説明

印刷装置、置忘れ又は取り忘れ報知方法、及びそのプログラム

【課題】
原稿の置忘れ又は出力用紙の取り忘れを報知する。
【解決手段】
原稿を載置する原稿載置台と、この載置台に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ手段と、前記原稿載置台の原稿を読み取る読取部と、読み取った原稿を用紙に印刷する印刷部と、印刷された出力用紙を受ける用紙受け部と、前記読取部で読み取った原稿に重要情報が含まれるかを検知する重要情報検知手段と、前記原稿載置台に原稿があるか、あるいは、前記用紙受け部に出力用紙があるかの少なくともいずれか一方を検知する紙存在検知手段と、前記重要情報検知手段により、読み取った原稿に重要情報が含まれると検知され、前記紙存在検知手段により原稿あるいは出力用紙の存在が検知された場合に、原稿の置忘れ又は出力用紙の取り忘れを報知する報知部と、有することを特徴とする印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、原稿を複写あるいは印字する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スキャナを有する複合機(Multifunction Peripheral:以下MFP)において原稿を読み取った後、原稿の取り忘れを検知して、この原稿の取り忘れを報知する技術がある。しかしオフィスで無闇に原稿の取り忘れを報知することは、周囲の人間に不快感を与える場合がある。また、場合によっては積極的に報知する必要のない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−100608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、例えば、社外秘の書類、個人情報を含む書類等、関係者以外の第三者の目に触れることが問題となる等、特に機密性の高い原稿を印刷出力した場合に、その原稿の置忘れあるいは印刷出力の取り忘れを操作者に報知することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで上記課題を達成するため、本発明の実施形態では次のような手段を講じている。原稿を載置する原稿載置台と、この載置台に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ手段と、前記原稿載置台の原稿を読み取る読取部と、読み取った原稿を用紙に印刷する印刷部と、印刷された出力用紙を受ける用紙受け部と、前記読取部で読み取った原稿に重要情報が含まれるかを検知する重要情報検知手段と、前記原稿載置台に原稿があるか、あるいは、前記用紙受け部に出力用紙があるかの少なくともいずれか一方を検知する紙存在検知手段と、前記重要情報検知手段により、読み取った原稿に重要情報が含まれると検知され、前記紙存在検知手段により原稿あるいは出力用紙の存在が検知された場合に、原稿の置忘れ又は出力用紙の取り忘れを報知する報知部と、を有する印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施の形態におけるMFPの主要構成を示すブロック図。
【図2】本実施の形態における重要情報ファイルの説明図。
【図3】本実施の形態におけるユーザファイルの説明図。
【図4】本実施の形態におけるログファイルの説明図。
【図5】本実施の形態におけるログインジョブのフローチャート。
【図6】本実施の形態における印刷ジョブのフローチャート。
【図7】本実施の形態における印刷ジョブのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では印刷装置の一例としてMFPを例に挙げて説明をする。
【実施例】
【0008】
図1は、本実施の形態で説明に使用するMFP50の構成を示すブロック図である。このMFP50には、演算装置・制御装置としてのCPU1を設ける。このCPU1には、アドレスバス、データバスなどのバスライン2を介して、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、HDD(Hard Disk Drive)5、通信インターフェイス(通信I/F)6、スキャナ7、印刷部8、カードリーダ9、タイマー10、用紙検知部11、報知部12、操作・表示部13を接続する。
【0009】
ROM3には、CPU1によって読み出されてCPU1を様々な機能として働かせるプログラムや当該プログラムによるデータ処理の対象となる固定的なデータを格納する。RAM4には、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの様々なメモリエリアを動的に形成する。
【0010】
また、RAM4は、本実施の形態における重要フラグを記憶するエリアを有する。この重要フラグはスキャナ7によって読まれた書類が重要書類か否かを管理するために使用する。この重要フラグが“1”にセットされる場合は、スキャナが読んだ原稿は重要書類である。また、この重要フラグが“0”にセットされる場合は、スキャナで読んだ原稿は重要書類ではないとする。また、RAM4は、本実施の形態における開閉フラグを記憶するエリアを有する。この開閉フラグは、印刷前に自動原稿送り装置を開閉して、原稿載置台に原稿を載置したかの判断に使用する。開閉フラグが“0”の場合は原稿載置台に原稿が載置されず自動原稿送り装置が使用されたことを表し、“1”の場合は原稿載置台に原稿が載置されたことを表す。この開閉フラグは、例えばデフォルトとして“0”を記憶する。
【0011】
HDD5は、例えば、データやプログラムなどを記憶する。本実施の形態ではOCR(OPTICAL CHARACTER READER)ソフトを記憶する。また、このHDD5には図2に示すように、重要情報ファイル100を記憶する。この重要情報ファイル100は、スキャナ7で読み取られた原稿に重要情報が含まれるかの検知に使用する。この重要情報ファイル100は重要情報である可能性が高い文字を記憶する重要文字エリア101を有する。重要情報である可能性が高い文字とは、例えば、「電話番号」「TEL」「秘」「住所」「特許」などの文字である。これらの文字が含まれる書類は社外秘の書類や、顧客や社員のプライバシーに関わる書類、又は企業秘密を記載した書類である可能性が高い。
【0012】
また、HDD5は、図3に示すようにユーザファイル110を記憶する。このユーザファイルは、ID(IDENTIFICATION)エリア111と、このIDエリア111に対応するPW(PASSWORD)エリア112とネームエリア113とからなる。IDエリア111は、各ユーザがMFP50を使用するときのユーザIDを記憶する。PWエリア112は、ユーザIDに対応するパスワードを記憶する。ネームエリア113には、ユーザIDに対応するユーザのユーザ名を記憶する。例えば、ユーザは、IDとパスワードを記憶したカードを用いて、MFP50を使用する時に情報の入力を行う。ユーザがカードに記憶されている情報(ID、パスワード)をMFP50に入力する。この入力された情報と上記ユーザファイル110のユーザIDとパスワードが一致したときに、MFP50を操作可能とするログイン処理を行い、印刷を可能とする。
【0013】
また、HDD5は、図4に示すようにログファイル120を記憶する。このログファイル120には、IDエリア121と、IDエリア121に対応するネームエリア122と時刻エリア123が設けられている。IDエリア121にはMFP50にログインした順にIDを記憶する。ネームエリア122にはこのIDに対応するユーザの名前を記憶する。また、時刻エリア123にはログイン時刻を記憶する。
【0014】
通信I/F6は、外部と通信を行うためのインターフェイスである。例えば、LAN(Local area network)に接続するためのLANポートと、このLANポートに接続されるLANケーブルが考えられる。
【0015】
スキャナ7は、例えば、原稿を読み取る内蔵された走査読取ユニット(図示せず)と、原稿載置台(図示せず)と、読取位置へ原稿を搬送する自動原稿送り装置(図示せず)とを有する。スキャナ7の走査読取ユニット(読取部)は、原稿載置台あるいは自動原稿送り装置にセットされた原稿を読取る。また、この自動原稿送り装置は原稿載置台の上部に設けられ、軸を使用して開閉する。そして、自動原稿送り装置は、原稿載置台に置かれた原稿を押さえる役割(原稿押さえ手段)を持つ。自動原稿送り装置で原稿を原稿読み取り位置に送り、走査読取ユニットにて原稿を読取ると、排出部に原稿を排出する。他方、手動にて原稿載置台に置かれた原稿は、自動原稿送り装置(原稿押さえ手段)により原稿載置台に押される。走査読取ユニットで原稿の読取が完了しても、操作者が自動原稿送り装置を開いて原稿を取り出さない限り、原稿は、原稿載置台に残った状態となる。
【0016】
印刷部8は、例えば、周知の電子写真方式での画像形成をおこなうため、レーザー素子を含む画像走査部、レーザー光により画像(静電潜像)が形成される感光体ドラムを含む画像形成部、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電部、感光体ドラムに形成した静電潜像をトナーにより現像する現像部、現像されたトナー像を用紙に転写する転写部、ならびに用紙に転写されたトナー像を定着する定着部などからなる。そして、印刷部8は、スキャナ7や通信I/F6から受け取ったデータをCPU1の命令に応じて印刷を行う。印刷を行うと搬送路を通じて、排出口へ搬送し、画像が定着された用紙(出力用紙)を排紙トレイ(用紙受け部)に排出する。
【0017】
上記の例では、白黒印刷を説明したが、カラー印刷の場合には、画像形成部、帯電部、現像部、転写部等は、例えば、4組(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)分必要となり、この各色で現像されたトナー像を一度、例えば、中間転写ベルトに転写し、それを更に、用紙に転写する。
【0018】
カードリーダ9は、前述のようにMFP50にログインするためのIDとパスワードを記憶したカードを読み取る。そして、カードリーダ9は読み取ったIDとパスワードをRAM4へ出力する。なお、このカードリーダ9は非接触型ICカードを読み取る非接触型ICカードリーダでもよいし、磁気カードリーダでもよい。
【0019】
タイマー10は、現在の時刻を計時する。そしてタイマー10は、CPU1の命令に応じて、現在の時刻を出力する。
【0020】
用紙検知部11は、出力用紙あるいは原稿の取忘れ又は置忘れを検知し、CPU1へ結果を出力する(紙存在検知手段)。例えば、自動原稿送り装置の開閉を検知する開閉検知センサを原稿載置台近傍に設ける。そして、原稿載置前あるいは用紙印刷後に自動原稿送り装置の開閉に応じて検知信号をCPU1へ出力する。CPU1は、この開閉検知センサからの検知信号から、原稿載置台での原稿の有無を判断する。また、例えば、印刷が完了した出力用紙を受ける排紙トレイに遮光センサを設けてもよい。印刷した用紙が遮光センサを遮ることにより、トレイに出力用紙があるかを検知する。
【0021】
報知部12は、用紙検知部11の検知結果により、原稿載置台に原稿用紙が置いてあったり、印刷した出力用紙が排紙トレイに置いてあるとき、CPU 1からの命令により音(あるいは音声)や光などを使用して操作者に置忘れ又は取り忘れを知らせる。また、報知部12は、例えば、カードリーダ9から入力されるIDあるいはパスワードが適正でない場合には、その旨(エラー)を報知する。
【0022】
操作・表示部13は、タッチパネル14とハードキー15からなる。タッチパネル14は、例えば、用紙サイズ、コピー枚数、印刷濃度設定等の各種指示項目を表示する。そして、このタッチパネルの表示項目をタッチすることにより所定の項目を入力する。また、タッチパネルの表示には、ログイン前はIDとパスワードを入力する画面が表示され、ログインが完了すると印刷に関する情報が入力される画面に切り替わる。ハードキー105は、例えば、テンキー、リセットキー、スタートキー、認証キー、等を有する。この認証キーがログアウト中に押されると、ログイン前の状態に戻すログアウト処理を行う。
【0023】
以上のようなハードウェア構成、ファイル構成を備えるMFP50において、CPU1は、予め設定されているプログラムに基づいて、図5に示すログインジョブと図6と図7に示す一連の印刷ジョブを実行する。
【0024】
まず、図5に示すログインジョブについて説明する。MFP50の操作・表示部13は、初期状態では、IDとパスワードの入力画面を表示している。S1にてカードリーダ9は、例えば、操作者のカードからIDとパスワードとの入力を受ける。続いて、CPU1は、ログイン処理を行う(S2)。具体的には入力されたIDをキーにして、CPU1は、HDD5に記憶されている図3に示すユーザファイル110のIDエリア111を検索する。そして、入力されたIDと一致するIDがIDエリア111に存在すると、対応するPWエリア112に記憶するパスワードと入力されたパスワードが一致するかを判断する。入力されたIDあるいはパスワードが一致しない場合(S2のNo)、報知部12がエラーを報知し(S3)、S1に戻る。操作者は、再度、ログインを試行することとなる。
【0025】
一方、入力されたIDがIDエリア111に存在し、かつ入力されたパスワードが対応するPWエリア112に記憶するパスワードと一致する場合(S2のYes)、CPU1は、操作・表示部13の画面を切り替えて、印刷に関する情報を受け付ける状態にする(S4)。
【0026】
また、S1で入力されたIDとこのIDに対応するユーザのユーザ名を、ユーザファイル110のIDエリア111とネームエリア113とから取得し、図4に示すログファイル120のIDエリア121とネームエリア122に記憶する。加えて、このログファイル120に、IDとユーザ名を記憶した時刻(ログイン時刻)を、タイマー10から取得して、時刻エリア123に記憶する(S5)。
【0027】
続いて図6と図7に示す印刷ジョブを説明する。
【0028】
図6に示すごとく、S101として、用紙検知部11は自動原稿送り装置を開いて、原稿を原稿載置台に載置されたかを検知する。
【0029】
自動原稿送り装置の開放を用紙検知部11の開閉センサが検知しないとき(S101のNo)、操作・表示部13のスタートキーのキー信号の入力があるかどうかを検知する(S105)。スタートキーのキー信号の入力がある場合には(S105のYes)、S104で原稿の読取を行う。この場合、自動原稿送り装置から送られる原稿をスキャナ7の走査読取ユニットにより読み取る。この場合、RAM4の開閉フラグは変更しない。なお、このスタートキーのキー信号の入力の前に、前述のように操作・表示部13のタッチパネル14が操作され印刷に関する情報が入力される。他方、スタートキーのキー信号の入力がない場合には(S105のNo)、再度S101に戻る。
【0030】
一方、この自動原稿送り装置の開放を用紙検知部11の開閉検知センサが検知すると(S101のYes)、RAM4の開閉フラグを“1”に変更する(S102)。
【0031】
続いて、操作・表示部13のタッチパネル14が操作され、印刷に関する情報が入力される。その後、スタートキーのキー信号が入力される(S103)。
【0032】
そして、CPU1は、ハードキー15のスタートキーのキー信号を検知すると、スキャナ7の走査読取ユニットにより、原稿載置台に置かれた原稿を読み取る(S104)。
【0033】
続いて、読み取った原稿の中に重要な情報があるかを検知する(S106)。具体的には、読み取った原稿を画像情報としてRAM4に一時記憶する。そして、RAM4に記憶した画像情報をHDD5に記憶したOCRソフトを使用して、画像情報から文字情報を抽出する。続いて、図2に示す重要情報ファイル100の重要文字エリア101に記憶した文字(重要情報)が、抽出した文字情報の中に含まれるかを検索する(重要情報検知手段)。
【0034】
そして、重要文字エリア101に記憶した文字が、抽出した文字の中に含まれることを検知する場合(S106のYes)、RAM4の重要フラグを“1”にセットする(S107)。一方、重要文字エリア101に記憶した文字が抽出した文字の中含まれることを検知しない場合(S106のNo)、RAM4の重要フラグに“0”をセットする(S108)。この場合、重要フラグをデフォルトで“0”にセットしておけば、S108の操作は必要ない。
【0035】
続いて、RAM4に一時記憶した原稿(画像データ)に必要により画像処理を行い、印刷部8にて印刷処理を行う。印刷処理が完了すると、印刷された出力用紙を排紙トレイへ排出する(S109)。
【0036】
印刷処理が完了すると、認証キーのキー信号が入力されたかを検知する(S110)。認証キーのキー信号が入力されたなら(S110のYes)、操作・表示部13のタッチパネル12の画面を切り替え、ログアウト処理を行う(S111)。一方、認証キーのキー信号が入力されないなら(S110のNo)、S101に戻る。CPU1は、前述のS101からS110の処理を繰り返す。
【0037】
図7に示すごとく、続いてCPU1はRAM4の重要フラグに“1”が記憶されているかの検知を行う(S112)。このとき、“1”が記憶されていないことをCPU1が検知すると(S112のNo)、RAM4の開閉フラグに“0”を記憶して(S121)、処理を終了する。これは、たとえ原稿が原稿載置台に載置された場合であっても、原稿に重要情報が含まれていないので、原稿あるいは出力用紙の置き忘れあるいは取り忘れがあっても問題なしとして、原稿あるいは出力用紙の検知を省略するようにしている。
【0038】
他方、RAM4の重要フラグに“1”が記憶されていることをCPU1が検知すると(S112のYes)、用紙検知部11は出力用紙が排紙トレイに存在するかの検知を行う(S113)。例えば、排紙トレイに設けたセンサにより出力用紙の検知を行なう。ここで排紙トレイに出力用紙があることを検知しないと(S113のNo)、出力用紙が取り出されたと判断して、開閉フラグに“1”が記憶されているかの検知を行う(S117)。(このS117と前述したS113の処理の、少なくともいずれか一方が、紙存在検知手段に相当する)。
【0039】
他方、用紙検知部11が排紙トレイに出力用紙があることを検知すると(S113のYes)、CPU1は、出力用紙が重要書類であり、取り忘れが発生したと判断し、報知部12を動作させ、操作者に出力用紙が排紙トレイにあることを報知する(S114)。これは、例えば、警告音を発生するか、音声での取り忘れメッセージを発生するかあるいは、操作・表示部の所定のランプを点滅させて報知する。
【0040】
報知部12を動作させると、再度、用紙検知部11は出力用紙が排紙トレイに存在するかの検知を行う(S115)。用紙検知部11は排紙トレイに出力用紙を検知すると(S115のYes)、出力用紙の取り忘れが解消されていないと判断し、再度S115に戻る。他方、用紙検知部11が排紙トレイに出力用紙があることを検知しないと(S115のNo)、CPU1は報知部12を停止する(S116)。
【0041】
続いて、RAM4の開閉フラグに“1”が記憶されているかを検知する(S117)。
【0042】
RAM4の開閉フラグに“1”が記憶されていると検知すると(S117のYes)、CPU1は原稿が載置台に置かれていると判断し、かつ原稿が重要書類であると判断する。そして、CPU1は報知部12を動作させ、操作者に原稿が原稿載置台にあることを報知する(S118)。
【0043】
続いて、用紙検知部11は、原稿の存在を判断するために、自動原稿送り装置が開かれたかを検知する(S119)。開閉を検知しない場合には(S119のNo)、CPU1は、原稿の置忘れが解消していないと判断して、S119に戻る。そして、再度の開閉検知を行う。
【0044】
他方、用紙検知部11が自動原稿送り装置が開かれたことを検知したら(S119のYes)、CPU1は、原稿が取り出されたと判断し、報知部の動作を停止する(S120)。そして、RAM4の開閉フラグに0を記憶し(S121)、一連の処理を終了する。なお、S117で開閉フラグが“1”でない(即ち“0”)ことを検知した場合(S117のNo)、CPU1は、自動原稿送り装置を使用して原稿が送られたと判断し、処理を終了する。
【0045】
以上により本発明の実施形態では、重要書類の可能性が高い書類を置忘れ又は取り忘れた場合に、置忘れ又は取り忘れを報知することができる。例えばMFPを使用する人がある程度限定されるオフィスなどでは、置忘れ又は取り忘れても後から取りに行けば良い場合もあり、全ての書類の置忘れ又は取り忘れに対して報知する必要はない。原稿あるいは出力用紙の置忘れ又は取り忘れを無闇に報知することは顔見知りなどに書類の取り忘れや置忘れを周知することになり、忘れた人への心象が悪くなる。しかし、顧客の住所や特定の人しか見てはならない機密レベルの高い書類など、置忘れ又は取り忘れてはならない書類もある。このような重要書類を置忘れた又は取り忘れた場合にこれを報知することにより、適切な書類の置忘れ又は取り忘れを報知することが可能となる。
【0046】
本発明の実施形態ではパスワードとIDとを入力してログインを行ったが、パスワードの入力を省略して、正しいIDを入力すればログインできるようにしてもよい。ここで入力されるIDとは部課コードなどが考えられる。
【0047】
また、本発明の実施形態では、先に重要フラグをチェックし、その後に原稿あるいは出力用紙が置いてあるかの検知を行った。しかし、原稿載置台あるいは排紙トレイに原稿あるいは出力用紙の有無を検知した後に重要フラグのチェックを行ってもよい。
【0048】
本発明の実施形態では、文字にて重要書類の識別を行ったが、記号や図形で重要書類の識別を行ってもよい。
【0049】
本発明の実施形態では音や光などにより報知を行ったが、有線又は無線のネットワークを通じて外部の端末に通知してもよい。例えば、ユーザファイル100にメールアドレスエリア114を設けて、このエリアにユーザIDに対応するメールアドレスを記憶する。特に携帯電話のメールアドレスがよい。そして、置忘れ又は取り忘れを検知するとこのアドレスに原稿あるいは出力用紙の置忘れ又は取り忘れがある旨のメールを送信する。
【0050】
本発明の実施形態では、原稿および出力用紙の原稿載置台と排紙トレイへの置忘れ又は取り忘れを検知したが、どちらか一方でもよい。置忘れあるいは取り忘れを報知することにより、操作者へ原稿載置台および排紙トレイのチェックの動機づけができる。
【0051】
また、本実施の形態では重要情報ファイル100をHDD5に記憶したが、この重要情報ファイル100は外部の装置、例えばサーバ(記憶部)、に記憶してもよい。この場合、図6のS106にて、読み取った原稿の中に重要な情報があるかを検知する処理では、通信I/F6を通じて、外部の装置に記憶している重要情報ファイルから例えば重要文字情報を入手する。このようにすることにより、例えば、MFPを使用する特定のオフィスに特有の重要文字の個別設定が容易に行える。また、通信I/F6を通じて外部のサーバに読取った画像情報を送信し、サーバにて画像情報に重要情報が含まれるかの判断を行い、その結果を受信してもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 CPU
7 スキャナ
11 用紙検知部
12 報知部
13 操作・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する原稿載置台と、
この載置台に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ手段と、
前記原稿載置台の原稿を読み取る読取部と、
読み取った原稿を用紙に印刷する印刷部と、
印刷された出力用紙を受ける用紙受け部と、
前記読取部で読み取った原稿に重要情報が含まれるかを検知する重要情報検知手段と、
前記原稿載置台に原稿があるか、あるいは、前記用紙受け部に出力用紙があるかの少なくともいずれか一方を検知する紙存在検知手段と、
前記重要情報検知手段により、読み取った原稿に重要情報が含まれると検知され、前記紙存在検知手段により原稿あるいは出力用紙の存在が検知された場合に、原稿の置忘れ又は出力用紙の取り忘れを報知する報知部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
重要情報に関連する文字情報を記憶する記憶部を備え、前記重要情報検知手段は、前記記憶部に記憶された文字情報が前記読取部で読み取った原稿に含まれているかを検知することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
外部にある重要情報に関連する文字情報を記憶する記憶部と通信する通信手段を備え、前記重要情報検知手段は、前記記憶部と通信手段を介して通信を行い、読取った原稿に文字情報が含まれるかを検知することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記重要情報検知手段が、前記読取部により読み取った原稿に重要情報が含まれると検知した後に、前記紙存在検知手段が、原稿が前記原稿載置台にあるかを検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記重要情報検知手段が、前記読取部により読み取った原稿に重要情報が含まれると検知した後に、前記紙存在検知手段が、出力用紙が前記用紙受け部にあるかを検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
原稿載置台の原稿を読取り、
読み取った原稿を用紙に印刷し、
印刷した出力用紙を用紙受け部に排紙し、
読み取った原稿に重要情報が含まれるか検知し、
前記原稿載置台に原稿があるか、あるいは、前記用紙受け部に出力用紙があるかの少なくともいずれか一方を検知し、
読み取った原稿に重要情報が含まれると検知され、原稿あるいは出力用紙の存在が判断された場合に、原稿の置忘れあるいは出力用紙の取り忘れを報知する、置忘れ又は取り忘れ報知方法。
【請求項7】
記憶部に記憶されている重要情報に関連した文字情報が、読み取った原稿に含まれているかにより原稿に重要情報が含まれるかを検知することを特徴とする請求項6に記載の原稿の置忘れ又は取り忘れ報知方法。
【請求項8】
原稿載置台とこの載置台に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ部とを有する印刷装置を制御するコンピュータに、
前記原稿載置台の原稿を読み取る機能と、
読み取った原稿を印刷する機能と、
印刷された出力用紙を用紙受け部へ排紙する機能と、
読み取った原稿に重要情報が含まれるかを検知する機能と、
前記原稿載置台に原稿があるか、あるいは、前記用紙受け部に出力用紙があるかの少なくともいずれか一方を判断する機能と、
前記検知する機能により、読み取った原稿に重要情報が含まれると検知され、前記判断する機能により原稿あるいは出力用紙の存在が判断された場合に、原稿の置忘れ又は出力用紙の取り忘れを報知する機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−186608(P2012−186608A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47624(P2011−47624)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】