説明

印刷物及びその製造方法

【課題】独特な表面の意匠性を有し、安価で簡易に意匠性を付与することのできる印刷物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】紙基材11の表面に撥液性のインキによる下刷り層13を設け、下刷り層13上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤によるオーバーコート層14を設けたことにより、表面に不規則な凹凸を有する印刷物10及びこのような製造方法により、上記課題を解決する。紙基材11の表面の一部に印刷層12を設け、下刷り層13は紙基材11における印刷層12を有しない位置又は印刷層12上に設けることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷物及びその製造方法に関し、特に、独特な表面の意匠性を有する印刷物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装容器、包装材料、出版物、宣伝物等の印刷物においては、表面に印刷や凹凸で模様が設けられているものがあり、特に、包装容器や包装材料の場合には、消費者の購買意欲をその商品に向けさせるために、そうした模様において差別化された高い意匠性が要求されている。包装材料等に意匠性の高い模様を形成する手法としては、予め決められた模様を印刷をしたり、エンボス装置等により凹凸を形成する手法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、意匠性の高い模様等が付された印刷物としては種々のものが知られているが、印刷する模様のデザインを考案する必要があったり、凹凸を形成するために大規模な装置が必要になる場合があり、意匠性の高い模様等が付された印刷物を作製するためには大きな手間やコストがかかっていた。
【0004】
そこで、本発明は、独特な表面の意匠性を有し、安価で簡易に意匠性を付与することのできる印刷物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の印刷物は、紙基材の表面に撥液性のインキによる下刷り層を設け、前記下刷り層上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤によるオーバーコート層を設けたことにより、表面に不規則な凹凸を有することを特徴とする。
【0006】
これによれば、表面に不規則な凹凸を有することにより、ざらざらとした触感を有し、凹凸感のある独特な表面の意匠性を有する印刷物を提供することができる。また、下刷り層やオーバーコート層は、従来公知の印刷方法や塗布方法により形成することができるため、印刷物の製造工程も簡易なものとなり、製造コストが上昇することを防止できる。
【0007】
上記本発明の印刷物において、前記紙基材の表面の一部に印刷層を設け、前記下刷り層は前記紙基材における前記印刷層を有しない位置又は前記印刷層上に設けられたことを特徴とする。
【0008】
これによれば、紙基材に絵柄や表示等の印刷層が設けられ、当該印刷層上はコーティング剤によるオーバーコート層により艶のあるグロス部分となるとともに、他の位置にこれとは対照的に不規則な凹凸を有する印刷物を提供できる。このように、凹凸部分と他の印刷部分が対照的であり、優れた意匠性を有する印刷物を提供することができる。また、印刷層上に下刷り層及びオーバーコート層を設け、印刷層上の表面に不規則な凹凸を形成することもできる。
【0009】
上記課題を解決する本発明の印刷物の製造方法は、紙基材の表面に撥液性のインキによる下刷り層を設ける工程、前記下刷り層上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤をオーバーコートする工程、を有することにより、表面に不規則な凹凸を有することを特徴とする印刷物の製造方法である。
【0010】
これによれば、表面に不規則な凹凸を有することにより、ざらざらとした触感を有し、凹凸感のある独特な表面の意匠性を有する印刷物を提供することができる。また、下刷り層やオーバーコート層は、従来公知の印刷方法や塗布方法により形成することができるため、印刷物の製造工程も簡易なものとなり、製造コストが上昇することを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の印刷物及びその製造方法によれば、特にデザインを検討する必要なく、ランダムな凹凸を有する極めて意匠性の高い印刷物を提供することができる。また、下刷り層やオーバーコート層は、従来公知の印刷方法や塗布方法により形成することができるため、印刷物の製造工程も簡易なものとなり、製造コストが上昇することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の印刷物及びその製造方法について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図3は、本発明の印刷物の構成を示す概略断面図である。図1は紙基材の全面を不規則な凹凸を有する印刷物とした場合の例を示し、図2は紙基材の一部に絵柄等の印刷層を設けてその他の位置を不規則な凹凸を有する印刷物とした場合の例を示し、図3は紙基材の一部に絵柄等の印刷層を設けて当該印刷層上も含めた紙基材の全面を不規則な凹凸を有する印刷物とした場合の例を示す。なお、図4乃至図6は、実施例に関するため後述する。
【0013】
本発明の印刷物10の一の例は、図1(a)に示すように、まず、紙基材11の表面全面に撥液性インキによる下刷り層13をべた塗りで設ける。そして、下刷り層13の表面上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤からなるオーバーコート層14をべた塗りで設ける。この時、図1(b)に示すように、本発明の印刷物10は、下刷り層13を設けた部分において、上に加工されたオーバーコート層14を形成するためのコーティング剤がはじかれて凹凸感のあるマット加工部分となり、独特の凹凸部分21となる。
【0014】
一方、本発明の印刷物10の他の例は、図2(a)に示すように、まず、紙基材11の表面の一部に絵柄等の印刷層12を設け、次に、凹凸を表現する部分、すなわち印刷層12を設けていない紙基材11の素材の部分に下刷り層13をべた塗りで設ける。そして、印刷層12及び下刷り層13の表面上にコーティングによりオーバーコート層14をべた塗りで設ける。この時、図2(b)に示すように、本発明の印刷物10は、下刷り層13を設けた部分において、上に加工されたオーバーコート層14を形成するためのコーティング剤がはじかれて凹凸感のあるマット加工部分となり独特の凹凸部分21となる。また、下刷り層13を設けていない印刷層12の部分が、そのまま艶加工部分22となる。
【0015】
本発明の印刷物10を構成する紙基材11、印刷層12、下刷り層13及びオーバーコート層14の各層について説明する。
【0016】
紙基材11としては、板紙を主とする紙が用いられ、例えば、カード紙、アイボリー紙、蒸着紙、アルミペースト紙、ポリラミ紙、特板、コートマニラボール、コートボール等があげられる。基材11の厚さ、秤量値は、特に限定されないが、通常、厚さ200〜800μm程度であり、秤量値180〜600g/m程度である。
【0017】
紙基材11の表面に設けられる印刷層12は、絵柄、表示などがべた塗り又はパターンで印刷された層であり、本発明の印刷物10においては任意に設けられる。印刷層12を形成するインキとしては、従来公知のインキが用いられ、特に限定されないが、電子線硬化型インキや紫外線硬化型インキが製造上好ましく用いられる。印刷層12の印刷方法も、従来公知の印刷方法が用いられ、特に限定されないが、上記インキを使用したオフセット印刷(平版印刷)が好ましく用いられる。印刷層12の厚さは、特に限定されないが、通常、0.5〜1.5μm程度とする。
【0018】
紙基材11の表面にべた塗り又はパターンで設けられる下刷り層13は、後述するオーバーコート層14によりランダムな凹凸を形成し意匠性高く表現する地となる層である。下刷り層13は、図1に示すように印刷層12が設けられない場合には全面にべた塗りで設けることもできるし、図2に示すように印刷層12が設けられていない部分のみパターンで設けることもできるし、図3に示すように印刷層12が設けられている部分を含めて全面にべた塗りで設けることもできる。この下刷り層13が設けられた部分によりオーバーコート層14を形成するためのコーティング剤がはじかれて独特な風合いを有する凹凸部分21となる(図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4参照)。また、印刷物10が印刷層12を有し、その上に下刷り層13を設けない場合には、印刷層12の上は艶加工部分22となり、両部分21、22の対比が著しい独特な印刷加工物10とすることができる(図2(b)、図4参照)。
【0019】
下刷り層13を形成するインキとしては、撥液性を有するインキが用いられる。撥液性を有するインキは、少なくとも、後述するコーティング剤をはじく性質を有することが必要とされる。下刷り層13にはこのようなインキを用いれば、特に限定されないが、電子線硬化型又は紫外線硬化型のインキを用いることが好ましい。下刷り層13を形成するインキは、剥離性を付与するために、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合した主剤に、ポリエチレンワックス、反応性シリコーンを助剤として主剤に対して0〜10質量%加えたものである。
【0020】
ポリマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(以下、「メチルアクリレート」と「メチルメタクリレート」とを、「(メタ)アクリレート」と表記する。以下、同様。)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレンの如き1分子中に1個の重合性ビニル基を有する、いわゆる単官能モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き1分子中に2個の重合性ビニル基を有する、いわゆる2官能のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの如き1分子中に3個以上の重合性ビニル基を有する、いわゆる多官能モノマー、などがあげられる。
【0021】
さらに、オリゴマーとして、不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを用いることもできる。
【0022】
光重合開始剤として特に制約を設ける必要はないが、重合性の組成物に溶解可能な物質が好ましく、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。そのような光重合開始剤としては、例えば、p−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾイン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、などがあげられる。
【0023】
また、光重合開始剤に光増感剤を併用しても差し支えない。このような光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、n−ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0024】
下刷り層13用のインキとしては、この他に油性インキ等を使用することができる。
【0025】
下刷り層13の形成方法は、特に限定されないが、オフセット印刷(平版印刷)、活版印刷等を用いることができる。下刷り層13は、基材11上に乾燥膜圧で1〜10g/mの範囲となるような塗布量で設けることが好ましい。下刷り層13の厚さも、特に限定されないが、印刷層12が設けられる場合には当該印刷層12と同様とし、通常、0.5〜1.5μm程度とする。下刷り層13を塗布又は印刷により設けた後、下刷り層13に電子線硬化型又は紫外線硬化型のインキを用いた場合には、電子線照射又は紫外線照射により硬化させ、このようなインキを用いない場合には、下刷り層13を乾燥により硬化させる。
【0026】
オーバーコート層14は、下刷り層13によりはじかれ、不規則な凹凸のある状態で硬化して、凹凸部分21となる。なお、オーバーコート層14は、印刷層12上に直接設けられた場合には、艶加工部分22となる。オーバーコート層14は、印刷層12又は下刷り層13上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤がべた塗り又はパターンでオーバーコートされて設けられた層である。
【0027】
オーバーコート層14に使用するコーティング剤は、電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤であり、下刷り層13の上にコーティングされた場合に、ハジキ現象を生じるものであれば特に制限はなく、この目的に合致したコーティング剤を適宜選択すればよい。このような電子線又は紫外線硬化型のコーティング剤としては、下刷り層13について説明したインキの主剤と同様に、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合したものである。さらに、これに助剤として表面調整剤等を加えたものを使用する。表面調整剤としては、セルロース系のレベリング剤及び天然ワックス系の滑剤などがある。オーバーコート層14の塗布方法は、特に限定されないが、ロールコーター、チャンバーコーター等により塗布することができる。オーバーコート層14は、硬化後の塗布量で約3〜20g/mとなるような量で設けることが好ましい。
【0028】
このようにして、印刷層12を有する場合も有しない場合も、下刷り層13を全面に設けた場合には、オーバーコート層14において、表面に不規則な凹凸部分21を有する印刷物10を作製することができる。印刷層12を有し、これ以外の位置に下刷り層13を設けた場合には、オーバーコート層14において、艶加工部分22と表面に不規則な凹凸部分21との両部分を有し、両部分の対比が著しい独特な印刷物10を作製することができる。具体的に、下刷り層13はオーバーコート剤をはじく性質を有しているため、印刷物10の表面のオーバーコート層14は、コーティング剤がはじかれた層の薄い部分や、はじかれたコーティング剤が盛り上がった層の厚い部分を不規則に有しており、ざらざらとした触感を有し、凹凸感のあるマット部分を有することとなる。
【0029】
本発明の印刷物10の製造方法は、上述のように、紙基材11の表面に撥液性のインキによる下刷り層13をべた塗りで設ける工程、前記下刷り層13上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤をべた塗りでオーバーコートする工程、を有する。また、本発明の印刷物10の製造方法において、印刷層12の形成工程は、任意に有する。印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14は、それぞれ別の工程で形成することもできるが、オフセット印刷機により一工程で加工することができる。このオフセット印刷では、印刷ユニット、紫外線照射装置又は電子線照射装置に加えて、コーターユニット、紫外線照射装置又は電子線照射装置を設置する。このようなユニット及び装置を有するオフセット印刷機によって、印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14を一工程で設けることができる。このように、印刷物10における不規則な凹凸部分21は、特にデザインを考案することなく、それぞれべた塗りやパターンの印刷工程又は塗布工程で形成することができる。そのため、独特の模様を有する印刷物10を作製するための手間が煩雑とならず、コストを安価に抑えることができる。
【0030】
なお、本発明における印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14の電子線硬化型又は紫外線硬化型のインキあるいはコーティング剤を硬化させる方法としては、電子線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の種々の電子線、放射線等を照射可能な装置を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。また、紫外線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の紫外線照射装置(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等)を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。
【0031】
また、本発明の印刷物10は、紙基材11の表面に下刷り層13及びオーバーコート層14を設けているため、十分な表面強度を有しており、包装容器にも対応することができる。本発明の印刷物10の用途としては、特に限定されず、上述の包装容器や包装材料の他、出版物、宣伝物、文具類、保護材等に用いることができる。
【実施例】
【0032】
(実施例)
紙を供給するフィーダー、印刷ユニット、紫外線照射装置、最終ユニットとしてUVコーターユニットの設置されたオフセット印刷機を用いて一工程で本発明の印刷物10を製造した。
【0033】
基材11として板紙(コートボール310g/m)を用い、基材11上に絵柄となる印刷層12をオフセット印刷した。具体的に、フィーダーから供給された基材11に、印刷ユニットにおいて5色を印刷した。印刷層12用のインキは、下記の組成のUVカルトンインキ(株式会社ザ・インクテック製)を使用し、層厚は1.0μm程度であった。
有機顔料 15〜25質量%
感光性樹脂 40〜50質量%
感光性モノマー 15〜25質量%
光重合開始剤 5〜10質量%
【0034】
つぎに、印刷層12が設けられていない位置に下刷り層13を印刷した。下刷り層13はオフセット印刷により行い、印刷ユニットの6色目を用いた。下刷り層13用のインキは下記の組成のメジュームインキ(株式会社ザ・インクテック製)を使用し、層厚は1.0μm程度であった。この印刷層12と下刷り層13の印刷の後、紫外線照射装置を用いて各層12、13を乾燥硬化させた。
体質顔料(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、有機フィラー等) 1〜35質量%
ポリエステル樹脂 15〜25質量%
アクリルエステルオリゴマーモノマー 50〜75質量%
光開始剤 5〜10質量%
ポリエチレンワックス 1〜2質量%
反応性シリコーン 5〜10質量%
【0035】
つづいて、印刷層12及び下刷り層13上に、オーバーコート層14を形成した。オーバーコート層14の加工は、最終ユニットのUVコーターユニットで行い、コーティング剤としては、下記の組成のUVクリヤーコートニス(株式会社ザ・インクテック製)を使用し、塗布量は12g/m程度であった。このオーバーコート層14の加工後、紫外線照射装置を用いてオーバーコート層14を乾燥硬化させた。
感光性樹脂 45〜55質量%
感光性モノマー 15〜25質量%
光重合開始剤 5〜10質量%
添加剤 5質量%未満
【0036】
このように、オフセット印刷機の最終ユニットにおいてオーバーコート層14を加工することによって、下刷り層13の部分は、オーバーコート層14がはじかれた状態の凹凸感のあるマット調の凹凸加工部分21となり、下刷り層13を設けない部分はオーバーコート層14の光沢をそのまま有する艶加工部分22となる実施例の印刷物を得ることができた。
【0037】
実施例の印刷物について、凹凸加工部分21と艶加工部分22との境目近傍の表面写真を撮影した。撮影した拡大表面写真を図4(a)(白線部分が500μm)に示し、当該表面写真における凹凸加工部分21を更に拡大した写真を図4(b)(白線部分が100μm)に示す。また、実施例の印刷物について、凹凸加工部分21の断面写真を撮影した。撮影した拡大断面写真を図5(a)(白線部分が100μm)に示し、当該断面写真における凹凸加工部分21を更に拡大した写真を図5(b)(白線部分が50μm)に示す。また、実施例の印刷物について、艶加工部分22の断面写真を撮影した。撮影した拡大断面写真を図6(a)(白線部分が100μm)に示し、当該断面写真における艶加工部分22を更に拡大した写真を図6(b)(白線部分が50μm)に示す。
【0038】
図4(a)及び図4(b)の写真に示すように、凹凸加工部分21は不規則な模様を形成している。特に図5(a)と図6(a)の写真を比較してみるとわかるように、図5(a)の凹凸加工部分21ではオーバーコート層14の表面が不規則な凹凸になっているのに対し、図6(a)の艶加工部分22ではオーバーコート層14の表面が平坦な面になっている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る印刷物の断面図である。
【図2】本発明に係る他の印刷物の断面図である。
【図3】本発明に係るさらに他の印刷物の断面図である。
【図4】本実施例に係る印刷物の表面写真及びその拡大写真である。
【図5】本実施例に係る印刷物の凹凸加工部分における断面写真及びその拡大写真である。
【図6】本実施例に係る印刷物の艶加工部分における断面写真及びその拡大写真である。
【符号の説明】
【0040】
10 印刷物
11 基材(コート紙)
12 印刷層
13 下刷り層
14 オーバーコート層
21 凹凸加工部分
22 艶加工部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の表面に撥液性のインキによる下刷り層を設け、
前記下刷り層上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤によるオーバーコート層を設けたことにより、表面に不規則な凹凸を有することを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記紙基材の表面の一部に印刷層を設け、前記下刷り層は前記紙基材における前記印刷層を有しない位置又は前記印刷層上に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
紙基材の表面に撥液性のインキによる下刷り層を設ける工程、
前記下刷り層上に電子線硬化型又は紫外線硬化型のコーティング剤をオーバーコートする工程、
を有することにより、表面に不規則な凹凸を有することを特徴とする印刷物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−276326(P2007−276326A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107212(P2006−107212)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】