説明

印刷装置及び印刷システム

【課題】改良した印刷装置及び印刷システムを提供する。
【解決手段】用紙トレイと、該用紙トレイの付近に配置され、該用紙トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を有する印刷装置と、該印刷装置を駆動し、前記センサから供給されたデータを処理し、前記用紙上の前記特徴の位置を示す位置情報を生成するプリンタドライバと、印刷動作の前に前記用紙上の前記特徴を識別できるように、前記用紙上の前記特徴の位置を表示するディスプレイモニタと、を有するコンピュータであって、前記印刷装置に接続された該コンピュータと、を備えることを特徴とする印刷システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の近代的なオフィス環境においては、種々の特殊紙上に印刷されたテキスト及びグラフィックスを正確に位置決めできることが必須である。例えば、顧客に郵送する手紙類は、事前に用意された会社のレターヘッド上に印刷しなければならず、前記レターヘッドは、通常、会社のロゴが記載されたボンド紙でできている。会計情報は、適当なバインダにファイルするために三パンチ穴用紙に印刷することが必要かもしれない。
【0003】
大きな組織のオフィス環境では、通常、個々のプリンタに接続された 独立型プリンタ、プリンタサーバにより制御されるネットワークプリンタ等、種々の方法で接続された多くの種類のプリンタが存在する。これらのプリンタは、それぞれ、種々のタイプの用紙を収納するために、大容量用紙トレイ、手差しトレイ、ユニバーサルトレイ等、一以上の用紙トレイを備えている。文字やグラフィックスを正確な所望の位置に印刷するために、望ましい結果を得るために数回の試行錯誤がしばしば必要となる。例えば、最初の数回の試みでは、テキストの左側の縁が、会社のレターヘッドに記載された会社のロゴの左側の縁と完全には一致せず、不満足な外観が生じるかも知れず、また、封筒に印刷された住所が封筒の向きと上下が逆となっているかも知れず、あるいは三パンチ穴用紙のパンチ穴が、プリンタにより印刷されたテキストやグラフィックスと重なっているかもしれない。このことは、特に人が時間的に制約のある仕事に追われているときには、しばしば迷惑で不便なものである。
【0004】
より具体的には、図1に、従来技術におけるワープロソフトウェアの代表的な印刷プレビューウィンドウを示す。図1に示すように、用紙サイズと、用紙の縁に対するテキスト及びグラフィックスの位置は前記ビューにより認識できるが、会社のロゴの位置や、パンチ穴、罫書線等の他の物理的対象は認識できない。更に、問題の用紙トレイ中の用紙は、上下逆さま、又は裏返しに設置されているかも知れない。これらの欠陥は、しばしば、印刷動作が完了してユーザが実際に印刷された用紙を点検した後でのみ認識できる。
【0005】
アプリケーションソフトウェアの中には、所定のラベルの形式、封筒形式等の特殊な種類の用紙を選択でき、用紙上に存在すると仮定される境界や特徴をプレビューウィンドウに示すものがある。しかし、前記ソフトウェアは、適切な特殊紙を正しい用紙トレイに正しい向きで、ユーザが挿入することを前提にしている。通常は、用紙上に印刷されたテキストの位置を調整するためには、数回の試行錯誤がなお要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、従来技術の限界と不具合とによる一以上の問題をほぼ回避した印刷装置及び印刷システムに向けられている。
【0007】
本発明の 目的は、改良した印刷装置及び印刷システムを提供することである。
【0008】
本発明のその他の又は別の特徴と利点とは、以下の説明中に述べられ、また、その一部は説明から明らかであり、又は本発明を実施することにより理解されるかもしれない。本発明の目的とその他の利点とは、添付した図面と共に、本明細書中で特に指摘する構造及び特許請求の範囲により実現され、達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに組み込まれ大まかに説明されているように、これら及び他の利点を達成するため、本発明の目的に従い、本発明の一側面によれば、
印刷プレビュー画像をユーザに提供する方法であって、
用紙トレイの付近に配置された画像センサにより、印刷装置の前記用紙トレイ中に収容された用紙の画像を検出する検出ステップと、
アプリケーションプログラムにより作成された文書に基づいて作成された第一の画像と、前記画像センサにより検出された、前記用紙トレイ中の前記用紙の前記画像に基づいて作成された第二の画像とを併合した画像を前記印刷プレビューウィンドウ上に表示する表示ステップと、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0010】
本発明の他の一側面によれば、
用紙トレイと、該用紙トレイの付近に配置され、該用紙トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を有する印刷装置と、
該印刷装置を駆動し、前記センサから供給されたデータを処理し、前記用紙上の前記特徴の位置を示す位置情報を生成するプリンタドライバと、印刷動作の前に前記用紙上の前記特徴を識別できるように、前記用紙上の前記特徴の位置を表示するディスプレイモニタと、を有するコンピュータであって、前記印刷装置に接続された該コンピュータと、を備えることを特徴とする印刷システムが提供される。
【0011】
本発明の他の一側面によれば、
用紙トレイと、該用紙トレイの付近に配置され、該用紙トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を有する印刷装置と、
前記印刷装置に接続され、前記センサから供給されたデータを処理して前記用紙の用紙サイズと該用紙上の前記特徴の位置とを判定し、前記用紙サイズ及び前記用紙上の前記特徴の位置を示す処理データをフォームデータとして格納して、前記用紙上に情報を印刷できるアプリケーションソフトウェアが印刷動作の前に前記フォームデータにアクセスできるように構成されたプロセッサと、を備えることを特徴とする印刷システムが提供される。
【0012】
本発明の他の一側面によれば、
用紙供給トレイと、
該用紙供給トレイの付近にあり、該用紙供給トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を備えることを特徴とする印刷装置が提供される。
【0013】
本発明の他の一側面によれば、
用紙供給トレイと、該用紙供給トレイの付近に配置され、該用紙供給トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を備えた印刷システム中でディスプレイモニタを用いて実施される、印刷物を作成する方法であって、
前記用紙供給トレイの付近に配置されたセンサに、該用紙供給トレイ中の前記用紙の前記特徴を検出するように指示するユーザからのコマンドを受信する受信ステップと、
前記センサにより検出された前記用紙上の前記特徴の情報を記憶媒体にフォームデータとして記憶し、前記用紙上に情報を印刷できるアプリケーションソフトウェアが、印刷動作に先立って前記フォームデータにアクセスできるようにする記憶ステップと、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0014】
本発明の他の一側面によれば、
印刷物を作成する方法であって、
ユーザから印刷プレビューコマンドを受信する受信ステップと、
前記記憶媒体から前記フォームデータを検索する検索ステップと
検索された前記フォームデータを、前記用紙上に印刷される情報と共に処理し、該フォームデータを、前記用紙上に印刷される前記情報に併合する処理ステップと、
前記用紙上に印刷される前記情報と前記用紙上に検出された前記特徴とが重畳された画像を前記ディスプレイモニタに表示させ、該印刷される情報と前記用紙上の前記特徴との位置関係をユーザが識別できるようにする表示ステップと、をさらに備えることを特徴とする方法が提供される。
【0015】
上述した一般的説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示的で説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明を更に説明することを意図したものであると理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態によれば、会社のロゴ、三個のパンチ穴等の位置は、印刷ジョブが実際に行われる、用紙トレイ中に収容された実際の用紙から、得ることができる。したがって、用紙上のこれらの特徴に関して印刷されるテキストとグラフィックスの正確な位置を、ユーザが確認し確保することができる。
【0017】
図2は、本発明の実施の一形態に係るディスプレイのモニタに示された、ワープロソフトにおける印刷プレビューウィンドウを模式的に示したものである。前記例示的なプレビューウィンドウにおいて、会社のロゴ1及び会社の連絡先を示すフッタ2が、用紙3に印刷されるテキスト及びグラフィックス4と共にプレビューウィンドウ中に示される。会社のロゴ1及びフッタ2は、印刷装置に取り付けられたセンサにより検出され、これらの画像は、前記ワープロソフトウェアにより用紙上に印刷されるテキスト及びグラフィックス4上に重畳される。したがって、用紙中に存在する特徴の存否とそれらの位置は、用紙の向きと共に、印刷動作の実行前に確認できる。
【0018】
これらの特徴の画像を 取り込むために、本発明の印刷装置は、用紙トレイ中に設置された用紙の特徴を検出するためのセンサを備えている。図3及び図3−1は本発明の実施の一形態に係る印刷装置の構造を模式的に示したものである。前記印刷装置(物理的プリンタ)31は、印刷エンジン32、一以上の用紙トレイ33,35、及び用紙出力トレイ34を有している。用紙トレイ33は、種々のサイズと色の用紙を格納し、中断せずに印刷動作を行うことができるように大量の用紙を格納できる。手差しトレイ35も、用紙を手で供給するために設けられていてもよい。センサ36は、手差しトレイ35上に載置された用紙の画像を取り込むために設けられている。さらに、センサ37は、用紙トレイ33中の用紙の画像を取り込むために設けられている。例えば、最上部のトレイ33−1のためのセンサ37は、印刷装置本体の適切な位置に取り付けられている。第2のトレイ33−2のためのセンサ37は、用紙トレイ33−1の底部に取り付けられ、第3のトレイ33−3のためのセンサ37は、用紙トレイ33−2の底部に取り付けられている。トレイ33−1,33−2,33−3は、ユニバーサルトレイ、固定用紙トレイ、あるいは他の何らかのタイプのトレイであってよい。センサ36及び37には、電荷結合素子(CCD)画像センサを使用できる。CCD画像センサの代わりに、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサをセンサ36及び37として使用できる。ある実施の形態においては、赤外線画像素子をこれらのセンサ36及び37として使用して、可視光がトレイ33−1,33−2,33−3の内側まで届くことができない時でも、トレイ33−1,33−2,33−3中に収容された用紙の画像を検出することができる。さらに、可視光源又は他の光源を用いて、トレイ33−1,33−2,33−3の内側を照明し、画像センサ又は赤外線画像素子を用いてトレイ33−1,33−2,33−3中の用紙をより効果的に検出できるようにしてよい。
【0019】
センサ36,37として、それぞれの視界中の画像を取り込むCCD画像センサを使用することもできる。検出する用紙に対するセンサ36,37及び光学システムの物理的特性及び配置に応じて、CCD画像センサとして広画角の視界を有する物を使用してもよい。印刷装置31は、センサ36及び37からのデータを処理するために適切なハードウェア及びソフトウェアを備えている。これらのセンサ36及び37は、8.5×5.5サイズ、レターサイズ、インヴォイスサイズ、リーガルサイズ、台帳サイズ等の用紙サイズを検出できる。用紙サイズが特注サイズである場合は、システムを、その用紙サイズを最も近い所定のサイズに丸めるように構成することができる。センサ36及び37は、パンチ穴、ロゴ、ヘッダ/フッタ等の用紙上の特別な特徴も検出できる。これらの特徴は、特徴として抽出され、用紙サイズ情報と共にフォームとして格納される。これらの特徴に隣接する領域は印刷できない領域とみなされる。前記印刷できない領域は、検出された特徴を含む領域として、各特徴から、例えば、0.5mmのマージンと共に画定される。前記画定は、ユーザが任意のパラメータ等を特定することにより、変更できる。
【0020】
印刷設定ウィンドウから「プレビュー」が選択された場合、フォームが検索され、アプリケーションデータと併合される。(マックOSの場合には、ここで処理される内部データフォーマットはPDFであり、ウィンドウズヴィスタの場合は、前記フォーマットはXPSである)。したがって、ユーザは、テキストやグラフィックスが、用紙上の望まざる特徴と重なりあわないことを確実にすることができる。
【0021】
ここで述べたセンサとしては、用紙の画像を走査するための移動機構を備えたラインセンサを使用してもよい。
【0022】
CCDにより取り込まれた画像の解像度が不十分であっても、あらかじめ格納された用紙の種類の中で最も近い用紙のフォーマットを決定できるように、適切なソフトウェアとハードウェアを設けることができる。例えば、会社の封筒に標準的なレターサイズの用紙とともに、会社のレターヘッドとして3個の変形レターヘッドがあり、2個の変形封筒がある場合に、これらの内どの種類の用紙がトレイ中にあり、用紙の向きが適切であるかどうかを適切なソフトウェアプログラムで識別するのには、解像度の低い画像センサにより取り込まれた粗い画像で十分である。
【0023】
図4は、本発明の実施の一形態に係る印刷システムを模式的に示したものである。適切なI/O装置を備えたコンピュータ41が、ディスプレイモニタに接続され、印刷装置42と通信する。印刷装置42は、図3及び図3−1を参照して上述した一以上のセンサ36,37を備えている。例えば、ウィンドウズOS、ユニックスOS、マックOX等の適切なオペレーティングシステムと、ワープロアプリケーション、描画アプリケーション、CADアプリケーション等の種々のアプリケーションとが、コンピュータ41にインストールされている。オペレーティングシステム及びアプリケーションが、印刷装置42と通信できるように、印刷装置42を駆動するのに適切なプリンタドライバもコンピュータ41にインストールされている。
【0024】
図5は、本発明の実施の一形態に係る印刷システムの種々の構成要素を模式的に示すブロック図である。図5に示すように、コンピュータ41は、制御部100、表示部101、記憶部102、ユーザ入力部103、入出力部104を備えている。制御部100は、例えば、CPU、RAM、及びROMを備えている。記憶部102は、例えば、オペレーションシステム、プリンタドライバ、アプリケーションプログラムを含むソフトウェアを格納するHDDである。制御部101は、記憶部からソフトウェアを読み出し、前記ソフトウェアに従って種々の処理を実行する。ユーザ入力部103は、キーボード及びマウスを備え、これらによりユーザは、アプリケーションプログラムを介して印刷する文書を作成し、プリンタドライバを介して印刷条件を設定できる。入出力部104は、例えば、USB、イーサネット(登録商標)、シリアルインターフェイス等の、印刷装置42との通信に適したすべての種類の通信インターフェイスを用いることができる。
【0025】
他方で、印刷装置42は、制御部200、記憶部201、画像処理部202、エンジン制御部203、センサ36,37,37、及び入出力部204を備えている。制御部200は、例えば、CPU、RAM及びROMを備えている。記憶部201は、例えば、所謂インタープリタであるアプリケーションプログラムと、センサ36,37,37からの画像データを処理するためのアプリケーションプログラムとを含むソフトウェアを格納したHDDである。コンピュータ41と同様に、制御部200は、記憶部202からソフトウェアを読み出し、前記ソフトウェアに従って種々の処理を実行する。具体的には、制御部200は、インタープリタとして機能し、ページ記述言語のフォームの印刷データが解析され、そしてビットマップ画像データが生成される。一方、制御部200も、適切なソフトウェアプログラムに従って上記センサを制御する。画像処理部202はハードウェアであって、色変換及びディザ処理を含む種々の画像処理が、制御部200の制御の下に、インタープリタにより生成されたビットマップ画像データに対して実行される。エンジン制御部203は、画像処理部203により処理されたビットマップ画像データに従って画像が用紙上に印刷されるように、制御部200の制御の下に、印刷エンジンを制御する。入出力部204は、コンピュータ41の入出力部104と同様な構造を有している。
【0026】
上述した前記例示的な構成において、コンピュータ41のプリンタドライバは、トレイの最上部に供給された用紙について、会社のロゴ、パンチ穴等の用紙の物理的特徴の位置と形状を識別できるように、印刷装置42中のセンサ36,37,37からのデータを受信して処理するための追加的な機能性を備えている。
【0027】
例えば、会社のレターヘッドが印刷装置42中のトレイの一つに収容されている場合、センサ36,37,37中の対応するセンサがレターヘッドの画像を取り込む。印刷装置42中の上記センサにより取り込まれた画像を表すビットマップ画像データは、コンピュータ41上のプリンタドライバ(又は他の適切なソフトウェア)に直接転送できる。そして、プリンタドライバはデータを処理して、前記ビットマップ画像データを、会社のロゴの形状と用紙の境界に対するその位置とを示す情報に変換する。前記処理された情報は、コンピュータ41の記憶部102中に(又は印刷装置42中の記憶部201中に)フォームデータとして格納される。コンピュータ41にインストールされたいかなるアプリケーションでも、プリンタドライバにアクセスすることにより、前記フォームデータを利用でき、また、図2に示したのと同様な方法で、印刷プレビューウィンドウ上に会社のロゴを表示できる。例えば、印刷プレビュー機能がワープロアプリケーション中に呼び出されたとき、前記アプリケーションは、プリンタドライバを呼び出し、会社のロゴ(又は用紙上の他の特徴)の形状と位置とを示すフォームデータと、用紙サイズ、印刷解像度等に関する情報とを要求する。そして、前記ワープロアプリケーションは、コンピュータに取り付けられたディスプレイモニタに、用紙の画面表示上に会社のロゴを表示させ、用紙上に印刷されるテキストとグラフィックスとの画像を、かくして生成される用紙の画像上に重畳する。このように、ユーザは、用紙が正しい向きに供給され、ユーザが生成しているテキストやグラフィックスが、レターヘッド上に印字されたロゴに対して、どのように配置されるかを確認できる。
【0028】
フォームデータは、例えば、印刷装置42の記憶部201又はコンピュータ41の記憶部2102中に格納される。さらに、フラッシュメモリ、又はRAM等のメモリ等の他の種類の記憶媒体をハードディスクドライブの代わりに使用できる。前記システムは、プレビューコマンドを実行するときに、フォームデータをアプリケーションデータと併合できるように構成されている。上述したように、フォームデータは、センサにより取り込まれた画像データのみに基づいて生成することができ、あるいは、種々の予め決められたフォームデータを格納し、センサにより取り込まれた画像を前記フォームデータと比較して、適切な画像処理により最も近いフォームデータを決定してもよい。
【0029】
図6〜図8を参照して、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【0030】
図6は、ユニバーサル用紙トレイ上の用紙の画像を取り込む画像センサを利用する場合のプロセスフローを示すフローチャートである。まず、ユニバーサル用紙トレイ中に格納された用紙に印刷動作を行うことを、前記システムが判定するか、あるいはユーザが指定する(S601)。ユニバーサル用紙トレイ中の用紙に印刷を実行する場合には(S601:Yes)、前記システムは次に、会社のロゴ付き用紙のような特殊紙がユニバーサルトレイ中に存在するか否かを判定する(S602)。特殊紙が存在する場合には(S602:Yes)、フォームデータが生成される(S603)。ユーザが使用しているアプリケーションから、ユーザが印刷プレビューコマンドを実行する場合、前記アプリケーションに従って、コンピュータ41の制御部100が、ステップS603で生成されたフォームデータを検索し(S604)、用紙上に印刷されるデータをフォームデータに併合する(S605)。そして、制御部100は、表示部101を制御して併合された画像を印刷プレビューウィンドウ上に表示する(S606)。
【0031】
図7は、本発明の実施の一形態に係るフォームデータの生成(図6のステップS603に対応)に焦点を合わせた例示的なプロセスフローを示したものである。前記例において、CCD画像センサにより取り込まれた画像データは、コンピュータ41に送信され、コンピュータ41の制御部100は、受信した画像データに従ってユニバーサルトレイ中に格納された用紙の用紙サイズを検出する(S701)。そして、制御部100は、前記用紙が、例えばハーフレターサイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、インヴォイスサイズ等の、予め確定された用紙サイズの一つであるか否か判定する(S702)。予め確定された用紙サイズの一つである場合(S072:Yes)、プロセスフローは、ステップS703を飛ばしてステップS704に進む。検出した用紙サイズが、予め確定された用紙サイズのいずれにもあたらない場合は(S702:No)、制御部100は、最も近い予め確定された用紙サイズを決定する(S703)。そして、CCD画像センサにより検出された画像データに基づいて、制御部100は、特別な特徴が用紙上に存在するか否か判定する(S704)。特別な特徴が用紙上に存在する場合は(S704:Yes)、例えば、特別な特徴を含む領域を識別し、あるマージンを加えることにより、印刷できない領域を画定する(S705)。換言すれば、穴、ロゴ及び/又はヘッダ/フッタ等の特別な特徴のいずれの中にも画像を印刷することができないのであるから、特別な特徴のいずれかに対応する各領域は、印刷できない領域として扱われる。そして、検出された用紙サイズ及び画定された印刷できない領域に関する情報は、フォーム(フォームデータ)として格納される。
【0032】

図8は、本発明の実施の一形態に係るアプリケーションを介してプリンタドライバ中で利用できる印刷特性ウィンドウの一例を示したものである。上段の図に示すように、ユーザが印刷特性コマンドを選択すると、ユーザが選択できる種々のオプションが表示される。前記オプションには、例えば、文書サイズ、用紙トレイ識別、及び用紙配置が含まれる。ユーザがユニバーサルトレイオプションを選択すると、下段の図に示すように、別のポップアップウィンドウが現れ、ユニバーサルトレイ中に特殊紙が存在するか否かをユーザがアプリケーションに告げるように要求する。かくして、前記例では、ユーザは、トレイを特定し(ステップS601に対応)、かつそのトレイ中の用紙は特殊紙か否かを特定する(ステップS602に対応)。ユーザが、特殊紙が存在することを示すと、センサが稼動され、ステップS603からステップS606、又は類似のステップ、が実行される。
【0033】
前記データ処理スキームに対する種々の変形が可能である。例えば、印刷装置は、センサにより取り込まれたビットマップ画像データを処理し、用紙上の特徴の形状と位置とが印刷装置内で判定できるように画像プロセッサを備えることもできる。生じたデータは、印刷装置中のハードディスクドライブ又は他の適切な記憶媒体中にフォームデータとして格納される。前記フォームデータは、コンピュータに転送され、前記データを要求しているアプリケーションに伝えられることが可能である。ある環境及び産業上の用途において、前記構成は、用紙上の特徴の形状と位置とに関する情報を印刷装置で局部的に利用できるので、望ましいかもしれない。
【0034】
さらに、プリンタドライバによりセンサの画像データを処理する代わりに、スキャナドライバに類似した追加的なドライバ等の独立した構成要素を、センサからのデータの処理に割り当てることができる。この場合、コンピュータのオペレーティングシステムと、センサからのデータを利用するよう設計されたソフトウェアアプリケーションとは、上述した特徴に到達するために前記追加的なドライバを呼び出す必要がある。他の例として、プリンタドライバのユーティリティソフトウェアを独立の構成要素としてインストールできる。この場合、前記ユーティリティソフトウェアは、プリンタドライバ又は他のアプリケーションにより呼び出され、センサのビットマップ画像データ(又はフォームデータ)を検索して処理する。
【0035】
マックOSX及びウィンドウズヴィスタは、全てのデータに対して、それを生成したアプリケーションとは無関係に、内部データフォーマットとして、それぞれPDFとXPSとを使用する。したがって、これらのオペレーティングシステムにおいて、ユーザが文書を作成するのに使用するアプリケーションが上述したフォームを生成するアプリケーションと異なっていたとしても、追加的なソフトウェアを用いずにデータを併合できる。フォームデータと文書とに対するデータフォーマットが異なる場合には、印刷プレビューとして併合した画像を示すためには、これらの二つのタイプのデータを適切に併合するために、追加的なソフトウェアが必要となるかもしれない。
【0036】
光学センサの代わりに、印刷装置中に設けられたセンサは、磁気的特徴を磁気的に検出できる磁気センサを用いることができる。例えば、会社のレターヘッドにおいて、会社のロゴに磁気インクが使用されるかもしれず、前記ロゴの位置と形状とを磁気的に検出できる磁気センサを印刷装置は備えることができる。前記構成は、用紙の印刷面(用紙の印刷される面)が、裏側である場合、すなわち、用紙供給トレイの最上部に現れた用紙の表面が印刷する側ではない場合、に特に有用である。
【0037】
本発明の趣旨と範囲から外れることなく、本発明の印刷管理方法及び印刷管理装置に種々の改造と変形とを加えることができることは当業者にとって明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲とその均等物内での改造と変形とを、本発明は包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来例のワープロソフトウェアの代表的な印刷プレビューウィンドウを模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るワープロソフトウェアの印刷プレビューウィンドウを模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る印刷装置の構造を模式的に示す図である。
【図3−1】本発明の実施の一形態に係る印刷装置の構造を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る印刷システムを模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係る印刷システムの種々の構成要素を模式的に示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係るプロセスフローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の一形態に係るフォームデータを生成するためのプロセスフローを示す図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係るアプリケーションで利用できる印刷特性ウィンドウの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷プレビュー画像をユーザに提供する方法であって、
用紙トレイの付近に配置された画像センサにより、印刷装置の前記用紙トレイ中に収容された用紙の画像を検出する検出ステップと、
アプリケーションプログラムにより作成された文書に基づいて作成された第一の画像と、前記画像センサにより検出された、前記用紙トレイ中の前記用紙の前記画像に基づいて作成された第二の画像とを併合した画像を前記印刷プレビューウィンドウ上に表示する表示ステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記用紙トレイ中の前記用紙が特殊紙であるか否かを判定する判定ステップと、
前記用紙が前記特殊紙であると判定された場合に、前記検出された画像に基づいて、前記用紙上に形成された該用紙の特徴を少なくとも一つ反映した、前記用紙のフォームデータを作成する作成ステップと、をさらに備え、
前記 表示ステップにおいて、前記第二の画像が前記フォームデータに基づいて作成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
用紙トレイと、該用紙トレイの付近に配置され、該用紙トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を有する印刷装置と、
該印刷装置を駆動し、前記センサから供給されたデータを処理し、前記用紙上の前記特徴の位置を示す位置情報を生成するプリンタドライバと、印刷動作の前に前記用紙上の前記特徴を識別できるように、前記用紙上の前記特徴の位置を表示するディスプレイモニタと、を有するコンピュータであって、前記印刷装置に接続された該コンピュータと、を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであって、前記センサはCCDセンサであり、前記用紙トレイはユニバーサルトレイであることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項3に記載の印刷システムであって、前記センサは赤外線センサであることを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項3に記載の印刷システムであって、前記センサは磁気センサであることを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
用紙トレイと、該用紙トレイの付近に配置され、該用紙トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を有する印刷装置と、
前記印刷装置に接続され、前記センサから供給されたデータを処理して前記用紙の用紙サイズと該用紙上の前記特徴の位置とを判定し、前記用紙サイズ及び前記用紙上の前記特徴の位置を示す処理データをフォームデータとして格納して、前記用紙上に情報を印刷できるアプリケーションソフトウェアが印刷動作の前に前記フォームデータにアクセスできるように構成されたプロセッサと、を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷システムであって、前記プロセッサは、さらに、前記用紙上の前記特徴の前記位置に基づいて印刷できない領域を画定し、該画定された印刷できない領域を、格納されたフォームデータ中に含めることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項7に記載の印刷システムであって、前記プロセッサは、前記印刷装置中の記憶媒体に前記フォームデータを格納するように構成されていることを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項7に記載の印刷システムであって、前記プロセッサは、該プロセッサが含まれるコンピュータ中の記憶媒体に前記フォームデータを格納するように構成されていることを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項7に記載の印刷システムであって、さらに、アプリケーションソフトウェアが動作するハードウェアを備え、
該ハードウェア上で動作する前記アプリケーションソフトウェアは、ユーザから印刷プレビューコマンドを受信し、該印刷プレビューコマンドを受信したときに、前記フォームデータにアクセスして、前記アプリケーションソフトウェアにより生成され前記用紙上に印刷される情報を前記フォームデータに併合し、該アプリケーションソフトウェアが該併合されたデータを、前記用紙上に印刷される情報を表示するディスプレイモニタに、該用紙の画像と共に、印刷動作の前に、送信できるように構成されていることを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
請求項7に記載の印刷システムであって、前記プロセッサは、前記センサから供給された前記データを予め格納された複数の用紙の画像と比較し、該予め格納された用紙の画像のうちどれが前記センサから供給された前記データにより表される用紙の画像に最も近いか判定し、この最も近い前記予め格納された用紙の画像を前記フォームデータとして識別することを特徴とする印刷システム。
【請求項13】
用紙供給トレイと、
該用紙供給トレイの付近にあり、該用紙供給トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
用紙供給トレイと、該用紙供給トレイの付近に配置され、該用紙供給トレイ中に存在する用紙上に形成された特徴を検出するように構成されたセンサと、を備えた印刷システム中でディスプレイモニタを用いて実施される、印刷物を作成する方法であって、
前記用紙供給トレイの付近に配置されたセンサに、該用紙供給トレイ中の前記用紙の前記特徴を検出するように指示するユーザからのコマンドを受信する受信ステップと、
前記センサにより検出された前記用紙上の前記特徴の情報を記憶媒体にフォームデータとして記憶し、前記用紙上に情報を印刷できるアプリケーションソフトウェアが、印刷動作に先立って前記フォームデータにアクセスできるようにする記憶ステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
ユーザから印刷プレビューコマンドを受信する受信ステップと、
前記記憶媒体から前記フォームデータを検索する検索ステップと
検索された前記フォームデータを、前記用紙上に印刷される情報と共に処理し、該フォームデータを、前記用紙上に印刷される前記情報に併合する処理ステップと、
前記用紙上に印刷される前記情報と前記用紙上に検出された前記特徴とが重畳された画像を前記ディスプレイモニタに表示させ、該印刷される情報と前記用紙上の前記特徴との位置関係をユーザが識別できるようにする表示ステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、ユニバーサルトレイが前記用紙供給トレイとして選択されたことを示す、ユーザからのコマンドを受信する受信ステップをさらに備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3−1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−104590(P2009−104590A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−230436(P2008−230436)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】