説明

印刷装置、及び印刷装置の制御方法

【課題】エラーに対するユーザーサポートを向上させた印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供する。
【解決手段】プリンター11は、エラーを検知するエラー検知部132と、エラー検知部132が検知したエラーが連続して発生した回数を計数する連続エラーカウンター141と、エラーに関するメッセージが保存されたエラーメッセージデータ144が格納された不揮発性メモリー143と、連続エラーカウンター141の計数値に応じたメッセージをエラーメッセージデータ144から選択し、その選択したエラーメッセージを表示部22で表示させるエラーメッセージ選択部133と、選択されたエラーメッセージが表示される表示部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置、及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理用プログラムには、通常、ユーザーからのヘルプ要求に対して的確なメッセージをユーザーに通知するためのヘルプ機能が搭載されている。こうしたヘルプ機能に関し、例えば特許文献1では、過去の状態が時刻順に格納された履歴バッファーを用い、ユーザーからのヘルプ機能の要求に対して現在の状態のみならず過去の状態をも参照してユーザーが知りたい情報を推論している。そして、その推論した結果に基づいて選択されたメッセージを表示手段に通じてユーザーに通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2690996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置においては、搬送経路に記録用紙が詰まってしまう紙ジャム等のエラーが発生した場合には、その旨を示すメッセージが表示部に表示される。紙ジャムを示すエラーメッセージが表示された場合、ユーザーは、印刷装置の電源をOFF操作したのち、記録用紙に対して印刷を行う印刷部を覆うカバーを開放する。そして、印刷装置内部で視認される記録用紙を取り除くことによって上記エラーを解消することが可能である。
【0005】
しかしながら、そのあとに電源をON操作すると、上記記録用紙を取り除いたにも関わらず、再び紙ジャムを示すエラーメッセージが表示されることがある。これは、カバーを開放してもユーザーが視認することが困難な場所に記録用紙が詰まっているために生じるものであるが、ユーザーにとっては、紙ジャムを示すエラーメッセージが表示される続けることになってしまう。
【0006】
この際、上記特許文献1の方法が適用されている印刷装置であれば、ユーザーからのヘルプ要求に対して過去のエラー状態に基づくメッセージが表示され、これによって、エラーの解消方法を指南することも可能ではある。しかしながら、このようなヘルプ機能を全てのユーザーが操作できるとは限らず、また、ユーザーがヘルプ機能を操作できるとしても、結局のところ、こうしたヘルプ機能の操作をユーザーに強いることとなる。そのため、エラーに対するユーザーサポートの向上が強く望まれていた。
【0007】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、エラーに対するユーザーサポートを向上させた印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷装置は、印刷に関するエラーを検知するエラー検知手段と、前記エラー検知手段が検知したエラーが解消されずに連続して発生した回数を計数するエラー回数計数手段と、前記エラーの解消に関するメッセージを前記回数に対応付けて記憶するメッセージ記憶手段と、前記エラー回数計数手段の計数値に対応したメッセージを該エラーの発生時に前記メッセージ記憶手段から選択するメッセージ選択手段と、前記選択したメッセージを表示する表示手段とを備える。
【0009】
本発明の印刷装置によれば、エラー検知手段が検知したエラーが解消されずに連続して発生した場合に、そのエラーの連続して発生した回数がエラー回数計数手段によって計数される。そして、その計数された回数に応じたメッセージが選択され、表示手段に表示される。ここで、同じエラーが連続して発生すればするほど、ユーザーで対応することが困難な箇所に不具合が生じていることが少なくなく、仮にユーザーで対応することが可能だとしてもその時々によってエラーの解消方法は異なるものである。この点、上記構成によれば、エラーの連続して発生した回数に応じて、そのエラーに対する最適なメッセージをユーザーに表示することができる。それゆえに、エラーに対するユーザーサポートを向上させることができる。
【0010】
この印刷装置は、前記回数の閾値を設定する閾値設定手段をさらに有し、前記エラーメッセージ選択手段は、前記エラー回数計数手段の計数値と前記閾値設定手段によって設定された前記閾値とを比較して前記メッセージを選択する。
【0011】
この印刷装置によれば、エラー回数計数手段の計数値と閾値設定手段によって設定された前記閾値とを比較してメッセージが選択される。その結果、例えば印刷装置の状態やエラーの種類に応じて最適なメッセージをユーザーに対して表示することができる。
【0012】
この印刷装置において、前記閾値設定手段は、前記エラー検知手段が検知するエラーの種類毎に前記閾値を設定する。
エラー検知手段が検知するエラーは、その種類毎に連続して発生した場合の処置が異なるものである。そのため、この印刷装置のように、エラー毎に閾値を設定することによって、そのエラーの連続して発生した回数に応じた最適なメッセージをユーザーに表示することができる。
【0013】
この印刷装置において、前記閾値設定手段は、前記エラー検知手段が検知するエラーの種類毎に、当該エラーの発生時期及び累積発生回数に基づいて前記閾値を設定する。
ここで、例えば、印刷装置を使用してからしばらく経ったのち、ある期間に同じエラーが繰り返し何度も発生するようであれば、そのエラーの発生原因となる部分に経年劣化等が生じていることが少なくない。その際、印刷装置が初期状態と同じ状態にあるものとしてメッセージが選択されていては、部品交換等のメンテナンスを推奨するメッセージの表示時期が遅れてしまう虞がある。この点、上記構成によれば、エラーの発生時期及び累積発生回数に基づいて閾値が設定されることから、印刷装置の使用状態に応じて最適なメッセージをユーザーに表示することができる。
【0014】
この印刷装置は、前記エラーに関する情報であるエラー情報が記録されるエラー情報記録手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、エラー情報を参照することによって、当該印刷装置におけるエラーの発生状況を把握することができる。これにより、例えば、サービスマンがユーザーの下を訪問した際に、そのエラー情報に基づく最適なメンテナンスを実行することができる。
【0015】
この印刷装置は、前記エラー情報記録手段が記録した前記エラー情報をネットワークを介してサービスセンターに送信する送信手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、印刷装置のエラー情報がサービスセンターに送信されることで、例えばユーザーからエラーに対する問い合わせを受けた際に、エラー発生状況をユーザーから説明して頂かなくとも、当該印刷装置のエラー発生状況をサービスセンターで把握することができる。これにより、例えばユーザーからのエラーに問い合わせを受けた際に、そのエラーに適した処置、すなわちエラー発生状況を考慮した処置をすばやく教示することができる。
【0016】
この印刷装置は、前記送信したエラー情報に関する前記サービスセンターからのメッセージを受信する受信手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、送信したエラー情報に関するサービスセンターからの応答メッセージを受信することができる。これにより、例えば、エラー情報の分析結果に基づいて、そのエラーに対するユーザーの処置を指示する応答メッセージをサービスセンターが送信することによって、印刷装置は、そのメッセージを表示したり、印刷可能な状態であれば印刷したりすることができる。その結果、サポートセンターへの問い合わせ等、ユーザーの負担を軽減しつつ、分析結果に応じた処置をユーザーに教示することができる。
【0017】
本発明の印刷装置の制御方法は、印刷に関するエラーを検知するエラー検知手段と、前記エラー検知手段が検知したエラーが解消されずに連続して発生した回数を計数するエラー回数計数手段と、前記エラーに関するメッセージを前記回数に対応付けて記憶するメッセージ記憶手段と、前記メッセージが表示される表示手段とを有する印刷装置の制御方法であって、前記エラー回数計数手段の計数する回数に対応したメッセージを前記メッセージ記憶手段から選択し、前記選択したメッセージを前記表示手段で表示させることを要旨とする。
【0018】
本発明の印刷装置の制御方法によれば、エラー検知手段が検知したエラーが連続して発生した場合に、そのエラーの連続して発生した回数がエラー回数計数手段によって計数される。そして、その計数された回数に応じたメッセージが表示される。ここで、同じエラーが連続して発生すればするほど、ユーザーで対応することが困難な箇所に不具合が生じていることが少なくなく、仮にユーザーで対応することが可能だとしてもその時々によってエラーの解消方法は異なるものである。この点、上記構成によれば、エラーの連続して発生した回数に応じて、そのエラーに対する最適なメッセージをユーザーに表示することができる。それゆえに、エラーに対するサポートを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる複合型プリンターの斜視構造を示す斜視図。
【図2】反転ユニットが装着されたプリンター部の斜視構造を示す斜視図。
【図3】表面印刷時におけるプリンター部を示す側断面図。
【図4】裏面印刷時におけるプリンター部を示す側断面図。
【図5】複合型プリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図6】第3のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図。
【図7】履歴データの構成を模式的に示す図。
【図8】応答メッセージの表示態様の一例を模式的に示す図。
【図9】紙ジャムエラーに関するエラー表示処理の手順を示すフローチャート。
【図10】紙ジャムエラーのエラー表示処理に関し、(a)第1のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図、(b)第2のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図。
【図11】紙無しエラー発生時におけるエラー表示処理の手順を示すフローチャート。
【図12】紙無しエラーのエラー表示処理に関し、(a)第1のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図、(b)第2のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図。
【図13】ノズル詰まりエラーに関するエラー表示処理の手順を示すフローチャート。
【図14】ノズル詰まりエラーのエラー表示処理に関する第1のエラーメッセージの表示態様の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の印刷装置をインクジェット式複合型プリンターに具体化した一実施形態について図1〜図14を参照して説明する。
図1に示されるように、インクジェット式複合型プリンター(以下、単に「プリンター11」という)は、インターネットNWを介してサービスセンター5のサーバー(図示略)に接続されたパーソナルコンピューター等のホスト装置7に電気的に接続されて印刷システム10を構成している。
【0021】
プリンター11は、一台で、スキャナー、プリンター、コピーの3つの機能を備えるカラープリンターである。プリンター11は、原稿の画像を読み取って画像データとして入力するスキャナー部12と、印刷データに基づく画像を所定の記録媒体(メディア)に印刷するプリンター部13と、操作パネル14とを備えている。コピー機能は、スキャナー部12で読み取った画像データをプリンター部13で印刷データに変換し、その印刷データに基づく画像をプリンター部13で印刷することにより実現される。
【0022】
スキャナー部12は、プリンター部13の内部が視認されるように、プリンター部13の上側に開閉可能に配置され、スキャナー部12の上部には、原稿を載置するための原稿台ガラス15と、該原稿台ガラス15を覆う原稿台カバー16とが設けられている。原稿台カバー16は、スキャナー部12に開閉可能に設けられている。
【0023】
プリンター11の下部には、プリンター部13に給送すべき用紙P(記録媒体)を収容する給紙カセット17が取り外し可能な状態で挿着されている。給紙カセット17の上側には、プリンター部13により印刷された用紙Pを排出するための排出部18が設けられている。排出部18には、排出された用紙Pが載置される3段伸縮式の排紙スタッカー20が設けられている。
【0024】
プリンター11の前面やや上段寄り位置に配置された操作パネル14は、ユーザーが操作するための操作部21と、各種表示を行うための表示手段としての表示部22とを備えている。表示部22は、本実施形態ではタッチパネル式のカラー液晶ディスプレイで構成されている。表示部22には、メニュー画面や、各種モードにおける設定状態、動作状態やユーザーへのメッセージを示す文字(テキスト)、印刷したい画像の選択や画面上での印刷画像の確認を行うための画像などが表示される。
【0025】
操作部21には、ユーザーが各種操作を行うための操作ボタンが設けられている。この操作ボタンとしては、例えば、電源を投入(ON)/遮断(OFF)するための電源スイッチ23(電源ボタン)や、印刷処理を開始するための印刷開始スイッチ24、コピー処理を開始するためのコピースイッチ25、後述するエラー表示を解除したりするキャンセルスイッチ26等の他、各種メニューを選択するための選択ボタン、モード選択ボタン等も設けられている。例えばレーベル印刷は、モード選択ボタンによりレーベル印刷モードを選択し、その設定画面で必要な設定項目(CDサイズ,画像の選択等)を選択した後、印刷開始スイッチ24を押すことで実行される。
【0026】
また、プリンター11の前面右側にはカードスロット27が設けられ、例えばデジタルカメラ等により撮影された画像を保存するメモリーカードMCをカードスロット27に挿着することで、メモリーカードMCの画像をホスト装置7を介さず印刷することが可能となっている。さらに、プリンター11はUSBケーブルの端子を接続するためのUSBポート(図示せず)を備え、デジタルカメラからUSBケーブルを介して画像データを直接読み込んで印刷したり、ホスト装置7のプリンタードライバーからUSBケーブルを介して受信した印刷データに基づいて印刷したりすることも可能となっている。なお、プリンター11の前部左右下側には、カバー13aに覆われた状態で複数個のインクカートリッ
ジ28が、図示しないカートリッジホルダーに接続された状態で収容されている。
【0027】
次にプリンター部13の構成を説明する。
図2に示されるように、プリンター部13は、上側及び前側が開放された略四角箱状の本体フレーム29を備えている。本体フレーム29の同図における左右の側壁間には所定長さを有するガイド軸30が架設されており、キャリッジ31はこのガイド軸30に沿って主走査方向Xに往復移動可能に設けられている。キャリッジ31は、本体フレーム29の背板内面に取着された一対のプーリー32に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト33に固定されており、図2における右側のプーリー32が駆動軸に取着されたキャリッジモーター(以下、「CRモーター34」という)が正逆転駆動されて、タイミングベルト33が正転・逆転することにより、キャリッジ31は主走査方向Xに往復移動するようになっている。
【0028】
キャリッジ31の下部には、インクジェット式の記録ヘッド35が設けられており、この記録ヘッド35の下面は、液体としてのインクを噴射する複数列のノズルが開口するノズル形成面35a(図3及び図4参照)となっている。
【0029】
本体フレーム29内の記録ヘッド35と対向する位置には、記録ヘッド35と用紙との間隔を規定する支持台36が設けられている。また、記録ヘッド35はインク色毎の複数本のインク供給チューブが集束状態に配管されたフレキシブル配管板37を介して複数のインクカートリッジ28と接続され、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクが各インクカートリッジ28から記録ヘッド35へ個別に供給されるようになっている。なお、フレキシブル配管板37には記録ヘッド35を駆動させるための電気系配線も含まれている。また、キャリッジ31の背面側には、キャリッジ31の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー38がガイド軸30に沿って延びるように設けられている。
【0030】
また、本体フレーム29の図2における右側下部には、紙送りモーター(以下、「PFモーター39」という)が配設されている。PFモーター39の駆動により、支持台36を搬送方向に挟んだその上流側と下流側にそれぞれ配置された搬送ローラー対40及び排出ローラー対41(図3参照)が回転駆動され、用紙Pが副走査方向Yに搬送される。なお、搬送ローラー対40は、PFモーター39の動力で回転駆動する搬送駆動ローラー40aと、搬送駆動ローラー40aに当接して連れ回りする従動ローラー40bとから構成される。
【0031】
また、プリンター11には、記録ヘッド35と支持台36との間隔(支持台ギャップ)を調整可能に、キャリッジ31を上下方向に移動させる支持台ギャップ自動調整装置(以下、「APG装置42」と称す)が装備されている。ホスト装置7から、または、操作パネル14での設定情報から取得した紙種の情報に基づきその紙種に応じた適切な支持台ギャップが確保されるようにAPG装置42は駆動され、キャリッジ31が所定のペーパーギャップ(記録ヘッド35と用紙との間隔)が確保される高さに調整される構成となっている。
【0032】
プリンター11は、その後部に用紙Pの搬送経路が内部に形成された延出部29aを有し、給紙カセット17(図1参照)から給送された用紙Pは延出部29a内の搬送経路を通って、記録ヘッド35による印刷が可能な支持台36上の位置へ搬送される。そして、キャリッジ31を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド35のノズルから用紙Pにインクを吐出する印字動作と、用紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する送り動作とを交互に繰り返すことで、用紙Pに画像やテキスト等の印刷が施される。
【0033】
本実施形態では、自動両面印刷を行うときには、用紙Pの表裏を自動で反転させる機能を持つ着脱式の反転ユニット43が、図2に示すように延出部29aの後部に装着されている。この反転ユニット43は、一方の面(表面)の印刷が終わった図1及び図2に示す状態の用紙Pを、副走査方向Yの上流側へ逆送りして表裏を反転させて再び給送する機能を備えている。なお、この反転ユニット43の詳細については後述する。
【0034】
図2においてキャリッジ31の移動経路上の同図における右端位置は、記録が行われないときにキャリッジ31が待機するホーム位置(ホームポジション)となっている。ホーム位置に配置されたキャリッジ31の直下には、記録ヘッド35に対してノズルクリーニング等のメンテナンスを行うメンテナンス装置44が配設されている。
【0035】
メンテナンス装置44は、記録ヘッド35のノズル内のインクが乾燥することを防止する蓋体として機能するキャップ45と、ノズル形成面35aを払拭するためのワイパー46と、キャリッジ31をホーム位置にロックするためのロック部材47と、これらの部材45〜47を同期して昇降させる昇降機構44aと、吸引ポンプ48とを備える。昇降機構44aによって、各部材45〜47は記録ヘッド35と干渉しない退避位置(最下降位置)と、上昇位置との間を昇降する。上昇位置では、キャップ45がノズルを囲む状態で記録ヘッド35のノズル形成面35aに当接するとともにワイパー46がノズル形成面35aを払拭可能な高さに配置され、さらにロック部材47がキャリッジ31の側面に設けられたロック用の凹部31aに係入されて、キャリッジ31をホーム位置にロックするようになっている。
【0036】
キャップ45は、上記のノズル開口の乾燥を防ぐ目的の蓋体機能(キャッピング機能)の他、記録ヘッド35のノズル形成面35aをキャップしてそのキャップ内空間に吸引ポンプ48からの負圧を与えてノズルからインクを強制的に吸引排出させる液体吸引手段の一部としての機能も備えている。吸引ポンプ48は、例えばチューブポンプからなり、ノズルからキャップ45内へ吸引排出された廃インクは支持台36の下側に配置された廃液タンク49に排出されるようになっている。
【0037】
また、キャリッジ31のホーム位置近傍には、動力伝達切換装置50が設けられている。動力伝達切換装置50は、キャリッジ31がホーム位置近傍の切換位置に配置されることで接続から切断の状態に切り換えられ、搬送駆動ローラー40aの回転により接続先(切り換え先)を選択し、キャリッジ31が切換位置から退避することで、PFモーター39の動力伝達経路が、選択された接続先へ切り換えられるように構成されている。本実施形態では、PFモーター39は、APG装置42、メンテナンス装置44及び自動給送装置(以下、単に「給送装置52」という)(図3参照)及び等の共通の動力源となっている。そして、動力伝達切換装置50の切り換えにより、これらの装置42、44,52等のうち一つへの動力伝達経路が選択されるようになっている。なお、PFモーター39から搬送ローラー対40及び排出ローラー対41への動力伝達経路は動力伝達切換装置50の切換位置に関係なく常に接続されるようになっている。
【0038】
次にプリンター部13の詳細な構成を説明する。
プリンター部13の前面の中央下部に多数枚の用紙Pを積畳状態で収容し得る給紙カセット17が着脱可能に装着されている。給紙カセット17内に収容された用紙Pは、給送装置52によって最上位のものから順番に1枚ずつ繰り出されて後述するU字状の湾曲反転経路53に向けて給送されるようになっている。
【0039】
給送装置52は、給紙カセット17と、ピックアップローラー54と、ガイドローラ55と、分離手段56と、第1中間送りローラー57とを備えている。給紙カセット17には複数枚の用紙Pを積層状態でセット可能であり、図示しないエッジガイドによって収容
された用紙Pが給送位置に位置決めされるようになっている。
【0040】
ピックアップローラー54は、揺動軸58を中心に揺動する揺動部材59に設けられており、PFモーター39(図2)を動力源として、給紙カセット17にセットされた用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、最上位の用紙Pを給紙カセット17から送り出す。
【0041】
ピックアップローラー54の回転により送り出された用紙Pの先端が分離斜面60に摺接しつつ下流側に進むことで、次位以降の用紙Pとの予備的な分離が行われる。分離斜面60の下流側には自由回転可能なガイドローラ55が設けられ、このガイドローラ55の下流側には、分離ローラー61と駆動ローラー62とを備えて構成された分離手段56が設けられている。分離ローラー61は、その弾性材よりなる外周面が駆動ローラー62と圧接し、且つトルクリミッタ機構により、所定の回転抵抗が与えられた状態に設けられている。従って、次位以降の用紙Pが、分離ローラー61と駆動ローラー62との間で止められるため、重送の発生が抑制されるようになっている。
【0042】
分離手段56の下流側には、駆動ローラー63と、駆動ローラー63との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー64とからなる第1中間送りローラー57が設けられており、この第1中間送りローラー57により、用紙Pが更に下流側へと送られる。なお、第1中間送りローラー57の下流側には、用紙Pが湾曲反転経路53を通過する際の負荷を軽減する従動ローラー65が設けられている。
【0043】
続いて給送装置52(従動ローラ65)の下流側には、駆動ローラー66と、駆動ローラー66との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー67とからなる第2中間送りローラー68が設けられており、この第2中間送りローラー68により、用紙Pが更に下流側へと送られる。第2中間送りローラー68の下流側には、搬送ローラー対40と、記録ヘッド35と、支持台36と、排出ローラー対41とが設けられている。
【0044】
用紙Pは搬送駆動ローラー40aと従動ローラー40bにニップされてその先端が印刷開始位置に達するまで給送(頭出し)され、印刷開始後の紙送り動作時には下流側へ精密送りされる。
【0045】
キャリッジ31は主走査方向(図3の紙面直交方向)に延びるガイド軸30にガイドされながら、CRモーター34(図2)によって主走査方向に往復動するように駆動される。なお、キャリッジ31はインクカートリッジを搭載しない所謂オフキャリッジタイプであり、インクカートリッジ28(図1)からフレキシブル配管板37のインク供給チューブ(図示せず)を介して記録ヘッド35へとインクが供給される。
【0046】
記録ヘッド35と対向する位置には支持台36が設けられ、支持台36によって、用紙Pと記録ヘッド35との間のギャップが規定されるようになっている。
支持台36の搬送方向下流側にある排出ローラー対41は、駆動ローラー41aと、駆動ローラー41aに接して従動回転する従動ローラー41bとを備え、記録ヘッド35によって記録の施された用紙Pは、排出ローラー対41により、装置前方側に設けられた排紙スタッカー20(図1参照)へと排出される。なお、給送装置52を構成するピックアップローラー54、駆動ローラー62,63,66は、PFモーター39の動力により回転駆動される。以上説明した用紙Pの搬送経路(第1面にのみ記録を行う際の搬送経路)は、図3において破線及び矢印で示される。
【0047】
湾曲反転経路53は、プリンター部13の後部スペースを利用して設けられている。湾曲反転経路53は、その外側案内面53aを形成する上部ハウジング69及び搬送案内上
70と、下方に位置する下部ハウジング71と、その内側案内面53bを形成する経路構成部材72とにより構成されている。
【0048】
続いて反転ユニット43について説明する。
反転ユニット43は、第2中間送りローラー68が用紙搬送方向として第2搬送方向(図4の左方向)を選択する際に、第2中間送りローラー68の下流側に位置している。
【0049】
この反転ユニット43は回転軸80aを中心に回転駆動される大径の反転ローラー80と、この反転ローラー80との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー81、82と、揺動軸83aを中心に揺動することにより用紙搬送経路を切り換える経路切換部材83と、同じく揺動軸84aを中心に揺動することにより用紙搬送経路を切り換える経路切換部材84と、を備えている。
【0050】
給紙カセット17から送り出されて第1面(表面)に記録の行われた用紙Pは、第2中間送りローラー68、搬送ローラー対40、排出ローラー対41、のこれらによる用紙逆送り動作によって、第1面に記録が実行された際に用紙後端となっていた側が先端となって、反転ローラー80とアシストローラー82との間に誘い込まれる。なお、このとき経路切換部材83、84は自重によって下方に下がった状態にあり(但し、経路切換部材83は図4、経路切換部材84は図3の状態)、用紙先端が斜め下方の経路に入り込まないよう用紙先端を反転ローラー80とアシストローラー82との間に向けて案内する。
【0051】
反転ローラー80は、PFモーター39(図2)を動力源とするが、図示しない回転方向維持装置により一定の回転方向(図3、4の反時計回り方向)が維持されるよう構成されている。反転ローラー80とアシストローラー82との間に誘い込まれた用紙Pは、反転ローラー80とアシストローラー81との間を通って、第2面(裏面)が記録面側となる向きに反転された状態で、再び第2中間送りローラー68に到達し、記録ヘッド35側へと導かれ、以降同様に記録が実行される。なお、以上説明した用紙Pの両面に記録を行う際に用紙Pを反転させる用紙搬送経路は、図4において破線矢印で示される。
【0052】
なお、搬送ローラー対40の上流側近傍には、用紙Pを検出する紙検出センサー87が設けられている。紙検出センサー87は、給送される用紙Pの先端あるいは搬送される用紙Pの後端の通過を検出する。本実施形態では、紙検出センサー87は例えば光学センサーにより構成されている。もちろん、紙検出センサー87を接触式センサーとしてもよい。
【0053】
また、紙幅センサー88は、光学式のセンサーであり、キャリッジ31における記録ヘッド35と隣接する位置に設けられている。そして、キャリッジ31が主走査方向Xへ移動するとき、紙幅センサー88から出射した光の反射光を受光し、その反射率の高低によって用紙Pの有無および端部を検出するように構成されている。これら紙検出センサー87及び紙幅センサー88は、制御装置100へ検出状態を知らせる信号を送信するように設けられている。なお、キャリッジ31の移動方向(主走査方向X)においてホーム位置側を「1桁側」と呼び、反ホーム位置側を「80桁側」と呼ぶ場合がある。
【0054】
なお、湾曲反転経路53を構成する経路構成部材72の内部空間74には、経路構成部材72と一体化された支持部材73の上面にトレイ75が支持された状態で前後方向(図3、図4における左右方向)に移動可能に設けられている。トレイ75は、同図の格納位置から、PFモーター39により回転するピニオン76とラック75aとの噛合を介してその先端部が搬送ローラー対40にニップされるまでの範囲で搬送され、それより先(搬送方向下流側)は搬送ローラー対40及び排出ローラー対41によりニップされた状態で搬送されて、排出部18(図1参照)から出退可能に構成されている。トレイ75には、
CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RWあるいは次世代の光ディスクとして注目されているブルーレイディスク等の光ディスクをセットしてそのレーベル面に印刷するときに用いられる。
【0055】
搬送駆動ローラー40a、駆動ローラー41a、駆動ローラー66(第2中間送りローラー68)、のこれら用紙搬送経路に設けられるローラーは、PFモーター39と一対一に連結されており、PFモーター39の回転方向切り換え(正転/逆転)に伴い、その回転方向を切り換える。すなわちPFモーター39の正転時には、上記各ローラーは用紙Pを図3及び図4の右方向に搬送し、逆転時には、用紙Pを同図左方向に搬送する。
【0056】
次に上述したプリンター11の電気的構成について説明する。
図5に示されるように、プリンター11は、外部I/F90を介してホスト装置7に接続されている。ホスト装置7は、インターネットNWを介してサービスセンター5のサーバー(図示略)に接続されている。
【0057】
プリンター11は、当該プリンター11を統括的に制御する制御装置100を備えている。制御装置100には、入力系として、操作パネル14を構成する電源スイッチ23、印刷開始スイッチ24、コピースイッチ25及びキャンセルスイッチ26をはじめとする各種スイッチ、タッチパネル式の表示部22、カードリーダー101、リニアエンコーダー38、エンコーダー102、紙検出センサー87及び紙幅センサー88が接続されている。また、制御装置100には、出力系として、スキャナエンジン105、CRモーター34、PFモーター39及び記録ヘッド35が接続されている。
【0058】
制御装置100は、表示ドライバー111、第1モーター駆動回路112、第2モーター駆動回路113及びヘッド制御ユニット114を備えている。制御装置100は、表示ドライバー111を介して表示部22の表示制御を行う。また、制御装置100は、第1モーター駆動回路112を介してCRモーター34を駆動制御するとともに、第2モーター駆動回路113を介してPFモーター39を駆動制御する。さらに制御装置100は、ヘッド制御ユニット114を介して記録ヘッド35を駆動制御することでインク滴の吐出制御を行う。
【0059】
制御装置100は、制御部120、ROM121、RAM122、ASIC123、CRカウンター124、PFカウンター125、タイマー126を備え、これらはバス130を介して互いに接続されている。ROM121には、制御部120により実行される制御プログラムなどが記憶されている。RAM122には、制御部120の演算結果や制御プログラムを実行して処理する各種データなどが一時的に記憶される。また、RAM122は、カードリーダー101やホスト装置7、ASIC123から入力される画像データ、当該画像データに基づいてインク滴の吐出の有無や吐出するインク滴の量が規定された印刷データが一時的に格納されるバッファーとしてその一部が用いられる。
【0060】
スキャナエンジン105は、原稿台ガラス15に載置された原稿を光学的に読み取ってCCD(電荷結合素子)に蓄えられた電荷を、A/D変換回路によってA/D変換した画像データをASIC123に出力する。ASIC123は、制御部120の制御の下、スキャナエンジン105から入力される画像データをRAM122に転送する。制御部120は、RAM122に格納された画像データに基づいて印刷データを生成しヘッド制御ユニット114へ転送する。
【0061】
リニアエンコーダー38は、キャリッジ31の移動経路に沿って張設されてその長手方向に一定刻みでスリットが形成された黒系半透明のテープ状の符号板と、該符号板のスリットを検知可能な状態でキャリッジ31の所定位置に固定された光学センサー(いずれも
図示せず)とを有する。光学センサーは、符号板を挟んで対向配置された一対の発光素子と受光素子とを有し、受光素子が発光素子から発光されて符号板上のスリットを通過した光を受光する。よって、リニアエンコーダー38は、キャリッジ31の移動距離に比例するパルス数で、かつキャリッジ31の移動速度に反比例する周期をもつパルスを出力する。制御部120は、キャリッジ31のホームシーク処理において、キャリッジ31を1桁側に移動させてキャリッジ31が1桁側のエンドに当接して、CRモーター34の駆動電流値が所定の閾値を超えると、CRカウンター124をリセットし、以後、リニアエンコーダー38からの入力するパルスエッジを計数する。そして、キャリッジ31が80桁側の方向へ移動するときにCRカウンター124の値をインクリメントし、キャリッジ31が1桁側へ向かう方向に移動するときにCRカウンター124の値をデクリメントすることで、制御部120はCRカウンター124の計数値から、キャリッジ31の主走査方向Xにおける位置を把握する構成となっている。
【0062】
また、エンコーダー102は、PFモーター39と動力伝達可能に連結された軸部(例えば搬送駆動ローラ40aの軸部)の端部に固定された回転式の符号円板と、その符号円板の周方向に一定刻みで形成されたスリットを透過した発光素子からの光を受光素子が受光して90度位相のずれた2つのパルス信号を出力するセンサーとを有する。
【0063】
PFカウンター125は、紙検出センサー87が用紙Pの先端を検知した時にリセットされ、その後、用紙Pの先端が記録ヘッド35の最上流ノズル位置(基準位置)に達した時に再リセットされる。この再リセット後、PFカウンター125は、エンコーダー102から入力するパルス信号のパルスエッジを計数することで、制御部120はPFカウンター125の計数値(計測値)から基準位置を原点とする用紙Pの搬送位置を把握する構成となっている。
【0064】
タイマー126は、プリンター11の使用開始からの経過時間を計時する。制御部120は、タイマー126が計時する経過時間に基づいて、前回のクリーニング動作から予め設定された設定時間(例えば数時間〜数日)を超えたとき、またはその超えた後の最初の電源投入時にクリーニング動作を実行する。また制御部120は、操作パネル14の操作によってクリーニング動作が指示された場合に、クリーニング動作を実行する。すなわち、制御部120はCRモーター34を駆動させてキャリッジ31をホーム位置に移動させ、次にPFモーター39を駆動させてメンテナンス装置44の昇降機構44aを駆動させてキャップ45及びロック部材47を上昇させることで記録ヘッド35をロック部材47によりホーム位置にロックする状態でキャップ45をノズル形成面35aに当接させた状態にキャッピングする。さらにPFモーター39を駆動することで、吸引ポンプ48(図2参照)をポンプ駆動させることでキャップ45の内部空間に吸引力を及ぼして、記録ヘッド35のノズルからインクを強制的に吸引する。
【0065】
なお、メンテナンス装置44の昇降機構44aは吸引ポンプ48にも動力伝達可能に構成され、その動力伝達経路上には遅延機構(図示省略)が設けられ、キャップ45及びロック部材47がキャッピング位置、ロック位置にそれぞれ上昇した後、さらにPFモーター39の正転駆動が継続されると、先のキャッピング完了及びCRロック完了時期から所定回転量だけ遅延したタイミングで吸引ポンプ48との動力伝達が接続される構成となっている。そして、吸引ポンプがポンプ駆動されている間、キャップ45及びロック部材47を上昇させる動力伝達経路の途中に設けられた歯車は空転するようになっている。そして、吸引ポンプ48による吸引動作が終了すると、PFモーター39が逆転駆動され、このとき吸引ポンプはレリース状態になるとともに、正転駆動時に空転していた前記歯車は噛み合いカムが回転してキャップ45及びロック部材47が下降するように構成されている。
【0066】
制御部120は、上述した制御を主制御部131によって行う。また制御部120は、エラー検知部132、エラーメッセージ選択部133、閾値設定部134、動作履歴記録部135、履歴データ送信部136、応答メッセージ処理部137を備えている。また、制御装置100は、連続エラーカウンター141、累積エラーカウンター142、不揮発性メモリー143を備えている。
【0067】
エラー検知手段としてのエラー検知部132は、各種入力される信号や各種データに基づいてプリンター11に生じた各種エラーを検知する。エラー検知部132が検知するエラーとしては、例えば次のようなものがある。
【0068】
・紙ジャムエラー
・紙無しエラー
・インク切れエラー
・重送エラー
・ノズル詰まりエラー
制御部120は、エラー検知部132によって上述したエラーが検知されると実行中の動作を停止し、当該エラーに対応するエラーメッセージを表示部22に表示する。
【0069】
上記紙ジャムエラーは、搬送経路の途中で用紙Pが詰まっていることを示すエラーである。エラー検知部132は、例えば、PFモーター39の駆動電流値と、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量と、紙検出センサー87からの信号とに基づいて、紙ジャムエラーを検知する。つまり、エラー検知部132は、PFモーター39への負荷が大きく、操作パネル14やホスト装置7を介して設定されたサイズの用紙Pが紙検出センサー87に検出されるのに十分な量だけ搬送されたにも関わらず、紙検出センサー87によって用紙Pが検出されない場合に紙ジャムエラーを検知する。
【0070】
紙ジャムエラーが検知されると制御部120は、後述するエラーメッセージ選択部133によって選択された紙ジャムエラーに関するエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。この紙ジャムエラーを解消するためには、プリンター11の内部に詰まった用紙Pをユーザーに取り除いてもらう必要がある。プリンター11においては、用紙Pを除去する際のユーザーの安全性を確保するうえで紙ジャムエラーの検知直後に電源スイッチ23のOFF操作が必須の操作となるように構成されている。そのため、紙ジャムエラーのエラー表示は、プリンター11の電源スイッチ23がOFF操作されることにより解除される。
【0071】
上記紙無しエラーは、給紙カセット17に用紙Pがセットされていないことを示すエラーである。エラー検知部132は、例えば、PFモーター39の駆動電流値と、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量と、紙検出センサー87からの信号とに基づいて、紙無しエラーを検知する。つまり、エラー検知部132は、例えば、PFモーター39への負荷が所定値よりも小さく、操作パネル14やホスト装置7を介して設定されたサイズの用紙Pが紙検出センサー87に検出されるのに十分な量だけ搬送されたにも関わらず、紙検出センサー87によって用紙Pが検出されない場合に紙無しエラーを検知する。
【0072】
紙無しエラーが検知されると制御部120は、後述するエラーメッセージ選択部133によって選択された紙無しエラーに関するエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。この紙無しエラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0073】
上記インク切れエラーは、インクカートリッジ28のインク残量が予め定めたインクエ
ンド値以下になるエラーである。制御部120は、インクカートリッジ28に実装された記憶素子28aと電気的に接続され、各記憶素子28aに対するデータの書込み及び読出しが可能になっている。また制御部120は、インクカートリッジ28のインク残量を取得する機能を有している。本実施形態の制御部120は、印刷データに基づいて今回のインク消費量を演算する。そして、制御部120は、今回のインク消費量を前回のインク残量から減算することにより、現在(今回)のインク残量を逐次演算する。そして、プリンター11の電源遮断時に現在のインク残量を記憶素子28aに記憶し、次回の電源投入時に記憶素子28aから前回の電源遮断時のインク残量を取得し、このインク残量から印刷データに基づくインク消費量を逐次減算することで、現在のインク残量を取得する。エラー検知部132は、こうして取得される現在のインク残量に基づいてインク切れエラーを検知する。
【0074】
インク切れエラーが検知されると制御部120は、後述するエラーメッセージ選択部133によって選択されたインク切れエラーに関するエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。このインク切れエラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0075】
上記重送エラーは、複数の用紙Pが搬送されていることを示すエラーである。エラー検知部132は、PFカウンター125に基づいて算出される用紙Pの搬送量、紙検出センサー87からの信号に基づいて、重送エラーを検知する。また、CRカウンター124の計数値から把握されるキャリッジ31の位置、紙幅センサー88からの信号に基づいて重送エラーを検知する。つまり、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量が、操作パネル14やホスト装置7を介して設定された用紙Pのサイズを超えても紙検出センサー87によって用紙Pが検出される場合に重送エラーを検知する。また、CRカウンター124の計数値に基づいて把握されるキャリッジ31の位置が、操作パネル14やホスト装置7を介して設定された用紙Pの外側になっても紙幅センサー88によって用紙Pが検出される場合に重送エラーを検知する。
【0076】
重送エラーが検知されると制御部120は、後述するエラーメッセージ選択部133によって選択された重送エラーに関するエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。この重送エラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0077】
上記ノズル詰まりエラーは、例えば固化したインクなどによって記録ヘッド35のノズルが詰まっていることを示すエラーである。エラー検知部132は、記録ヘッド35から試料に対してインク滴を吐出するノズルチェック動作を行う。ノズルチェック動作は、ユーザーによって操作パネル14においてノズルチェック動作を実行させる操作がなされることにより実行される。ユーザーは、試料に吐出されたインク滴にノズル抜けがあるか否かを目視にて確認し、ノズル抜けの有無を操作パネル14より入力する。これによりエラー検知部132は、ノズル詰まりエラーを検知する。
【0078】
インク詰まりエラーが検知されると制御部120は、後述するエラーメッセージ選択部133によって選択されたインク詰まりに関するエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。このノズル詰まりエラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0079】
エラー回数計数手段としての連続エラーカウンター141は、エラー検知部132によって検知されたエラーが解除された直後の確認動作において、その解除されたエラーと同じエラーが検知された場合にインクリメントされ、その解除されたエラーが解消された場合にリセットされるカウンターである。制御部120は、連続エラーカウンター141の
計数値Csから、同じエラーが連続して発生した回数を把握する。
【0080】
累積エラーカウンター142は、図5においては1つのみを図示したがエラー検知部132が検知したエラー毎に設けられており、対応するエラーが検知されるたびにインクリメントされるカウンターである。制御部120は、累積エラーカウンター142の計数値Caから、各エラーの累積発生回数を把握する。
【0081】
メッセージ記憶手段としての不揮発性メモリー143には、エラーメッセージデータ144が格納されている。エラーメッセージデータ144には、エラー検知部132が検知するエラー毎に、複数のエラーメッセージが保存されている。また不揮発性メモリー143には、連続エラーカウンター141の計数値Csに応じてエラーメッセージを切り替える閾値がエラー毎に規定された閾値データ145が格納されている。また不揮発性メモリー143には、プリンター11の動作履歴が記録される履歴データ146が格納されている。
【0082】
上記閾値データ145には、例えば第1の閾値T1、第2の閾値T2がエラー毎に設定されている。第1の閾値T1は、エラーに対する処置がユーザーにとって容易である判断するための閾値である。第2の閾値は、エラーに対する処置がユーザーで対応可能か否かを判断するための閾値である。具体的には、連続エラーカウンター141の計数値Csが、第1の閾値T1よりも大きく且つ第2の閾値T2以下である場合には、検知されたエラーに対する処置が第1の閾値T1における処置よりも複雑であるものの、ユーザーでも対応可能であると判断される。一方、計数値Csが第2の閾値T2を超えている場合には、プリンター11が故障している可能性があり、ユーザーでは対応すること困難であると判断される。
【0083】
上記エラーメッセージデータ144には、エラーに対してユーザーが対応可能である場合のエラーメッセージであって、当該エラーの処置を教示する内容の第1及び第2のエラーメッセージが保存されている。またエラーに対してユーザーが対応することが困難であるエラーメッセージであって、プリンター11が故障している可能性があるためサービスセンターに問い合わせして頂くことを促す第3のエラーメッセージが保存されている。なお、図6に示されるように、表示部22に第3のエラーメッセージ150が表示される場合、その表示部分の一部に、ホスト装置7のEmail機能を利用して履歴データをサービスセンター5のサーバーに送信するためのemailボタン151が設けられている。
【0084】
メッセージ選択手段としてのエラーメッセージ選択部133は、エラー検知部132が検知したエラーの種類と、連続エラーカウンター141の計数値Csと、不揮発性メモリー143の閾値データ145とに基づいて、当該計数値Csと当該エラーに対応する閾値とを比較して、表示部22に表示するエラーメッセージをエラーメッセージデータ144から選択する。制御部120は、エラー検知部132によってエラーが検知されるとエラーメッセージ選択部133が選択したエラーメッセージを表示部22に表示するエラー表示処理を実行する。
【0085】
閾値設定手段としての閾値設定部134は、不揮発性メモリー143に格納されている閾値データ145を更新することにより、表示部22に表示されるエラーメッセージを、エラー毎に、連続して発生した回数に応じて切り替える閾値を設定する。使用開始前のプリンター11には初期状態に応じた閾値が予め設定されており、閾値設定部134は、タイマー126の計時に基づくプリンター11の使用期間や累積エラーカウンター142の計数値Caに基づく累積発生回数等に基づいて閾値を設定する。閾値設定部134は、例えば、プリンター11の使用期間が一定期間経過した場合、プリンター11に経年劣化が生じている可能性が高いものとして、例えば上記第1及び第2の閾値を初期状態に応じた
値よりも小さくなるように設定する。
【0086】
エラー情報記録手段としての動作履歴記録部135は、プリンター11の動作に基づいて、不揮発性メモリー143に格納されている履歴データ146を更新する。履歴データ146は、図7に示されるように、印刷動作や電源のON/OFF操作だけでなく、エラー検知部132が検知したエラーの種類、そのエラーの要因等も記録されるログデータである。動作履歴記録部135は、上述したエラーの検知やエラーの解除操作等、一連のプリンター11の動作に基づき逐次履歴データ146を更新する。そして、この履歴データ146を参照することにより、プリンター11の状態を把握することが可能であり、図7に示した履歴データ146であればキャリッジ系が故障していることが予想される。
【0087】
送信手段としての履歴データ送信部136は、第3のエラーメッセージ150の一部に設けられたemailボタン151がユーザーによって押下されたときに、ホスト装置7のEmail機能を利用して、不揮発性メモリー143に格納されている履歴データ146をサービスセンター5に送信する。この際、履歴データ送信部136は、履歴データ146の内容をIDコード化し、ユーザーにその内容が分からないようにしたうえで送信する。
【0088】
サービスセンター5においては、送信された履歴データ146の分析が行われる。そして、その分析結果に応じた最適な対処方法を示すメッセージを、Email機能を利用して、ホスト装置7に送信する。サービスセンター5からは、履歴データ146を分析した結果、プリンター11の故障であると判断されるときには、プリンター11の修理を促すメッセージが送信される。また、部品交換や用紙サイズの再設定などによって解決しそうな場合は、その旨を示すメッセージが送信される。ホスト装置7は、サービスセンター5からのメッセージを受信すると、その内容を示すデータである応答メッセージデータを生成し、その生成した応答メッセージデータをプリンター11に出力する。
【0089】
受信手段としての応答メッセージ処理部137は、ホスト装置7から送信された応答メッセージデータに所定の処理を実行し、その処理により取得される応答メッセージを表示部22に表示させたり、印刷可能であればその応答メッセージを印刷させたりする。サービスセンター5からの応答メッセージとしては、例えば、エラー検知部132によって検知されたエラーに対する処置を示すメッセージや、図8に示すようなプリンター11の修理を促す応答メッセージ152である。
【0090】
次に、エラー検知部132によってエラーが検知されたときに表示部22にエラーメッセージが表示されるエラー表示処理について具体的な実施例を挙げて説明する。
[実施例1]
この実施例1においては、エラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知された場合のエラー表示処理の手順について図9及び図10を参照して説明する。なお、紙ジャムエラーに関するエラー表示処理は、エラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知されることによって開始される。また、本実施例の紙ジャムエラーに関しては第1の閾値T1が「3」、第2の閾値T2が「7」に設定されているとともに連続エラーカウンター141はリセットされた状態にある。
【0091】
図9に示されるように、印刷動作の実施中、すなわち用紙Pの搬送中にエラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知されると、印刷動作が停止されて連続エラーカウンター141の計数値Csがインクリメントされる(ステップS101)。この際、紙ジャムエラーに対応する累積エラーカウンター142の計数値Caもインクリメントされる。
【0092】
次いで、エラーメッセージ選択部133によって、連続エラーカウンター141の計数
値Csと紙ジャムエラーに対応する閾値とが比較される。まず、計数値Csが第1の閾値T1以下であるか否かの判断がなされる(ステップS102)。すなわち、紙ジャムエラーの連続して発生した回数が3回以下か否かの判断がなされる。紙ジャムエラーにおいて計数値Csが第1の閾値T1以下である場合は、例えば、搬送ローラー対40付近などで用紙Pが詰まってしまい、スキャナー部12を開放することによって、詰まった用紙Pが容易に除去されるものと想定される場合である。そして、計数値Csが第1の閾値T1以下であった場合(ステップS102:YES)、図10(a)に示されるように、第1の閾値T1に応じた紙ジャムエラーに対する処置を教示する第1のエラーメッセージ155が表示部22に表示される(ステップS103)。
【0093】
次いで、紙ジャムエラーのエラー表示を解除する解除操作、すなわち電源スイッチ23のOFF操作がなされ、プリンター11の電源がOFFされる(ステップS104)。そして、ユーザーによって紙ジャムエラーに対する処置が施されたのち、再び電源スイッチ23がON操作されてプリンター11の電源がONされる(ステップS105)。続けて、紙ジャムエラーが解消されたか否かの確認動作が行われる(ステップS106)。この確認動作においては、再びエラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知されるか否かが判断される(ステップS107)。エラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知されなかった場合(ステップS107:NO)、連続エラーカウンター141の計数値Csがリセットされて(ステップS108)一連の処理が終了する。
【0094】
一方、紙ジャムエラーが再び検知された場合(ステップS107:YES)、再びステップ101に移行して一連の処理が繰り返し実行される。
このステップS107を経由した一連の処理が繰り返されていると、やがて連続エラーカウンター141の計数値Csが第1の閾値T1を超えてしまい、計数値Csが第1の閾値T1を越えていると判断される(ステップS102:NO)。
【0095】
計数値Csが第1の閾値T1を越えていると判断された場合(ステップS102:NO)、続いて当該計数値Csが第2の閾値T2以下であるか否かの判断がなされる(ステップS109)。すなわち、紙ジャムエラーの連続して発生した回数が7回以下か否かの判断がなされる。計数値Csが第1の閾値T1よりも大きく且つ第2の閾値T2以下である場合は、例えば、反転ユニット43の内部で用紙Pが詰まってしまい、反転ユニット43をプリンター部13から取り外す必要があると想定される場合である。すなわち、紙ジャムエラーを解消するための処置が、計数値Csが第1の閾値T1以下である場合よりも複雑ではあるものの、ユーザーによって対応可能な場合である。そして、計数値Csが第2の閾値以下であった場合(ステップS109:YES)、図10(b)に示されるように、第2の閾値T2に応じた紙ジャムエラーに対する処置を教示する第2のエラーメッセージ156が表示部22に表示される(ステップS110)。
【0096】
その後、ステップS107を経由した一連の処理がさらに繰り返し実行されると、やがて計数値Csが第2の閾値T2を超えてしまい、計数値Csが第2の閾値T2を超えている判断される(ステップS109:NO)。
【0097】
計数値Csが第2の閾値T2を越えていると判断された場合(ステップS109:NO)、プリンター11が故障している可能性があるため、図6に示した第3のエラーメッセージ150が表示部22に表示される(ステップS111)。そして、ユーザーによる紙ジャムエラーの解消が困難であるものとして一連の処理を終了する。
【0098】
なお、ステップS111において、第3のエラーメッセージ150のemailボタン151がユーザーによって押下されると、上述した紙ジャムエラーに関するエラー表示処理を含んだ履歴データ146がホスト装置7を介してサービスセンター5に送信される。
サービスセンター5は、履歴データ146の分析結果に応じた応答メッセージをホスト装置7に送信する。そして、その応答メッセージがプリンター11の表示部22に表示される。
[実施例2]
実施例2においては、エラー検知部132によって紙無しエラーが検知された場合のエラー表示処理の手順について図11及び図12を参照して説明する。なお、紙無しエラーに関するエラー表示処理は、エラー検知部132によって紙無しエラーが検知されることによって開始される。また、本実施例の紙無しエラーに関しては第1の閾値T1が「3」、第2の閾値T2が「7」に設定されているとともに連続エラーカウンター141はリセットされた状態にある。
【0099】
図11に示されるように、印刷動作の実施中、すなわち用紙Pの搬送中にエラー検知部132によって紙無しエラーが検知されると、印刷動作が停止されて連続エラーカウンター141の計数値Csがインクリメントされる(ステップS201)。この際、紙無しりエラーに対応する累積エラーカウンター142の計数値Caもインクリメントされる。
【0100】
次いで、エラーメッセージ選択部133によって、連続エラーカウンター141の計数値Csと紙無しエラーに対応する閾値とが比較される。まず、計数値Csが第1の閾値T1以下であるか否かの判断がなされる(ステップS202)。すなわち、紙無しエラーの連続して発生した回数が3回以下か否かの判断がなされる。紙無しエラーにおいて計数値Csが第1の閾値T1以下である場合は、例えば給紙カセット17に用紙Pがセットされておらず、用紙Pをセットすることによってエラーが容易に解消されると想定される場合である。そして、計数値Csが第1の閾値以下であった場合(ステップS202:YES)、図12(a)に示されるように、第1の閾値T1に応じた紙無しエラーに対する処置を教示する第1のエラーメッセージ157が表示部22に表示される(ステップS203)。
【0101】
次いで、ユーザーによって紙無しエラーに対する処置が施されたのち、紙無しエラーのエラー表示を解除する解除操作、すなわちキャンセルスイッチ26の押下操作がなされ(ステップS204)、紙無しエラーが解消されたか否かを確認するための確認動作が行われる(ステップS205)。この確認動作によって、再びエラー検知部132によって紙ジャムエラーが検知されるか否かが判断される(ステップS206)。エラー検知部132によって紙無しエラーが検知されなかった場合(ステップS206:NO)、連続エラーカウンター141の計数値Csがリセットされ(ステップS207)、一連の処理が終了する。
【0102】
一方、紙無しエラーが再び検知された場合(ステップS206:YES)、ステップ201に移行して一連の処理が繰り返し実行される。このステップS206を経由した一連の処理が繰り返されていると、やがて連続エラーカウンター141の計数値Csが第1の閾値T1を超えてしまい、計数値Csが第1の閾値T1を越えていると判断される(ステップS202:NO)。
【0103】
計数値Csが第1の閾値T1を越えていると判断された場合(ステップS202:NO)、続いて当該計数値Csが第2の閾値T2以下であるか否かの判断がなされる(ステップS208)。すなわち、紙無しエラーの連続して発生した回数が7回以下か否かの判断がなされる。紙無しエラーにおいて計数値Csが第1の閾値T1よりも大きく且つ第2の閾値T2以下である場合は、例えば、操作パネル14やホスト装置7を介して設定された用紙Pの情報と、実際にセットされている用紙Pの情報とが異なるものとそう想定される場合である。これは、例えば給紙カセット17にセットされている用紙Pのサイズを変更したにもかかわらず、操作パネル14やホスト装置7を介して設定される用紙Pのサイズ
が変更されていないものと想定される。すなわち、紙無しエラーを解消するための処置が、計数値Csが第1の閾値T1以下である場合よりも複雑ではあるものの、これもまた、ユーザーによって対応可能な場合である。そして、計数値Csが第2の閾値T2以下であった場合(ステップS208:YES)、図12(b)に示されるように、第2の閾値T2に応じた紙無しエラーに対する処置を教示する第2のエラーメッセージ158が表示部22に表示される(ステップS209)。
【0104】
その後、ステップS206一連の処理がさらに繰り返し実行されると、やがて計数値Csが第2の閾値T2を超えてしまい、計数値Csが第2の閾値T2を超えている判断される(ステップS208:NO)
計数値Csが第2の閾値T2を越えていると判断された場合(ステップS208:NO)、プリンター11が故障している可能性があるため、図6に示した第3のエラーメッセージ150が表示部22に表示される(ステップS210)。そして、ユーザーによる紙無しエラーの解消が困難であるものとして一連の処理を終了する。
【0105】
なお、ステップS210において、第3のエラーメッセージ150のemailボタン151がユーザーによって押下されると、上述した紙無しエラーに関するエラー表示処理を含んだ履歴データ146がホスト装置7を介してサービスセンター5に送信される。サービスセンター5は、履歴データ146の分析結果に応じた応答メッセージをホスト装置7に送信する。そして、その応答メッセージがプリンター11の表示部22に表示される。
[実施例3]
実施例3においては、エラー検知部132によってノズル詰まりエラーが検知された場合のエラー表示処理の手順について図13及び図14を参照して説明する。なお、ノズル詰まりエラーに関するエラー表示処理は、ユーザーによってノズルチェック動作が指示されることにより開始される。また、本実施例のノズル詰まりエラーに関しては、第2の閾値T2が設定されておらず第1の閾値T1のみが「2」に設定されているとともに、連続エラーカウンター141はリセットされた状態にある。
【0106】
まず、ユーザーによってノズルチェック動作が指示され、プリンター11においてノズルチェック動作が行われる(ステップS301)。
次いで、エラーメッセージ選択部133によって、連続エラーカウンター141の計数値Csとノズル詰まりエラーに対応する閾値とが比較される。このステップS302においては、計数値Csが第1の閾値T1以下であるか否かの判断がなされる(ステップS302)。すなわち、ノズル詰まりエラーの連続して発生した回数が2回以下か否かの判断がなされる。
【0107】
計数値Csが第1の閾値T1以下であった場合、図14に示されるように、第1の閾値T1に応じたノズルチェックエラーに関する第1のエラーメッセージ159が表示部22に表示される(ステップS303)。
【0108】
同図14に示されるように、ノズルチェックエラーに関する第1のエラーメッセージ159が表示部22に表示される場合、その表示部分の一部には、クリーニング動作を実行させるか否かをユーザーに選択させるクリーニングボタン160とOKボタン161とが設けられている。ユーザーは、ノズルチェック動作によって吐出されたインク滴を目視にて確認し、その結果に基づいて、クリーニングボタン160あるいはOKボタン161を選択することにより、クリーニングを実施するか否かの判断がなされる(ステップS304)。なお、第1のエラーメッセージ159では、ノズル抜けが確認されたときにはクリーニングボタン160の選択が推奨されており、ノズル抜けが確認されなかったときにはOKボタン161の選択が推奨されている。
【0109】
ユーザーによってOKボタン161が選択された場合(ステップS304:NO)、ノズル抜けが発生していないものとして連続エラーカウンター141がリセットされ(ステップS305)、一連の処理が終了する。
【0110】
一方、ユーザーによってクリーニングボタン160が選択された場合(ステップS304:YES)、ノズル抜けが発生しているものとして連続エラーカウンター141がインクリメントされる(ステップS306)。この際、ノズル詰まりエラーに対応する累積エラーカウンター142の計数値Caもインクリメントされる。そして、記録ヘッド35のクリーニングが実施される(ステップS307)。
【0111】
その後、ステップS301に移行し、再び一連の処理が繰り返し実行される。このステップS307を経由した一連の処理が繰り返し実行されていると、すなわちユーザーによってクリーニングボタン160が選択され続けている(ステップS304:YES)と、やがて計数値Csが第1の閾値T1を超えてしまい、計数値Csが第1の閾値を超えていると判断される(ステップS302:NO)。
【0112】
計数値Csが第1の閾値T1を超えている場合(ステップS302:NO)、プリンター11が故障している可能性があるため、図6に示した第3のエラーメッセージ150が表示部22に表示される(ステップS308)。そして、ユーザーによるノズル詰まりエラーの解消が困難であるものとして一連の処理を終了する。
【0113】
なお、ステップS308において、第3のエラーメッセージ150のemailボタン151がユーザーによって押下されると、上述したノズル詰まりエラーに関するエラー表示処理を含む履歴データ146がホスト装置7を介してサービスセンター5に送信される。サービスセンター5は、履歴データ146の分析結果に応じた応答メッセージをホスト装置7に送信する。そして、その応答メッセージがプリンター11の表示部22に表示される。
【0114】
以上説明したように、本実施の形態に係るプリンター11によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)上記実施形態のプリンター11では、エラー検知部132が検知したエラーが連続して発生した場合に、そのエラーの連続して発生した回数が連続エラーカウンター141によって計数される。そして、その計数値Csに応じたエラーメッセージが表示される。同じエラーが連続して発生するとなれば、ユーザーで対応することが困難な箇所に不具合が生じているものと考えられる。また、ユーザーで対応することが可能だとしてもその時々によってエラーに対する処置は異なるものである。この点、プリンター11では、エラーの連続して発生した回数である計数値Csに応じて、そのエラーに対する最適なエラーメッセージをユーザーに表示することができる。それゆえに、エラーに対するユーザーサポートを向上させることができる。
【0115】
(2)上記実施形態のプリンター11には、エラーメッセージを切り替えるための閾値をエラー毎に設定する閾値設定部134が設けられている。こうした構成によれば、連続エラーカウンター141の計数値Csに応じた最適なエラーメッセージを、エラー毎に、ユーザーに対して表示することができる。
【0116】
(3)また閾値設定部134は、タイマー126の計時に基づくプリンター11の使用期間や累積エラーカウンター142の計数値Caに基づいて閾値を設定している。これにより、例えばプリンター11を長期間使用しているため経年劣化が生じてやすい状態にある場合に、初期状態における閾値よりも小さく設定することができる。すなわち、プリン
ター11の状態に応じたエラーメッセージを表示させることができる。
【0117】
(4)上記実施形態のプリンター11には、不揮発性メモリー143に格納された履歴データ146を更新することによってプリンター11の動作履歴を記録する動作履歴記録部135が設けられている。こうした構成によれば、履歴データ146を参照することによって、プリンター11の常態を把握することが可能である。例えば、ユーザーの下を訪問したサービスマンがこの履歴データ146を参照することによって、ユーザーに説明して頂かなくともプリンター11の状態を把握することができる。
【0118】
(5)上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7のEmail機能を利用して、履歴データ146をサービスセンターに送信する履歴データ送信部136が設けられている。こうした構成によれば、サービスセンター5において履歴データ146に基づいてプリンター11の状態を分析することができる。そのため、ユーザーからエラーに関する問い合わせを受けた際に、エラーの発生状況をユーザーに説明して頂かなくとも、プリンター11のエラー発生状況を把握することができる。
【0119】
(6)上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7を介したサービスセンター5からの応答メッセージを表示部22に表示させる応答メッセージ処理部137が設けられている。こうした構成によれば、ユーザーによるサポートセンターへの問い合わせ等、ユーザーの負担を軽減しつつ、分析結果に応じた処置をユーザーに教示することができる。
【0120】
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することも可能である。
・上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7を介したサービスセンター5からの応答メッセージを表示部22に表示させたり、印刷したりする応答メッセージ処理部137が設けられている。これに限らず、サービスセンター5からの応答メッセージはホスト装置7によって確認することも可能であることから、応答メッセージ処理部137は割愛されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(5)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0121】
・上記実施形態のプリンター11には、履歴データ146をサービスセンター5の送信する履歴データ送信部136が設けられている。履歴データ146は、ユーザーの下を訪問したサービスマンによって確認することも可能である。そのため、上記プリンター11から履歴データ送信部136が割愛されていてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(4)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0122】
・上記実施形態では、ホスト装置7のEmail機能を利用してデータの送受信を行う構成となっているが、プリンター11にEmail機能を持たせることで、サービスセンター5とプリンター11とにおけるデータの送受信がインターネットNWを介して直接行われるようにしてもよい。こうした構成によれば、プリンター11とサービスセンター5とのデータの送受信を円滑に行うことができる。
【0123】
・上記実施形態のプリンター11において、当該プリンター11の動作を記憶する動作履歴記録部135が割愛されていてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(3)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0124】
・上記実施形態の閾値設定部134は、タイマー126の計時に基づくプリンター11の使用期間と累積エラーカウンター142の計数値Caとに基づいて閾値をエラー毎に設定している。これに限らず、閾値設定部134は、例えば、所定期間(例えば1ヶ月)内におけるエラーの発生回数、すなわちエラーの発生頻度に応じて閾値を設定するようにしてもよい。こうした構成によれば、上記(1)(2)に記載した効果に加え、プリンター
11の状態に応じてエラーメッセージを選択することができる。
【0125】
・上記実施形態のプリンター11において、閾値設定部134が割愛されることによって、各エラーの閾値がそれぞれ固定される態様であってもよい。こうした構成であっても、上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0126】
閾値設定部134が割愛された構成においては、例えばタイマー126の計時に基づくプリンター11の使用期間やエラーの累積発生回数、エラーの発生頻度等に基づいて、連続エラーカウンター141の計数量を設定する計数量設定部が設けられているとよい。こうした場合、例えば、不揮発性メモリー143に連続エラーカウンター141の計数量(インクリメント)がエラー毎に保存された計数量データを格納し、計数量設定部は、その計数量データを更新することにより、連続エラーカウンター141の計数量を設定する。そして、エラー検知部132によってエラーが検知されたときに、計数量データに基づく計数量で連続エラーカウンター141が計数される。こうした構成によれば、各エラーの閾値を同じ値にしたとしても、エラー毎に連続エラーカウンター141の計数量が異なることから、プリンター11の状態に応じたエラーメッセージをエラー毎に選択することができる。なお、計数量設定部を含む上記構成は、閾値設定部134を備えたプリンター11に適用することも可能である。
【0127】
・上記実施形態において、エラー毎に連続エラーカウンター141が設けられていてもよい。こうした構成によれば、例えば、エラー毎にそのエラーに適した計数量で連続エラーカウンター141をインクリメントすることができる。
【0128】
・エラー検知部132が検知するエラーは、上実施形態に挙げたものに限られるものではない。また、各エラーの検知方法も、上実施形態に挙げた方法に限られるものではない。例えば紙ジャムエラーであれば、用紙Pの搬送経路に複数の紙検出センサーを配置して、それらの紙検出センサーからの信号に基づいて紙ジャムエラーを検知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0129】
P…用紙、MC…メモリーカード、NW…インターネット、5…サービスセンター、7…ホスト装置、10…印刷システム、11…プリンター、12…スキャナー部、13…プリンター部、13a…カバー、14…操作パネル、15…原稿台ガラス、16…原稿台カバー、17…給紙カセット、18…排出部、20…排紙スタッカー、21…操作部、22…表示部、23…電源スイッチ、24…印刷開始スイッチ、25…コピースイッチ、26…キャンセルスイッチ、27…カードスロット、28…インクカートリッジ、28a…記憶素子、29…本体フレーム、29a…延出部、30…ガイド軸、31…キャリッジ、31a…凹部、32…プーリー、33…タイミングベルト、34…CRモーター、35…記録ヘッド、35a…ノズル形成面、36…支持台、37…フレキシブル配管板、38…リニアエンコーダー、39…PFモーター、40…搬送ローラー対、40a…搬送駆動ローラー、40b…従動ローラー、41…排出ローラー対、41a…駆動ローラー、41b…従動ローラー、42…APG装置、43…反転ユニット、44…メンテナンス装置、44a…昇降機構、45…キャップ、46…ワイパー、47…ロック部材、48…吸引ポンプ、49…廃液タンク、50…動力伝達切換装置、52…給送装置、53…湾曲反転経路、53a…外側案内面、53b…内側案内面、54…ピックアップローラー、55…ガイドローラ、56…分離手段、57…第1中間送りローラー、58…揺動軸、59…揺動部材、60…分離斜面、61…分離ローラー、62…駆動ローラー、63…駆動ローラー、64…アシストローラー、65…従動ローラー、66…駆動ローラー、67…アシストローラー、68…第2中間送りローラー、69…上部ハウジング、70…搬送案内上、71…下部ハウジング、72…経路構成部材、73…支持部材、74…内部空間、75…トレイ
、75a…ラック、76…ピニオン、80…反転ローラー、80a…回転軸、81…アシストローラー、82…アシストローラー、83…経路切換部材、83a…揺動軸、84…経路切換部材、84a…揺動軸、87…紙検出センサー、88…紙幅センサー、100…制御装置、101…カードリーダー、102…エンコーダー、105…スキャナエンジン、111…表示ドライバー、112…第1モーター駆動回路、113…第2モーター駆動回路、114…ヘッド制御ユニット、120…制御部、121…ROM、122…RAM、123…ASIC、124…CRカウンター、125…PFカウンター、126…タイマー、130…バス、131…主制御部、132…エラー検知部、133…エラーメッセージ選択部、134…閾値設定部、135…動作履歴記録部、135…動作履歴記録部、136…履歴データ送信部、137…応答メッセージ処理部、141…連続エラーカウンター、142…累積エラーカウンター、143…不揮発性メモリー、144…エラーメッセージデータ、145…閾値データ、146…履歴データ、150…第3のエラーメッセージ、151…emailボタン、152…応答メッセージ、155,157,159…第1のエラーメッセージ、156,158…第2のエラーメッセージ、160…クリーニングボタン、161…OKボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に関するエラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラー検知手段が検知したエラーが解消されずに連続して発生した回数を計数するエラー回数計数手段と、
前記エラーの解消に関するメッセージを前記回数に対応付けて記憶するメッセージ記憶手段と、
前記エラー回数計数手段の計数値に対応したメッセージを該エラーの発生時に前記メッセージ記憶手段から選択するメッセージ選択手段と、
前記選択したメッセージを表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記回数の閾値を設定する閾値設定手段をさらに有し、
前記メッセージ選択手段は、
前記エラー回数計数手段の計数値と前記閾値設定手段によって設定された前記閾値とを比較して前記メッセージを選択する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記閾値設定手段は、
前記エラー検知手段が検知するエラーの種類毎に前記閾値を設定する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記閾値設定手段は、
前記エラー検知手段が検知するエラーの種類毎に、当該エラーの発生時期及び累積発生回数に基づいて前記閾値を設定する
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記エラーに関する情報であるエラー情報が記録されるエラー情報記録手段をさらに備える
請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記エラー情報記録手段が記録した前記エラー情報をネットワークを介してサービスセンターに送信する送信手段をさらに備える
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記送信したエラー情報に関する前記サービスセンターからのメッセージを受信する受信手段をさらに備える
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
印刷に関するエラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラー検知手段が検知したエラーが解消されずに連続して発生した回数を計数するエラー回数計数手段と、
前記エラーに関するメッセージを前記回数に対応付けて記憶するメッセージ記憶手段と、
前記メッセージが表示される表示手段と
を有する印刷装置の制御方法であって、
前記エラー回数計数手段の計数する回数に対応したメッセージを前記メッセージ記憶手段から選択し、前記選択したメッセージを前記表示手段で表示させる
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−152906(P2012−152906A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11275(P2011−11275)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】