説明

印刷温度制御装置、印刷装置および印刷温度制御方法

【課題】所定の印刷温度で印刷を行うことを可能とする。
【解決手段】サーマルヘッドに対峙するプラテン50を介して印刷温度を制御する印刷温度制御装置であって、プラテン50を昇温する昇温手段56と、プラテン50を冷却する冷却手段40と、プラテン50の温度を検出する温度検出手段42と、温度検出手段42の検出結果に基づいて、プラテン50が適正温度となるように、昇温手段56および冷却手段40を選択的に制御する制御手段67と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドによる印刷温度を制御する印刷温度制御装置、印刷装置および印刷温度制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドとこれに対峙するプラテン(送りロール)との間に挟持された印刷媒体に対して印刷を行う場合、サーマルヘッドの雰囲気温度が常温よりも高かったり低かったりすると、発熱素子に一定の印加電力を与えたとしても、所定の印刷温度にならず、所望の印刷濃度で印刷することができない。そこで、サーマルヘッドの雰囲気温度を検出し、その検出結果に基づいて、サーマルヘッドへの印加電圧を制御することで、サーマルヘッドの温度(発熱)を調整するようにした印刷装置(印字装置)が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−122227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、通常、プラテンの方がサーマルヘッドよりも熱容量が大であるため、サーマルヘッドを温度コントロールしても、プラテンの温度は高温または低温のままである。そのため、従来の印刷装置では、サーマルヘッドへの印加電圧を制御してサーマルヘッドの温度を調整したとしても、プラテンの高温または低温の影響を受けてしまい、所定の印刷温度で印刷を行うことが困難であった。
【0004】
本発明は、所定の印刷温度で印刷を行うことを可能とする印刷温度制御装置、印刷装置および印刷温度制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷温度制御装置は、サーマルヘッドに対峙するプラテンを介して印刷温度を制御する印刷温度制御装置であって、プラテンを昇温する昇温手段と、プラテンを冷却する冷却手段と、プラテンの温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段の検出結果に基づいて、プラテンが適正温度となるように、昇温手段および冷却手段を選択的に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の印刷温度制御方法は、サーマルヘッドに対峙するプラテンを介して印刷温度を制御する印刷温度制御方法であって、プラテンに、プラテンを昇温する昇温手段、プラテンを冷却する冷却手段およびプラテンの温度を検出する温度検出手段を設け、温度検出手段の検出結果に基づいて、プラテンが適正温度となるように、昇温手段および冷却手段を選択的に制御することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、温度検出手段が検出したプラテンの温度に基づいて、プラテンが適正温度となるように昇温手段および冷却手段が制御される。このため、プラテンが低温または高温である場合にも、昇温手段および冷却手段により昇温(加熱)または冷却(吸熱または放熱)され、プラテンを適正温度にすることができる。したがって、プラテンが高温または低温であるために印刷温度が高温または低温となることがなく、所定の印刷温度で印刷を行うことが可能となる。
【0008】
上記の印刷温度制御装置において、プラテンは、円筒状のプラテン本体と、プラテン本体の外周面に装着したプラテンゴムと、プラテン本体を回転自在に支持するプラテン駆動軸と、プラテン駆動軸を突設したプラテンベースと、を有し、昇温手段、冷却手段および温度検出手段は、プラテンベースに設けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、昇温手段、冷却手段および温度検出手段をコンパクトに取り付けることができると共に、プラテン支軸に支持されたプラテン駆動軸およびプラテンゴムを効率良く昇温または冷却することができる。さらに、この場合、プラテンゴムが適正温度となるため、所定の印刷温度で印刷できることに加えて、印刷媒体に対して適度な摩擦を呈し、空回りすることなく適切に送ることができる。
【0010】
この場合、昇温手段および冷却手段は、いずれも板状に形成され、プラテンベースの裏面に、当該プラテンベース側から昇温手段および冷却手段の順で積層されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、プラテンベース側から冷却手段および昇温手段の順で積層した場合のように、冷却手段のプラテンベースとは反対側が高温となることがないため、冷却手段による熱移動(吸熱または放熱)の効率を向上させることができ、冷却手段を効率良く作動させることができる。
【0012】
また上記の印刷温度制御装置において、プラテンは、円筒状のプラテン本体と、プラテン本体の外周面に装着したプラテンゴムと、を有し、昇温手段および冷却手段は、プラテン本体の内部に収容されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、昇温手段および冷却手段をコンパクトに取り付けることができると共に、プラテンゴムを効率良く昇温または冷却することができる。さらに、この場合、プラテンゴムが適正温度となるため、所定の印刷温度で印刷できることに加えて、印刷媒体に対して適度な摩擦を呈し、空回りすることなく適切に送ることができる。
【0014】
これらの場合、昇温手段は、ヒーターで構成されていることが好ましい。
【0015】
またこれらの場合、冷却手段は、ペルチェ素子で構成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、簡易な構成で昇温手段および冷却手段を実現できると共に、サーマルヘッド廻りの省スペース化を図ることができる。
【0017】
本発明の印刷装置は、上記した印刷温度制御装置と、サーマルヘッドと、プラテンと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、プラテンを適正温度にすることができる印刷温度制御装置を備えたことで、プラテンが高温または低温であるために印刷温度が高温または低温となることがなく、所定の印刷温度で印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明を適用したテーププリンタ(印刷装置)について説明する。このテーププリンタは、サーマルヘッドによりインクリボンを介して印刷テープに印刷画像を印刷した後、印刷済みの部分を切断してテープ片(ラベル)を作成するためのものである。
【0020】
図1に示すように、テーププリンタ1は、印刷テープTに対して印刷処理を行う装置本体2と、印刷テープTおよびインクリボンRを収容し、装置本体2に着脱自在に装着されるテープカートリッジCとを備えている。
【0021】
テープカートリッジCは、上下2分割のカートリッジケース11内に、印刷テープT、インクリボンRおよび後述するプラテン50を構成するプラテンローラ12を収容して構成されている。印刷テープTはテープリール13に巻回され、インクリボンRはリボン繰出しリール14およびリボン巻取りリール15に巻回された状態で、それぞれカートリッジケース11に回転自在に収容されている。また、プラテンローラ12は、後述するサーマルヘッド41を覆うヘッドカバー33が挿し込まれるヘッド挿通開口16に隣接するようにして、カートリッジケース11に回転自在に収容されている。
【0022】
印刷テープTには、テープ幅が異なる複数種(例えば6mm〜36mm)のものが用意されており、インクリボンRの幅もそれに対応したものとなっている。カートリッジケース11の裏面には、小さな複数の被検出孔(図示省略)が形成され、後述するテープ識別センサによってこの複数の被検出孔が識別され、印刷テープTの種別(テープ幅等)を識別できるようになっている。
【0023】
印刷テープTは、裏面に粘着剤が塗布された基材テープT1と、この粘着剤により基材テープT1に貼付された剥離紙T2とが積層して構成されている。一方、インクリボンRは、図示しないが、ポリエチレンテレフタレート等で構成されたリボン基材の表面に感熱転写性インク層を積層し、裏面に、すなわちサーマルヘッド41と接する面に耐熱性を有する背面層を積層した構成となっている。
【0024】
装置本体2は、装置ケース21により外殻が形成され、印刷画像データを入力するためのキーボード22と、入力結果等を表示するディスプレイ23と、印刷テープTおよびインクリボンRを同時に送るテープ送り機構27(図3参照)と、サーマルヘッド41およびプラテン50を有する印刷部24と、印刷後の印刷テープTの切断を行うカッタユニット25と、テーププリンタ1の各部を制御する制御部26(図4参照)と、を備えている。
【0025】
装置ケース21の後半部左上面に設けられた開閉蓋31を開放すると、その内部には、テープカートリッジCが装着されるカートリッジ装着部32が窪入形成されている。カートリッジ装着部32には、その隅部に、複数のマイクロスイッチで構成されたテープ識別センサ(図示省略)が配設されている。また、カートリッジ装着部32には、サーマルヘッド41を回動自在に支持するヘッド支持軸45(図2参照)や、リボン巻取り駆動軸36およびプラテン50を構成するプラテン駆動軸37が立設されている。カートリッジ装着部32の下側空間には、モータや減速ギヤ列等から成るテープ送り機構が内蔵されている。
【0026】
さらに、カートリッジ装着部32には、サーマルヘッド41がヘッドカバー33に覆われて設けられている。テープカートリッジCをカートリッジ装着部32に装着すると、サーマルヘッド41(ヘッドカバー33)がヘッド挿通開口16に挿し込まれる。この状態で、開閉蓋31を閉塞すると、サーマルヘッド41(発熱素子47)と、これに対峙するプラテン50との間に印刷テープTおよびインクリボンRが挟み込まれ、印刷が可能となる(図2参照)。
【0027】
また、このとき、テープカートリッジCのプラテンローラ12およびリボン巻取りリール15が、それぞれカートリッジ装着部32に立設されたプラテン駆動軸37およびリボン巻取り駆動軸36に差し込まれる。そして、印刷テープTとインクリボンRとは、テープ送り機構27によりリボン巻取り駆動軸36およびプラテン駆動軸37を同期回転させることにより、ヘッド挿通開口16の位置で相互に重なり合った状態で走行する。
【0028】
テープ送り機構27は、図示しないが、リボン巻取り駆動軸36およびプラテン駆動軸37をそれぞれ回転させる動力源となるモータと、モータの動力を各駆動軸36,37に伝達する減速ギヤ列と、カートリッジ装着部32の下方に配設され、これらを取り付けたベースフレームとから構成されている。
【0029】
そして、テープ送り機構27により印刷テープTおよびインクリボンRを送ると共に、これに同期して印刷画像のドット情報に基づく駆動パルスを印加してサーマルヘッド41を発熱駆動させると、インクリボンRの感熱転写性インク層から印刷テープTにインクが感熱転写され、印刷画像が印刷テープTに印刷される。このとき、プラテン50の温度が適正温度より高温であると、これとサーマルヘッド41に挟まれた印刷テープTおよびインクリボンRの温度(インクの転写温度)も高温となるため、インク転写量が増えて印刷濃度が濃くなってしまう。逆にプラテン50の温度が適正温度より低温であると、インクの転写温度も低温となるため、インク転写量が減って印刷濃度が薄くなってしまう。そこで、テーププリンタ1では、プラテン50の温度が適正温度となるように制御している(詳細は後述する)。
【0030】
装置ケース21の左側部には、カートリッジ装着部32から印刷テープTを装置外部へ排出するテープ排出口34が形成され、このテープ排出口34に臨んで装置ケース21に内蔵されたカッタユニット25により、印刷テープTの印刷済み部分の後端が切断され、テープ片が得られる。
【0031】
また、図示は省略するが、装置ケース21の右側部には、電源供給のための電源供給口と、パーソナルコンピュータ等の外部装置と接続するためのコネクタとが形成されている。また、装置ケース21の内部には、後述する制御部26を構成する回路基板が搭載されている。
【0032】
図2ないし図4に示すように、印刷部24は、複数の発熱素子47を有するサーマルヘッド41と、サーマルヘッド41に対峙するプラテン50と、プラテン50のベース部となるプラテンベース55の裏面に設けられたセラミックヒーター56およびペルチェ素子40と、プラテンベース55上に組み込まれた温度検出センサ42とから構成されている。
【0033】
サーマルヘッド41は、ヘッド本体43と、ヘッド本体43を支持するヘッドホルダ44とで構成されている。ヘッドホルダ44は、一方の端部でヘッド支持軸45に回動自在に支持されており、図示しないヘッド押圧部材によりヘッドホルダ44がプラテン50側に押圧されると、ヘッドホルダ44がヘッド支持軸45を中心に回動し、ヘッド本体43をプラテン50に押し付けるようになっている。
【0034】
ヘッド本体43は、ヘッドベース46(セラミックベース)と、ヘッドベース46に突設した複数の発熱素子47とを有している。複数の発熱素子47は、ヘッドベース46のヘッド支持軸45から離れた端部に、所定の間隔(例えば300dpi)で上下方向に列設されている。複数の発熱素子47の並び幅は、最も幅広の印刷テープTよりも僅かに大きくなっている。
【0035】
プラテン50は、装置本体2側のプラテン駆動軸37およびこれを支持するプラテンベース55と、プラテン駆動軸37に差し込まれるテープカートリッジC側のプラテンローラ12とで構成されている。プラテン駆動軸37は、プラテンベース55に立設した支軸ピン51と、減速ギヤ列の出力ギヤ28と一体に支軸ピン51に回転自在に支持され、プラテンローラ12と係合する軸係合部52とから成っている。
【0036】
プラテンベース55は、熱伝導率の高い材料(例えばスチール製)で構成され、図示しない断熱材を介してベースフレーム上に固定されており、後述するセラミックヒーター56やペルチェ素子40による昇温・冷却を効率良くプラテン50に伝えると共に、その昇温・冷却が、ベースフレームに逃げにくいようになっている。もちろん、ベースフレーム上に直接プラテン駆動軸37を回転自在に支持するようにしてもよい。
【0037】
一方、プラテンローラ12は、差し込まれたプラテン駆動軸37の軸係合部52と係合する筒状のプラテン本体53と、例えばシリコンゴムで構成され、プラテン本体53の外周面に装着したプラテンゴム54とから成っている。
【0038】
セラミックヒーター56およびペルチェ素子40は、それぞれ板状に形成されており、プラテンベース55の裏面に、プラテンベース55側からセラミックヒーター56およびペルチェ素子40の順で積層されている。ペルチェ素子40は、セラミックヒーター56と接するヒーター面40a(プラテンベース55側の面)が冷却面、その反対側の面40bが加熱面となっている。これによれば、プラテンベース55側からペルチェ素子40およびセラミックヒーター56の順で積層した場合のように、ペルチェ素子40の加熱面がセラミックヒーター56と接することがないため、ペルチェ素子40による熱移動(吸熱または放熱)の効率を向上させることができ、ペルチェ素子40を効率良く作動させることができる。
【0039】
そして、後述する温度制御部67により、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40を選択的に作動させることで、プラテンベース55を昇温および冷却することができる。そして、プラテンベース55が昇温・冷却されることで、その昇温・冷却が、プラテンベース55から支軸ピン51、軸係合部52、プラテン本体53およびプラテンゴム54の順に伝達され、プラテン50全体が昇温・冷却される。
【0040】
なお、セラミックヒーター56を設けずに、ペルチェ素子40だけでプラテン50を昇温および冷却するようにしてもよい。すなわち、ペルチェ素子40に流す電流の極性を切り換え可能な構成とし、冷却面と加熱面とを切り換えるようにしてもよい。
【0041】
このように、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40をプラテンベース55に設けることで、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40をコンパクトに取り付けることができると共に、プラテン50を効率良く昇温・冷却することができる。なお、プラテン50を冷却する冷却手段としては、ペルチェ素子40に限定されるものではなく、例えば、プラテンベース55の裏面側に形成した放熱フィンにより放熱させてもよく、さらに冷却ファンにより強制冷却するようにしてもよい。もっとも、本実施形態のように、ペルチェ素子40を用いることで、簡易な構成で冷却手段を実現できると共に、プラテンベース55廻りの省スペース化を図ることができる。同様に、プラテン50を昇温する昇温手段としては、セラミックヒーター56に限定されるものではないが、セラミックヒーター56を用いることで、簡易な構成で昇温手段を実現できると共に、プラテンベース55廻りの省スペース化を図ることができる。
【0042】
温度検出センサ42は、サーミスタ等で構成されており、プラテンベース55のプラテン50近傍に配設されている。プラテンベース55は、上述したように、熱伝導率の高い材料で構成されている。このため、プラテン50の温度を適切に検出することができる。そして、検出したプラテン50の温度データ(プラテン温度データ)が、温度制御部67に供給される。
【0043】
図4に示すように、テーププリンタ1の制御部26は、CPUやメモリ等で構成されており、機能的には、制御部26全体を統括制御するメイン制御部61と、入力された画像データに基づいて作成した駆動パルスを各発熱素子47に印加するヘッド制御部65と、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40の作動を制御する温度制御部67とを有している。なお、図示しないが、制御部26は、このほか、テープ送り機構27のモータ等を制御するモータ制御部や、ディスプレイ23を制御する表示制御部等の各種制御部を有している。
【0044】
温度制御部67は、温度検出センサ42から出力されたプラテン温度データと、予め設定されたプラテン50の適正温度(例えば20±5℃)に基づく適正温度データとに基づいて、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40との間にそれぞれ設けられたスイッチング素子(図示省略)を切り換え、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40の作動を制御している。なお、特許請求の範囲における「印刷温度制御装置」は、セラミックヒーター56と、ペルチェ素子40と、温度検出センサ42と、温度制御部67とから構成されている。
【0045】
図5に示すように、具体的には、プラテン温度データと適正温度データとを比較して、プラテン温度データが適正温度データの下限値(例えば15℃)よりも低い場合には、セラミックヒーター56側のスイッチング素子をONにすると共にペルチェ素子40側のスイッチング素子をOFFにして、セラミックヒーター56を作動させる(S11)。これにより、プラテン50を昇温する(S12)。一方、プラテン温度データが適正温度データの上限値(例えば25℃)よりも高い場合には、セラミックヒーター56側のスイッチング素子をOFFにすると共にペルチェ素子40側のスイッチング素子をONにして、ペルチェ素子40を作動させる(S13)。これにより、プラテン50を冷却する(S14)。また、プラテン温度データが適正温度データの下限値から上限値の範囲内にあるときは、両スイッチング素子もOFFにして、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40をいずれも作動しない(S15)。
【0046】
これによれば、プラテン50が低温または高温である場合にも、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40により昇温または冷却され、プラテン50を適正温度にすることができる(S16)。したがって、プラテン50が高温または低温であるために印刷温度(インクの転写温度)が高温または低温となることがなく、所定の印刷温度で印刷される(S17)。
【0047】
さらに、この場合、プラテンゴム54が適正温度となるため、所定の印刷温度で印刷できることに加えて、印刷テープT(剥離紙T2)に対して適度な摩擦を呈し、空回りすることなく適切に送ることができる。
【0048】
なお、温度制御部66には、テープ識別センサにより検出されたテープカートリッジCの種別(印刷テープTおよびインクの材質等)に応じた適正温度データを、メイン制御部61から供給するようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態のテーププリンタ1では、プラテン50が、装置本体側のプラテン駆動軸37およびプラテンベース55と、テープカートリッジC側のプラテン本体53およびプラテンゴム54とで構成されているが、通常のサーマルプリンタのように、プラテン50を、装置本体に回転自在に設けた円筒状のプラテン本体53およびその外周面に装着したプラテンゴム54とで構成したものにも本発明を適用可能である。この場合、セラミックヒーター56およびペルチェ素子40をプラテン本体53の内部に収容することが好ましい。
【0050】
以上により、本実施形態のテーププリンタ1によれば、プラテン50を適正温度にすることができるため、プラテン50が高温または低温であるために印刷温度が高温または低温となることがなく、所定の印刷温度で印刷を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、サーマルヘッド41によりインクリボンRを介して印刷テープTに印刷を行う場合について説明したが、サーマルヘッド41により感熱紙等に印刷を行う場合にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係るテーププリンタの開閉蓋を開放した状態の全体斜視図である。
【図2】テーププリンタのサーマルヘッド廻りの平面図である。
【図3】テーププリンタのプラテン廻りの縦断面図である。
【図4】テーププリンタの制御ブロック図である。
【図5】テーププリンタの温度制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…テーププリンタ 37…プラテン駆動軸 40…ペルチェ素子 41…サーマルヘッド 42…温度検出センサ 50…プラテン 53…プラテン本体 54…プラテンゴム 55…プラテンベース 56…セラミックヒーター 67…温度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドに対峙するプラテンを介して印刷温度を制御する印刷温度制御装置であって、
前記プラテンを昇温する昇温手段と、
前記プラテンを冷却する冷却手段と、
前記プラテンの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出結果に基づいて、前記プラテンが適正温度となるように、前記昇温手段および前記冷却手段を選択的に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする印刷温度制御装置。
【請求項2】
前記プラテンは、円筒状のプラテン本体と、前記プラテン本体の外周面に装着したプラテンゴムと、前記プラテン本体を回転自在に支持するプラテン駆動軸と、前記プラテン駆動軸を突設したプラテンベースと、を有し、
前記昇温手段、前記冷却手段および前記温度検出手段は、前記プラテンベースに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷温度制御装置。
【請求項3】
前記昇温手段および前記冷却手段は、いずれも板状に形成され、
前記プラテンベースの裏面に、当該プラテンベース側から前記昇温手段および前記冷却手段の順で積層されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷温度制御装置。
【請求項4】
前記プラテンは、円筒状のプラテン本体と、前記プラテン本体の外周面に装着したプラテンゴムと、を有し、
前記昇温手段および前記冷却手段は、前記プラテン本体の内部に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷温度制御装置。
【請求項5】
前記昇温手段は、ヒーターで構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷温度制御装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、ペルチェ素子で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷温度制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷温度制御装置と、
前記サーマルヘッドと、
前記プラテンと、を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
サーマルヘッドに対峙するプラテンを介して印刷温度を制御する印刷温度制御方法であって、
前記プラテンに、前記プラテンを昇温する昇温手段、前記プラテンを冷却する冷却手段および前記プラテンの温度を検出する温度検出手段を設け、
前記温度検出手段の検出結果に基づいて、前記プラテンが適正温度となるように、前記昇温手段および前記冷却手段を選択的に制御することを特徴とする印刷温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−253405(P2007−253405A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79328(P2006−79328)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】