説明

印刷制御装置および方法およびプログラム

【課題】
あらかじめ設定した信頼情報を実際の情報とみなして印刷処理の高速化を実現できるようにした印刷制御装置および方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】
制御部202で印刷出力を行うプリンタの「プリンタの状態」を確認して印刷可能な状態である場合に応答速度とプリンタの通信状況を確認する。プリンタがプリンタの通信状況に含まれる節電状態などの特殊な状態であったり、応答速度が遅い場合には「トレイの状態」の確認を省略する処理モードを設けてあらかじめ設定した信頼情報をプリンタの「トレイの状態」とみなして印刷処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置および方法およびプログラムに関し、特に、プリンタの状態に基づいてあらかじめ設定された信頼情報をプリンタの情報とみなして印刷制御できるようにした印刷制御装置および方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタを用いて文書等を印刷出力する際には「プリンタの状態」、用紙サイズや用紙枚数などの「トレイ情報」などを確認し、印刷要求を満たすことができる場合に印刷要求データをプリンタに送出するように作成されている。
【0003】
例えば、SCSI(Small Computer System Interface:通信機器接続インタフェース)接続されたプリンタの場合にはSCSIのコマンドを用いることによって確認し、またMIB(Management Information Base:管理情報ベース)に対応したプリンタである場合にはMIBを確認することで印刷要求を満たすことができるか確認している。
【0004】
このため、プリンタの種類によっては処理速度が遅く、応答時間がかかるものがあり、またネットワーク環境によっては回線効率や伝送損失率などから確認に多くの時間を要する場合があるため確認に多くの時間を要してしまうという問題がある。
【0005】
ネットワーク接続時に実施された接続が行われているかの判定処理の結果を用いることにより、本来、それ以降に実施される同一の接続判定処理を省略することができる従来技術として、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平11−225183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示された従来技術においては、通信の接続確認が以前に行われた接続確認と同じ場合に再度接続確認を行わずして通信を行うことができるが、以前に行われた接続確認処理を同じ接続確認処理でない場合には接続確認を省略することができず、接続確認をしなければならない。
【0007】
このため複雑に暗号化された通信や膨大な量に昇る接続確認データの場合における接続確認に多くの時間を要し、高速な処理を実現することができないという問題がある。
【0008】
さらに、一般的にプリンタが節電状態(待機状態)などの特殊な状態になっている場合には、「トレイ情報」を確認することができないため印刷出力が停止してしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、あらかじめ設定した信頼情報を実際の情報とみなして印刷処理の高速化を実現できるようにした印刷制御装置および方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、 印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御装置において、前記画像形成装置の状態を確認する状態確認手段と、前記状態確認手段によって前記画像形成装置の状態が確認された際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を前記画像形成装置に確認するかを判断する判断手段と、前記判断手段により確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制する擬制手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記判断手段により確認する必要があると判断された場合には前記印刷要求を満たすために必要な情報を確認する確認手段と、前記確認手段により確認された前記印刷要求を満たすために必要な情報であらかじめ設定された信頼情報を更新する更新手段とを更に具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記確認手段は、前記画像形成装置の印刷用紙が格納されたトレイに前記印刷データの印刷要求を満足する用紙が格納されているか確認することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御方法において、前記画像形成装置の起動状態を起動状態確認手段で確認し、前記起動状態確認手段によって確認が行われた際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を確認するかを判断手段で判断し、前記判断手段により確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御をコンピュータにより実行可能な印刷制御プログラムであって、前記画像形成装置の起動状態を確認する第1のステップと、前記第1のステップによって確認が行われた際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を確認するかを判断する第2のステップと、前記第2のステップにより確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制する第3のステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷用紙枚数などのトレイ情報を確認することなくあらかじめ決めうちする処理モードを設けることにより印刷出力できるような構成にしたので、プリンタが節電状態などの特殊な状態やプリンタが遠隔地にあるなどにより応答速度が遅い特殊な環境であっても印刷出力を高速に行えることが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係わる印刷制御装置および方法およびプログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
なお、本発明は、相手の状態を確認して通信を行う装置に可能であり、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol:通信プロトコル)のMIBに対応したプリンタの「トレイ情報」を確認したり、SNMPデータのセキュリティチェックを行うルータなどに適用可能であるが、以下の実施例では、SNMPのMIBに対応したプリンタの「トレイ情報」の確認を行う場合を例に記す。
【実施例】
【0018】
図1は、この発明に係わる印刷制御装置および方法およびプログラムを適用したネットワーク構成を示す図である。
【0019】
図1において、プリントサーバ101、サーバサイドルータ103、プリンタサイドルータ112、プリンタ110を具備して構成される。図1上には1台のみのプリンタが示されているが、実際のネットワーク構成においては複数台のプリンタが接続される。
【0020】
プリントサーバ101は、SNMPマネージャ102を具備して構成され、プリンタ110への印刷データを制御する。
【0021】
SNMPマネージャ102は、複数台のプリンタ110に対して情報取得要求などを行い、各プリンタが持つ情報を確認する。
【0022】
SNMPマネージャ102は、プリンタが印刷することができる状態にあるか否かを確認するために、IETF(Internet Engineering Task Force:インターネット標準化団体)によって規定されたRFC(Request for Comments:仕様や運用規則が定められた文書)のRFC1759に規定されているPrinter MIBにおけるhrPrinterStatusを確認する。値がidle(3)やprinting(4)であれば印刷することができる状態であると判定する。またhrPrinterStatusの値がother(0)の時には、さらにhrPrinterDetectedErrorStateやhrDeviceStatusの内容を確認することで、印刷することができる状態であると判定する。
【0023】
そのほかにMIBを使わずしてプリンタが印刷することができる状態にあるか否かを確認する方法もある。例えば、通信確認のためのpingコマンドを送信したり、自分が印刷した印刷データがどのような状況なのかを調べるlpqコマンドを送出したりする。pingコマンドに対する応答結果や応答速度に応じてプリントサーバ101は「プリンタの状態」を確認することができる。
【0024】
ここで「プリンタの状態」とは、プリンタを用いて印刷することができるか否かを示す。プリンタが印刷できない状態とは電源がOFFであったりネットワーク回線が断線したりする状態を示す。
【0025】
サーバサイドルータ103、プリンタサイドルータ112は、プリントサーバとプリンタを電気的な通信を確立させるインターフェイスである。
【0026】
なお、図1に示すネットワークにはインターネット通信を用いたネットワーク接続を示しているが、これに限られることなく、プリントサーバとプリンタを1対1に接続するP2P(Peer to Peer)通信でも同様である。
【0027】
プリンタ110は、SNMPエージェント111、プリンタMIB112を具備して構成され、印刷出力要求を受けた印刷データを印刷出力する。
【0028】
SNMPエージェント111は、プリントサーバ101のSNMPマネージャ102からのデータ送信要求に応じて上記Printer MIBにおけるhrPrinterStatusに格納された情報をプリントサーバ101に送出する。
【0029】
このようなネットワーク構成により「プリンタの状態」を確認することができる。
【0030】
図2は、この発明に係わる印刷制御装置を適用したシステム構成を示す図である。
【0031】
図2には、図1に示したプリントサーバ101のシステム構成図であり、通信部201、制御部202、判断部203、信頼トレイ情報管理部204、印刷データ管理部205を具備して構成される。
【0032】
通信部201は、印刷要求を行うユーザとの通信や印刷出力を行うプリンタ110とのデータの送受信を行うインターフェイスである。
【0033】
制御部202は、印刷出力を行うプリンタ110の状態を確認するために「プリンタの状態」と印刷用紙が格納された「トレイの状態」を確認する。例えば、プリンタの状態の確認には、Printer MIB (RFC1759)におけるhrPrinterStatusを確認する。値がidle(3)やprinting(4)であれば印刷することができる状態であると判定する。またhrPrinterStatusの値がother(0)の時には、さらにhrPrinterDetectedErrorStateやhrDeviceStatusの内容を確認する。プリンタが節電の時には、htPrinterStatusの値がOther(0)であるが、hrPrinterDetectedErrorStateやhrDeviceStatusの内容がエラーを示す内容ではないため、プリンタは「印刷できる状態」であると判定する。
【0034】
そのほかにMIBを使わずしてプリンタが印刷することができる状態にあるか否かを確認する方法として、pingコマンドを送出した際のプリンタの通信状況、応答速度などから「プリンタの状態」がわかる。つまり、「プリンタの状態」はプリンタが印刷可能な状態であるか否かを示し、印刷可能な状態でない場合とは、プリンタの電源がOFFになっている状態やネットワーク回線が断線状態にあるなどプリンタが論理的にネットワーク上に存在しない状態のことを示している。
【0035】
この「プリンタの状態」が印刷可能な状態である場合には制御部202で応答速度を確認し、印刷可能な状態でない場合には印刷可能になるまで待機する。
【0036】
なお、印刷可能な状態でない場合には印刷ができない旨のメッセージをプリンタの管理者に対して通知するような構成にしてもよい。
【0037】
そして、印刷可能な状態の場合には、確認したプリンタの通信状況や応答速度に基づいて「トレイの状態」を確認するか否かを決定する。プリンタの通信状況とは節電状態などの特殊な状態などが含まれており、この特殊な状態や応答速度が遅い特殊な環境においては「トレイの状態」の確認を省略するモードを設ける。このモードを処理モードとよび、処理モードには「トレイの状態」を確認する「通常モード」と「トレイの状態」を確認することなくあらかじめ設定した信頼トレイ情報をプリンタのトレイ情報とみなす「信頼モード」とがある。
【0038】
この処理モードは節電状態などの特殊な状態や応答速度が遅い特殊な環境である場合に自動的にモード変換が行われるほか、予めプリンタごとに処理モードを設定するような構成にしてもよい。
【0039】
さらに印刷指示を行ったユーザを識別し、ユーザごとに処理モードを設定するほか、印刷指示された印刷データに付与された属性情報を参照して自動的に処理モードを算出するような構成にしてもよい。自動的に算出する方法として、印刷データに付与された属性情報の特定の属性を参照し、その属性値がある一定値である場合に「信頼モード」として設定する方法がある。
【0040】
判断部203は、制御部202で送出したコマンドに基づいて応答されるプリンタの状態から印刷可能な状態であるか否かを判断する。さらに印刷するプリンタごとに設定された処理モードが「信頼モード」であるか判断する。
【0041】
信頼トレイ情報管理部204は、「信頼モード」である場合にプリンタのトレイ情報としてみなす信頼トレイ情報が管理されている。
【0042】
また、処理モードが「通常モード」である場合に「トレイの状態」を確認したトレイ情報を信頼トレイ情報管理部204に最新のトレイ情報として保存する。これにより最新のより正確な信頼トレイ情報を管理することができる。
【0043】
印刷データ管理部205は、ユーザにより印刷指示された印刷データをプリンタに送出する前に一時的に管理する。印刷指示内容を満たすことができるか制御部202で制御したのちに、満たすことができる場合に印刷データをプリンタに送出する。
【0044】
このような構成により、節電状態などの特殊な状態や特殊なネットワーク環境においてプリンタのトレイ情報を確認することなく、印刷出力を行うことができる。
【0045】
図3は、プリントサーバとプリンタとのシーケンス図である。
【0046】
図3において、図3(a)は、従来のプリントサーバとプリンタとのシーケンス図であり、図3(b)は、本発明におけるプリントサーバとプリンタとのシーケンス図である。
【0047】
図3(a)では、プリントサーバからプリンタに対して「プリンタの状態」を確認するプリンタの状態確認要求(S301)を出し、その応答(S303)を待ち、「印刷可能な状態」であれば「トレイの装備状態」を確認するトレイの装備状態確認要求(S302)を送出し、トレイの装備状態確認応答(S304)を待つ。
【0048】
トレイの装備状態確認要求(S302)とトレイの装備状態確認応答(S304)の詳細は、図3(a)に示すように、まず1つ目のトレイに対してトレイに格納されている用紙サイズの一辺を確認する「トレイ#1サイズX」の要求(S304−2−1)を送出し、それに対する「トレイ#1サイズX」の応答(S304−2−1)を受信する。次に上記同様、1つ目のトレイに対してトレイに格納されている用紙サイズのもう一辺を確認する「トレイ#1サイズY」の要求(S304−2−2)を送出し、それに対する「トレイ#1サイズY」(S304−2−2)の応答を受信する。次に1つ目のトレイの最大収容量を確認する「トレイ#1最大収容量」の要求(S304−2−3)を送出し、それに対する「トレイ#1最大収容量」の応答(S304−2−3)を受信する。次に1つ目のトレイの現在収容している収容量を確認する「トレイ#1現在収容量」の要求(S304−2−4)を送出し、それに対する「トレイ#1現在収容量」の応答(S304−2−4)を受信する。そして1つ目のトレイの稼動状態を確認する「トレイ#1状態」の要求(S304−2−5)を送出し、それに対する「トレイ#1状態」の応答(S304−2−5)を受信する。
【0049】
上記に示すトレイの状態確認要求・応答を装置に設置されたトレイの数ぶんだけ繰り返し行う。
【0050】
トレイの装備状態確認応答を受信し、その結果が「印刷対象用紙が存在する」と判断した場合(314)に印刷データをプリンタに対して送出する。
【0051】
それに対して、プリンタが節電状態などの特殊な状態(313)になっている場合などにおいては、トレイの状態確認応答(S304)の内容が「トレイの用紙内容不明」などの情報しか受信することができず、印刷出力が停止してしまうという問題がある。
【0052】
図3(b)では、はじめに「プリンタの状態」を確認する要求を作成し(320)、プリンタに対して送出する(S301)。プリンタは「プリンタの状態」を応答し(S303)、その「プリンタの状態」が印刷可能な状態である場合に続いて処理モードが「通常モード」か「信頼モード」であるかを判断する(321)。
【0053】
「信頼モード」である場合にはトレイの状態を確認することなく信頼トレイ情報を取得して(322)、印刷データをプリンタに送出する(S305)。それに対して「通常モード」である場合には「トレイの装備状態」を確認する確認要求をプリンタに送出し(S302)、プリンタは要求に対して確認応答を送出する(S304)。確認応答(S304)を受けてプリンタに対して印刷データを送出する(S305)。
【0054】
このときの「トレイの装備状態」を確認する要求と応答の詳細は図3(a)に示す「トレイの装備状態」のシーケンスと同じである。
【0055】
また、印刷可能な状態で、プリンタが節電状態などの特殊な状態にある場合にはトレイ情報の応答内容が必ずしも正確ではない場合がある。プリンタが節電状態のときには、PrinterMIB(RFC1759)におけるhrPrinterStatusの値がother(0)であり、更にトレイ情報の応答内容がどのようになるかについては、プリンタの機種ごとに異なるため、予め設定した条件と比較することで判断し、合致していれば信頼トレイ情報をプリンタのトレイ情報とすることで印刷データをプリンタに送出する。これによりプリンタは節電状態などの特殊な状態から復帰して印刷処理を行う。
【0056】
つまり、「トレイの状態」の確認において「印刷対象用紙の有無」を確認しているだけでは、印刷データを送信しないために特殊な状態からプリンタが復帰することができないが、スリープモードであると判断したときに印刷データを送出することで復帰することができる。
【0057】
このように一度に「プリンタの状態」と「トレイの状態」を別々に独立して確認するのではなく、「プリンタの状態」やその内容に基づいて「トレイの状態」を確認するか決定し、さらにはプリンタの状態とトレイの状態の組み合わせに応じて、信頼トレイ情報を採用する。
【0058】
図4は、印刷制御の流れを示すフローチャートである。
【0059】
図4において、ユーザより印刷指示を受け付けると処理が開始され、「プリンタの状態」を確認し(S401)、印刷可能な状態であるか判別し(S402)、印刷可能な状態でない場合(S402でNO)には印刷可能になるまで待機して印刷可能な状態になった後に処理を再開する。それに対して印刷可能な状態である場合(S402でYES)には、次に処理モードが「信頼モード」であるか確認し(S403)、「信頼モード」である場合(S403)には信頼トレイ情報をプリンタの実際のトレイ情報と擬制する(S404)。
【0060】
「信頼モード」でない場合(S403でNO)にはプリンタの「トレイの状態」を確認する処理を行う(S405)。確認した結果、全てのトレイが使用不可能であるか判定し(S406)、使用不可能である場合(S406でYES)には、続いてその使用不可能な理由が「プリンタがスリープ状態である」か判断する(S407)。プリンタがスリープ状態にあるため全てのトレイが使用不可能になっている場合(S407でYES)には、信頼トレイ情報をプリンタの実際のトレイ情報と擬制する(S408)。その理由がスリープ状態によらない場合(S407でNO)には、トレイが使用不可能であるためトレイが使用可能な状態になるまで待機する。
【0061】
全てのトレイが使用不可能でない場合(S406でNO)と、プリンタがスリープ状態であるため信頼トレイ情報を実際のプリンタのトレイ情報として擬制した場合(S408)と、「信頼モード」であるため信頼トレイ情報を実際のプリンタのトレイ情報として擬制した場合(S404)との3つの場合においては、トレイ情報に出力希望用紙が存在するか判断し(S409)、出力希望用紙がない場合(S409でNO)には用紙が補充されるまで待機する。存在する場合(S409でYES)には印刷データをプリンタに送信する(S410)。
【0062】
図5は、図4に示すトレイ確認の詳細を示すフローチャートである。
【0063】
図5において、トレイの状態の確認指示を受け付けると処理が開始され、プリンタに装備されたトレイの状況を確認する(S501)。装備されているトレイ数を[カウンタ]に代入し(S502)、まず、トレイの[カウンタ]番目の一辺の用紙サイズXを確認し(S503)、続いてもう一辺の用紙サイズYを確認する(S504)。次にトレイの[カウンタ]番目の最大収容量を確認し(S505)、さらにトレイの[カウンタ]番目の現状収容量を確認し(S506)、そしてトレイの[カウンタ]番目のトレイ状態を確認する(S507)。
【0064】
装備されているトレイ数である[カウンタ]から1を引いて[カウンタ]に代入する(S508)。このときの[カウンタ]の値が「0(ゼロ)」であるか判定し(S509)、「0」である場合には処理を終了する(S509でYES)。「0」でない場合にはその[カウンタ]の値でトレイの[カウンタ]番目の一辺の用紙サイズXを確認する処理(S503)以降を繰り返し行う(S509でNO)。
【0065】
これによりトレイごとのトレイの状態を確認することができるようになる。
【0066】
図6は、図5に示すトレイ確認の詳細を示す他の例のフローチャートである。
【0067】
図6において、図5に示すフローチャートで[カウンタ]が「0」になった場合にトレイごとの状態を信頼トレイ情報として保持する(S601)処理を追加したフローチャートである。
【0068】
これによりトレイの状態を確認するたびに信頼トレイ情報が更新され、より正確な信頼トレイ情報を保持することができるようになる。
【0069】
図7は、印刷制御の流れを示す他の例のフローチャートである。
【0070】
図7において、図4に示す信頼モードであるかの判定(S403)を行って「信頼モード」である場合(S403でYES)の処理が図4に示した処理とは異なっており、この差異部分について説明する。
【0071】
信頼モードである場合(S403でYES)に、トレイごとの状態を確認した回数であるトレイ状態確認回数(A)を取得し(S701)、次にあらかじめ設定した指定実行回数(B)を取得する(S702)。取得したトレイ状態確認回数(A)と指定実行回数(B)とを比較して指定実行回数(B)がトレイ状態確認回数(A)以上である場合(S703でYES)にはトレイ状態の確認処理(S704)を行い、トレイ状態核に回数(A)未満である場合(S703でNO)には信頼トレイ情報を実際のトレイ情報として設定する(S705)。
【0072】
具体的には、指定実行回数(B)を7回と指定しておき、トレイの状態確認回数(A)が7回を超えた場合には「信頼モード」であった場合でもトレイの状態を強制的に確認する。
【0073】
以上の処理によって、本発明では、節電状態などの特殊な状態や特殊な環境により設定される処理モードに応じてトレイの状態を確認するか決定することができる。
【0074】
これによって、トレイの状態が確認できなかったり確認に多くの時間を要したりすることがなくなり、迅速な処理を行うことが可能になる。
【0075】
なお、上記フローチャートに示す処理は、コンピュータにより実行可能な印刷制御プログラムによっても実現できる。
【0076】
本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0077】
例えば、上記実施例では、プリンタを用いて印刷を行う際の「トレイの状態」の確認を省略することができるとしているが、SNMPデータを扱うルータの「SNMPデータをルータのバッファに一時的に保管してウィルスチェックなどのセキュリティチェックを行って安全性が確認されたのちに送信する」という処理においても、安全性チェックなどをあらかじめ設定した信頼情報に基づいて省略することで高速に処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、通信における要求を十分に満たすことができるか否かの確認を行って処理要求の送信を行う処理制御装置に適用可能であり、特に、印刷要求におけるトレイ情報を確認することなくあらかじめ定めた情報に基づいて印刷要求を送出するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明に係わる印刷制御装置および方法およびプログラムを適用したネットワーク構成を示す図。
【図2】この発明に係わる印刷制御装置を適用したシステム構成を示す図。
【図3】プリントサーバとプリンタとのシーケンス図。
【図4】印刷制御の流れを示すフローチャート。
【図5】図4に示すトレイ確認の詳細を示すフローチャート。
【図6】図4に示すトレイ確認の詳細を示す他の例のフローチャート。
【図7】印刷制御の流れを示す他の例のフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
101 プリントサーバ
102 SNMPマネージャ
103 サーバサイドルータ
110 プリンタ
111 SNMPエージェント
112 プリンタサイドルータ
201 通信部
202 制御部
203 判断部
204 信頼トレイ情報管理部
205 印刷データ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御装置において、
前記画像形成装置の状態を確認する状態確認手段と、
前記状態確認手段によって前記画像形成装置の状態が確認された際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を前記画像形成装置に確認するかを判断する判断手段と、
前記判断手段により確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制する擬制手段と
を具備することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記判断手段により確認する必要があると判断された場合には前記印刷要求を満たすために必要な情報を確認する確認手段と、
前記確認手段により確認された前記印刷要求を満たすために必要な情報であらかじめ設定された信頼情報を更新する更新手段と
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記確認手段は、
前記画像形成装置の印刷用紙が格納されたトレイに前記印刷データの印刷要求を満足する用紙が格納されているか確認する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御方法において、
前記画像形成装置の起動状態を起動状態確認手段で確認し、
前記起動状態確認手段によって確認が行われた際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を確認するかを判断手段で判断し、
前記判断手段により確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制する
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項5】
印刷指示された印刷データの画像形成装置における印刷処理を制御する印刷制御をコンピュータにより実行可能な印刷制御プログラムであって、
前記画像形成装置の起動状態を確認する第1のステップと、
前記第1のステップによって確認が行われた際の応答速度に基づいて印刷要求を満たすために必要な情報を確認するかを判断する第2のステップと、
前記第2のステップにより確認する必要がないと判断された場合にはあらかじめ設定した信頼情報を前記印刷要求を満たすために必要な情報と擬制する第3のステップと
を含むことを特徴とする印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−51635(P2006−51635A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233491(P2004−233491)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】