説明

印字データ作成装置並びにそれを備える印字装置、印字データ作成方法、及び印字データ作成プログラム

【課題】 本発明は、複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすように印字する場合において、印字後に各商品関連情報カードをグループ別に仕分けする際の作業性を改善することを目的とする。
【解決手段】 複数の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POP(Point Of Purchase/購買時点)広告や棚札等の印字に使用される印字データ作成装置並びにそれを備える印字装置、印字データ作成方法、及び印字データ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットその他の店舗では、POP広告や棚札のように、販売される商品に関連する情報(以下、単に商品関連情報という。例えば、商品名、価格、メーカー名、品番、セール値引額等)を表示する商品関連情報カードを掲示する(例えば、特許文献1参照。)。これらの商品関連情報カードは、掲示場所等によって異なるサイズが使用され、縦横寸法がそれぞれ数センチメートル程度の大きさになる場合もあるため、複数枚をまとめて、例えばB4用紙等の規格サイズ用紙に、横方向に延びる複数行及び縦方向に延びる複数列のマトリックスをなすように印字し、印字後に切り離して使用することがある。
【特許文献1】特開2001−209634号公報
【特許文献2】特開2003−241914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のように、複数の商品関連情報カードをまとめて印字する場合において、店舗内における掲示場所に関係なくランダムに印字すると、商品関連情報カードを一旦個別に切り離してから、店舗内への掲示場所に合わせて仕分けすることになるため、仕分け作業が煩雑で長時間を要し、さらに仕分け先を間違えるおそれがある。これに対して、印字される商品関連情報を、例えば、青果部門、鮮魚部門、精肉部門、惣菜部門等に予めグループ分けしておき、図9(a)に示されるように、グループ順に並べて印字し、仕分け作業の負担を軽減する方法が考えられるが、グループ間の区切り(一点鎖線で示す)を判別して切り離す作業は煩雑で、結局、仕分け作業に長時間を要したり、仕分けを間違えたりする可能性がある。
【0004】
また、各グループ間の区切りを判別し易くするため、図9(b)に示されるように、部門No.や部門名等を挿入して印刷する方法もあるが、グループ別に仕分けする際には、図9(c)に示されるような複雑形状に切り離す煩雑さは変わりなく、作業に長時間を要する。しかも、場合によっては、図9(c)の一点鎖線で囲まれているカードのように、部門No.や部門名等が印刷されたカードと、商品関連情報カードが切り離されてしまうため、仕分け先を間違える可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みて、複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすように印字する場合において、印字後に各商品関連情報カードをグループ別に仕分けする際の作業性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数枚の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成装置であって、
前記複数の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置するレイアウト配置手段と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成手段と、を備えることを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印字データ作成装置であって、
前記所定の複数グループは、階層状に組み合わされていることを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の印字データ作成装置であって、
前記マトリックス印字データは、前記所定の複数グループ間の区切りを、印字内容によって表示することを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の印字データ作成装置であって、
前記区切りを表示する印字内容は、前記レイアウト配置における各グループの先頭位置に挿入されるグループ識別表示であることを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の印字データ作成装置であって、
前記レイアウト配置において、前記改行、改列又は改頁により生じる空白部分には、所定の表示が挿入されることを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の印字データ作成装置であって、
前記改行又は改列位置の変更により、前記マトリックス印字データが前記所定用紙の長尺方向の2分の1以下に収まるように印字可能であるか否かを判別し、印字可能であると判別した場合には、前記改行又は改列位置の変更をしてレイアウト配置することを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成装置であって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置するレイアウト配置手段と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成手段と、を備えることを特徴とする印字データ作成装置を提供する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすように印字する印字装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載の印字データ作成装置を備えることを特徴とする印字装置を提供する。
【0014】
請求項9に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成方法であって、
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持するステップと、
保持した前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置するステップと、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成するステップと、を備えることを特徴とする印字データ作成方法を提供する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成方法であって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持するステップと、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置するステップと、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成するステップと、を備えることを特徴とする印字データ作成方法を提供する。
【0016】
請求項11に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成プログラムであって、
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する処理と、
保持した前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置する処理と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する処理と、を実行させることを特徴とする印字データ作成プログラムを提供する。
【0017】
請求項12に記載の発明は、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成プログラムであって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する処理と、
保持した前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置する処理と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する処理と、を実行させることを特徴とする印字データ作成プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、9及び11に記載の発明によれば、以下の優れた効果を奏する。商品関連情報カードをグループ間の区切りで改行又は改列してレイアウト配置する場合、カードをグループ別に切り離す作業は、グループ間の区切り部分で印字済み用紙を直線的に切断するだけで良く、作業ミスが少なく、短時間で済ませることができる。しかも、上記従来のカード仕分け時のように、同じグループのカードを別々に切り離さずに済むため、切り離し後の仕分け作業も短時間で間違いなく行うことができる。また、商品関連情報カードをグループ間の区切りで改頁してレイアウト配置する場合には、カードをグループ別に仕分けするための切り離し作業も不要で、仕分け作業をより短時間で済ませることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。例えば、店舗別及び各店舗における部門別のグループが階層状に組み合わされている場合には、各店舗別の切り離し、各店舗における部門別の切り離しを、その都度行うことができ、カードを途中で仕分け間違いしたり、紛失したりする不都合を防止できる。また、各階層に応じて改行、改列又は改頁を組み合わせて採用することで、印字後の仕分けにおける不都合の発生をより確実に防止して、作業の効率化を図ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。グループ間の区切りを印字内容によって表示するようにしたので、印字済み用紙を仕分けしたり、切り離したりする際に、容易に区切りを見つけることができ、作業効率を高めることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。区切りを表示する印字内容を、各グループの先頭位置に挿入されるグループ識別表示としたので、仕分けされた印字済み用紙の内容や仕分け先を速やかに見分けることができ、仕分け先を間違えて配布する等の不都合を防止することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。改行、改列又は改頁により生じる空白部分に、所定の表示を挿入するので、その空白が改行等によって生じたものか、印字装置の故障等の不具合(異常)によって生じたものか、を印字済み用紙等から判断することができ、不具合に気づかずに作業を続ける不都合が防止される。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。改行又は改列位置の変更で所定用紙の長尺方向の2分の1以下に収まるように印字可能である場合に、当該変更をしてレイアウト配置することとしたので、例えば、所定用紙がB4サイズである場合に、余った空白部分を切り離し、B5サイズの用紙として再利用することができる。これによって、紙の使用量を少なく抑えられるものである。
【0024】
請求項7、10及び12に記載の発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。グループ間の区切りで所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、商品関連情報カードをレイアウト配置するので、カードをグループ別に切り離す作業は、短時間でミスなく済ませることができる。しかも、上記従来のカード仕分け時のように、同じグループのカードを別々に切り離さずに済むため、切り離し後の仕分け作業も短時間で間違いなく行うことができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の発明と同様の優れた効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(印字システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る印字データ作成装置が組み込まれる印字システム全体の構成を示すブロック図である。この印字システムは、チェーン展開されるスーパーマーケットに適用されるものであって、チェーン本部に設置される本部サーバ1と、店舗に設置されて、本部サーバ1にインターネット等の通信回線T1を介して接続される店舗サーバ2と、店舗サーバ2と店舗内ネットワーク回線T2を介して接続される印字データ作成装置3と、を備えてなる。
【0028】
(印字データ作成装置3の構成)
印字データ作成装置3は、パーソナルコンピュータであって、CPU(中央演算処理装置)31、ROM(リードオンリーメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33を有する制御部34と、制御部34に接続される入力部35、表示部36、記録部37を備えてなり、商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カード(棚札やPOP広告)を所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する。印字データ作成装置3には、作成されたマトリックス印字データを所定の印字用紙に印字する印字装置4が接続される。
【0029】
入力部35は、マウス、キーボード等、オペレーターが入力操作するための入力装置であり、表示部36は、オペレーターが作業内容等を目視確認するためのディスプレイ装置であり、記録部37は、ハードディスク等の外部記憶装置である。ROM32には、パーソナルコンピュータのシステムプログラムが記憶されており、記録部37には、印字データ作成プログラムが記憶されている。印字データ作成プログラムは、CPU31によってRAM33上で実行され、プログラムの実行により作成された印字データは、オペレーターによる入力部35への入力操作に基づいて、印字装置4で印字出力される。なお、印字装置4は、商品関連情報カードのみを印字する専用プリンターではなく、汎用プリンターが採用されている。
【0030】
(商品関連情報カード)
商品関連情報カードは、図2に示されるように、商品関連情報(商品名G、販売単位数量Q、価格V)が上下三段に並列印字されてなる棚札であって、店舗内の商品棚に掲示される。商品関連情報カードに印字される商品関連情報は、図3に示されるように「商品No.」「商品名」「販売単位数量」「価格」等のデータが商品別にまとめられた商品関連情報データベースとして店舗サーバ2に格納されており、各店舗における販売商品の追加・入替えや大売出し等による価格変更の際に、本部サーバ1からの情報送信に基づいて更新される。データ更新された複数商品について、印字データ作成装置3によるマトリックス印字データの作成が行われ、印字装置4による商品関連情報カードの印字が行われる。印字データ作成装置3によるマトリックス印字データの作成は、以下のようなステップで行われる。
【0031】
(個別印字データの生成及び保持)
まず、制御部34は、商品関連情報データベースの中からデータ更新された複数商品の商品関連情報を選択、取得し、図2に示される商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを生成するとともに、これを保持する保持手段として機能する。商品関連情報カードの印字項目、カードサイズ、印字レイアウト(文字フォント、文字サイズ、文字カラー、行間及び文字間のスペース、余白)等は、図2のものに限らず、様々な組合せのものが用意されており、その中から、商品棚に掲示可能なサイズや本部からの指示に合うものをオペレーターが適宜選択する。ここでは、販売商品の入替え等を想定して、商品関連情報データベースの中からデータ更新された情報を取得することとしたが、新規店舗を立上げる場合には、すべてのデータを取得することになる。
【0032】
(個別印字データのレイアウト配置)
次に、制御部34は、保持手段により保持された個別印字データを所定の複数グループに仕分けし、そのグループ順に、図4に示される六行(複数行)及び四列(複数列)のマトリックス上で、横方向に延びる行に沿ってレイアウト配置するレイアウト配置手段として機能する。ここで、制御部34は、これらの個別印字データをグループ間の区切りに関係なくレイアウト配置するのではなく、グループ間の区切りで改行して、そこで印字済み用紙を直線的に切り離すことができるようにレイアウト配置する。使用されるマトリックスは、図4に示される六行×四列に限らず、商品関連情報カードのサイズと使用される印字用紙のサイズの組合せに応じて決定される。したがって、二行×三列や四行×五列となる場合や印字用紙の端に余白部分が形成される場合も生じ得る。なお、各マトリックスに応じて、印字用紙に予め切断用のミシン目を設けるようにしても良い。
【0033】
個別印字データの仕分けは、「商品No.」の範囲等によって、青果部門(商品No.0001001〜0002000)、鮮魚部門(同0002001〜0003000)、精肉部門(同0002001〜0003000)等のグループとなすように行われる。仕分けされた個別印字データは、グループ順に、各行の左端(行頭)から右端(行末)へ向かう横方向にレイアウト配置され、グループの途中で行の右端に達する場合には改行して、次行以降に同グループの残りデータがレイアウト配置される。図3及び図4に示される例では、青果部門の個別印字データ(りんご、バナナ、みかん、キーウィ、いちご、パイナップル)がマトリックスの第一行目に沿ってレイアウト配置されるが、第一行目の「キーウィ」で行末に達するため、そこで改行して、第二行目に沿って同グループの残りデータ「いちご」「パイナップル」がレイアウト配置される。
【0034】
行の途中でグループ間の区切りに達した場合には改行し、次グループの個別印字データを次行以降にレイアウト配置するとともに、改行により生じる空白部分に所定の矢印表示を挿入配置する。図4に示される例では、青果部門の個別印字データに続く二つの空白部分に矢印表示を挿入配置し、グループが異なる鮮魚部門の個別印字データ(さんま、紅鮭、うなぎ、いか、あさり)を、改行された第三行目以降にレイアウト配置する。データ途中で第三行目が終了するため、第四行目に沿って同グループの残りデータ「あさり」をレイアウト配置し、続いて精肉部門の個別印字データ(牛ステーキ、牛焼肉、牛すき焼き肉、鶏モモ肉)を鮮魚部門と同じ第四行目ではなく、改行された第五行目以降にレイアウト配置し、第四行目の空白部分には、第二行目と同様に矢印表示を挿入配置する。なお、すべてのデータがレイアウト配置されたことを明確にするため、全く使用されない第六行目の空白部分にも矢印表示が挿入される。
【0035】
(マトリックス印字データの作成)
最後に、制御部34は、個別印字データを上記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成手段として機能する。マトリックス印字データは制御部34によって保持され、オペレーターが入力部35で印字指示することによって、複数の商品関連情報カードが、図4に示される複数行及び複数列のマトリックスをなすように所定用紙にまとめられた状態で印字される。
【0036】
(上記実施形態に係る印字データ作成装置の特徴)
上記実施形態に係る印字データ作成装置は、下記のような特徴を有する。
【0037】
第一に、商品関連情報が印字される商品関連情報カードの個別印字データを、所定用紙上で複数列及び複数行のマトリックスをなして印字されるようにレイアウト配置する際に、各個別印字データをグループ順に、マトリックスをなす行に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行してレイアウト配置するレイアウト配置手段を備えている、という特徴を有する。この特徴により、マトリックス状に印字された商品関連情報カードをグループ別に切り離す作業は、個別印字データの区切りとなる改行部分(図4に示される一点鎖線部分)で印字済み用紙を直線的に切断するだけで良く、ミスが少なく短時間で作業を済ませることができる。しかも、同グループのカードを別々に切り離さないため、各グループへの仕分け作業も短時間で間違いなく行われる。
【0038】
第二に、商品関連情報カードの個別印字データをレイアウト配置するに際して、データ途中で改行することにより生じる空白部分に、所定の矢印表示を挿入配置する、という特徴を有する。この特徴により、個別印字データが印字されていない空白部分が、改行によって生じたものか、そうではなく印字装置の故障等の不具合によって生じたものか、を容易に判断することができ、オペレーターが不具合に気づかずに作業を続ける不都合が防止される。
【0039】
(上記実施形態の変形例1)
上記実施形態では、個別印字データを、それらの属するグループ順に、複数行及び複数列からなるマトリックスの行に沿ってレイアウト配置し、グループ間の区切りで改行することとしたが、図5(a)に示されるように、マトリックスの縦方向に延びる列に沿って、グループ順にレイアウト配置し、グループ間の区切りで改列することとしても良い。かかる場合、マトリックス状に印字された商品関連情報カードをグループ別に切り離す作業は、個別印字データの区切りとなる改列部分(図中の一点鎖線部分)で印字済み用紙を直線的に切断するだけで良く、ミスが少なく短時間で作業を済ませることができ、しかも、同グループのカードを別々に切り離さないため、各グループへの仕分け作業が短時間で正確に行える。また、図5(b)に示されるように、個別印字データを、それらの属するグループ順に、グループ間の区切りで改頁してレイアウト配置することとすれば、各グループへ仕分けするための切り離し作業が不要となり、仕分け作業をより短時間で間違いなく済ませることができるものである。
【0040】
(上記実施形態の変形例2)
上記実施形態では、グループ間の区切りで改行したときに生じる空白部分に、矢印表示を挿入することとしたが、改行による空白部分が生じない場合には、図6(a)に示されるように、所定用紙を切断するグループ間の区切りが分かり難い。そこで、グループ間の区切りを印字内容によって表示するようにしても良い。これによって、印字済み用紙をグループ別に切り離したり、仕分けしたりする際に、容易に区別することができ、作業効率を向上することができる。具体的には、図6(b)に示されるように、レイアウト配置における各グループ(青果部門、鮮魚部門、精肉部門)の先頭位置に、部門番号(例えば「部門01」)や部門名(例えば「青果」)等のグループ識別表示を挿入することができる。グループ識別表示によって、グループ間の区切りを容易に見つけることができるばかりでなく、その表示内容から、印字された商品関連情報カードの内容や仕分け先を速やかに判断することができ、間違えて配布する等の不都合を防止することができる。ただし、グループ識別表示を挿入する場合には、図6(b)のように必要な印字用紙の枚数が増えてしまうため、図6(c)に示されるように、上下に隣接してレイアウト配置される複数グループの一方に外枠を設け、他方には設けないようにすることで、余計な印字スペースを使わずにグループ間の区切りを認識できるようにしても良い。その他、グループ間の区切りを印字内容によって表示する方法としては、グループごとに印字カラーや印字フォントを変えたり、グループ間の境界線を太くしたりする方法が考えられる。
【0041】
(上記実施形態の変形例3)
上記実施形態では、カード仕分けの対象となる所定の複数グループは、青果部門、鮮魚部門、精肉部門等からなる一層で構成されていたが、複数のグループは階層状に組み合わされて構成されたものとしても良い。例えば、店舗別のグループ分けと、各店舗における部門別のグループ分けと、を階層状に組み合わせて、図7(a)に示されるようにレイアウト配置することとしても良い。これによって、まずは、図7(b)に示されるように、店舗別にカードを切り離して各店舗に配布することができ、配布された各店舗で部門別にカードを切り離して部門別に仕分けし、配布された各部門でカードを個別に切り離して商品棚に掲示することができる。各店舗別の切り離し、及び各部門別の切り離しを、その都度行うことができるので、途中で仕分け間違いしたり、紛失したりする等、印字後の仕分けミスの発生を防止して作業の効率化を図ることができる。なお、図7では、各グループ間の区切りで改行する例について説明したが、各階層に応じて、上記変形例1で述べた改列、改頁を組み合わせることとしても良い。
【0042】
(上記実施形態の変形例4)
上記実施形態では、印字用紙の端(例えば行末)まで個別印字データをレイアウト配置することとしていたが、図8の上方に示されるように、用紙の半分以上が空白(矢印表示)部分となって、用紙を無駄遣いすることになる場合がある。そこで、改行又は改列位置の変更により、マトリックス印字データが印字用紙の長尺方向の2分の1以下に収まるように、かつ使用する印字用紙の枚数が増えないように印字可能であるか否かを、印字データ作成装置3によって判別し、印字可能と判断した場合には、当該改行又は改列位置の変更をしてレイアウト配置し、図8の下方に示されるようなレイアウト配置としても良い。例えば、印字用紙がB4サイズである場合に、改行位置を変更して印字用紙の長尺方向の2分の1を空白部分として残せれば、これを切り離してB5サイズの印字用紙として再利用できる。これにより、紙の使用量を少なく抑えることができる。
【0043】
(上記実施形態の変形例5)
上記実施形態では、POPや棚札等の商品関連情報カードに印字される商品関連情報を、商品関連情報データベースから取得することとしたが、オペレーターが印字データ作成装置3に備えられる入力部35でマニュアル入力することとしても良い。しかし、マニュアル入力される商品関連情報がオペレーターによって、以下のように異なることがある。例えば、「カシミヤ」、「キャンデー」、「コンピューター」、「ソファー」と入力されるべきところが、それぞれ「カシミア」、「キャンディー」、「コンピュータ」、「ソファ」のように、微妙に異なる表現で入力されていたり、全角(半角)で印字されるべき文字が半角入力(全角入力)されていたりすることがある。また、同じオペレーターが入力する場合でも、上記同様に微妙な表現の違いや全角入力と半角入力の混在が生じ得る。このように、商品関連情報を表す文字列の内容が異なると、POPや棚札自体のデザインの統一性が損なわれる。
【0044】
そこで、予め、変換用の文字列テーブルを作成しておき、それに従って、データ編集時に入力した文字列を自動的に修正し、統一するようにしても良い。また、上記のような商品名等の文字列だけでなく、例えば、医薬品効能・効果を標榜する表示(例えば「脂肪を落とす」「老化防止・ボケ防止滋養強壮サプリ」)、健康保持増進効果に対する誇大表示(例えば「余剰カロリーを吸着、ゲル化し、腸への吸収を抑制」)等、法律上表示することが認められていない表現が入力された場合には、代替使用できる表現を提示して、その中から選択させるようにするようにしても良い。その他、「遺伝子組み換え原料不使用」のように、使用原料等の状況によって判断が異なる場合には表示可否の判断ができないため、「この表示に問題がないか確認してください」、「この表示は使用できません」というメッセージで注意を促すようにしても良い。
【0045】
(上記実施形態の変形例6)
上記実施形態では、商品関連情報データベースから商品関連情報を取得した後に、オペレーターが印字レイアウト等を選択して、個別印字データを生成することとしたが、商品関連情報カードに関する種類(1:POP、2:棚札、3:シール)、サイズ(1:A4横、2:A4縦、3:B5横、4:B5縦)、色(0:白、1:赤、2:黄、3:青)、付加タイトル(0:無地、1:毎日この価格、2:お買い得品)等の条件の組み合わせを事前に設定しておき、商品関連情報データベースから商品関連情報を取り込みながら、それに応じたレイアウトの割り当てを自動的に行うようにしても良い。具体的には、組み合わせに使用する条件項目、及び割り当てる条件値をテーブルに記憶しておき、情報の取り込み中に情報内容とテーブルに登録した条件値と照合して、条件に合うレイアウトを自動的に割り当てる。これにより、商品関連情報の取り込み終了後、すぐに商品関連情報カードを印字発行することができ、データ編集の手間を省けるとともに、編集入力ミスを防止することができる。
【0046】
(上記実施形態のその他の変形例)
上記実施形態及び変形例1では、商品関連情報カードの個別印字データをマトリックス状にレイアウト配置する際に、グループ間の区切りで改行又は改列しておくことによって、グループ間の区切りで印字用紙を直線的に切り離し可能としたが、これに限らず、段組状のレイアウトを採用することによって直線的に切り離し可能としても良い。また、上記実施形態では、印字データ作成装置3として、印字データ作成プログラムを記録部37に記憶されるパーソナルコンピュータを使用したが、これに限らず、いわゆる専用機を採用しても良く、さらに印字装置4に一体的に組み込まれるものであっても良い。その他、本発明の印字データ作成装置並びにそれを備える印字装置、印字データ作成方法、及び印字データ作成プログラムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係る印字データ作成装置が組み込まれる印字システム全体の構成を示すブロック図。
【図2】商品関連情報カードの一例を示す図。
【図3】商品関連情報カードの個別印字データ作成に使用される商品関連情報データベースを示す図。
【図4】本実施形態に係る印字データ作成装置で作成されるマトリックス印字データの一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る印字データ作成装置で作成されるマトリックス印字データの変形例を示す図。
【図6】本実施形態に係る印字データ作成装置で作成されるマトリックス印字データの別の変形例を示す図。
【図7】本実施形態に係る印字データ作成装置で作成されるマトリックス印字データのさらに別の変形例を示す図。
【図8】本実施形態に係る印字データ作成装置で作成されるマトリックス印字データの作成方法で、紙の使用量を減らす方法について説明する図。
【図9】従来技術を説明する図。
【符号の説明】
【0048】
1 本部サーバ
2 店舗サーバ
3 印字データ作成装置
4 印字装置
34 制御部
35 入力部
36 表示部
37 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品関連情報が印字される複数枚の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成装置であって、
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置するレイアウト配置手段と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成手段と、を備えることを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印字データ作成装置であって、
前記所定の複数グループは、階層状に組み合わされていることを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印字データ作成装置であって、
前記マトリックス印字データは、前記所定の複数グループ間の区切りを、印字内容によって表示することを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印字データ作成装置であって、
前記区切りを表示する印字内容は、前記レイアウト配置における各グループの先頭位置に挿入されるグループ識別表示であることを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の印字データ作成装置であって、
前記レイアウト配置において、前記改行、改列又は改頁により生じる空白部分には、所定の表示が挿入されることを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の印字データ作成装置であって、
前記改行又は改列位置の変更により、前記マトリックス印字データが前記所定用紙の長尺方向の2分の1以下に収まるように印字可能であるか否かを判別し、印字可能であると判別した場合には、前記改行又は改列位置の変更をしてレイアウト配置することを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項7】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成装置であって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置するレイアウト配置手段と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成手段と、を備えることを特徴とする印字データ作成装置。
【請求項8】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすように印字する印字装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載の印字データ作成装置を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項9】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成方法であって、
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持するステップと、
保持した前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置するステップと、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成するステップと、を備えることを特徴とする印字データ作成方法。
【請求項10】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成方法であって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持するステップと、
前記保持手段により保持された前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置するステップと、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成するステップと、を備えることを特徴とする印字データ作成方法。
【請求項11】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成プログラムであって、
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する処理と、
保持した前記個別印字データを、前記所定の複数グループ順に、前記マトリックスをなす行又は列に沿って、かつ、グループ間の区切りで改行、改列又は改頁して、レイアウト配置する処理と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する処理と、を実行させることを特徴とする印字データ作成プログラム。
【請求項12】
商品関連情報が印字される複数の商品関連情報カードを所定用紙にまとめて、複数行及び複数列のマトリックスをなすようにレイアウト配置して印字するためのマトリックス印字データを作成する印字データ作成プログラムであって
前記複数枚の商品関連情報カードの各々を印字するための個別印字データを保持する処理と、
保持した前記個別印字データを、所定の複数グループ順に、かつ、グループ間の区切りで前記所定用紙を直線的に切り離し可能となるように、レイアウト配置する処理と、
前記個別印字データを、前記レイアウト配置で印字するためのマトリックス印字データを作成する処理と、を実行させることを特徴とする印字データ作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−120000(P2008−120000A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307971(P2006−307971)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】