説明

印刷機能付きプロジェクタ

【課題】投影画像から任意の領域を指定して、印刷することができる印刷機能付きプロジェクタを提供する。
【解決手段】画像を印刷する印刷部11と、画像を投影面に投影する投影部10を有する印刷機能付きプロジェクタ1において、投影画像から印刷範囲を選択する印刷範囲選択手段と、この印刷範囲選択手段が選択した印刷範囲の座標を判定する印刷範囲判定手段と、この印刷範囲判定手段が判定した印刷範囲に基づき、印刷イメージを生成し印刷部11に出力する印刷イメージ生成手段24とを有する。なお、印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画像に印刷範囲を表示させ、この印刷範囲を投影画像内で移動させて、印刷範囲を選択する操作パネル13やリモートコントローラ30であり、印刷範囲判定手段は、前記印刷範囲の移動情報に基づいて前記印刷範囲を判定することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影画像から任意の領域を指定して、印刷することができる印刷機能付きプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に示されるような、印刷機能付きプロジェクタが提案されている。この印刷機能付きプロジェクタには、投影されている画像を印刷する手段が提供されているが、ユーザにとって使いやすいものではなかった。
【0003】
そこで、特許文献2に示されるような印刷機能付きプロジェクタが提案されている。この印刷機能付きプロジェクタは、画像の投影時に、ユーザがリモコンを用いて画像を印刷する指示をするだけで、投影画像と同じ画像を簡単に印刷することを可能としたものである。
【0004】
しかしながら、投影されている画像しか印刷することができないことや、投影画像から、印刷範囲や、印刷したいオブジェクトを選択することができず、不便であるという問題があった。
【特許文献1】特表2004−524552号公報
【特許文献2】特開2006−243672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
投影画像から任意の領域を指定して、印刷することができる印刷機能付きプロジェクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、画像を印刷する印刷部と、画像を投影面に投影する投影部を有する印刷機能付きプロジェクタにおいて、
投影画像から印刷範囲を選択する印刷範囲選択手段と、
この印刷範囲選択手段が選択した印刷範囲の座標を判定する印刷範囲判定手段と、
この印刷範囲判定手段が判定した印刷範囲に基づき、印刷イメージを生成し印刷部に出力する印刷イメージ生成手段と、
を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画像に印刷範囲を表示させ、この印刷範囲を投影画像内で移動させて、印刷範囲を選択する印刷機能付きプロジェクタに設けられた操作パネル及び印刷機能付きプロジェクタを遠隔操作するリモートコントローラの少なくとも一方であり、
印刷範囲判定手段は、前記印刷範囲の移動情報に基づいて前記印刷範囲を判定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の印刷範囲選択手段は、投影面に光点を表示するポインターであり、印刷範囲判定手段は投影面をキャプチャーする印刷機能付きプロジェクタに設けられたカメラであり、
ユーザが、前記ポインターを操作することにより、所望の印刷範囲の対角線両端を、投影面に光点で順次2つ表示させて、
前記カメラが、前記投影面に順次表示された2つの光点をキャプチャーして、これら2つの光点の座標に基づいて印刷範囲を判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画から所望の印刷範囲の対角線両端を順次選択する印刷機能付きプロジェクタに接続されたポインティングディバイスであり、
印刷範囲判定手段は、前記選択された対角線両端の座標に基づいて、印刷範囲を判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、投影画像から複数の印刷範囲を選択することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、印刷イメージを投影面に投影することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、印刷範囲の外縁を、所定の方法で決定し、投影面に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、画像を印刷する印刷部と、画像を投影面に投影する投影部を有する印刷機能付きプロジェクタにおいて、投影画像から印刷範囲を選択する印刷範囲選択手段と、この印刷範囲選択手段が選択した印刷範囲の座標を判定する印刷範囲判定手段と、この印刷範囲判定手段が判定した印刷範囲に基づき、印刷イメージを生成し印刷部に出力する印刷イメージ生成手段とを有するので、ユーザが投影画像から任意の領域を指定して、印刷することが可能となる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画像に印刷範囲を表示させ、この印刷範囲を投影画像内で移動させて、印刷範囲を選択する印刷機能付きプロジェクタに設けられた操作パネル及び印刷機能付きプロジェクタを遠隔操作するリモートコントローラの少なくとも一方であり、印刷範囲判定手段は、前記印刷範囲の移動情報に基づいて前記印刷範囲を判定するので、ユーザが前記操作パネルやリモートコントローラを操作することにより、簡単に投影画像から任意の領域を指定して、印刷することが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、ユーザが、ポインターを操作することにより、所望の印刷範囲の対角線両端を、投影面に光点で順次2つ表示させて、カメラが、前記投影面に順次表示された2つの光点をキャプチャーして、これら2つの光点の座標に基づいて印刷範囲を判定するので、ユーザが前記ポインターを操作することにより、簡単に投影画像から任意の領域を指定して、印刷することが可能となる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画から所望の印刷範囲の対角線両端を順次選択する印刷機能付きプロジェクタに接続されたポインティングディバイスであり、印刷範囲判定手段は、前記選択された対角線両端の座標に基づいて、印刷範囲を判定するので、ユーザが前記ポインティングディバイスを操作することにより、簡単に投影画像から任意の領域を指定して、印刷することが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、投影画像から複数の印刷範囲を選択することができるので、ユーザが同時に複数の印刷範囲を選択することが可能となり、便利である。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、印刷イメージを投影面に投影するので、印刷前に、投影面で印刷イメージを確認することが可能となる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明によれば、印刷範囲の外縁を、所定の方法で決定し、投影面に表示するので、ユーザが必要に応じて、印刷範囲の表示方法を変更することが可能となり、便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(本発明の構成)
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。図1は本発明の実施の形態を示すプロジェクタの斜視図である。図1において、1は本発明の印刷機能付きプロジェクタである。1aは印刷機能付きプロジェクタ1に設けられた表示部である。表示部1aは、本実施形態では、LCD(Liquid Clystal Displayの略、液晶表示素子)であるが、PDP(Plasma Disply Panelの略、プラズマディスプレー)や有機EL等であっても差し支えない。
【0021】
1bは印刷機能付きプロジェクタ1に設けられたレンズであり、図1に示されるように、このレンズ1bを透過した画像が、スクリーン等の投影面80に投影画像91として投影されるようになっている。
【0022】
1cは操作パネルであり、本発明の印刷機能付きプロジェクタ1を、操作したり、各種設定したりするものである。30はリモートコントローラであり、印刷機能付きプロジェクタ1を遠隔操作するものである。
【0023】
図2に、本発明の印刷機能付きプロジェクタのブロック図を示す。10は投影部であり、画像を投影面80に投影するものである。この投影部10は主に、光源、照明光学系、LCD、レンズ1bとから構成されている。11は印刷部であり、紙に画像を印刷するものである。12は表示部であり、図1に示される表示部1aと同一である。表示部12には、印刷機能付きプロジェクタ1の各種設定情報等が表示されるようになっている。13は操作パネルであり、図1に示される操作パネル1cと同一である。
【0024】
15は投影画像入力部であり、外部から送信される送信データを受信して、この送信データに含まれる「画像データ」を取得するためのものである。この投影画像入力部15のインターフェースとして、VGA(Video Graphics Arrayの略)や、LAN(Local Area Network)や、USB(Unversal Serial Busの略、USB1.0、USB1.1、USB2.0を含む)、IEEE1394、RS232、RS422、電話回線その他通信インターフェースを含めることができる。あるいは投影画像入力部15として、無線を用いたものであってもよく、この場合のインターフェースとしては、IEEE802に規定されているいわゆる無線LANやBluetooth、その他の無線インターフェースを含めることができる。この投影画像入力部15により、コンピュータ装置50、デジタルカメラ、FAX、スキャナー等から出力される「画像データ」を取得する。なお、コンピュータ装置50には、ウインドウズ(登録商標)、マッキントッシュ(登録商標)、リナックス(登録商標)、MS−DOS(登録商標)等のOS(オペレーティングシステム)を用いた、いわゆるパーソナルコンピュータや、PDA(Personal Digital Assistantの略、携帯情報端末)、ワークステーション、大型汎用コンピュータ等が含まれる。
【0025】
なお、「画像データ」のフォーマットとしては、JPEG(Joint Photographic Experts Groupの略)、BMP(Bitmapの略)、TIFF(Tagged Image File Formatの略)、PNG(Portable Network Graphicsの略)、GIF(Graphics Inerchange Formatの略)等の画像ファイルや、オペレーティングシステムの表示画面、ビジネスソフトやグラフィカルソフトのファイル形式も含まれる。
【0026】
16は外部記憶接続部であり、この外部記憶接続部16に、外部より記憶媒体を接続することにより、記憶媒体に保存されている「画像データ」を取得するようになっている。なお、記憶媒体には、コンパクトフラッシュ(登録商標)、MMC51(マルチメディアカード)、SDメモリーカード52(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等の不揮発性メモリーや、CD(コンパクトディスク)、DVD、フロッピー(登録商標)ディスク、MO(Magneto Optical Discの略、光磁気ディスク)等のリムーバブルディスクを含めることができ、外部記憶接続部16は、これらの記憶媒体に対応したインターフェースとなっている。
【0027】
なお、本発明の印刷機能付きプロジェクタ1は、投影画像入力部15及び外部記憶接続部16のどちらか1つだけを備えた構成であっても差し支えない。
【0028】
17はCPU(Central Processing Unitの略)であり、18はRAM(Random Access Memoryの略)、19はROM(Read Only Memoryの略)である。CPU17は、RAM18、ROM19と協動して、各種演算、処理をする。RAM18は、CPU17が処理するデータを一時的に保存するものである。
【0029】
ROM19には、本発明の印刷機能付きプロジェクタ1を制御するためのアプリケーションソフトが保存されている。これらのアプリケーションソフトは、CPU17で処理することにより、各種機能を実現している。
【0030】
20は記憶部でありハードディスクや不揮発性メモリーにより構成されている。記憶部20には、印刷機能付きプロジェクタ1の各種設定情報等を保存するものである。
【0031】
21は画像処理部である。画像処理部21は、2つの機能を有している。一つは、投影画像入力部15や外部記憶接続部16から入力された「画像データ」を、必要に応じてシャープネス補正、ガンマ補正、コントラスト補正、ホワイトバランス補正、台形補正等の画像処理を行い、投影部10に出力する機能である。一つは、印刷イメージ生成手段で作成された「印刷イメージ」を、必要に応じて、シャープネス補正、ガンマ補正、コントラスト補正、色変換(RGB→CMYK(カラーの場合)、RGB→Black(モノクロの場合))、画像拡大縮小、階調変換(2値化)などの画処理を行い、印刷部11に出力する機能がある。
【0032】
24は印刷イメージ生成手段である。印刷イメージ生成手段24は、投影画像入力部15や外部記憶接続部16から入力された「画像データ」から「印刷イメージ」を生成し、印刷部11に出力するものである。
【0033】
なお、画像処理部21及び印刷イメージ生成手段24は、ROM19に保存されたアプリケーションソフトが、CPU17で処理されることにより実現している。
【0034】
25はカメラである。カメラ25は、CCDやCMOS等のイメージセンサー(固体映像素子)とレンズとから構成され、投影面80に表示された画像をキャプチャー(画像ファイルとして取り込む)するものである。
【0035】
リモートコントローラ30は、主にCPU31、ROM32、RAM33、記憶部34、表示部36、操作ボタン37、赤外線受信部38、赤外線送信部39から構成されている。
【0036】
CPU31は、ROM32、RAM33と協動して、各種演算、処理をするものである。RAM33は、CPU31が処理するデータを一時的に保存するものである。
【0037】
ROM32には、リモートコントローラ30を制御するためのアプリケーションソフトが保存されている。このアプリケーションソフトは、CPU31で処理することにより、各種機能を実現している。
【0038】
記憶部34は、ハードディスクや不揮発性メモリーにより構成されていて、リモートコントローラ30の各種設定情報等を保存するものである。
【0039】
表示部36は、LCDやPDP、有機EL等で構成され、各種設定情報等が表示されるようになっている。
【0040】
操作ボタン37は、ユーザが操作することにより、本発明の印刷機能付きプロジェクタ1を、操作したり、各種設定したりするものである。
【0041】
赤外線受信部38と赤外線送信部39はそれぞれ、印刷機能付きプロジェクタ1に設けられた赤外線送信部26及び赤外線受信部27と、赤外線で通信するものである。
【0042】
(第1の実施形態)
次に第1の実施形態について説明をする。図3に第1の実施形態の説明図を示し、図4に第1の実施形態のフロー図を示す。この第1の実施形態は、図3に示されるように、ユーザが、印刷機能付きプロジェクタ1の操作パネル13や、リモートコントローラ30の操作ボタン37(以下操作パネル13及び操作ボタン37を「操作部」とする)を操作することにより、投影画像91に印刷範囲92表示させ、この印刷範囲92を投影画像91内で移動させて、「印刷範囲判定手段」が、印刷範囲92の移動情報に基づいて印刷範囲92の座標を判定する実施形態である。
【0043】
つまり、この第1の実施形態では、投影画像92から印刷範囲を選択する「印刷範囲選択手段」は、操作パネル13や操作ボタン37である。また、「印刷範囲選択手段」が選択した印刷範囲92の座標の判定を行う「印刷範囲判定手段」は、ROM19に保存されたアプリケーションソフトが、CPU17で処理されることにより実現している。なお、図3において、「表示画像」は横縦それぞれの解像度が1024×768で表示されている。
【0044】
以下に図4のフロー図を用いて、第1の実施形態を説明する。ユーザが「操作部」の「印刷範囲表示ボタン」を押下すると、S112「印刷範囲表示ボタン押下」の操作からS113「印刷範囲表示信号出力」の処理に進む。
【0045】
S113の処理において「操作部」は、投影画像91内に印刷範囲92を表示させる「印刷範囲表示信号」を画像処理部21に出力する。S113の処理が終了すると、S121「印刷範囲表示信号入力」の処理に進む。
【0046】
S121の処理において、「操作部」からの「印刷範囲表示信号」が画像処理部21に入力されると、S122「印刷範囲を表示」の処理に進み、画像処理部21は投影部10に信号を出力して、投影画像91に印刷範囲92を表示する。ユーザの選択により、A4、B5等のサイズに相当する印刷範囲92を投影画像91に表示する。S122の処理が終了すると、S131「移動キー操作」の操作に進む。
【0047】
この第1の実施形態では、「操作部」には、投影画像に表示された印刷範囲92を投影画像91内で、上下左右に移動させる「移動キー」が設けられている。S131の操作において、ユーザが、「操作部」の「移動キー」を押下して操作すると、S132「印刷範囲移動情報出力」の処理に進み、「操作部」は、投影画像91内に表示された印刷範囲92を上下左右に移動させる「印刷範囲移動情報」を画像処理部21に出力する。S132の処理が終了すると、S141「印刷範囲移動情報入力」の処理に進む。
【0048】
一方で、S131の操作において、ユーザが、「操作部」の「移動キー」を押下しない状態で一定時間経過した場合には、S143「印刷範囲を指定する」の判断に進む。
【0049】
S141の処理において、「操作部」から画像処理部21に「印刷範囲移動情報」が入力されると、S141「印刷範囲を移動・再表示」の処理に進み、画像処理部21は、押下された「移動キー」にあわせて、印刷範囲92を、投影画像91内で移動させて、投影画像91内に再表示する。S142の処理が終了すると、S143「印刷範囲を指定する」の判断に進む。
【0050】
S143の処理において、ユーザが投影画像91内に表示された印刷範囲92を指定する場合には、S144「印刷要求」の操作に進む。一方で、ユーザが投影画像91内に表示された印刷範囲92を指定しない場合には、S131の処理に戻る。
【0051】
S144の操作において、ユーザが「操作部」に設けられた「印刷キー」を押下すると、S145「印刷要求信号出力」の処理に進み、「操作部」が「印刷範囲判定手段」に「印刷要求信号」を出力する。S145の処理が終了すると、S151「印刷」の処理に進む。
【0052】
一方で、S144の操作において、ユーザが前記「印刷キー」を押下しない場合(例えばユーザが「印刷キー」を押下することなく、一定時間経過した場合)には、S160「キャンセル?」の操作に進む。S160の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルしない場合には、S144の操作に戻る。一方で、S160の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルする場合には、一連のフローが終了する。
【0053】
S151の処理において、「印刷範囲判定手段」に「印刷要求信号」が入力されると、「印刷範囲判定手段」が「印刷範囲の移動情報」に基づいて、印刷範囲92の判定を行う。図5に印刷範囲の判定処理の説明図を示す。図5に示されるように、「印刷範囲判定手段」は、投影画像91内に最初に表示された印刷範囲の頂点93(図5に示されるように例えば左下の頂点)を基準として、ユーザが「移動キー」を操作した「印刷範囲の移動情報」に基づいて、投影画像91内の印刷範囲92を再計算して、印刷範囲92を判定する。
【0054】
つまり、S121の処理において「印刷範囲判定手段」は、印刷範囲92の大きさ(例えば、A4サイズに相当する縦横比率の範囲)及び印刷範囲の頂点93の座標(以下1ピクセルを1座標とする、図5においてX座標、Y座標がそれぞれ50、50)を記憶し、S141の処理において、「印刷範囲移動情報」を記憶して、「印刷範囲判定手段」は、印刷範囲の頂点93の座標(50、50)に、「印刷範囲移動情報」に基づく前記印刷範囲の頂点の移動量(図5においてX座標、Y座標がそれぞれ100、50)を加算することにより、移動後の印刷範囲の頂点94(150、100)を算出して、この移動後の印刷範囲の頂点94の座標と前記「印刷範囲の大きさ」から印刷範囲92の座標を判定する。
【0055】
S151の処理において、印刷イメージ生成手段24は、「印刷範囲判定手段」が判定した印刷範囲92の座標に基づき、「印刷イメージ」を生成し、画像処理部21で色変換等の画像処理を行わせ、印刷部11に出力して、印刷部11が印刷をする。S151の処理が終了すると、S152「印刷完了メッセージ表示」の処理に進む。
【0056】
S152の処理において、「印刷完了メッセージ」が、印刷機能付きプロジェクタ1やリモートコントローラ30の表示部12、36に表示され、一連のフローが終了する。
【0057】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明をする。図6に第2の実施形態の説明図を示し、図7第2の実施形態のフロー図を示す。図6に示される40はポインターであり、半導体レーザ等により、指向性の強い光を発光するものである。この第2の実施形態は、図6に示されるように、ユーザが、ポインター40を操作することにより、所望の印刷範囲92の対角線両端を、投影面80に光点で順次2つ表示させて、カメラ25が、投影面80に順次表示された2つの光点をキャプチャーして、これら2つの光点の座標に基づいて印刷範囲92の座標を判定する実施形態である。
【0058】
つまり、この第2の実施形態では、投影画像92から印刷範囲を選択する「印刷範囲選択手段」は、ポインター40である。また、「印刷範囲選択手段」が選択した印刷範囲92の座標の判定を行う「印刷範囲判定手段」は、カメラ25である。
【0059】
以下に図7のフロー図を用いて、第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態が開始すると、S212「第1位置を指示するよう表示」の処理で、表示部12、36に、第1位置をポインター40で指示するようユーザに要求する旨が表示される。S212の処理が終了すると、S213「カメラで光点の位置座表を認識する」の処理に進む。
【0060】
表示部12、36に表示された前記表示を見て、ユーザが、ポインター40を操作することにより、所望の印刷範囲92の対角線の一端95を、投影面80に光点で表示させることにより指し示す。
【0061】
S213の処理において、カメラ25は、投影面80をキャプチャーする。このS213の処理において、画像処理部21は、キャプチャーされた投影面80に、ユーザが操作して表示する静止光点が表示されているか否かを判断する。画像処理部21が、静止光点が投影面80上に存在すると判断した場合には、前記静止光点を所望の印刷範囲92の一端95として位置座表を認識し、S221「静止光点あり?」から、S222「位置座表をRAMに格納する」の処理に進む。一方で、画像処理部が、静止光点が投影面80上に存在しないと判断した場合には、S213の処理に戻る。
【0062】
S222の処理において、画像処理部21は、「光点95の位置座表」をRAM18に格納する。S213の処理が終了すると、S223「第2位置を指示するよう表示」の
処理に進む。
【0063】
S223の処理において、表示部12、36に、第2位置をポインター40で指示するようユーザに要求する旨が表示される。S223の処理が終了すると、S240「カメラで光点の位置座表を認識する」の処理に進む。
【0064】
表示部12、36に表示された前記表示を見て、ユーザが、ポインター40を操作することにより、所望の印刷範囲92の対角線の他端96を、投影面80に光点で表示させることにより指し示す。
【0065】
S240の処理において、カメラ25は、投影面80をキャプチャーする。このS240の処理において、画像処理部21は、キャプチャーされた投影面80に、ユーザが操作して表示する静止光点が表示されているか否かを判断する。画像処理部21が、静止光点が投影面80上に存在すると判断した場合には、前記静止光点を所望の印刷範囲92の対角線の他端96として位置座表を認識し、S241「静止光点あり?」から、S242「格納されている位置座標を取得」の処理に進む。一方で、画像処理部が、静止光点が投影面80上に存在しないと判断した場合には、S240の処理に戻る。
【0066】
S242の処理において、画像処理部21は、S213の処理でRAM18に格納した「光点95の位置座標」を取得する。S242の処理が終了すると、S243「2点の位置座標を元に印刷範囲を表示する」の処理に進む。
【0067】
S243の処理において、画像処理部21は、S240の処理で認識した「光点96の位置座標」及び、S242の処理で取得した「光点95の位置座表」から印刷範囲92の座標を判定し、投影画像91に表示する。S243の処理が終了すると、S251「印刷要求」の操作に進む。
【0068】
S251の操作において、ユーザは、ポインター40を操作することにより、投影面80に「印刷要求」を表示させる。この「印刷要求」は、例えば、ポインター40により投影面80に表示される光点を、ある特定の色で表示することにより行う。S251の操作において、ユーザがポインター40を操作することにより、印刷することを選択した場合には、S252「印刷要求信号出力」の処理に進む。
【0069】
一方で、S251の操作において、ユーザがポインターを操作しない場合(例えばユーザがポインターを操作することなく、一定時間経過した場合)には、S270「キャンセル?」の操作に進む。S270の操作において、ユーザがポインター40を操作して、印刷要求をキャンセルしない場合には、S251の操作に戻る。一方で、S270の操作において、ユーザがポインター40を操作して、印刷要求をキャンセルする場合には、一連のフローが終了する。
【0070】
S252の処理において、カメラ25は、S251の操作で、投影面80に表示された「印刷要求」の光点をキャプチャーして、この光点が「印刷要求」を示すある特定の色で表示されていることを認識して、「印刷要求信号」を印刷イメージ生成手段24に出力する。S252の処理が終了すると、S261「印刷」の処理に進む。
【0071】
S261の処理において、「印刷要求信号」が入力された印刷イメージ生成手段24は、S243の処理で判定された印刷範囲92の座標に基づき、「印刷イメージ」を生成し、画像処理部21で色変換等の画像処理を行わせ、印刷部11に出力して、印刷部11が印刷をする。S261の処理が終了すると、S262「印刷完了メッセージ表示」の処理に進む。
【0072】
S262の処理において、「印刷完了メッセージ」が、印刷機能付きプロジェクタ1やリモートコントローラ30の表示部12、36に表示され、一連のフローが終了する。
【0073】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明をする。図8に第3の実施形態の説明図を示す。この第3の実施形態は、ユーザが、印刷機能付きプロジェクタ1に接続された「ポインティングディバイス」(図示せず)を操作することにより、投影画80から所望の印刷範囲92の対角線両端を順次選択し、この選択された対角線両端の座標に基づいて、印刷範囲92の座標を判定する実施形態である。
【0074】
つまり、この第3の実施形態では、投影画像92から印刷範囲を選択する「印刷範囲選択手段」は、「ポインティングディバイス」である。この「ポインティングディバイス」には、マウス、トラックボール、トラックパッド、ポインティングスティック、ペンタブレット等が含まれる。また、「印刷範囲選択手段」が選択した印刷範囲92の座標の判定を行う「印刷範囲判定手段」は、ROM19に保存されたアプリケーションソフトが、CPU17で処理されることにより実現している。なお、図8において、「表示画像」91は横縦それぞれの解像度が1024×768で表示されている。
【0075】
この第3の実施形態では、表示画像91にカーソル97が表示され、「ポインティングディバイス」を操作すると、カーソル97が表示画像91内を移動するようになっている。
ユーザが、「ポインティングディバイス」を操作することにより、所望の印刷範囲の対角線の一端98(図8に示される170、512のXY座標)に、カーソル97を移動させて、「ポインティングディバイス」の押下ボタンを押下して(以下「クリック」とする)、印刷範囲92の対角線の一端98を選択する。ユーザが「ポインティングディバイス」を操作して、所望の印刷範囲の対角線の他端99(図8に示される856、234のXY座標)に、カーソル97を移動させて、「クリック」して、印刷範囲の対角線の他端99を選択する。なお、印刷範囲の対角線の一端98及び他端99を、「ポインティングディバイス」で選択する方法は、「ポインティングディバイス」の押下ボタンを押下してから離すまでの間にカーソル97を移動する、いわゆる「ドラッグ」であっても差し支えない。
【0076】
「印刷範囲判定手段」は、ユーザが「ポインティングディバイス」を操作することにより選択した、印刷範囲の対角線の一端98の座標(XY座標が170、512)及び他端99の座標(XY座標が856、234)から印刷範囲92の座標を判定し、印刷イメージ生成手段24は、この印刷範囲92に基づき、「印刷イメージ」を生成し、画像処理部21で色変換等の画像処理を行わせ、印刷部11に出力して、印刷部11が印刷をする。
【0077】
(複数の印刷範囲の選択)
図9に複数の印刷範囲92を選択した図を示す。本発明では、実施形態1〜3において、図9に示されるように、複数の印刷範囲92を選択することも可能である。「印刷範囲選択手段」が選択し、「印刷範囲判定手段」が判定した印刷範囲92の座標をRAM18に格納することにより、投影画像91から複数の印刷範囲92を選択することを可能にしている。
【0078】
(印刷イメージを投影面に表示)
図10に「印刷イメージ」を投影面80に表示した図を示す。本発明では、実施形態1〜3において、図10に示されるように、印刷する前に「印刷イメージ」を投影面80に投影して、プレビュー表示することが可能である。以下、図11に「印刷イメージ」をプレビュー表示するフロー図を示し、以下説明をする。
【0079】
S312「印刷プレビュー要求」の操作で、ユーザが「操作部」(第2の実施形態ではポインター40、第3の実施形態では「ポインティングディバイス」を含む。以下同じ)を操作することにより、「印刷プレビュー要求」をすると、「操作部」が画像処理部21に対して「印刷プレビュー要求」を出力して、S321「印刷プレビュー表示」の処理に進む。なお、このS312の操作で、ユーザは「操作部」を操作することにより、余白の設定、用紙のサイズの変更等の「ページ設定」を行うことができる。
【0080】
一方で、S312の操作において、ユーザが「印刷キー」を押下しない場合(例えばユーザが「印刷キー」を押下することなく、一定時間経過した場合)には、S350「キャンセル?」の操作に進む。S350の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルしない場合には、S312の操作に戻る。一方で、S350の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルする場合には、一連のフローが終了する。
【0081】
S321の処理において、画像処理部21に「印刷プレビュー要求」が入力されると、画像処理部21が、実施形態1〜実施形態3において印刷イメージ生成手段24が生成した「印刷イメージ」を取得し、投影部10に出力し、投影部10が「印刷イメージ」を投影面80に投影する。
【0082】
なお、複数の印刷範囲92を選択した場合には、複数の「印刷イメージ」をRAM18に格納し、ユーザが「操作部」を操作することにより、複数の「印刷イメージ」をRAM18から順次取得して、投影部10に出力して、投影部10が順次複数の「印刷イメージ」を投影面80に投影する。S321の処理が終了すると、S331「印刷要求」の操作に進む。
【0083】
S331の操作において、ユーザが「操作部」を操作することにより、「印刷要求」をすると、S341「印刷」の処理に進む。
【0084】
一方で、S331の操作において、ユーザが「印刷キー」を押下しない場合(例えばユーザが「印刷キー」を押下することなく、一定時間経過した場合)には、S350「キャンセル?」の操作に進む。S350の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルしない場合には、S312の操作に戻る。一方で、S350の操作において、ユーザが「操作部」を操作して、印刷要求をキャンセルする場合には、一連のフローが終了する。
【0085】
S341の処理において、実施形態1〜実施形態3で説明したように、印刷イメージ生成手段24に「印刷要求」が入力されると、印刷イメージ生成手段24は、「印刷イメージ」を画像処理部21で色変換等の画像処理を行わせ、印刷部11に出力して、印刷部11が印刷をする。S341の処理が終了すると、S342「印刷完了メッセージ表示」の処理に進む。
【0086】
S342の処理において、「印刷完了メッセージ」が、印刷機能付きプロジェクタ1やリモートコントローラ30の表示部12、36に表示され、一連のフローが終了する。
【0087】
図12に印刷範囲の表示方法を示す。投影面80に表示される印刷範囲92の外縁は、図12に示されるように、黒線、色線、点滅線、点線等で表示されるようになっていて、ユーザは、「操作部」を操作することにより印刷範囲92の外縁の表示を変えることができるようになっている。
【0088】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う印刷機能付きプロジェクタもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態を示す印刷機能付きプロジェクタの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す印刷機能付きプロジェクタのブロック図である。
【図3】第1の実施形態の説明図である。
【図4】第1の実施形態を示すフロー図である。
【図5】印刷範囲の判定処理の説明図である。(第1の実施形態)
【図6】第2の実施形態の説明図である。
【図7】第2の実施形態を示すフロー図である。
【図8】第3の実施形態の説明図である。
【図9】複数の印刷範囲を選択した図である。
【図10】印刷イメージを投影面に表示した図である。
【図11】印刷イメージをプレビュー表示するフロー図である。
【図12】印刷範囲の表示方法の説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 印刷機能付きプロジェクタ
1a 表示部
1b レンズ
1c 操作パネル
10 投影部
11 印刷部
12 表示部
13 操作パネル
15 投影画像入力部
16 外部記憶接続部
17 CPU
18 RAM
19 ROM
20 記憶部
21 画像処理部
24 印刷イメージ生成手段
25 カメラ
26 赤外線送信部
27 赤外線受信部
30 リモートコントローラ
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 記憶部
36 表示部
37 操作ボタン
38 赤外線受光部
39 赤外線送信部
40 ポインター
50 コンピュータ装置
51 MMC
52 SDメモリーカード
80 投影面
91 投影画像
92 印刷範囲
93 移動前の印刷範囲の頂点(第1の実施形態)
94 移動後の印刷範囲の頂点(第1の実施形態)
95 印刷範囲の対角線の一端(第2の実施形態)
96 印刷範囲の対角線の他端(第2の実施形態)
97 カーソル
98 印刷範囲の対角線の一端(第3の実施形態)
99 印刷範囲の対角線の他端(第3の実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷する印刷部と、画像を投影面に投影する投影部を有する印刷機能付きプロジェクタにおいて、
投影画像から印刷範囲を選択する印刷範囲選択手段と、
この印刷範囲選択手段が選択した印刷範囲の座標を判定する印刷範囲判定手段と、
この印刷範囲判定手段が判定した印刷範囲に基づき、印刷イメージを生成し印刷部に出力する印刷イメージ生成手段と、
を有することを特徴とする印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項2】
印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画像に印刷範囲を表示させ、この印刷範囲を投影画像内で移動させて、印刷範囲を選択する印刷機能付きプロジェクタに設けられた操作パネル及び印刷機能付きプロジェクタを遠隔操作するリモートコントローラの少なくとも一方であり、
印刷範囲判定手段は、前記印刷範囲の移動情報に基づいて前記印刷範囲を判定することを特徴とする請求項1に記載の印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項3】
印刷範囲選択手段は、投影面に光点を表示するポインターであり、印刷範囲判定手段は投影面をキャプチャーする印刷機能付きプロジェクタに設けられたカメラであり、
ユーザが、前記ポインターを操作することにより、所望の印刷範囲の対角線両端を、投影面に光点で順次2つ表示させて、
前記カメラが、前記投影面に順次表示された2つの光点をキャプチャーして、これら2つの光点の座標に基づいて印刷範囲を判定することを特徴とする請求項1に記載の印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項4】
印刷範囲選択手段は、ユーザが操作することにより、投影画から所望の印刷範囲の対角線両端を順次選択する印刷機能付きプロジェクタに接続されたポインティングディバイスであり、
印刷範囲判定手段は、前記選択された対角線両端の座標に基づいて、印刷範囲を判定することを特徴とする請求項1に記載の印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項5】
投影画像から複数の印刷範囲を選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項6】
印刷イメージを投影面に投影することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷機能付きプロジェクタ。
【請求項7】
印刷範囲の外縁を、所定の方法で決定し、投影面に表示することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷機能付きプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−310715(P2008−310715A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159677(P2007−159677)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】