送信して印刷用紙に印刷させることによって行ってもよい。
【0038】
(3−1)余白領域印刷処理
図5は、余白領域印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S201では、プリンタドライバは余白領域部分を分割する。
具体的には例えば、プリンタドライバは、図6に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち横方向に延びる境界線を延長した仮想線によって、余白領域部分41を横方向に延びる横長部分42と横長部分42によって分断される複数の縦長部分43とに分割する。図中の数字は、次のS202においてプリンタドライバが各部分を選択する順番を示している。
【0039】
S202では、プリンタドライバは余白領域部分を分割した複数の部分の中から一つを選択する。選択の順序は任意であってよいが、本実施形態では図6に示す1、2、3の順で選択するものとする。
S203では、プリンタドライバはS202で選択した部分をRAM13上の仮想ページに配置する処理である「余白領域配置処理」を実行する。「余白領域配置処理」については後述する。
【0040】
S204では、プリンタドライバは全ての部分の選択が終了したか否かを判定し、終了している場合はS205に進み、終了していない場合はS202に戻って全ての部分の選択が終了するまで処理を繰り返す。
S205では、プリンタドライバは、プリンタ2を制御して、S107で設定されたトレイに収容されている印刷用紙の印刷領域に上述した仮想ページを印刷する。すなわち余白領域部分を印刷する。
【0041】
(3−2)余白領域配置処理
図7は、余白領域配置処理の流れを示すフローチャートである。
S301では、プリンタドライバはS202で選択した部分が横長であるか否かを判定し、横長である場合はS302に進み、縦長である場合はS303に進む。
【0042】
S302では、プリンタドライバは選択した部分を左回りあるいは右回りに90度回転させる。
S303では、プリンタドライバは1枚の印刷用紙の印刷領域に相当するサイズの仮想ページをRAM13上に生成する。
【0043】
S304では、プリンタドライバは選択した部分の全領域のうち未だ仮想ページに配置されていない領域である残り領域を設定する。本処理の開始直後は選択した部分の全領域が残り領域として設定される。
S305では、プリンタドライバは残り領域の縦方向の長さが仮想ページの高さ(印刷領域22の高さh1に相当)より長いか否かを判定し、仮想ページの高さより長い場合はS306に進み、印刷領域の高さh1以下である場合はS307に進む。
【0044】
S306では、プリンタドライバは残り領域のうち上から仮想ページの高さ分の領域を取得し、取得した領域を仮想ページ上の空き領域に配置する。
図8は、領域が配置された仮想ページの一例を示す模式図である。ここでは残り領域から取得した領域を仮想ページ50の左から右に配置していく場合を示している。取得した領域の配置では、プリンタドライバは始めにその領域を他の領域と識別するための領域記号を配置し、その右側に当該領域を縦に延びるように配置する。図示する例では領域記号として、領域を配置した順にアルファベット1文字を配置している。
【0045】
ところで、仮想ページ50上の空き領域に上述した領域や領域記号を配置するとその分だけ仮想ページ50上の空き領域が減るので、配置を繰り返すとやがて空き領域が足りなくなる。空き領域が足りない場合には、プリンタドライバは配置に失敗することになる。
【0046】
S307では、プリンタドライバは残り領域全部を仮想ページ上の空き領域に配置する。この場合もプリンタドライバはS306と同様に領域記号を配置する。そして、この場合も空き領域が足りない場合は配置に失敗することになる。
S308では、プリンタドライバは仮想ページ上に領域を配置できたか否かを判断する。プリンタドライバは、配置に失敗した場合(空き領域が足りなかった場合)はS309に進み、配置できた場合はS311に進む。
【0047】
S309では、プリンタドライバは、プリンタ2を制御して、S107で設定されたトレイに収容されている印刷用紙の印刷領域に仮想ページを印刷する。すなわち余白領域部分を印刷する。
S310では、プリンタドライバは仮想ページを白で塗り潰すことによって仮想ページをクリアする。
【0048】
S311では、プリンタドライバは配置した領域を残り領域から削除する。その結果、残り領域が短くなる。S307を実行した場合は残り領域を全部配置するので、配置した領域を残り領域から削除すると残り領域がなくなることになる。
S312では、プリンタドライバは残り領域がなくなったか否かを判断し、なくなった場合は余白領域印刷処理に戻り、残り領域がまだある場合はS305に戻って処理を繰り返す。
【0049】
(4)配置図
図9は、配置図の一例を示す模式図である。図示する例では2×2サイズが選択された場合の配置図55を示している。配置図55は、仮想媒体を表す枠内を印刷領域と余白領域とに区切り、更に余白領域を余白領域配置処理で配置した領域に区切って示す図である。各印刷領域に示されている数字はその印刷領域が印刷される順番を示しており、A、B、Cなどのアルファベットは領域記号である。プリンタドライバは配置図を作成するために必要な情報を前述した各処理の中で取得しておくものとする。
【0050】
(5)実施形態の効果
以上説明した本発明の実施形態1に係るPC1によると、ユーザは印刷領域部分が印刷された複数の印刷用紙を並べ、余白領域部分が印刷された印刷用紙から切り出した余白領域部分によってそれらの印刷用紙を貼り合わせることにより、縁なし印刷を行えないプリンタ2を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【0051】
更に、PC1によると、余白領域部分を分割して印刷用紙の印刷領域内に配置するので、余白領域部分を印刷するために必要な印刷用紙の枚数を低減できる。
【0052】
更に、PC1によると、余白領域部分を分割しても1枚の印刷用紙の印刷領域内に配置不可能な場合は、複数の印刷用紙に分けて配置するので、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0053】
更に、PC1によると、印刷領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイと、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイとを別々に指定することができるので、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した種類のシート状媒体に印刷させることができる。
例えば、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイとして設定したトレイにシール用紙をセットしておけば、切り出した余白領域部分を貼り付ける際にのり付けの手間を省くことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0054】
更に、PC1によると、配置図を出力するので、ユーザは出力された配置図を見ながら張り合わせ作業を行うことができ、ポスターの作製が容易になる。
【0055】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図16によって説明する。
実施形態2では、図10に示すように、通信インタフェース17にプリンタ2とラベルライター3(印刷装置の一例)とを接続し、印刷領域部分については実施形態1と同様にプリンタ2によって印刷し、余白領域部分についてはラベルライター3によって印刷する。ラベルライター3は、テープ(長尺シート体の一例)に文字や画像を印刷することによってラベルを作成するための装置である。テープとしては裏面がシールとして構成されているものを用いることが望ましい。
【0056】
図11、及び図12は、実施形態2に係る配置図60、61を示している。図11において領域A、B、Cはそれぞれ余白領域部分が印刷されたテープの配置を示している。図11及び図12から判るように実施形態2ではテープの一部が印刷領域部分と重なって配置される。なお、テープが重ならないように配置するようにしてもよい。
【0057】
図11及び図12においてテープを3列に配置しているのは、印刷領域の間隔がテープの幅より広いためである。本実施形態では、印刷領域の間隔がテープ1本分の幅より広くテープ2本分の幅よりは狭い場合であっても、印刷領域部分をテープ3本に印刷して張り付ける。その理由は、テープの列数を偶数にするとテープが印刷用紙の間を跨がなくなってしまい、印刷用紙を張り合わせることができないからである。なお、印刷用紙を裏面から別途貼り合わせる場合にはテープの列数を偶数にしてもよい。
【0058】
図13は、実施形態2に係る余白領域印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S401では、プリンタドライバは、図14に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち縦方向に延びる境界線を延長した仮想線によって余白領域部分70を縦長部分71と横長部分72とに分割する。以下の処理では縦長部分71のみを用いる。
【0059】
S402では、プリンタドライバは複数の縦長部分(図示する例では1つのみ)の中から一つを選択する。
S403では、プリンタドライバは選択した縦長部分をテープに印刷する処理であるテープ印刷処理を実行する。「テープ印刷処理」については後述する。
S404では、プリンタドライバは全ての縦長部分の選択が終了したか否かを判定し、終了している場合はS405に進み、終了していない場合はS402に戻って処理を繰り返す。
【0060】
S405では、プリンタドライバは、S401で分割される前の余白領域部分について、前述した図6に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち横方向に延びる境界線を延長した仮想線によって余白領域部分を縦長部分と横長部分とに分割する。以下の処理では横長部分のみを用いる。
S406〜S408の処理は、縦が横になったことを除いてS402〜S404の処理と実質的に同一であるので説明を省略する。
【0061】
図15は、テープ印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S501では、プリンタドライバはテープの列数を示す変数である平行数に初期値として1を設定する。
S502では、プリンタドライバは余白領域部分(S402で選択された縦長部分、又はS406で選択された横長部分)の幅(短手方向の幅)がテープ幅に平行数を乗算した値より大きいか否かを判断し、大きい場合はS503に進み、テープ幅に平行数を乗算した値以下である場合はS504に進む。
【0062】
S503では、プリンタドライバは平行数に2を加算する。2を加算するのは、前述した理由によりテープの列数を奇数に保つためである。
S504では、プリンタドライバは、余白領域部分の幅を、テープ幅に平行数を乗算した幅に拡張する。
具体的に説明すると、S502で否定判定される場合として、余白領域部分の幅がテープ幅に並行数を乗算した値より小さい場合が含まれる。余白領域部分の幅がテープ幅に並行数を乗算した値より小さい場合は、余白領域部分の幅を拡張しないと、テープに画像が印刷されない領域が生じてしまう。そのため、プリンタドライバは余白領域部分の幅を、テープ幅に並行数を乗算した幅に拡張する。プリンタドライバは、余白領域部分の幅を拡張すると、その拡張した幅の余白領域部分をあらためてポスター画像から抽出し直す。
【0063】
S505では、あらためて抽出し直した余白領域部分を、幅方向に平行数で分割する。
S506では、プリンタドライバは余白領域部分を幅方向に分割した各部分をラベルライター3に印刷させるための印刷データを作成する。具体的には、プリンタドライバは、図16に示すテープ80のように領域記号と分割した余白領域部分とが縦方向に交互に配置されて印刷されるように印刷データを生成する。
S507では、プリンタドライバは生成した印刷データをラベルライター3に印刷させる。
【0064】
以上説明した本発明の実施形態2に係るPC1によると、余白領域部分の幅とテープの幅とを比較し、余白領域部分の幅がテープの幅よりも広い場合は余白領域部分を幅方向に分割し、テープ上に当該テープの長さ方向に並べて配置するので、余白領域部分の幅がテープの幅より広い場合であっても、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0065】
更に、実施形態2に係るPC1によると、印刷領域部分と余白領域部分とを互いに異なる印刷装置に印刷させるので、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した印刷装置に印刷させることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記実施形態では印刷領域が印刷される印刷用紙が収容されているトレイと余白領域部分が印刷される印刷用紙が収容されているトレイとを別々に指定する場合を例に説明したが、同じトレイに収容されている印刷用紙に印刷してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・パーソナルコンピュータ
2・・・プリンタ
3・・・ラベルライター
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・記憶部
15・・・表示部
16・・・操作部
17・・・通信インタフェース
20・・・ポスター
21・・・印刷用紙
22・・・印刷領域
41・・・余白領域部分
55・・・配置図
60・・・配置図
70・・・余白領域部分
80・・・テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御プログラム、及び印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用する記録紙のサイズより大きいサイズの文字情報や画像情報を複数枚の記録紙に分割して印刷するポスター印刷が可能な印刷制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷制御装置では、媒体(記録紙)の周囲に印刷不能領域(余白領域)が発生する状況となる場合、言い換えると、縁なし印刷を行えない場合、ユーザが各媒体の余白領域を切り落とし、余白領域を切り落とした各媒体を貼り合わせることによって1枚の大きなポスターを作製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷制御装置によると、各媒体の余白領域を切り落とすので、元の媒体を並べたサイズに比べて切り落とした余白領域の分だけポスターのサイズが小さくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる印刷制御プログラム、及び印刷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、印刷制御プログラムであって、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる。
この発明によると、ユーザは印刷領域部分が印刷された複数のシート状媒体を並べ、余白領域部分が印刷されたシート状媒体から切り出した余白領域部分によってそれらのシート状媒体を貼り合わせることにより、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段は、前記余白領域部分を分割してシート状媒体の前記印刷領域内に配置する配置手段を有する。
この発明によると、余白領域部分を分割してシート状媒体の印刷領域内に配置するので、余白領域部分を印刷するために必要なシート状媒体の枚数を低減できる。
【0008】
第3の発明は、第2の発明の印刷制御プログラムであって、前記配置手段は、前記余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、当該余白領域部分を複数のシート状媒体に分けて配置する。
この発明によると、余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、複数のシート状媒体に分けて配置するので、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0009】
第4の発明は、第2の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段により印刷されるシート状媒体は長尺シート体であり、前記配置手段は、前記余白領域部分の幅と前記長尺シート体の幅とを比較し、当該余白領域部分の幅が前記長尺シート体の幅よりも広い場合は、当該余白領域部分を幅方向に分割し、前記長尺シート体上に当該長尺シート体の長さ方向に並べて配置する。
この発明によると、余白領域部分の幅が長尺シート体の幅より広い場合であっても、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0010】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記第1の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第1の指定手段と、前記第2の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第2の指定手段とを備え、前記第1の指定手段と前記第2の指定手段とは互いに異なるトレイを指定可能である。
この発明によると、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した種類のシート状媒体に印刷させることができる。
【0011】
第6の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とは互いに異なる印刷装置に印刷させる。
この発明によると、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した印刷装置に印刷させることができる。
【0012】
第7の発明は、第6の発明の印刷制御プログラムであって、前記第2の制御手段はラベルライターに印刷させる。
この発明によると、余白領域部分をラベルライター(裏面が糊付けされたシールに印刷する印刷装置)に印刷させるので、ユーザは張り合わせ作業を簡単に行うことができる。
【0013】
第8の発明は、第1〜第7のいずれかの発明の印刷制御プログラムであって、前記余白領域部分及び前記印刷領域部分の配置を示す配置図を出力する出力手段を備える。
この発明によると、ユーザは出力された配置図を見ながら張り合わせ作業を行うことができるので、ポスターの作製が容易になる。
【0014】
第9の発明は、シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段と、を備える。
この発明によると、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、縁なし印刷を行えない印刷装置を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る印刷制御装置、及び印刷装置を示すブロック図。
【図2】作製されるポスターの一例を示す模式図。
【図3】ポスター印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図4】ポスター印刷設定ウィンドウを示す模式図。
【図5】余白領域印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図6】余白領域部分の分割を示す模式図。
【図7】余白領域配置処理の流れを示すフローチャート。
【図8】仮想ページの一例を示す模式図。
【図9】配置図の一例を示す模式図。
【図10】実施形態2に係る印刷制御装置、及び印刷装置を示すブロック図。
【図11】配置図の一例を示す模式図。
【図12】配置図の一例を示す模式図。
【図13】余白領域印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図14】余白領域部分の分割を示す模式図。
【図15】テープ印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図16】余白領域部分が配置されて印刷された長尺シート体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
(1)印刷制御装置の電気的構成
図1は、本発明の実施形態1に係るパーソナルコンピュータ1(印刷制御装置の一例、以下「PC」という)の電気的構成を示すブロック図である。PC1は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶部14、表示部15、操作部16、通信インタフェース(通信I/F)17などを備えて構成されている。
【0018】
CPU11(分割手段、第1の制御手段、第2の制御手段、配置手段、第1の指定手段、第2の指定手段の一例)は、ROM12や記憶部14に記憶されている各種のプログラムを実行することによりPC1の各部を制御する。ROM12にはCPU11が実行するための各種のプログラムやデータなどが記憶されている。RAM13(記憶手段の一例)はCPU11が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0019】
記憶部14は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のプログラムやデータを記憶する外部記憶装置である。記憶部14には、オペレーティングシステム(OS)、プリンタ2用のプリンタドライバ(印刷制御プログラムの一例)、OSを介してプリンタドライバにポスター画像の印刷を要求する各種のアプリケーションプログラムなどが記憶されている。
【0020】
表示部15(出力手段の一例)は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置やその表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。
操作部16(第1の指定手段、第2の指定手段の一例)は、マウスやキーボードなどで構成されている。
【0021】
通信インタフェース17は、USB(Universal Serial Bus)やRS−232Cなどの通信規格に準拠して構成されており、通信ケーブルを介してプリンタ2と接続されている。なお、通信インタフェース17はLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介してプリンタ2と接続される構成であってもよい。
【0022】
プリンタ2(印刷装置の一例)は、紙などの印刷用紙(シート状媒体の一例)にレーザー方式、LED方式、インクジェット方式などで画像を印刷する装置である。プリンタ2は印刷用紙の縁部に余白領域を残して画像を印刷する装置であり、所謂「縁なし印刷」には対応していない。余白領域の幅(短手方向の幅)を示す情報はプリンタ2用のプリンタドライバに予め書き込まれていてもよいし、プリンタドライバがプリンタ2に余白領域の幅を問い合せることによって幅の情報が取得される構成であってもよい。
【0023】
(2)ポスターの作製例
図2は、本実施形態によって作製されるポスターの一例を示す模式図である。図示する例では2×2サイズのポスター20を示している。2×2サイズとは、縦置きした印刷用紙21を横に2枚並べ、それを上下2段に並べたサイズをいう。
【0024】
図中において破線で示す矩形領域22は、ポスター20を構成している各印刷用紙21の印刷領域を示している。図示するように本実施形態に係るポスター20は、ポスター20を構成している印刷用紙21の印刷領域22以外の領域、すなわち余白領域にもポスター画像の一部が印刷されているように見える。ポスター画像のうち余白領域に印刷されているように見える部分(余白領域部分)は、実際には印刷用紙の余白領域に印刷されているのではなく、余白領域部分を別の印刷用紙の印刷領域に印刷し、その印刷用紙から余白領域部分を切り出して張り付けたものである。つまり、図示するポスター20は、2×2サイズに並べた4枚の印刷用紙21を、切り出した余白領域部分によって貼り合わせることによって作製されている。
【0025】
(3)ポスター印刷処理
図3は、ポスター印刷処理の流れを示すフローチャートである。本処理は画像編集ソフトなどのアプリケーションでユーザにより印刷が指示されると開始される。
【0026】
ここで、ユーザはアプリケーションによって印刷を指示する前に、以下に説明するポスター印刷設定ウィンドウでポスター印刷の設定を行っておくものとする。
図4は、ポスター印刷設定ウィンドウを示す模式図である。ポスター印刷設定ウィンドウ31はプリンタドライバによって表示部15に表示されるウィンドウである。ポスター印刷設定ウィンドウ31においてポスターサイズ欄32は、印刷するポスターのサイズを選択するための欄である。「2×2サイズ」は図2で説明したサイズである。ユーザはこの他にも1×2サイズ、2×1サイズ、3×3サイズなどのサイズを選択することができる。なお、ユーザが選択できるサイズはこれらに限られるものではなく、これら以外のサイズを選択できるようにしてもよい。
【0027】
印刷領域用トレイ欄33は、ポスター画像のうち余白領域部分以外の部分である印刷領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイを指定するための欄である。
余白領域用トレイ欄34は、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイを指定するための欄である。
決定ボタン35は、ポスター印刷設定を確定するためのボタンである。
【0028】
ポスター印刷の設定を行った後、ユーザがアプリケーションで印刷を指示すると、アプリケーションからプリンタドライバにポスター画像が出力され、以下に説明するポスター印刷処理が開始される。
【0029】
S101では、プリンタ2用のプリンタドライバを実行するCPU11(以下、単に「プリンタドライバ」という)は、ポスター印刷設定ウィンドウ31で設定された設定内容を取得する。
【0030】
S102では、プリンタドライバは取得した設定内容に基づいてポスター画像の拡大率を計算する。
以下、拡大率の計算について図2を参照して説明する。先ず、プリンタドライバは、2×2サイズに並べた4つの印刷用紙21を仮想的な1枚のシート状媒体(仮想媒体)とみなし、左上にある印刷用紙21の印刷領域22の左上の角部P1、左下にある印刷用紙21の印刷領域22の左下の角部P2、右上にある印刷用紙21の印刷領域22の右上の角部P3、及び、右下にある印刷用紙21の印刷領域22の右下の角部P4によって囲まれる矩形領域を、その仮想媒体の仮想的な印刷領域(「仮想印刷領域」という)とみなす。
【0031】
次に、プリンタドライバは1枚の印刷用紙の印刷領域22と同じサイズのポスター画像を生成し、基準サイズとする。仮想印刷領域の高さと印刷領域22の高さとの比は、印刷領域22の高さをh1、下側の余白領域の幅(短手方向の幅)をh2、上側の余白領域の幅(短手方向の幅)をh3とすると、(2×h1+h2+h3)/h1である。そこで、プリンタドライバは、基準サイズのポスター画像を(2×h1+h2+h3)/h1倍に拡大する。この(2×h1+h2+h3)/h1が上述した拡大率である。
【0032】
なお、ユーザが拡大率を指定できるようにしてもよい。その場合に、拡大後のポスター画像が仮想印刷領域からはみ出す場合は仮想印刷領域からはみ出す部分は破棄されるものとする。また、ポスター画像を拡大せずに印刷してもよい。
また、ここでは仮想印刷領域の高さを基準に拡大率を計算する場合を例に説明したが、仮想印刷領域の幅を基準に拡大率を計算してもよい。仮想印刷領域の幅は、印刷領域22の幅をw1、右側の余白領域の幅(短手方向の幅)をw2、左側の余白領域の幅(短手方向の幅)をw3とすると、2×w1+w2+w3である。
また、拡大率の計算方法は上述した方法に限られるものではなく、例えば仮想印刷領域の高さ、印刷解像度、画像の1ピクセル当たりのプリンタのドット数などから拡大(ポスター画像の元のサイズが大きい場合には縮小)後のポスター画像の縦方向のピクセル数を逆算し、逆算したピクセル数を拡大(あるいは縮小)前のポスター画像の縦方向のピクセル数で除算することによって拡大率(あるいは縮小率)を計算してもよい。
【0033】
S103では、プリンタドライバは基準サイズのポスター画像をS102で計算した拡大率で縦横等倍に拡大する。
S104では、プリンタドライバは拡大したポスター画像を印刷領域部分と余白領域部分とに分割する。具体的には例えば、プリンタドライバは、ポスター画像上の各印刷領域部分の4隅の座標をh1〜h3、及びw1〜w3に基づく比に基づいて特定する。一方、余白領域部分については、プリンタドライバは特定した印刷領域部分以外の部分として特定する。プリンタドライバは、特定した印刷領域部分、及び余白領域部分をポスター画像から抽出することにより、ポスター画像を印刷領域部分と余白領域部分とに分割する。
【0034】
なお、余白領域部分については、少なくとも印刷領域部分以外の部分が含まれていればよく、実際にはそれよりも広い部分(すなわち、印刷領域と重なる領域を含んでいる部分)であってもよい。
【0035】
S105では、プリンタドライバは印刷用紙を取り出すトレイとして、ポスター印刷設定ウィンドウ31の印刷領域用トレイ欄33で選択されたトレイを設定する。
S106では、プリンタドライバは分割した1以上の印刷領域部分をプリンタ2に送信する。プリンタ2は受信した印刷領域部分をそれぞれ1枚の印刷用紙に順番に印刷する。ポスターサイズが「2×2サイズ」と設定されていれば、4枚の印刷用紙に印刷領域部分が印刷される。
【0036】
S107では、プリンタドライバは印刷用紙を取り出すトレイとして、ポスター印刷設定ウィンドウ31の余白領域用トレイ欄34で選択されたトレイを設定する。
S108では、プリンタドライバは余白領域部分を印刷する処理である「余白領域印刷処理」を実行する。「余白領域印刷処理」については後述する。
【0037】
S109では、プリンタドライバは印刷領域部分が印刷された印刷用紙の配置や余白領域部分が印刷された印刷用紙から切り出した余白領域部分の配置をユーザに案内するための配置図(図9参照)を生成する。配置図の詳細については後述する。
S110では、プリンタドライバは生成した配置図を出力する。配置図の出力は表示部15に表示することによって行ってもよいし、配置図をプリンタ2に送信して印刷用紙に印刷させることによって行ってもよい。
【0038】
(3−1)余白領域印刷処理
図5は、余白領域印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S201では、プリンタドライバは余白領域部分を分割する。
具体的には例えば、プリンタドライバは、図6に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち横方向に延びる境界線を延長した仮想線によって、余白領域部分41を横方向に延びる横長部分42と横長部分42によって分断される複数の縦長部分43とに分割する。図中の数字は、次のS202においてプリンタドライバが各部分を選択する順番を示している。
【0039】
S202では、プリンタドライバは余白領域部分を分割した複数の部分の中から一つを選択する。選択の順序は任意であってよいが、本実施形態では図6に示す1、2、3の順で選択するものとする。
S203では、プリンタドライバはS202で選択した部分をRAM13上の仮想ページに配置する処理である「余白領域配置処理」を実行する。「余白領域配置処理」については後述する。
【0040】
S204では、プリンタドライバは全ての部分の選択が終了したか否かを判定し、終了している場合はS205に進み、終了していない場合はS202に戻って全ての部分の選択が終了するまで処理を繰り返す。
S205では、プリンタドライバは、プリンタ2を制御して、S107で設定されたトレイに収容されている印刷用紙の印刷領域に上述した仮想ページを印刷する。すなわち余白領域部分を印刷する。
【0041】
(3−2)余白領域配置処理
図7は、余白領域配置処理の流れを示すフローチャートである。
S301では、プリンタドライバはS202で選択した部分が横長であるか否かを判定し、横長である場合はS302に進み、縦長である場合はS303に進む。
【0042】
S302では、プリンタドライバは選択した部分を左回りあるいは右回りに90度回転させる。
S303では、プリンタドライバは1枚の印刷用紙の印刷領域に相当するサイズの仮想ページをRAM13上に生成する。
【0043】
S304では、プリンタドライバは選択した部分の全領域のうち未だ仮想ページに配置されていない領域である残り領域を設定する。本処理の開始直後は選択した部分の全領域が残り領域として設定される。
S305では、プリンタドライバは残り領域の縦方向の長さが仮想ページの高さ(印刷領域22の高さh1に相当)より長いか否かを判定し、仮想ページの高さより長い場合はS306に進み、印刷領域の高さh1以下である場合はS307に進む。
【0044】
S306では、プリンタドライバは残り領域のうち上から仮想ページの高さ分の領域を取得し、取得した領域を仮想ページ上の空き領域に配置する。
図8は、領域が配置された仮想ページの一例を示す模式図である。ここでは残り領域から取得した領域を仮想ページ50の左から右に配置していく場合を示している。取得した領域の配置では、プリンタドライバは始めにその領域を他の領域と識別するための領域記号を配置し、その右側に当該領域を縦に延びるように配置する。図示する例では領域記号として、領域を配置した順にアルファベット1文字を配置している。
【0045】
ところで、仮想ページ50上の空き領域に上述した領域や領域記号を配置するとその分だけ仮想ページ50上の空き領域が減るので、配置を繰り返すとやがて空き領域が足りなくなる。空き領域が足りない場合には、プリンタドライバは配置に失敗することになる。
【0046】
S307では、プリンタドライバは残り領域全部を仮想ページ上の空き領域に配置する。この場合もプリンタドライバはS306と同様に領域記号を配置する。そして、この場合も空き領域が足りない場合は配置に失敗することになる。
S308では、プリンタドライバは仮想ページ上に領域を配置できたか否かを判断する。プリンタドライバは、配置に失敗した場合(空き領域が足りなかった場合)はS309に進み、配置できた場合はS311に進む。
【0047】
S309では、プリンタドライバは、プリンタ2を制御して、S107で設定されたトレイに収容されている印刷用紙の印刷領域に仮想ページを印刷する。すなわち余白領域部分を印刷する。
S310では、プリンタドライバは仮想ページを白で塗り潰すことによって仮想ページをクリアする。
【0048】
S311では、プリンタドライバは配置した領域を残り領域から削除する。その結果、残り領域が短くなる。S307を実行した場合は残り領域を全部配置するので、配置した領域を残り領域から削除すると残り領域がなくなることになる。
S312では、プリンタドライバは残り領域がなくなったか否かを判断し、なくなった場合は余白領域印刷処理に戻り、残り領域がまだある場合はS305に戻って処理を繰り返す。
【0049】
(4)配置図
図9は、配置図の一例を示す模式図である。図示する例では2×2サイズが選択された場合の配置図55を示している。配置図55は、仮想媒体を表す枠内を印刷領域と余白領域とに区切り、更に余白領域を余白領域配置処理で配置した領域に区切って示す図である。各印刷領域に示されている数字はその印刷領域が印刷される順番を示しており、A、B、Cなどのアルファベットは領域記号である。プリンタドライバは配置図を作成するために必要な情報を前述した各処理の中で取得しておくものとする。
【0050】
(5)実施形態の効果
以上説明した本発明の実施形態1に係るPC1によると、ユーザは印刷領域部分が印刷された複数の印刷用紙を並べ、余白領域部分が印刷された印刷用紙から切り出した余白領域部分によってそれらの印刷用紙を貼り合わせることにより、縁なし印刷を行えないプリンタ2を用いてサイズを小さくすることなくポスターを作製できる。
【0051】
更に、PC1によると、余白領域部分を分割して印刷用紙の印刷領域内に配置するので、余白領域部分を印刷するために必要な印刷用紙の枚数を低減できる。
【0052】
更に、PC1によると、余白領域部分を分割しても1枚の印刷用紙の印刷領域内に配置不可能な場合は、複数の印刷用紙に分けて配置するので、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0053】
更に、PC1によると、印刷領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイと、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイとを別々に指定することができるので、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した種類のシート状媒体に印刷させることができる。
例えば、余白領域部分を印刷するための印刷用紙が収容されているトレイとして設定したトレイにシール用紙をセットしておけば、切り出した余白領域部分を貼り付ける際にのり付けの手間を省くことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0054】
更に、PC1によると、配置図を出力するので、ユーザは出力された配置図を見ながら張り合わせ作業を行うことができ、ポスターの作製が容易になる。
【0055】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図16によって説明する。
実施形態2では、図10に示すように、通信インタフェース17にプリンタ2とラベルライター3(印刷装置の一例)とを接続し、印刷領域部分については実施形態1と同様にプリンタ2によって印刷し、余白領域部分についてはラベルライター3によって印刷する。ラベルライター3は、テープ(長尺シート体の一例)に文字や画像を印刷することによってラベルを作成するための装置である。テープとしては裏面がシールとして構成されているものを用いることが望ましい。
【0056】
図11、及び図12は、実施形態2に係る配置図60、61を示している。図11において領域A、B、Cはそれぞれ余白領域部分が印刷されたテープの配置を示している。図11及び図12から判るように実施形態2ではテープの一部が印刷領域部分と重なって配置される。なお、テープが重ならないように配置するようにしてもよい。
【0057】
図11及び図12においてテープを3列に配置しているのは、印刷領域の間隔がテープの幅より広いためである。本実施形態では、印刷領域の間隔がテープ1本分の幅より広くテープ2本分の幅よりは狭い場合であっても、印刷領域部分をテープ3本に印刷して張り付ける。その理由は、テープの列数を偶数にするとテープが印刷用紙の間を跨がなくなってしまい、印刷用紙を張り合わせることができないからである。なお、印刷用紙を裏面から別途貼り合わせる場合にはテープの列数を偶数にしてもよい。
【0058】
図13は、実施形態2に係る余白領域印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S401では、プリンタドライバは、図14に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち縦方向に延びる境界線を延長した仮想線によって余白領域部分70を縦長部分71と横長部分72とに分割する。以下の処理では縦長部分71のみを用いる。
【0059】
S402では、プリンタドライバは複数の縦長部分(図示する例では1つのみ)の中から一つを選択する。
S403では、プリンタドライバは選択した縦長部分をテープに印刷する処理であるテープ印刷処理を実行する。「テープ印刷処理」については後述する。
S404では、プリンタドライバは全ての縦長部分の選択が終了したか否かを判定し、終了している場合はS405に進み、終了していない場合はS402に戻って処理を繰り返す。
【0060】
S405では、プリンタドライバは、S401で分割される前の余白領域部分について、前述した図6に示すように、印刷領域部分と余白領域部分とを仕切る境界線のうち横方向に延びる境界線を延長した仮想線によって余白領域部分を縦長部分と横長部分とに分割する。以下の処理では横長部分のみを用いる。
S406〜S408の処理は、縦が横になったことを除いてS402〜S404の処理と実質的に同一であるので説明を省略する。
【0061】
図15は、テープ印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S501では、プリンタドライバはテープの列数を示す変数である平行数に初期値として1を設定する。
S502では、プリンタドライバは余白領域部分(S402で選択された縦長部分、又はS406で選択された横長部分)の幅(短手方向の幅)がテープ幅に平行数を乗算した値より大きいか否かを判断し、大きい場合はS503に進み、テープ幅に平行数を乗算した値以下である場合はS504に進む。
【0062】
S503では、プリンタドライバは平行数に2を加算する。2を加算するのは、前述した理由によりテープの列数を奇数に保つためである。
S504では、プリンタドライバは、余白領域部分の幅を、テープ幅に平行数を乗算した幅に拡張する。
具体的に説明すると、S502で否定判定される場合として、余白領域部分の幅がテープ幅に並行数を乗算した値より小さい場合が含まれる。余白領域部分の幅がテープ幅に並行数を乗算した値より小さい場合は、余白領域部分の幅を拡張しないと、テープに画像が印刷されない領域が生じてしまう。そのため、プリンタドライバは余白領域部分の幅を、テープ幅に並行数を乗算した幅に拡張する。プリンタドライバは、余白領域部分の幅を拡張すると、その拡張した幅の余白領域部分をあらためてポスター画像から抽出し直す。
【0063】
S505では、あらためて抽出し直した余白領域部分を、幅方向に平行数で分割する。
S506では、プリンタドライバは余白領域部分を幅方向に分割した各部分をラベルライター3に印刷させるための印刷データを作成する。具体的には、プリンタドライバは、図16に示すテープ80のように領域記号と分割した余白領域部分とが縦方向に交互に配置されて印刷されるように印刷データを生成する。
S507では、プリンタドライバは生成した印刷データをラベルライター3に印刷させる。
【0064】
以上説明した本発明の実施形態2に係るPC1によると、余白領域部分の幅とテープの幅とを比較し、余白領域部分の幅がテープの幅よりも広い場合は余白領域部分を幅方向に分割し、テープ上に当該テープの長さ方向に並べて配置するので、余白領域部分の幅がテープの幅より広い場合であっても、全ての余白領域部分を印刷することができる。
【0065】
更に、実施形態2に係るPC1によると、印刷領域部分と余白領域部分とを互いに異なる印刷装置に印刷させるので、印刷領域部分と余白領域部分とをそれぞれに適した印刷装置に印刷させることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記実施形態では印刷領域が印刷される印刷用紙が収容されているトレイと余白領域部分が印刷される印刷用紙が収容されているトレイとを別々に指定する場合を例に説明したが、同じトレイに収容されている印刷用紙に印刷してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・パーソナルコンピュータ
2・・・プリンタ
3・・・ラベルライター
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・記憶部
15・・・表示部
16・・・操作部
17・・・通信インタフェース
20・・・ポスター
21・・・印刷用紙
22・・・印刷領域
41・・・余白領域部分
55・・・配置図
60・・・配置図
70・・・余白領域部分
80・・・テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、
複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、
前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる、印刷制御プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段は、前記余白領域部分を分割してシート状媒体の前記印刷領域内に配置する配置手段を有する、印刷制御プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記配置手段は、前記余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、当該余白領域部分を複数のシート状媒体に分けて配置する、印刷制御プログラム。
【請求項4】
請求項2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段により印刷されるシート状媒体は長尺シート体であり、
前記配置手段は、前記余白領域部分の幅と前記長尺シート体の幅とを比較し、当該余白領域部分の幅が前記長尺シート体の幅よりも広い場合は、当該余白領域部分を幅方向に分割し、前記長尺シート体上に当該長尺シート体の長さ方向に並べて配置する、印刷制御プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第1の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第1の指定手段と、
前記第2の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第2の指定手段とを備え、
前記第1の指定手段と前記第2の指定手段とは互いに異なるトレイを指定可能である、印刷制御プログラム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とは互いに異なる印刷装置に印刷させる、印刷制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段はラベルライターに印刷させる、印刷制御プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記余白領域部分及び前記印刷領域部分の配置を示す配置図を出力する出力手段を備える、印刷制御プログラム。
【請求項9】
シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、
前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段と、
を備える印刷制御装置。
【請求項1】
シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置を、
複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、
前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段として機能させる、印刷制御プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段は、前記余白領域部分を分割してシート状媒体の前記印刷領域内に配置する配置手段を有する、印刷制御プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記配置手段は、前記余白領域部分を分割しても1枚のシート状媒体の印刷領域内に配置不可能な場合は、当該余白領域部分を複数のシート状媒体に分けて配置する、印刷制御プログラム。
【請求項4】
請求項2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段により印刷されるシート状媒体は長尺シート体であり、
前記配置手段は、前記余白領域部分の幅と前記長尺シート体の幅とを比較し、当該余白領域部分の幅が前記長尺シート体の幅よりも広い場合は、当該余白領域部分を幅方向に分割し、前記長尺シート体上に当該長尺シート体の長さ方向に並べて配置する、印刷制御プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第1の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第1の指定手段と、
前記第2の制御手段により印刷させるシート状媒体を収容するトレイを指定する第2の指定手段とを備え、
前記第1の指定手段と前記第2の指定手段とは互いに異なるトレイを指定可能である、印刷制御プログラム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とは互いに異なる印刷装置に印刷させる、印刷制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷制御プログラムであって、
前記第2の制御手段はラベルライターに印刷させる、印刷制御プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記余白領域部分及び前記印刷領域部分の配置を示す配置図を出力する出力手段を備える、印刷制御プログラム。
【請求項9】
シート状媒体の縁部に余白領域を残して画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
複数の前記シート状媒体を並べて構成される1枚の仮想媒体に画像を印刷したとした場合に前記仮想媒体を構成している前記シート状媒体の前記余白領域に印刷される余白領域部分と、前記シート状媒体の前記余白領域以外の領域である印刷領域に印刷される印刷領域部分とに前記画像を分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された1以上の前記印刷領域部分をそれぞれ1枚のシート状媒体に印刷させる第1の制御手段と、
前記分割手段によって分割された前記余白領域部分を前記印刷領域部分が印刷されたシート状媒体とは別のシート状媒体の前記印刷領域に印刷させる第2の制御手段と、
を備える印刷制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−156706(P2011−156706A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18900(P2010−18900)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]