説明

印刷装置

【課題】インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えたインク循環型の印刷装置において、ヒータによるインク加熱効率を向上させる。
【解決手段】インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えたインク循環型の印刷装置であって、インク循環経路中に、前記ヒータを経由するヒータ側経路と、前記冷却器を経由する冷却器側経路とが別個に設けられ、前記ヒータ側経路と前記冷却器側経路のインク経路を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段の経路切り替えを制御する制御手段とを備え、インク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、インク温度が第1の基準温度以上の場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の印刷装置におけるインクの温度調整に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているようにインクジェット方式の印刷装置では、良好な印刷結果を得るために、インクの性能を保証する温度範囲が定められている。このため、特許文献2に記載されているようなインクを循環させるインク循環型のインクジェットプリンタでは、インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えさせ、インク温度が保証範囲以下のときにヒータでインクを温め、インク温度が保証範囲以上のときに冷却器でインクを冷やすことが提案されている。
【特許文献1】特開2004−276486号公報
【特許文献2】特開2006−88575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ヒータと冷却器とは相反する性質の装置であるため、双方を備えることによりヒータの加熱効率が低下することがある。例えば、冷却器は、ヒートシンクとファンとで構成することができるが、インク温度が低いときにヒータによりインクを加熱してもヒートシンクにより放熱され、加熱効率が低下することになる。また、ヒータと冷却器とを経由するためインク経路が長くなって、その分インクの循環量が増えることになり、ヒータによって適温までインク温度を上昇させるのにより多くの加熱時間が必要となる。
【0004】
本発明はこのような状況を鑑みたものであり、インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えたインク循環型の印刷装置において、ヒータによるインク加熱効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明による印刷装置は、インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えたインク循環型の印刷装置であって、インク循環経路中に、前記ヒータを経由するヒータ側経路と、前記冷却器を経由する冷却器側経路とが別個に設けられ、前記ヒータ側経路と前記冷却器側経路のインク経路を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段の経路切り替えを制御する制御手段と、を備える。
【0006】
インクがヒータ側経路を流れる場合は冷却器を経由しないため、放熱を防ぎインク加熱効率を向上させることができる。これにより、インク温度上昇の速度が速まり、適温範囲となるまでの時間が短縮される。したがって、低温度時における印刷開始までの時間を短縮することができる。また、ヒータをオンにする時間を短くすることができるため、消費電力を削減できる。さらには、低消費電力のヒータを採用することもでき、電源装置の容量を削減することができる。
【0007】
より具体的な制御として、インク温度を計測するインク温度計をさらに備え、前記制御手段は、計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第1の基準温度以上の場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えることができる。
【0008】
あるいは、インク温度は周辺温度の影響を受けるため、インク温度を計測するインク温度計と、周辺温度を計測する周辺温度計とをさらに備え、前記制御手段は、計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第2の基準温度(>第1の基準温度)より高い場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度より低い場合には前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測された周辺温度が第1の基準温度以上の場合には前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えるようにしてもよい。
【0009】
あるいは、印字率が高いと印刷処理によってインク温度は上昇するため、インク温度を計測するインク温度計と、周辺温度を計測する周辺温度計と、印刷対象の画像の印字率を算出する印字率算出手段とをさらに備え、前記制御手段は、計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第2の基準温度(>第1の基準温度)より高い場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度より低い場合は、算出された印字率が所定の印字率基準値より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、それ以外の場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度以上の場合には前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えるようにしてもよい。
【0010】
いずれの場合も、前記冷却器はファンを含み、前記制御手段は、計測されたインク温度が第3の基準温度(第1の基準温度以上第2の基準温度以下の所定温度)より高い場合に、前記ファンを駆動させることで冷却効率を向上させることができる。また、前記制御手段は、計測されたインク温度が第3の基準温度(第1の基準温度以上第2の基準温度以下の所定温度)より低い場合に、前記ヒータを駆動させることが望ましい。
【0011】
インク循環経路がインク色に対応して複数設けられ、前記切り替え手段はインク色毎に独立してインク経路を切り替え可能である場合は、前記制御部は、インク色毎に独立して前記切り替え手段の切り替えを制御することができる。
【0012】
インク循環経路がインク色に対応して複数設けられ、前記切り替え手段は各インク色一斉にインク経路を切り替えるものである場合は、前記制御部は、各インクのインク温度のうち、最高値あるいは最低値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御することができる。あるいは、各インクのインク温度に第1の基準温度より低い温度あるいは第2の基準温度より高い温度がある場合には、各インクのインク温度のうち、最高値あるいは最低値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御し、それ以外の場合には、各インクのインク温度の平均値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御するようにしてもよい。
【0013】
第1の基準温度は前記インクの印字品質保証温度範囲の下限であり、第2の基準温度は前記インクの印字品質保証温度範囲の上限とすることができる。また、前記ヒータ側経路は前記冷却器側経路よりも経路長を短くすることが望ましい。これにより、インク温度が低い場合のインク循環量を減らすことができ、ヒータによるインク温度上昇の速度がさらに速まることになる。そして、切り替えによるインク圧力の変動が印刷処理に影響を与えないように、前記切り替え手段の経路切り替えは、印刷が行なわれていない期間に行なうようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る循環搬送路を備えたインクジェットプリンタ10の概要を示す図である。本図では特に印刷用紙搬送経路を示している。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、印刷用紙の供給を行なう給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台320と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ(330a、330b、330c、330d)とを備えている。また、印刷済の印刷用紙を排出する排紙機構として排紙口340を備えている。
【0015】
インクジェットプリンタ10は、印字機構として用紙搬送方向に直交する方向に伸び、多数のノズルが形成された印字ヘッドを備えたヘッドユニットを複数本備え、それぞれの印字ヘッドから黒またはカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行なうインクジェット方式のラインカラープリンタである。ただし、ライン方向に走査して画像形成を行なうシリアルカラープリンタとしてもよい。
【0016】
サイド給紙台320および給紙トレイ330のいずれかの給紙機構から1枚ずつ給紙された印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路(図中の黒太線)に沿って搬送され、レジスト部Rgに導かれる。ここでレジスト部Rgは、印刷用紙の先端の位置あわせと斜行修正を行なうために設けられており、1対のレジストローラを備えて構成される。給紙された印刷用紙はレジスト部Rgで一時停止し、所定のタイミングで印字機構方向に搬送される。
【0017】
レジスト部Rgのさらに搬送方向側には、複数本のヘッドユニット120が設けられている。印刷用紙は、ヘッドユニット120の対向面に設けられた環状の搬送ベルト360によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各ヘッドユニット120に備えられた印字ヘッドから吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0018】
印刷済の印刷用紙は、さらに、ローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。印刷用紙の片側の面のみに印刷を行なう片面印刷の場合は、そのまま排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に印刷面を下にして積載されていく。排紙台350は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。排紙台350は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、排紙口340から排紙され、傾斜に沿って滑落する印刷用紙が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0019】
印刷用紙の両面に印刷を行なう両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には排紙口340に導かれずに、さらに筐体内を搬送される。このため、インクジェットプリンタ10は、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構370を備えている。切替機構370によって排出されなかった印刷用紙は、スイッチバック経路SRに引き込まれ、スイッチバックを行ない、搬送路に対して表裏が反転する。そして、ローラ等の駆動機構によって再度レジスト部Rgに導かれ、一時停止する。その後、所定のタイミングで印字機構方向に搬送され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行なわれる。裏面の印刷が行なわれ、両面に画像が形成された印刷用紙は、排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に積載されていく。
【0020】
インクジェットプリンタ10では、両面印刷時におけるスイッチバックを、排紙台350内に設けられた空間を利用して行なうようにしている。排紙台350内に設けられた空間は、スイッチバック時に印刷用紙が外部から取り出せないように覆われた構成となっている。これにより、利用者が誤ってスイッチバック動作中の印刷用紙を引き抜いてしまうことを防ぐことができる。また、排紙台350は、本来インクジェットプリンタ10に備えられているものであり、排紙台350内の空間を利用してスイッチバックを行なうことにより、インクジェットプリンタ10内に、別途スイッチバック用の空間を設ける必要がなくなる。したがって、筐体のサイズが増大してしまうことを防ぐことができる。さらには、排紙口とスイッチバック経路とを共用しないため、スイッチバック処理と他の用紙の排紙とを並行して行なうことができる。
【0021】
図2は、本発明を適用したインクジェットプリンタ10のインク経路関連の構成を説明するためのブロック図である。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、着脱可能なインクボトル110から供給されるインクを用いて印刷を実行するプリンタであり、ヘッドユニット120、下部タンク130、上部タンク135、ポンプ140、ヒータ150、冷却器160、電磁弁170、周辺温度計180、制御部200を備えている。
【0022】
また、インクジェットプリンタ10には、インクボトル110から下部タンク130につながる供給経路DRと、下部タンク130からポンプ140、上部タンク135、ヘッドユニット120を通って下部タンク130に戻る循環経路CRとが樹脂、金属等のパイプまたは樹脂等のチューブにより形成されている。
【0023】
インクボトル110から供給されたインクは、供給経路DRを通って下部タンク130に一旦溜められる。また、循環経路CRでは、下部タンク130に溜められたインクが、ポンプ140により上部タンク135に送られてから、ヘッドユニット120に導かれる。ヘッドユニット120で印刷時に消費されなかったインクは下部タンク130に戻される。上部タンク135からヘッドユニット120へのインク供給およびヘッドユニット120で消費されなかったインクの下部タンク130への帰還は、上部タンク135と下部タンク130との水頭差により行なわれる。このように、インクジェットプリンタ10は、インクを循環経路CRで循環させる方式を採用している。
【0024】
また、下部タンク130と上部タンク135との間には、インクを温めるためのヒータ150と、インクを冷やすための冷却器160とが設けられている。冷却器160は、ヒートシンク160aとファン160bとを有している。ファン160bは、ヒートシンク160aにおける冷却効果を高めるためのヒートシンク160aの近傍に配置されている。
【0025】
本実施形態においてヒータ150と冷却器160とは、循環経路CR内において別々の経路に設けられている。すなわち、循環経路CRは、その途中においてヒータ150を経由するヒータ側経路R−Hと、冷却器160を経由する冷却器側経路R−Cとに分岐しており、合流地点N1で合流するようになっている。そして、分岐地点には電磁弁170が設けられており、循環するインクがどちらの経路を流れるかを規制できるようになっている。
【0026】
このように本実施形態では、循環経路CR内においてヒータ150を経由するヒータ側経路R−Hと、冷却器160を経由する冷却器側経路R−Cとを独立させて排他的にインクを循環させるようにしている。これにより、インク温度が低い場合のインク加熱効率を向上させることができる。これにより、インク温度上昇の速度が速まり、適温範囲となるまでの時間が短縮される。したがって、低温度時における印刷開始までの時間を短縮することができる。また、ヒータ150をONにする時間を短くすることができるため、消費電力を削減できる。さらには、低消費電力のヒータ150を採用することもでき、電源装置の容量を削減することができる。
【0027】
なお、インク加熱効率をさらに向上させるために、ヒータ側経路R−Hを冷却器側経路R−Cより短くすることが望ましい。これにより、インク温度が低い場合のインク循環量を減らすことができ、ヒータ150によるインク温度上昇の速度がさらに速まることになる。
【0028】
また、冷却機構とヒータが一体型の場合、インク高温時の冷却効率を高めるためには循環経路CRのヒートシンク160aへの接触面積を大きくすることが望ましいが、ヒートシンク160aへの接触面積を大きくするとインク低温時の加熱効率が悪化する。しかしながら本実施形態では、ヒータ側経路R−Hと冷却器側経路R−Cとを独立させているため、ヒータ側経路R−Hはヒートシンク160aを経由せず、冷却器側経路R−Cのヒートシンク160aへの接触面積を十分大きくすることができる。
【0029】
ヘッドユニット120は、インクを吐出する多数のノズルが設けられた印字ヘッド120aを備えている。本実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを噴射させる方式のヘッドが用いられているものとする。印字ヘッド120aは、制御部200から送られた信号に基づいてピエゾ素子を駆動することで各ノズルからのインク吐出を制御するドライバ(不図示)と、インクの温度を直接的あるいは間接的に計測するインク温度計120bとを備えている。
【0030】
制御部200は、インクジェットプリンタ10における印刷処理、電力供給、その他の処理を制御する機能部であり、ハードウェア的にはCPU、メモリ等により構成される。本実施形態において制御部200は、印刷対象の画像に基づいてドット毎のインク吐出量を算出し、ヘッドユニット120に出力する画像処理部210と、インクの温度を管理制御するインク温度調整部220とを備えている。インク温度調整部220は、ヘッドユニット120のインク温度計120bの計測値、インクジェットプリンタ10の周辺温度を計測する周辺温度計180の計測値等に基づいて電磁弁170を切り替え、また、ヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動を制御することでインクの温度を管理制御する。
【0031】
なお、本図では、インクは1種類のみを示しているが、カラー印刷が行えるように複数色のインクを用いて、インク色毎に経路を設けるようにしてもよい。この場合、電磁弁170の切り替えを、インク色毎に独立して切り替える構成と、一斉に切り替える構成とが可能であるが、それぞれの切り替え制御の相違については後述する。また、電磁弁170の経路切り替え時のインク圧力の変動による印字ヘッド120aへの圧力変化が最小となるように、電磁弁170は、下部タンク130の下流に設置することが望ましい。
<第1実施例>
次に、上記構成のインクジェットプリンタ10におけるインク温度制御の実施例について説明する。図3は、制御部200のインク温度調整部220が行なう電磁弁170の切り替え処理の第1実施例を説明するフローチャートである。インクにはあらかじめ下限と上限とで定められる適温範囲が設定されており、制御部200は、インク温度計120bで計測されたインク温度に基づいて以下に示すような電磁弁170の切り替え処理を行なう。
【0032】
まず、印刷開始前に、ポンプ140を起動し、インクの循環を開始する(S101)。電磁弁170の切り替えは、切り替え時のインク圧力の変動が印字に影響しないように印刷を行っていない時に行うようにする。このため、印字中でないことを確認する(S102)。
【0033】
印字中でないことを確認すると(S102:No)、インク温度計120bのインク温度計測値を取得して、インク温度が適温範囲より低いか、適温範囲の下限以上であるかを判断する(S103)。その結果、適温範囲より低い場合には電磁弁170をヒータ側経路R−Hに切り替え(S105)、適温範囲の下限以上の場合には電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S104)。適温範囲の下限を切り替え温度の基準とするのは、印刷動作によってインクが温められ、インク温度が上昇することが期待されるからである。ただし、適温範囲の下限に代えて、適温範囲中の所定の値、例えば、適温範囲の中心を切り替え温度の基準としてもよい。
【0034】
次に、制御部200のインク温度調整部220が行なうヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動制御について図4のフローチャートを参照して説明する。本発明では、図3に示した電磁弁170によるインク経路の切り替えと、ヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動制御によりインク温度の制御を行なう。本処理は、図3に示した電磁弁170によるインク経路の切り替え処理よりも頻繁に繰り返し行ない、インク温度が適温範囲内に収まるように制御する。
【0035】
インク循環が開始されると、インク温度が適温範囲より低いか、適温範囲内か、適温範囲より高いかを判断する(S201)。その結果、適温範囲より低い場合には、印字中であるかどうかを判断する(S204)。印字中の場合(S204:Yes)は、インク温度が低く、印字品質が保証できないため、印字を中止する(S207)。その後は、インク温度計120bのインク温度計測値取得処理が行なわれることになる(S103)。
【0036】
印字中でない場合(S204:No)は、ヒータ150をONにして、インクを温める(S208)。このような場合、電磁弁170は、ヒータ側経路R−Hに切り替えられているため(図3:S103、105参照)、ヒータ150のONによりインクが温められることになる。しかも、循環するインクは冷却器160を経由しないため、放熱を防ぐことができ効率的に温められることになる。また、ヒータ側経路R−Hを冷却器側経路R−Cよりも短くすることにより、ヒータ側経路R−Hを経由した場合に、冷却器側経路R−Cを経由した場合よりもインク流量を減らすことができ、インク温度の上昇速度を速めることができる。また、ヒータ150をONにする時間を短くすることができるため、消費電力を削減できる。さらには、低消費電力のヒータ150を採用することもでき、電源装置の容量を削減することができる。
【0037】
処理(S201)の判断の結果、インク温度が適温範囲より高い場合には、印字中であるかどうかを判断する(S206)。印字中の場合(S206:Yes)は、インク温度が高く、印字品質が保証できないため、印字を中止する(S212)。その後は、インク温度計120bのインク温度計測値取得処理が行なわれることになる(S103)。
【0038】
印字中でない場合(S206:No)は、冷却器160のファン160bをONにして、インクを冷やす(S211)。このような場合、電磁弁170は、冷却器側経路R−Cに切り替えられているため(図3:S103、S104参照)、ヒートシンク160aの効果に加え、ファン160bのONにより冷却効率が向上しインクが冷やされることになる。また、冷却器側経路R−Cでは、ヒートシンク160aとの接触面積を大きくすることができるため、一層効率的にインクを冷やすことができる。
【0039】
処理(S201)の判断の結果、インク温度が適温範囲内の場合には、電磁弁170によって経路が冷却器側経路R−Cに切り替えられているかヒータ側経路R−Hに切り替えられているかを判断する(S202)。その結果、ヒータ側経路R−Hに切り替えられていた場合には、さらに所定の基準温度、例えば、適温範囲の中心温度より高いか低いかを判断する(S203)。ただし、この基準温度は、適温範囲の中心値に限られず、適温範囲中の所定の値をあらかじめ設定しておくことができる。
【0040】
そして、適温範囲中心値より低い場合には、環境温度等によってインク温度が低下して適温範囲未満になることを防ぐために、ヒータ150をONにして、インクを温める(S208)。一方、適温範囲中心値より高い場合には、インクの加熱は不要であるとしてヒータ150をOFFにする(S209)。このとき、印刷対象の印字率を検出して、印字率を考慮した制御を行なってもよい。例えば、印字率が高い場合には、印刷処理によりインク温度が上昇することが期待できるため、ヒータ150をONにする温度を高くすることができる。
【0041】
また、冷却器側経路R−Cに切り替えられていた場合には、さらに所定の基準温度、例えば、適温範囲の中心温度より高いか低いかを判断する(S205)。この基準温度も、適温範囲の中心値に限られず、適温範囲中の所定の値をあらかじめ設定しておくことができる。
【0042】
そして、適温範囲中心値より高い場合には、印刷処理等によってインク温度が上昇して適温範囲を超えることを防ぐために、冷却器160のファン160bをONにして、インクを冷やす(S211)。一方、適温範囲中心値より低い場合には、インクの冷却は不要であるとして冷却器160のファン160bをOFFにする(S210)。
【0043】
このように、図3に示した電磁弁170によるインク経路の切り替えと、図4に示したヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動制御を行なうことにより、例えば、印刷開始前にインク温度が適温範囲下限値以上の場合は、処理(S103)→処理(S104)によりインク経路は冷却器側経路R−Cに切り替えられ、印刷中には処理(S201)→処理(S202)→処理(S205)の判断が繰り返し行なわれることでファン160bのON/OFFが制御され、インク温度が適温範囲内に保たれることになる。
【0044】
仮に、環境温度等の影響により印刷中にインク温度が適温範囲外になった場合には、処理(S207)あるいは処理(S212)により印字が中断され、そのときのインク温度に応じた経路切替えが処理(S103)により行なわれ、処理(S208)のヒータONあるいは処理(S211)のファンONによってインク温度が適温範囲内に収まるように制御される。
【0045】
また、印刷開始前にインク温度が適温範囲より低い場合は、処理(S103)→処理(S105)によりインク経路はヒータ側経路R−Hに切り替えられ、処理(S201)→処理(S204)→処理(S208)のヒータONによってインクが温められる。その後、ヒータ150による加熱によって適温範囲までインク温度が上昇すると、印刷が開始される。印刷中には処理(S201)→処理(S202)→処理(S203)の判断が繰り返し行なわれることでヒータ150のON/OFFが制御され、インク温度が適温範囲内に保たれる。
【0046】
なお、処理(S203)、処理(S205)等における基準温度は、ヒータ150の性能と、冷却器160の性能およびインクの比熱等によって定めることができる。例えば比熱が大きいインクの場合、温めの際にはヒータ150の熱効率がよいため比較的容易に温度上昇するが、冷却の際にはファン160bによるヒートシンク160aへの送風はそれほど効率がよくないため温度低下は鈍くなる。このような場合、基準温度をより低くすることで、インクが適温範囲内に留まるマージンを増やすことができる。
【0047】
もちろん本発明は上述の処理には限定されず、インク循環開始前に、インク温度を測定して、インク温度に応じて、ヒータ、ファン制御を適切に行い、印字停止中に経路を切り替えるようにして、インク温度を適切範囲になるようにするのであれば、処理(S103)の判断温度や、図4のフローチャートに示した処理の流れは、他のものであってもよい。
<第2実施例>
次に、上記構成のインクジェットプリンタ10におけるインク温度制御の第2実施例について説明する。図5は、制御部200のインク温度調整部220が行なう電磁弁170の切り替え処理の第2実施例を説明するフローチャートである。本実施例では、さらに、インクジェットプリンタ10の周辺温度を参照して電磁弁170の切り替え制御を行なう。すなわち、インクジェットプリンタ10は、周辺温度計180によりインクジェットプリンタ10の筐体内あるいは筐体外の周辺温度を計測している。インクの温度はこの周辺温度による影響を受けるため、第2実施例ではさらに周辺温度を考慮するようにしている。
【0048】
まず、印刷開始前に、ポンプ140を起動し、インクの循環を開始する(S301)。電磁弁170の切り替えは、切り替え時のインク圧力の変動が印字に影響しないように印刷を行っていない時に行うようにする。このため、印字中でないことを確認する(S302)。
【0049】
印字中でないことを確認すると(S302:No)、インク温度計120bのインク温度計測値を取得して、インク温度が適温範囲より低いか、適温範囲内か、適温範囲より高いかを判断する(S303)。その結果、適温範囲より低い場合には電磁弁170をヒータ側経路R−Hに切り替える(S306)。インク温度が適温範囲より高い場合には電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S305)。
【0050】
処理(S303)の判断の結果、インク温度が適温範囲内の場合は、さらに周辺温度計180が計測した周辺温度を参照して、適温範囲より低いか、低温範囲の下限以上であるかを判断する(S304)。本実施例では周辺温度の適温範囲はインク温度の適温範囲と同じ温度範囲とするが、インク温度と周辺温度とで異なる適温範囲を用いるようにしてもよい。
【0051】
処理(S304)の判断の結果、周辺温度が適温範囲より低い場合には電磁弁170をヒータ側経路R−Hに切り替える(S306)。印字率の低い印刷が続いたり、印刷間隔が空くと、周辺温度の影響を受けてインク温度が適温範囲を下回るおそれがあるからである。一方、周辺温度が適温範囲の下限以上の場合には、インク温度低下のおそれが無いため電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S305)。
【0052】
なお、ヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動制御については、第1実施例と同様に行なうことができる。
<第3実施例>
次に、上記構成のインクジェットプリンタ10におけるインク温度制御の第3実施例について説明する。図6は、制御部200のインク温度調整部220が行なう電磁弁170の切り替え処理の第3実施例を説明するフローチャートである。本実施例では、さらに、印刷の際の画像印字率を考慮して電磁弁170の切り替え制御を行なう。すなわち、インク温度は、印刷の際の駆動機構の発熱、インク振動によるジュール熱等により上昇する。一般に、印刷処理によるインク温度上昇の度合いは印字率に応じる。すなわち、印字率が高いほどインク温度は上昇しやすく、印字率が低いほどインク温度への影響は少ない。このため、第3実施例ではさらに印字率を考慮するようにしている。
【0053】
印字率は、制御部200の画像処理部210が印刷対象となるページ毎に、例えば、印刷用紙の印字可能面積に対する印字面積を算出することで求めることができる。また、印刷するするドット数、あるいは、インクのドロップ数等に基づいて算出するようにしてもよい。
【0054】
まず、印刷開始前に、ポンプ140を起動し、インクの循環を開始する(S401)。電磁弁170の切り替えは、切り替え時のインク圧力の変動が印字に影響しないように印刷を行っていない時に行うようにする。このため、印字中でないことを確認する(S402)。
【0055】
印字中でないことを確認すると(S402:No)、インク温度計120bのインク温度計測値を取得して、インク温度が適温範囲より低いか、適温範囲内か、適温範囲より高いかを判断する(S403)。その結果、適温範囲より低い場合には電磁弁170をヒータ側経路R−Hに切り替える(S406)。インク温度が適温範囲より高い場合には電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S407)。
【0056】
インク温度が適温範囲内の場合は、さらに周辺温度計180が計測した周辺温度を参照して、適温範囲より低いか、低温範囲の下限以上であるかを判断する(S404)。その結果、周辺温度が適温範囲の下限以上の場合にはインク温度低下のおそれが無いため電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S407)。
【0057】
処理(S404)の判断の結果、周辺温度が適温範囲より低い場合には、次の印刷対象となるページの印字率を算出して、所定の基準値より高いか低いかを判断する(S405)。その結果、所定の基準値より低い場合には、印刷によるインク温度上昇が期待できないため、電磁弁170をヒータ側経路R−Hに切り替える(S406)。一方、所定の基準値より高い場合、あるいは、次ページの印刷率が未定の場合には電磁弁170を冷却器側経路R−Cに切り替える(S407)。
【0058】
なお、ヒータ150および冷却器160のファン160bの駆動制御については、第1実施例と同様に行なうことができる。
<その他>
上記の実施例は、簡単のためインク経路を1本として説明した。しかしながら、カラーインクジェットプリンタでは、インク色毎に複数本のインク経路が存在する。この場合、電磁弁170の切り替えが一斉に行なわれるか、インク色毎に切り替え可能であるかに応じて切り替え制御を変えることが望ましい。
【0059】
例えば、インク色毎に独立して電磁弁170の切り替えが可能な構成の場合には、図7(a)に示すように、インク毎にインク温度に応じた切り替え制御を独立して行なう(S501)。このような制御は、例えば、モノクロ印刷が続いて黒インクのみが温度上昇している場合等に効果的である。
【0060】
一方、電磁弁170の切り替えが一斉に行なわれる構成の場合には、図7(b)に示すように、各色のインク温度の内、最も高いインク温度、あるいは、最も低いインク温度に基づいて切り替え制御を行なうようにする(S601)。最も高いインク温度、あるいは、最も低いインク温度が適温範囲内でないときには、インクを冷却あるいは加熱する必要があるからである。
【0061】
一般に、最も高いインク温度が適温範囲を超え、最も低いインク温度が適温範囲を下回る状況はまれと考えられるため、本例のように、最も高いインク温度、あるいは、最も低いインク温度に基づいて切り替え制御を行なうようにすることで、電磁弁170の切り替えを一斉に行なう簡易な構成を採用することができる。
【0062】
ただし、図7(c)に示すように、各色のインク温度の内、適温範囲外のものがあるかどうかを調べ(S701)、適温範囲外のインク温度がある場合(S701:Yes)には、最も高いインク温度、あるいは、最も低いインク温度に基づいて切り替え制御を行なうようにし(S703)、すべてのインク温度が適温範囲内であれば(S701:No)、各インク温度の平均値に基づいて電磁弁170の切り替え制御を行なうようにしてもよい(S702)。
【0063】
さらには、電磁弁170の切り替えが一斉に行なわれる構成において、ヒータ160をインク色毎に個別に制御可能な構成としてもよい。この場合は、例えば、特定の色のみを印字することにより、その色のみの温度が上昇したとき等のインク色毎の温度差が激しい場合に、インク経路をヒータ側経路R−Hに一斉に切り替え、一番高い温度のインク以外のヒータ160を個別に制御することで、一番高い温度のインクに、他のインク色の温度を合わせ、インク色間による温度差を縮めた後、インク経路を冷却器側経路R−Cに一斉に切り替えて、適温範囲まで冷却するといった制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタ10の概要を示す図である。
【図2】インクジェットプリンタのインク経路関連の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】第1実施例の電磁弁切り替え制御を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施例のヒータおよびファンの制御を説明するフローチャートである。
【図5】第2実施例の電磁弁切り替え制御を説明するフローチャートである。
【図6】第3実施例の電磁弁切り替え制御を説明するフローチャートである。
【図7】電磁弁の構成に応じた切り替え制御を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10…インクジェットプリンタ、110…インクボトル、120…ヘッドユニット、120a…印字ヘッド、120b…インク温度計、130…下部タンク、135…上部タンク、140…ポンプ、150…ヒータ、160…冷却器、160a…ヒートシンク、160b…ファン、170…電磁弁、180…周辺温度計、200…制御部、210…画像処理部、220…インク温度調整部、320…サイド給紙台、330…給紙トレイ、340…排紙口、350…排紙台、360…搬送ベルト、370…切替機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを温めるためのヒータと、インクを冷やすための冷却器とを備えたインク循環型の印刷装置であって、
インク循環経路中に、前記ヒータを経由するヒータ側経路と、前記冷却器を経由する冷却器側経路とが別個に設けられ、
前記ヒータ側経路と前記冷却器側経路のインク経路を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段の経路切り替えを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
インク温度を計測するインク温度計をさらに備え、
前記制御手段は、計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第1の基準温度以上の場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
インク温度を計測するインク温度計と、周辺温度を計測する周辺温度計とをさらに備え、
前記制御手段は、
計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第2の基準温度(>第1の基準温度)より高い場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、
計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度より低い場合には前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測された周辺温度が第1の基準温度以上の場合には前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
インク温度を計測するインク温度計と、周辺温度を計測する周辺温度計と、印刷対象の画像の印字率を算出する印字率算出手段とをさらに備え、
前記制御手段は、
計測されたインク温度が第1の基準温度より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、計測されたインク温度が第2の基準温度(>第1の基準温度)より高い場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、
計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度より低い場合は、算出された印字率が所定の印字率基準値より低い場合に前記切り替え手段を前記ヒータ側経路に切り替え、それ以外の場合に前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替え、
計測されたインク温度が第1の基準温度以上第2の基準温度以下の場合であって、計測された周辺温度が第1の基準温度以上の場合には前記切り替え手段を前記冷却器側経路に切り替えることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記冷却器はファンを含み、
前記制御手段は、計測されたインク温度が第3の基準温度(第1の基準温度以上第2の基準温度以下の所定温度)より高い場合に、前記ファンを駆動させることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記制御手段は、計測されたインク温度が第3の基準温度(第1の基準温度以上第2の基準温度以下の所定温度)より低い場合に、前記ヒータを駆動させることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
インク循環経路がインク色に対応して複数設けられ、
前記切り替え手段はインク色毎に独立してインク経路を切り替え可能であり、
前記制御部は、インク色毎に独立して前記切り替え手段の切り替えを制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
インク循環経路がインク色に対応して複数設けられ、
前記切り替え手段は各インク色一斉にインク経路を切り替えるものであり、
前記制御部は、各インクのインク温度のうち、最高値あるいは最低値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
インク循環経路がインク色に対応して複数設けられ、
前記切り替え手段は各インク色一斉にインク経路を切り替えるものであり、
前記制御部は、
各インクのインク温度に第1の基準温度より低い温度あるいは第2の基準温度より高い温度がある場合には、各インクのインク温度のうち、最高値あるいは最低値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御し、それ以外の場合には、各インクのインク温度の平均値に基づいて前記切り替え手段の切り替えを制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
第1の基準温度は前記インクの印字品質保証温度範囲の下限であり、第2の基準温度は前記インクの印字品質保証温度範囲の上限であることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記ヒータ側経路は前記冷却器側経路よりも経路長が短いことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記切り替え手段の経路切り替えは、印刷が行なわれていない期間に行なうことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−255327(P2009−255327A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104885(P2008−104885)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】