印刷装置及び印刷装置の制御方法
【課題】本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、一定時間間隔の時間帯毎の印刷状況の実績を収集し、この実績データに基づいて消費電力を低減すると共に、ウオームアップの待ち時間を感じさせることの少ない印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置において、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、上記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、上記印刷可能状態を維持する制御を行う制御手段とを有することを特徴とする。
【解決手段】印刷装置において、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、上記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、上記印刷可能状態を維持する制御を行う制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力の削減を図る印刷装置及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、地球温暖化防止会議を中心として温室効果ガスの排出規制が実現化に向かっている。このような状況において、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が求められている。
【0003】
このような現状において、印刷装置においては、定着器の温度を下げて消費電力を低減するスリープモードが設けられており、過去の印刷履歴をもとにスリープモードを自動制御する方法も様々行なわれている。
例えば、特許文献1では、一定期間中の印刷指示時刻と稼動時間帯を記憶し、このデータに基づいて稼働状況に応じたスケジュールを作成し、印刷装置を運用している。また、特許文献2は、電源投入からの時間経過に従って時間帯を構成し、各々の時間帯の印刷回数の履歴から節電モードへの移行制御を行っている。
さらに、特許文献3では、稼働中のコンピュータの印刷履歴に基づいて節電禁止期間を設定することによって、印刷の迅速化と省電力化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−155859号公報
【特許文献2】特開2007−30325号公報
【特許文献3】特開2006−231632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的なオフィス用途の印刷装置では、必ずしも毎日同じ時間帯に印刷が行なわれるわけではなく、例えば印刷履歴を調べても、このあたりの時間帯に印刷することが多いという程度の傾向が見られるに過ぎない。
この様な傾向を印刷履歴から読み取って節電スケジュールを生成することに意義はあるが、上記の特許文献の方法では、まれに印刷する時間帯は節電対象となってしまい、印刷する毎にウォームアップ時間を待たされるか、待たされることを回避するためにスリープモードを禁止し、無駄な電力を消費してしまう問題がある。特に、長いウォームアップ時間を要する印刷装置では、上記問題は深刻である。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、一定時間間隔の時間帯毎の印刷状況の実績を収集し、この実績データに基づいて消費電力を低減すると共に、ウォームアップの待ち時間をユーザに感じさせることの少ない印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は第1の発明によれば、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行い、前記一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より小さいとき、節電状態に移行する制御を行う制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0008】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記印刷可能状態の維持時間t1は以下の計算式によって計算することを特徴とする。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【0009】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記一定時間間隔は、印刷可能状態の維持時間t1に近似する時間間隔に設定されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算手段を更に有することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題は第5の発明によれば、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶処理と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算処理と、前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行う制御処理とを行う印刷装置の制御方法を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第6の発明によれば、前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷装置の印刷実績データに基づいて、一定時間間隔の各時間帯毎の印刷傾向を把握し、印刷スケジュールを作成し、消費電力を低減すると共に、印刷時のウォームアップ待ちをユーザに感じさせることが少ない印刷装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】印刷装置の内部構成を示す図である。
【図2】印刷実績データを説明する図である。
【図3】印刷実績データの詳細を説明する図である。
【図4】実績とり開始年月日、及びスケジュールを説明する図である。
【図5】「1日分データ」の構成を説明する図である。
【図6】スケジュールテーブルの構成を説明する図である。
【図7】実施形態1の処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】スケジュールテーブルの作成処理を説明するフローチャートである。
【図9】プリンタエンジンに関する消費電力を説明する図である。
【図10】印刷実績の収集処理を説明するフローチャートである。
【図11】スケジュール実行を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の印刷装置の内部構成を説明する図である。
本例の印刷装置(以下、プリンタ装置で示す)1はCPU2、ROM3、RAM4、不揮発性メモリ5、時計回路6、プリント制御LSI7、プリンタエンジンインターフェース(以下、プリンタエンジンI/Fで示す)8、USB/LANインターフェース(以下、USB/LAN I/Fで示す)9で構成されている。尚、上記プリンタ装置1には不図示のホスト機器から印刷データが供給され、この印刷データに基づいて印刷処理が行われる。
【0016】
CPU2は、ROM3や不揮発性メモリ5に記憶されたプログラム及びデータに従ってプリンタ装置1のシステム制御や、後述するスケジュールテーブルの作成処理、印刷実績データの取得処理、及びスケジュールの実行制御等を行なう。また、RAM4はワークエリアとして機能する。
【0017】
ホスト機器から供給される印刷データは、例えばUSB/LAN I/F9を介してプリンタ装置1に供給され、CPU2の制御に従ってRAM4に描画処理が行われ、プリント制御LSI7を用いてプリンタエンジンI/F8から不図示のエンジン部へ描画データが転送され、印刷出力が行われる。
【0018】
プリンタ装置1に配設された不揮発性メモリ5には以下で説明する情報が記憶され、時計回路6は時刻の計時処理を行う。
図2及び図3は、上記不揮発性メモリ5に記憶される内容を説明する図であり、図2は印刷実績データの構成を示し、図3は印刷実績データの具体的なデータ構成を説明するものである。ここで、印刷実績データとは、後述する一定時間帯毎のプリンタ装置1の印刷履歴である。
【0019】
図2に示すように印刷実績データは、前月分の印刷実績データ(参照用)と、前月分の印刷実績データに今月分の実績を書き込んだ今月分の印刷実績データ(書き込み用)で構成されている。前月分印刷実績データと今月分印刷実績データは基本的に同じ構成であり、図3に示すように、「ヘッダ」、「曜日別データ」、「日付別データ」で構成されている。
【0020】
「ヘッダ」には、ヘッダコード、領域ID、実績とり開始年月日、待ち時間限界値の各エリアが設けられ、対応するデータが記憶される。ここで、実績とり開始年月日とは、例えば図4に示す例で説明すると、2009年3月10日が実績とり開始年月日である。尚、同図の例では、後述するスケジュールの実行は、上記実績とり開始年月日から1ヶ月後の2009年4月10日から行うことができる。
【0021】
一方、「曜日別データ」には、第1週から第6週までの1ヶ月分の曜日別データのエリアが設けられ、各週のエリアにはそれぞれの週の1週間分(日曜日〜土曜日)のデータが記憶される。尚、第6週まで存在しない月は、第5週までのデータとなる。
また、「日付別データ」には、1日から31日までの1ヶ月分の日付別データの記憶エリアが設けられ、各日付の記録エリアにデータが記憶される。
【0022】
図5は、上記「曜日別データ」、及び「日付別データ」として記憶される各日の「1日分のデータ」構成を説明する図である。本例では「1日分データ」として、144個のエリアを有し、10分毎にプリンタエンジンからの情報を取得し、記憶する構成である。また、144個の各エリアは通電回数と印刷回数の記憶エリアで構成され、10分間に行われたプリンタ装置1の通電回数と印刷回数が記憶される。
【0023】
一方、図6はスケジュールテーブルの構成を示す図である。このスケジュールテーブルは後述する処理によって生成されるテーブルであり、スケジュール実行許可のフラグ領域と、レディ状態維持時間、閾値1、閾値2、及び00:00〜24:00までの10分毎の平均印刷回数のデータが書き込まれる。
【0024】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図7は、本実施形態の基本的な処理を説明するフローチャートである。
先ず、プリンタ装置1の電源を投入すると、印刷実績データの確認処理を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。この処理は、不揮発性メモリ5に記憶されている印刷実績データをRAM4に読み出し、確認処理を行う。具体的には、不揮発性メモリ5に印刷実績データが記憶されていること、及び読み出した印刷実績データに問題が無いことを確認する。
【0025】
次に、スケジュールテーブルを作成する(S2)。この処理は、ワークエリア上の印刷実績データを用いて、前述の図6に示す構成のスケジュールテーブルを作成する。
図8は、スケジュールテーブルの作成処理を具体的に説明するフローチャートである。CPU2は、先ずプリンタエンジンの情報を読み込み、プリンタエンジンを識別する(S2−1)。ここで、プリンタエンジンの情報は使用するプリンタ装置1の性能に関係し、例えば本例では後述する図9に示すプリンタエンジンA、Bの例で説明する。尚、プリンタエンジンAのプリント時の消費電力は480Wであり、レディー状態の消費電力は75Wであり、スリープ状態の消費電力は9.5Wである。また、プリンタエンジンBでは、プリント時の消費電力は930Wであり、レディー状態の消費電力は290Wであり、スリープ状態の消費電力は20Wである。図9の詳しい説明については後述する。
【0026】
次に、閾値1及び閾値2を決定する(S2−2)。尚、閾値1及び閾値2の設定についても後述する。尚、閾値1及び閾値2は後述する処理によって計算され、スケジュールテーブルに書き込まれる。
【0027】
次に、印刷実績データの読み込み処理を行う(S2−3)。この印刷実績データの読み込み処理は、前述の「曜日別データ」及び「日付別データ」の両方のデータを読み込む。
次に、実績とり開始から1ヶ月以下であるか判断する(S2−4)。すなわち、前述の「ヘッダ」に記憶した実績とり開始年月日の情報を確認し、実績データの収集を開始した日から1ヶ月を経過しているか判断する。この理由は、スケジュールを曜日別で行なう場合には1週間、日付別で行う場合には1月間のリードタイムが必要であり、本例では「曜日別データ」と「日付別データ」の両方のデータを使用するため、少なくとも1ヶ月の実績情報の収集を必要とする。したがって、前述の図4に示す例では、2009年4月10日から印刷実績データの読み込み処理を行うことが可能となる。
【0028】
ここで、実績とり開始年月日から1ヶ月が経過していない場合(S2−4がYES)、図6に示すスケジュールテーブルのスケジュール実行許可のフラグを実行禁止に設定する(S2−5)。一方、実績とり開始年月日から1ヶ月が経過している場合(S2−4がNO)、スケジュール実行許可のフラグを実行許可に設定する(S2−6)。
次に、スケジュールテーブルの時間帯を0にセットし(S2−7)、平均印刷回数領域に書き込むべき平均印刷回数を算出する。そして、この処理を144個の時間帯について行う。すなわち、スケジュールテーブルの全ての平均印刷回数領域(00:00〜24:00)に対する平均印刷回数の算出を行う(S2−8)。
【0029】
ここで、本例では、「曜日別データ」と「日付別データ」の両方を用いているため、例えば先ず「曜日別データ」の時間帯毎の平均印刷回数(印刷回数÷通電回数)を求め(S2−9)、次に「日付別データ」の時間帯毎の平均印刷回数を求め(S2−10)、それぞれの平均値の大きい方(印刷実績の高い方)をテーブルに書き込む(S4−11〜S4−13)。
【0030】
上記処理はプリンタ装置1を使用する業種によって曜日を基準に仕事が行われる場合もあり、又は日付を基準に仕事が行われる場合もあり、何れの場合でも、時間帯毎の平均印刷回数の大きい方を選択することによってユーザの便宜を図る。したがって、10分毎の時間帯によってある時間帯では「曜日別データ」が使用され、他の時間帯では「日付別データ」が使用される。
【0031】
以上のようにしてスケジュールテーブルを作成すると、図7に示すフローチャートに戻り、次に印刷実績の収集処理を行う。
先ず、現在時刻の読み取り処理を行う(S3)。この処理は時計回路6から現在の時刻情報を読み出し、予め設定された一定時間間隔(10分間)が経過したか判断する(S4)。尚、上記時間が経過していなければ(S4がNO)、上記処理を繰り返す(S3〜S5)。その後、上記時間が経過すると(S4がYES)、印刷実績の収集処理を実行する(S6)。
【0032】
この印刷実績の収集処理を具体的に説明する図が、図10に示すフローチャートである。
先ず、プリンタエンジンから情報を読み出し(S6−1)、プリンタエンジンが、印刷処理を行った回数を取得する(S6−2)。尚、印刷回数のカウントは、例えば1つの印刷ジョブにおいて1枚の印刷処理の場合でも、5枚連続して印刷する場合でも印刷回数は1としてカウントするものとする。
次に、経過した10分の時間帯に行われた通電回数と印刷回数の累計値をワークエリアの印刷実績データの「日付別データ」に書き込む(S6−3)。その後、不揮発性メモリ5の「日付別データ」を更新する(S6−4)。
【0033】
ここで、「日付別データ」は毎月の日付別の印刷実績を履歴するものであり、実際の作業に対応するものであるが、「曜日別データ」は毎週の曜日別の印刷実績を記録するものであり、単純に記録する場合には問題がある。例えば、毎月特定の日付に大量の印刷が行われるのは日付別データで記録すべき項目であり、これを曜日別に記録すると本来の曜日別の目的とは異なった結果が導き出される。
【0034】
したがって、大量の印刷が行なわれることが多い、例えば期初日後1週間であるか判断し(S6−5)、この期間内であれば、「曜日別データ」の更新を行うことなく(S6−6)、「曜日別データ」を不揮発性メモリ5に書き込む(S6−7)。
【0035】
一方、上記期間内でなければ(S6−5がNO)、「曜日別データ」の通電回数をインクリメントし、印刷回数の累計値を算出し(S6−8)、更新された「曜日別データ」を不揮発性メモリ5に書き込む(S6−9)。
【0036】
次に、図7に示すフローチャートに戻り、更新された印刷実績データに基づいてスケジュールを実行すべく、スケジュールの実行許可の判断を行う(S7)。
この判断は図6に示すスケジュールテーブルのスケジュール実行許可のフラグを確認することによって行い、実行許可のフラグが設定されていれば(S7がYES)、スケジュールを実行する(S8)。
【0037】
このスケジュール処理は、具体的には図11に示すフローチャートに従って行われる。先ず、プリンタエンジンから現在の状態情報(EngSts)を読み出す(S8−1)。次に、スケジュールテーブルから、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)と、次の次の時間帯の平均印刷回数(NextPrintAve)の情報を読み出す(S8−2)。例えば、現在時刻が10:00であれば、次の時間帯(10:10〜10:20)の平均印刷回数(PrintAve)と、次の次の時間帯(10:20〜10:30)の平均印刷回数(NextPrintAve)の情報を読み出す。
【0038】
次に、スケジュールテーブルから閾値1と閾値2の値を読み出す(S8−3)。ここで、上記閾値1と閾値2の設定について説明する。
前述のように、プリンタ装置1では、省電力化のため、例えば定着器への電源供給を停止するなどの方法によって節電状態(Sleep状態)の設定を行っている。このため、再度印刷を行う際には、ウォームアップを行うための電力が必要となる。このことを考慮すると、印刷完了後、印刷可能状態(Ready状態)を維持して次の印刷を開始する場合の消費電力が、節電状態で待機後ウォームアップして次の印刷を開始する場合の消費電力より小さくてすむ限界時間(印刷可能状態の維持時間)が存在することが考えられる。
【0039】
そこで、この限界時間(印刷可能状態の維持時間)t1を求め、このt1時間以内で印刷が行なわれるならば、印刷可能状態(Ready状態)を維持した方が節電状態(Sleep状態)に移行させるより消費電力が小さくて済む。このため、印刷実績を収集する前述の時間間隔(10分)とt1が近似している場合、その時間間隔内の印刷回数を数えることが、印刷時間や印刷枚数より消費電力の少ない設定を導き出すことに容易な方法である。
【0040】
前述の図9(a)は、印刷完了後印刷可能状態(Ready状態)を維持して次の印刷を開始する場合のタイムチャートであり、同図(b)は印刷完了後節電状態(Sleep状態)で待機してウォームアップ処理を行う場合のタイムチャートである。例えば、プリンタエンジンAの場合、印刷可能状態(Ready状態)をt1時間維持した時消費電力は、75W×t1となり、一方節電状態(Sleep状態)に設定した時には9.5W×(t1-30秒)+10Wとなる。
【0041】
したがって、この場合印刷可能状態(Ready状態)を維持した方が消費電力が少なくてすむ時間t1は以下の計算によって得ることができる。
75W×t1≦9.5W×(t1-30秒)+10W t1=0.152時間(9.12分)
一方、プリンタエンジンBの場合、印刷可能状態(Ready状態)をt1時間維持した場合の消費電力は290W×t1となり、節電状態(Sleep状態)に設定した場合には20W×(t1-155秒)+52Wであり、以下の計算によって得ることができる。
290W×t1≦20W×(t1-155秒)+52W t1=0.192時間(11.52分)
前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記t1は以下の計算式によって計算することができる。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【0042】
本例では、上記の計算方法によって算出したt1の値を、前述の時間間隔で実行できる回数として閾値1の設定を行う。
すなわち、プリンタエンジンAの場合、前述の時間間隔は10分であり、印刷回数が1.10回(10分÷9.12分)以上であれば印刷処理と印刷処理の間隔がt1時間以上となる。したがって、プリンタエンジンAでは閾値1として1.10を設定する。
【0043】
一方、プリンタエンジンBの場合、前述の時間間隔は10分であり、印刷回数が0.87回(10分÷11.52分)以上であれば印刷間隔がt1時間以上となる。したがって、プリンタエンジンBでは閾値1として0.87の設定を行う。
【0044】
次に、閾値2の設定について説明する。
閾値2はウォームアップ時間に長時間を要するプリンタ装置1に対応して設定されるものであり、例えばプリンタエンジンBの様にウォームアップ時間が長い機種では、消費電力の低減のみに拘ると、印刷する毎にウォームアップ処理が必要となり長時間印刷を待たされる結果となる。そこで、閾値2を設け、各時間帯の平均印刷回数がこの値以下になって始めて節電状態(Sleep状態)にする構成である。
【0045】
このため、例えばユーザが印刷処理を待つことができる待ち時間限界値を設定し、この時間を「ヘッダ」の待ち時間限界値(「Sleep→Readyの時間」)として前述のように設定する。例えば、本例では30秒に設定する。この場合、プリンタエンジンAでは図9に示すように「Sleep→Readyの時間」が30秒に設定されているので待ち時間限界範囲内であり、閾値2を必要としない(閾値1と閾値2は同じ値とする)。
【0046】
しかし、プリンタエンジンBの「Sleep→Readyの時間」は155秒であり、待ち時間限界値の5.17倍の時間となっている。この為、プリンタエンジンBのt1時間(11.52分)を5.17倍した時間t3(59.56分=11.52分×5.17)の間隔で印刷する場合を限界とし、これ以上に印刷間隔が空く場合に初めて節電状態(Sleep状態)とする。したがって、本例ではプリンタエンジンBの閾値2は、0.17(回)(10分÷59.56分)に設定される。
次に、前述の図11に示すフローチャートの処理に戻って、上記閾値1、閾値2を設定した後、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より大きいか判断する(S8−4)。
【0047】
ここで、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より大きい場合(S8−4がYES)、印刷ジョブの実行の可能性が高いのでプリンタエンジンを印刷可能状態(Ready状態)のままとし、印刷待ちフラグをリセットする(S8−5)。すなわち、この場合には現在の時間帯における平均印刷回数(PrintAve)が、例えばプリンタエンジンAの場合1.10以上であり、プリンタエンジンBの場合0.87以上であり、当該時間帯の印刷ジョブの実行の可能性が高いのでプリンタエンジンを印刷可能状態のままとする。
【0048】
一方、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より小さい場合(S8−4がNO)、更に上記次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値2より小さいか判断する(S8−5)。そして、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値2より小さい時(S8−6がYES)、更にプリンタエンジンA又はBの判断を行う(S8−7)。
ここで、プリンタエンジンAである場合、閾値1と閾値2は同じ値であり、印刷装置を節電状態(Sleep状態)に設定し、印刷待ちフラグをリセットして処理を終了する(S8−8)。
【0049】
一方、プリンタエンジンBの場合、印刷可能状態(Ready状態)を維持した方がより消費電力が少ない時間t1(11.52分)を読み込み、この値が時間帯(10分)より大きく、且つ、現在の状態が印刷可能状態(Ready状態)であり、且つ次の次の時間帯の平均印刷回数(NextPrintAve)が閾値1以上である場合(S8−9がYes)、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定し、印刷待ちフラグをリセットする(S8−5)。この場合、次の時間帯は印刷処理を行なう可能性が低く、プリンタ装置1を節電状態(Sleep状態)にするべきだが、次の次の時間帯において、印刷処理を行う可能性が高く、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)にする事になるので、現在の印刷可能状態(Ready状態)に維持する事で消費電力を抑え、且つ長いウォームアップの待ち時間の発生を回避する。
【0050】
一方、平均印刷回数(NextPrintAve)が閾値1未満である場合(S8−9がNO)、次の次の時間帯についても印刷処理を行う可能性が低く、プリンタ装置1を節電状態(Sleep状態)に設定し、電力消費を抑える(S8−10)。
【0051】
次に、印刷待ちフラグがリセット状態であるか判断する(S8−11)。以下の処理はプリンタエンジンBについての処理となり、この印刷待ちフラグは、印刷可能状態(Ready状態)を維持するほどの印刷回数ではないが、印刷される可能性もある時間帯であり、例えばユーザの利便を考慮して「とりあえずレディー状態」にして印刷待ちを行うフラグである。すなわち、このフラグが設定される場合は、前述の処理(S8−5、又はS8−10)が実行されていない場合である。
【0052】
したがって、印刷待ちフラグがリセットされている場合(S8−11がYES)、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定し、印刷待ちReadyフラグをセットする(S8−12)。
【0053】
一方、印刷待ちフラグがリセット状態ではない場合(S12−11がNO)、更に印刷待ちReadyフラグを判断する(S8−13)。この印刷待ちReadyフラグは、上記「とりあえずレディー状態」にして印刷待ちを行っている時間帯の中で、上記処理(S8−12)によって本当にプリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定したことを示すフラグである。
【0054】
このフラグがセット状態の場合(S8−13がYES)、印刷処理中であるか判断し(S8−14)、印刷処理中でなければ(S8−14がNO)、プリンタ装置1の印刷可能状態(Ready状態)を維持し(S8−15)、処理を終了する。但し、本来、この時間帯はレディー状態を維持するほどの印刷回数では無いので、印刷処理が行われた場合(S8−14がYES)、印刷処理の終了後、プリンタ装置1をスリープ状態にし、印刷待ちReadyフラグをリセットする(S8−16)。但し、印刷待ちフラグのセット状態は、印刷される可能性がある時間帯なので、スリープ状態を維持し続けて印刷要求に対してウォームアップ時間がかかるのを避けるため、印刷が行なわれた時間帯の平均印刷回数で単位時間(10分)を割り、印刷時間間隔を計算してスリープ時間をセットする(S8−17)。
【0055】
一方、印刷待ちReadyフラグがセットされていない場合(S8−13がNO)、プリンタ装置1のスリープ状態を維持し、スリープ時間から待ち時間を減じる(S8−18)。残りのスリープ時間が無くなった場合(S8−19がNO)、プリンタエンジンをレディー状態に戻し、印刷待ちReadyフラグを再セットする(S8−20)。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置の印刷実績データに基づいて、一定時間間隔の各時間帯毎の印刷傾向を把握し、節電スケジュールすることによって、消費電力を低減すると共に、印刷時のウォームアップ待ちを減らし、迅速な印刷処理を実行することが可能となる。
尚、本実施形態の説明では、閾値1、2について、具体的な数値を使用して説明したが、本願発明は上記各数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1・・・プリンタ装置
2・・・CPU
3・・・ROM
4・・・RAM
5・・・不揮発性メモリ
6・・・時計回路
7・・・プリント制御LSI
8・・・プリンタエンジンI/F
9・・・USB/LAN I/F
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力の削減を図る印刷装置及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、地球温暖化防止会議を中心として温室効果ガスの排出規制が実現化に向かっている。このような状況において、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が求められている。
【0003】
このような現状において、印刷装置においては、定着器の温度を下げて消費電力を低減するスリープモードが設けられており、過去の印刷履歴をもとにスリープモードを自動制御する方法も様々行なわれている。
例えば、特許文献1では、一定期間中の印刷指示時刻と稼動時間帯を記憶し、このデータに基づいて稼働状況に応じたスケジュールを作成し、印刷装置を運用している。また、特許文献2は、電源投入からの時間経過に従って時間帯を構成し、各々の時間帯の印刷回数の履歴から節電モードへの移行制御を行っている。
さらに、特許文献3では、稼働中のコンピュータの印刷履歴に基づいて節電禁止期間を設定することによって、印刷の迅速化と省電力化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−155859号公報
【特許文献2】特開2007−30325号公報
【特許文献3】特開2006−231632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的なオフィス用途の印刷装置では、必ずしも毎日同じ時間帯に印刷が行なわれるわけではなく、例えば印刷履歴を調べても、このあたりの時間帯に印刷することが多いという程度の傾向が見られるに過ぎない。
この様な傾向を印刷履歴から読み取って節電スケジュールを生成することに意義はあるが、上記の特許文献の方法では、まれに印刷する時間帯は節電対象となってしまい、印刷する毎にウォームアップ時間を待たされるか、待たされることを回避するためにスリープモードを禁止し、無駄な電力を消費してしまう問題がある。特に、長いウォームアップ時間を要する印刷装置では、上記問題は深刻である。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、一定時間間隔の時間帯毎の印刷状況の実績を収集し、この実績データに基づいて消費電力を低減すると共に、ウォームアップの待ち時間をユーザに感じさせることの少ない印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は第1の発明によれば、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行い、前記一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より小さいとき、節電状態に移行する制御を行う制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0008】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記印刷可能状態の維持時間t1は以下の計算式によって計算することを特徴とする。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【0009】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記一定時間間隔は、印刷可能状態の維持時間t1に近似する時間間隔に設定されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算手段を更に有することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題は第5の発明によれば、1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶処理と、印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算処理と、前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行う制御処理とを行う印刷装置の制御方法を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第6の発明によれば、前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷装置の印刷実績データに基づいて、一定時間間隔の各時間帯毎の印刷傾向を把握し、印刷スケジュールを作成し、消費電力を低減すると共に、印刷時のウォームアップ待ちをユーザに感じさせることが少ない印刷装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】印刷装置の内部構成を示す図である。
【図2】印刷実績データを説明する図である。
【図3】印刷実績データの詳細を説明する図である。
【図4】実績とり開始年月日、及びスケジュールを説明する図である。
【図5】「1日分データ」の構成を説明する図である。
【図6】スケジュールテーブルの構成を説明する図である。
【図7】実施形態1の処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】スケジュールテーブルの作成処理を説明するフローチャートである。
【図9】プリンタエンジンに関する消費電力を説明する図である。
【図10】印刷実績の収集処理を説明するフローチャートである。
【図11】スケジュール実行を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の印刷装置の内部構成を説明する図である。
本例の印刷装置(以下、プリンタ装置で示す)1はCPU2、ROM3、RAM4、不揮発性メモリ5、時計回路6、プリント制御LSI7、プリンタエンジンインターフェース(以下、プリンタエンジンI/Fで示す)8、USB/LANインターフェース(以下、USB/LAN I/Fで示す)9で構成されている。尚、上記プリンタ装置1には不図示のホスト機器から印刷データが供給され、この印刷データに基づいて印刷処理が行われる。
【0016】
CPU2は、ROM3や不揮発性メモリ5に記憶されたプログラム及びデータに従ってプリンタ装置1のシステム制御や、後述するスケジュールテーブルの作成処理、印刷実績データの取得処理、及びスケジュールの実行制御等を行なう。また、RAM4はワークエリアとして機能する。
【0017】
ホスト機器から供給される印刷データは、例えばUSB/LAN I/F9を介してプリンタ装置1に供給され、CPU2の制御に従ってRAM4に描画処理が行われ、プリント制御LSI7を用いてプリンタエンジンI/F8から不図示のエンジン部へ描画データが転送され、印刷出力が行われる。
【0018】
プリンタ装置1に配設された不揮発性メモリ5には以下で説明する情報が記憶され、時計回路6は時刻の計時処理を行う。
図2及び図3は、上記不揮発性メモリ5に記憶される内容を説明する図であり、図2は印刷実績データの構成を示し、図3は印刷実績データの具体的なデータ構成を説明するものである。ここで、印刷実績データとは、後述する一定時間帯毎のプリンタ装置1の印刷履歴である。
【0019】
図2に示すように印刷実績データは、前月分の印刷実績データ(参照用)と、前月分の印刷実績データに今月分の実績を書き込んだ今月分の印刷実績データ(書き込み用)で構成されている。前月分印刷実績データと今月分印刷実績データは基本的に同じ構成であり、図3に示すように、「ヘッダ」、「曜日別データ」、「日付別データ」で構成されている。
【0020】
「ヘッダ」には、ヘッダコード、領域ID、実績とり開始年月日、待ち時間限界値の各エリアが設けられ、対応するデータが記憶される。ここで、実績とり開始年月日とは、例えば図4に示す例で説明すると、2009年3月10日が実績とり開始年月日である。尚、同図の例では、後述するスケジュールの実行は、上記実績とり開始年月日から1ヶ月後の2009年4月10日から行うことができる。
【0021】
一方、「曜日別データ」には、第1週から第6週までの1ヶ月分の曜日別データのエリアが設けられ、各週のエリアにはそれぞれの週の1週間分(日曜日〜土曜日)のデータが記憶される。尚、第6週まで存在しない月は、第5週までのデータとなる。
また、「日付別データ」には、1日から31日までの1ヶ月分の日付別データの記憶エリアが設けられ、各日付の記録エリアにデータが記憶される。
【0022】
図5は、上記「曜日別データ」、及び「日付別データ」として記憶される各日の「1日分のデータ」構成を説明する図である。本例では「1日分データ」として、144個のエリアを有し、10分毎にプリンタエンジンからの情報を取得し、記憶する構成である。また、144個の各エリアは通電回数と印刷回数の記憶エリアで構成され、10分間に行われたプリンタ装置1の通電回数と印刷回数が記憶される。
【0023】
一方、図6はスケジュールテーブルの構成を示す図である。このスケジュールテーブルは後述する処理によって生成されるテーブルであり、スケジュール実行許可のフラグ領域と、レディ状態維持時間、閾値1、閾値2、及び00:00〜24:00までの10分毎の平均印刷回数のデータが書き込まれる。
【0024】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図7は、本実施形態の基本的な処理を説明するフローチャートである。
先ず、プリンタ装置1の電源を投入すると、印刷実績データの確認処理を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。この処理は、不揮発性メモリ5に記憶されている印刷実績データをRAM4に読み出し、確認処理を行う。具体的には、不揮発性メモリ5に印刷実績データが記憶されていること、及び読み出した印刷実績データに問題が無いことを確認する。
【0025】
次に、スケジュールテーブルを作成する(S2)。この処理は、ワークエリア上の印刷実績データを用いて、前述の図6に示す構成のスケジュールテーブルを作成する。
図8は、スケジュールテーブルの作成処理を具体的に説明するフローチャートである。CPU2は、先ずプリンタエンジンの情報を読み込み、プリンタエンジンを識別する(S2−1)。ここで、プリンタエンジンの情報は使用するプリンタ装置1の性能に関係し、例えば本例では後述する図9に示すプリンタエンジンA、Bの例で説明する。尚、プリンタエンジンAのプリント時の消費電力は480Wであり、レディー状態の消費電力は75Wであり、スリープ状態の消費電力は9.5Wである。また、プリンタエンジンBでは、プリント時の消費電力は930Wであり、レディー状態の消費電力は290Wであり、スリープ状態の消費電力は20Wである。図9の詳しい説明については後述する。
【0026】
次に、閾値1及び閾値2を決定する(S2−2)。尚、閾値1及び閾値2の設定についても後述する。尚、閾値1及び閾値2は後述する処理によって計算され、スケジュールテーブルに書き込まれる。
【0027】
次に、印刷実績データの読み込み処理を行う(S2−3)。この印刷実績データの読み込み処理は、前述の「曜日別データ」及び「日付別データ」の両方のデータを読み込む。
次に、実績とり開始から1ヶ月以下であるか判断する(S2−4)。すなわち、前述の「ヘッダ」に記憶した実績とり開始年月日の情報を確認し、実績データの収集を開始した日から1ヶ月を経過しているか判断する。この理由は、スケジュールを曜日別で行なう場合には1週間、日付別で行う場合には1月間のリードタイムが必要であり、本例では「曜日別データ」と「日付別データ」の両方のデータを使用するため、少なくとも1ヶ月の実績情報の収集を必要とする。したがって、前述の図4に示す例では、2009年4月10日から印刷実績データの読み込み処理を行うことが可能となる。
【0028】
ここで、実績とり開始年月日から1ヶ月が経過していない場合(S2−4がYES)、図6に示すスケジュールテーブルのスケジュール実行許可のフラグを実行禁止に設定する(S2−5)。一方、実績とり開始年月日から1ヶ月が経過している場合(S2−4がNO)、スケジュール実行許可のフラグを実行許可に設定する(S2−6)。
次に、スケジュールテーブルの時間帯を0にセットし(S2−7)、平均印刷回数領域に書き込むべき平均印刷回数を算出する。そして、この処理を144個の時間帯について行う。すなわち、スケジュールテーブルの全ての平均印刷回数領域(00:00〜24:00)に対する平均印刷回数の算出を行う(S2−8)。
【0029】
ここで、本例では、「曜日別データ」と「日付別データ」の両方を用いているため、例えば先ず「曜日別データ」の時間帯毎の平均印刷回数(印刷回数÷通電回数)を求め(S2−9)、次に「日付別データ」の時間帯毎の平均印刷回数を求め(S2−10)、それぞれの平均値の大きい方(印刷実績の高い方)をテーブルに書き込む(S4−11〜S4−13)。
【0030】
上記処理はプリンタ装置1を使用する業種によって曜日を基準に仕事が行われる場合もあり、又は日付を基準に仕事が行われる場合もあり、何れの場合でも、時間帯毎の平均印刷回数の大きい方を選択することによってユーザの便宜を図る。したがって、10分毎の時間帯によってある時間帯では「曜日別データ」が使用され、他の時間帯では「日付別データ」が使用される。
【0031】
以上のようにしてスケジュールテーブルを作成すると、図7に示すフローチャートに戻り、次に印刷実績の収集処理を行う。
先ず、現在時刻の読み取り処理を行う(S3)。この処理は時計回路6から現在の時刻情報を読み出し、予め設定された一定時間間隔(10分間)が経過したか判断する(S4)。尚、上記時間が経過していなければ(S4がNO)、上記処理を繰り返す(S3〜S5)。その後、上記時間が経過すると(S4がYES)、印刷実績の収集処理を実行する(S6)。
【0032】
この印刷実績の収集処理を具体的に説明する図が、図10に示すフローチャートである。
先ず、プリンタエンジンから情報を読み出し(S6−1)、プリンタエンジンが、印刷処理を行った回数を取得する(S6−2)。尚、印刷回数のカウントは、例えば1つの印刷ジョブにおいて1枚の印刷処理の場合でも、5枚連続して印刷する場合でも印刷回数は1としてカウントするものとする。
次に、経過した10分の時間帯に行われた通電回数と印刷回数の累計値をワークエリアの印刷実績データの「日付別データ」に書き込む(S6−3)。その後、不揮発性メモリ5の「日付別データ」を更新する(S6−4)。
【0033】
ここで、「日付別データ」は毎月の日付別の印刷実績を履歴するものであり、実際の作業に対応するものであるが、「曜日別データ」は毎週の曜日別の印刷実績を記録するものであり、単純に記録する場合には問題がある。例えば、毎月特定の日付に大量の印刷が行われるのは日付別データで記録すべき項目であり、これを曜日別に記録すると本来の曜日別の目的とは異なった結果が導き出される。
【0034】
したがって、大量の印刷が行なわれることが多い、例えば期初日後1週間であるか判断し(S6−5)、この期間内であれば、「曜日別データ」の更新を行うことなく(S6−6)、「曜日別データ」を不揮発性メモリ5に書き込む(S6−7)。
【0035】
一方、上記期間内でなければ(S6−5がNO)、「曜日別データ」の通電回数をインクリメントし、印刷回数の累計値を算出し(S6−8)、更新された「曜日別データ」を不揮発性メモリ5に書き込む(S6−9)。
【0036】
次に、図7に示すフローチャートに戻り、更新された印刷実績データに基づいてスケジュールを実行すべく、スケジュールの実行許可の判断を行う(S7)。
この判断は図6に示すスケジュールテーブルのスケジュール実行許可のフラグを確認することによって行い、実行許可のフラグが設定されていれば(S7がYES)、スケジュールを実行する(S8)。
【0037】
このスケジュール処理は、具体的には図11に示すフローチャートに従って行われる。先ず、プリンタエンジンから現在の状態情報(EngSts)を読み出す(S8−1)。次に、スケジュールテーブルから、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)と、次の次の時間帯の平均印刷回数(NextPrintAve)の情報を読み出す(S8−2)。例えば、現在時刻が10:00であれば、次の時間帯(10:10〜10:20)の平均印刷回数(PrintAve)と、次の次の時間帯(10:20〜10:30)の平均印刷回数(NextPrintAve)の情報を読み出す。
【0038】
次に、スケジュールテーブルから閾値1と閾値2の値を読み出す(S8−3)。ここで、上記閾値1と閾値2の設定について説明する。
前述のように、プリンタ装置1では、省電力化のため、例えば定着器への電源供給を停止するなどの方法によって節電状態(Sleep状態)の設定を行っている。このため、再度印刷を行う際には、ウォームアップを行うための電力が必要となる。このことを考慮すると、印刷完了後、印刷可能状態(Ready状態)を維持して次の印刷を開始する場合の消費電力が、節電状態で待機後ウォームアップして次の印刷を開始する場合の消費電力より小さくてすむ限界時間(印刷可能状態の維持時間)が存在することが考えられる。
【0039】
そこで、この限界時間(印刷可能状態の維持時間)t1を求め、このt1時間以内で印刷が行なわれるならば、印刷可能状態(Ready状態)を維持した方が節電状態(Sleep状態)に移行させるより消費電力が小さくて済む。このため、印刷実績を収集する前述の時間間隔(10分)とt1が近似している場合、その時間間隔内の印刷回数を数えることが、印刷時間や印刷枚数より消費電力の少ない設定を導き出すことに容易な方法である。
【0040】
前述の図9(a)は、印刷完了後印刷可能状態(Ready状態)を維持して次の印刷を開始する場合のタイムチャートであり、同図(b)は印刷完了後節電状態(Sleep状態)で待機してウォームアップ処理を行う場合のタイムチャートである。例えば、プリンタエンジンAの場合、印刷可能状態(Ready状態)をt1時間維持した時消費電力は、75W×t1となり、一方節電状態(Sleep状態)に設定した時には9.5W×(t1-30秒)+10Wとなる。
【0041】
したがって、この場合印刷可能状態(Ready状態)を維持した方が消費電力が少なくてすむ時間t1は以下の計算によって得ることができる。
75W×t1≦9.5W×(t1-30秒)+10W t1=0.152時間(9.12分)
一方、プリンタエンジンBの場合、印刷可能状態(Ready状態)をt1時間維持した場合の消費電力は290W×t1となり、節電状態(Sleep状態)に設定した場合には20W×(t1-155秒)+52Wであり、以下の計算によって得ることができる。
290W×t1≦20W×(t1-155秒)+52W t1=0.192時間(11.52分)
前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記t1は以下の計算式によって計算することができる。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【0042】
本例では、上記の計算方法によって算出したt1の値を、前述の時間間隔で実行できる回数として閾値1の設定を行う。
すなわち、プリンタエンジンAの場合、前述の時間間隔は10分であり、印刷回数が1.10回(10分÷9.12分)以上であれば印刷処理と印刷処理の間隔がt1時間以上となる。したがって、プリンタエンジンAでは閾値1として1.10を設定する。
【0043】
一方、プリンタエンジンBの場合、前述の時間間隔は10分であり、印刷回数が0.87回(10分÷11.52分)以上であれば印刷間隔がt1時間以上となる。したがって、プリンタエンジンBでは閾値1として0.87の設定を行う。
【0044】
次に、閾値2の設定について説明する。
閾値2はウォームアップ時間に長時間を要するプリンタ装置1に対応して設定されるものであり、例えばプリンタエンジンBの様にウォームアップ時間が長い機種では、消費電力の低減のみに拘ると、印刷する毎にウォームアップ処理が必要となり長時間印刷を待たされる結果となる。そこで、閾値2を設け、各時間帯の平均印刷回数がこの値以下になって始めて節電状態(Sleep状態)にする構成である。
【0045】
このため、例えばユーザが印刷処理を待つことができる待ち時間限界値を設定し、この時間を「ヘッダ」の待ち時間限界値(「Sleep→Readyの時間」)として前述のように設定する。例えば、本例では30秒に設定する。この場合、プリンタエンジンAでは図9に示すように「Sleep→Readyの時間」が30秒に設定されているので待ち時間限界範囲内であり、閾値2を必要としない(閾値1と閾値2は同じ値とする)。
【0046】
しかし、プリンタエンジンBの「Sleep→Readyの時間」は155秒であり、待ち時間限界値の5.17倍の時間となっている。この為、プリンタエンジンBのt1時間(11.52分)を5.17倍した時間t3(59.56分=11.52分×5.17)の間隔で印刷する場合を限界とし、これ以上に印刷間隔が空く場合に初めて節電状態(Sleep状態)とする。したがって、本例ではプリンタエンジンBの閾値2は、0.17(回)(10分÷59.56分)に設定される。
次に、前述の図11に示すフローチャートの処理に戻って、上記閾値1、閾値2を設定した後、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より大きいか判断する(S8−4)。
【0047】
ここで、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より大きい場合(S8−4がYES)、印刷ジョブの実行の可能性が高いのでプリンタエンジンを印刷可能状態(Ready状態)のままとし、印刷待ちフラグをリセットする(S8−5)。すなわち、この場合には現在の時間帯における平均印刷回数(PrintAve)が、例えばプリンタエンジンAの場合1.10以上であり、プリンタエンジンBの場合0.87以上であり、当該時間帯の印刷ジョブの実行の可能性が高いのでプリンタエンジンを印刷可能状態のままとする。
【0048】
一方、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値1より小さい場合(S8−4がNO)、更に上記次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値2より小さいか判断する(S8−5)。そして、次の時間帯の平均印刷回数(PrintAve)が、閾値2より小さい時(S8−6がYES)、更にプリンタエンジンA又はBの判断を行う(S8−7)。
ここで、プリンタエンジンAである場合、閾値1と閾値2は同じ値であり、印刷装置を節電状態(Sleep状態)に設定し、印刷待ちフラグをリセットして処理を終了する(S8−8)。
【0049】
一方、プリンタエンジンBの場合、印刷可能状態(Ready状態)を維持した方がより消費電力が少ない時間t1(11.52分)を読み込み、この値が時間帯(10分)より大きく、且つ、現在の状態が印刷可能状態(Ready状態)であり、且つ次の次の時間帯の平均印刷回数(NextPrintAve)が閾値1以上である場合(S8−9がYes)、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定し、印刷待ちフラグをリセットする(S8−5)。この場合、次の時間帯は印刷処理を行なう可能性が低く、プリンタ装置1を節電状態(Sleep状態)にするべきだが、次の次の時間帯において、印刷処理を行う可能性が高く、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)にする事になるので、現在の印刷可能状態(Ready状態)に維持する事で消費電力を抑え、且つ長いウォームアップの待ち時間の発生を回避する。
【0050】
一方、平均印刷回数(NextPrintAve)が閾値1未満である場合(S8−9がNO)、次の次の時間帯についても印刷処理を行う可能性が低く、プリンタ装置1を節電状態(Sleep状態)に設定し、電力消費を抑える(S8−10)。
【0051】
次に、印刷待ちフラグがリセット状態であるか判断する(S8−11)。以下の処理はプリンタエンジンBについての処理となり、この印刷待ちフラグは、印刷可能状態(Ready状態)を維持するほどの印刷回数ではないが、印刷される可能性もある時間帯であり、例えばユーザの利便を考慮して「とりあえずレディー状態」にして印刷待ちを行うフラグである。すなわち、このフラグが設定される場合は、前述の処理(S8−5、又はS8−10)が実行されていない場合である。
【0052】
したがって、印刷待ちフラグがリセットされている場合(S8−11がYES)、プリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定し、印刷待ちReadyフラグをセットする(S8−12)。
【0053】
一方、印刷待ちフラグがリセット状態ではない場合(S12−11がNO)、更に印刷待ちReadyフラグを判断する(S8−13)。この印刷待ちReadyフラグは、上記「とりあえずレディー状態」にして印刷待ちを行っている時間帯の中で、上記処理(S8−12)によって本当にプリンタ装置1を印刷可能状態(Ready状態)に設定したことを示すフラグである。
【0054】
このフラグがセット状態の場合(S8−13がYES)、印刷処理中であるか判断し(S8−14)、印刷処理中でなければ(S8−14がNO)、プリンタ装置1の印刷可能状態(Ready状態)を維持し(S8−15)、処理を終了する。但し、本来、この時間帯はレディー状態を維持するほどの印刷回数では無いので、印刷処理が行われた場合(S8−14がYES)、印刷処理の終了後、プリンタ装置1をスリープ状態にし、印刷待ちReadyフラグをリセットする(S8−16)。但し、印刷待ちフラグのセット状態は、印刷される可能性がある時間帯なので、スリープ状態を維持し続けて印刷要求に対してウォームアップ時間がかかるのを避けるため、印刷が行なわれた時間帯の平均印刷回数で単位時間(10分)を割り、印刷時間間隔を計算してスリープ時間をセットする(S8−17)。
【0055】
一方、印刷待ちReadyフラグがセットされていない場合(S8−13がNO)、プリンタ装置1のスリープ状態を維持し、スリープ時間から待ち時間を減じる(S8−18)。残りのスリープ時間が無くなった場合(S8−19がNO)、プリンタエンジンをレディー状態に戻し、印刷待ちReadyフラグを再セットする(S8−20)。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置の印刷実績データに基づいて、一定時間間隔の各時間帯毎の印刷傾向を把握し、節電スケジュールすることによって、消費電力を低減すると共に、印刷時のウォームアップ待ちを減らし、迅速な印刷処理を実行することが可能となる。
尚、本実施形態の説明では、閾値1、2について、具体的な数値を使用して説明したが、本願発明は上記各数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1・・・プリンタ装置
2・・・CPU
3・・・ROM
4・・・RAM
5・・・不揮発性メモリ
6・・・時計回路
7・・・プリント制御LSI
8・・・プリンタエンジンI/F
9・・・USB/LAN I/F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、
印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、
前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行い、前記一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より小さいとき、節電状態に移行する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷可能状態の維持時間をt1とし、前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記t1は以下の計算式によって計算することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【請求項3】
前記一定時間間隔は、印刷可能状態の維持時間t1に近似する時間間隔に設定されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を更に行う第2の閾値計算手段を有することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶処理と、
印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算処理と、
前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行う制御処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項6】
前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項1】
1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶手段と、
印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算手段と、
前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行い、前記一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より小さいとき、節電状態に移行する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷可能状態の維持時間をt1とし、前記ウォームアップに要する時間と電力をt2、Ps→rとし、印刷可能状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPrとし、節電状態の維持に要する単位時間当たりの電力をPsとするとき、前記t1は以下の計算式によって計算することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
Pr×t1≦Ps×(t1−t2)+Ps→r
【請求項3】
前記一定時間間隔は、印刷可能状態の維持時間t1に近似する時間間隔に設定されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を更に行う第2の閾値計算手段を有することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
1日を一定時間間隔で分割し、該一定時間間隔内に行なわれた印刷回数の平均値を記憶する記憶処理と、
印刷可能状態を維持する電力が、節電状態を維持すると共に印刷状態にウォームアップする電力を越える電力を必要とする印刷可能状態の維持時間を計算し、該印刷可能状態の維持時間に前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第1の閾値として計算する第1の閾値計算処理と、
前記記憶手段に記憶された一定時間間隔の印刷回数の平均値が前記第1の閾値より大きいとき、前記印刷可能状態を維持する制御を行う制御処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項6】
前記ウォームアップ時間の限界値が設定され、該限界値に対する装置のウォームアップ時間の比率を計算し、該比率に従って前記一定時間間隔内で実行できる印刷回数を第2の閾値として計算する第2の閾値計算処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図9】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図9】
【公開番号】特開2010−269560(P2010−269560A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125039(P2009−125039)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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