説明

印刷制御装置、印刷制御方法、および印刷制御プログラム

【課題】低品質なバーコードの印刷を防ぐことができる印刷制御装置、印刷制御方法、お
よび印刷制御プログラムを提供すること。
【解決手段】ホストコンピュータ3のプリンタドライバは、縦横交互排紙によるセパレー
ト印刷機能とバーコード印刷機能の一方の機能を有効に設定する場合、他方の機能を無効
に設定するようにして、2つの機能を排他的に制御する。これにより、バーコードを縦横
交互に印刷することによって低品質なバーコードを印刷してしまうことを防止し、好適且
つ安定した品質のバーコード印刷を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードの印刷を制御する印刷制御装置、印刷制御方法、および印刷制御
プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードを印刷する場合、用紙や印刷濃度などの条件が、バーコードの品質に
影響を与えることがあるため、バーコード印刷に適切な条件を設定して、高品質なバーコ
ードを印刷できるようにした印刷装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の印刷
装置では、バーコード印刷に適する種類の用紙を給紙機構から探し出して、その用紙にバ
ーコードを印刷することにより、高品質なバーコードを印刷する。特許文献2に記載の印
刷装置では、バーコードのバー幅を、読取率が最も高くなるバー幅に自動的に変更するこ
とにより、高品質なバーコードを印刷する。
【0003】
また、印刷装置に備わる機能の1つとして、用紙を縦向きに印刷して排紙する縦方向印
刷と、用紙を横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に切り替え、印刷した用紙を
縦横交互に排紙する縦横交互排紙の印刷によって、印刷した用紙を仕分けるセパレート印
刷機能がある(例えば、特許文献3,4参照)。このセパレート印刷機能は、印刷した用
紙を、ユーザーの手を煩わせることなく、1部ずつまたはジョブ単位で自動的に仕分ける
ことができるため、ユーザーにとって大変便利な機能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−224350号公報
【特許文献2】特開2006−256106号公報
【特許文献3】特開平8−278723号公報
【特許文献4】特開2003−114598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、縦横交互排紙の印刷によってバーコードを印刷する場合、縦方向印刷で
印刷したバーコードと横方向印刷で印刷したバーコードとではバーコード品質が異なり、
一方のバーコードは、他方のバーコードに比べて、バーコードリーダによる読取率が低く
なってしまうことがあった。すなわち、縦横交互排紙によるバーコード印刷では、バーコ
ードの印刷品質を低めてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]用紙の長辺が搬送方向と一致する縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と
用紙の長辺が搬送方向に直交する横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に行うこ
とにより、排紙する用紙を仕分ける第1の機能、およびバーコードを印刷するための第2
の機能の各機能について、有効または無効に設定する設定手段と、各機能の設定に従って
印刷を制御する印刷制御手段とを備える印刷制御装置であって、前記設定手段は、前記第
1の機能または前記第2の機能の一方の機能を有効に設定する場合、他方の機能を無効に
設定することを特徴とする印刷制御装置。
【0008】
この構成によれば、第1の機能または第2の機能の一方の機能が有効な場合に、他方の
機能が無効となって、第1の機能と第2の機能とが排他的に設定されるので、バーコード
を印刷するための第2の機能が有効になっている場合に、縦方向印刷と横方向印刷とを交
互に行う第1の機能によってバーコードを印刷することを防ぐことができる。これにより
、第1の機能を用いてバーコードを縦横交互に印刷することによって、印刷方向に応じて
バーコード品質がばらついてしまうことを防止し、好適且つ安定した品質のバーコードを
印刷することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記印刷制御装置において、入力操作を受ける操作部と、画面を表示する
表示部とをさらに備え、前記設定手段は、前記第1の機能を設定するための第1の設定欄
、および前記第2の機能を設定するための第2の設定欄を含む画面を前記表示部に表示さ
せ、前記第1の設定欄または前記第2の設定欄に従う前記操作部への操作により、前記第
1の機能または前記第2の機能の一方を有効に設定する旨が指示された場合、前記設定手
段は、前記指示された機能を有効に設定するとともに、他方の機能の設定欄を無効にする
ことを特徴とする印刷制御装置。
【0010】
この構成によれば、第1の機能と第2の機能のうち、有効に設定された機能の他方とな
る機能については設定欄が無効となって、その機能を有効に設定することができなくなる
。これにより、第1の機能と第2の機能との排他制御が実現される。
【0011】
[適用例3]上記印刷制御装置において、入力操作を受ける操作部と、画面を表示する
表示部とをさらに備え、前記設定手段は、前記第1の機能または前記第2の機能の一方が
有効に設定されているときに、前記操作部への操作により、他方の機能を有効に設定する
旨が指示された場合、前記第1の機能と前記第2の機能とのうち、いずれか一方の機能の
選択を促す画面を前記表示部に表示させ、前記操作部への操作によって選択される機能を
有効に設定することを特徴とする印刷制御装置。
【0012】
この構成によれば、第1の機能または第2の機能の一方が有効に設定されているときに
、他方の機能を有効に設定する旨を指示した場合、ユーザーは、表示部に表示された画面
に従って、いずれか一方の機能を選択して有効に設定することができる。これにより、第
1の機能と第2の機能とのうち、ユーザーが優先する機能を有効とした排他制御が実現さ
れる。
【0013】
[適用例4]印刷を制御する印刷制御方法であって、用紙の長辺が搬送方向と一致する
縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と用紙の長辺が搬送方向と直交する横向きに印刷し
て排紙する横方向印刷とを交互に行うことにより、排紙する用紙を仕分ける第1の機能、
およびバーコードを印刷するための第2の機能の一方の機能を有効に設定する場合、他方
の機能を無効に設定することを特徴とする印刷制御方法。
【0014】
このようにすれば、第1の機能と第2の機能とが排他的に設定されるので、好適且つ安
定した品質のバーコードを印刷することが可能となる。
【0015】
[適用例5]印刷装置を制御するための印刷制御プログラムであって、コンピュータを
、用紙の長辺が搬送方向と一致する縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と用紙の長辺が
搬送方向と直交する横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に行うことにより、排
紙する用紙を仕分ける第1の機能、およびバーコードを印刷するための第2の機能の各機
能について、有効または無効に設定する設定手段、各機能の設定に従う印刷を前記印刷装
置に実行させる印刷制御手段、として機能させ、前記設定手段は、前記第1の機能または
前記第2の機能の一方の機能を有効に設定する場合、他方の機能を無効に設定することを
特徴とする印刷制御プログラム。
【0016】
この印刷制御プログラムによれば、第1の機能と第2の機能とが排他的に設定すること
により、好適且つ安定した品質のバーコードを印刷する印刷制御を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施例に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。図1に示すよう
に、印刷システム1は、プリンタ(印刷装置)2と、ホストコンピュータ(印刷制御装置
)3とを備える。本印刷システム1は、用紙を排紙する向きを1部ずつ縦横交互に切り替
えることによって、印刷した用紙を1部ずつ仕分ける機能(以下、「セパレート印刷機能
(第1の機能)」という。)と、バーコードを印刷するための機能(以下、「バーコード
印刷機能(第2の機能)」という。)とを有する。また、以下では、セパレート印刷にお
いて、用紙を長辺方向に沿って縦向きに搬送して画像を形成することにより印刷し、印刷
した用紙を縦向きに排紙する一連の動作を「縦方向印刷」という。用紙を短辺方向に沿っ
て横向きに搬送して画像を形成することにより印刷し、印刷した用紙を横向きに排紙する
一連の動作を「横方向印刷」ということとする。
【0019】
プリンタ2の構成について説明する。図1に示すように、プリンタ2は、コントローラ
10と、印刷エンジン20とを備えており、プリンタ2の側面外側には、排紙した用紙を
積載するためのスタッカ25が設けられている。
【0020】
コントローラ10は、印刷エンジン20を含むプリンタ2全体の動作を制御する部分で
あり、通信I/F11と、CPU12と、ROM13と、RAM14と、エンジンI/F
15とを備える。
【0021】
通信I/F11は、ホストコンピュータ3が接続されるインターフェース部である。R
OM13には、プリンタ2を制御するための各種プログラムが予め記憶されている。RA
M14は、受信バッファなどの各種バッファや作業領域などとして用いられる汎用のメモ
リである。CPU12は、主にROM13に記憶されたプログラムを実行することにより
、プリンタ2の各種動作を制御する。エンジンI/F15は、印刷エンジン20に対する
インターフェース部である。
【0022】
印刷エンジン20は、エンジンコントローラ21と、給紙装置22と、印刷機構23と
、用紙搬送機構24とを備える。
【0023】
エンジンコントローラ21は、印刷エンジン20内部の処理を制御する部分であり、コ
ントローラ10からの指示に従って、給紙装置22、印刷機構23、および用紙搬送機構
24の動作を制御する。
【0024】
給紙装置22は、給紙方向に用紙の長辺方向が合わさった縦方向印刷用の用紙を収容す
る給紙カートリッジ、および、給紙方向に用紙の短辺方向が合わさった横方向印刷用の用
紙を収容する給紙カートリッジが着脱可能に装着されており、いずれかの給紙カートリッ
ジを選択して用紙を印刷機構23に給紙する。したがって、給紙装置22としては、縦方
向印刷用の用紙の給紙、および横方向印刷用の用紙の給紙が可能に構成されている。
【0025】
印刷機構23は、帯電装置、露光装置、感光体、現像装置、転写装置、定着器、トナー
カートリッジ等の構成を有している。感光体は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成
された感光層を有し、中心軸に対して回転可能なドラムである。感光体は帯電装置により
帯電されて、その後、露光装置が感光体を露光することにより潜像が形成され、現像装置
がトナーを用いて潜像を現像する。現像されたトナー像は、転写装置によって用紙などの
印刷媒体に転写される。定着装置は、ローラ表面がゴムなどの弾性体で覆われた定着ロー
ラ、定着ローラを回転させる駆動モータ、定着ローラを加熱するヒーターなどを備えてお
り、定着ローラが、転写されたトナー像を用紙に熱定着させることによって用紙に画像が
形成される。すなわち、印刷機構23は、電子写真方式の画像形成によって印刷を行う。
【0026】
用紙搬送機構24は、印刷機構23によって印刷された用紙Sを搬送し、排紙口26を
通してスタッカ25に用紙Sを排紙する。そして、排紙された用紙Sはスタッカ25に積
載される。
【0027】
上述したプリンタ2では、給紙装置22が、縦向きの用紙Sと横向きの用紙Sとを1部
ずつ交互に給紙し、順次給紙される用紙Sに印刷機構23が画像を順次形成する。そして
、用紙搬送機構24が、画像形成後の用紙Sをスタッカ25に排紙する。こうして、縦方
向印刷、横方向印刷を交互に行う縦横交互印刷によって、印刷後の用紙Sが、用紙向きを
縦横交互にして1部ずつ仕分けられた状態でスタッカ25に積載されて、セパレート印刷
機能による部数印刷が実現される。
【0028】
また、セパレート印刷機能とバーコード印刷機能とのそれぞれについて有効または無効
に設定する制御は、ホストコンピュータ3によって行われる。以下、ホストコンピュータ
3の構成について説明する。
【0029】
ホストコンピュータ3は、汎用のパーソナルコンピュータなどであり、CPU30と、
ROM31と、RAM32と、ハードディスク33と、入力I/F34と、ディスプレイ
I/F35と、出力I/F36とを備えている。入力I/F34はマウス37やキーボー
ド38などの入力機器(操作部)が接続されたインターフェース部分であり、ユーザー操
作に対応する操作信号が入力機器から入力される。ディスプレイI/F35は、ディスプ
レイ(表示部)39が接続されたインターフェース部分であり、画面の表示データをディ
スプレイ39に出力することにより画面表示を制御する。出力I/F36は、プリンタ2
とのインターフェース部分であり、ケーブルなどを介してプリンタ2とデータ通信可能に
接続されている。
【0030】
ハードディスク33には、アプリケーションプログラムAP、およびドライバプログラ
ム(印刷制御プログラム)DPが記憶されている。アプリケーションプログラムAPおよ
びドライバプログラムDPは、記録媒体に記録された形態でホストコンピュータ3に供給
され、ホストコンピュータ3に備わる読取装置(図示なし)によって読み取られてハード
ディスク33に記録されたものである。記録媒体の例としては、フレキシブルディスクや
CD−ROM、DVD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード、携帯
型ハードディスクなど、コンピュータ読み取り可能な種々の記録媒体が挙げられる。もっ
とも、記録媒体を介して供給されることなく、ホストコンピュータ3が、電気通信回線を
介してサーバからプログラムをダウンロードすることにより、ハードディスク33にプロ
グラムを記録してもよい。
【0031】
次に、ホストコンピュータ3のソフトウェア構成について説明する。図2は、ホストコ
ンピュータ3のソフトウェア構成を示したブロック図である。図2に示すように、ホスト
コンピュータ3は、アプリケーション40と、プリンタドライバ50とを有する。
【0032】
アプリケーション40は、アプリケーションプログラムAPにより機能する文書作成ソ
フトウェアなどであり、マウス37やキーボード38へのユーザー操作により入力された
、テキスト、グラフィック、イメージなどのオブジェクトを記述した印刷データを生成す
る。また、このアプリケーション40は、通常の文字フォントに加えて、さらにバーコー
ドフォントを指定することができる。バーコードフォントは、入力された文字列をバーコ
ードに変換して印刷するよう指示するための特殊フォントである。このバーコードフォン
トを指定した文字列がユーザー操作により入力されることによって、バーコードのオブジ
ェクトを含むバーコード印刷用の印刷データが生成される。そして、アプリケーション4
0は、生成した印刷データをプリンタドライバ50に受け渡す。
【0033】
プリンタドライバ50は、プリンタ2による印刷を制御するソフトウェアであり、印刷
条件設定部(設定手段)51と、印刷制御部(印刷制御手段)52とを有する。なお、こ
れらの構成は、CPU30が、ハードディスク33に記憶されたドライバプログラムDP
を読み出して実行することにより機能するものである。
【0034】
印刷条件設定部51は、用紙の指定、排紙方向などの各種の印刷条件を設定する機能部
である。印刷条件設定部51は、バーコード印刷機能とセパレート印刷機能のそれぞれに
ついて有効または無効に設定する処理を行う。
【0035】
また、印刷条件設定部51は、各種の印刷条件を設定するため、印刷設定画面や排紙設
定画面など、各種の設定画面をディスプレイ39に表示させる処理を行う。バーコード印
刷機能の設定は印刷設定画面、セパレート印刷機能の設定は排紙設定画面に従って行われ
る。
【0036】
図3に、印刷設定画面の一例を示す。図3に示すように、印刷設定画面100には、印
刷モードなどの設定欄の他に、バーコードモードを設定するためのチェックボックス(第
2の設定欄)101が含まれている。ユーザーは、マウス37などの入力機器を操作して
、チェックボックス101からバーコードモードを有効または無効に設定することができ
る。なお、バーコードモードとは、高品質なバーコード出力を実現するためのモードであ
り、バーコードモードを有効とすることにより、印刷条件設定部51はバーコード印刷機
能を有効として、バーコード印刷に適する印刷濃度や解像度などの条件が自動的に設定さ
れる。
【0037】
図4に、排紙設定画面の一例を示す。図4に示すように、排紙設定画面200には、A
4用紙を横向きに排紙する旨を指定する選択肢201、A4用紙を縦向きに排紙する旨を
指定する選択肢202、および、A4用紙を1部ずつ縦横交互に排紙する旨を指定する選
択肢(第1の設定欄)203が含まれる。ユーザーは、マウス37などの入力機器を操作
して、所望の選択肢を選択することによって、排紙方向を任意に設定することができる。
そして、選択肢203が選択された場合、印刷条件設定部51は縦横交互排紙によるセパ
レート印刷機能を有効に設定する。選択肢201,202が選択された場合、印刷条件設
定部51はセパレート印刷機能を無効に設定する。
【0038】
印刷制御部52は、アプリケーション40から受け取る印刷データから、バーコード印
刷機能やセパレート印刷機能の設定に従う印刷ジョブデータを生成する処理、印刷ジョブ
データをプリンタ2に送信して印刷を要求する処理などを行うことにより、印刷を制御す
る。
【0039】
ここで、プリンタ2がバーコードを印刷する場合、縦方向印刷によって印刷したバーコ
ードと横方向印刷によって印刷したバーコードとではバーコード品質が異なり、バーコー
ドリーダによるバーコード読取率に有意差が生じることがある。このため、バーコードの
印刷にセパレート印刷機能を用いた場合、縦方向印刷と横方向印刷の一方で印刷したバー
コードは、他方で印刷したバーコードに比べてバーコード品質が低くなり、バーコード品
質がばらつくことになる。このことは、バーコード印刷機能とセパレート印刷機能の双方
を有効にして印刷する場合に、高品質なバーコードの印刷を実現しようとするバーコード
印刷機能の趣旨に反して、バーコード品質を低下させることとなってしまう。
【0040】
そこで、本実施例では、印刷条件設定部51は、バーコード印刷機能とセパレート印刷
機能のうち一方の機能を有効に設定する場合、他方の機能を強制的に無効に設定する。こ
うして、バーコード印刷機能とセパレート印刷機能を排他的に制御することによって、バ
ーコード品質のばらつきを抑制する。
【0041】
次に、プリンタドライバ50が、バーコード印刷機能とセパレート印刷機能とを排他制
御する処理について説明する。
【0042】
例えば、ユーザーが、排紙設定画面200において選択肢201,202,203のい
ずれかを選択してから、OKボタンを押下したとき、図5のフローチャートに示す処理が
開始される。なお、以下の説明では、図5の処理の開始に先立ち、印刷設定画面100か
らバーコード印刷機能が有効または無効にユーザーによって予め設定されているものとす
る。
【0043】
処理が開始されると、印刷条件設定部51は、縦横交互排紙が指定されたか否かを判断
する(ステップS10)。排紙設定画面200の選択肢203が選択されていた場合、縦
横交互排紙が指定されていると判断して(ステップS10:Yes)、ステップS20に
進む。
【0044】
ステップS20に処理が進むと、印刷条件設定部51は、バーコードモードの指定があ
るか否かを判断する。印刷設定画面100において、バーコードモードが有効であれば、
バーコードモードの指定ありと判断して(ステップS20:Yes)、ステップS30に
進む。
【0045】
ステップS30に処理が進むと、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能とバーコード
モードのバーコード印刷機能とが共に有効にするよう指示されているため、印刷条件設定
部51は、セパレート印刷機能とバーコード印刷機能とを併用できない旨を警告する警告
画面をディスプレイ39に表示させる。図6は、警告画面の一例を示す図である。図6に
示すように、警告画面300には、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能とバーコード
モードの機能とを併用できない旨、およびバーコードモードを無効に変更する旨を促すメ
ッセージ301、設定変更を承諾するためのOKボタン302、および設定変更を承諾し
ないためのキャンセルボタン303が含まれている。ユーザーは、メッセージ301の内
容に従って、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能とバーコードモードのバーコード印
刷機能とのうち、優先する機能を選択する。そして、セパレート印刷機能を優先する場合
はOKボタン302を押下し、バーコード印刷機能を優先する場合はキャンセルボタン3
03を押下する。
【0046】
次に、印刷条件設定部51は、ユーザーからの指示に基づいて、バーコードモードを無
効にするか否かを判断する(ステップS40)。警告画面300においてOKボタン30
2が押下された場合、バーコードモードを無効にすると判断して(ステップS40:Ye
s)、バーコードモード、すなわちバーコード印刷機能を無効として、縦横交互排紙によ
るセパレート印刷機能を優先して有効に設定する(ステップS50)。この場合、以降に
表示される印刷設定画面100において、バーコードモードのチェックボックス101を
グレーアウト表示に切り替えて無効とすることによって、以後、バーコードモードを有効
に設定できないように表示制御する(図7の破線部分参照)。これにより、セパレート印
刷機能が有効とされた状態では、バーコード印刷機能を有効に設定できないようにする排
他制御が確実に行われる。なお、印刷設定画面100のチェックボックス101が無効と
された後、ユーザーは、排紙設定画面200から選択肢201,202を選択することに
よって、グレーアウト表示を解除してチェックボックス101を再び有効にすることがで
きる。
【0047】
一方、警告画面300においてキャンセルボタン303が押下された場合(ステップS
40:No)、バーコードモードを有効、すなわちバーコード印刷機能を優先して有効に
するとともに、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能を無効に設定する(ステップS6
0)。
【0048】
こうして、ステップS50またはステップS60の処理において、ユーザーが所望する
機能を優先的に有効に設定することによって、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能と
バーコードモードのバーコード印刷機能とが同時に有効な状態となることがないよう排他
的に制御される。そして、ステップS50またはステップS60の処理を終えると、図5
の処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS10の判断において排紙設定画面200の選択肢201,202のい
ずれかが選択されていた場合(ステップS10:No)、およびステップS20の判断に
おいてバーコードモードの指定がなかった場合(ステップS20:No)、ステップS7
0に進む。ステップS70では、セパレート印刷機能とバーコード印刷機能とを併用する
よう指示されていないので、排他制御を行うことなく、印刷設定画面100におけるユー
ザーの指定に応じて排紙方向を設定して(ステップS70)、図5の処理を終了する。
【0050】
以上に説明した本実施例によれば、バーコードモードのバーコード印刷機能と縦横交互
印刷によるセパレート印刷機能とが排他的に制御されるので、両方の機能がともに有効と
なることがない。これにより、バーコード印刷機能を有効に設定して、高品質なバーコー
ドを印刷しようとする場合に、バーコードを縦横交互排紙による印刷によって、一部のバ
ーコードの品質が低下し、バーコード品質がばらついてしまうことを防ぐことができる。
したがって、好適且つ安定した品質のバーコードの印刷が可能となる。
【0051】
以上、実施の形態の一実施例について説明したが、これに限られることなくその趣旨に
逸脱しない様々な形態としてもよい。以下、変形例について説明する。
【0052】
(変形例1)上記実施例では、バーコードモードが予め有効に設定されている場合に、
さらに縦横交互排紙を有効に指定したとき、警告画面を表示することによって排他制御を
実現したが、排他制御の方法としてはこれに限られない。例えば、縦横交互排紙によるセ
パレート印刷機能が予め有効にされている場合に、ユーザーが、バーコードモードを有効
にしようと、印刷設定画面100のチェックボックス101にチェックを入れたときに、
優先する機能をユーザーに選択させる警告画面を表示するようにしてもよい。
【0053】
(変形例2)上記実施例では、高品質なバーコード出力を実現するため、バーコード印
刷に適する印刷濃度や解像度などの印刷条件を自動的に設定するバーコード印刷機能を第
2の機能として説明したが、バーコードを印刷する機能自体を第2の機能としてもよい。
例えば、プリンタドライバ50を、バーコードモードが有効になっている場合に限って、
バーコードフォントの使用を許可する構成とする。そして、バーコードモードが無効に設
定されている場合には、バーコードフォントの使用を不許可として、低品質なバーコード
の印刷をより確実に防ぐようにしてもよい。
【0054】
(変形例3)印刷条件設定部51が、印刷データにバーコードフォントが含まれている
か否かの判断に基づき、排他制御を実現する構成としてもよい。すなわち、印刷データに
バーコードフォントが含まれていれば、バーコード印刷機能を有効とし、且つセパレート
印刷機能を無効とする排他制御を行うようにしてもよい。
【0055】
(変形例4)上記実施例では、警告画面を出すことにより、優先する機能をユーザーに
選択させるようにしたが、警告画面を出すことなく、強制的に排他制御を行うようにして
もよい。例えば、バーコード印刷機能が予め有効に設定されているときに、さらに、排紙
設定画面200においてセパレート印刷機能を有効にするようユーザーから指定された場
合、より新しいユーザーの意思を尊重して、セパレート印刷機能を有効にするとともに、
バーコード印刷機能を無効とすることにより、排他制御を実現してもよい。また、セパレ
ート印刷機能とバーコード印刷機能との間で優先する機能を予め定めておくことによって
、排他制御を実現してもよい。
【0056】
(変形例5)上記実施例では、縦方向印刷と横方向印刷を1部ずつ交互に切り替えるこ
とにより、縦横交互排紙を行う場合を例に説明したが、切り替える単位としては、印刷ジ
ョブや所定のページ数であってもよい。例えば、印刷ジョブごとに縦方向印刷と横方向印
刷を交互に切り替えるジョブセパレート印刷機能とバーコード印刷機能とを排他制御する
構成としてもよい。
【0057】
(変形例6)上記実施例では、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能とバーコード印
刷機能とをホストコンピュータ側から設定する場合について説明したが、プリンタに備わ
る操作パネルで設定する構成としてもよい。例えば、プリンタに備わる操作パネルを用い
て、縦横交互排紙によるセパレート印刷機能が予め有効に設定されているときに、バーコ
ード印刷機能が有効に指定された印刷ジョブデータをプリンタが受信した場合、プリンタ
のコントローラ(印刷制御装置)が、セパレート印刷機能を無効とする排他制御を行うよ
うにしてもよい。
【0058】
(変形例7)上記実施例では電子写真方式のプリンタを例にして説明したが、印刷方式
としてはこれに限られない。バーコードを印刷した場合に、印刷する方向に応じてバーコ
ード品質が変化する特性を有していれば、インクジェット方式や熱転写方式などの他の印
刷方式の装置であってもよい。また、プリンタに限られることなく、複写機、複合機、ま
たはファクシミリなどの装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例に係る印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】ホストコンピュータのソフトウェア構成を示すブロック図。
【図3】印刷設定画面の一例を示す図。
【図4】排紙設定画面の一例を示す図。
【図5】バーコード印刷機能とセパレート印刷機能とを排他制御する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】警告画面の一例を示す図。
【図7】印刷設定画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1…印刷システム、2…印刷装置としてのプリンタ、3…印刷制御装置としてのホスト
コンピュータ、10…コントローラ、11…通信I/F、12…CPU、13…ROM、
14…RAM、15…エンジンI/F、20…印刷エンジン、21…エンジンコントロー
ラ、22…給紙装置、23…印刷機構、24…用紙搬送機構、25…スタッカ、26…排
紙口、30…CPU、31…ROM、32…RAM、33…ハードディスク、34…入力
I/F、35…ディスプレイI/F、36…出力I/F、37…操作部としてのマウス、
38…操作部としてのキーボード、39…表示部としてのディスプレイ、40…アプリケ
ーション、50…プリンタドライバ、51…設定手段としての印刷条件設定部、52…印
刷制御手段としての印刷制御部、100…印刷設定画面、200…排紙設定画面、300
…警告画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の長辺が搬送方向と一致する縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と用紙の長辺が
搬送方向に直交する横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に行うことにより、排
紙する用紙を仕分ける第1の機能、およびバーコードを印刷するための第2の機能の各機
能について、有効または無効に設定する設定手段と、
各機能の設定に従って印刷を制御する印刷制御手段とを備える印刷制御装置であって、
前記設定手段は、前記第1の機能または前記第2の機能の一方の機能を有効に設定する
場合、他方の機能を無効に設定することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御装置において、
入力操作を受ける操作部と、
画面を表示する表示部とをさらに備え、
前記設定手段は、前記第1の機能を設定するための第1の設定欄、および前記第2の機
能を設定するための第2の設定欄を含む画面を前記表示部に表示させ、
前記第1の設定欄または前記第2の設定欄に従う前記操作部への操作により、前記第1
の機能または前記第2の機能の一方を有効に設定する旨が指示された場合、前記設定手段
は、前記指示された機能を有効に設定するとともに、他方の機能の設定欄を無効にするこ
とを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷制御装置において、
入力操作を受ける操作部と、
画面を表示する表示部とをさらに備え、
前記設定手段は、前記第1の機能または前記第2の機能の一方が有効に設定されている
ときに、前記操作部への操作により、他方の機能を有効に設定する旨が指示された場合、
前記第1の機能と前記第2の機能とのうち、いずれか一方の機能の選択を促す画面を前記
表示部に表示させ、前記操作部への操作によって選択される機能を有効に設定することを
特徴とする印刷制御装置。
【請求項4】
印刷を制御する印刷制御方法であって、
用紙の長辺が搬送方向と一致する縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と用紙の長辺が
搬送方向と直交する横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に行うことにより、排
紙する用紙を仕分ける第1の機能、およびバーコードを印刷するための第2の機能の一方
の機能を有効に設定する場合、他方の機能を無効に設定することを特徴とする印刷制御方
法。
【請求項5】
印刷装置を制御するための印刷制御プログラムであって、
コンピュータを、
用紙の長辺が搬送方向と一致する縦向きに印刷して排紙する縦方向印刷と用紙の長辺が
搬送方向と直交する横向きに印刷して排紙する横方向印刷とを交互に行うことにより、排
紙する用紙を仕分ける第1の機能、およびバーコードを印刷するための第2の機能の各機
能について、有効または無効に設定する設定手段、
各機能の設定に従う印刷を前記印刷装置に実行させる印刷制御手段、として機能させ、
前記設定手段は、前記第1の機能または前記第2の機能の一方の機能を有効に設定する
場合、他方の機能を無効に設定することを特徴とする印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−92392(P2010−92392A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263576(P2008−263576)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】