説明

印刷方法

【課題】レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物から製造される印刷版を備えた印刷機を用いて印刷する際に、印刷機の振動によって被印刷基材に生じる網点の濃度ムラの低減。
【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含み、重合性不飽和基を有する数平均分子量が300以上5万以下の樹脂(a)、重合性不飽和基を有し数平均分子量が1000未満の有機化合物(b)、光重合開始剤(c)を含有するレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物から製造される印刷版をシリンダー上に配置し、該シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機を用い、該印刷機の印刷速度が毎分10m以上1000m以下である印刷方法。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な樹脂組成物から製造される印刷版を用いた印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙・フィルムなどの軟包装に印刷を施す方法としてフレキソ印刷が広汎に用いられている。段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、又はシート状に成形された固体樹脂板を用いられる。フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。近年、感光性樹脂表面にブラックレイヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成する。そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTP(Computer to Plate)という技術が開発され、印刷版製作の効率改善効果から、採用が進みつつある。しかしながら、この技術も現像工程が残るなど、効率改善効果も限られたものであり、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成し、しかも現像不要である技術の開発が求められている。
【0003】
その方法として直接レーザーで印刷原版を彫刻する方法が挙げられる。フレキソ印刷に代表される凸版印刷用の版材としては、レーザー彫刻版が挙げられる。製版時間の短縮、廃棄物の減少などの利点がある。
このような事情の下、特許文献1には粘弾性の損失正接による網点の濃度ムラ抑制についての記載がある
また、特許文献2には制振性を有する熱可塑性樹脂の記載がある
【特許文献1】国際公開第2007/058163号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/100210号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によってもなお印刷時に被印刷基材に生じる網点の濃度ムラの低減は充分でなかった。
本発明は、印刷機の振動によって被印刷基材に生じる網点の濃度ムラを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含み、重合性不飽和基を有する数平均分子量が300以上5万以下の樹脂(a)、重合性不飽和基を有し数平均分子量が1000未満の有機化合物(b)、重合開始剤(c)を含有する樹脂組成物から製造される印刷版をシリンダー上に配置し、該シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機を用いて特定の印刷速度で印刷することにより、印刷機の振動によって印刷物に生じる網点の濃度ムラを低減できることを見出し本発明を完成するに至った。
前記課題を解決できるメカニズムについて詳細は明らかではないが、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールにより、従来の樹脂よりも損失弾性率、損失正接が向上するため、印刷機から生じる振動を吸収しやすくなり、網点の濃度ムラを低減することができるものと推定している。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含み、重合性不飽和基を有する数平均分子量が300以上5万以下の樹脂(a)、重合性不飽和基を有し数平均分子量が1000未満の有機化合物(b)、重合開始剤(c)を含有する樹脂組成物から製造される印刷版をシリンダー上に配置し、該シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機を用い、該印刷機の印刷速度が毎分10m以上1000m以下である印刷方法。
【0007】
【化1】

【0008】
[2]印刷速度が毎分15m以上500m以下である、[1]の印刷方法。
[3]印刷速度が毎分15m以上300m以下である、[1]又は[2]の印刷方法。
[4]印刷速度が毎分15m以上50m以下である、[1]から[3]のいずれかの印刷方法。
[5]印刷機上で色間位置合わせを行う印刷方法であって、該色間位置合せを毎分15m以上50m以下の印刷速度でかつ0.5分間以上20分間以下行う、[1]から[4]のいずれかの印刷方法。
[6]印刷速度が毎分30mである印刷物の濃淡比率と印刷速度が200mである印刷物の濃淡比率との差が10以内である、[1]から[5]のいずれかの印刷方法。
[7]樹脂(a)がウレタン結合及び/又はエステル結合を有する樹脂である[1]から[6]のいずれかの印刷方法。
[8]有機化合物(b)の全体量の20質量%以上が脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体である[1]から[7]のいずれかの印刷方法。
[9]重合開始剤(c)が水素引き抜き型光重合開始剤及び/又は崩壊型光重合開始剤を含む[1]から[8]のいずれかの印刷方法。
[10]樹脂組成物が20℃において液状である[1]から[9]のいずれかの印刷方法。
[11]樹脂組成物が、さらに無機多孔質体を1〜100質量%含む[1]から[10]いずれかの印刷方法。
[12]印刷版が、前記樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形した後、高エネルギー活性線の照射により硬化せしめることにより製造されうる印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版である、[1]から[11]の印刷方法。
[13]印刷版が、酢酸エチル/イソプロピルアルコールの質量比が80/20である溶液に対する膨潤率が10%以下である印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版である、[1]から[12]のいずれかの印刷方法。
[14]印刷版が、印刷版の非印刷面側に1層以上のクッション層をさらに有する印刷版である[1]から[13]のいずれかの印刷方法。
[15]クッション層が中空マイクロカプセルを含む[14]の印刷方法。
[16]印刷版が、中空円筒状支持体を更に有する印刷版である[1]から[15]のいずれかの印刷方法。
[17]印刷版の中空円筒状支持体上に1層以上の周長調整層をさらに有する[16]の印刷方法。
[18]印刷原版の最外面が切削、研削あるいは研磨されてなる印刷原版である[12]から[17]のいずれかの印刷方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷する際に、印刷機の振動によって被印刷基材に生じる網点の濃度ムラを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の方法は、前記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含み、重合性不飽和基を有する数平均分子量が300以上5万以下の樹脂(a)、重合性不飽和基を有し数平均分子量が1000未満の有機化合物(b)、重合開始剤(c)を含有する樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と記すことがある。)から製造される印刷版を用いて印刷する。このような特定の樹脂組成物を使用することで、印刷する際に、印刷機の振動によって被印刷基材に生じる網点の濃度ムラを低減することができる。
【0011】
[樹脂(a)]
樹脂(a)は、式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含む、数平均分子量が300以上5万以下、好ましくは500以上45000以下、より好ましくは1000以上4万以下の樹脂である。印刷版の強度が向上し、繰り返しの使用にも耐え得る傾向にあるため、樹脂(a)の数平均分子量は300以上である。一方、樹脂組成物の成形加工時の粘度が過度に上昇することがないため印刷版をより容易に作製し得る傾向にあるため、樹脂(a)の5万以下である。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
【0012】
前記式(1)の繰り返し単位においては直鎖及び/又は分岐した分子鎖を含んでも構わない。前記ポリカーボネートジオールは、対応するジオールより、公知の方法(例えば、特公平5−29648号公報)により製造することが可能である。
樹脂(a)は、分子内に重合性不飽和基を有している必要がある。1分子あたり平均で0.3個以上の重合性不飽和基を有しているのがより好ましい。1分子あたり平均で0.3個以上の重合性不飽和基を有している場合、印刷版の機械強度が向上し、耐久性も良好となる傾向にあり好ましい。また、印刷版の機械強度を考慮すると、樹脂(a)中の重合性不飽和基の個数は1分子あたり0.5個以上がより好ましく、0.7個以上がさらに好ましい。
【0013】
硬化後の樹脂の機械的物性が向上すること、および重合成不飽和基を付与するプロセスが簡便である観点から、樹脂(a)中の重合性不飽和基の個数は1分子あたり2以下が好ましい。
ここで「重合性不飽和基」とは、ラジカル重合反応又は付加重合反応に関与する重合性官能基を意味する。重合性不飽和基の位置は、高分子主鎖、高分子側鎖の末端あるいは高分子主鎖中や側鎖中に直接結合していることが好ましい。樹脂(a)1分子に含まれる重合性不飽和基の個数の平均は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)による分子構造解析法で求めることができる。
【0014】
樹脂(a)は、分子内にさらにウレタン結合、又はエステル結合から選ばれる少なくとも1種の結合を有しているのが好ましい。樹脂(a)が前記結合を有する場合、印刷で用いられるエステル系溶剤を含有するインキ洗浄剤や炭化水素系溶剤を含有するインキ洗浄剤に対する印刷版の耐性が向上する傾向にあるため好ましい。
樹脂(a)を製造する方法は特に限定されず、例えば、カーボネート結合、エステル結合を有し、かつ、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基等の反応性基を複数有する数千程度の分子量の化合物と、上記反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物(例えば、水酸基やアミノ基等を有するポリイソシアネート等)とを反応させ、分子量の調節及び分子末端の結合性基への変換等を行った後、この末端結合性基と反応し得る官能基と重合性不飽和基を有する有機化合物とを反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法等を用いることができる。
【0015】
樹脂(a)の製造に用いられるカーボネート結合を有する化合物としては、例えば、4,6−ポリアルキレンカーボネートジオール、8,9−ポリアルキレンカーボネートジオール、5,6−ポリアルキレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。また、芳香族系分子構造を分子内に有する脂肪族ポリカーボネートジオールを用いてもよい。これらの化合物の末端の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン―2,4,6―トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基あるいはイソシアネート基を、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
【0016】
樹脂(a)の製造に用いられるエステル結合を有する化合物としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、シュウ酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピコナール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール等の分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを縮合反応させて得られるポリエステル類、ポリカプロラクトン等のポリエステル類等を挙げることができる。これらの化合物の末端の水酸基あるいはカルボキシル基にジイソシアネート化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基、カルボキシル基あるいはイソシアネート基を、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
【0017】
樹脂(a)は、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂が含まれていることが好ましく、ガラス転移温度0℃以下の液状樹脂が含まれているのがより好ましい。そのような液状樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン等の炭化水素鎖を有する化合物、アジペート、ポリカプロラクトン等のエステル結合を有するポリエステル化合物、ポリカーボネート構造を有する化合物、ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物等が挙げられる。特に、耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する化合物がより好ましく、ポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が更に好ましい。ここでいう液状樹脂とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対応する用語である。ここで、「20℃において液状」とは、好ましくは20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下、さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下であることをいう。
【0018】
[有機化合物(b)]
有機化合物(b)は、重合性不飽和基を有し、かつ数平均分子量が1000未満の化合物である。樹脂(a)との希釈のし易さから数平均分子量は1000未満が好ましく、低揮発性など取扱いの観点から100以上が好ましい。
重合性不飽和基の定義は、樹脂(a)の箇所でも記載したように、ラジカル又は付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。
有機化合物(b)の含有量は、レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物全体に対して好ましくは20質量%以上300質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上250質量%以下である。有機化合物(b)の含有量が20質量%以上であると、印刷版が十分な機械的強度が得られる傾向にあり、300質量%以下であると、印刷版の硬化収縮が低減される傾向にある。
【0019】
有機化合物(b)の具体例としては、ラジカル反応性化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。該誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基などを有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基などを有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、グリシジル基等を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化合物などが挙げられる。
【0020】
有機化合物(b)の具体例としてさらに、付加重合反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を挙げることができる。
【0021】
これら重合性不飽和基を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種又は2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤による膨潤を抑えるために用いる有機化合物として、長鎖脂肪族、脂環族又は芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
印刷版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体を含むことが好ましい。この場合、脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体の含有量は、有機化合物(b)の全体量の、好ましくは20質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、前記芳香族誘導体は、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
【0022】
印刷版の反発弾性を高めるため例えば特開平7−239548号に記載されているようなメタクリルモノマーを使用することもでき、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
有機化合物(b)が、分子鎖中にカーボネート結合、エステル結合、エーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種類の結合及び/又は脂肪族飽和炭化水素鎖及び脂肪族不飽和炭化水素鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種類の分子鎖を有しかつウレタン結合を有する化合物であることが、印刷版の耐溶剤性を向上させるため好ましい。中でも、カーボネート結合を有する化合物、脂肪族炭化水素鎖を有する化合物は、溶剤インキで多用されるエステル系溶剤について特に高い耐溶剤性を示す。
【0023】
[重合開始剤(c)]
重合開始剤(c)としては、一般的に使用される光及び又は熱重合開始剤などの重合開始剤から選択でき、光重合開始剤が好ましい。例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の重合開始剤等が使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる重合開始剤(c)は、水素引き抜き型重合開始剤及び/又は崩壊型重合開始剤、特に水素引き抜き型重合開始剤及び/又は崩壊型重合開始剤を含むことが好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤としては、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されないが、効率的な光硬化と、可視光下での光重合開始剤の安定性の観点から芳香族ケトンを用いるのが好ましい。
【0024】
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類等を挙げることができ、これら中から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン及びその誘導体を示し、具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とは、ミヒラーケトン及びその誘導体等が挙げられる。キサンテン類とは、キサンテアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換されたチオキサントン誘導体を示し、具体的には、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等が挙げられる。アントラキノン類とは、アントラキノン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換されたアントラキノン誘導体をいう。
【0025】
水素引き抜き型重合開始剤の添加量は、樹脂組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。水素引き抜き型重合開始剤の添加量がこの範囲内であれば、樹脂組成物を光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性を充分に確保できと共に、良好な耐候性が得られる傾向にあるので好ましい。また、硬化物表面の硬化性を確保することは、硬化物表面を切削、研削あるいは研磨を行うのに好適である。
【0026】
崩壊型光重合開始剤とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物である。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物等を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノ及びジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
【0027】
崩壊型重合開始剤の添加量は、樹脂組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。添加量がこの範囲であれば、レーザー彫刻印刷原版樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合でも、硬化物内部の硬化性を充分に確保し得る。
また、重合開始剤(c)として水素引き抜き型重合開始剤として機能する部位と崩壊型重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、α−アミノアセトフェノン類を挙げられ、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、下記式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0028】
【化2】

【0029】
水素引き抜き型重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、樹脂組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。添加量がこの範囲であれば、樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、印刷版の機械的物性を充分に確保し得る。
また、光重合開始剤(c)として光を吸収して酸や塩基を発生することにより、付加重合反応を誘起させる化合物を用いることもできる。このような化合物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤等が挙げられる。これらの化合物の添加量は、樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。
【0030】
重合開始剤(c)が熱重合開始剤である場合、好適な化合物は、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤である。ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等を挙げることができる。また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れた潜在性熱重合開始剤を選択することが好ましい。また、本発明の熱重合開始剤は、20℃において液状であることが好ましい。本発明の樹脂(a)あるいは有機化合物(b)との混合が容易となる。
【0031】
好適な熱重合開始剤(c)の選択は、本発明の方法を実施する上で特に重要である。熱重合開始剤の熱安定性は、通常、10時間半減期の温度10h−t1/2の方法によって、即ち、熱重合開始剤の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。これに関する更なる詳細については、「Encyclopediaof Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
本発明方法を実施するのに特に好適な熱重合開始剤(c)は、通常、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃の10h−t1/2を有する。特に好適な熱重合開始剤(c)は、80℃〜150℃の10h−t1/2を有する。
【0032】
本発明で用いる熱重合開始剤(c)として、有機過酸化物が特に好ましい。化合物の具体例としては、ペルオキシエステル類、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、ある種のジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシド、ある種のt−アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドである。
【0033】
[印刷方法]
本実施の形態で行う印刷方法は上記印刷版を用いて、シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機で印刷される。該印刷機の印刷速度は印刷性の点から毎分10m以上であり、網点ムラの抑制の点から1000m以下である。印刷速度は好ましくは毎分15m以上500m以下、より好ましくは毎分15m以上300m以下、更に好ましくは毎分20m以上300m以下、最も好ましくは毎分15m以上50m以下である。
印刷方式としては例えば、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、などが挙げられ、シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機であれば他の印刷方法も用いることができる。また、印刷機の種類としては、センタードラム方式、インライン方式、スタック方式などが挙げられ、シリンダー駆動方式はギアあり、ギアレスのどちらの方式も好適である。
被印刷基材としては紙、プラスチックフィルムなどが挙げられ、被印刷基材の厚みは市販の厚みを用いることができる。
インキとしては溶剤系インキ、アルコール系インキ、水性インキ、UVインキ、EBインキなどが例として挙げられる。
【0034】
本発明の印刷方法の好ましい態様の一つは、印刷機上で色間位置合わせを行う印刷方法であって、該色間位置合せを毎分15m以上50m以下の印刷速度でかつ0.5分間以上20分間以下行う方法である。通常、多色印刷機に印刷版をはじめに装着した状態では、被印刷基材上での印刷版の位置がズレている。そのため、「色間位置合せ」と呼ばれる、印刷版の縦横方向の位置の微調整を行う工程が含まれることが多い。多色印刷機においては被印刷基材上での印刷版の色間位置合わせは、目視にて行うため印刷速度を毎分約15m以上50m以下という低速、好ましくは毎分20m以上40m以下(例えば毎分約30m)で、0.5分間以上20分間以下行うことがある。この色間位置合せの際に網点ムラが生じると目視での確認が困難となる。そのため、低速での網点ムラの抑制は、該作業での使用する被印刷基材の使用量が減少する傾向となり、生産性の観点から好ましい。本発明の方法は、印刷機上で色間位置合わせを行う印刷方法であって、該色間位置合せを毎分15m以上50m以下の印刷速度でかつ0.5分間以上20分間以下行う印刷方法においても、その効果が発揮される。
【0035】
本発明の方法は、低速での色間位置合わせ中の印刷物と、印刷速度が上昇した際の印刷物で外観の差が小さくなる傾向となるため、印刷速度が毎分30mである印刷物の濃淡比率と印刷速度が200mである印刷物の濃淡比率との差が10以内であることが好ましい。
印刷機の振動を管理する方法として、振動分析計「VA−11」(RION社製、商標)などを用いて周波数と振動の特性を測定することができる。該分析計の測定によると、印刷機の機械的振動が大きい場合は振動による被印刷基材の網点ムラが大きくなる傾向が見られる。そのため、印刷機の機械的振動があまりにも大きい場合は印刷機の保守などを行うことが好ましい。
【0036】
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、20℃で液状であることが好ましい。ここで言う20℃において液状とは、容易に流動変動し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状に回復する性質を有するエラストマーに対応する言葉である。これから得られる印刷原版をシート状、もしくは円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得られることができる。
また、視認性向上のために着色する方法としては、染料、顔料の使用が例として挙げられるが、具体的な顔料として「HELIOGEN BLUE D 6700」(BASF社製、商標)、「PALIOGEN RED K 3580」(BASF社製、商標)が好ましい。
【0037】
樹脂組成物の20℃における粘度は、好ましくは、20℃において10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上の場合、作製される印刷版の機械的強度が十分であり、円筒状に成形する際であっても形状を保持し易く、加工し易いので好ましい。粘度が10kPa・s以下の場合、高温にしなくとも変形し易く、加工が容易であるので好ましい。シート状あるいは円筒状の印刷版に成形し易く、プロセスも簡便である。特に厚み精度の高い印刷版を得るためには、樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように粘度が100Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは500Pa・s以上である。
【0038】
[無機系微粒子]
樹脂組成物は、無機多孔質体を添加することが好ましい。無機多孔質体は、多孔質微粒子あるいは多孔質超微粒子であることが好ましい。多孔質微粒子とは粒子中に微小細孔あるいは微小な空隙を有する微粒子である。多孔質微粒子を含有することで印刷層表面を所望の表面粗さにする際に加工が容易となる。該加工の例として切削、研削や研摩などが挙げられる。多孔質微粒子により所望の表面粗さにする際の加工中に生じるカスなどのべとつきが低減し、印刷層表面を精密に加工することが容易となる。
多孔質微粒子は比表面積が10m/g以上1500m/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下であることが好ましい。比表面積は−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。また細孔容積および平均細孔径の測定には、窒素吸着法を用いる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。
【0039】
多孔質微粒子の比表面積が上記範囲内であれば、例えば印刷原版をレーザーによる彫刻にて画像部を形成する場合に、除去した分解物を吸収するのに好適である。
多孔質微粒子の数平均粒子径は0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上8μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下である。数平均粒子径が上記範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
多孔質微粒子の形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5から1の範囲の球状粒子であることが好ましい。
【0040】
多孔質微粒子の球状度合を規定する指標として、真球度を定義する。本実施の形態における真球度とは、多孔質微粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値Dの、投影図形が完全に入る円の最小値Dの比(D/D)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。好ましい多孔質微粒子の真球度は0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。多孔質微粒子として好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の多孔質微粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記DおよびDを測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウェアを用いてデータ処理することが好ましい。
【0041】
また、内部が空洞になっている多孔質体微粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体などを使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物のように、層間に数nmから数百nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本願においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更に多孔質微粒子の表面をシランカップリンング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの多孔質微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
本実施の形態における孔質超微粒子とは、細孔容積が0.1ml/g未満の粒子と定義する。多孔質超微粒子の数平均粒子径は、1次粒子を対象とする数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下が好ましい。より好ましくは10nm以上100nm以下である。この範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷層の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
【0042】
[印刷版およびその製造方法]
本発明の方法は、上記樹脂組成物から製造される印刷版を用いる。印刷版は、耐溶剤性および生産性の点から上記樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形した後、高エネルギー活性線の照射により硬化せしめることにより製造されうる印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版であることが好ましい。
ここで「高エネルギー活性線」とは、紫外線、電子線、γ線、X線、分子線等の波長の短い光のことである。印刷原版を硬化させる光源は特に限定されない。例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。凸版印刷原版に照射される光は、200nmから400nmの波長を有することが好ましい。光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
【0043】
「レーザーによる彫刻」は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば、溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去してもよい。レーザー彫刻により凹凸パターンを形成した後に、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。更に、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。特開2005−212144号公報などで公知となっている方法も好ましい。
【0044】
レーザー彫刻に供する印刷原版は、溶剤系のインキへも十分耐性があり、印刷中に版の膨潤などによるトラブルが減少する傾向にある点から、酢酸エチル/イソプロピルアルコールの質量比が80/20である溶液に対する膨潤率が10%以下であることが好ましい。膨潤率は後述の方法により測定され、より好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。
印刷原版は、最外面が切削、研削あるいは研磨されてなる印刷原版であることが好ましい。印刷原版の最外面を加工する際には、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法で表面調整することが好ましい。切削加工のみを用いて表面を加工することも可能であるが、切削工程、もしくは研削工程後に研摩加工を行うと印刷原版の表面形状をより精密に調節できるため好ましい。
【0045】
印刷原版の最外面の切削による加工としては、特に制限するものではないが、例えば旋盤、ボール盤、フライス盤、形削り盤、平削り盤、NC工作機械などの刃物による加工が挙げられる。
また、印刷原版の最外面面の研削による加工としては、砥石による加工などが挙げられる。研削加工に用いられる研削砥石の材質は、特に制限するものではないが、例としてアルミナ系や炭化珪素系の材質が挙げられる。該砥石の材質としては、例えば、アルミナ系では褐色アルミナ、白色アルミナ、淡紅色アルミナ、解砕形アルミナ等が挙げられ、炭化珪素系では黒色炭化珪素、緑色炭化珪素等が挙げられる。
研削加工に用いられる研削砥石の砥粒の粒度については、8番以上、5000番以下の砥石が好ましく用いられる。砥粒を結合させる結合剤の主要成分としては、例えば、長石可溶性粘度・フラックス、ベークライト人造樹脂、珪酸ソーダフラックス、天然・人造ゴム・硫黄、セラック天然樹脂、金属箔などが挙げられる。
印刷原版の最外面の研磨加工に用いる研磨体としては、特に制限するものでないが、例えば研磨紙、ラッピングフィルム、ミラーフィルムなどの研磨フィルム、研磨ホイールが挙げられる。
【0046】
該研磨紙や該研磨フィルム表面上の研磨剤の材質としては、金属、セラミックス、炭素化合物から選択される少なくとも1種類の微粒子が好ましい。金属微粒子の例としては、クロム、チタン、ニッケル、鉄等の比較的硬質の材料が好ましい。また、セラミックスの具体例としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、炭化珪素などが挙げられる。アルミナ質砥粒の素材質としては、褐色アルミナ質、解砕型アルミナ質研摩剤、淡紅色アルミナ質研摩剤、白色アルミナ質研削剤、人造エメリー研削剤などが挙げられる。炭化珪素質砥粒の素材質としては黒色炭化珪素質研磨剤、緑色炭化珪素質研摩剤などが挙げられる。また、炭素化合物としては、ダイヤモンド、グラファイト等の化合物を挙げることができる。特に人造ダイヤモンドは研磨剤として好ましい。他の研磨剤の材質として、ガラスビーズなどのガラス系研磨剤、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルメタルアクリレートなどの樹脂系研磨剤、クルミ殻、杏の種、桃の種などの植物系研磨剤などを用いることもできる。さらに、研磨布と上記の研磨剤を組み合わせて用いることも可能である。
【0047】
研磨剤の平均粒子径は、0.1μm以上100μm以下のものが好ましい。より好ましい平均粒子径は3μm以上100μm以下である。さらに好ましくは平均粒子径が9μm以上30μm以下である。100μm以下の範囲であれば印刷評価に好適に利用できる印刷原版が簡便に作成できるので好ましい。
研磨剤の平均粒子径が、12μmから20μmであれば、研磨した印刷原版は印刷に特に適したものとなる。研磨剤の平均粒子径が20μmよりも大きい場合は該支持体上の粒度が粗くなり、印刷原版の表面の凹凸が大きくなるため被印刷体へのインキ転移性が低下し印刷品質が低下するおそれがある。また、研磨紙や研磨フィルムの研磨剤の平均粒子径が12μmよりも大きい場合は、該支持体上の粒度が細かくなるため、表面調整の加工に多大な時間を要し生産性を低下させる。
【0048】
研磨ホイール表面の粒度としては、60番から3000番までが好ましく用いられる。研磨ホイールの材質としては、特に制限されるものではないが、鉄、アルミナ、セラミックス、炭素化合物、砥石、木、ブラシ、フェルト、コルクなどが挙げられる。
研磨紙や研磨フイルム等の支持体の厚み、材質などは特に制限するものではないが、厚みは1μm以上1000μm以下の範囲が好ましい。より好ましくは10μm以上500μm、さらに好ましくは25μm〜125μmである。25μm以上125μm以下の範囲であれば巻き取りなどの取り扱い性が簡便である。支持体の形状は特に制限するものではないが、ロール、ディスク、シート、ベルトなどが挙げられる。
【0049】
また、研磨体を用いた研磨の際に液体を介在させない乾式研磨でも印刷原版表面の研磨は可能であるが、研磨力、研磨後の印刷原版表面の均一性、粉塵の発生が少ないこと、研磨中に発生する熱の除去などを考慮すると、液体を介在させながら印刷原版に研磨剤を接触させることが好ましい。使用する液体としては、特に限定するものではないが、例えば石油、機械油、アルカリ溶液、水などが挙げられる。
特に、研磨の際に介在させる液体として、水を用いることによって他の液体を用いるよりも印刷原版の変性が少なくなり、また廃液の処理も容易となる。
本実施の形態においては表面調整の好ましい別の態様として、金属、セラミックス、炭素化合物等から選択される少なくとも1種類の物質からなる平均粒子径が0.1μm以上100μm以下程度の微粒子を印刷原版表面に衝突させる方法も挙げられる。
微粒子を印刷原版に衝突させる方法は、特に限定されるものではないが、例えばサンドブラスト、ショットブラスト、エアーブラスト、ブロワブラストなどが挙げられる。また、微粒子の材質としては、特に限定するものではないが、例えばガラスビーズなどのガラス系粒子、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルメタルアクリレートなどの樹脂系粒子、クルミ殻、杏の種、桃の種などの植物系粒子などが挙げられる。
【0050】
[クッション層]
印刷版は、印刷品質のバランスを保つ観点から、印刷版の非印刷面側に1層以上のクッション層をさらに有することが好ましい。クッション層として、特に限定するものではなく、ゴム弾性を有するものであれば使用することができる。例えば、天然ゴム材料、SBR、SBS、SIS等の合成ゴム材料、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレン等の軟質プラスチック材料等を挙げることができる。また、感光性樹脂組成物を光硬化させて形成したシート状エラストマーを用いることもできる。これらの材料の中でも特に、印刷用途で用いられているポリエチレン、もしくはポリウレタンを主な成分としたシート材料を好ましい材料として挙げることができる。市販のフレキソ印刷用のクッションテープを使用することが簡便である。クッション層の厚みは0.10mm以上6.00mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.20mm以上2.00mm以下、更に好ましくは0.30mm以上0.70mm以下である。クッション層の比重は0.20g/cm以上0.90g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは0.30g/cm以上0.70g/cm以下、更に好ましくは0.40g/cm以上0.60g/cm以下である。クッション層のASKER−C硬度は30以上90以下であることが好ましい。これらの比重、硬度の範囲であれば、印刷物においてベタと網点のバランスを良好に保てる傾向となる。
【0051】
また接着剤層に粘着性の層を使用することで、円筒状クッション使用後に円筒状支持体からクッション層を剥がし、円筒状支持体を再度使用することが容易となる。
本実施の形態においては、クッション層はさらに数平均粒子径が0.1μm以上200μm以下の微粒子を含むことが好ましい。そのような微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、中空カプセル状微粒子等を用いることができる。上記微粒子を含有することで、チキソトロピー性が向上するため、支持体へのレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物の塗布が容易となる傾向にある。
微粒子の数平均粒子径は0.1μm以上200μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上100μm以下である。ここで、微粒子の数平均粒子径は、顕微鏡観察により測定した長径の値の平均値をいう。具体的には、顕微鏡の視野に少なくとも50個程度の微粒子あるいは気泡が入るように倍率を調整し、該微粒子あるいは気泡の長径を測長する。測長機能を有する顕微鏡を用いることが好ましいが、カメラを用いて撮影した写真を基に寸法を測ってもよい。
【0052】
ここで、無機微粒子としては、無機微粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム等を挙げることができる。無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上30μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下である。
そして、有機微粒子としては、ポリシロキサン骨格、ポリスチレン骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリアクリロニトリル骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する微粒子が、機械的強度と耐溶剤性のバランスを取る観点から好ましい。このような有機微粒子としては、例えば、シリコーンゴム、架橋アクリル酸微粒子、架橋アクリル酸多孔質微粒子、架橋ポリスチレン等が挙げられる。
【0053】
クッション層は中空マイクロカプセルを含むことが好ましい。中空カプセル状微粒子とは外部の殻と内部のコアで組成が異なる、複合組成の1μmから数百μmの微粒子のことをいう。中空カプセルの製造方法には大きく分けて界面重合法、コアセルベーション法、界面沈澱法、液中乾燥法などがある。原理的には微粒化した芯物質を適当な媒質中に分散し、次いで微粒子の膜で被覆する。これまでの中空マイクロカプセルの製造方法としては、液体を内包するマイクロカプセルを生成し、その内部の液体を蒸散させて中空にする方法、あるいは同様のマイクロカプセルを熱膨張させて生成する方法がある。
中空カプセル状微粒子としては、中空カプセル状の有機微粒子の表面に無機微粒子が付着していてもよい。表面に無機微粒子が存在することにより、レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物への溶解性が低下し、長期に安定してレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物中に存在し得る。表面に存在する無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上30μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下である。表面に存在する無機微粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム等を挙げることができる。
【0054】
[支持体]
印刷版は中空円筒状支持体を更に有することが好ましく、このような中空円筒状支持体は強化プラスチック製であるのがよい。支持体が中空円筒状であることによって、支持体の印刷機への取り付け及び取り外しが容易となり、さらに支持体が円筒状であるため、軸の廻りに回転させながら感光性樹脂組成物を塗布することで、より均一な塗布が可能となる。また、該中空円筒状支持体が強化プラスチック製であることにより、強度を保ちながら接着剤層との接着力を維持することができる。
本実施の形態においては、前記強化プラスチックは繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチックはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するのが好ましい。
【0055】
また、無機化合物から形成された繊維を含むこともできる。繊維は特に限定するものではないがポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリフェニレンエーテル繊維、ポリビニルアルコール繊維、フェノール繊維、フッ素樹脂繊維、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ビニリデン繊維、ポリ−p−フェニレンビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリクラール繊維、ポリケトン繊維、合成パルプ繊維などが挙げられる。また天然有機系化合物から形成された短繊維としては靭皮繊維、葉脈繊維、セルロースなどの植物系繊維などが好ましい例として挙げられる。
また、無機化合物から形成された繊維を含むこともできる。ガラス、カーボン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、アルミナ、ニッケル、チタン、銅、鉄、タングステン、クロムなどが好ましい例として挙げられる。
【0056】
[周長調整層]
印刷版は、中空円筒状支持体上に1層以上の周長調整層をさらに有することが1本の中空円筒状支持体で種々の印刷周長に対応できる点から好ましい。周長調整層の厚さは印刷機で印刷を行うリピート長に応じて任意に変えられることが好ましい。周長調整層は感光性樹脂組成物から得られることが好ましく、20℃において固体状の感光性樹脂組成物であっても構わないが、周長調整層の厚さを任意に変えられる観点から、液状の感光性樹脂組成物が特に好ましい。液状感光性樹脂組成物中に溶剤が含まれていても構わないが、溶剤の除去工程が必要となるため、無溶剤型の液状感光性樹脂組成物がより好ましい。液状感光性樹脂組成物を用いた場合、膜厚の均一な継ぎ目のない層を形成することができる。液状感光性樹脂組成物の好ましい粘度は、20℃において10Pa・s以上10kPa・s以下、より好ましくは500Pa・s以上5kPa・s以下である。厚膜を形成するためには、重力により液だれが発生し膜厚が変化してしまう可能性もあるので、前記のような粘度範囲が好ましい。また、成形する膜厚が非常に薄い場合には、粘度を低く抑えることが望ましい。粘度を低くする方法としては、溶剤を添加する方法も簡便な方法として用いることができる。
【実施例】
【0057】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態を詳細に説明する。なお、以下において、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を各々意味する。
(1)ポリカーボネートジオールのOH価
無水酢酸12.5gをピリジン50mlでメスアップしアセチル化試薬を調製した。100mlナスフラスコに、サンプルを1.0g精秤した。アセチル化試薬2mlとトルエン4mlをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1時間撹拌加熱した。蒸留水1mlをホールピペットで添加、さらに10分間加熱撹拌した。
2〜3分間冷却後、エタノールを5ml添加し、指示薬として1%フェノールフタレイン/エタノール溶液を2〜3滴入れた後に、0.5mol/lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
空試験としてアセチル化試薬2ml、トルエン4ml、蒸留水1mlを100mlナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、下記数式(i)を用いてOH価を計算した。
OH価(mg−KOH/g)={(b−a)×28.05×f}/e (i)
a:サンプルの滴定量(ml)
b:空試験の滴定量(ml)
e:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
【0058】
(2)ポリカーボネートジオールの分子量
実施例、比較例中のポリカーボネートジオールの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。また、ポリカーボネートジオール中の酸価をKOHによる滴定により測定したところ、実施例、比較例の全てが0.01以下であった。
そこで、得られたポリマーの数平均分子量を下式(ii)により求めた。
数平均分子量Mn=2/(OH価×10―3/56.11) (ii)
(3)ポリカーボネートジオールの共重合組成
ポリカーボネートジオールの共重合組成は、以下のように測定した。
100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応した。室温まで冷却後、指示薬として1%フェノールフタレイン/エタノール溶液を2〜3滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で1時間冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。ガスクロマトグラフィー分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
(4)粘度の測定
レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用いて20℃で測定した。また、樹脂(a)の粘度は、同様の装置を用いて50℃で測定した。単位はPa・sである。
【0059】
(5)樹脂(a)の数平均分子量の測定
樹脂(a)の数平均分子量は、GPC法を用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。具体的には、樹脂(a)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標「HLC−8020」)とポリスチレン充填カラム(日本国、東ソー社製、商標「TSKgel GMHXL」)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
(6)重合性不飽和基の数の測定
樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。例えば「1.7官能」とは、分子内に存在する重合性不飽和基の平均数が1.7個であることを意味する。
【0060】
(7)印刷版の作製
(7−1)支持体へのレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物の塗工
印刷機のシリンダーとの内径を調整するために、内径152.905mm、外径175.187mm、幅1000mmのクッションブリッジスリーブ(独、AKL社製、商標「OptiFlex−Cushion Bridge」、PU40、PU50、PU60)を用いた。それぞれクッションブリッジスリーブのASKER−C硬度はPU60は80、PU50は78、PU40は72であった。
樹脂の支持体として繊維強化プラスチック製スリーブ(独、AKL社製、商標「OptiFlex−Basic」)を用いた。内径は175.18mm、外径は175.88mm、幅1000mmであった。
該支持体上にレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物をドクターブレードで塗工し、これにメタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の紫外線を12000mJ/cm2(UVメーターとUV−35−APRフィルターを用いて積算したエネルギー量)照射し硬化させ印刷原版を得た。硬化後の印刷周長が560mmとなるように印刷原版の最外面を研削、研磨で調整した。ドクターブレードで調節し、印刷性評価用のレーザー彫刻印刷原版を作成した。
【0061】
(7−2)レーザー彫刻
レーザー彫刻は、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、商標「ZED−mini−1000」、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻画像は120Lines per inchで作成した。網点は1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%のパターンを作成した。別途、1%から99%までのグラデーションのパターンを作成した。細線は60μm幅、100μm幅、150μm幅、200μm幅、250μm幅、500μm幅のパターンを作成した。白抜き線は60μm幅、100μm幅、150μm幅、200μm幅、250μm幅、500μm幅のパターンを作成した。細字は2point、3point、4point、6point、8pointを明朝体、ゴシック体で作成した。白抜き細字は2point、3point、4point、6point、8pointを明朝体、ゴシック体で作成した。また、濃度のムラを検出するために20%と30%の網点を50mm×50mmの大きさで作成した。
なお、彫刻深さを大きく設定すると、微細な網点部のパターンのレリーフ面の面積が確保できず、形状も崩れて不鮮明となるため、彫刻深さは(レリーフ深度)0.5mmとした。版再現性の確認としてドットの形状が円錐状となっているか観察した。「版再現性」とは印刷画像を凸版印刷版に転写する正確さを意味する。
レーザー彫刻後のレリーフ印刷版上のカスは、DEGRAF製(仏国)洗浄機「SLW−1950」(商標)にて除去した。
【0062】
(8)印刷版の表面形状
印刷版を構成する樹脂が印刷版の表面形状に与える影響を検証すべく、実施例1ー4及び比較例1−4で用いた印刷版の表面形状を測定した。
測定は以下の方法により行った。
「デジマチックゲージ」(小野測器社製、商標)を用いて、作成した印刷版のベタ面からのドット部分の高低差を測定した。測定子の大きさは直径10mmの円形、圧力は100gとした。印刷版のベタ部を「高さゼロ」とし、印刷版の1%から20%の箇所の版圧を測定した。
レーザー彫刻特有の現象として、1%から約20%の網点がレリーフ面よりも低く形成されることが起こる(「ビロー・サーフェス」とする)。彫刻する素材によってこのビロー・サーフェスの挙動は異なり、1%からレリーフ面までの高低差の傾斜がなだらかなほど、優れた(なめらかな)グラデーションが得られ、網点の濃度ムラを低減できる。
【0063】
(9)印刷物の作成
印刷機は「FlexPress16S」(独、Fischer&Krecke社製、商標)、インキは溶剤「XS−812」(大日本インキ化学工業社製、商標)、インキ粘度はザーンカップ4番で8.4秒に調整、被印刷体として厚み45μmの乳白ポリエチレンを用い、アニロックスロールの線数は750lpi、アニロックスロールのセル容積は5cc)、印刷速度は30m/分、200m/分で行った。
(10)印刷品質評価試験
印刷品質(濃度ムラ)は、図1のパターンの30%の網点のうち、最も濃い部分と最も薄い部分について画像解析装置(株式会社NIRECO製、商標「LUZEX」)を用いて網点面積率を測定し、次式(数1)に従って「濃淡比率」を算出し、これを用いて評価した。このとき、測定視野に網点が少なくとも50個入るようにレンズ倍率と測定位置で調節した。
【0064】
【数1】

【0065】
上式の濃淡比率においては、濃淡差の平均面積率を算出し(分子)、それを網点部分全体の面積率平均値(分母)で割り返しているので、ドットの太りの要素を排除することができる。すなわち、印刷バッチ毎の僅かな条件の違いなどによってドットの太りに影響あっても、網点の濃度ムラを検出することができる。濃淡比率が低いほど網点の濃度ムラが少ないことを意味する。各印刷物において、式2より算出した濃淡比率を求めた。
【0066】
(11)膨潤率
酢酸エチル20質量部とイソプロピルアルコール80質量部を混合した。印刷原版のベタ部(100%の画像部)を3cm×5cmに切り常温の各溶剤中に24hr浸漬させ、以下の式を用いて膨潤率を求めた。
膨潤率(%)={(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量}×100
【0067】
[実施例1−4]
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた500ml四口フラスコに、ジエチレングリコール214g(2.01mol)、エチレンカーボネート186g(2.12mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.177gを加えた。このフラスコを、フラスコの内温が145〜150℃、圧力が2.5〜3.5kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、22時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、フラスコの内温170℃に上げ、圧力を0.2kPaまで落として、フラスコ内に残った、ジエチレングリコール、エチレンカーボネートを1時間かけて留去した。その後、フラスコの内温170℃、圧力0.1kPaでさらに5時間反応した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが174g得られた。得られたポリカーボネートジオールのOH価は60.9(数平均分子量Mn=1843)であった。
【0068】
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコにこのポリカーボネートジオール65.0g、リン酸モノブチル0.05gを入れ、80℃で3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアネート4.63g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.07g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気で80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2.77g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気で80℃で2時間撹拌した。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有する(すなわち樹脂(a))が得られたことを、赤外分光分析により確認した。その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート24.14g、ジエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート7.24g、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.12g、シリカゲル「C−1504」(富士シリシア化学株式会社、商標)5.55g、シリコーンオイル「KF−410」(信越化学工業株式会社、商標)1.21g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.72g、ベンゾフェノン1.21g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.72g、リン酸トリフェニル2.17g、「サノールLS−785」(三共株式会社、商標)1.21gを加えて80℃で撹拌しながら、13kPaに減圧して脱泡し、室温で粘稠な液状のレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(A)を得た。
【0069】
前記の方法で支持体へのレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(A)の塗工、高エネルギー活性線の照射により樹脂組成物を硬化させ印刷原版を得た後、レーザー彫刻を行った。レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
前記印刷原版、および前記クッションブリッジスリーブPU40、PU60を用いて、前記(9)の印刷方法により表1に記載の条件で印刷を行ない、印刷物を得た。
【0070】
[比較例1−4]
温度計、攪拌機、還流器を備えた2Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、「PCDL T4672」(商標、数平均分子量2059、OH価54.5)1318gとトリレンジイソシアナート76.8gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート52.6gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1.7個)である数平均分子量約7000の樹脂(a’)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0071】
樹脂(a’)67質量部に対し、有機化合物(b)としてフェノキシエチルメタクリレート(POHとも略記される)33質量部を添加し、光重合開始剤(c)として、水素引き抜き型光重合開始剤であるベンゾフェノン0.5質量部を添加し、と崩壊型光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2.0質量部添加した。さらに、その他添加剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを0.6質量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを1.0質量部、信越化学工業社製、メチルスチリル変性シリコーンオイル(商標「KF−410」)を1.0質量部、富士シリシア化学株式会社製、商標「サイロスフェアC−1504」を5.14質量部添加した(数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアーC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった)を加えて20℃で液状のレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(B)を作製した。
【0072】
レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(B)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、3000Pa・s以下であった。
実施例に記載と同様の方法で支持体へのレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(B)の塗工およびレーザー彫刻を行った。レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
該印刷原版、および実施例に記載と同様のクッションブリッジスリーブPU40、PU60を用いて、実施例に記載と同様の印刷方法より印刷物を得た。
上記各実施例及び比較例の組成及び試験結果を表1にまとめた。
【0073】
同じ印刷速度である実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4、をそれぞれ比較すると、いずれも実施例のほうが濃淡差の小さい結果となった。すなわち、実施例のほうが網点の濃度ムラが少ない。
本実施の形態においては濃淡比率が10%以下であれば、濃淡差が目視で認識が困難となる。濃淡ムラは印刷速度が遅いほど発生しやすい傾向にあるが、本実施例1,4においては、30m/分という低速においても濃淡比率が10%以下となった。
更に、図1に実施例1〜4及び及び比較例1〜4で用いた印刷版のハイライト部分の網点のベタ部からの高低差を示した。レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(A)では1%から20%の網点の高低差の傾斜がなだらかであり、レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物(B)に比べ、印刷物上で優れた(なめらかな)グラデーションが得られた。
【0074】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の方法によれば、印刷する際に、印刷機の振動によって被印刷基材に生じる網点の濃度ムラを低減できる。従って、紙、プラスチックフィルム等の印刷分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1〜4及び比較例1〜4で用いた印刷版の表面形状(ドット高低差とベタ面からの高低差)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを含み、重合性不飽和基を有する数平均分子量が300以上5万以下の樹脂(a)、重合性不飽和基を有し数平均分子量が1000未満の有機化合物(b)、重合開始剤(c)を含有する樹脂組成物から製造される印刷版をシリンダー上に配置し、該シリンダーが回転することにより被印刷基材上にインキを転写する印刷機を用い、該印刷機の印刷速度が毎分10m以上1000m以下である印刷方法。
【化1】

【請求項2】
前記印刷速度が毎分15m以上500m以下である、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記印刷速度が毎分15m以上300m以下である、請求項1又は2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記印刷速度が毎分15m以上50m以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項5】
印刷機上で色間位置合わせを行う印刷方法であって、該色間位置合せを毎分15m以上50m以下の印刷速度でかつ0.5分間以上20分間以下行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項6】
印刷速度が毎分30mである印刷物の濃淡比率と印刷速度が200mである印刷物の濃淡比率との差が10以内である、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記樹脂(a)がウレタン結合及び/又はエステル結合を有する樹脂である請求項1から6のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記有機化合物(b)の全体量の20質量%以上が脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体である請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記光重合開始剤(c)が水素引き抜き型重合開始剤及び/又は崩壊型重合開始剤を含む請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記樹脂組成物が20℃において液状である請求項1から9のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記樹脂組成物が、更に無機多孔質体を1〜100質量%含む請求項1から10いずれか1項に記載の印刷方法
【請求項12】
前記印刷版が、前記樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形した後、高エネルギー活性線の照射により硬化せしめることにより製造されうる印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版である、請求項1から11のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項13】
前記印刷版が、酢酸エチル/イソプロピルアルコールの質量比が80/20である溶液に対する膨潤率が10%以下である印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版である、請求項1から12のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項14】
前記印刷版が、印刷版の非印刷面側に1層以上のクッション層をさらに有する印刷版である請求項1〜13のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項15】
前記クッション層が中空マイクロカプセルを含む請求項14に記載の印刷方法。
【請求項16】
前記印刷版が、中空円筒状支持体を更に有する印刷版である請求項1から15のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項17】
前記印刷版の中空円筒状支持体上に1層以上の周長調整層をさらに有する請求項16に記載の印刷方法。
【請求項18】
前記印刷原版の最外面が切削、研削あるいは研磨されてなる印刷原版である請求項12から17いずれか1項記載の印刷方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−184116(P2009−184116A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23153(P2008−23153)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】