説明

印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 印刷サーバによる留め置き印刷機能と、印刷装置による留め置き印刷とが併用される場合、出力までに2度の認証操作を必要とするため操作時間が増大してしまう問題が有る。
【解決手段】 ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第1の留め置き印刷手段と、前記ネットワークから受信した印刷データを保持し、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて前記保持された印刷データを印刷する第2の留め置き印刷手段と、前記ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第2の留め置き印刷手段と、前記第1の留め置き印刷手段が有効である場合には、前記第2の留め置き印刷手段を無効とするように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から受信した印刷データを印刷する印刷装置に関し、特に、印刷サーバ又は印刷装置で印刷データを留め置き、印刷装置の操作手段でのユーザ操作に応じて印刷物を出力する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PC(パーソナルコンピュータ)などの外部装置から送信された印刷データを印刷装置又は印刷サーバ等で留め置き、ユーザが印刷装置の操作パネルで操作を行ったことに応じてその印刷データを印刷するシステムが一般的に知られている。このような印刷は一般に「留め置き印刷」と呼ばれている。この留め置き印刷のシステムでは、印刷装置の操作画面でユーザがパスワードを入力したりユーザ認証を行ったりした場合に留め置かれた印刷データを印刷することができるように構成されている。このようなシステムは、例えばその印刷装置がネットワークに接続された共用のプリンタである場合で、他人に見られたくない印刷物を出力したい場合に特に有効である。
留め置き印刷は多数のベンダーがさまざまな方法で実現している。一例として、特許文献1によると、PCで印刷データにパスワードを付加して印刷装置に送信し、印刷データに付加されたパスワードと同じパスワードが印刷装置の操作パネルから入力されたことに従って印刷する方法がある。この留め置き印刷の方法はセキュアプリント、セキュア印刷、機密印刷、プライベートプリントなどと呼ばれることもある。
また留め置き印刷を実現する方法の他の例として、印刷サーバで印刷データをユーザに関連づけて留め置き、印刷装置でICカードをかざすことでユーザ認証を行い、その認証を行ったことに従って、そのユーザが所有者である印刷データを印刷する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−195704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、留め置き印刷のなかには、ネットワークに接続されている印刷サーバで印刷データを留め置き、印刷装置でのユーザ操作に応じて印刷サーバから印刷データを受信して印刷する方法(サーバ留め置き印刷)がある。また留め置き印刷のなかには、パスワード付きの印刷データを印刷装置で留め置き、印刷装置でユーザからのパスワード入力を受け付けたことに応じて上記パスワードが付加された印刷データを印刷する方法(パスワード付き印刷データの印刷)もある。
ところで、印刷サーバに留め置かれた印刷データ自体にパスワードが付加されていた場合には、印刷サーバから印刷データを受信するために必要なユーザ認証等の操作と、パスワードを入力するための操作の、2回のユーザ操作が印刷装置側で必要となる。
このような課題に鑑みて、本発明は、印刷サーバに留め置かれた印刷データを受信したときの動作を好適に行う印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明における印刷装置は、ネットワークと接続可能な印刷装置であって、ユーザの操作を受け付けるための操作手段と、前記ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第1の留め置き印刷手段と、前記ネットワークから受信した印刷データを保持し、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて前記保持された印刷データを印刷する第2の留め置き印刷手段と、前記第1の留め置き印刷手段が有効である場合には、前記第2の留め置き印刷手段を無効とするように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷サーバに留め置かれた印刷データを受信したときの動作を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】PCと印刷サーバと印刷装置とから構成されるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】印刷装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】印刷装置の動作を既定する設定値を模式的に示す図である。
【図4】印刷装置の機能ブロック図である。
【図5】PCにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】PCのプリンタドライバで表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図7】パスワード付き印刷ジョブのパスワードを設定するための画面の一例を示す図である。
【図8】印刷装置において、PC又は印刷サーバから印刷データを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
【図9】印刷装置において、操作パネルでユーザから操作を受け付けた場合の処理を示すフローチャートである。
【図10】印刷装置の操作パネルに表示される、パスワード付き印刷ジョブの選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、本実施形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷データを送信する装置であるPC100と、印刷データを所定の記憶装置に留め置く(保持する)機能を有する印刷サーバ300と、印刷データを受信して印刷する印刷装置200とから構成される。そしてこれらの装置がLAN212を介して互いにデータや情報を送受信可能な構成となっている。
【0010】
印刷装置200は、上述のようにLAN212を介してPC100と印刷サーバ300と接続されており、所定のネットワーク通信プロトコルに従い、PC100及び印刷サーバ300と通信し、いわゆるネットワークプリント機能を実現している。本実施形態では、印刷装置200は、ネットワークプリント機能の他、コピー機能を有する多機能装置(Multi Functional Peripheral)であるものとして説明する。ただし、印刷装置200は、上述のネットワークプリント機能のみを有するSFP(Single Functional Peripheral:単機能装置)であってもよい。
【0011】
PC100はプリンタドライバ及び電子文書を生成するアプリケーションがインストールされている外部装置である。PC100は、上記アプリケーションが生成した電子文書をもとにプリンタドライバによりPDL(Page Description Language)データ(以下、印刷データともいう)を生成し、出力先の装置にLAN212を介して送信する機能を持つ。PC100は、出力先の装置として印刷サーバ300を指定することもできるし印刷装置200を指定することもできる。印刷サーバ300を指定した場合には、印刷データは印刷サーバ300内の記憶装置に留め置かれる。一方PC100は出力先として印刷装置200の指定を受け付けた場合には、PC100は、印刷サーバ300を経由せず印刷装置200に直接印刷データを送信する。
【0012】
印刷サーバ300は、受信した印刷データを一時的に記憶装置に記憶する機能を持つ。そして、印刷装置200で適切なIDが与えられ、その印刷装置200からそのIDを含む印刷データの取得要求があると、印刷サーバ300は、印刷装置200に印刷データを返却する。
【0013】
なお図1のシステムでは、印刷装置200が1台しかLAN212に接続されていないが、複数台の印刷装置200がLAN212に接続されていてもよい。印刷装置200が複数台LAN212に接続されているシステムにおいては、PC100から印刷データを印刷サーバ300に送信しておけば、どの印刷装置からでも印刷物を出力させることができる。 図2は、図1の印刷装置200のハードウェア構成を示す図である。CPU201は、印刷装置200を制御するプロセッサである。ROM202は、CPU201の制御やパネル206の制御、スキャナ210の制御、プリンタ209の制御等を行うためのプログラムコードを格納している。ROM202は、データの書き換え可能なフラッシュROMを用いており、ROM中に格納されているプログラムコードの更新を行うことが可能である。RAM203は、上記制御プログラムコードのワークメモリとして使用される他、プリンタに印刷出力するための画像を一時的に蓄積するために使用される。
【0014】
プリンタ209は、受信した画像データに基づき画像形成を行う。スキャナ210は、原稿を読み取って画像データに変換する。パネル206はユーザから操作を受け付ける各種のキーが設けられ、各種プログラムへの実行指示をユーザが行うことが可能である。またディスプレイ208は、機能や設定などの操作画面を表示する。
【0015】
NIC204は、LAN212に接続するためのインターフェイスであり、印刷データをPC100や印刷サーバ300から受信する。
【0016】
図3は、印刷装置200のROM202に記憶されている、印刷装置200の動作を既定する設定値を模式的に示した図である。
図3に示すように、印刷装置200は、設定値として、サーバ留め置き印刷機能301、パスワード付き印刷ジョブの実行302、サーバ留め置き印刷機能とパスワード付き印刷ジョブの排他制御303、パスワード付き印刷ジョブの実行が禁止されている場合の動作304、に関する値を記憶している。
【0017】
なお、本実施形態で定義しているサーバ留め置き印刷機能とは、PC100から送信された印刷データを印刷サーバ300内の記憶装置で印刷データを留め置き(保持し)、印刷装置200からの操作に従って上記留め置かれた印刷データを受信して印刷する機能のことをいう。なお本実施形態では、サーバ留め置き印刷機能を有効にするためには、ユーザを認証する認証機能が印刷装置200において備わっていることが前提となる。
【0018】
また本実施形態で定義しているパスワード付き印刷ジョブとは、PC100から送信された印刷データにパスワードを付加し、そのパスワード付きの印刷データを印刷するジョブのことをいう。パスワード付き印刷ジョブのデータは、RAM203内の特定の領域に一時的にパスワードとともに記憶される。そして、そのパスワードと同一又は対応するパスワードが印刷装置200の操作パネルから入力されたことに従って印刷される。
【0019】
サーバ留め置き印刷機能301の項目は、印刷サーバ300に留め置かれた印刷データに基づく印刷を可能とするか否かを示す。この設定値が“有効”である場合には、印刷装置200は印刷サーバ300にアクセスして印刷サーバ300から印刷データを受信して印刷することができる(すなわち印刷サーバによる留め置き印刷の方法を行うことができる)。一方、サーバ留め置き印刷機能の設定値が“無効”である場合には、この印刷装置200からは印刷サーバ300にアクセスして印刷データを受信・印刷することはできない。
【0020】
パスワード付き印刷ジョブの実行302の項目は、印刷装置200がパスワード付き印刷ジョブの実行を許可するか禁止するかを設定するための項目である。この項目の設定値が“許可”である場合には、パスワード付き印刷ジョブの実行を許可する。一方、この項目の設定値が“禁止”である場合には、パスワード付き印刷ジョブの実行は禁止され、後述のパスワード付き印刷ジョブの実行が禁止されている場合の動作304に従った動作を行う。本実施形態では、301の設定値と302の設定値は、それぞれ独立に設定することができる。
【0021】
サーバ留め置き印刷機能とパスワード付き印刷ジョブの排他制御303の項目は、サーバ留め置き印刷機能が有効である場合に、パスワード付き印刷ジョブを実行することを禁止するか否かを示す。この設定値が“ON”である場合、サーバ留め置き印刷機能が有効のときは自動的にパスワード付き印刷ジョブの実行が禁止される。この結果、印刷装置200が利用可能な留め置き印刷の方法としてサーバ留め置き印刷に限定される。一方、この設定値が“OFF”である場合には、サーバ留め置き印刷機能が有効である場合でもパスワード付き印刷ジョブの実行が許可される。
【0022】
304の項目は、パスワード付き印刷ジョブの実行が禁止されている場合の動作を既定する設定値である。具体的には、302の設定値として“禁止”が設定されており、304の設定値として“印刷中止”が設定されている場合には、印刷装置200は、パスワード付き印刷ジョブを実行せず、受信した印刷データを削除する。一方、302の設定値として“禁止”が設定されており304の設定値として“強制印刷”が設定されている場合、印刷装置200は、パスワード付き印刷ジョブを通常の印刷ジョブとして扱う。すなわち、受信した印刷データをユーザからパスワードの入力を待つことなく印刷を行う。
【0023】
更に、303の設定値が“ON”の場合であって301の設定値が“有効”の場合、上述した通りパスワード付き印刷ジョブの実行が禁止されるため、この場合にも印刷装置200は304の設定値に従った動作を行う。すなわち、303の設定値が“ON”、301の設定値が“有効”、及び304の設定値が“印刷中止”である場合、印刷装置200は、受信したパスワード付きの印刷ジョブをキャンセルする。一方303の設定値が“ON”、301の設定値が“有効”、及び304の設定値が“強制印刷”である場合、印刷装置200はパスワード付き印刷ジョブを通常の印刷ジョブとして扱う。
【0024】
なお本実施形態では、この301〜304の設定値は、管理者等により適宜書き換えることができる。
【0025】
図4は、図1記載の印刷装置200における機能ブロック図である。なお図4における401〜405は、ROM202に記憶され、CPU201で実行されるファームモジュール構成を示している。
【0026】
図4において、印刷装置200のファームウェアモジュールは、データ入力部401、データ解析部402、ジョブ制御部403、描画部404、データ出力部405から構成され、ROM202に記憶されている。
【0027】
データ入力部401は、LAN212から受信するデータの入り口であり、LAN212から受信した印刷データをデータ解析部402に転送する。PC100にインストールされたプリンタドライバで生成された印刷データ又は印刷サーバ300に格納されていた印刷データは、ネットワークインタフェースカード(NIC)204を通して印刷装置200に入力される。
【0028】
データ解析部402は、データ入力部401から受け取ったPDLデータ(印刷データ)の解析を行う。PC100においてプリンタドライバで設定された内容や印刷データを解析し、その後の描画の準備を行う。ジョブ制御部403は、データ解析部402、描画部404、データ出力部405を通じ、ジョブをステータス別に管理し、制御を行う。描画部404は、データ解析部402の解析結果を元に、イメージデータを作成する。ジョブ制御部403は、描画部404で描画されたイメージデータをRAM203に格納する。格納時には、データ解析部402の解析結果に基づき、ステータス(実行可能状態または認証待ち状態のステータス)を付けて格納する。データ解析部402が印刷データを解析した結果、その印刷データに係る印刷ジョブが通常の印刷ジョブであると判断した場合、ジョブ制御部403は、RAM203内の通常印刷ジョブのデータ記憶領域に実行可能状態のステータスを付けて記憶し、プリンタ209が印刷可能な状態となったときにデータ出力部405にイメージデータを出力させる。一方、データ解析部402が印刷データを解析した結果、その印刷データに係る印刷ジョブがパスワード付き印刷ジョブであると判断した場合には、ジョブ制御部403は、RAM203内のパスワード付き印刷ジョブのデータ記憶領域にイメージデータを認証待ち状態のステータスを付けて記憶する。データ出力部405はイメージデータを受け取り、給紙、印字位置の調整等の制御を行う。そしてイメージデータはプリンタ209により印刷処理される。データ出力部405はイメージデータを受け取り、給紙、印字位置の調整等の制御を行う。そしてイメージデータはプリンタ209により印刷処理される。
【0029】
図5のフローチャートは、PC100により実行される処理を説明するためのフローチャートである。具体的には、PC100のプリンタドライバにより、各種アプリケーションで生成した電子文書からPDLの印刷データを生成し、出力先の装置に送信する際の処理の流れを示した図である。このフローチャートの各ステップを実行するためのプログラムコードはPC100のハードディスクドライブ(不図示)に記憶されておりCPUにより実行されるものである。
【0030】
まず、PC100はプリンタドライバにより表示された図6の印刷設定画面でユーザから所望の印刷設定を受け付ける(ステップS501)。
図6は、PC100にインストールされたプリンタドライバにおける印刷設定画面の一例である。
【0031】
ジョブ種類601は、ジョブ種類の印刷属性を指定する項目である。ジョブ種類として「通常印刷」または「セキュアプリント」のいずれかを指定することができる。「通常印刷」が指定された場合には通常の印刷ジョブとしてジョブが発行され、パスワードなしの印刷データを生成して印刷装置200又は印刷サーバ300に送信する。一方「セキュアプリント」が指定された場合にはパスワード付き印刷ジョブとしてジョブが発行され、パスワードを印刷属性の1つとして印刷データに付加して印刷装置200又は印刷サーバ300に送信する。
【0032】
また、上述のジョブ種類の項目の他、印刷部数、ページレイアウト、配置順、印刷方法、とじ方向等の項目も指定可能であるが、詳細な説明は省略する。
【0033】
図7は、図6の画面に配置されるジョブ種類の項目で「セキュアプリント」が指定された際に表示する画面である。図7の設定画面は、図6と同様プリンタドライバにより表示される。この画面では、文書名701、ユーザ名702、及びパスワード703を設定する。
【0034】
次にPC100のプリンタドライバは、図6(セキュアプリントが指定された場合には図6及び図7)の印刷設定画面を介して受け付けた印刷設定に従い、印刷データを生成する(ステップS502)。なお生成される印刷データには、印刷属性として、ユーザ名、文書名等の情報(セキュアプリントが指定された場合にはパスワード703の情報)等が付加される。そして、出力先として印刷サーバ300が指定されている場合には(ステップS503の判定で“印刷サーバ”である場合)生成した印刷データを印刷サーバ300に送信する(ステップS504)。一方出力先として印刷装置200が指定されている場合(ステップS503の判定で“印刷装置”)には生成した印刷データを印刷装置200に送信する(ステップS505)。なお出力先の指定は、プリンタドライバにより表示された図7の印刷設定画面で指定する方法であってもよいし、出力先ごとに異なるプリンタドライバを起動することでそのプリンタドライバに対応する出力先を指定するようにしてもよい。
【0035】
なおステップS504で印刷サーバ300に印刷データが送信された場合には、その印刷データは、印刷データの印刷属性として付加されたユーザ名毎に関連づけて印刷サーバ300で記憶される。
【0036】
図8は、印刷装置200における処理を説明するためのフローチャートである。具体的には、印刷装置200がPC100又は印刷サーバ300から印刷データを受信した場合の処理を示している。このフローチャートの各ステップを実行するためのプログラムコードはROM202に記憶されており、CPU201により実行されるものである。
【0037】
まず印刷装置200は、NIC204を介して外部から印刷データを受信する(ステップS801)。このとき印刷データとともに印刷属性も受信する。なおステップS801では、印刷サーバ300に留め置かれた印刷データを受信する場合もあるし、PC100から印刷サーバ300を経由せずに送信された印刷データを受信する場合もある。
【0038】
次に印刷装置200は、受信した印刷データがパスワード付き印刷ジョブの印刷データであるか否かを判定する(ステップS802)。この判定は、印刷データとともに受信した印刷属性にパスワードが含まれているか否かに基づき判定する。ステップS802でパスワード付き印刷ジョブであると判定した場合(ステップS802でYES)、ROMに記憶された設定値をROM202から読み出し、サーバ留め置き印刷機能が有効であるか否かを判定する(ステップS803)。すなわち、図3のサーバ留め置き印刷機能301の設定値が“有効”を示す場合には、ステップS803でYESと判定し、S805に進む。一方301の設定値が“無効”を示す場合にはステップS803でNOと判定し、ステップS804に進む。
【0039】
なお本実施形態では、ステップS803で図3の301の設定値を参照することによる判定をしているが、その代わりに、印刷データをどこから受信したのかを特定することに従ってS803の判定を行う構成であってもよい。具体的には、印刷サーバ300から受信した印刷データである場合には、その印刷データは一度印刷サーバ300で留め置かれてユーザの印刷装置200での操作に従って受信した印刷データであるものとして判断し、ステップS803でYESと判定しS805に進む。一方、PC100から受信した印刷データであるときには、その印刷データは印刷サーバ300を経由することなく送信された印刷データであるものとして判断し、ステップS804に進む。
【0040】
ステップS804では、受信した印刷データを元に描画部404によりイメージデータを作成する。そしてジョブ制御部403により、パスワード付き印刷ジョブのデータ記憶領域に、そのイメージデータを、認証待ち状態のステータスを関連づけて記憶する。
【0041】
ステップS805において、印刷装置200は、図3の303の設定値を読み出し、サーバ留め置き印刷機能とパスワード付き印刷ジョブの事項とを排他的に行うか否かを判定する。303の設定値が“ON”である場合にはステップS807に進み、303の設定値が“OFF”である場合にはステップS806に進む。
【0042】
ステップS806において、印刷装置200は、図3の302の設定値を読み出し、パスワード付き印刷ジョブの実行が許可されているかを判定する。302の設定値が“許可”を示している場合にはステップS804に進み、302の設定値が“禁止”を示してる場合にはステップS808に進む。
【0043】
ステップS807において、印刷装置200は、パスワード付き印刷ジョブの実行302の設定値を“禁止”に書き換える。なお既に302の設定値が“禁止”となっている場合にはこの処理は不要である。またステップS807の処理をスキップしてそのままS808に進んでもかまわない。
【0044】
ステップS808において、印刷装置200は、図3の設定値をROM202から読み出し、パスワード付き印刷ジョブの実行が禁止されている場合の動作を特定する。具体的には、304の設定値が“印刷中止”を示す場合には、印刷が中止されたことを示すエラー情報を履歴に残した上でジョブの実行を中断し、受信した印刷データを削除する(ステップS809)。
【0045】
ステップS810の処理は、印刷ジョブが通常の印刷ジョブである場合(ステップS802でNOの場合)、あるいは印刷ジョブがパスワード付き印刷ジョブであるがそのパスワード付き印刷ジョブが禁止されている場合の処理である。ステップS810においては、ステップS801で受信した印刷データを元にイメージデータを作成し、RAM203内の、通常の印刷ジョブのデータ記憶領域に記憶し、プリンタ209の印刷準備が出来次第印刷を行う。
【0046】
図9は、印刷装置200における処理を説明するためのフローチャートである。図9のフローチャートは、印刷装置200の操作パネル206でユーザから操作を受け付けたことにより処理が開始されるものである。このフローチャートの各ステップを実行するためのプログラムコードはROM202に記憶されており、CPU201により実行されるものである。
【0047】
まずステップS901で、印刷装置200は、ユーザから認証のための操作を受け付けたか否かを判定する。具体的には、図10(a)の画面がディスプレイ208に表示されている状態で、ICカードリーダ(不図示)を用いてICカードがかざされたことを検知する。あるいは図10(b)の画面がディスプレイ208に表示されている状態で、ユーザから操作パネル206のキー押下でユーザのIDが入力されたことを検知する。このような方法で認証のための操作を受け付けた場合には、ステップS901でYESと判定し、ステップS902に進む。
【0048】
次にステップS902において、印刷装置200は、不図示の認証画面を表示し、ユーザから認証のためのIDを受け付ける。認証のためのIDを受け付ける方法は、操作パネル206を介してユーザからIDの入力を受け付ける方法であってもよいし、ICカードリーダを用いてICカードに記憶されたユーザの識別情報を読み出して取得する方法であってもよい。また、磁気カードによる認証方法や生体認証方法等を用いてユーザを識別する情報を取得してもよい。
【0049】
次に、認証画面を介して受け付けたIDに基づきユーザの認証を行う。具体的には、印刷装置内に記憶されているユーザ認証データベースに基づいて、上記識別情報により識別されるユーザが印刷装置を利用することが許可されているユーザであるかを認証する。許可されているユーザであると判断した場合には、認証OKと判断し、ステップS903に進む。許可されていない場合には認証NGと判断し、認証が失敗したことを示す画面を表示した後にステップS901に戻る。
【0050】
認証がOKであった場合に、ステップS903で、印刷装置200は印刷サーバ300に対して接続処理を実行し、印刷サーバ300の印刷キューに留め置かれている印刷データであって、認証されたユーザのIDに関連づけられている印刷データの一覧情報を取得する。なお印刷データ自体は、実際にはこの時点ではまだ印刷サーバから取得せず、印刷データの印刷属性(印刷データのファイル名(文書名)、カラー/グレースケール/白黒、印刷ページ数、部数、ファイルフォーマット、印刷料金など)のリストを取得する。そして印刷装置200は、取得した印刷ジョブのリストをディスプレイ208に表示する(ステップS904)。
【0051】
そしてステップS905において、印刷装置200は、ディスプレイ208に表示されたリストで、ユーザから所望する印刷ジョブの選択を受け付ける。そして印刷装置200は、選択された印刷ジョブの印刷データを印刷する指示を印刷サーバ300に送信する。この送信を印刷サーバ300が受けた場合には、その印刷指示に含まれる印刷ジョブの印刷データを印刷装置200へ送信する。
【0052】
ステップS906において、ユーザから、印刷装置200に留め置かれた印刷データを印刷する操作を受け付けたか否かを判定する。この判定の結果YESの場合には、ステップS907に進み、印刷装置200のRAM203内に記憶されているパスワード付き印刷ジョブの選択画面をディスプレイ208に表示する。
【0053】
図10に、パスワード付き印刷ジョブの選択画面の例を示す。この選択画面は、ジョブ制御部403により認証待ち状態のステータスが付けられ、RAM203のパスワード付き印刷ジョブのデータ記憶領域に記憶されたデータをリストとして表示したものである。この選択画面のなかから所望する印刷ジョブの選択をユーザから受け付けると、ユーザからパスワードを受け付ける画面に遷移し(ステップS908)、パスワードの入力を促す。
【0054】
ステップS909において、印刷装置200は、受け付けたパスワードと、データに付加されているパスワードとが一致するかを判定する。一致する場合には(ステップS909でYES)、ジョブ制御部403により、該当する印刷ジョブのイメージデータを、パスワード付き印刷ジョブのデータ記憶領域から通常の印刷ジョブのデータ記憶領域に移動し、図8のステップ810に進む。
【0055】
ステップS910は、ステップS906で留め置き印刷のための操作以外の操作(例えば、コピー処理、ファックス処理、スキャンして送信する処理等)をパネル206を介して受け付けたと判定した場合の処理である。パネル206を介して上述の操作をユーザから受け付けた場合には、その操作に従った処理を印刷装置200が実行する。そして実行した処理に関する履歴を記憶する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によると、印刷サーバ300に留め置かれた印刷データを印刷する方法と、印刷装置200に留め置かれたデータを印刷する留め置き印刷の方法の両方を利用可能なシステムを構築することができる。
【0057】
更に本実施形態のサーバ留め置き印刷機能によると、印刷サーバ300に留め置かれた印刷データの印刷を行うためにユーザを認証し、その認証されたユーザに関連づけられた印刷データをどの装置からでも取得することを可能としている。この結果、他人に印刷物を見られることなくどの場所からでも印刷物を出力させることを可能としている。
【0058】
更に本実施形態によると、サーバ留め置き印刷機能が有効になっている場合にはパスワード付き印刷ジョブの実行を制限する構成となっている(ステップS802〜810参照)。この構成としたことにより、一度認証処理を行った後に再度印刷装置200内でデータが留め置かれることを防止している。すなわち、ユーザが一度認証のための操作を行っているにも関わらず再度ユーザにパスワードを入力させることを防止している。そのためユーザによる認証のための操作時間が増大してしまうことを防ぐことができる。
【0059】
更に本実施形態によると、パスワード付き印刷ジョブを制限する方法として、パスワード付き印刷ジョブを通常の印刷ジョブとして実行するか、ジョブの実行を中断するかを選択できる構成となっている(ステップS808〜S810参照)。この結果、サーバ留め置き印刷機能が有効な場合においてパスワード付き印刷ジョブが投入された際にどのような動作を行うかを複数の候補から選択することができる。
【0060】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0061】
100 PC(パーソナルコンピュータ)
200 印刷装置
300 印刷サーバ
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 NIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと接続可能な印刷装置であって、
ユーザの操作を受け付けるための操作手段と、
前記ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第1の留め置き印刷手段と、
前記ネットワークから受信した印刷データを保持し、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて前記保持された印刷データを印刷する第2の留め置き印刷手段と、
前記ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第2の留め置き印刷手段と、
前記第1の留め置き印刷手段が有効である場合には、前記第2の留め置き印刷手段を無効とするように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1の留め置き印刷手段によって保持される印刷データにはパスワードが付加されており、前記第1の留め置き印刷手段は、前記操作手段でユーザから前記印刷データに付加されているパスワードに対応するパスワードを受け付けたことに応じて印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
ユーザを認証する認証手段を更に有し、
前記第2の留め置き印刷手段は、前記認証手段によってユーザが認証されたことに応じて、その認証されたユーザに関連づけられた印刷データを受信することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記パスワードが付加された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けることなく印刷することによって、前記第2の留め置き印刷手段を無効とすることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記パスワードが付加された印刷データの印刷を禁止することによって、前記第2の留め置き印刷手段を無効とすることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
ネットワークと接続する印刷装置の制御方法であって、
操作手段が、ユーザの操作を受け付けるための操作ステップと、
第1の留め置き印刷手段が、前記ネットワーク上の印刷サーバに保持された印刷データを、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて受信して印刷する第1の留め置き印刷ステップと、
第2の留め置き印刷手段が、前記ネットワークから受信した印刷データを保持し、前記操作手段でユーザから操作を受け付けたことに応じて前記保持された印刷データを印刷する第2の留め置き印刷ステップと、
前記第1の留め置き印刷手段が有効である場合には、前記第2の留め置き印刷手段を無効とするように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の印刷装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18209(P2013−18209A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153891(P2011−153891)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】