説明

印刷制御装置、印刷可否判定プログラム

【課題】本構成を有しない場合に比べて、迅速に印刷処理の可否を判定する。
【解決手段】印刷ジョブデータとは別に、モニタデータを生成する。印刷ジョブデータと、モニタデータとを比較すると、第3の領域DP3、DM3において、印刷画像データの有無の違いであることがわかる。モニタデータが印刷画像データを含まないことで、印刷ジョブデータに比べて、記憶容量が極めて少ないことがわかる。このため、モニタデータとして残った印刷設定情報を解析するのに、印刷ジョブデータを解析するよりも短時間で行えることが容易に推測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷可否判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC側から印刷ジョブをプリンタへ送信すると、プリンタ側で印刷ジョブを解析することにより処理可能か否かを判定し、処理不可の場合にPCへその旨を返信する技術が知られている。
【0003】
これとは別の方法として、PC側で印刷ジョブを解析することにより、先に処理可否を判定してからプリンタへ送ることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−134388公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印刷ジョブを解析する装置よりも、迅速に印刷処理の可否を判定することができる印刷制御装置、印刷可否判定プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、 実際に用紙に印刷される印刷情報及び印刷時の印刷条件を含む印刷条件情報を備えた印刷指示情報を生成する印刷指示情報編集手段と、前記印刷指示情報から前記印刷条件情報を抽出して、印刷可否判定に適用する印刷可否判定情報を生成する印刷可否判定情報生成手段と、前記印刷可否判定情報生成手段で生成された印刷可否判定情報に基づいて、指定された印刷装置での印刷の可否を判定する印刷可否判定手段と、を有している。
【0006】
請求項2に記載の発明は、実際に用紙に印刷される印刷情報及び印刷時の印刷条件を含む印刷条件情報を備えた印刷指示情報を生成する印刷指示情報生成手段と、印刷指示情報生成手段で生成した印刷指示情報を指定された印刷装置へ通信回線網を介して送信する印刷指示情報送信手段と、前記印刷指示情報から前記印刷条件情報を抽出して、印刷可否判定に適用する印刷可否判定情報を生成する印刷可否判定データ生成手段と、前記印刷指示情報送信手段による印刷指示情報送信と同時期に実行され、前記印刷可否判定情報生成手段で生成された印刷可否判定情報に基づいて、指定された印刷装置での印刷の可否を判定する印刷可否判定手段と、を有している。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記印刷可否判定手段での判定の結果を報知する報知手段を備える。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記報知手段は、前記印刷可否判定手段での判定の結果、印刷不可と判定された場合に当該印刷不可である旨を報知する。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記印刷可否判定手段による印刷可否判定時、或いはそれよりも以前に、前記指定された印刷装置から通信回線網を介して当該印刷装置固有の設定情報を入手し、この設定情報を印刷判定要素に加味する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記印刷装置固有の設定情報が、用紙装填部に装填されている用紙サイズ、用紙種類、用紙向き、用紙の有無の少なくとも1つを含む印刷装置機能情報、並びに両面処理機構の有無、外部記録装置の有無を含む印刷装置装備情報である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記印刷装置固有の設定情報が入手できないとき、予め設定されている印刷装置の標準設定情報を適用する。
【0012】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の印刷制御装置として機能させるための印刷可否判定プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、印刷ジョブを解析する構成と比べて、迅速に印刷処理の可否を判定することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、印刷ジョブを解析する構成と比べて、迅速に印刷処理の可否を判定することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、印刷ジョブを解析する構成と比べて、迅速に印刷処理の可否を知ることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、印刷ジョブを解析する構成と比べて、迅速に印刷不可である旨を知ることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、プリンタ固有の設定にも対応可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、プリンタ固有の設定が印刷装置機能情報と印刷装置装備情報とすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、プリンタ固有の設定を入手できなくても、印刷処理の可否を判定することができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、印刷ジョブを解析する構成と比べて、迅速に印刷処理の可否を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1には、本実施の形態に係る印刷システムが示されている。
【0022】
印刷システムは、印刷装置110と、当該印刷装置110へ主として画像データを送信して印刷を指示する制御装置(PC)10と、を備えている。印刷装置110と制御装置10とは、通信回線網12を介して互いに信号の送受信が可能に接続されている。
【0023】
通信回線網12は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)や、インターネットであってもよい。
【0024】
なお、図1では、必要最小限の装備として通信回線網12に1台の印刷装置110と、1台の制御装置10のみを図示したが、それぞれ複数台接続されていてもよいし、サーバー等、画像処理(印刷処理)データを一括管理するデータベースが接続されていてもよい。
【0025】
(制御装置10の構成)
図1に示される如く、制御装置10は、制御装置本体10Aに対して、入力系としてキーボード10B、マウス10Cが接続され、出力系としてモニタ10Dが接続されている。
【0026】
図2に示される如く、制御装置本体10Aは、CPU14、RAM16、ROM18、I/O(入出力部)20、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス22を有している。
【0027】
I/O20には、前記キーボード10B、マウス10C、モニタ10Dがそれぞれ接続されている。また、このI/O20には、少なくともRAM18よりも記憶容量が大きい大容量記録媒体であるハードディスク(HDD)24が接続され、複数のジョブデータ(印刷ジョブ等)が記憶できるようになっている。また、I/O20は、I/F26を介して通信回線網12に接続されている。
【0028】
制御装置10では、この通信回線網12を介して、例えば、所定のアプリケーションプログラムを立ち上げることで作成された、印刷するべき画像データを含む印刷ジョブを印刷装置110へ送信するようになっている。
【0029】
上記構成の印刷システムにおいて、制御装置10は、印刷装置110へ印刷ジョブデータを送出したり、印刷設定情報を設定して、印刷指示するためのプリンタドライバ(印刷制御装置)としての役目を有する。言い換えれば、プリンタドライバとして機能するためのプログラムが予めインストールされ、例えば、アプリケーションソフトプログラムの実行中に印刷命令があると、プリンタドライバが立ち上がり、上記設定やデータ送出を実行する。
【0030】
なお、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムをCDROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【0031】
プリンタドライバが立ち上がると、制御装置10のモニタ10Dには、主として印刷設定情報の設定を行なうユーザインタフェイス(プリンタドライバ基本画面)が表示されるようになっている。このプリンタドライバ基本画面に基づいて、印刷ジョブデータが生成されるようになっている。
【0032】
図3(A)は、印刷ジョブデータのデータ構築例であり、記憶領域がデータ種により分類して表記したものである。
【0033】
第1段領域DP1は、印刷指示を行なうユーザーの識別情報(ユーザー識別情報(ID))が記録される領域である。これによって、印刷指示ユーザーを特定する。
【0034】
ユーザー識別情報は、印刷装置110毎の判断テーブルのユーザ設定を特定するための情報であり、例えば、制御装置名、通信回線網12上のIPアドレス、ユニークなID、ログインユーザー名等である。
【0035】
第2段領域DP2は、先頭印刷情報が記録される領域である。この先頭印刷情報は、印刷ジョブデータ全体に対して統一の印刷設定情報が含まれる。
【0036】
先頭印刷条件は、印刷前に設定する必要がある、印刷ジョブデータ全体に関係する印刷条件のことであり、例えば、印刷枚数、片面/両面印刷、仕分け機能、用紙種類、合紙付け等がある。
【0037】
第3段領域DP3は、各ページ毎の印刷設定情報と実際に印刷される印刷画像データがページ順に記憶される領域である。このn(nは正の整数)ページ目印刷設定情報は各ページ毎の印刷設定情報である。また、nページ目印刷画像データは、各ページに印刷される画像データである。
【0038】
各ページ毎の印刷設定情報は、そのページのみに関係する印刷条件のことであり、例えば、用紙サイズ、印刷の向き、給紙口、表示付け等がある。
【0039】
この第3段領域DP3は、印刷画像データ量、すなわちページ数によって変動するものであり、ページ数が多ければ多いほど記憶容量を多く専有することになる。
【0040】
第4段領域DP4は、末尾印刷設定情報が記憶される領域である。この末尾印刷情報は、印刷ジョブデータ全体に対して統一の印刷設定情報が含まれる。
【0041】
末尾印刷設定情報は、印刷後に設定する必要がある、印刷ジョブデータ全体に関係する印刷条件のことであり、例えば、ジョブの管理情報等がある。
【0042】
このように生成された印刷ジョブデータは、制御装置10から印刷装置110へ通信回線網12を介して送出され、印刷装置110では、印刷ジョブデータに付加された印刷設定情報を解析し、指定された印刷設定に基づき、印刷処理が実行される。
【0043】
ところで、印刷ジョブデータに付加された印刷設定情報の中に、当該印刷ジョブデータを受信した印刷装置110において非対応の印刷設定情報が含まれ、印刷できない場合がある。
【0044】
その要因としては、印刷装置110の給紙口(トレイ等)に装填する用紙のサイズや種類は、印刷装置110毎(ユーザー毎)に異なり、印刷ジョブデータに付加された印刷設定情報と印刷装置110に設定された設定テーブルとに食い違いが生じる、といったことが挙げられる。
【0045】
なお、印刷設定情報には、上記給紙口や用紙に関するものの他、印刷装置110の機能に関するものがあり、例えば、BINDING(綴じ方向「短辺/長辺」)、COLLATE(丁合「ページ単位/部単位」)、COPIES(コピー数「ページ単位/部単位」)、DUPLEX(両面/片面印刷)、PMODE(画像処理方位「縦長/横長」)、FACE-UP(画像処理結果の表紙面方向「表面上/表面下」)、FEED(用紙フィード「用紙給紙機構選択」)、N-UP(1ページN分割印刷)等である。
【0046】
上記印刷実行に生じる不具合は、制御装置10側で、予め印刷ジョブデータを解析した後に印刷装置110へ送出すればよいが、上述のように第3段領域DA3のデータ量が大量(印刷ページ数が多い)であればあるほど、データ解析に時間を要している。
【0047】
また、印刷装置110から最新の機能が制御装置10へ伝達されていないと、精度よく印刷可否の判断ができない場合がある。
【0048】
そこで、本実施の形態では、上記印刷装置110へ送出する印刷ジョブデータ(図3(A)参照)に加え、印刷装置110での印刷の可否を判定する印刷可否判定データ(図3(B)参照、以下、「モニタデータ」という)を作成するようにした。また、印刷装置110からは、最新の前記設定テーブル(判断テーブル)を入手するようにした。
【0049】
図3(B)は、モニタデータのデータ構築例であり、記憶領域がデータ種により分類して表記したものである。
【0050】
第1段領域DM1は、印刷指示を行なうユーザーの識別情報(ユーザー識別情報(ID))が記録される領域である。これによって、印刷指示ユーザーを特定する。
【0051】
ユーザー識別情報は、印刷装置110毎の判断テーブルのユーザ設定を特定するための情報であり、例えば、制御装置名、通信回線網12上のIPアドレス、ユニークなID、ログインユーザー名等である。
【0052】
第2段領域DM2は、先頭印刷情報が記録される領域である。この先頭印刷情報は、印刷ジョブデータ全体に対して統一の印刷設定情報が含まれる。
【0053】
先頭印刷条件は、印刷前に設定する必要がある、印刷ジョブデータ全体に関係する印刷条件のことであり、例えば、印刷枚数、片面/両面印刷、仕分け機能、用紙種類、合紙付け等がある。
【0054】
第3段領域DM3は、各ページ毎の印刷設定情報がページ順に記憶される領域である。このn(nは正の整数)ページ目印刷設定情報は各ページ毎の印刷設定情報である。
【0055】
各ページ毎の印刷設定情報は、そのページのみに関係する印刷条件のことであり、例えば、用紙サイズ、印刷の向き、給紙口、表示付け等がある。
【0056】
第4段領域DM4は、末尾印刷設定情報が記憶される領域である。この末尾印刷情報は、印刷ジョブデータ全体に対して統一の印刷設定情報が含まれる。
【0057】
末尾印刷設定情報は、印刷後に設定する必要がある、印刷ジョブデータ全体に関係する印刷条件のことであり、例えば、ジョブの管理情報等がある。
【0058】
ここで、印刷ジョブデータ(図3(A)参照)と、モニタデータ(図3(B)参照)とを比較すると、第3の領域DP3、DM3において、印刷画像データの有無の違いであることがわかる。
【0059】
モニタデータが印刷画像データを含まないことで、印刷ジョブデータに比べて、情報量が極めて少ないことがわかる。このため、モニタデータとして残った印刷設定情報を解析するのに、印刷ジョブデータを解析するよりも短時間で行えることが容易に推測される。
【0060】
図4は、制御装置10の制御装置本体10Aにおける、印刷装置110へ送出する印刷ジョブデータに関する、印刷可否判定のための制御を機能的に示したブロック図である。なお、このブロック図は、機能別に分類したものであり、ハード構成を限定するものではない。
【0061】
アプリケーションプログラムで作成したデータを印刷する場合、アプリケーションプログラムの命令項目から印刷命令を選択する。この選択により、アプリケーションプログラムからアプリケーション印刷データ(APLデータ)が送出され、これをアプリケーション印刷データ受付部100が受け付ける。
【0062】
アプリケーション印刷データ受付部100は、プリンタドライバUI表示制御部102及びAPLデータ一時格納部104に接続されている。
【0063】
プリンタドライバUI表示制御部102では、この受け付けをきっかけとして、プリンタドライバUI(印刷設定標準画面)をモニタ10Dへ表示する。ユーザーはこのモニタ10Dに表示されたプリンタドライバUIを見ながら、キーボード10Bやマウス10Cを操作して、印刷設定情報の設定操作を実行する。なお、アプリケーションプログラムで設定された印刷設定情報(例えば、フォントやサイズ、1行の文字数、1ページの行数等)は、その一部は設定変更可能な状態でプリンタドライバUIに表示される。
【0064】
前記APLデータ一時格納部104に格納されたAPLデータは、印刷設定情報生成部106へ送出されるようになっている。
【0065】
この印刷設定情報生成部106には、キーボード10B及びマウス10Cの操作によって、印刷設定情報に関する設定指示が入力され、印刷設定情報が生成される。
【0066】
印刷設定情報生成部106は、印刷ジョブデータ作成部108及びモニタデータ作成部111に接続されている。
【0067】
印刷ジョブデータ作成部108では、印刷装置110へ送出して印刷を実行するための印刷ジョブデータが作成される。すなわち、印刷ジョブデータには、ユーザー識別情報、実際に印刷される印刷画像データ、印刷画像データをどのように印刷するかを示す印刷設定情報が含まれており、記憶領域は、図3(A)に示した構成(前述)で分類されている。
【0068】
一方、モニタデータ作成部111では、印刷ジョブデータから印刷画像データを除いたデータ、すなわち、ユーザー識別情報、印刷設定情報が含まれており、記憶領域は、図3(B)に示した構成(前述)で分類されている。
【0069】
印刷ジョブデータ作成部108で作成された印刷ジョブデータは、印刷ジョブデータ格納部112に送出される。従って、作成された印刷ジョブデータは、印刷装置110へ送出される前に、印刷ジョブデータ格納部112に格納されることになる。
【0070】
一方、モニタデータ作成部111で作成されたモニタデータは、印刷可否判定部114へ送出される。
【0071】
印刷可否判定部114は、モニタデータに含まれる印刷設定情報と、印刷装置110の印刷機能を示すテーブル(判断テーブル)とを照合して、印刷設定情報に基づく印刷が実行可能か否かを判定する役目を有している。このため、印刷可否判定部114には、判断テーブル取込部116が接続されている。
【0072】
判断テーブル取込部116には、標準判断テーブル記憶部118が接続されている。標準判断テーブル記憶部118には、通信回線網12に接続される印刷装置110の標準的な判断テーブルが記憶されている。このため、判断テーブル取込部116では、印刷可否判定部114から取込指示があると、標準判断テーブル記憶部118から指定された印刷装置110の標準判断テーブルを取り込むようになっている。
【0073】
また、判断テーブル取込部116は、I/F26を介して通信回線網12上の印刷装置110とアクセス可能な環境となっている。すなわち、標準判断テーブル記憶部118は、例えば、該当する印刷装置110が設置されたときに設定した初期の判断テーブル、或いは予めメーカーやユーザー等が設定したデフォルトの判断テーブルが記憶されている。
【0074】
印刷装置110の機能は、ユーザーによって設定変更可能な項目があるため、判断テーブル取込部116では、印刷可否判定部114から取込指示があったときに、該当する印刷装置110にアクセスして、最新の判断テーブルを取り込むようになっている。
【0075】
従って、判断テーブル取込部116では、例えば、最新の判断テーブルをそれぞれの印刷装置110から取り込むことが優先され、前記最新の判断テーブルの取り込みができない(アクセス不能)、或いは存在しない(未設定)場合に、前記標準判断テーブル記憶部118から標準判断テーブルを取り込むようにしている。なお、優先順位は変更可能である。
【0076】
判断テーブル取込部116で取り込んだ何れかの判断テーブルは、印刷可否判定部114へ送出される。印刷可否判定部114では、印刷設定情報から解析される解析結果テーブルと、前記判断テーブルとを照合して、印刷可否結果テーブルを生成することで、印刷可否を判定する(図7、図9、図11参照)。
【0077】
印刷可否判定部114は、前記印刷ジョブデータ格納部112及びエラー表示画面生成部120のそれぞれに接続されている。印刷可否判定部114において、印刷可能(OK)の判定があった場合は、印刷可否判定部114から印刷ジョブデータ格納部112に対して、印刷可能(OK)信号が出力される。
【0078】
一方、印刷可否判定部114において、印刷不可(NG)の判定があった場合は、印刷可否判定部114からエラー表示画面生成部120に対して、印刷不可(NG)信号が出力される。
【0079】
印刷ジョブデータ格納部112では、前記印刷可能(OK)信号の入力をきっかけとして、印刷ジョブデータをI/F26を介して、指定された印刷装置110へ送出する。これにより、印刷装置110では、印刷設定情報に基づいて印刷が実行される。
【0080】
一方、エラー表示画面生成部120では、前記印刷不可(NG)信号の入力をきっかけとして、前記印刷可否結果テーブルに基づいて、エラー表示画面(例えば、図8のエラー表示画面122A、図10のエラー表示画面122B、図12のエラー表示画面122C等)が生成される。
【0081】
生成されたエラー表示画面(データ)は、印刷不可内容報知情報としてプリンタドライバUI表示制御部102へ送出され、モニタ10Dに表示されるようになっている。この表示により、ユーザーは、印刷設定情報が、指定した印刷装置110に不適合であることを認識する。
【0082】
以下に本実施の形態の作用を図5及び図6のフローチャートに従い説明する。
【0083】
まず、図5のフローチャートでは、主として、図4の印刷設定情報生成部106、印刷ジョブデータ生成部108、モニタデータ生成部111で実行される、印刷ジョブデータの生成と、モニタデータの生成の手順を説明する。
【0084】
まず、ステップ200では、初期設定として変数n(nは正の整数)を1に設定し(n←1)、ステップ202へ移行する。
【0085】
ステップ202では、ユーザー識別情報(ID)を生成し、次いで、ステップ204へ移行して、このユーザー識別情報(ID)を、印刷ジョブデータ及びモニタジョブデータの記憶領域の内、第1段領域DP1、DM1のそれぞれに登録する。
【0086】
次のステップ206では、先頭印刷条件を生成し、次いで、ステップ208へ移行して、この先頭印刷条件を、印刷ジョブデータ及びモニタジョブデータの記憶領域の内、第2段領域DP2、DM2のそれぞれに登録する。
【0087】
次のステップ210では、nページ目の印刷設定情報を生成し、次いで、ステップ212へ移行して、印刷設定情報を、印刷ジョブデータ及びモニタジョブデータの記憶領域の内、第3段領域DP3、DM3のそれぞれに登録する。
【0088】
次のステップ214では、nページ目の印刷画像データを生成し、次いで、ステップ216へ移行して、印刷画像データを、印刷ジョブデータの記憶領域の内、第3段領域DP3に登録する。すなわち、モニタデータの記憶領域には格納しない。
【0089】
次のステップ218では、最終ページの処理が終了したか否かが判断され、否定判定された場合には、ステップ220へ移行して、変数nをインクリメント(n←n+1)し、ステップ210へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0090】
また、ステップ218で肯定判定された場合には、ステップ222へ移行して、末尾印刷設定情報を生成し、次いで、ステップ224へ移行して、末尾印刷設定情報を、印刷ジョブデータ及びモニタジョブデータの記憶領域の内、第4段領域DP4、DM4のそれぞれに登録し、このルーチンは終了する。
【0091】
以上で、図3(A)に示す印刷ジョブデータと、図3(B)に示すモニタデータとが生成される。
【0092】
次に、図6のフローチャートは、ユーザーが指示した印刷ジョブデータに付加された印刷設定情報が、当該指定した印刷装置110で印刷可能か否かを判定する、印刷可否判定ルーチンを示している。
【0093】
ステップ250では、モニタデータが印刷可否判定部114(図4参照)に入力されたか否かが判断され、否定判定された場合には、このルーチンは終了する。
【0094】
また、ステップ250で肯定判定された場合には、モニタデータが作成され、印刷可否判定部114へ入力されたと判断し、ステップ252へ移行する。
【0095】
ステップ252では、判断テーブル取込部116に対して、判断テーブル取込指示を行い、次いでステップ254へ移行して印刷装置110へアクセスして、判断テーブルの取込を実行する。このステップ254で実行する判断テーブルの取込処理において取り込みが成功した場合は、印刷装置110から成功を示す信号と共に判断テーブルのデータを得る。一方、取り込みが失敗した場合は、印刷装置110から失敗を示す信号を得る。
【0096】
次のステップ256では、判断テーブルの取り込みが成功したか否かが判断され、否定判定されると、ステップ258へ移行して標準判断テーブル記憶部118から標準判断テーブルを取り込んで、ステップ260へ移行する。
【0097】
また、ステップ256で肯定判定されると、既に印刷装置110から判断テーブルのデータを取得しているため、ステップ260へ移行する。
【0098】
ステップ260では、判断テーブルを判断テーブル116から印刷可否判定部114へ送出し、次いでステップ262でモニタデータの解析結果(解析結果テーブル)と、判断テーブルとを照合する。
【0099】
次のステップ264では、ステップ262での照合の結果、印刷の可否を判定する。
【0100】
ステップ264で印刷可能と判定されると、ステップ266へ移行して、印刷装置110へアクセスして、印刷ジョブデータを送信し、このルーチンは終了する。
【0101】
一方、ステップ264で否定判定、すなわち、印刷付加と判定された場合は、ステップ268へ移行して、印刷中止処理を行う。
【0102】
次のステップ270では、印刷結果テーブルに基づき、エラー表示画面を生成し、次いで、ステップ272へ移行して、モニタ10Dにエラー表示画面を表示し、このルーチンは終了する。
【実施例】
【0103】
以下に、本実施の形態に基づく実施例を示す。
【0104】
(第1の実施例)
図7(A)は、図4の判断テーブル取込部116で取り込み、印刷可否判定部114へ送出される判断テーブル150である。
【0105】
一方、図7(B)は、図4のモニタデータ作成部111で作成されたモニタデータに基づいて印刷可否判定部114において解析された解析結果テーブル152である。
【0106】
上記図7(A)の判断テーブル150と、図7(B)の解析結果テーブル152とを照合すると、用紙種類の1ページ目に指定されている「厚紙」が印刷装置110では「プレプリント」になっており、対応できないことがわかる。
【0107】
このような照合により非対応(印刷不可)の項目を列挙したのが、図7(C)の印刷可否結果テーブル154であり、この印刷可否結果テーブル154は、エラー表示画面生成部120へ送出される。
【0108】
これにより、エラー表示画面生成部120では、図8に示すエラー表示画面122が生成され、モニタ10Dに表示される。
【0109】
エラー表示画面122は、注意を示す三角形マーク122Aと、今回の印刷不可の要因となる内容のメッセージ画像122B(メッセージ:『「1ページ目」が「プレプリント」のため、印刷できません』)、ユーザーの確認を得るための「OK」ボタン画像122Cが表示されている。
【0110】
(第2の実施例)
図9(A)は、図4の判断テーブル取込部116で取り込み、印刷可否判定部114へ送出される判断テーブル156である。
【0111】
一方、図9(B)は、図4のモニタデータ作成部111で作成されたモニタデータに基づいて印刷可否判定部114において解析された解析結果テーブル158である。
【0112】
上記図9(A)の判断テーブル156と、図9(B)の解析結果テーブル158とを照合すると、1ページ目から3ページ目(それ以降のページも含む)に指定されている「両面印刷」が印刷装置110では「両面機構無」になっており、対応できないことがわかる。
【0113】
このような照合により非対応(印刷不可)の項目を列挙したのが、図9(C)の印刷可否結果テーブル160であり、この印刷可否結果テーブル160は、エラー表示画面生成部120へ送出される。
【0114】
これにより、エラー表示画面生成部120では、図10に示すエラー表示画面124が生成され、モニタ10Dに表示される。
【0115】
エラー表示画面124は、注意を示す三角形マーク124Aと、今回の印刷不可の要因となる内容のメッセージ画像124B(メッセージ:『「1ページ目」が「片面(両面機構無)」のため、2ページ目」が「片面(両面機構無)」のため、3ページ目」が「片面(両面機構無)」のため、印刷できません』)、ユーザーの確認を得るための「OK」ボタン画像124Cが表示されている。
【0116】
(第3の実施例)
図11(A)は、図4の判断テーブル取込部116で取り込み、印刷可否判定部114へ送出される判断テーブル162である。
【0117】
一方、図11(B)は、図4のモニタデータ作成部111で作成されたモニタデータに基づいて印刷可否判定部114において解析された解析結果テーブル164である。
【0118】
上記図11(A)の判断テーブル160と、図11(B)の解析結果テーブル162とを照合すると、1ページ目に指定されている「A3」が印刷装置110では「A4]になっており、対応できないことがわかる。
【0119】
また、同様に、3ページ目に指定されている「トレイ1」が印刷装置110では、「トレイ用紙無」となっており、対応できないことがわかる。
【0120】
このような照合により非対応(印刷不可)の項目を列挙したのが、図11(C)の印刷可否結果テーブル166であり、この印刷可否結果テーブル160は、エラー表示画面生成部120へ送出される。
【0121】
これにより、エラー表示画面生成部120では、図12に示すエラー表示画面126が生成され、モニタ10Dに表示される。
【0122】
エラー表示画面126は、注意を示す三角形マーク126Aと、今回の印刷不可の要因となる内容のメッセージ画像126B(メッセージ:『「1ページ目」が「A4」のため、「3ページ目」が「トレイ用紙無」のため、印刷できません』)、ユーザーの確認を得るための「OK」ボタン画像126Cが表示されている。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る制御装置のハード構成を示すブロック図である。
【図3】(A)印刷ジョブデータの記憶領域の構築形態を模式化した正面図、(B)はモニタデータの記憶領域の構築形態を模式化した正面図である。
【図4】本実施の形態に係る制御装置において実行される、印刷ジョブデータ及びモニタデータ作成、並びに印刷可否判定のための制御を示す機能ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係る印刷ジョブデータ及びモニタデータ作成のための流れを示す制御フローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る印刷可否判定のための流れを示す制御フローチャートである。
【図7】本実施の形態の第1の実施例に係り、(A)は判断テーブル、(B)は解析結果テーブル、(C)は印刷可否結果テーブルの正面図である。
【図8】本実施の形態の第1の実施例に係り、図7(C)の印刷可否結果テーブルに基づいて生成され、モニタに表示されるエラー表示画面の正面図である。
【図9】本実施の形態の第2の実施例に係り、(A)は判断テーブル、(B)は解析結果テーブル、(C)は印刷可否結果テーブルの正面図である。
【図10】本実施の形態の第2の実施例に係り、図7(C)の印刷可否結果テーブルに基づいて生成され、モニタに表示されるエラー表示画面の正面図である。
【図11】本実施の形態の第3の実施例に係り、(A)は判断テーブル、(B)は解析結果テーブル、(C)は印刷可否結果テーブルの正面図である。
【図12】本実施の形態の第3の実施例に係り、図7(C)の印刷可否結果テーブルに基づいて生成され、モニタに表示されるエラー表示画面の正面図である。
【符号の説明】
【0124】
10 制御装置
10A 制御装置本体
10B キーボード
10C マウス
10D モニタ(報知手段)
12 通信回線網
14 CPU
16 RAM
18 ROM
20 I/O
22 バス
24 ハードディスク
26 I/F
110 印刷装置
DP1 第1段領域
DP2 第2段領域
DP3 第3段領域
DP4 第4段領域
DM1 第1段領域
DM2 第2段領域
DM3 第3段領域
DM4 第4段領域
100 アプリケーション印刷データ受付部
102 プリンタドライバUI表示制御部
104 APLデータ一時格納部
106 印刷設定情報生成部
108 印刷ジョブデータ作成部(印刷ジョブデータ生成手段)
111 モニタデータ作成部(印刷可否判定データ生成手段)
112 印刷ジョブデータ格納部
114 印刷可否判定部(印刷可否判定手段)
116 判断テーブル取込部
118 標準判断テーブル記憶部
120 エラー表示画面生成部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際に用紙に印刷される印刷情報及び印刷時の印刷条件を含む印刷条件情報を備えた印刷指示情報を生成する印刷指示情報編集手段と、
前記印刷指示情報から前記印刷条件情報を抽出して、印刷可否判定に適用する印刷可否判定情報を生成する印刷可否判定情報生成手段と、
前記印刷可否判定情報生成手段で生成された印刷可否判定情報に基づいて、指定された印刷装置での印刷の可否を判定する印刷可否判定手段と、
を有する印刷制御装置。
【請求項2】
実際に用紙に印刷される印刷情報及び印刷時の印刷条件を含む印刷条件情報を備えた印刷指示情報を生成する印刷指示情報生成手段と、
印刷指示情報生成手段で生成した印刷指示情報を指定された印刷装置へ通信回線網を介して送信する印刷指示情報送信手段と、
前記印刷指示情報から前記印刷条件情報を抽出して、印刷可否判定に適用する印刷可否判定情報を生成する印刷可否判定データ生成手段と、
前記印刷指示情報送信手段による印刷指示情報送信と同時期に実行され、前記印刷可否判定情報生成手段で生成された印刷可否判定情報に基づいて、指定された印刷装置での印刷の可否を判定する印刷可否判定手段と、
を有する印刷制御装置。
【請求項3】
前記印刷可否判定手段での判定の結果を報知する報知手段を備える請求項1又は2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記印刷可否判定手段での判定の結果、印刷不可と判定された場合に当該印刷不可である旨を報知する請求項3記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記印刷可否判定手段による印刷可否判定時、或いはそれよりも以前に、前記指定された印刷装置から通信回線網を介して当該印刷装置固有の設定情報を入手し、この設定情報を印刷判定要素に加味する請求項4記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記印刷装置固有の設定情報が、用紙装填部に装填されている用紙サイズ、用紙種類、用紙向き、用紙の有無の少なくとも1つを含む印刷装置機能情報、並びに両面処理機構の有無、外部記録装置の有無を含む印刷装置装備情報である請求項5記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記印刷装置固有の設定情報が入手できないとき、予め設定されている印刷装置の標準設定情報を適用する請求項5又は請求項6記載の印刷制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の印刷制御装置として機能させるための印刷可否判定プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−102422(P2010−102422A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271749(P2008−271749)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】