説明

印刷装置、印刷装置の制御方法およびプログラム

【課題】返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断でき、且つ返品処理を円滑に行うための印刷を行い得る印刷装置、印刷装置の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】会計処理部11による商品の会計処理に伴って出力される会計情報を取得する会計情報取得部21と、会計情報取得部21により会計情報を取得した場合、販売店舗を識別可能な店舗識別情報を含む販売情報を、対象商品に印刷する販売情報印刷部41と、を備え、販売情報印刷部41は、通常光下において対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の小売店やファミリーレストラン等の飲食店内において、顧客による不正行為を防止するための印刷装置、印刷装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客による不正行為の防止策として、特許文献1が提案されている。当該特許文献1は、顧客に付与するポイントを累計管理して、累計ポイント数に応じたサービスを提供するポイント管理システムに関する。このサービスを利用した不正行為として、商品購入に対して付与されたポイントを用いてサービスを受けた後、故意に商品の返品処理を行う、といった手口が知られている。そこで、当該ポイント管理システムでは、このような不正行為を繰り返す顧客を特定し、店舗が被る損害を未然に防ぐことを課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−181500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の手口に類似した顧客の不正行為として、ディスカウントショップなどで安価に購入した商品を、定価販売している他の店舗に返品し、その差額による利益を得る手口が知られている。この不正行為では、レシートを偽造して、あたかもその店舗で購入したように見せかける巧妙な手口が用いられることもあり、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか、他店舗で購入された商品であるのかの判断が非常に困難であった。また、紛失などによってレシートが存在しない場合は、膨大な販売履歴を記録した記録データーベースから該当商品の販売履歴を検索する必要があり、返品処理に時間を要するといった問題もあった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断でき、且つ返品処理を円滑に行うための印刷を行い得る印刷装置、印刷装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、商品の会計処理に伴って出力される会計情報を取得する会計情報取得部と、会計情報取得部により会計情報を取得した場合、販売店舗を識別可能な店舗識別情報を含む販売情報を、対象商品に印刷する販売情報印刷部と、を備え、販売情報印刷部は、通常光下において対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の印刷装置の制御方法は、印刷装置が、商品の会計処理に伴って出力される会計情報を取得する会計情報取得ステップと、会計情報を取得した場合、販売店舗を識別可能な店舗識別情報を含む販売情報を、対象商品に印刷する販売情報印刷ステップと、を実行し、販売情報印刷ステップでは、通常光下において対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷を行うことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、対象商品に対し、店舗識別情報を含む販売情報を印刷するため、その商品が自店舗で販売した商品であるのか、他店舗で購入された商品であるのかを迅速に判断することができる。また、販売情報は、対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷されるため、通常光下において目視可能であれば、返品可能であると判断することができる。これにより、返品処理を円滑に行うことができる。
【0009】
上記に記載の印刷装置において、経時変化インクは、対象商品の返品可能期間を経過した後、特殊光下でのみ目視可能なインクであることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、対象商品の返品可能期間を経過した後も、特殊光の照射により販売情報を確認することができる。これにより、例えば対象商品が電化製品の場合、修理の際などに販売情報を確認できるため便利である。
【0011】
上記に記載の印刷装置において、各商品の返品可能期間が記録された返品可能期間記憶部をさらに備え、販売情報印刷部は、返品可能期間記憶部を参照し、対象商品の返品可能期間に応じた印刷方法で印刷を行うことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、対象商品の返品可能期間に応じた印刷方法で印刷を行うため、商品に応じて返品可能期間が異なる場合でも、特別な操作を必要とすることなく、対象商品の返品可能期間だけ目視可能な印刷を行うことができる。
【0013】
上記に記載の印刷装置において、経時変化タイミングが異なる複数種類の経時変化インクを収容するインク収容部と、各商品について、その返品可能期間に対応する経時変化タイミングの経時変化インクを示すインク識別情報が記録されたインク識別情報記憶部と、をさらに備え、販売情報印刷部は、インク識別情報記憶部を参照し、対象商品に対応するインク識別情報によって識別される経時変化インクを用いて印刷を行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、対象商品の返品可能期間に相当する経時変化タイミングの経時変化インクを用いるため、商品に応じて返品可能期間が異なる場合でも、特別な操作を必要とすることなく、対象商品の返品可能期間だけ目視可能な印刷を行うことができる。
【0015】
上記に記載の印刷装置において、販売情報は、販売日時、会計処理番号、返品可能期間および保証期間のうち、少なくとも1の情報を含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、販売日時や会計処理番号を印刷することにより、販売履歴を検索し、自店舗で販売したものであるか否かを確かめることができる。また、返品可能期間を印刷することにより、環境等により経時変化タイミングが変化してしまった場合でも、正確な返品可能期限を特定することができる。なお、返品可能期間ではなく、返品可能期限を印刷しても良い。また、保証期間を印刷することにより、顧客が保証書を紛失した際、その代用として利用することができる。
【0017】
上記に記載の印刷装置において、会計情報取得部により取得した会計情報を、レシート用紙に印刷するレシート印刷部をさらに備えたことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、レシートプリンターによって、本発明を実現することができる。これにより、会計処理を行う装置(POS端末)に変更を加える必要がないため、本発明の導入が容易である。
【0019】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の印刷装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0020】
このプログラムを用いることにより、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断でき、且つ返品処理を円滑に行うための印刷を行い得る印刷装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る店舗監視システムのブロック図である。
【図2】ハンディプリンターの外観図である。
【図3】製造銘版への印刷例を示す図である。
【図4】返品可能期間記憶部の一例を示す図である。
【図5】ノズル径の異なる複数の吐出ノズル列を有する印刷ヘッドの一例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る店舗監視システムの販売情報印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る店舗監視システムのブロック図である。
【図8】インク識別情報記憶部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照し、本発明の印刷装置、印刷装置の制御方法およびプログラムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、本発明の印刷装置を、店舗監視システムに適用した場合について例示する。当該店舗監視システムは、スーパーマーケット等の小売店内において、顧客による不正行為を検出するべく構築されたものである。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る店舗監視システムSYのブロック図である。同図に示すように、店舗監視システムSYは、会計処理を行うPOS端末1と、レシート(図示省略)を発行するレシートプリンター2と、会計対象となる対象商品80に貼付または印刷された商品バーコード83(図3参照)を読み取るハンディスキャナー3と、対象商品80に販売情報S(図3参照)を印刷するハンディプリンター4と、店舗監視システムSYを統括する店舗管理サーバー5と、から成る。POS端末1とレシートプリンター2およびハンディスキャナー3、レシートプリンター2とハンディプリンター4は、それぞれシリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)により接続されている。また、POS端末1、レシートプリンター2および店舗管理サーバー5は、店舗内LAN6(有線LANまたは無線LAN)により接続されている。
【0024】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウンター10が設置されている場合、レジカウンター10ごとに、POS端末1等が設けられる。また、請求項における「印刷装置」は、上記の構成要素のうち、レシートプリンター2、ハンディプリンター4および店舗管理サーバー5から成る。
【0025】
POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部11を有している。会計処理部11は、POSアプリケーション(図示省略)を主要部とするものであり、精算処理等の会計処理を実行する。また、それらの処理結果を、会計情報(トランザクションデーター)としてレシートプリンター2に出力する。また、ハンディスキャナー3は、商品バーコード83を読み取り、その読取結果をPOS端末1に出力する。
【0026】
レシートプリンター2は、主な機能構成として、会計情報取得部21、印刷データー生成部22およびレシート印刷部23を有している。会計情報取得部21は、POS端末1(会計処理部11)から出力された会計情報を取得する。
【0027】
印刷データー生成部22は、会計情報取得部21が取得した会計情報に基づいて、レシートに印刷するべきレシート印刷データーを生成する。また、印刷データー生成部22は、取得した会計情報が、販売情報Sの印刷が必要な商品に関するものであるか否かを判別し、販売情報Sの印刷が必要な商品に関するものであると判定した場合は、販売情報Sを印刷するための販売情報印刷データーを生成する。ここで、販売情報Sの印刷が必要な商品であるか否かは、対象商品80が特定の商品分類に属するものであるか(例えば、電化製品など)、対象商品80の金額が所定額を超えるものであるか、などに基づいて判定する。なお、販売情報Sとは、顧客による不正返品(他店で安価に購入した商品を返品して現金を受け取り、その差額による利益を得る手口)を検出すべく、対象商品80に印刷される情報である。また、印刷データー生成部22は、販売情報Sを印刷する際の印刷方法を決定する。印刷方法については、後に詳述する。一方、レシート印刷部23は、印刷データー生成部22によって生成されたレシート印刷データー(会計情報)をレシート用紙に印刷し、レシートを発行する。
【0028】
ハンディプリンター4は、主な機能構成として、販売情報印刷部41、ブラックライト照射部42、走査速度検出部43およびインク収容部44を有している。販売情報印刷部41は、対象商品80の外箱または商品本体に設けられた製造銘版81(図2,図3参照)に、販売情報Sを印刷する。本実施形態では、手動走査方式且つインクジェット方式により印刷を行う。また、インクとしては、特定の期間だけ目視可能であって、当該特定の期間を経過した後は、特殊光下でのみ目視可能な経時変化インクを用いる。なお、特定の期間とは、対象商品80の返品可能期間を指し、特殊光とは、ブラックライトを指す。また、経時変化インクとしては、ステルスインクを用いる。これにより、店員は、顧客が商品の返品を申請した場合、販売情報Sが視認可能であるか否かによって、その商品が返品可能であるか否かを、容易に判断することができる。つまり、通常光下で目視可能な場合は、その商品の返品可能期間内であると判断することができる。また、印刷された販売情報Sから、その商品が自店舗で購入されたものであるか否かを判断することができる。
【0029】
ブラックライト照射部42は、返品可能期間経過後に販売情報Sを確認するためのものであり、対象商品80を暗所に置いた状態で、製造銘版81に対しブラックライトを照射する。これにより、通常光下では目視不能な販売情報Sが蛍光に光り、視認可能となる。
【0030】
走査速度検出部43は、ハンディプリンター4が手動走査方式であることから、走査速度を検出するために設けられている。上記の販売情報印刷部41は、当該走査速度検出部43の検出結果を受けて、インクの吐出タイミングを制御する。
【0031】
インク収容部44は、上記のステルスインクを収容し、当該ステルスインクを販売情報印刷部41に供給する。なお、インク収容部44は、ハンディプリンター4に対し、インクタンクごと交換可能としても良いし、インクのみを詰め替える構成としても良い。
【0032】
一方、店舗管理サーバー5は、主な機能構成として、返品可能期間記憶部51を有している。返品可能期間記憶部51は、商品ごとに、返品可能期間と、当該返品可能期間に応じた印刷方法と、を記録したものである。本実施形態では、販売情報印刷部41が、返品可能期間記憶部51によって定められた印刷方法で印刷を行うことで、対象商品80の返品可能期間だけ目視可能な販売情報Sを印刷可能となっている。詳細については、後述する。
【0033】
次に、図2を参照し、ハンディプリンター4の構成について説明する。同図は、ハンディプリンター4を側面から見た外観図である。このハンディプリンター4は、片手で把持可能な小型且つ略角柱状の筐体を成しており、筐体内には、上記の販売情報印刷部41、ブラックライト照射部42、走査速度検出部43およびインク収容部44を有している。販売情報印刷部41は、印刷ボタン71が押下された後、ハンディプリンター4本体が、操作者に対して左側から右側に向かって(図示下側から上側に向かって,走査方向)手動移動されることで印字を行う。また、ブラックライト照射部42は、照射ボタン72が押下されることで、ブラックライトを照射する。また、走査速度検出部43は、ハンディプリンター4が移動されることにより、ハンディプリンター4の下端部手前側(操作者から見た手前側、図示下側)に取り付けられたホイール73が印刷対象に接触して回転し、そのシャフト部に設けられたシャフトエンコーダーによって、走査速度を検出する。また、インク収容部44は、販売情報印刷部41の上部に設けられ、インク供給路74を介して、販売情報印刷部41にステルスインクを供給する。
【0034】
次に、図3を参照し、販売情報Sの印刷について説明する。同図は、製造銘版81に、販売情報Sが印刷された対象商品80の外観図である。上記したとおり、販売情報Sの印刷が必要な商品には、予め製造銘版81が取り付けられている。オペレーターが、精算処理時に、ハンディスキャナー3を用いて対象商品80の商品バーコード83を読み取ると、POS端末1は、その読取結果に基づいて会計情報を生成する。そして、レシートプリンター2が、当該会計情報から販売情報Sの印刷が必要であると判定した場合、ハンディプリンター4により、販売情報Sが印刷される。
【0035】
販売情報Sとしては、同図に示すように、販売店名(店舗識別情報)、販売日、レシート番号(会計処理番号)、返品可能期間および保証期間が印刷される。なお、同図は、対象商品80の返品可能期間内(同図の例では、販売日から7日以内)の状態を示しているため、販売情報Sが目視可能となっている。
【0036】
このように、販売情報Sとして販売店名が印刷されることにより、返品申請があった場合、その商品が自店舗で販売した商品であるのか否かを店員が迅速に判断することができる。また、販売日やレシート番号が印刷されることにより、販売履歴を検索し、自店舗で販売されたものであるか否かを正確に確認することができる。また、返品可能期間が印刷されることにより、環境等により経時変化タイミングが変化してしまった場合や、返品期限日の直前、直後など、販売情報Sがわずかに視認できるような不明確な状態の場合でも、正確な返品可能日を特定することができる。なお、返品可能期間ではなく、返品可能期限(○月○日)を印刷しても良い。また、保証期間が印刷されることにより、顧客が保証書を紛失した際、その代用として利用することができる。
【0037】
次に、図4を参照し、返品可能期間記憶部51の記憶内容について説明する。同図に示すように、返品可能期間記憶部51は、商品ごとに、返品可能期間と、印刷方法と、を対応付けて記憶している。例えば、同図の例では、「商品A」が対象商品80となった場合、販売情報印刷部41は、「商品A」の返品可能期間に対応する印刷方法「第1の印刷方法」で印刷を行う。なお、同図の例では、印刷方法として、「第1の印刷方法」と「第2の印刷方法」を挙げているが、これらは、圧電素子(販売情報印刷部41がピエゾ方式を採用している場合、ピエゾ素子)に印加する印加電圧(電圧値、波形)が異なる。これにより、「第1の印刷方法」で印刷された販売情報Sは、印刷後7日頃に目視不能となり、「第2の印刷方法」で印刷された販売情報Sは、印刷後14日頃に目視不能となる。
【0038】
なお、図5に示すように、販売情報印刷部41が、ノズル径の異なる複数の吐出ノズル列91,92を有する印刷ヘッド90を有している場合、「第1の印刷方法」と「第2の印刷方法」で、使用する吐出ノズル列91,92を可変しても良い。この場合、「第1の印刷方法」では、ノズル系の小さい吐出ノズル列91を使用し、「第2の印刷方法」では、ノズル系の大きい吐出ノズル列92を使用する。
【0039】
次に、図6のフローチャートを参照し、販売情報Sの印刷処理について説明する。店舗監視システムSY(レシートプリンター2)は、POS端末1から会計情報を取得すると(S11,会計情報取得部21)、会計処理の対象となっている対象商品80が、販売情報Sの印刷を必要とする商品であるか否かを判別する(S12)。具体的には、対象商品80が特定の商品分類に属し、且つ所定額を超える場合、販売情報Sの印刷を必要とする商品であると判定する。ここで、これらの条件を満たす場合(S12:Yes)、販売情報印刷データーを生成する(S13)。また、上記の条件を満たさない場合は(S12:No)、販売情報Sの印刷を行うことなく、処理を終了する。
【0040】
販売情報印刷データーを生成すると、続いて、店舗管理サーバー5の返品可能期間記憶部51(図4参照)を参照し、販売情報Sの印刷方法を決定する(S14)。なお、S12ないしS14は、印刷データー生成部22により実行される工程である。その後、ハンディプリンター4は、印刷ボタン71が押下されたか否かを判別し(S15)、押下された場合は(S15:Yes)、生成された販売情報印刷データーに基づき、決定した印刷方法で販売情報Sを印刷する(S16)。また、印刷ボタン71が押下されていない場合は(S15:No)、押下待ち状態となる(S15に戻る)。なお、S15およびS16は、販売情報印刷部41により実行される工程である。
【0041】
なお、上記のフローチャートでは、レシートの印刷について言及していないが、レシート印刷部23は、印刷データー生成部22で生成されたレシート印刷データーに基づいて、レシート印刷を行う。ここで、レシートに複数商品の会計情報が印刷された場合、S12では、商品ごとに販売情報Sの印刷の有無を判別する。また、S12において、販売情報Sの印刷が必要であると判定された商品が複数ある場合は、印刷ボタン71の押下ごとに、1商品ずつ販売情報Sの印刷を行う。また、対象商品80が保証書の発行を必要とする場合は、レシート印刷部23により、レシートに続けて保証書を印刷する。但し、会計処理部11(POSアプリケーション)が、レシートとは別に保証書を発行する仕様の場合は、レシートのみを印刷する。なお、対象商品80への販売情報Sの誤印刷を防止するため、1商品ずつ会計を行うように制限処理を行っても良い。例えば、取得した会計情報の中に、販売情報Sの印刷が必要であると判定された商品が複数存在する場合は、2つ目の商品の商品バーコード83の読取直後にエラー報知を行う、などが考えられる。
【0042】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る店舗監視システムSYによれば、対象商品80に対して販売情報Sを印刷するため、その商品が自店舗で販売した商品であるのか否かを、店員が迅速に判断することができる。また、販売情報Sは、通常光下において対象商品80の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷されるため、目視可能であれば、返品可能であると判断することができる。これにより、返品処理を円滑に行うことができる。さらに、当該経時変化インクとして、対象商品80の返品可能期間を経過した後、ブラックライト照射下でのみ目視可能なステルスインクを用いるため、対象商品80の返品可能期間を経過した後も、ブラックライトの照射により販売情報Sを確認することができる。これにより、例えば対象商品80が電化製品の場合、修理の際などに販売情報Sを確認できるため便利である。
【0043】
また、本実施形態の販売情報印刷部41は、ハンディプリンター4により実現されるため、固定式のプリンターを用いる場合よりも、手軽に印刷を行うことができる。これにより、精算処理時におけるオペレーターの業務負荷を軽減することができる。また、また、販売情報印刷部41は、対象商品80の返品可能期間に応じた印刷方法で印刷を行うため、多様な商品を扱うホームセンターや百貨店など、返品可能期間が異なる商品を販売する店舗でも、特別な操作を必要とすることなく、対象商品80の返品可能期間だけ目視可能な印刷を行うことができる。
【0044】
また、ハンディプリンター4は、レシートプリンター2に接続される構成であるため、レシートプリンター2を主幹として、店舗監視システムSYを構築することができる。これにより、POS基幹ネットワーク(POS端末1を主幹としたネットワーク)のトラフィックに影響を与えることがない。また、既存のPOSシステムに本発明を適用する際、POS基幹ネットワーク自体の変更が不要となる。
【0045】
なお、上記の実施形態では、レシートプリンター2にハンディプリンター4を接続する構成としたが、POS端末1に接続する構成としても良い。また、返品可能期間記憶部51を店舗管理サーバー5内に備える構成としたが、レシートプリンター2内またはPOS端末1に備える構成としても良い。
【0046】
また、上記の実施形態では、販売情報印刷部41を、ハンディプリンター4により実現したが、固定式のプリンターによって実現しても良い。また、ブラックライト照射部42を、ハンディプリンター4に搭載したが、別装置としても良い。
【0047】
また、販売情報印刷部41は、インクジェット方式によって印刷を行ったが、熱転写方式など、他の印刷方式を用いても良い。また、使用インクについても、ステルスインクに限らず、他の経時変化インク(経時変化塗料)を用いても良い。
【0048】
[第2実施形態]
次に、図7および図8を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、対象商品80の返品可能期間に対応する経時変化タイミングの経時変化インクを用いて、販売情報Sを印刷することを特徴とする。そこで、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0049】
図7は、第2実施形態に係る店舗監視システムSYのブロック図である。本実施形態は、第1実施形態と比較して、ハンディプリンター4内に、第1インク収容部44および第2インク収容部44bの2つのインク収容部44を備えた点が異なる。また、店舗管理サーバー5内に、インク識別情報記憶部52を備えた点が異なる。
【0050】
第1インク収容部44aおよび第2インク収容部44bは、それぞれ経時変化タイミングが異なる経時変化インクを収容している。本実施形態の印刷データー生成部22は、上記のインク識別情報記憶部52を参照し、上記2つのインク収容部44a,44bから供給されるインクのうち、印刷に用いるインクを決定する。また、本実施形態の販売情報印刷部41は、印刷データー生成部22により決定されたインクを用いて、販売情報Sを印刷する。
【0051】
図8は、インク識別情報記憶部52の一例を示す図である。同図に示すように、インク識別情報記憶部52は、商品ごとに、返品可能期間と、使用インク(インク識別情報)と、を対応付けて記憶している。例えば、同図の例では、「商品A」が対象商品80となった場合、販売情報印刷部41は、「商品A」の返品可能期間「7日」を経時変化タイミングとするインク「コード01」で印刷を行う。なお、「コード01」とは、第1インク収容部44aの識別情報である。つまり、第1インク収容部44aから供給される「コード01」のインクで印刷された販売情報Sは、印刷後7日頃に目視不能となり、第2インク収容部44bから供給される「コード02」のインクで印刷された販売情報Sは、印刷後14日頃に目視不能となる。
【0052】
なお、本実施形態に係る販売情報Sの印刷処理は、図6に示したフローチャートのS14を、「インク識別情報記憶部52を参照し、販売情報Sを印刷するための使用インクを決定する」に置き換えることで実現可能であるため、フローチャートの添付を省略する。
【0053】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る店舗監視システムSYによれば、対象商品80の返品可能期間に相当する経時変化タイミングの経時変化インクを用いるため、商品に応じて返品可能期間が異なる場合でも、複雑な制御、並びにオペレーターの特別な操作を必要とすることなく、通常光下において対象商品80の返品可能期間だけ目視可能な印刷を行うことができる。
【0054】
なお、上記の第1実施形態と第2実施形態を組み合わせ、さらに多様な返品可能期間に対応できるようにしても良い。例えば、返品可能期間が「7日」の対象商品80については、「コード01」のインク且つ「第1の印刷方法」で販売情報Sを印刷する。また、返品可能期間が「10日」の対象商品80については、「コード02」のインク且つ「第1の印刷方法」で販売情報Sを印刷する。さらに、返品可能期間が「14日」の対象商品80については、「コード01」のインク且つ「第2の印刷方法」で販売情報Sを印刷し、返品可能期間が「21日」の対象商品80については、「コード02」のインク且つ「第2の印刷方法」で販売情報Sを印刷する、などが考えられる。
【0055】
また、返品可能期間と、使用インクおよび印刷方法との関係を、レシートプリンター2や店舗管理サーバー5に備えられた操作部(図示省略)を用いて、ユーザーが設定可能としても良い。
【0056】
また、上記の各実施形態に示した店舗監視システムSYの処理工程(販売情報Sの印刷処理)をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗監視システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0057】
また、上記の各実施形態では、本発明の印刷装置を、店舗内における顧客の不正防止のために用いたが、他の用途(顧客サービス)を目的としても良い。また、店舗管理サーバー5の各部を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。その他、上述した実施例によらず、店舗監視システムSYのシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…POS端末 2…レシートプリンター 3…ハンディスキャナー 4…ハンディプリンター 5…店舗管理サーバー 11…会計処理部 21…会計情報取得部 22…印刷データー生成部 23…レシート印刷部 41…販売情報印刷部 42…ブラックライト照射部 43…走査速度検出部 44…インク収容部 44a…第1インク収容部 44b…第2インク収容部 51…返品可能期間記憶部 52…インク識別情報記憶部 71…印刷ボタン 72…照射ボタン 73…ホイール 74…インク供給路 80…対象商品 81…製造銘版 83…商品バーコード S…販売情報 SY…店舗監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の会計処理に伴って出力される会計情報を取得する会計情報取得部と、
前記会計情報取得部により前記会計情報を取得した場合、販売店舗を識別可能な店舗識別情報を含む販売情報を、対象商品に印刷する販売情報印刷部と、を備え、
前記販売情報印刷部は、通常光下において前記対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記経時変化インクは、前記対象商品の返品可能期間を経過した後、特殊光下でのみ目視可能なインクであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
各商品の返品可能期間が記録された返品可能期間記憶部をさらに備え、
前記販売情報印刷部は、前記返品可能期間記憶部を参照し、前記対象商品の返品可能期間に応じた印刷方法で印刷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
経時変化タイミングが異なる複数種類の前記経時変化インクを収容するインク収容部と、
各商品について、その返品可能期間に対応する経時変化タイミングの前記経時変化インクを示すインク識別情報が記録されたインク識別情報記憶部と、をさらに備え、
前記販売情報印刷部は、前記インク識別情報記憶部を参照し、前記対象商品に対応するインク識別情報によって識別される前記経時変化インクを用いて印刷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記販売情報は、販売日時、会計処理番号、返品可能期間および保証期間のうち、少なくとも1の情報を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記会計情報取得部により取得した前記会計情報を、レシート用紙に印刷するレシート印刷部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷装置が、
商品の会計処理に伴って出力される会計情報を取得する会計情報取得ステップと、
前記会計情報を取得した場合、販売店舗を識別可能な店舗識別情報を含む販売情報を、対象商品に印刷する販売情報印刷ステップと、を実行し、
前記販売情報印刷ステップでは、通常光下において前記対象商品の返品可能期間だけ目視可能な経時変化インクを用いて印刷を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
コンピューターに、請求項7に記載の印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−126014(P2011−126014A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283746(P2009−283746)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】