説明

印刷装置、コンピュータプログラム及び印刷方法

【課題】ユーザの多様な要望に応え、コピー元のマスターディスクのラベル面の原画像を、印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域に印刷することが可能な印刷装置、コンピュータプログラム及び印刷方法を提供すること。
【解決手段】CPUは、ディスク1、2の大きさ情報を取得する。また、CPUは、ディスク1の原画像の印刷を、ディスク2の印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、という印刷基準の選択を受け付ける。また、CPUは、大きさ情報と印刷基準情報とに基づいて、原画像のデータを画像処理して印刷データを生成し、ディスク2に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー元のマスターディスクのラベル面の原画像を、印刷対象であるCD−R等のディスクのラベル面に印刷するための印刷装置、コンピュータプログラム及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD−R/RWやDVD±R/RWといった書き込み可能なディスクの普及に伴い、個人でもディスクのラベル面に画像を印刷する機会が増えている。例えば、コピー元のマスターディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象のディスクのラベル面に印刷する場合がある。その場合、マスターディスクのラベル面における印刷領域の大きさと、印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域の大きさとが異なることがある。そのため、マスターディスクのラベル面の原画像をそのまま印刷したのでは、印刷対象のディスクのラベル面に不測の余白が生じたり、印刷可能領域外に印刷されたりする問題があった。
【0003】
これに対し、マスターディスクのラベル面の原画像をユーザによる手入力で拡大、縮小して、印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域に合わせる技術がある。また、特許文献1には、印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域に合わせて、マスターディスクのラベル面の原画像を切り出す処理、拡大、縮小する処理を印刷装置が自動で行う構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−122583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される構成は、拡大、縮小する処理を印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域の外円に合わせて行うのみであるため、ユーザの多様な要望に応えるには不十分であった。また、切り出す処理、拡大、縮小する処理の具体的な実現方法については、開示されていない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑み提案されたものである。本発明は、ユーザの多様な要望に応え、コピー元のマスターディスクのラベル面の原画像を、印刷対象のディスクのラベル面における印刷可能領域に印刷することが可能な印刷装置、コンピュータプログラム及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る印刷装置は、読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷する印刷装置であって、前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納する大きさ情報取得手段と、ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納する印刷基準決定手段と、前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行う印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る印刷装置は、請求項1の印刷装置において、前記データ生成手段は、前記画像処理において、前記印刷領域の外円直径と内円直径との比の値が前記印刷可能領域の外円直径と内円直径との比の値よりも大きい場合に、前記原画像のデータのうち前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷において前記印刷可能領域外に印刷されるデータを印刷しないようにする第1データ処理と、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合するように拡大、縮小する第2データ処理と、を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る印刷装置は、請求項2の印刷装置において、前記データ生成手段は、前記第1データ処理を前記第2データ処理よりも先に行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る印刷装置は、請求項1乃至3のいずれかの印刷装置において、前記原画像を読み取るスキャナと、前記第2メディアディスクを検出するセンサと、を備え、前記大きさ情報取得手段は、前記スキャナの読取結果及び前記センサの検出結果に基づいて、前記大きさ情報を取得することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係るコンピュータプログラムは、読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷するよう、印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納するステップと、ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納するステップと、前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するステップと、生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行うステップと、を備えて、前記印刷装置を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る印刷方法は、印刷装置が、読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷する印刷方法であって、前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納するステップと、ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納するステップと、前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するステップと、生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行うステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る印刷装置によれば、ユーザは、煩雑な手続きをすることなく、その好みや原画像の内容に応じて、第2メディアディスクのラベル面に印刷する原画像の範囲を選択して印刷することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る印刷装置によれば、第1メディアディスクのラベル面における印刷領域と、第2メディアディスクのラベル面における印刷可能領域との間で、外円直径と内円直径との比が異なる場合にも、印刷可能領域に合わせて印刷することができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る印刷装置によれば、第1データ処理によりデータ量を軽減してから第2データ処理を行うことになるため演算が軽くなり、処理速度の向上やメモリ容量の節約を図ることができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る印刷装置によれば、ユーザに対して各メディアディスクの大きさを計測して手入力する手間を省き、ユーザの負担を軽減することができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に係るコンピュータプログラムまたは請求項6に係る印刷方法としても本発明は構成可能であり、上述した請求項1乃至4のいずれかに係る印刷装置と同様の効果が得られる。
【0018】
本発明に係る印刷装置、コンピュータプログラム及び印刷方法によれば、コピー元のマスターディスクとしての第1メディアディスクのラベル面の原画像を、印刷対象のディスクとしての第2メディアディスクのラベル面における印刷可能領域に自動で合わせるとともに、ユーザの好みに応じて印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本発明の印刷装置の一例として、多機能機10を示す外観図である。多機能機10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、電話機能などを有する。図1に示されるように、多機能機10の上面前方には、表示パネル50及びキーパッド52が設けられている。表示パネル50はタッチパネルディスプレイであり、ユーザがタッチした位置の座標を検出することができる。キーパッド52は、複数のキーによって構成される。ユーザは、表示パネル50、キーパッド52を介して、様々な指示を多機能機10に入力することができる。また、多機能機10の前面上方には、スロット部60が設けられている。スロット部60にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによって、当該記憶媒体に記憶された画像データ等を印刷することが可能である。また、多機能機10の内部には、プリントヘッドを搭載したプリントキャリッジを駆動するためのプリントキャリッジモータ、スキャナセンサを搭載したスキャナキャリッジを駆動するためのスキャナキャリッジモータなどが備えられている。
【0020】
図2は、多機能機10の構成を示すブロック図である。多機能機10は、制御部20、表示パネル50、キーパッド52、印刷部30、スキャン部40、FAX部54、ネットワークインターフェイス56、PSTNインターフェイス58、スロット部60などを備えて構成される。
【0021】
制御部20は、CPU22、ROM24、RAM26、NVRAM28などを有する。CPU22は、ROM24に記憶されているプログラムに従って様々な処理を実行する。CPU22が実行する処理については、後で詳しく説明する。ROM24は、多機能機10の動作を制御するためのプログラムを記憶している。RAM26は、プログラムに従って処理が実行される過程で生成される各種データ、例えば、表示パネル50に表示される表示データ、メディアに印刷される印刷データ、などを記憶している。NVRAM28は、CPU22がプログラムに従って処理を実行する際に利用される各種パラメータ、例えば、印刷設定、スキャン設定、などを記憶している。
【0022】
印刷部30は、プリントヘッド32、プリントキャリッジモータ34、メディアセンサ36などを有する。プリントヘッド32は、制御部20の指示によってインクを吐出する。プリントキャリッジモータ34は、プリントヘッド32を搭載したプリントキャリッジを駆動する。メディアセンサ36は、プリントヘッド32とともにプリントキャリッジに搭載され、印刷対象メディアを検出する。
【0023】
スキャン部40は、スキャナセンサ42、スキャナキャリッジモータ44などを有する。スキャナセンサ42は、読取対象メディアから画像データを読み取ることが可能である。スキャナキャリッジモータ44は、スキャナセンサ42を搭載したスキャナキャリッジを駆動する。
【0024】
ネットワークインターフェイス56は、LAN回線70に接続されている。多機能機10は、LAN回線70に接続されるパーソナルコンピュータと通信可能であるとともに、インターネットにアクセス可能である。PSTNインターフェイス58は、図示省略しているPSTN(Public Switched Telephone Network)に接続されている。PSTNは、FAX通信や電話通信を行う際に利用される。
【0025】
上記のように構成された多機能機10は、読取対象である音楽CD、レコード、DVD、データCDなどのマスターディスク(以下、ディスク1とする。)のラベル面から読み取った原画像を、印刷対象であるCD−R/RWやDVD±R/RWといったディスク(以下、ディスク2とする。)のラベル面に印刷する。図3乃至図7のフローチャートを参照して、多機能機10の印刷処理を説明する。
【0026】
図3のS101において、CPU22は、ディスク1、2がセットされているか否かを判断する。具体的には、CPU22は、スキャナセンサ42を利用してディスク1がスキャン用フラットベッドにセットされているか否かを判断し、メディアセンサ36を利用してディスク2が印刷用トレイにセットされているか否かを判断する。ディスク1、2がセットされていない場合(S101:NO)、CPU22は、S102において、ディスクをセットするようユーザに通知し、S101に戻る。なお、S102の通知は、例えば、表示パネル50へのメッセージの表示、エラー音の出力、などで行われる。
【0027】
一方、ディスク1、2がセットされている場合(S101:YES)、CPU22は、S103において、ディスク1のラベル面の原画像の印刷を、ディスク2のラベル面の印刷可能領域の外円を基準に行う(外円合わせ)か、内円を基準に行う(内円合わせ)か、という印刷基準の選択を受け付ける。ユーザは、例えば、表示パネル50に表示されるタッチパネルボタンにより印刷基準を選択して、入力することができる。CPU22は、印刷基準の選択を受け付けると、その印刷基準情報をRAM26に格納する(S104)。
【0028】
S105において、CPU22は、スキャナセンサ42を利用してディスク1のラベル面における原画像の印刷領域の外円直径R1、内円直径r1を算出するとともに、メディアセンサ36を利用してディスク2のラベル面における印刷可能領域の外円直径R2、内円直径r2を算出する。具体的には、CPU22は、スキャン用フラットベッドにセットされたディスク1のラベル面をスキャナセンサ42でスキャンしたデータについて、エッジ検出、2値化、円の中心検出などの処理を行うことで、ディスク1のラベル面における印刷領域の外円直径R1、内円直径r1を算出することができる。また、CPU22は、メディアセンサ36の発光部からディスク2のラベル面に光を照射し、その反射光をメディアセンサ36の受光部で検出する。ディスク2のラベル面の印刷可能領域は反射率の高い白色であり、印刷用トレイは反射率の低い黒色であるため、ディスク2の一端から中心を通ってディスク2の他端まで検出することで、印刷可能領域の外円直径R2、内円直径r2を算出することができる。CPU22は、S105で算出したディスク1、2の大きさ情報、すなわち(R1、r1、R2、r2)をRAM26に格納する(S106)。このように、ディスク1、2の大きさ情報を、スキャナセンサ42とメディアセンサ36とによって自動で算出するため、様々なディスクに対応できるとともに、ユーザ自身がディスク1、2の大きさを計測して手入力する手間を省き、ユーザの負担を軽減することができる。
【0029】
S107において、CPU22は、RAM26に格納されている印刷基準情報に基づいて、外円合わせか否かを判断する。外円合わせである場合(S107:YES)、CPU22は、S108において、ディスク2に印刷する印刷データの外円直径R1a、内円直径r1aを、R1a=R2、r1a=(R2/R1)×r1により算出する。一方、外円合わせでない場合(S107:NO)、CPU22は、S109において、印刷データの外円直径R1a、内円直径r1aを、R1a=(r2/r1)×R1、r1a=r2により算出する。
【0030】
ここで、S108、S109の算出式について説明する。外円合わせの場合、印刷データの外円直径R1aを、ディスク2の外円直径R2に等しくするため、R1a=R2(式1)とする。一方、外円合わせでない、すなわち内円合わせの場合、印刷データの内円直径r1aを、ディスク2の内円直径r2に等しくするため、r1a=r2(式2)とする。また、ディスク1のラベル面から読み取った原画像の外円直径と内円直径との比率を保持するため、R1/r1=R1a/r1a(式3)とする。したがって、外円合わせである場合のS108における算出式は、式1と式3とからR1a=R2、r1a=(R2/R1)×r1となり、内円合わせである場合のS109における算出式は、式2と式3とからR1a=(r2/r1)×R1、r1a=r2となる。CPU22は、S108またはS109で算出した印刷データの大きさ情報、すなわち(R1a、r1a)をRAM26に格納する(S110)。
【0031】
その後の処理は、ページ単位で行うか、バンド単位で行うか、によって2通りに分かれる。すなわち、多機能機10は、1ページ分の印刷データをページ単位でまとめて印刷すること、または、1ページ分の印刷データをバンド単位で区切って印刷すること、の2通りの処理が可能である。まず、図4を参照して、ページ単位で行う場合を説明する。S201において、CPU22は、RAM26に格納されている印刷データの大きさ情報(R1a、r1a)を読み出し、ディスク1の原画像を(R1a、r1a)の大きさに拡大/縮小するデータ処理を行う。なお、原画像のデータとしては、S105でディスク1のラベル面をスキャナセンサ42でスキャンしたデータを保持して用いることができる。
【0032】
S202において、CPU22は、r1a<r2であるか否かを判断する。r1a<r2である場合(S202:YES)、CPU22は、S203において、S201で処理されたデータのうちr1aとr2で囲まれた領域をマスキング処理する。マスキング処理については、後で詳しく説明する。一方、r1a<r2でない場合(S202:NO)、CPU22は、S203のマスキング処理を行わない。S204において、CPU22は、R1a>R2であるか否かを判断する。R1a>R2である場合(S204:YES)、CPU22は、S205において、S201で処理されたデータのうちR1aとR2で囲まれた領域をマスキング処理する。一方、R1a>R2でない場合(S204:NO)、CPU22は、S205のマスキング処理を行わない。
【0033】
ここで、S202〜S205の処理について、図8、図9を参照して、具体的に説明する。多機能機10がディスク1の原画像をディスク2に印刷する際、ディスク1のラベル面における印刷領域と、ディスク2のラベル面における印刷可能領域との間で、外円直径と内円直径との比が異なる場合がある。
(1)R1/r1<R2/r2の場合
図8(A)、(B)に示されるように、ディスク1の印刷領域の外円直径R1と内円直径r1との比の値R1/r1がディスク2の印刷可能領域の外円直径R2と内円直径r2との比の値R2/r2よりも小さい、すなわちR1/r1<R2/r2の場合に、外円合わせ、内円合わせにより印刷データを生成した結果をそれぞれ図8(C)、(D)に示す。この場合は、図8(C)、(D)に示されるように、外円合わせであれば内側に、内円合わせであれば外側に、印刷されない領域(斜線)ができることになる。
(2)R1/r1>R2/r2の場合
図9(A)、(B)に示されるように、ディスク1の印刷領域の外円直径R1と内円直径r1との比の値R1/r1がディスク2の印刷可能領域の外円直径R2と内円直径r2との比の値R2/r2よりも大きい、すなわちR1/r1>R2/r2の場合に、外円合わせ、内円合わせにより印刷データを生成した結果をそれぞれ図9(C)、(D)に示す。この場合は、図9(C)、(D)に示されるように、外円合わせであれば内側に、内円合わせであれば外側に、印刷データがはみ出すことになる。そのため、印刷可能領域外に印刷されるデータを印刷しないようにするマスキング処理を行う必要がある。ここで、マスキング処理としては、例えば、インクを吐出しない白色データで不要なデータを覆う処理、不要なデータを削除する処理、が挙げられる。R1/r1>R2/r2で外円合わせの場合、S202においてr1a<r2となるため、S203のマスキング処理を行う。R1/r1>R2/r2で内円合わせの場合、S204においてR1a>R2となるため、S205のマスキング処理を行う。これにより、ディスク1のラベル面における印刷領域と、ディスク2のラベル面における印刷可能領域との間で、外円直径と内円直径との比が異なる場合にも、印刷可能領域に合わせて印刷データを生成することができる。
CPU22は、S202〜S205の処理を終えたデータを、印刷データとしてRAM26に格納する(S206)。
【0034】
S207において、CPU22は、S206でRAM26に格納した印刷データに基づいて、ディスク2のラベル面への印刷を行い、印刷処理を終了する。
【0035】
続いて、図5を参照して、バンド単位で行う場合を説明する。S301において、CPU22は、全バンドの印刷が終了したか否かを判断する。全バンドの印刷が終了していない場合(S301:NO)、CPU22は、S302において、RAM26に格納されている印刷データの大きさ情報(R1a、r1a)を読み出し、ディスク1の原画像を現在のバンド部分だけ抜き出して(R1a、r1a)の大きさに拡大/縮小するデータ処理を行う。そして、CPU22は、S303〜S306において、先に図4で説明したページ単位処理におけるS202〜S205と同様の処理を、現在のバンド部分について行う。CPU22は、S303〜S306の処理を終えたデータを、バンド単位の印刷データとしてRAM26に格納する(S307)。
【0036】
S308において、CPU22は、S307でRAM26に格納したバンド単位の印刷データに基づいて、ディスク2のラベル面への印刷を行う。S308の印刷を終えると、CPU22は、RAM26からバンド単位の印刷データをクリアし(S309)、次のバンドへ移行する処理を行い(S310)、S301に戻る。全バンドの印刷が終了した場合(S301:YES)、CPU22は、印刷処理を終了する。
【0037】
ここまで、図3乃至図5のフローチャートを参照して、多機能機10の印刷処理について一例を説明した。続いて、図6、図7のフローチャートを参照して、多機能機10の印刷処理について他の例を説明する。
【0038】
図3乃至図5では、拡大/縮小処理の後、マスキング処理を行った。図6、図7では、マスキング処理の後、拡大/縮小処理を行う場合について説明する。
【0039】
図6のS401〜S406において、CPU22は、図3のS101〜S106における処理と同様の処理を行う。
【0040】
図6のS407において、CPU22は、RAM26に格納されている印刷基準情報に基づいて、外円合わせか否かを判断する。外円合わせである場合(S407:YES)、CPU22は、S408において、ディスク1の原画像を切り取る切り取り円の外円直径R2a、内円直径r2aを、R2a=R1、r2a=(R1/R2)×r2により算出する。一方、外円合わせでない場合(S407:NO)、CPU22は、S409において、切り取り円の外円直径R2a、内円直径r2aを、R2a=(r1/r2)×R2、r2a=r1により算出する。
【0041】
ここで、S408、S409の算出式について説明する。外円合わせの場合、切り取り円の外円直径R2aを、ディスク1の外円直径R1に等しくするため、R2a=R1(式4)とする。一方、外円合わせでない、すなわち内円合わせの場合、切り取り円の内円直径r2aを、ディスク1の内円直径r1に等しくするため、r2a=r1(式5)とする。また、ディスク2の外円直径と内円直径との比率と等しい比率で切り取るため、R2/r2=R2a/r2a(式6)とする。したがって、外円合わせである場合のS408における算出式は、式4と式6とからR2a=R1、r2a=(R1/R2)×r2となり、内円合わせである場合のS409における算出式は、式5と式6とからR2a=(r1/r2)×R2、r2a=r1となる。CPU22は、S408またはS409で算出した切り取り円の大きさ情報、すなわち(R2a、r2a)をRAM26に格納し(S410)、図7のS501に進む。
【0042】
S501において、CPU22は、r1<r2aであるか否かを判断する。r1<r2aである場合(S501:YES)、CPU22は、S502において、ディスク1の原画像の中心と切り取り円の中心とを一致させ、原画像のデータのうちr1とr2aで囲まれた領域をマスキング処理する。一方、r1<r2aでない場合(S501:NO)、CPU22は、S502のマスキング処理を行わない。S503において、CPU22は、R1>R2aであるか否かを判断する。R1>R2aである場合(S503:YES)、CPU22は、S504において、ディスク1の原画像の中心と切り取り円の中心とを一致させ、原画像のデータのうちR1とR2aで囲まれた領域をマスキング処理する。一方、R1>R2aでない場合(S503:NO)、CPU22は、S504のマスキング処理を行わない。
【0043】
ここで、S501〜S504の処理について、図10、図11を参照して、具体的に説明する。前述のように、多機能機10がディスク1の原画像をディスク2に印刷する際、ディスク1のラベル面における印刷領域と、ディスク2のラベル面における印刷可能領域との間で、外円直径と内円直径との比が異なる場合がある。
(1)R1/r1<R2/r2の場合
ディスク1の印刷領域の外円直径R1と内円直径r1との比の値R1/r1がディスク2の印刷可能領域の外円直径R2と内円直径r2との比の値R2/r2よりも小さい、すなわちR1/r1<R2/r2の場合に、外円合わせ、内円合わせ、それぞれの切り取り円を、ディスク1の原画像と中心を一致させて重ねた結果をそれぞれ図10(A)、(B)に示す。この場合は、図10(A)、(B)に示されるように、外円合わせであれば内側に、内円合わせであれば外側に、原画像のデータよりも大きく切り取られることになる。
(2)R1/r1>R2/r2の場合
ディスク1の印刷領域の外円直径R1と内円直径r1との比の値R1/r1がディスク2の印刷可能領域の外円直径R2と内円直径r2との比の値R2/r2よりも大きい、すなわちR1/r1>R2/r2の場合に、外円合わせ、内円合わせ、それぞれの切り取り円を、ディスク1の原画像と中心を一致させて重ねた結果をそれぞれ図11(A)、(C)に示す。この場合は、図11(A)、(C)に示されるように、外円合わせであれば内側に、内円合わせであれば外側に、切り取り円から原画像のデータがはみ出すことになる。そのため、切り取り円からはみ出すデータについてマスキング処理を行う必要がある。R1/r1>R2/r2で外円合わせの場合、S501においてr1<r2aとなるため、S502のマスキング処理を行う。これにより、図11(B)に示される中間画像データが得られる。R1/r1>R2/r2で内円合わせの場合、S503においてR1>R2aとなるため、S504のマスキング処理を行う。これにより、図11(D)に示される中間画像データが得られる。このようにして、ディスク1のラベル面における印刷領域と、ディスク2のラベル面における印刷可能領域との間で、外円直径と内円直径との比が異なる場合にも、印刷可能領域に合わせて原画像を切り取ることができる。
CPU22は、S501〜S504の処理で得られた中間画像データを、RAM26に格納する(S505)。
【0044】
S506において、CPU22は、S505でRAM26に格納した中間画像データを、ディスク2の大きさ(R2、r2)に拡大/縮小するデータ処理を行う。CPU22は、S506の処理を終えたデータを、印刷データとしてRAM26に格納する(S507)。
【0045】
S508において、CPU22は、S507でRAM26に格納した印刷データに基づいて、ディスク2のラベル面への印刷を行い、印刷処理を終了する。
【0046】
図3乃至図5のように、拡大/縮小処理の後、マスキング処理を行う場合、ディスク2に印刷されない不要なデータについても拡大/縮小することになるため、処理が重くなる。しかし、図6、図7のように、マスキング処理の後、拡大/縮小処理を行う場合、マスキング処理によりデータ量を軽減してから拡大/縮小処理を行うことができるため処理が軽くなり、処理速度の向上やメモリ容量の節約を図ることができる。なお、前述のように、マスキング処理としては、例えば、インクを吐出しない白色データで不要なデータを覆う処理、不要なデータを削除する処理、が挙げられる。不要なデータを削除する場合は、その分データ量を軽減することができる。インクを吐出しない白色データで不要なデータを覆う場合についても、圧縮画像であれば効果が得られる。
【0047】
ここで、特許請求の範囲との対応は以下の通りである。
ディスク1は第1メディアディスクの一例、ディスク2は第2メディアディスクの一例である。また、RAM26はメモリの一例、スキャナセンサ42はスキャナの一例、メディアセンサ36はセンサの一例、多機能機10は印刷装置の一例である。また、CPU22により実行される、S105、S106、S405、S406は大きさ情報取得手段の一例、S103、S104、S403、S404は印刷基準決定手段の一例、S107〜S110、S201〜S206、S302〜S307、S407〜S410、S501〜S507はデータ生成手段の一例、S207、S301、S308〜S310、S508は印刷手段の一例である。また、マスキング処理は第1データ処理の一例、拡大/縮小処理は第2データ処理の一例である。
【0048】
以上、詳細に説明した通り、本発明の前記実施例によれば、ユーザは、煩雑な手続きをすることなく、その好みやディスク1の原画像の内容に応じて、ディスク2のラベル面に印刷する原画像の範囲を選択して印刷することができる。例えば、原画像の内円寄りにアーティスト名やバーコードが印刷されている場合、ユーザは、内円合わせを選択することで、その領域を強調して印刷することができる。また、原画像全体の様子を印刷したい場合、ユーザは、外円合わせを選択することができる。さらに、ユーザは、内円合わせを選択してディスク2の外周に印刷されない領域を設けることで、日付や曲名を記入することができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施例における各フローチャートは単なる一例であり、当該各フローチャートの処理と同等の結果を得ることできるものであれば、他のフローチャートによって処理を実現してもよい。
また、図6、図7のようにマスキング処理の後、拡大/縮小処理を行う場合も、バンド単位での処理が可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】多機能機システムの概略図である。
【図2】多機能機の構成図である。
【図3】印刷処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図4】印刷処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図5】印刷処理の一例を示すフローチャート(その3)である。
【図6】印刷処理の他の例を示すフローチャート(その1)である。
【図7】印刷処理の他の例を示すフローチャート(その2)である。
【図8】印刷処理の一例についての説明図(その1)である。
【図9】印刷処理の一例についての説明図(その2)である。
【図10】印刷処理の他の例についての説明図(その1)である。
【図11】印刷処理の他の例についての説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0051】
10 多機能機
22 CPU
24 ROM
26 RAM
28 NVRAM
36 メディアセンサ
42 スキャナセンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷する印刷装置であって、
前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納する大きさ情報取得手段と、
ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納する印刷基準決定手段と、
前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行う印刷手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記データ生成手段は、前記画像処理において、
前記印刷領域の外円直径と内円直径との比の値が前記印刷可能領域の外円直径と内円直径との比の値よりも大きい場合に、前記原画像のデータのうち前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷において前記印刷可能領域外に印刷されるデータを印刷しないようにする第1データ処理と、
前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合するように拡大、縮小する第2データ処理と、
を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記データ生成手段は、前記第1データ処理を前記第2データ処理よりも先に行う
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記原画像を読み取るスキャナと、
前記第2メディアディスクを検出するセンサと、
を備え、
前記大きさ情報取得手段は、前記スキャナの読取結果及び前記センサの検出結果に基づいて、前記大きさ情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷するよう、印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納するステップと、
ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納するステップと、
前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するステップと、
生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行うステップと、
を備えて、前記印刷装置を制御することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
印刷装置が、読取対象である第1メディアディスクのラベル面から読み取った原画像を、印刷対象である第2メディアディスクのラベル面に印刷する印刷方法であって、
前記第1メディアディスクの前記ラベル面における印刷領域の外円直径と内円直径との大きさ、及び、前記第2メディアディスクの前記ラベル面における印刷可能領域の外円直径と内円直径との大きさを取得して、該大きさ情報をメモリに格納するステップと、
ユーザの選択に基づいて、前記原画像の印刷を前記印刷可能領域の外円を基準に行うか、内円を基準に行うか、のいずれかに決定して、該印刷基準情報を前記メモリに格納するステップと、
前記メモリに格納されている前記大きさ情報と前記印刷基準情報とに基づいて、前記原画像のデータを前記印刷可能領域に適合させる画像処理を行い、前記第2メディアディスクの前記ラベル面に印刷するための印刷データを生成するステップと、
生成された前記印刷データに基づいて、前記第2メディアディスクの前記ラベル面への印刷を行うステップと、
を備えることを特徴とする印刷方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−154424(P2010−154424A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332532(P2008−332532)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】