説明

印刷回路基板及びその製造方法

【課題】パッドの全部または一部がビアに埋め込まれるようにして、パッドとビアとの間の接触面積を広げて高い信頼度を確保することができる印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る印刷回路基板は、第1絶縁層20と、第1絶縁層20を貫通する第1ビア22と、第1絶縁層20の一面に形成され、全部または一部が第1ビア22に埋め込まれる第1パッド14と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板において、層間導通のために絶縁材にビアを形成する際には主にレーザードリルを用いている。すなわち、上下層を導通するために、レーザードリルを用いて絶縁材にホールを形成し、スミア(Smear)及び絶縁材の残渣を除去するためにデスミア(Desmear)工程を行う。その後、無電解化学銅メッキと電解メッキとを用いて加工されたホールの内部に伝導性物質を充填することにより、上下層が導通することになる。
【0003】
図15は、従来技術に係る印刷回路基板を示す断面図である。図15を参照すると、基板1、回路パターン2,6、パッド3、絶縁層4、ビア5が形成されている。
【0004】
図15の従来技術に係る印刷回路基板は、パッド3の上面がビア5の下面より広く形成されていて、パッド3とビア5との一面だけが接触することができた。このような従来技術によれば、ビア5とパッド3との間に所定の接触面積を確保するためにはパッド3とビア5とがそれだけ広く形成されることになるので、微細ピッチの具現が困難であった。
【0005】
このように、従来技術に係る印刷回路基板の構造には、スミア及び絶縁材の残渣による導通不良問題、パッド3とビア5との間の密着力低下による信頼性問題、及び隙間(Crevice)などの問題が大きな問題となった。この中、ビア5とパッド3との間の密着力低下問題、及び隙間の問題は根本的にビアとパッドとの構造的な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、パッドの全部または一部をビアに埋め込むことにより、パッドとビアとの間の接触面積を広げて信頼度の高い印刷回路基板及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、第1絶縁層と、第1絶縁層を貫通する第1ビアと、第1絶縁層の一面に形成され、全部または一部が第1ビアに埋め込まれる第1パッドと、を含む印刷回路基板が提供される。一方、第1ビアの位置に対応する第1絶縁層の他面に形成される第2パッドと、第1絶縁層の他面に積層される第2絶縁層と、第2絶縁層を貫通する第2ビアと、をさらに含むことができ、この時、第2パッドの全部または一部が第2ビアに埋め込まれるようにすることができる。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、一面に第1パッドが形成されている第1絶縁層を提供するステップと、第1パッドの側面が露出するように、第1絶縁層の他面から第1ホールを加工するステップと、第1ホールに伝導性物質を充填するステップと、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。この時、伝導性物質を充填するステップは、第1ホールの内部及び第1絶縁層の他面にシード層を形成し、第1絶縁層の他面にパターニングされたメッキレジストを形成した後、電解メッキを行うことから果たすことができ、第1ホールの深さは第1絶縁層の深さとほぼ同じであってもよい。
【0009】
一方、第1ホールの位置に対応する第1絶縁層の他面に第2パッドを形成するステップと、第1絶縁層の他面に第2絶縁層を積層するステップと、第2パッドの側面が露出するように、第2絶縁層の他面から第2ホールを加工するステップと、第2ホールに伝導性物質を充填するステップと、をさらに行うこともできる。第1ホールを加工するステップはレーザードリルを用いて行われることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、パッドの全部または一部がビアに埋め込まれることにより、パッドとビアとの間の接触面積を広げて信頼度の高い印刷回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷回路基板を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る印刷回路基板を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る印刷回路基板を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【図15】従来技術に係る印刷回路基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、本願では特定実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0013】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0014】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなければならない。
【0015】
以下、本発明に係る印刷回路基板及びその製造方法の好ましい実施形態を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明することに当たって、同一かつ対応する構成要素は、同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0016】
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る印刷回路基板を示す断面図である。図1〜図3を参照すると、基板10、回路パターン12,24,34、パッド14,23、第1絶縁層20及び第1ビア22、第2絶縁層30、第2ビア32が示されている。
【0017】
本実施形態に係る印刷回路基板10は、第1絶縁層20の下側に形成されたパッド14が、第1絶縁層20を貫通しながら層間導通させる第1ビア22に埋め込まれる構造を有する。
【0018】
前述したように、従来技術に係る印刷回路基板は、図15を参照すると、パッド3の上面がビア5の下面より広く形成されていて、パッド3とビア5との一面だけが接触している。このような従来技術によれば、ビア5とパッド3との間に所定の接触面積を確保するためにはパッド3とビア5とがそれだけ広く形成されることになるため、微細ピッチの具現が困難であった。
【0019】
このような問題点に鑑み、本実施形態では、パッド14がビア22に埋め込まれることにより、パッド14の上面による接触だけでなく、パッド14の側面による接触も可能にさせる構造を提供する。その結果、本実施形態によれば、従来に比して小さいサイズのパッドであっても従来とほぼ同じ接触面積を確保することができ、製品の高密度化が効率的に具現可能となる。それだけでなく、同じサイズのパッドを有する場合は、従来に比して広い接触面積を確保することができるので、製品の信頼度も向上できる。
【0020】
図2に示すように、パッド14の全部が第1ビア22−1に埋め込まれることになると、第1ビア22−1とパッド14との間の接触面積が極大化して理想的な構造の具現が可能となるが、製造上の誤差などを考慮して、図1に示すように、パッド14の一部だけを第1ビア22に埋め込むこともできる。
【0021】
一方、設計上の必要により、図3に示すように、上述したビア22,32とパッド14,23との構造が連続的に形成される構造(階層構造、積層構造)も具現可能である。
【0022】
以下では、上述した構造の印刷回路基板を製造する方法について、図4〜図14を参照して説明する。図4は、本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法を示すフローチャートであり、図5〜図9は、本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第1実施例を示す工程図であり、図10〜図14は本発明の他の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法の第2実施例を示す工程図である。
【0023】
図4〜図14を参照すると、基板10、回路パターン12,24、パッド14、第1絶縁層20、第1ホール21、第1ビア22、シード層23、メッキレジスト25が示されている。
【0024】
まず、ステップS110で、一面に回路パターン12と第1パッド14とが形成された第1絶縁層20を提供し、ステップS120で、第1パッド14の側面が露出するように、第1絶縁層20の他面から第1ホール21を加工する。
【0025】
すなわち、図5及び図6に示すように、第1パッド14と回路パターン12とが形成された基板10の上面に第1絶縁層20を積層して第1パッド14と回路パターン12とが第1絶縁層20に埋め込まれるようにした後、図7に示すように、第1ホール21を加工して第1パッド14の側面を露出させる。この時、第1ホール21を加工する手段として、あらゆる物理的/化学的手段を全て用いることができ、本実施例では加工深さが効率的に制御できるレーザードリルを用いた。
【0026】
このように第1ホール21を加工した後、図8に示すように、ステップS130で、第1ホール21に伝導性物質を充填し、図9に示すように、第1絶縁層20の上面に回路パターン24を形成することができる。
【0027】
前述したように、パッド14の側面が露出した状態で、第1ホール21に伝導性物質を充填すると、伝導性物質がパッド14の上面は勿論、側面とも接触することになる。このように充填された伝導性物質を焼結させると、パッド14がビア22に埋め込まれた構造を有するようになる。
【0028】
第1ホール21に伝導性物質を充填する方法としては、金属インクを用いた印刷方法、無電解メッキと電解メッキとを用いた方法などを用いることができる。
【0029】
一方、図8及び図9に示すように、伝導性物質の充填と回路パターン24の形成とを段階的に行うこともでき、図10〜図14に示すように、これらを一度に行うこともできる。これに対して、より具体的に説明すれば、次の通りである。
【0030】
まず、ステップS131で、図10に示すように、第1ホール21の内部及び第1絶縁層20の上面にシード層23を形成し、ステップS132で、図11に示すように、第1絶縁層20の上面にパターニングされたメッキレジスト25を形成する。そして、ステップS133で、図12に示すように、電解メッキを行う。その後、図13に示すように、メッキレジスト25を除去し、図14に示すように、フラッシュエッチングを行えば、回路パターン24の形成と伝導性物質の充填とを、ともに行うことができる。
【0031】
一方、上述した工程を繰り返すと、図3に示すように、本実施例で提供するビア22,32とパッド14,23とが連続的に備えられている構造を形成することができる。
【0032】
すなわち、ステップS140で、第1ホール21の位置に対応する第1絶縁層20の上面に第2パッド23を形成し、ステップS150で、第1絶縁層20の上面に第2絶縁層30を積層し、ステップS160で、第2パッド23の側面が露出するように、第2絶縁層30の他面から第2ホール(図示せず)を加工し、ステップS170で、第2ホール(図示せず)に伝導性物質を充填して第2ビア32を形成することができる。
【0033】
第2ホール(図示せず)を加工する工程は前述した第1ホール21を加工する工程と同様であり、また、第2ホール(図示せず)に伝導性物質を充填する工程も前述した第1ホール21に伝導性物質を充填する工程と同様であるため、これに対する具体的な説明は省略する。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。前述した実施形態以外の多くの実施形態が本発明の特許請求の範囲内に存在する。
【符号の説明】
【0035】
10 基板
12、24、34 回路パターン
14、23 パッド
20 第1絶縁層
21 第1ホール
22、22−1 第1ビア
23 シード層
24 回路パターン
25 メッキレジスト
30 第2絶縁層
32 第2ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層を貫通する第1ビアと、
前記第1絶縁層の一面に形成され、全部または一部が前記第1ビアに埋め込まれる第1パッドと、
を含むことを特徴とする印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1ビアの位置に対応する前記第1絶縁層の他面に形成される第2パッドと、
前記第1絶縁層の他面に積層される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を貫通する第2ビアと、をさらに含み、
前記第2パッドの全部または一部が前記第2ビアに埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
一面に第1パッドが形成されている第1絶縁層を提供するステップと、
前記第1パッドの側面が露出するように、前記第1絶縁層の他面から第1ホールを加工するステップと、
前記第1ホールに伝導性物質を充填するステップと、
を含むことを特徴とする印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記伝導性物質を充填するステップが、
前記第1ホールの内部及び前記第1絶縁層の他面にシード層を形成するステップと、
前記第1絶縁層の他面にパターニングされたメッキレジストを形成するステップと、
電解メッキを行うステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1ホールの深さが前記第1絶縁層の深さとほぼ同じであることを特徴とする請求項3に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1ホールの位置に対応する前記第1絶縁層の他面に第2パッドを形成するステップと、
前記第1絶縁層の他面に第2絶縁層を積層するステップと、
前記第2パッドの側面が露出するように、前記第2絶縁層の他面から第2ホールを加工するステップと、
前記第2ホールに伝導性物質を充填するステップと、
をさらに含む請求項3に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1ホールを加工するステップが、レーザードリルを用いて行われることを特徴とする請求項3に記載の印刷回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−206224(P2010−206224A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137273(P2010−137273)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2008−46616(P2008−46616)の分割
【原出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】