印刷装置、印刷制御装置、印刷物、印刷方法、及び印刷プログラム
【課題】メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るような印象があり、ユーザーによっては好ましくない画像と受け取られることがある。
【解決手段】メタリック画像とカラー画像とを印刷画像として配置する画像配置処理部114を有し、画像配置処理部114は、印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置する。
【解決手段】メタリック画像とカラー画像とを印刷画像として配置する画像配置処理部114を有し、画像配置処理部114は、印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御装置、印刷物、印刷方法、及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を噴出して媒体上にインク滴(ドット)を着弾させることで記録を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置では、一般的なカラーインク(例えばKCMYの各色インク)の他に、顔料としてアルミニウム微粒子等の金属粒子を含むメタルインクを用いて印刷が行われることがある。
【0003】
メタルインクを用いたメタリック印刷では、メタルインク中に含有される金属粒子の量の大小によって印刷物の金属光沢と色調とのバランスが変化する。このため、所望の色調で良好な金属光沢を有するメタリック印刷を実現することが難しかった。これに対して、金属粒子としてアルミニウム微粒子を含有するインクを用いて印刷を行う場合に、媒体上において当該インクの印刷形状が略網目状になるようにし、その網目の大きさを変えることにより、印刷物中に含まれるアルミニウム微粒子の量を調整して金属光沢の調整を行う印刷方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような印刷方法の場合、高画質で良好な金属光沢を有する画像を印刷することができるが、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るような印象を持つことがある。このため、ユーザーによっては、例えば画像が不自然であったり目立ち過ぎたりするなどの理由により、好ましくない画像と受け取られることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷装置。
【0008】
上記した印刷装置によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0009】
[適用例2]前記輪郭領域に配置された前記カラー画像の線幅は、前記輪郭領域に囲まれた領域に配置された前記カラー画像の線幅よりも大きいことを特徴とする上記印刷装置。
【0010】
上記した印刷装置によれば、媒体上における印刷画像の境界部を形成するカラー画像の線幅を大きくすることができ、境界部を更に広い範囲でぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを更に抑制することができる。
【0011】
[適用例3]前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の外側に隣接する領域であることを特徴とする上記印刷装置。
【0012】
上記した印刷装置によれば、媒体上において、印刷画像の境界部となる輪郭領域を輪郭の外側に設けることができる。これにより、輪郭領域を設ける前の印刷画像の内容を、そのまま保って印刷することができる。
【0013】
[適用例4]前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の内側に隣接する領域であることを特徴とする上記印刷装置。
【0014】
上記した印刷装置によれば、媒体上において、印刷画像の境界部となる輪郭領域を輪郭の内側に設けることができる。これにより、輪郭領域を設ける前の印刷画像の大きさを、そのまま保って印刷することができる。
【0015】
[適用例5]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷制御装置。
【0016】
上記した印刷制御装置によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0017】
[適用例6]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像が形成されている印刷物であって、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像が配置されていることを特徴とする印刷物。
【0018】
上記した印刷物によれば、メタリック画像とカラー画像とが媒体上に交互に配置されていることにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷の画像を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像が配置されていることにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0019】
[適用例7]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷方法であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理工程を有し、前記画像配置処理工程において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷方法。
【0020】
上記した印刷方法によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0021】
[適用例8]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷プログラムであって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理機能を有し、前記画像配置処理機能において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することをコンピューターに実行させることを特徴とする印刷プログラム。
【0022】
上記した印刷プログラムによれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】印刷システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】プリンタードライバーが行う基本的な処理の概略的な説明図。
【図3】プリンターの構成を説明する図。
【図4】ヘッドの構造を示す断面図。
【図5】ヘッドの下面に設けられたノズルの説明図。
【図6】プリンタードライバーにおける動作を示すフローチャート。
【図7】画像配置処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】メタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの例を示す図。
【図9】メタリック画像とカラー画像とからなる画像の輪郭領域にカラー画像を配置する例を示す図。
【図10】画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する方法を示す図。
【図11】メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示す図。
【図12】画像の輪郭の内側に設けられた輪郭領域の線幅を更に拡げる例を示す図。
【図13】メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けた画像の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係る印刷装置について、図面を参照して説明する。
【0025】
<印刷システムの構成>
本実施形態に係る印刷装置の構成について説明する。
図1は、印刷システム100の全体構成を示すブロック図である。
同図に示すように、印刷システム100は、コンピューター110と、コンピューター110の制御の下で実際に画像を印刷するインクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」と称する。)等から構成されている。
プリンター1は、紙、布、フィルム等の媒体に文字や画像を形成(印刷)する印刷装置であり、コンピューター110と通信可能に接続されている。また、コンピューター110には、印刷制御装置としてのプリンタードライバーがインストールされている。なお、印刷システム100は、全体が一体となって広義の印刷装置として機能する。
【0026】
<プリンタードライバー>
次に、コンピューター110におけるプリンタードライバーについて説明する。
図2は、プリンタードライバー111が行う基本的な処理の概略的な説明図である。
コンピューター110では、当該コンピューター110に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバー102、アプリケーションプログラム104、プリンタードライバー111等のコンピュータープログラムが動作している。ビデオドライバー102は、アプリケーションプログラム104やプリンタードライバー111からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェイス等を表示装置120に表示する機能を有する。ユーザーは、表示されたユーザーインターフェイスを介し、入力装置(図示略)を用いて、プリンタードライバー111における各種設定を行うことができる。
【0027】
アプリケーションプログラム104は、例えば画像編集等を行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム104のユーザーインターフェイスを介して、アプリケーションプログラム104によって編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム104は、印刷の指示を受けると、プリンタードライバー111に画像データを出力する。
【0028】
プリンタードライバー111は、アプリケーションプログラム104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換してプリンター1に出力する。プリンタードライバー111は、アプリケーションプログラム104から出力された画像データを印刷データに変換するために、画像データ取得部112と、解像度変換処理部113と、画像配置処理部114と、色変換処理部115と、ハーフトーン処理部116と、ラスタライズ処理部117とを備えている。画像データ取得部112、解像度変換処理部113、画像配置処理部114、色変換処理部115、ハーフトーン処理部116、及びラスタライズ処理部117における各処理については、後述する「プリンタードライバーにおける動作」の説明において詳細を述べる。
なお、プリンタードライバー111の処理は、コンピューター110側ではなくプリンター1側において行うようにしても良い。
【0029】
<プリンター>
次に、プリンター1について説明する。
図1に戻って、プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて各ユニット等を制御し、媒体に画像を印刷させる。また、プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニット等を制御する。
【0030】
図3(a)は、プリンター1の構成を説明する斜視図である。図3(b)は、プリンター1の構成を説明する側面図である。
搬送ユニット20(図1参照)は、媒体Sを所定の方向(以下、「搬送方向」と称する。)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向は、キャリッジ31の移動方向と交差する方向である。搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。
給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された媒体Sをプリンター1内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された媒体Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。搬送モーター22の動作は、コントローラー60(図1参照)によって制御される。プラテン24は、印刷中の媒体Sを、媒体Sの裏側から支持する部材である。排紙ローラー25は、媒体Sをプリンター1の外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0031】
キャリッジユニット30(図1参照)は、ヘッドユニット40(図1参照)が取り付けられたキャリッジ31を所定の方向(以下、「走査方向」と称する。)に移動(走査)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32とを有する。
キャリッジ31は、走査方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。キャリッジモーター32の動作は、コントローラー60によって制御される。また、キャリッジ31は、画像を印刷するインクを収容するカートリッジを着脱可能に保持している。
【0032】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ、キャリッジ31が走査方向に移動すると、ヘッド41も走査方向に移動する。そして、ヘッド41が走査方向に移動中にインク滴を断続的に噴出することによって、走査方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0033】
図4は、ヘッド41の構造を示す断面図である。
同図に示すように、ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411は、ピエゾ素子群PZTを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bは、ピエゾ素子群PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には、弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形成されたプレートである。
【0034】
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部(図示略)などが実装された配線基板(図示略)により、ピエゾ素子に駆動信号が印加されると、駆動信号の電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子が伸縮すると、アイランド部412hは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇したり下降したりすることにより、ノズルNzからインク滴が噴出される。
【0035】
図5は、ヘッド41の下面に設けられたノズルNzの説明図である。
同図に示すように、ヘッド41の下面には、ブラックインクを噴出するブラックノズル列K、シアンインクを噴出するシアンノズル列C、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列M、及びイエローインクを噴出するイエローノズル列Yからなるカラーインクノズル列と、メタルインクを噴出するメタルインクノズル列Meとが形成されている。また、KCMY及びMeの各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことによって構成されている。各ノズル列は、#1〜#180の180個のノズルNzをそれぞれ備えている。
なお、各ノズル列における実際のノズル数は180個には限られず、例えばノズル数が90個であったり360個であったりしても良い。また、図5において、各ノズル列は、走査方向に沿って並列に並んでいるが、搬送方向に沿って縦列に並ぶような構成とすることもできる。また、KCMY及びMeの各色について、それぞれ1列ずつのノズル列を有するのではなく、各色についてそれぞれ複数のノズル列を有するような構成であっても良い。
【0036】
検出器群50(図1参照)は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、及び光学センサー54等が含まれる(図3(a),(b)参照)。
リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の走査方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の媒体Sの先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部及び受光部により、対向する位置の媒体Sの有無を検出し、例えば、移動しながら媒体Sの端部の位置を検出し、媒体Sの幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、媒体Sの先端(搬送方向下流側の端部)及び後端(搬送方向上流側の端部)も検出できる。
【0037】
コントローラー60(図1参照)は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40等の各ユニットを制御する。
【0038】
<印刷動作>
次に、プリンター1の印刷動作について概略を説明する。
コントローラー60は、コンピューター110からインターフェイス部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理、ドット形成処理、搬送処理等を行う。
【0039】
給紙処理は、印刷すべき媒体Sをプリンター1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置)に媒体Sを位置決めする処理である。コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき媒体Sを搬送ローラー23まで送る。続いて、搬送ローラー23を回転させ、給紙ローラー21から送られてきた媒体Sを印刷開始位置に位置決めする。
【0040】
ドット形成処理は、走査方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴出させ、媒体S上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ31を走査方向に移動させ、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインク滴を噴出させる。噴出されたインク滴が媒体S上に着弾すると、媒体S上にドットが形成され、媒体S上には走査方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。
【0041】
搬送処理は、媒体Sをヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送ローラー23を回転させて媒体Sを搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0042】
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインによって構成される画像を徐々に媒体Sに印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラー25を回転させてその媒体Sを排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行っても良い。
【0043】
プリンター1の印刷動作には、走査方向の右側(ホームポジション)から左側へ移動する往路時にノズルNzからインク滴を噴出させ、ヘッド41が走査方向の左側から右側へ移動する復路時にはノズルNzからインク滴を噴出させない「単方向印刷」と、往路時及び復路時にノズルNzからインク滴を噴出させる「双方向印刷」とがある。本実施形態で説明する印刷方法は「単方向印刷」及び「双方向印刷」のいずれの印刷動作にも対応可能である。
【0044】
<メタルインク>
次に、印刷に用いられるメタルインクについて説明する。
メタルインクは、金属粒子として銀粒子やアルミ粒子等を含有する。アルミ粒子を含むメタルインクでは、印刷面に明るい金属光沢を得ることができる。しかし、アルミ粒子は酸化しやすく、時間経過と共に印刷面が白化するおそれがある。一方、銀粒子を含有するメタルインクは、アルミ粒子を含有するインクと比べて金属光沢の色が暗くなりやすく、コストが高いと言う問題があるが、酸化しにくく安定性に優れると言う性質を有する。
印刷時に使用するメタルインクは、印刷の用途に応じて選択することができるが、本実施形態では銀粒子を含有するメタルインクを用いた印刷について説明する。なお、本実施形態の印刷方法によれば、上述の銀粒子を使用する際のコストや色の暗さ等の問題も解消することができる。
【0045】
メタルインクの溶媒としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水が用いられる。金属粒子の分散の妨げにならない程度であれば、水中にイオン等が存在していても良い。また、必要に応じて、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、樹脂類、色材等を含有していても良い。
【0046】
本実施形態のインク組成物に含まれる銀粒子は、銀を主成分とする粒子である。銀粒子は、例えば、副成分として、他の金属、酸素、炭素等を含んでも良い。銀粒子における銀の純度としては、例えば、80%以上とすることができる。銀粒子は、銀と他の金属との合金であっても良い。また、インク組成物中の銀粒子は、コロイド(粒子コロイド)の状態で存在していても良い。銀粒子がコロイド状態で分散している場合は、更に分散性が良好となり、例えばインク組成物の保存安定性の向上に寄与することができる。
【0047】
銀粒子の粒径加積曲線における粒径d90は、50nm以上1μm以下である。ここで、粒径加積曲線とは、インク組成物等の液体に分散された銀粒子について、粒子の直径、及び当該粒子の存在数を求めることができる測定を行った結果を、統計的に処理して得られる曲線の一種である。本実施形態における粒径加積曲線は、粒子の直径を横軸にとり、粒子の質量(粒子を球と見なしたときの体積、粒子の密度、及び粒子数の積)について、直径の小さい粒子から大きい粒子に向かって積算した値(積分値)を縦軸にとったものである。そして、粒径d90とは、粒径加積曲線において、縦軸を規格化(測定された粒子の総質量を1と)したときに、縦軸の値が90%(0.90)となるときの、横軸の値、即ち粒子の直径のことを言う。なお、この場合の銀粒子の直径とは、銀粒子そのものの直径であっても良いし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、当該粒子コロイドの直径であっても良い。
【0048】
銀粒子の粒径加積曲線は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法は、分散している銀粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を光子検出器で観測するものである。一般に分散している銀粒子は、通常ブラウン運動をしている。銀粒子の運動の速度は、粒子直径の大きな粒子ほど大きく、粒子直径の小さな粒子ほど小さい。ブラウン運動をしている銀粒子にレーザー光を照射すると、散乱光において、各銀粒子のブラウン運動に対応した揺らぎが観測される。この揺らぎを測定し、光子相関法等によって自己相関関数を求め、キュムラント法及びヒストグラム法解析等を用いることで銀粒子の直径や、直径に対応した銀粒子の頻度(個数)を求めることができる。特にサブミクロンサイズの銀粒子を含む試料に対しては、動的光散乱法が適しており、動的光散乱法によって比較的容易に粒径加積曲線を得ることができる。
動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラックUPA−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
【0049】
<プリンタードライバーにおける動作>
次に、プリンタードライバー111における動作について説明する。
図6は、プリンタードライバー111における動作を示すフローチャートである。
同図に示すステップS10〜S60の各動作は、コンピューター110にインストールされたプリンタードライバー111からの指令に基づいて実行される。以下に、プリンタードライバー111における動作の詳細について説明する。
【0050】
ユーザーがアプリケーションプログラム104において印刷開始を指示すると、プリンタードライバー111が呼び出される。プリンタードライバー111は、画像データ取得部112により、印刷対象となる画像データ(原画像データ)をアプリケーションプログラム104から取得する(ステップS10)。そして、プリンタードライバー111は、解像度変換処理部113により、取得した画像データに対して解像度変換処理(ステップS20)を行う。
【0051】
ここで、解像度変換処理とは、画像データ(テキストデータ、イメージデータ等)を、媒体Sに印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム104から受け取ったベクター形式の画像データを、720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間によって表される各階調(例えば256階調)のデータ、及びメタリック(Me)色空間によって表される階調(例えば256階調)のデータから構成される。
【0052】
次に、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、媒体S上において重複するメタリック画像とカラー画像とに対して、重複領域内で各画像の一部を間引いて媒体S上に交互に配置する等の画像配置処理を行う(ステップS30)。画像配置処理の詳細については後述する。
なお、ここでは、メタリック画像を含む画像を印刷することを前提としているが、メタリック画像を含まない通常のカラー印刷においては、上記の画像配置処理を行わないで、従来通りの方法によって印刷を行えば良い。
【0053】
次に、プリンタードライバー111は、色変換処理部115により、プリンター1のインク色の色空間に合わせて画像データを変換する色変換処理を行う(ステップS40)。ここでは、「RGB色空間+Me」の画像データが、「KCMY色空間+Me」の画像データに変換される。色変換処理は、RGBデータの階調値とKCMYデータの階調値とを対応づけた色変換テーブルLUT(図2参照)に基づいて行われる。この色変換処理により、KCMY色空間の画像データが得られる。色変換処理後の画素データは、「KCMY色空間+Me」によって表される256階調の8ビットデータである。なお、メタルインク色(Me)は、KCMYの組み合わせでは表現することができないため、特色として扱われ、色変換処理は行われない。
【0054】
色変換処理の後、プリンタードライバー111は、ハーフトーン処理部116により、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う(ステップS50)。ここでは、256階調の画像データが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。また、ハーフトーン処理方法としては、例えば、ディザ法や誤差拡散法などによるハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理されたデータは、記録解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度となる。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素毎に、1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
【0055】
次に、プリンタードライバー111は、ラスタライズ処理部117により、印刷画像データ上の画素データの並び順を、プリンター1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う(ステップS60)。ここでは、各ノズル列K,C,M,Y,MeのノズルNzの並び順に応じて、画素データを並び替える。その後、プリンタードライバー111は、プリンター1を制御するための制御データを画素データに付加することによって印刷データを生成し、その印刷データをプリンター1に送信する。
【0056】
プリンター1は、受信した印刷データに従って印刷動作を行う。具体的には、プリンター1のコントローラー60が、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット20、キャリッジユニット30等を制御すると共に、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御してヘッド41に備えられた各ノズルNzからカラーインク及びメタルインクを噴出させる。
【0057】
<画像配置処理の詳細>
次に、図6に示すステップS30における画像配置処理の詳細について説明する。
図7は、画像配置処理の詳細を示すフローチャートである。
先ず、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、媒体S上において重複するメタリック画像とカラー画像とに対して、重複領域内で各画像の一部を間引いて、それぞれの画像が媒体S上に交互に配置されるようにする(ステップS31)。具体的には、媒体S上の重複領域内において、メタルインクとカラーインクとが同一の画素に重複して噴出されないような画像データを生成する。つまり、メタリック画像に対して間引く対象となる画素と、カラー画像に対して間引く対象となる画素とは、媒体S上において異なる位置になる。
なお、上記したようにメタリック画像とカラー画像の各画像の一部を間引いて媒体S上に交互に配置するのではなく、図6に示すステップS10において、予め媒体S上に交互に配置されるメタリック画像とカラー画像の各画像データをアプリケーションプログラム104から取得するようにしても良い。
【0058】
図8(a)〜(c)は、メタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの例を示す図である。図8(a)は、メタリック画像とカラー画像とが、縞状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。図8(b)は、メタリック画像とカラー画像とが、格子状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。図8(c)は、メタリック画像とカラー画像とが、市松模様状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。ここで、交互に配置される各画像の幅は、細かくなるほど好ましく、例えば0.01mm〜10mm程度の範囲が好ましい。また、画像配置パターンは、図8(a)に示すような縞状になるようなパターンの方が好ましい。
なお、本実施形態の図面では、メタリック画像の部分を濃い網掛けで示し、カラー画像の部分を薄い網掛けで示している。
【0059】
図7に戻って、次に、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、ステップS31において生成した、メタリック画像とカラー画像とが交互に配置される画像に対して、当該画像の輪郭領域にカラー画像を配置する(ステップS32)。具体的には、媒体S上において画像の輪郭領域を形成する画素について、カラーインクが噴出されるような画像データを生成する。
【0060】
図9(a)〜(c)は、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の輪郭領域にカラー画像を配置する例を示す図である。図9(a)は、図8(a)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。図9(b)は、図8(b)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。図9(c)は、図8(c)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。
【0061】
図10(a),(b)は、図8(a)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する方法を示す図である。図10(a)は、画像の輪郭の外側に隣接する領域を輪郭領域とする例を示す図である。図10(b)は、画像の輪郭の内側に隣接する領域を輪郭領域とする例を示す図である。両図において、R1は画像の輪郭を示しており、RAは輪郭領域を示している。
図10(a)では、図8(a)に示すメタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの輪郭R1の外側に輪郭領域RAを設け、当該輪郭領域RAにカラー画像を配置している。このとき、輪郭領域RAのカラー画像は、輪郭R1の内側のカラー画像と同一の色にする。なお、例えば、輪郭R1の内側のカラー画像が1色ではなく複数色の場合は、輪郭領域RAの各部分に最も位置が近いカラー画像の部分と同一の色にする。
【0062】
一方、図10(b)では、図8(a)に示すメタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの輪郭R1の内側に輪郭領域RAを設け、当該輪郭領域RAにカラー画像を配置している。このとき、輪郭R1の内側に輪郭領域RAを設けてカラー画像を配置する関係上、輪郭領域RAと重複するメタリック画像の画素については、メタルインクが噴出されないように画像データを変更する。そして、輪郭領域RAのカラー画像は、輪郭領域RAに元々存在するカラー画像の色にする。なお、例えば、輪郭領域RAに元々存在するカラー画像が1色ではなく複数色の場合、元々メタリック画像であった部分については、最も位置が近いカラー画像の部分と同一の色にする。
【0063】
図11(a),(b)は、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示す図である。図11(a)は、メタリック画像とカラー画像との配置を画素単位に示している。図11(b)は、図11(a)におけるAA断面図を示している。図11(a)では、1つの升目が1つの画素を表しており、2画素分の横幅のメタリック画像と2画素分の横幅のカラー画像とが交互に配置されているのが分かる。また、交互に配置されたメタリック画像とカラー画像の周りには、輪郭領域となる2画素分の横幅及び縦幅のカラー画像の画素が配置されている。一方、図11(b)では、媒体S上にメタルインクとカラーインクが噴出されて、それぞれがメタリック画像とカラー画像とを交互に形成しているのが分かる。
【0064】
上述した実施形態において、例えば図9(a)〜(c)に示すように、媒体S上にメタリック画像とカラー画像とが交互に配置されるようにすることで、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。また、従来におけるメタリック画像とカラー画像とを重ねて印刷する方法に比して、印刷時間を短縮することができ、更に、インクの量が節減されることで印刷コストを低減させることができる。
【0065】
また、図9(a)〜(c)に示すように、それぞれの画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、図8(a)〜(c)と比較した場合に、各画像の輪郭領域となる、媒体Sと画像との境界部分を、ぼやけた印象にすることができる。これにより、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。
【0066】
また、図10(a)では画像の輪郭R1の外側に設けた輪郭領域RAにカラー画像を配置している。これにより、図8(a)に示すメタリック画像の各領域をそのまま維持した状態で、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。一方、図10(b)では画像の輪郭R1の内側に設けた輪郭領域RAにカラー画像を配置している。これにより、図8(a)に示す画像配置パターンの全体の領域の大きさをそのまま維持した状態で、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。
【0067】
(変形例1)
上述した実施形態の図10(a),(b)では、それぞれ、画像の輪郭R1の外側と内側の輪郭領域RAにカラー画像を配置する例について説明した。このとき、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅と、輪郭領域RAの内側、即ち輪郭領域RAに囲まれた領域に配置されたカラー画像の線幅とが略等しくなるように輪郭領域RAを設定した。しかし、これに限られず、輪郭領域RAの線幅を更に拡げて、輪郭領域RAの内側に配置されたカラー画像やメタリック画像の線幅よりも太くするようにしても良い。
【0068】
図12は、画像の輪郭R1の内側に設けられた輪郭領域RAの線幅を更に拡げる例を示す図である。図12では、図10(b)と比較して、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅が輪郭領域RAの内側に配置されたカラー画像やメタリック画像の線幅よりも太くなっている。このように、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅を太くすることにより、媒体Sと画像との境界部分を更にぼやけた印象にすることができる。これにより、画像全体が媒体S上から浮き上るのを更に抑制することができる。
【0069】
(変形例2)
上述した実施形態の図11(a),(b)では、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示した。ここでは、2画素分の横幅のメタリック画像と2画素分の横幅のカラー画像とが隙間なく交互に配置されるようにした。しかし、これに限られず、メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けて交互に配置されるようにしても良い。
【0070】
図13は、メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けた画像の例を示す図である。図13(a)は、メタリック画像とカラー画像との配置を画素単位に示している。図13(b)は、図13(a)におけるAA断面図を示している。図13(a),(b)では、メタリック画像とカラー画像との間には1画素分の横幅及び縦幅の空白画像が設けられている。このように、1画素分の空白画像を設けることにより、メタルインクドットとカラーインクドットとの接触が避けられ、両インクドット間における滲みや混色を防止することができる。これにより、印刷時間を短縮しつつ、より高画質な画像の印刷を行うことができる。
【0071】
(変形例3)
上述した実施形態では、カラーインクとしてKCMYの4色のインクを使用して印刷を行う例について説明した。しかし、これに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリア等、KCMY以外のカラーインクを用いて印刷を行うようにしても良い。また、メタルインクとして銀粒子やアルミ粒子を含有するインクの例について説明したが、印刷時に金属光沢を再現できるものであれば、銅や金等の他の粒子を含有するインクを使用することもできる。
【0072】
(変形例4)
上述した実施形態では、インク滴を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子を例示したが、例えば、発熱素子や静電アクチュエーター等の他の素子を用いても良い。
また、ヘッド41をキャリッジ31と共に移動させるタイプのプリンター1の例について説明したが、プリンターはヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであっても良い。
【符号の説明】
【0073】
1…プリンター、20…搬送ユニット、21…給紙ローラー、22…搬送モーター、23…搬送ローラー、24…プラテン、25…排紙ローラー、30…キャリッジユニット、31…キャリッジ、32…キャリッジモーター、40…ヘッドユニット、41…ヘッド、50…検出器群、51…リニア式エンコーダー、52…ロータリー式エンコーダー、53…紙検出センサー、54…光学センサー、60…コントローラー、61…インターフェイス部、62…CPU、63…メモリー、64…ユニット制御回路、100…印刷システム、102…ビデオドライバー、104…アプリケーションプログラム、110…コンピューター、111…プリンタードライバー、112…画像データ取得部、113…解像度変換処理部、114…画像配置処理部、115…色変換処理部、116…ハーフトーン処理部、117…ラスタライズ処理部、120…表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御装置、印刷物、印刷方法、及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を噴出して媒体上にインク滴(ドット)を着弾させることで記録を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置では、一般的なカラーインク(例えばKCMYの各色インク)の他に、顔料としてアルミニウム微粒子等の金属粒子を含むメタルインクを用いて印刷が行われることがある。
【0003】
メタルインクを用いたメタリック印刷では、メタルインク中に含有される金属粒子の量の大小によって印刷物の金属光沢と色調とのバランスが変化する。このため、所望の色調で良好な金属光沢を有するメタリック印刷を実現することが難しかった。これに対して、金属粒子としてアルミニウム微粒子を含有するインクを用いて印刷を行う場合に、媒体上において当該インクの印刷形状が略網目状になるようにし、その網目の大きさを変えることにより、印刷物中に含まれるアルミニウム微粒子の量を調整して金属光沢の調整を行う印刷方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような印刷方法の場合、高画質で良好な金属光沢を有する画像を印刷することができるが、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るような印象を持つことがある。このため、ユーザーによっては、例えば画像が不自然であったり目立ち過ぎたりするなどの理由により、好ましくない画像と受け取られることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷装置。
【0008】
上記した印刷装置によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0009】
[適用例2]前記輪郭領域に配置された前記カラー画像の線幅は、前記輪郭領域に囲まれた領域に配置された前記カラー画像の線幅よりも大きいことを特徴とする上記印刷装置。
【0010】
上記した印刷装置によれば、媒体上における印刷画像の境界部を形成するカラー画像の線幅を大きくすることができ、境界部を更に広い範囲でぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを更に抑制することができる。
【0011】
[適用例3]前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の外側に隣接する領域であることを特徴とする上記印刷装置。
【0012】
上記した印刷装置によれば、媒体上において、印刷画像の境界部となる輪郭領域を輪郭の外側に設けることができる。これにより、輪郭領域を設ける前の印刷画像の内容を、そのまま保って印刷することができる。
【0013】
[適用例4]前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の内側に隣接する領域であることを特徴とする上記印刷装置。
【0014】
上記した印刷装置によれば、媒体上において、印刷画像の境界部となる輪郭領域を輪郭の内側に設けることができる。これにより、輪郭領域を設ける前の印刷画像の大きさを、そのまま保って印刷することができる。
【0015】
[適用例5]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷制御装置。
【0016】
上記した印刷制御装置によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0017】
[適用例6]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像が形成されている印刷物であって、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像が配置されていることを特徴とする印刷物。
【0018】
上記した印刷物によれば、メタリック画像とカラー画像とが媒体上に交互に配置されていることにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷の画像を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像が配置されていることにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0019】
[適用例7]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷方法であって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理工程を有し、前記画像配置処理工程において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷方法。
【0020】
上記した印刷方法によれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【0021】
[適用例8]メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷プログラムであって、前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理機能を有し、前記画像配置処理機能において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することをコンピューターに実行させることを特徴とする印刷プログラム。
【0022】
上記した印刷プログラムによれば、メタルインクとカラーインクとを用いた印刷を行う際に、メタリック画像とカラー画像とを媒体上に交互に配置することにより、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。更に、メタリック画像とカラー画像とからなる印刷画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、媒体上における印刷画像の境界部をぼやけた印象にすることができる。これにより、メタリック印刷の画像全体が媒体上から浮き上るのを抑制することができ、好ましい画像を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】印刷システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】プリンタードライバーが行う基本的な処理の概略的な説明図。
【図3】プリンターの構成を説明する図。
【図4】ヘッドの構造を示す断面図。
【図5】ヘッドの下面に設けられたノズルの説明図。
【図6】プリンタードライバーにおける動作を示すフローチャート。
【図7】画像配置処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】メタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの例を示す図。
【図9】メタリック画像とカラー画像とからなる画像の輪郭領域にカラー画像を配置する例を示す図。
【図10】画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する方法を示す図。
【図11】メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示す図。
【図12】画像の輪郭の内側に設けられた輪郭領域の線幅を更に拡げる例を示す図。
【図13】メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けた画像の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係る印刷装置について、図面を参照して説明する。
【0025】
<印刷システムの構成>
本実施形態に係る印刷装置の構成について説明する。
図1は、印刷システム100の全体構成を示すブロック図である。
同図に示すように、印刷システム100は、コンピューター110と、コンピューター110の制御の下で実際に画像を印刷するインクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」と称する。)等から構成されている。
プリンター1は、紙、布、フィルム等の媒体に文字や画像を形成(印刷)する印刷装置であり、コンピューター110と通信可能に接続されている。また、コンピューター110には、印刷制御装置としてのプリンタードライバーがインストールされている。なお、印刷システム100は、全体が一体となって広義の印刷装置として機能する。
【0026】
<プリンタードライバー>
次に、コンピューター110におけるプリンタードライバーについて説明する。
図2は、プリンタードライバー111が行う基本的な処理の概略的な説明図である。
コンピューター110では、当該コンピューター110に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバー102、アプリケーションプログラム104、プリンタードライバー111等のコンピュータープログラムが動作している。ビデオドライバー102は、アプリケーションプログラム104やプリンタードライバー111からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェイス等を表示装置120に表示する機能を有する。ユーザーは、表示されたユーザーインターフェイスを介し、入力装置(図示略)を用いて、プリンタードライバー111における各種設定を行うことができる。
【0027】
アプリケーションプログラム104は、例えば画像編集等を行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム104のユーザーインターフェイスを介して、アプリケーションプログラム104によって編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム104は、印刷の指示を受けると、プリンタードライバー111に画像データを出力する。
【0028】
プリンタードライバー111は、アプリケーションプログラム104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換してプリンター1に出力する。プリンタードライバー111は、アプリケーションプログラム104から出力された画像データを印刷データに変換するために、画像データ取得部112と、解像度変換処理部113と、画像配置処理部114と、色変換処理部115と、ハーフトーン処理部116と、ラスタライズ処理部117とを備えている。画像データ取得部112、解像度変換処理部113、画像配置処理部114、色変換処理部115、ハーフトーン処理部116、及びラスタライズ処理部117における各処理については、後述する「プリンタードライバーにおける動作」の説明において詳細を述べる。
なお、プリンタードライバー111の処理は、コンピューター110側ではなくプリンター1側において行うようにしても良い。
【0029】
<プリンター>
次に、プリンター1について説明する。
図1に戻って、プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて各ユニット等を制御し、媒体に画像を印刷させる。また、プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニット等を制御する。
【0030】
図3(a)は、プリンター1の構成を説明する斜視図である。図3(b)は、プリンター1の構成を説明する側面図である。
搬送ユニット20(図1参照)は、媒体Sを所定の方向(以下、「搬送方向」と称する。)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向は、キャリッジ31の移動方向と交差する方向である。搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。
給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された媒体Sをプリンター1内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された媒体Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。搬送モーター22の動作は、コントローラー60(図1参照)によって制御される。プラテン24は、印刷中の媒体Sを、媒体Sの裏側から支持する部材である。排紙ローラー25は、媒体Sをプリンター1の外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0031】
キャリッジユニット30(図1参照)は、ヘッドユニット40(図1参照)が取り付けられたキャリッジ31を所定の方向(以下、「走査方向」と称する。)に移動(走査)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32とを有する。
キャリッジ31は、走査方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。キャリッジモーター32の動作は、コントローラー60によって制御される。また、キャリッジ31は、画像を印刷するインクを収容するカートリッジを着脱可能に保持している。
【0032】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ、キャリッジ31が走査方向に移動すると、ヘッド41も走査方向に移動する。そして、ヘッド41が走査方向に移動中にインク滴を断続的に噴出することによって、走査方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0033】
図4は、ヘッド41の構造を示す断面図である。
同図に示すように、ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411は、ピエゾ素子群PZTを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bは、ピエゾ素子群PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には、弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形成されたプレートである。
【0034】
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部(図示略)などが実装された配線基板(図示略)により、ピエゾ素子に駆動信号が印加されると、駆動信号の電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子が伸縮すると、アイランド部412hは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇したり下降したりすることにより、ノズルNzからインク滴が噴出される。
【0035】
図5は、ヘッド41の下面に設けられたノズルNzの説明図である。
同図に示すように、ヘッド41の下面には、ブラックインクを噴出するブラックノズル列K、シアンインクを噴出するシアンノズル列C、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列M、及びイエローインクを噴出するイエローノズル列Yからなるカラーインクノズル列と、メタルインクを噴出するメタルインクノズル列Meとが形成されている。また、KCMY及びMeの各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことによって構成されている。各ノズル列は、#1〜#180の180個のノズルNzをそれぞれ備えている。
なお、各ノズル列における実際のノズル数は180個には限られず、例えばノズル数が90個であったり360個であったりしても良い。また、図5において、各ノズル列は、走査方向に沿って並列に並んでいるが、搬送方向に沿って縦列に並ぶような構成とすることもできる。また、KCMY及びMeの各色について、それぞれ1列ずつのノズル列を有するのではなく、各色についてそれぞれ複数のノズル列を有するような構成であっても良い。
【0036】
検出器群50(図1参照)は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、及び光学センサー54等が含まれる(図3(a),(b)参照)。
リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の走査方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の媒体Sの先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部及び受光部により、対向する位置の媒体Sの有無を検出し、例えば、移動しながら媒体Sの端部の位置を検出し、媒体Sの幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、媒体Sの先端(搬送方向下流側の端部)及び後端(搬送方向上流側の端部)も検出できる。
【0037】
コントローラー60(図1参照)は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40等の各ユニットを制御する。
【0038】
<印刷動作>
次に、プリンター1の印刷動作について概略を説明する。
コントローラー60は、コンピューター110からインターフェイス部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理、ドット形成処理、搬送処理等を行う。
【0039】
給紙処理は、印刷すべき媒体Sをプリンター1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置)に媒体Sを位置決めする処理である。コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき媒体Sを搬送ローラー23まで送る。続いて、搬送ローラー23を回転させ、給紙ローラー21から送られてきた媒体Sを印刷開始位置に位置決めする。
【0040】
ドット形成処理は、走査方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴出させ、媒体S上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ31を走査方向に移動させ、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインク滴を噴出させる。噴出されたインク滴が媒体S上に着弾すると、媒体S上にドットが形成され、媒体S上には走査方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。
【0041】
搬送処理は、媒体Sをヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送ローラー23を回転させて媒体Sを搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0042】
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインによって構成される画像を徐々に媒体Sに印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラー25を回転させてその媒体Sを排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行っても良い。
【0043】
プリンター1の印刷動作には、走査方向の右側(ホームポジション)から左側へ移動する往路時にノズルNzからインク滴を噴出させ、ヘッド41が走査方向の左側から右側へ移動する復路時にはノズルNzからインク滴を噴出させない「単方向印刷」と、往路時及び復路時にノズルNzからインク滴を噴出させる「双方向印刷」とがある。本実施形態で説明する印刷方法は「単方向印刷」及び「双方向印刷」のいずれの印刷動作にも対応可能である。
【0044】
<メタルインク>
次に、印刷に用いられるメタルインクについて説明する。
メタルインクは、金属粒子として銀粒子やアルミ粒子等を含有する。アルミ粒子を含むメタルインクでは、印刷面に明るい金属光沢を得ることができる。しかし、アルミ粒子は酸化しやすく、時間経過と共に印刷面が白化するおそれがある。一方、銀粒子を含有するメタルインクは、アルミ粒子を含有するインクと比べて金属光沢の色が暗くなりやすく、コストが高いと言う問題があるが、酸化しにくく安定性に優れると言う性質を有する。
印刷時に使用するメタルインクは、印刷の用途に応じて選択することができるが、本実施形態では銀粒子を含有するメタルインクを用いた印刷について説明する。なお、本実施形態の印刷方法によれば、上述の銀粒子を使用する際のコストや色の暗さ等の問題も解消することができる。
【0045】
メタルインクの溶媒としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水が用いられる。金属粒子の分散の妨げにならない程度であれば、水中にイオン等が存在していても良い。また、必要に応じて、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、樹脂類、色材等を含有していても良い。
【0046】
本実施形態のインク組成物に含まれる銀粒子は、銀を主成分とする粒子である。銀粒子は、例えば、副成分として、他の金属、酸素、炭素等を含んでも良い。銀粒子における銀の純度としては、例えば、80%以上とすることができる。銀粒子は、銀と他の金属との合金であっても良い。また、インク組成物中の銀粒子は、コロイド(粒子コロイド)の状態で存在していても良い。銀粒子がコロイド状態で分散している場合は、更に分散性が良好となり、例えばインク組成物の保存安定性の向上に寄与することができる。
【0047】
銀粒子の粒径加積曲線における粒径d90は、50nm以上1μm以下である。ここで、粒径加積曲線とは、インク組成物等の液体に分散された銀粒子について、粒子の直径、及び当該粒子の存在数を求めることができる測定を行った結果を、統計的に処理して得られる曲線の一種である。本実施形態における粒径加積曲線は、粒子の直径を横軸にとり、粒子の質量(粒子を球と見なしたときの体積、粒子の密度、及び粒子数の積)について、直径の小さい粒子から大きい粒子に向かって積算した値(積分値)を縦軸にとったものである。そして、粒径d90とは、粒径加積曲線において、縦軸を規格化(測定された粒子の総質量を1と)したときに、縦軸の値が90%(0.90)となるときの、横軸の値、即ち粒子の直径のことを言う。なお、この場合の銀粒子の直径とは、銀粒子そのものの直径であっても良いし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、当該粒子コロイドの直径であっても良い。
【0048】
銀粒子の粒径加積曲線は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法は、分散している銀粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を光子検出器で観測するものである。一般に分散している銀粒子は、通常ブラウン運動をしている。銀粒子の運動の速度は、粒子直径の大きな粒子ほど大きく、粒子直径の小さな粒子ほど小さい。ブラウン運動をしている銀粒子にレーザー光を照射すると、散乱光において、各銀粒子のブラウン運動に対応した揺らぎが観測される。この揺らぎを測定し、光子相関法等によって自己相関関数を求め、キュムラント法及びヒストグラム法解析等を用いることで銀粒子の直径や、直径に対応した銀粒子の頻度(個数)を求めることができる。特にサブミクロンサイズの銀粒子を含む試料に対しては、動的光散乱法が適しており、動的光散乱法によって比較的容易に粒径加積曲線を得ることができる。
動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラックUPA−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
【0049】
<プリンタードライバーにおける動作>
次に、プリンタードライバー111における動作について説明する。
図6は、プリンタードライバー111における動作を示すフローチャートである。
同図に示すステップS10〜S60の各動作は、コンピューター110にインストールされたプリンタードライバー111からの指令に基づいて実行される。以下に、プリンタードライバー111における動作の詳細について説明する。
【0050】
ユーザーがアプリケーションプログラム104において印刷開始を指示すると、プリンタードライバー111が呼び出される。プリンタードライバー111は、画像データ取得部112により、印刷対象となる画像データ(原画像データ)をアプリケーションプログラム104から取得する(ステップS10)。そして、プリンタードライバー111は、解像度変換処理部113により、取得した画像データに対して解像度変換処理(ステップS20)を行う。
【0051】
ここで、解像度変換処理とは、画像データ(テキストデータ、イメージデータ等)を、媒体Sに印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム104から受け取ったベクター形式の画像データを、720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間によって表される各階調(例えば256階調)のデータ、及びメタリック(Me)色空間によって表される階調(例えば256階調)のデータから構成される。
【0052】
次に、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、媒体S上において重複するメタリック画像とカラー画像とに対して、重複領域内で各画像の一部を間引いて媒体S上に交互に配置する等の画像配置処理を行う(ステップS30)。画像配置処理の詳細については後述する。
なお、ここでは、メタリック画像を含む画像を印刷することを前提としているが、メタリック画像を含まない通常のカラー印刷においては、上記の画像配置処理を行わないで、従来通りの方法によって印刷を行えば良い。
【0053】
次に、プリンタードライバー111は、色変換処理部115により、プリンター1のインク色の色空間に合わせて画像データを変換する色変換処理を行う(ステップS40)。ここでは、「RGB色空間+Me」の画像データが、「KCMY色空間+Me」の画像データに変換される。色変換処理は、RGBデータの階調値とKCMYデータの階調値とを対応づけた色変換テーブルLUT(図2参照)に基づいて行われる。この色変換処理により、KCMY色空間の画像データが得られる。色変換処理後の画素データは、「KCMY色空間+Me」によって表される256階調の8ビットデータである。なお、メタルインク色(Me)は、KCMYの組み合わせでは表現することができないため、特色として扱われ、色変換処理は行われない。
【0054】
色変換処理の後、プリンタードライバー111は、ハーフトーン処理部116により、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う(ステップS50)。ここでは、256階調の画像データが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。また、ハーフトーン処理方法としては、例えば、ディザ法や誤差拡散法などによるハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理されたデータは、記録解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度となる。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素毎に、1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
【0055】
次に、プリンタードライバー111は、ラスタライズ処理部117により、印刷画像データ上の画素データの並び順を、プリンター1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う(ステップS60)。ここでは、各ノズル列K,C,M,Y,MeのノズルNzの並び順に応じて、画素データを並び替える。その後、プリンタードライバー111は、プリンター1を制御するための制御データを画素データに付加することによって印刷データを生成し、その印刷データをプリンター1に送信する。
【0056】
プリンター1は、受信した印刷データに従って印刷動作を行う。具体的には、プリンター1のコントローラー60が、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット20、キャリッジユニット30等を制御すると共に、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御してヘッド41に備えられた各ノズルNzからカラーインク及びメタルインクを噴出させる。
【0057】
<画像配置処理の詳細>
次に、図6に示すステップS30における画像配置処理の詳細について説明する。
図7は、画像配置処理の詳細を示すフローチャートである。
先ず、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、媒体S上において重複するメタリック画像とカラー画像とに対して、重複領域内で各画像の一部を間引いて、それぞれの画像が媒体S上に交互に配置されるようにする(ステップS31)。具体的には、媒体S上の重複領域内において、メタルインクとカラーインクとが同一の画素に重複して噴出されないような画像データを生成する。つまり、メタリック画像に対して間引く対象となる画素と、カラー画像に対して間引く対象となる画素とは、媒体S上において異なる位置になる。
なお、上記したようにメタリック画像とカラー画像の各画像の一部を間引いて媒体S上に交互に配置するのではなく、図6に示すステップS10において、予め媒体S上に交互に配置されるメタリック画像とカラー画像の各画像データをアプリケーションプログラム104から取得するようにしても良い。
【0058】
図8(a)〜(c)は、メタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの例を示す図である。図8(a)は、メタリック画像とカラー画像とが、縞状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。図8(b)は、メタリック画像とカラー画像とが、格子状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。図8(c)は、メタリック画像とカラー画像とが、市松模様状になるように各ドットを間引いて配置した場合に印刷される画像配置パターンの例である。ここで、交互に配置される各画像の幅は、細かくなるほど好ましく、例えば0.01mm〜10mm程度の範囲が好ましい。また、画像配置パターンは、図8(a)に示すような縞状になるようなパターンの方が好ましい。
なお、本実施形態の図面では、メタリック画像の部分を濃い網掛けで示し、カラー画像の部分を薄い網掛けで示している。
【0059】
図7に戻って、次に、プリンタードライバー111は、画像配置処理部114により、ステップS31において生成した、メタリック画像とカラー画像とが交互に配置される画像に対して、当該画像の輪郭領域にカラー画像を配置する(ステップS32)。具体的には、媒体S上において画像の輪郭領域を形成する画素について、カラーインクが噴出されるような画像データを生成する。
【0060】
図9(a)〜(c)は、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の輪郭領域にカラー画像を配置する例を示す図である。図9(a)は、図8(a)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。図9(b)は、図8(b)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。図9(c)は、図8(c)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する例である。
【0061】
図10(a),(b)は、図8(a)に示す画像配置パターンの輪郭領域にカラー画像を配置する方法を示す図である。図10(a)は、画像の輪郭の外側に隣接する領域を輪郭領域とする例を示す図である。図10(b)は、画像の輪郭の内側に隣接する領域を輪郭領域とする例を示す図である。両図において、R1は画像の輪郭を示しており、RAは輪郭領域を示している。
図10(a)では、図8(a)に示すメタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの輪郭R1の外側に輪郭領域RAを設け、当該輪郭領域RAにカラー画像を配置している。このとき、輪郭領域RAのカラー画像は、輪郭R1の内側のカラー画像と同一の色にする。なお、例えば、輪郭R1の内側のカラー画像が1色ではなく複数色の場合は、輪郭領域RAの各部分に最も位置が近いカラー画像の部分と同一の色にする。
【0062】
一方、図10(b)では、図8(a)に示すメタリック画像とカラー画像の画像配置パターンの輪郭R1の内側に輪郭領域RAを設け、当該輪郭領域RAにカラー画像を配置している。このとき、輪郭R1の内側に輪郭領域RAを設けてカラー画像を配置する関係上、輪郭領域RAと重複するメタリック画像の画素については、メタルインクが噴出されないように画像データを変更する。そして、輪郭領域RAのカラー画像は、輪郭領域RAに元々存在するカラー画像の色にする。なお、例えば、輪郭領域RAに元々存在するカラー画像が1色ではなく複数色の場合、元々メタリック画像であった部分については、最も位置が近いカラー画像の部分と同一の色にする。
【0063】
図11(a),(b)は、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示す図である。図11(a)は、メタリック画像とカラー画像との配置を画素単位に示している。図11(b)は、図11(a)におけるAA断面図を示している。図11(a)では、1つの升目が1つの画素を表しており、2画素分の横幅のメタリック画像と2画素分の横幅のカラー画像とが交互に配置されているのが分かる。また、交互に配置されたメタリック画像とカラー画像の周りには、輪郭領域となる2画素分の横幅及び縦幅のカラー画像の画素が配置されている。一方、図11(b)では、媒体S上にメタルインクとカラーインクが噴出されて、それぞれがメタリック画像とカラー画像とを交互に形成しているのが分かる。
【0064】
上述した実施形態において、例えば図9(a)〜(c)に示すように、媒体S上にメタリック画像とカラー画像とが交互に配置されるようにすることで、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。また、従来におけるメタリック画像とカラー画像とを重ねて印刷する方法に比して、印刷時間を短縮することができ、更に、インクの量が節減されることで印刷コストを低減させることができる。
【0065】
また、図9(a)〜(c)に示すように、それぞれの画像の輪郭領域にカラー画像を配置することにより、図8(a)〜(c)と比較した場合に、各画像の輪郭領域となる、媒体Sと画像との境界部分を、ぼやけた印象にすることができる。これにより、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。
【0066】
また、図10(a)では画像の輪郭R1の外側に設けた輪郭領域RAにカラー画像を配置している。これにより、図8(a)に示すメタリック画像の各領域をそのまま維持した状態で、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。一方、図10(b)では画像の輪郭R1の内側に設けた輪郭領域RAにカラー画像を配置している。これにより、図8(a)に示す画像配置パターンの全体の領域の大きさをそのまま維持した状態で、画像全体が媒体S上から浮き上るのを抑制することができる。
【0067】
(変形例1)
上述した実施形態の図10(a),(b)では、それぞれ、画像の輪郭R1の外側と内側の輪郭領域RAにカラー画像を配置する例について説明した。このとき、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅と、輪郭領域RAの内側、即ち輪郭領域RAに囲まれた領域に配置されたカラー画像の線幅とが略等しくなるように輪郭領域RAを設定した。しかし、これに限られず、輪郭領域RAの線幅を更に拡げて、輪郭領域RAの内側に配置されたカラー画像やメタリック画像の線幅よりも太くするようにしても良い。
【0068】
図12は、画像の輪郭R1の内側に設けられた輪郭領域RAの線幅を更に拡げる例を示す図である。図12では、図10(b)と比較して、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅が輪郭領域RAの内側に配置されたカラー画像やメタリック画像の線幅よりも太くなっている。このように、輪郭領域RAに配置されたカラー画像の線幅を太くすることにより、媒体Sと画像との境界部分を更にぼやけた印象にすることができる。これにより、画像全体が媒体S上から浮き上るのを更に抑制することができる。
【0069】
(変形例2)
上述した実施形態の図11(a),(b)では、メタリック画像とカラー画像とからなる画像の例を画素単位に示した。ここでは、2画素分の横幅のメタリック画像と2画素分の横幅のカラー画像とが隙間なく交互に配置されるようにした。しかし、これに限られず、メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けて交互に配置されるようにしても良い。
【0070】
図13は、メタリック画像とカラー画像との間に隙間を設けた画像の例を示す図である。図13(a)は、メタリック画像とカラー画像との配置を画素単位に示している。図13(b)は、図13(a)におけるAA断面図を示している。図13(a),(b)では、メタリック画像とカラー画像との間には1画素分の横幅及び縦幅の空白画像が設けられている。このように、1画素分の空白画像を設けることにより、メタルインクドットとカラーインクドットとの接触が避けられ、両インクドット間における滲みや混色を防止することができる。これにより、印刷時間を短縮しつつ、より高画質な画像の印刷を行うことができる。
【0071】
(変形例3)
上述した実施形態では、カラーインクとしてKCMYの4色のインクを使用して印刷を行う例について説明した。しかし、これに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリア等、KCMY以外のカラーインクを用いて印刷を行うようにしても良い。また、メタルインクとして銀粒子やアルミ粒子を含有するインクの例について説明したが、印刷時に金属光沢を再現できるものであれば、銅や金等の他の粒子を含有するインクを使用することもできる。
【0072】
(変形例4)
上述した実施形態では、インク滴を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子を例示したが、例えば、発熱素子や静電アクチュエーター等の他の素子を用いても良い。
また、ヘッド41をキャリッジ31と共に移動させるタイプのプリンター1の例について説明したが、プリンターはヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであっても良い。
【符号の説明】
【0073】
1…プリンター、20…搬送ユニット、21…給紙ローラー、22…搬送モーター、23…搬送ローラー、24…プラテン、25…排紙ローラー、30…キャリッジユニット、31…キャリッジ、32…キャリッジモーター、40…ヘッドユニット、41…ヘッド、50…検出器群、51…リニア式エンコーダー、52…ロータリー式エンコーダー、53…紙検出センサー、54…光学センサー、60…コントローラー、61…インターフェイス部、62…CPU、63…メモリー、64…ユニット制御回路、100…印刷システム、102…ビデオドライバー、104…アプリケーションプログラム、110…コンピューター、111…プリンタードライバー、112…画像データ取得部、113…解像度変換処理部、114…画像配置処理部、115…色変換処理部、116…ハーフトーン処理部、117…ラスタライズ処理部、120…表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、
前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記輪郭領域に配置された前記カラー画像の線幅は、前記輪郭領域に囲まれた領域に配置された前記カラー画像の線幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の外側に隣接する領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の内側に隣接する領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、
前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像が形成されている印刷物であって、
前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像が配置されていることを特徴とする印刷物。
【請求項7】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷方法であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理工程を有し、
前記画像配置処理工程において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷プログラムであって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理機能を有し、
前記画像配置処理機能において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することをコンピューターに実行させることを特徴とする印刷プログラム。
【請求項1】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、
前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記輪郭領域に配置された前記カラー画像の線幅は、前記輪郭領域に囲まれた領域に配置された前記カラー画像の線幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の外側に隣接する領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記輪郭領域は、前記印刷画像の輪郭の内側に隣接する領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理部を有し、
前記画像配置処理部は、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像が形成されている印刷物であって、
前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像が配置されていることを特徴とする印刷物。
【請求項7】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷方法であって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理工程を有し、
前記画像配置処理工程において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
メタルインクにより形成されたメタリック画像と、カラーインクにより形成されたカラー画像とが媒体上に交互に配置された印刷画像を形成する印刷プログラムであって、
前記メタリック画像と前記カラー画像とを前記印刷画像として配置する画像配置処理機能を有し、
前記画像配置処理機能において、前記印刷画像の輪郭領域に前記カラー画像を配置することをコンピューターに実行させることを特徴とする印刷プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−91284(P2013−91284A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235731(P2011−235731)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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