説明

印刷装置、及び、印刷方法

【課題】カラーインクとメタルインクとを用いた印刷を行う際に、印刷スピードを落とすことなく、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現する。
【解決手段】カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、カラー画像を示すカラー画像データに基づいて生成され、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて生成され、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データと、を用いて画像を印刷する印刷装置であって、前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を噴出して媒体上にインク滴(ドット)を着弾させることで記録を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置では、一般的なカラーインク(例えばKCMYの各色インク)の他に、顔料としてアルミニウム微粒子等の金属粒子を含むメタルインクを用いて印刷が行われることがある。
【0003】
メタルインクを用いたメタリック印刷では、該メタルインク中に含有される金属粒子の量の大小によって印刷物の金属光沢と色調とのバランスが変化するために、所望の色調で良好な金属光沢を有するメタリック印刷を実現することは難しかった。これに対して、アルミニウム粉を含有するメタルインクを用いた印刷において、該メタルインクの印刷形状が略網目状になるように印刷し、その網目の大きさを変えることで印刷時のアルミニウム粉の量を調整して金属光沢の調整を行う印刷方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような印刷方法によれば、高画質で良好な金属光沢を有する画像を印刷することができるようになる。しかし、メタルインクによって網目状の画像を形成してから、その画像の上に重ねて通常のカラーインクによる印刷を行う(若しくはその逆)必要があることから、カラーインクのみを用いて印刷を行う場合と比較して印刷完了までにかかる時間が長くなる。すなわち、印刷スピードが遅くなるという問題があった。
【0006】
本発明では、カラーインクとメタルインクとを用いた印刷を行う際に、印刷スピードを落とすことなく、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、カラー画像を示すカラー画像データに基づいて生成され、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて生成され、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データと、を用いて画像を印刷する印刷装置であって、前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないことを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】記録システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2Aは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する図である。図2Bは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する側面図である。
【図3】ヘッドの構造を説明するための断面図である。
【図4】ヘッドに設けられたノズルNzの説明図である。
【図5】印刷される画像の概念図である。
【図6】第1実施形態における印刷処理のフローを示す図である。
【図7】ドット間引き処理の具体的な処理のフローを示す図である。
【図8】図8A〜図8Cは、メタリック画像とカラー画像との重複部分におけるドットの間引きパターンの例を示す図である。
【図9】図9A〜図9Cは、画像データについて間引き画素を特定する方法を説明する図である。
【図10】図10A及び図10Bは、ドットの間引きパターンを変更した場合の例について説明する図である。
【図11】図11Aはメタリック画像のエッジ部分を間引いた場合の例を示す図である。図11Bはメタリック画像のエッジ部分を間引かない場合の例を示す図である。
【図12】メタリック画像とカラー画像との間に空白(隙間)を設ける場合の例を説明する図である。
【図13】第2実施形態におけるドット間引き処理のフローを示す図である。
【図14】図14Aは背景階調値>基準階調値の場合の間引き画素特定の様子を説明する図である。図14Bは背景階調値≦基準階調値の場合の間引き画素特定の様子を説明する図である。
【図15】第3実施形態におけるドット間引き処理のフローを示す図である。
【図16】第3実施形態で印刷される画像の一例を示す図である。
【図17】第4実施形態で印刷される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、カラー画像を示すカラー画像データに基づいて生成され、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて生成され、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データと、を用いて画像を印刷する印刷装置であって、前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないことを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、カラーインクとメタルインクとを用いた印刷を行う際に、印刷スピードを落とすことなく、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。
【0011】
かかる印刷装置であって、前記メタリック印刷データは、前記メタリック画像データの前記メタリック画像を構成する画素のうち、所定の画素のデータを間引くことによって生成され、前記カラー印刷データは、前記カラー画像データの前記カラー画像を構成する画素のうち、前記所定の画素に対応する画素以外の画素のデータを間引くことによって生成されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、カラーインクドットとメタルインクドットとの形成位置が重複しない印刷データを生成し、カラー画像とメタリック画像とを同時に形成することができる。
【0012】
かかる印刷装置であって、前記カラー画像と前記メタリック画像との重複部分において、前記メタリック画像の外縁部分の画素には、前記メタルインクを噴出させることが望ましい。
このような印刷装置によれば、メタリック画像の輪郭をシャープに印刷することができる。
【0013】
かかる印刷装置であって、前記重複部分において、前記メタルインクを噴出させる画素と前記カラーインクを噴出させる画素との間に、前記メタルインクまたは前記カラーインクのいずれも噴出させない画素があることが望ましい。
このような印刷装置によれば、メタリック画像とカラー画像との間に隙間ができるので、メタルインクドットとカラーインクドット間の滲みや混色等を抑制することができる。
【0014】
かかる印刷装置であって、前記カラー画像を構成する画素の階調値の平均が所定の基準階調値よりも大きい場合には、前記重複部分に噴出させる前記メタルインクの量を多くすることが望ましい。
このような印刷装置によれば、背景となるカラー画像の色の濃さに応じてメタルインクの噴出量を調整することができるので、安定した色調のメタリック画像を印刷することができる。
【0015】
かかる印刷装置であって、前記重複部分において、前記メタルインクによって文字を印刷するデータがある場合は、前記文字を構成する画素には前記メタルインクを噴出させ、前記カラーインクは噴出させないことが望ましい。
このような印刷装置によれば、メタルインクで印刷される文字がかすれたりすること無く、はっきりと見えるようになる。
【0016】
かかる印刷装置であって、カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、カラー画像を示すカラー画像データに基づいて、前記カラーインク噴出部から前記カラーインクを噴出させて媒体上にカラーインクドットを形成させることと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて、前記メタルインク噴出部から前記メタルインクを噴出させて媒体上にメタルインクドットを形成させることと、によって画像を印刷する印刷装置であって、前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、前記カラーインクドットと、前記メタルインクドットと、が互いに重複しないことが望ましい。
このような印刷装置によれば、カラーインクとメタルインクとを用いた印刷を行う際に、印刷スピードを落とすことなく、良好な金属光沢と色調を有するメタリック印刷を実現することができる。
【0017】
また、(A)カラーインク噴出部からカラーインクを噴出することと、メタルインク噴出部から金属粒子を含有するメタルインクを噴出することと、(B)カラー画像を示すカラー画像データに基づいて、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データを生成することと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データを生成することと、(C)前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合に、前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素とを互いに重複させないことと、を有する印刷方法が明らかとなる。
【0018】
===印刷装置の基本的構成===
発明を実施するための印刷装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
【0019】
<プリンターの構成>
図1は、印刷装置の全体構成を示すブロック図である。
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を記録(印刷)する印刷装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを記録データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を記録させるため、記録させる画像に応じた記録データをプリンター1に出力する記録装置制御部である。
【0020】
プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、記録装置制御部であるコンピューター110から受信した記録データに基づいて各ユニットを制御し、媒体に画像を記録する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0021】
<搬送ユニット20>
図2Aは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する図である。図2Bは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する側面図である。
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方向である。搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する(図2A及び図2B)。
給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを記録可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。搬送モーター22の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。プラテン24は、記録中の紙Sを、紙Sの裏側から支持する部材である。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、記録可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0022】
<キャリッジユニット30>
キャリッジユニット30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジ31を所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する(図2A及び図2B)。
キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。キャリッジモーター32の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。また、キャリッジ31は、画像を記録する液体(以下、インクとも言う)を収容するカートリッジを着脱可能に保持している。
【0023】
<ヘッドユニット40>
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に噴出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0024】
図3は、ヘッド41の構造を示した断面図である。ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411はピエゾ素子群PZTを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bはピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形成されたプレートである。
【0025】
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部HCなどが実装された配線基板(不図示)によって、ピエゾ素子に駆動信号COMが印加されると、駆動信号COMの電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412hは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからインク滴が噴出される。
【0026】
図4は、ヘッド41の下面に設けられたノズルNzの説明図である。ノズル面では、イエローインクを噴出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを噴出するブラックノズル列Kからなるカラーインクノズル列と、メタルインクを噴出するメタルインクノズル列Meと、が形成されている。図4に示されるようにKCMYおよびMeの各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことにより構成されている。各ノズル列は、#1〜#180の180個のノズルNzをそれぞれ備える。なお、各ノズル列における実際のノズル数は180個には限られず、例えばノズル数が90個であったり360個であったりしてもよい。また、図4において、各ノズル列は移動方向に沿って並列に並んでいるが、搬送方向に沿って縦列に並ぶような構成とすることもできる。また、KCMY−Meの各色についてそれぞれ1列ずつのノズル列を有するのではなく、各色についてそれぞれ複数のノズル列を有するような構成であってもよい。
【0027】
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び光学センサ54等が含まれる(図2A及び図2B)。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、対向する位置の紙Sの有無を検出し、例えば、移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0028】
<コントローラー60>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する(図1)。
インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
【0029】
<プリンターの印刷動作>
プリンター1の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、コンピューター110からインターフェイス部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行う。
【0030】
給紙処理は、印刷すべき紙をプリンター内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラー23まで送る。続いて、搬送ローラー23を回転させ、給紙ローラー21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。
【0031】
ドット形成処理は、移動方向(走査方向)に沿って移動するヘッドからインクを断続的に噴出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインクを噴出させる。噴出されたインク滴が紙上に着弾すると、紙上にドットが形成され、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。
【0032】
搬送処理は、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送ローラー23を回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0033】
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインにより構成される画像を徐々に紙に印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラー25を回転させてその紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次の紙に印刷を行う場合は同処理を繰り返し、行わない場合は、印刷動作を終了する。
【0034】
プリンター1の印刷動作には、移動方向(走査方向)の右側(ホームポジションとする)から左側へ移動する往路時にノズルからインク滴を噴出させ、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する復路時にはノズルからインク滴を噴出させない「単方向印刷」と、往路時及び復路時にノズルからインク滴を噴出させる「双方向印刷」とがある。本実施形態で説明する印刷方法は「単方向印刷」及び「双方向印刷」のいずれの印刷動作にも対応可能である。
【0035】
<印刷に用いられるメタルインクについて>
メタルインクは、金属粒子として銀粒子やアルミ粒子等を含有する。アルミ粒子を含むメタルインクでは、印刷面に明るい金属光沢を得ることができる。しかし、アルミ粒子は酸化しやすく、時間経過と共に印刷面が白化するおそれがある。一方、銀粒子を含有するメタルインクでは、アルミ粒子を含有するインクと比べて金属光沢の色が暗くなりやすく、コストが高いという問題があるが、酸化しにくく安定性に優れるという性質を有する。印刷時に使用するメタルインクは、印刷の用途に応じて選択することができるが、本明細書の各実施形態では銀粒子を含有するメタルインクを用いた印刷について説明する。なお、以下で説明する各実施形態の印刷方法によれば、上述の銀粒子を使用する際のコストや色の暗さ等の問題も解消することができる。
【0036】
メタルインクの溶媒としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水が用いられる。金属粒子の分散の妨げにならない程度であれば、水中にイオン等が存在していてもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、樹脂類、色材等を含有していてもよい。
【0037】
本実施形態のインク組成物に含まれる銀粒子は、銀を主成分とする粒子である。銀粒子は、例えば、副成分として、他の金属、酸素、炭素等を含んでもよい。銀粒子における銀の純度としては、例えば、80%以上とすることができる。銀粒子は、銀と他の金属との合金であってもよい。また、インク組成物中の銀粒子は、コロイド(粒子コロイド)の状態で存在していてもよい。銀粒子がコロイド状態で分散している場合は、さらに分散性が良好となり、例えばインク組成物の保存安定性の向上に寄与することができる。
【0038】
銀粒子の粒径加積曲線における粒径d90は、50nm以上1μm以下である。ここで、粒径加積曲線とは、インク組成物等の液体に分散された銀粒子について、粒子の直径、及び当該粒子の存在数を求めることができる測定を行った結果を、統計的に処理して得られる曲線の一種である。本明細書における粒径加積曲線は、粒子の直径を横軸にとり、粒子の質量(粒子を球と見なしたときの体積、粒子の密度、及び粒子数の積)について、直径の小さい粒子から大きい粒子に向かって積算した値(積分値)を縦軸にとったものである。そして、粒径d90とは、粒径加積曲線において、縦軸を規格化(測定された粒子の総質量を1と)したときに、縦軸の値が90%(0.90)となるときの、横軸の値すなわち粒子の直径のことをいう。なお、この場合の銀粒子の直径とは、銀粒子そのものの直径であってもよいし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、当該粒子コロイドの直径であってもよい。
【0039】
銀粒子の粒径加積曲線は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法は、分散している銀粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を光子検出器で観測するものである。一般に分散している銀粒子は、通常ブラウン運動をしている。銀粒子の運動の速度は、粒子直径の大きな粒子ほど大きく、粒子直径の小さな粒子ほど小さい。ブラウン運動をしている銀粒子にレーザー光を照射すると、散乱光において、各銀粒子のブラウン運動に対応した揺らぎが観測される。この揺らぎを測定し、光子相関法等により自己相関関数を求め、キュムラント法及びヒストグラム法解析等を用いることで銀粒子の直径や、直径に対応した銀粒子の頻度(個数)を求めることができる。特にサブミクロンサイズの銀粒子を含む試料に対しては、動的光散乱法が適しており、動的光散乱法により比較的容易に粒径加積曲線を得ることができる。動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラックUPA−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
【0040】
===第1実施形態===
第一実施形態では、メタルインク及びカラーインクを用いて、メタリック画像とカラー画像とが混在する画像の印刷を行う。その際、メタリック画像とカラー画像とが重複する場合、該重複部分においては、メタルインクとカラーインクとが同じ画素に噴出されないようにして印刷を行う。つまり、媒体上に形成されるメタルインクドットとカラーインクドットとが、画素単位では重複しないような印刷を行う。
【0041】
<印刷対象の画像について>
図5に印刷する画像の概念図を示す。本実施形態において印刷対象となる画像(原画像)は、図5の左側に示されるように、メタルインクによって印刷されるメタリック画像部分と、カラーインクによって印刷されるカラー画像部分とから構成される。なお、このカラー画像はRGBの3色で表現され、印刷時にはKCMYの4色のカラーインクによって印刷されるものとする。
【0042】
説明のため、原画像をメタル画像が形成される階層(メタルレイヤー)とカラー画像が形成される階層(カラーレイヤー)との2種類の階層に分けて考える。ここで、カラーレイヤーは、実際にはRGBの3色の画像に分けることができるが、以下では1種類のカラー画像によって構成されるものとして説明する。図5の右側に示されるように、印刷対象となる原画像は、メタルレイヤーとカラーレイヤーとを重ね合わせることで形成される。なお、図の原画像において斜線部で表される領域は、メタル画像とカラー画像とが重複する領域である。
【0043】
このように、カラー画像とメタリック画像とが重複する領域を有する場合、従来の印刷方法では、まずメタルレイヤーに示されるメタル画像の印刷を行って、媒体上にメタル画像を形成させる。そして、メタル画像を形成させた後、該メタル画像の上にカラーレイヤーに示されるカラー画像を重ねて印刷するという方法が一般的であった。しかし、この方法では、メタルレイヤーの印刷及びカラーレイヤーの印刷の2回分の印刷を実行する必要があり、カラーインクのみを用いた通常のカラー印刷と比較して、印刷完了までに要する時間が長くなっていた。
【0044】
前述したように、本実施形態では、メタリック画像とカラー画像とが重複する部分を有する場合に、その重複部分において、インクドット同士が重ならないようにして1回で印刷を完了させることで、印刷画質を悪化させることなく印刷時間を短くする。
【0045】
<印刷処理>
具体的な印刷処理の方法について説明する。図6に、第1実施形態における印刷処理のフローを示す。印刷処理はS101〜S107の各工程を実行することによって行われる。各工程は、コンピューター110にインストールされたプリンタードライバーからの指令に基づいて実行される。
【0046】
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから原画像のデータを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンター1に出力する。原画像のデータを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理、などを行う。そして、後述する(S103:メタリック画像の有無の判定)及び(S104:ドット間引き処理)の工程によって、カラー画像印刷とメタリック画像印刷とを同時に実行することができるようになる。
以下に、プリンタードライバーが行う各種処理の詳細について説明する。
【0047】
印刷開始に先んじて、まずコンピューター110とプリンター1とが接続され(図1参照)、プリンター1に同梱されているCD−ROMに記憶されたプリンタードライバー(若しくは、プリンター製造会社のホームページからダウンロードしたプリンタードライバー)が、コンピューター110にインストールされる。このプリンタードライバーは、図6の各処理をコンピューターに実行させるためのコードを備えている。
【0048】
ユーザーがアプリケーションプログラム上から印刷を指示して印刷が開始されると、プリンタードライバーが呼び出され、印刷対象となる画像データ(原画像データ)をアプリケーションプログラムから受け取り(S101)、その画像データに対して解像度変換処理(S102)が行われる。
【0049】
解像度変換処理(S102)とは、画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される各階調(例えば256階調)のデータ、及び、メタリック(Me)色空間により表される階調(例えば256階調)のデータから構成される。
【0050】
次に、プリンタードライバーは、原画像データを用いてメタリック画像の有無の判定を行う(S103)。本実施形態では、メタリック画像を含む画像を印刷することを前提としているが、メタリック画像を含まない通常のカラー印刷においては、従来通りの方法によって印刷を行えばよい。そのため、本工程においてメタリック画像の有無を判断して、原画像データにメタリック画像が含まれている場合はドット間引き処理(S104)へと進み、メタリック画像が含まれていない場合はドット間引き処理(S104)を実行せず、色変換処理(S105)へと進む。
【0051】
(S103)において原画像にメタリック画像が含まれていると判断された場合、メタリック画像とカラー画像の所定画素について、それぞれドット間引き処理が行われる(S104)。ドット間引き処理とは、メタリック画像とカラー画像とが重複する領域を有する場合に(図5参照)、該重複領域において一部のドット(ドットを形成するための画素データ)を間引くことによって、当該間引き対象画素にインクが噴出されないような印刷データを生成する処理である。これにより、画素単位ではメタルインクドットとカラーインクドットとが重複しないような印刷データを生成することができる。メタルインクドットとカラーインクドットとの重複画素が無いため、メタリック画像の印刷とカラー画像の印刷とを同時に行うことができるようになり、印刷時間が長くなる等の問題を解消することができる。
ドット間引き処理の具体的な動作については後で説明する。
【0052】
次に、プリンタードライバーは、色変換処理を行う(S105)。色変換処理とは、プリンター1のインク色の色空間に合わせて画像データを変換する処理である。ここでは、Me+RGB色空間の画像データが、Me+KCMY色空間の画像データに変換される。メタルインク色(Me)はKCMYの組み合わせでは表現することができないため、特色として扱われ、色変換処理は行われない。この色変換処理は、RGBデータの階調値とKCMYデータの階調値とを対応づけた3D−LUTに基づいて行われる。これにより、KCMY色空間の画像データが得られる。なお、色変換処理後の画素データは、Me+KCMY色空間により表される256階調の8ビットデータである。
【0053】
色変換処理(S105)の後、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理を行う(S106)。ハーフトーン処理とは、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低階調数のデータに変換する処理である。ここでは、256階調の印刷画像データが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理方法としてディザ法・誤差拡散法などが知られており、本実施形態もこのようなハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理されたデータは、記録解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
【0054】
次に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理を行う(S107)。ラスタライズ処理は、印刷画像データ上の画素データの並び順を、プリンター1に転送すべきデータ順に変更する処理である。例えば、各ノズル列のノズルの並び順に応じて、画素データを並び替える。その後、プリンタードライバーは、プリンター1を制御するための制御データを画素データに付加することによって印刷データを生成し、その印刷データをプリンター1に送信する。
【0055】
プリンター1は、受信した印刷データに従って、印刷動作を行う。具体的に、プリンター1のコントローラー60は、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット20などを制御し、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御してヘッド41に備えられた各ノズルからカラーインク及びメタルインクを噴出させる。
【0056】
<ドット間引き処理(S104)の詳細>
ドット間引き処理(S104)の詳細について説明する。上述のように、本実施形態では、メタリック画像とカラー画像とが重複する領域(以下、重複領域とも呼ぶ)において、メタルインクドットとカラーインクドットとが媒体上の同じ画素に噴出されないようにすることで、メタリック画像とカラー画像との同時印刷を実現している。そのため、メタルインクドットが噴出される予定の画素ではカラーインクドットの印刷データを間引き、逆にカラーインクドットが噴出される予定の画素ではメタルインクドットの印刷データを間引く必要がある。
図7にドット間引き処理の具体的な処理のフローを示す。ドット間引き処理(S104)はS401〜S403の各工程を実行することによって行われる。
【0057】
(S401:重複領域の判定)
まず、原画像データにおいて、メタリック画像及びカラー画像の重複領域があるか否かの判断が行われる。原画像が、メタリック画像とカラー画像を含むものであったとしても、お互いに重複する部分が無ければドットを間引く等の処理は不要であるため、ドット間引き処理(S104)を終了して次工程の色変換処理(S105)に移行すればよい。一方、重複領域がある場合には、それぞれの画像データについて所定のドットを間引くための処理を行う。
【0058】
ここで、メタリック画像とカラー画像とが「重複」するとは、メタルレイヤーにおいてメタリック画像を示す画素(Meについてゼロ以外の階調値を有する画素)の位置と、カラーレイヤーにおいてカラー画像を示す画素(RGBの少なくとも1色についてゼロ以外の階調値を有する画素)の位置とが互いに重複する場合のことを言う。例えば、ある画素AにおいてMeの階調値が128、Rの階調値が256であれば、当該画素Aではメタリック画像とカラー画像とが重複していることになる。また、ある画素BにおいてMeの階調値が64で、RGBの階調値がいずれも0であれば、当該画素Bではメタリック画像とカラー画像とが重複していないことになる。
【0059】
プリンタードライバーは解像度変換処理(S102)後の画像データから、画素毎にMeの階調値とRGBの階調値とを比較して、メタリック画像とカラー画像との重複画素の検出を行う。重複画素が検出された場合は、該重複画素の位置情報をメモリー63に一時的に保存して、次工程である間引き画素の特定(S402)へと移行する。
【0060】
(S402・403:間引き画素の特定・間引き処理)
メタリック画像データ、カラー画像データのそれぞれについて、間引き対象となる画素の特定を行い、実際に画素データの間引き処理を行う。間引き対象となるのは(S401)で検出された重複領域を構成する画素のうちから選択される所定の画素である。本実施形態では、メタルインクとカラーインクとが同一の画素に重複して噴出されないような印刷データを生成するため、メタリック画像データとカラー画像データとでは異なる位置の画素を間引く必要がある。例えば、メタリック画像において、カラー画像との重複領域中の所定の位置にある画素Aが間引き対象として特定される場合、カラー画像においては同一の画素Aを間引く必要は無い。同様に、カラー画像において、メタリック画像との重複領域中の所定の位置にある画素Bが間引き対象として特定された場合、メタリック画像においては同一の画素Bを間引く必要は無い。つまり、メタリック画像若しくはカラー画像のうちのどちらか一方の画像について間引き対象となる画素を特定することができれば、他方の画像についても間引き対象となる画素を特定することができる。
【0061】
図8A〜図8Cに、メタリック画像とカラー画像との重複部分におけるドットの間引きパターンの例を示す。図8Aは、メタリック画像及びカラー画像の画像データをそれぞれ縞状に間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。図8Bは、メタリック画像が格子状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。図8Cは、メタリック画像が市松模様状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。なお、図では間引きパターンがわかりやすいように、ドットが間引かれる間隔を実際よりも大きめに描いている。
【0062】
図8Aのような縞状の間引きパターンの印刷データ生成する場合の例について説明する。図9A〜図9Cは、縞状の間引き画素を特定する方法を説明する図である。まず、プリンタードライバーは、メタルレイヤーにおいて、メタリック画像の重複領域を構成する各画素を、1画素列間隔で間引き対象画素として特定する。図9Aに示すメタリック画像のうち、斜線部で表される部分がメタリック画像の間引き対象画素である。これにより、重複領域において、Meの階調値がゼロではない画素列と、Meの階調値がゼロとなる画素列(間引き対象として特定された画素列)とが交互に縞模様のように並んだメタリック画像データが得られる。
【0063】
次に、カラーレイヤーにおいて、カラー画像の重複領域を構成する各画素のうち、メタリック画像で間引き対象として特定された画素(図9Aにおいて斜線部で特定された画素)以外の全ての画素を間引き対象として特定する。図9Bに示すカラー画像のうち、斜線部で表される部分がカラー画像の間引き対象画素である。すなわち、重複領域において、メタルインクが噴出される画素として特定された全ての画素がカラー画像の間引き対象画素として特定される。これにより、重複領域が縞模様(メタリック画像の縞模様を反転させた模様)となるようなカラー画像データが得られる。
そして、これらのデータを組み合わせることで、重複領域においてメタルインクドットが噴出される画素の位置と、カラーインクドットが噴出される画素の位置とが重ならないような印刷データ(図9C)が得られる。
【0064】
なお、上述の例ではメタリック画像について1画素列間隔で画素データを間引いたため、メタリック画像は1画素分の幅を有する縞(ストライプ)形状となる。これに対して、間引き画素の間隔を変更して、メタリック画像(若しくはカラー画像)の縞幅を2画素分や3画素分にしたりすることも可能である。間引き対象画素の設定は、実際に印刷された画像を確認した後に、ユーザーインターフェイス(不図示)上でユーザー自身が設定を変更できるようにしておくとよい。
【0065】
また、印刷された画像を見る際の角度等を考慮して間引きパターンを変更することも可能である。図10A及び図10Bにドットの間引きパターンの変更例を示す。例えば、印刷された画像を下側から見上げるような場合には、図10A(図8Aに相当)に示されるような縦縞模様ではなく、図10Bに示されるような横縞模様とする。図10A及び図10Bに示されるような角度から画像を確認する場合、縦縞(図10A)よりも横縞(図10B)の方が、縞と縞との間隔が目立ちにくくなり、ドットを間引いたことによる影響をより小さくすることができる。このような間引きパターンの変更についても、ユーザーインターフェイスを介してユーザー自身が行えるようにしておく。
【0066】
なお、図8Bや図8Cに表されるような間引きパターンについても、ドットの間引き方法は図8Aの縞状のパターンの場合と同様である。すなわち、重複領域において、はじめにメタリック画像の間引き対象画素を特定してから、該特定された画素以外の画素をカラー画像の間引き対象画素として特定すればよい。
【0067】
これらのいずれの間引きパターンを採用する場合であっても、メタリック画像の重複領域の外縁部(エッジ部分)の画素については間引き対象外とする。メタリック画像の印刷面は、金属光沢による特殊な質感を有することから通常のカラー画像の印刷面との違いが目立ちやすい。そのため、カラー画像の上にメタリック画像が重ねて印刷されるような画像(例えば図5)において、メタリック画像の境界部分の画素(カラー画像との境界部分の画素)が間引かれると、メタリック画像全体がぼやけたような印象を与えやすくなる。したがって、メタリック画像の外縁部(エッジ部分)の画素には常にメタルインクドットが形成されるようにしておくべきである。
【0068】
図11Aにメタリック画像のエッジ部分を間引いた場合の例を示す。また、図11Bにメタリック画像のエッジ部分を間引かない場合の例を示す。図11Aに示すように、メタリック画像のエッジ部分が間引き対象に含まれる場合、メタリック画像部とその背景となるカラー画像部との境界が途切れ途切れになるために、メタリック画像の輪郭が背景画像に溶け込んでしまい、メタリック画像全体がぼやけた様な印象を与える。これに対して、図11Bに示すように、メタリック画像のエッジ部分を間引き対象外とした場合、メタリック画像部とその背景となるカラー画像部との境界線が途切れることなく印刷されるため、メタリック画像の輪郭が鮮明に表れ、シャープな印象のメタリック画像を印刷することができる。
【0069】
このように、本実施形態においては、いかなる間引きパターンを用いる場合でも(例えば図8A〜図8Cのいずれのパターンを選択する場合でも)、メタリック画像の重複領域の外縁部を構成する画素は間引き処理の対象外としている。
【0070】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の印刷方法によれば、メタリック画像とカラー画像とが重複するような場合でも、該メタリック画像の印刷とカラー画像の印刷とを同時に行うことができる。また、該重複部分においては、メタリック画像の画素を縞状や格子状に間引くことで当該間引き部分にカラー画像も印刷されるため、カラー画像の上にメタリック画像を印刷した場合と同様の色調のメタリック画像を形成することができる。これにより、画質を大きく劣化させること無く、従来の方法よりも印刷時間を短縮することができる。
【0071】
また、従来はカラー画像にメタリック画像を重ねることで、メタリック画像の発色(金属光沢)が暗くなってしまう傾向があった。しかし、本実施形態では、カラーインクドットとメタルインクドットとが重ならないように印刷されることで、メタリック画像の発色が暗くなることを抑制している。さらに、インクドットを間引くことによって、噴出されるインクの量が少なくなるので、印刷時に使用されるインク総量を節約でき、印刷コストを下げることができる。
【0072】
<第1実施形態の変形例>
前述の第1実施形態では、メタリック画像とカラー画像との重複領域において、メタルインクドットが間引かれた画素には必ずカラーインクドットが形成されるような間引き処理が行われていた(図8A等参照)。すなわち、メタルインクドット及びカラーインクドットによって重複領域の全ての画素が埋まるような印刷が行われていた。しかし、該重複領域においてメタルインクドットとカラーインクドットとの間に空白を設けるような間引き処理を行ってもよい。
【0073】
本変形例では、ドット間引き処理(S104)において、メタリック画像の間引き対象画素を特定した後のカラー画像の間引き対象画素の特定方法が異なる。前述の方法ではメタリック画像の間引き対象外となった全ての画素が、カラー画像の間引き対象画素として特定されていた(S402)。つまり、メタリック画像の間引き対象画素として特定された全ての画素にカラー画像が形成されていた。一方、本変形例ではメタリック画像の間引き対象外となった画素(メタリック画像が形成される画素)に加えて、間引き対象外となったメタリック画像の輪郭部の画素から1画素〜数画素分外側の画素がカラー画像の間引き対象画素として特定される。
【0074】
図12は、メタリック画像とカラー画像との間に空白(隙間)を設ける場合の例を具体的に説明する図である。図の破線で囲まれたマス目が1画素を表す。図のように、メタリック画像のうち3画素幅分の画素を間引き対象として、2画素幅分の縞状パターンとなるようなメタリック画像を形成する。この場合、メタリック画像の間引き対象外画素、及び
間引き対象外となったメタリック画像の輪郭部の画素に隣接する1画素分がカラー画像の間引き対象画素として特定される。換言すると、メタリック画像の間引き対象画素から1画素分内側の画素にカラー画像が形成される。これにより、メタリック画像とカラー画像との間に空白部分を設ける。
【0075】
本変形例によれば、メタリック画像とカラー画像との間に空白部分ができることにより、メタルインクドットとカラーインクドットとの接触が避けられ、両インクドット間における滲みや混色を防止することができる。これにより、印刷時間を短縮しつつ、より高画質な画像の印刷を行うことができる。
【0076】
===第2実施形態===
第2実施形態では、背景色となるカラー画像の色の濃さを考慮して、メタリック画像の間引き量を変更する。例えば、青などの濃い色の上にメタリック画像を重ねて印刷する場合と、黄色などの淡い色の上にメタリック画像を重ねて印刷する場合とでは、メタリック画像の色調が異なって見える。言い換えると、メタリック画像は背景となるカラー画像の色の階調値による影響を受けやすい。そこで、カラー画像の色の濃さ(階調値)に合わせて、メタリック画像からメタルインクドットを間引く量を変更することで、該カラー画像上に噴出されるメタルインクの総量を調整し、より見やすいメタリック画像を印刷する。
本実施形態では、ドット間引き処理(S104)の工程が第1実施形態とは異なる。その他の工程や、使用する印刷装置は第1実施形態と同様である。
【0077】
<ドット間引き処理について>
図13は第2実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。まず、第1実施形態(S401)で説明したのと同様にメタリック画像とカラー画像とで重複する部分があるか否かが判断される(S411)。
【0078】
重複部分が存在する場合、続いて、背景となるカラー画像の階調値と、RGBの各色について設定された所定の基準階調値とが比較される(S412)。カラー画像の階調値は、解像度変換処理後のカラー画像データを用いて、カラー画像を形成する全画素の平均の階調値(以下、背景階調値とも呼ぶ)を色毎に算出することにより求められる。なお背景階調値の算出は、カラー画像のうち重複領域を形成する画素についてのみ算出する方法であってもよい。
【0079】
基準階調値はあらかじめ決められており、メモリー63に記憶されている。例えば、Rについての基準階調値は160、Gについての基準階調値は192、Bについての基準階調値は128等、色毎に設定される。これらの基準階調値の大きさは、実際の印刷結果を確認した後で、ユーザー自身がユーザーインターフェイスを介して変更できるようにしておくことで、最適な画質のメタリック画像を得ることが出来る。
【0080】
プリンタードライバーは画像データから背景階調値を算出し、メモリー63に記憶された基準階調値との比較を行う。背景階調値が基準階調値よりも高い場合は間引き画素特定(A)の処理(S413)に進み、ドットが間引かれる(S415)。背景階調値が基準階調値以下である場合は間引き画素特定(B)の処理(S414)へ進み、ドットが間引かれる(S415)。
【0081】
背景階調値が基準階調値以下である場合、すなわち背景画像が淡い色の場合、該背景画像の上に印刷されるメタリック画像は、背景画像の影響を受けにくい。このような時は、第1実施形態の間引き画素の特定(S402)と同様の間引き画素の特定が行われる(S414)。一方、背景階調値が基準階調値よりも高い場合、すなわち背景画像が濃い色の場合、該背景画像の上に印刷されるメタリック画像は、背景画像の影響を受けて色調が暗く見えるおそれがある。そこで、重複領域におけるメタルインクの割合を高くして背景色の影響を軽減させる。つまり、メタリック画像の間引き画素を少なくすることで、メタルインクによって印刷される範囲を大きくしてメタリック画像の色調が暗くなることを防止する(S413)。
【0082】
図14Aは背景階調値>基準階調値の場合の間引き画素特定(A)の様子(S413)を説明する図であり、図14Bは背景階調値≦基準階調値の場合の間引き画素特定(B)の様子(S414)を説明する図である。背景階調値≦基準階調値の場合、印刷される画像は図14Bに示されるように、第1実施形態において説明したような縞状のドット間引きパターンとなる。一方、背景階調値>基準階調値の場合は、メタリック画像からのドット間引き量が減少するように調整される。その結果、図14Bの場合よりもメタルインクドットが形成される量が増え、図14Aに示されるように、メタリック画像の縞部分が太くなり、カラー画像の縞部分は狭くなる。これにより、メタリック印刷部の割合が高くなり、メタリック画像の色調が暗くなることが防止される。
また、メタリック画像の縞部分の太さは変更せず、メタリック画像の縞の数を増加させることによってメタリック印刷部の密度を高くすることもできる。
【0083】
なお、上述の例において、背景階調値が基準階調値以下である場合には、(S414)で通常のドット間引き処理(第1実施形態の場合と同様のドット間引き処理)を行っていた。しかし、(S414)において第1実施形態の場合よりもメタリック画像の間引き量の割合を多くするように変更してもよい。つまり、メタリック画像の間引き画素を多くすることで、メタルインクによって印刷される範囲が小さくなるようにしてもよい。
また、(S412)において、基準階調値を段階的に複数種類定めておき、算出された背景階調値の大きさに応じてメタリック画像の間引き量の割合を変化させる方法としてもよい。
【0084】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の方法によれば、背景となるカラー画像の色の濃さの違いによってメタリック画像の色調が変わってしまうという問題が解消され、安定した画質のメタリック印刷を実行することができるようになる。
【0085】
===第3実施形態===
第3実施形態は、メタルインクで文字を印刷する場合の印刷方法である。文字を印刷する場合、特に小さい文字を印刷する場合(例えばフォントサイズが16ポイント以下である場合等)に当該文字部分の画素が間引かれると、文字として認識しにくくなり、必要な情報を伝達できなくなるおそれがある。そこで、メタルレイヤーに文字情報が含まれていた場合には、当該文字部分は間引き対象外とする。
本実施形態では、ドット間引き処理(S104)の工程が第1・第2実施形態とは異なる。その他の工程や、使用する印刷装置は第1・第2実施形態と同様である。
【0086】
図15は、第3実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。まず、第1実施形態で説明したのと同様の方法でメタリック画像とカラー画像との重複部分の有無が判断される(S421)。重複部分が存在する場合、その重複部分において文字データが含まれているか否かが判断される(S422)。文字データが含まれる場合は、その文字データを間引き対象外とするためにマスクをかけて保護する(S423)。そして、該重複部分において、マスクされたメタリック文字を構成する画素に対応するカラー画像データ上の画素が、カラーインクドットの間引き対象画素として特定される(S424)。これによって、当該文字部分において、カラーインクとメタルインクとが同一画素に噴出されることが抑制される。その後、第1実施形態と同様に、マスクされた領域以外の画素ついて、間引き対象画素の特定及び間引き処理が行われる(S425、S426)。
【0087】
図16に、第3実施形態で印刷される画像の一例を示す。図のようにカラー画像とメタリック画像との重複部分では、第1実施形態と同様のドット間引き処理が行われるが、メタリック文字とカラー画像との重複部分ではドット間引き処理が行われず、メタルインクによるベタ印刷によって文字が印刷される。
【0088】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の方法によれば、カラー画像に重ねてメタルインクで文字を印刷する場合において、従来よりも印刷速度を早くしつつ鮮明な文字を印刷することができるようになる。
【0089】
===第4実施形態===
第4実施形態では、メタリック画像とカラー画像とが重複しない部分についても、メタルインクドットの間引き処理を行う。
前述の各実施形態では、メタリック画像とカラー画像との重複領域についてのみドット間引き処理を行っていた。しかし、画像が重複しない領域においてもドットの間引き処理を行うことでコストの高いメタルインクの使用量を少なくすることができる。
【0090】
本実施形態では、ドット間引き処理(S104)における間引き画素の特定(S402)の工程が第1実施形態とは異なる。その他の工程や、使用する印刷装置は第1実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態における間引き画素の特定(S402)では、メタリック画像を構成する画素のうち、カラー画像との重複領域以外の画素についても間引き対象画素とする。図17に本実施形態によって印刷される画像の一例を示す。図のメタリック画像とカラー画像との重複領域では、第1実施形態の図8Aで説明したものと同様に縞状パターンのドット間引き処理が行われている。
【0092】
さらに、本実施形態では重複領域以外の部分についても、該メタリック画像の全体に渡って縞状のドット間引きが行われる。これにより、メタリック画像とカラー画像との非重複領域については、メタリック画像と媒体(媒体の地色)との縞模様が形成される。本実施形態で使用されるメタルインクは前述のとおり銀粒子を含有している。球形の銀粒子は光を均一に反射させやすいので、印刷面の全体にインクが噴出されていなくても金属光沢を十分に再現することができる。つまり、メタルインクをベタ塗りするのではなく、図17に示されるような縞模様状に印刷してもメタリック画像の画質(金属光沢)を大きく劣化させることはない。
【0093】
本実施形態によれば、印刷速度や印刷画質を大きく悪化させること無く、使用するメタルインクの噴出量を節約し、印刷コストを下げることができる。
【0094】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0095】
<記録装置について>
前述の実施形態では、画像を形成する記録装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造型機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体噴出装置に、本実施形態と同様の技術を適用してもよい。
【0096】
<使用するインクについて>
前述の実施形態では、カラーインクとしてKCMYの4色のインクを使用して記録する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリア等、KCMY以外のカラーインクを用いて記録を行ってもよい。
また、メタルインクとして銀粒子やアルミ粒子を含有するインクの例が説明されていたが、印刷時に金属光沢を再現できるものであれば、銅や金等の他の粒子を含有するインクを使用することも可能である。
【0097】
<カラーインクの色の濃さについて>
第2実施形態において、メタルインクとカラーインクとの重ね打ちを行う際に、メタルインクの色の濃さが与える影響について説明されているが、このような影響を与える要素はカラーインクの色の濃さのみに限られるものではない。例えば、インクドット径、メタルインクとカラーインクとの色差、媒体の種類や色等、視認性に影響を与える可能性のある要素を考慮して、最適なメタルインクドットの間引き方法を決定することが望ましい。
【0098】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、液体を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子PZTを例示したが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いてもよい。
【0099】
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行ってもよい。その場合、プリンターとドライバーをインストールしたPCとで記録装置が構成される。
【0100】
<他の装置について>
前述の実施形態では、ヘッド41をキャリッジとともに移動させるタイプのプリンター1を例に挙げて説明したが、プリンターはヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 プリンター、20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、
22 搬送モーター、23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモーター、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 ケース、412 流路ユニット、
412a 流路形成板、412b 弾性板、412c ノズルプレート、
412d 圧力室、412e ノズル連通口、412f 共通インク室、
412g インク供給路、412h アイランド部、412i 弾性膜、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、60 コントローラー、
61 インターフェイス部、62 CPU、63 メモリー、
64 ユニット制御回路、110 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、
カラー画像を示すカラー画像データに基づいて生成され、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データと、
メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて生成され、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データと、
を用いて画像を印刷する印刷装置であって、
前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、
前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記メタリック印刷データは、前記メタリック画像データの前記メタリック画像を構成する画素のうち、所定の画素のデータを間引くことによって生成され、
前記カラー印刷データは、前記カラー画像データの前記カラー画像を構成する画素のうち、前記所定の画素に対応する画素以外の画素のデータを間引くことによって生成されることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記カラー画像と前記メタリック画像との重複部分において、
前記メタリック画像の外縁部分の画素には、前記メタルインクを噴出させることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記重複部分において、前記メタルインクを噴出させる画素と前記カラーインクを噴出させる画素との間に、前記メタルインクまたは前記カラーインクのいずれも噴出させない画素があることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記カラー画像を構成する画素の階調値の平均が、所定の基準階調値よりも大きい場合には、前記重複部分に噴出させる前記メタルインクの量を多くすることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記重複部分において、前記メタルインクによって文字を印刷するデータがある場合は、
前記文字を構成する画素には前記メタルインクを噴出させ、前記カラーインクは噴出させないことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
カラーインクを噴出するカラーインク噴出部と、金属粒子を含有するメタルインクを噴出するメタルインク噴出部とを備え、
カラー画像を示すカラー画像データに基づいて、前記カラーインク噴出部から前記カラーインクを噴出させて媒体上にカラーインクドットを形成させることと、
メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて、前記メタルインク噴出部から前記メタルインクを噴出させて媒体上にメタルインクドットを形成させることと、
によって画像を印刷する印刷装置であって、
前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、
前記カラーインクドットと、前記メタルインクドットと、が互いに重複しないことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
(A)カラーインク噴出部からカラーインクを噴出することと、メタルインク噴出部から金属粒子を含有するメタルインクを噴出することと、
(B)カラー画像を示すカラー画像データに基づいて、前記カラーインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すカラー印刷データを生成することと、メタリック画像を示すメタリック画像データに基づいて、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を示すメタリック印刷データを生成することと、
(C)前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合に、
前記カラー印刷データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック印刷データのうち前記メタルインクを噴出させる画素とを互いに重複させないことと、
を有する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図15】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−56141(P2012−56141A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200177(P2010−200177)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】