説明

印刷装置、及び自動券売機

【課題】 発券の進行に伴ってそれまで使用していたロール紙がペーパーニアエンドになったことによって印刷装置内に位置する用紙残量が短くなった場合に、最終の発券処理後の残留用紙をカッタにて裁断処理して廃棄することによる不具合を回避することができる印刷装置、及び自動券売機を提供する。
【解決手段】 ロール紙P1、P2から繰り出された用紙に対して印刷、切断、放出の各処理から成る発券処理を順次実施する印刷・切断ユニット3と、制御手段50と、を備え、印刷・切断ユニットは、印刷部20の上流側に用紙の有無を検知する入口センサS1、S2を備え、制御手段は、入口センサが用紙の終端部の印刷・切断ユニット内への進入、通過を検知した時にペーパーニアエンドと判定し、その後直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施した後で、用紙の終端部を入口から外側へ所定長突出させてから停止させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷用紙としてロール紙を使用した印刷装置に関し、特にロール紙から繰り出された用紙に対して印刷部にて印刷を行ってから下流側に位置するカッタにて所要長に切断して機外に排出する印刷装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動券売機に装備される印刷装置のように、ロール紙から引き出した用紙に対して印刷部において所要事項を印刷してから所要長に切断して発券するように構成された機器にあっては、印刷部の下流側に切断用のカッタが配置されている。印刷部にて印刷を受けた用紙先端からの所要長部分をカッタにて切断して機外に発券した際には、装置内に残った印刷されていない用紙先端はカッタにまで達しており、カッタよりも上流側に位置する印刷部は用紙先端よりも所定距離後方(上流方向)に位置しているため、装置内に残った用紙面に対してそのまま印刷部によって次の印刷を行い、所要長送出した後にカッタにより切断して発券した場合には、発券された券の印刷領域の前部に不要な余白部分が広い範囲に亘って形成されることとなりレイアウト上見苦しいばかりか、券が不必要に大面積化するという問題を惹起する。
更に、印刷装置内に2本以上のロール紙を常備しておくことにより、一方のロール紙が費消された場合に、発券動作を中断することなく、他方のロール紙に切り替えて、当該他方のロール紙を用いた発券動作を連続して継続できるようにした印刷装置も提案されている(特開2005−088305等)。
図4は、2本のロール紙を装備する従来の券売機の概略構成図であり、2本のロール紙P1、P2を回転自在に支持するロール紙支持手段100aを備えた給紙部100と、各ロール紙P1、P2から下方へ繰り出された用紙p1、又はp2を受入れて印字、切断、及び放出を順次実施する印刷・切断ユニット101と、を備えている。印刷・切断ユニット101は、各用紙p1、p2を夫々専用的に搬送する専用経路102a、102bと、各専用経路102a、102bが合流する合流位置103から下方へ延びる共通経路104と、を備えている。印刷・切断ユニット101の各専用経路102a、102b上には、搬送ローラ対111(111a、111b)が夫々配置されている。共通経路104上には、用紙p1、p2に印刷する印刷部112と、印刷部112によって印刷を受けてから下流側に進行した用紙先端部分を所定長に切断するカッタ113と、カッタ113によって切断された被切断部分p1−1、p2−1を機外に排出(発券)する放出ローラ対114が順次配置されている。印刷部112、カッタ113、及び放出ローラ対114は、2本のロール紙P1、P2に対して一組設けられているに過ぎず、両ロール紙に対して共通して使用されるため、両ロール紙のうちの何れか一方からの用紙が印刷部112以降の共通経路104内に入り込んでいる場合には、他のロール紙からの用紙は引き込みローラ対111によってニップされた状態で、その先端を各専用経路102a、102b内に退避させた状態で待機することとなる。
【0003】
この券売機においては、印刷部112よりもカッタ113が下流側に位置しているため、用紙p1、又はp2の先端から所要長の範囲内に印刷し、印刷した範囲の上流側適所を切断して発券した後で、残留した用紙先端を印刷部112の適所まで戻す作業を実施する必要がある。このような用紙先端の逆送を実施することにより、発券された券の印刷領域の前部に不要な余白部分が広い範囲に亘って形成されることがなくなる。
ここで、用紙を逆送させる手法としては、ロール紙P1、又はP2を巻き取り方向に回転させて用紙p1、又はp2を後方へ戻すことも考えられるが、そうした場合、ロール紙自体を動かす駆動力及び駆動機構が必要となるばかりでなく、短時間の作業動作で行うようにするためには、その制御部も高度となってしまう。そこで、用紙p1、又はp2を印刷・切断ユニット101内に配置された搬送ローラ対111によって所定距離逆送させる。
ところで、各ロール紙支持手段100aにロール紙P1、P2が装着され、且つ各ロール紙から延びる用紙p1、p2の先端が印刷・切断ユニット101内に進入している状態においても、印刷部112以降の共通経路104内に進入して印刷、切断処理を受けるのは一方の用紙(例えばp1)のみである。そして、先行して印刷、切断処理を受けていた用紙p1に係るロール紙P1が費消されてペーパーエンドとなった場合には、発券に供されない残余の用紙p1は、裁断処理されて放出口付近に配置した回収箱に廃棄される。その後、既装着状態にあった他のロール紙P2に係る用紙p2を印刷部112以降の共通経路104内に引き入れるための制御が実施される。
しかし、このような裁断後の廃棄処理を行うために放出口近傍には通常の放出口(発券口)とは別に回収箱へ導く回収経路と、裁断された用紙の搬送先を放出口と回収経路の何れかに振り分けるためにソレノイドによって作動する振り分けゲートと、裁断された用紙を搬送するためのローラを駆動する送りモータ等を設ける必要があった。このように従来は、廃棄処理のために多数の部品が必要となっていたため、大型化、コスト増、メンテナンス手数の増大、といった問題を生じていた。
【特許文献1】特開2005−088305公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、印刷用紙としてのロール紙から繰り出された用紙に対して印刷部にて印刷を行ってから下流側に位置するカッタにて所要長に切断することによって作成した券を発券する印刷装置であって、発券の進行に伴ってそれまで使用していたロール紙がペーパーニアエンドになったことによって印刷装置内に位置する用紙残量が短くなった場合に、最終の発券処理後の残留用紙をカッタにて裁断処理して廃棄することによる不具合を回避することができる印刷装置、及び自動券売機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、回転自在に支持された少なくとも1本のロール紙と、前記ロール紙から繰り出された用紙に対して印刷、切断、放出の各処理から成る発券処理を順次実施する印刷・切断ユニットと、前記用紙に対して発券処理を実施するように前記印刷・切断ユニットを制御する制御手段と、を備え、前記印刷・切断ユニットは、ロール紙から繰り出された用紙を入口から受け入れて下流へ搬送する正逆搬送可能な搬送機構と、該搬送機構により下流へ搬送されてきた用紙の所定の範囲内に印刷を行う印刷部と、該印刷部による印刷後に用紙先端から所定長の位置を切断するために印刷部の下流側に配置されたカッタと、切断された用紙片を放出する放出手段と、を備えた、印刷装置において、前記印刷・切断ユニットは、前記印刷部の上流側に用紙の有無を検知する入口センサを備え、前記制御手段は、前記入口センサが前記用紙の終端部の前記印刷・切断ユニット内への進入、通過を検知した時にペーパーニアエンドと判定し、その後直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施した後で、前記搬送機構を逆転させて前記用紙の終端部を前記入口から外側へ所定長突出させてから停止させる制御を行うことを特徴とする。
請求項2の発明に係る自動券売機は、請求項1に記載の印刷装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
少なくとも一本のロール紙から供給された用紙先端を印刷・切断ユニット内に受け入れて、印刷、切断を順次実施することによって発券処理を行う印刷装置においては、ロール紙が費消されてペーパーエンド、或いはペーパーニアエンドとなった際に装置内に残留した用紙をカッタによって裁断してから発券用の経路とは別経路を経由して廃棄していた。このため、廃棄処理のために多数の部品の追加が必要となり、大型化、構成の複雑化、高コスト化等の不具合が生じていた。
本発明では、ペーパーニアエンドを検知した後においては、直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施してから残留用紙を上流側に逆送して印刷・切断ユニットの入口から後端部を突出させるようにしたので、管理者は用紙後端をつまんで除去し、新たにセットしたロール紙からの用紙先端を上記入口内に新たにセットすることができる。このため、廃棄処理のために多数部品を増設する不要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置の概略構成図、図2はその要部構成図であり、図3(a)(b)(c)及び(d)は本発明特有の構成、動作を説明するための図である。
この印刷装置2は例えば券売機1に適用され、利用者が券売機前面のメニュースイッチを操作して所定金額、所定内容の取引を選択したときに、選択された取引内容に見合う金額、項目を用紙面に印刷してから、当該用紙を所要寸法に切断して機外に発券するように構成されている。
図1に示す券売機1は、印刷装置2を内蔵している。この印刷装置2は、2本のロール紙P1、P2を回転自在に支持するロール紙支持手段(支持軸)5aを備えた給紙部5と、第1のロール紙P1から用紙p1を繰り出して下方へ搬送する搬送機構10と、搬送機構10によってロール紙P1、P2から繰り出された用紙p1、p2の先端から所定の範囲(印刷範囲)に印刷を行う印刷部20と、印刷部20による印刷後に用紙先端から所定長の位置(切断位置)を切断するために印刷部20の下流側に配置されたカッタ30と、カッタ30により切断された用紙片(券)を機外に排出(発券)する放出ローラ対40と、これらを制御する制御手段50と、を備えている。また、搬送機構10、印刷部20、及びカッタ30は、印刷・切断ユニット3を構成している。
給紙部5では、各ロール紙支持手段5aによって各ロール紙P1、P2の中心部(或いは外周)を回転自在に支持している。各ロール紙P1、P2は、発券される券用の用紙p1、p2をロール状に巻き回したものであり、工場出荷時の状態においては、用紙先端部をロール紙本体表面に接着テープ等によって固定しているため、ロール紙を印刷装置に装着する場合には、予め人手により接着テープを用紙先端及びロール紙本体から剥離してから、用紙先端を手作業により印刷・切断ユニット3の各入口3a、3bに差込む。
ロール紙Pは、感熱紙でもよいし、普通紙であってもよい。感熱紙の場合には、印刷部20ではサーマルヘッドからなる印字手段を用い、普通紙の場合にはインクジェットヘッド等の普通紙用の印字手段を用いる。
【0008】
印刷・切断ユニット3は、各構成要素を収容するケーシングCと、各入口3a、3bと連通し且つ各用紙p1、p2を夫々専用的に搬送する専用経路4a、4bと、各専用経路4a、4bが合流する合流位置Aから下方へ延びる共通経路6と、を備えている。印刷・切断ユニット3の各専用経路4a、4b上には、搬送機構10を構成する搬送ローラ対11(11a、11b)が夫々配置されている。共通経路6上には、用紙p1、p2に印刷する印刷部20と、印刷部20によって印刷を受けてから下流側に進行した用紙先端部分を所定長に切断するカッタ30と、カッタ30によって切断された被切断部分p1−1、p2−1を機外に排出(発券)する放出ローラ対40が順次配置されている。
共通経路6に配置された印刷部20、カッタ30、及び放出ローラ対40は、2本のロール紙P1、P2に対して一組設けられているに過ぎず、両ロール紙に対して共通して使用されるため、両ロール紙のうちの何れか一方からの用紙が印刷部20以降の共通経路6内に入り込んでいる場合には、他のロール紙からの用紙は搬送ローラ対11a、又は11bによってニップされた状態で、その先端を各専用経路4a、又は4b内に退避させて待機することとなる。
更に、各入口3a、3bの直後には、夫々モータ起動、及び紙無し検出のためのセンサ(入口センサ)S1、S2が配置される。センサS1、S2は、各入口3a、3bからの用紙の進入、或いは排出を検出するために使用され、これらのセンサS1、S2からの各検出信号はモータM1、M2等を起動するために利用される。更に、センサS1、S2は、ペーパーエンドが近くなったロール紙から繰り出された用紙の最終部分を利用して最後の印刷、切断、発券を行った後で、残留した用紙部分を各入口3a、3bへ逆送して所定長はみ出させることによって指によってつまんで除去できるようにする際の用紙最終端部のはみ出し量を制御する際にも使用される。
【0009】
搬送ローラ対11a、11bの直後の専用経路4a、4b内には夫々待機位置検出用のセンサS3、S4が配置されている。待機位置検出用のセンサS3、S4は、各用紙p1、p2の先端を各専用経路内に位置(待機)させるために用紙先端を検知する。即ち、用紙を、入口3a、3bからユニット内に入り込ませてから印刷部20を通過してカッタ30にて先端切揃え処理を受けてから逆送されて、センサS3、S4の直上流の待機位置にて停止させる際に、用紙先端の通過を検知する手段である。或いは、センサS3、S4は、搬送ローラ対11a、11bが下流側へ搬送する用紙先端の通過タイミングを検出したり、ジャム発生の有無を検知するためにも利用される。
搬送ローラ対11a、11bは、駆動ローラ11a’、11b’と、各駆動ローラに従動するとともに各駆動ローラに対して接離するピンチローラ11a”、11b”とから構成されている。各駆動ローラ11a’、11b’はモータM1、M2によって駆動され、各ピンチローラ11a”、11b”はソレノイドSOL1、2によって夫々各駆動ローラに対して接離する。本例では、常時においてはソレノイドSOL1、2がOFFとなっているためピンチローラは駆動ローラ周面に当接した状態にあり、この状態で駆動ローラを回転させることによって用紙の搬送が可能となるが、ソレノイドがONした場合には各ピンチローラは駆動ローラから離間するため用紙搬送ができなくなる。
印刷部20は、例えばプラテン21と、プラテン21に対して接離するヘッド22とを備え、ヘッド22の印字部がプラテン12の周面と対面する位置(印字位置)の直後には印字待機位置が設定される。ヘッド22は、実線で示した印字位置と、破線で示した退避位置との間を進退する。更に、印字待機位置の下流側にはプラテン紙位置検出用のセンサS5が配置される。センサS5は、用紙先端位置を検出することにより、制御手段が用紙面における印字開始位置を設定するために用いられる。
印刷部20の直上流位置には、カッタ30との位置関係、ヘッド開閉検出用のセンサS6が配置される。センサS6は実線位置と破線位置との間を進退するヘッド22の可動部の一部を検出することにより、ヘッドが何れの位置にあるかを検知する。
カッタ30は、切断刃31と切断刃の駆動源(モータ、ソレノイド)を備えており、切断刃31は制御手段50からの制御によって用紙の先端縁から所定長後方位置を切断する。切断分離された用紙は印刷済みの券として機外に発券される。
【0010】
各ロール紙P1、P2から繰り出され、印刷・切断ユニット3内に先端部を挿入された用紙p1、p2は、いずれか一方(先に挿入された方)を優先して使用し、このロール紙を費消し終わった際に、他方のロール紙から用紙を搬送開始して印刷、切断に供する。
各ロール紙P1、P2から繰り出された用紙p1、p2の先端を印刷・切断ユニット3の入口3a、3bに差し込むと、各センサS1、S2が用紙先端の進入を検知し、この検知信号に基づいて制御手段50がモータM1、M2を駆動して駆動ローラ11a’、11b’を回転させ、用紙を前進方向へ搬送する。なお、本実施形態では、先に入口に差し込まれた方の用紙を優先して発券用に使用し、後から差し込まれた用紙は先の用紙が費消された後に自動的に切換え使用される。
各用紙p1、p2の先端を共通経路6の手前にて待機させる場合には、各センサS3、S4にて各用紙先端を検知したタイミングでモータM1、M2の駆動を停止させて各用紙を当該位置で停止させる。
何れか一方の用紙p1、p2を各専用経路4a、4bから共通経路6内に前進させる場合には、前進させる方の搬送ローラ対11a、又は11bを駆動させて、印字位置の直下流位置にある印字待機位置にて用紙先端を停止させるための制御を行う。この制御による用紙先端の停止位置の確定は、モータM1、M2がステッピングモータの場合には各センサS3、S4からのパルス数に基づいて行われる。用紙先端が印字待機位置にあるときにヘッド22を作動させて用紙面に対して所要事項の印刷を行いつつ用紙を下流側に所定速度にて搬送する。
用紙先端から所定の印刷範囲に対して券一枚分の印刷が完了した時点では、当該用紙先端から所定の印刷範囲に対する切断箇所(券の搬送方向長に相当する)は依然としてカッタ刃31に達していないため、センサS5が用紙先端を検知したタイミングに基づいて用紙先端の送り出し距離をカウントしつつ用紙をさらに前進させる。そして、用紙先端を切断する箇所がカッタ刃31の位置に達したタイミングでカッタ刃を作動させて用紙を切断する。切断によって用紙本体から切り離された用紙先端部分は放出ローラ対40によって機外に発券される。この時点で、カッタ刃31よりも上流側に残留している用紙は次の印刷に備えて逆送開始され、用紙先端がセンサS5を通過してから所定のタイミングにて印字待機位置に停止させる。このように一枚発券する度に、残留している用紙先端を印字待機位置に戻すための動作を実施するため、印刷、切断を受けて発券された券の印刷範囲の前方に不要な余白が形成されることがなくなる。
【0011】
本発明の特徴的な構成は、ロール紙P1、P2から繰り出された用紙p1、p2に対して印刷、切断、放出の各処理から成る発券処理を順次実施する印刷・切断ユニット3と、用紙に対して発券処理を実施するように印刷・切断ユニット3を制御する制御手段50と、を備え、印刷・切断ユニット3は、ロール紙から繰り出された用紙を入口3a、又は3bから受け入れて下流へ搬送する正逆搬送可能な搬送機構10と、搬送機構により下流へ搬送されてきた用紙の先端から所定の範囲内に印刷を行う印刷部20と、印刷部20による印刷後に用紙先端から所定長の位置を切断するために印刷部の下流側に配置されたカッタ30と、切断された用紙片を放出する放出手段40と、を備えた、印刷装置2において、印刷・切断ユニット3は、印刷部20の上流側に用紙の有無を検知する入口センサS1、S2を備え、制御手段50は、入口センサS1、S2が用紙の終端部の印刷・切断ユニット内への進入、通過を検知した時にペーパーニアエンドと判定し、その後直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施した後で、搬送機構10を逆転させて最終用紙の終端部を入口3a、3bから外側へ所定長突出させてから停止させる制御を行うようにした点にある。
即ち、本発明では、図3(a)に示すように発券に供されているロール紙P1の用紙残量が(b)に示すようにニアエンドに近づいた場合、最終用紙p1の終端部がセンサ(入口)S1を通過した時点で、用紙ニアエンドが判定される。その後、当該最終用紙の後端が搬送ローラ対11aから離脱しないタイミングまでロール紙P1を使用した発券(印刷、切断)を継続し、最終用紙の後端が搬送ローラ対11aによってニップされている段階で発券を終了する((c))。制御手段50は発券の終了後に、プラテンローラ21、搬送ローラ対11aを逆転させて当該最終用紙p1の後端部を入口3aから所定のはみ出し量だけ突出させて停止させる((d))。管理者は、入口3aからはみ出した用紙後端を指で摘んで入口から取り出して除去すると共に、新たにセットしたロール紙からの用紙を同入口から印刷・切断ユニット3内にセットすることが可能となる。
なお、この操作は、ロール紙P2のペーパーニアエンドに際しても同様に実施される。
【0012】
このように本発明では、入口センサS1、S2がペーパーニアエンドを検知した後においては、直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施してから残留用紙を上流側に逆送して印刷・切断ユニットの入口3a、3bから後端部を所定長だけ突出させるようにしたので、管理者は用紙後端をつまんで除去し、新たにセットしたロール紙からの用紙先端を上記入口内に新たにセットすることができる。このため、廃棄処理のために多数部品を増設する不要がなくなる。
なお、本発明の印刷装置は、自動券売機のみならず、ロール紙から用紙に印刷した上で切断して発行する装置一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の概略構成図。
【図2】図1の印刷装置の要部構成図。
【図3】(a)(b)(c)及び(d)は本発明特有の構成、動作を説明するための図。
【図4】従来の印刷装置の構成説明図。
【符号の説明】
【0014】
1 券売機、2 印刷装置、3 印刷・切断ユニット、3a、3b 入口、S1、S2入口センサ、4a、4b 専用経路、5 給紙部、5a ロール紙支持手段、6 共通経路、P1、P2、P1’、P2’ ロール紙、p1、p2、p1’、p2’ 用紙、10 搬送機構、20 印刷部、30 カッタ、40 放出ローラ対、50 制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持された少なくとも1本のロール紙と、前記ロール紙から繰り出された用紙に対して印刷、切断、放出の各処理から成る発券処理を順次実施する印刷・切断ユニットと、前記用紙に対して発券処理を実施するように前記印刷・切断ユニットを制御する制御手段と、を備え、
前記印刷・切断ユニットは、ロール紙から繰り出された用紙を入口から受け入れて下流へ搬送する正逆搬送可能な搬送機構と、該搬送機構により下流へ搬送されてきた用紙の所定の範囲内に印刷を行う印刷部と、該印刷部による印刷後に用紙先端から所定長の位置を切断するために印刷部の下流側に配置されたカッタと、切断された用紙片を放出する放出手段と、を備えた、印刷装置において、
前記印刷・切断ユニットは、前記印刷部の上流側に用紙の有無を検知する入口センサを備え、
前記制御手段は、前記入口センサが前記用紙の終端部の前記印刷・切断ユニット内への進入、通過を検知した時にペーパーニアエンドと判定し、その後直ちに、或いは少なくとも一回の発券処理を実施した後で、前記搬送機構を逆転させて前記用紙の終端部を前記入口から外側へ所定長突出させてから停止させる制御を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置を備えたことを特徴とする自動券売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−326994(P2006−326994A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153176(P2005−153176)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(305027456)東洋ネットワークシステムズ株式会社 (200)
【Fターム(参考)】