説明

印字用カセット

【課題】薄膜の被印字媒体を使用しても排出時の走行性や貼付時の取扱等に支障を来さない構成を有した印字テープが形成される印字用カセットを提供すること。
【解決手段】印字用カセットで形成される印字テープ205は、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213とで構成されている。第2小巻テープ213は、第2基材252の一面側に第2粘着剤層251が形成されている。また、第1小巻テープ211は、被印字媒体233の印字面211Aの裏面側に第1粘着剤層232が形成されるとともに、その第1粘着剤層232に第1基材231が貼付されている。そして、被印字媒体233の印字面211Aと第2粘着剤層251とが重ね合わさることにより、第1小巻テープ211が第2小巻テープ213に貼り付けられ、印字テープ205となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタータイプの印字テープ(以下、「ノンラミネートテープ」という。)を作成するための印字用カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、印字用カセットが装着されたテープ印字装置を用いることによって、文字等が印字された印字テープを製作することができるが、製作できる印字テープの一種類として、レセプタシートとセパレータシートとが粘着剤により貼り付けられた「ノンラミネートテープ」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−58211号公報(第6−7頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の「ノンラミネートテープ」は、レセプタシートを構成するベースフィルムの厚みが38μm以上あるため、印字された文字等を強調しようとして、レセプタシートを透明にしその存在を欺瞞しようとしても、被着体に貼り付けられればレセプタシートの輪郭が視認されやすかった。
また、被着体の曲面に貼り付けると、レセプタシートを構成するベースフィルムの厚みによる弾力性等が要因となって、被着体の曲面から次第に剥がれてくることがあった。
【0004】
従って、レセプタシートを構成するベースフィルムを薄くすることが望まれるが、単に薄くしただけでは、かえって、印字用カセット内のベースフィルムの走行性や被着体に貼り付る際の印字テープの取り扱い等に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、薄膜の被印字媒体を使用しても排出時の走行性や貼付時の取扱等に支障を来さない構成を有した印字テープが形成される印字用カセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、第1小巻テープと第2小巻テープテープとを収納するとともに、印字位置を設けた印字装置に装着される印字用カセットであって、前記第1小巻テープは、第1基材と、被印字媒体と、前記第1基材と前記被印字媒体との間に介在した第1粘着剤で形成される第1粘着剤層と、を備える一方、前記第2小巻テープは、第2基材と、前記第2基材に塗布した第2粘着剤で形成される第2粘着剤層と、を備え、前記被印字媒体は、前記第1粘着剤層が粘着する面の裏面側を印字面とし、前記第2粘着剤層と前記被印字媒体との接着力が前記第1粘着剤層と前記被印字媒体との接着力よりも小さいこと、を特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する印字用カセットであって、前記被印字媒体の印字面側に感熱発色剤が塗布されていること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載する印字用カセットであって、インク面を有するインクリボンを収納し、前記インクリボンのインク面と前記被印字媒体の印字面とが前記印字装置の印字位置で対向すること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する印字用カセットであって、前記第2基材の幅と前記被印字媒体の幅とが異なること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載する印字用カセットであって、前記第2基材は透明であること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載する印字用カセットであって、前記第2基材は有色又は有柄であること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、薄膜テープとインクリボンとアプリケーションテープとがそれぞれ個別に巻回されるとともに印字装置に装着される印字用カセットであって、前記アプリケーションテープは、基材である取扱補助フィルムと、前記取扱補助フィルムの一面側に塗布されるとともに前記薄膜テープから剥離可能に貼り付けるための第1粘着剤で形成された第1粘着剤層と、を備える一方、前記薄膜テープは、前記インクリボンのインクが転写される印字面及び前記第1粘着剤層の貼付対象面を一面側に併存する薄膜ベースフィルムと、前記薄膜ベースフィルムの他面側に貼り付けられた剥離シートと、前記薄膜ベースフィルムと前記剥離シートの間に塗布されるとともに第2粘着剤で形成された第2粘着剤層と、を備え、前記薄膜テープと前記アプリケーションテープとが前記第1粘着剤層を介して貼り付けられた状態で前記印字装置から排出されることによって、前記薄膜ベースフィルムを被着体に貼り付けることができる印字テープが形成されること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載する印字用カセットであって、前記薄膜テープの幅と前記アプリケーションテープの幅とが異なること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、請求項7又は請求項8に記載する印字用カセットであって、前記取扱補助フィルムが透明であること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る発明は、請求項9に記載する印字用カセットであって、前記取扱補助フィルムが有色であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、請求項1乃至請求項6に係る発明の印字用カセットでは、被印字媒体は、第1粘着剤層を介して第1基材に貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1基材の厚みにより腰のある状態を確保できるので、本発明の印字用カセット内での走行性を確保することができる。
【0017】
また、被印字媒体を被着体に接着させる際は、被印字媒体に第2基材が貼り付けられた状態にあり、少なくとも第2基材の厚みにより腰のある状態を確保できるので、被印字媒体がどんなに薄くても、被印字媒体を被着体に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0018】
尚、請求項1に係る発明の印字用カセットでは、印字装置に装着されることによって、第1小巻テープと第2小巻テープで構成される印字テープを印字装置から排出させることが可能となる。この点、印字装置から排出される印字テープについては、被印字媒体の印字面に第2粘着剤層を介して第2基材が貼り付けられた状態になっている。そして、被印字媒体から第1基材を剥がし、露出させた第1粘着剤層を被着体に接着させた状態で、被印字媒体に第2粘着剤層を介して貼り付けられた第2基材を被印字媒体から剥がすと、第2基材とともに第2粘着剤層が被印字媒体から剥離し、印字面が露出した状態をもって被印字媒体が第1粘着剤層を介して被着体に貼り付けられるので、「ノンラミネートテープ」を被着体に貼り付けることができる。
【0019】
また、本発明の印字用カセットには、例えば、請求項2に係る発明の感熱タイプのものと、請求項3に係る発明のサーマルタイプのものとがある。
【0020】
一方、請求項7乃至請求項10に係る発明の印字用カセットでは、印字装置に装着されることによって、印字テープを印字装置から排出させることが可能となる。そして、印字装置から排出される印字テープについては、アプリケーションテープに貼り付けられた薄膜テープから剥離シートを剥がし、露出させた薄膜テープの第2粘着剤層を被着体に接着させた状態で、アプリケーションテープを剥がすと、薄膜ベースフィルムがインクとともに被着体に残存し、インクリボンのインクが転写された印字面が存在する一面側が露出した状態をもって薄膜ベースフィルムが第2粘着剤層を介して被着体に貼り付けられるので、「ノンラミネートテープ」を被着体に貼り付けることができる。
【0021】
また、薄膜ベースフィルムは、第2粘着剤層を介して剥離シートに貼り付けられた状態にあり、少なくとも剥離シートの厚みにより腰のある状態を確保できるので、本発明の印字用カセット内での走行性を確保することができる。
【0022】
また、「ノンラミネートテープ」を被着体に接着させる際は、薄膜テープにアプリケーションテープが貼り付けられた状態にあり、少なくともアプリケーションテープの厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ノンラミネートテープ」を構成する薄膜ベースフィルムがどんなに薄くても、「ノンラミネートテープ」を被着体に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る印字用カセットについて、本発明を具体化した第1実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。図2は、印字用カセットの斜視図である。図2に示すように、第1実施形態の印字用カセット1は、上カセットケース2と下カセットケース3を有しており、テープ排出部4から印字テープ5が排出される。尚、符号6は、インクリボンである。インクリボン6の幅は、印字テープ5の幅より大きい。
【0024】
また、図3(a)は、上カセットケース2(図2参照)を除いて示す印字用カセット1の平面図である。図3(a)において、印字用カセット1の下カセットケース3内には、第2小巻テープ13が巻回されたテープスプール12や、第1小巻テープ11が巻回されたフィルムスプール14、インクリボン6が巻回されたリボン供給スプール15、リボン巻取スプール16が、それぞれ上カセットケース2(図2参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0025】
この点、第1小巻テープ11は、シート厚が約70μmのポリエチレンテレフタレートのシート(以下、「PETシート」という)からなる第1基材(取扱補助フィルム)と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ラミネートフィルム)とが積層されており、さらに、第1基材と被印字媒体との間においては、第1粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第1小巻テープ11は、その被印字媒体側を内側にしてフィルムスプール14に巻回されており、このように巻回された第1小巻テープ11では、フィルムスプール14に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール14に巻回された第1小巻テープ11は、下カセットケース3に立設された案内ピン17から回転可能な案内コロ18を経て、下カセットケース3に形成された腕部19まで案内され、更に、腕部19からサーマルヘッド配置部20の外側で露出された後、案内部材21、送りローラ22を経てテープ排出部4から印字用カセット1の外部に排出される。
【0026】
また、インクリボン6は、インク塗布側の面を内側にしてリボン供給スプール15に巻回されており、このようにリボン供給スプール15に巻回されたインクリボン6は、腕部19からサーマルヘッド配置部20の外側で露出され、そのインク塗布面と被印字媒体の一面(側)とが重ね合わされるように案内された後に、案内部材21の外側に沿って案内されることにより第1小巻テープ11の印字面から離れ、リボン巻取スプール16に巻き取られる。
【0027】
尚、第1実施形態の印字用カセット1では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH1がサーマルヘッド配置部20に存在する。そして、第1小巻テープ11とインクリボン6は、サーマルヘッドH1とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP1に挟まれる。
【0028】
一方、第2小巻テープ13は、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、第2小巻テープ13は、その第2基材の側を外側にしてテープスプール12に巻回されており、このように巻回された第2小巻テープ13は、送りローラ22により、その第2粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ11の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ11が貼り付けられ、テープ排出部4から印字用カセット1の外部に排出される。
【0029】
これにより、印字用カセット1のテープ排出部4からは、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13とで構成された印字テープ5が排出される。尚、図4に、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13とインクリボン6とが下カセットケース3上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0030】
また、図1に、印字テープ5を図3(a)の線A1−A1で切断した断面図を示す。図1に示すように、印字テープ5は、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13で構成されている。この点、第1小巻テープ11は、上述したように、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材31と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体33とが積層されており、さらに、第1基材31と被印字媒体33の他面(側)との間においては、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層32が塗布形成されている。また、第2小巻テープ13は、上述したように、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)52に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層51が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、インク41が付着した第1小巻テープ11の印字面11Aと第2粘着剤層51とが重ね合わさることにより、第2小巻テープ13が第1小巻テープ11に貼り付けられ、印字テープ5となる。
【0031】
さらに、印字テープ5は、第2基材52を剥がすことにより露出する第2粘着剤層51の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第1基材31をゆっくり剥がすと、図5に示すように、被印字媒体33をその印字面11A上に熱転写されたインク41とともに、第2小巻テープ13の第2粘着剤51を介して、被着体61に貼付させることができる。
【0032】
ここで、図1と図5では、被印字媒体33と第2粘着剤層51は、インク41の厚みにより浮いたように見えるが、実際は、インク41の厚みは薄いため、両者は直接粘着している。
【0033】
但し、上述したようにして、印字面11A上にインク41が熱転写された被印字媒体33を第1基材31に貼付させるには、第1粘着剤層32を形成する第1粘着剤として、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、一時的に貼り付けておき、最終的には剥がされる部分なので、弱い粘着力のものが使用される。
【0034】
一方、第2粘着剤層51を形成する粘着剤としては、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、被着体61に応じた粘着力のものが使用される。
【0035】
尚、印字用カセット1は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされて印字テープ5が製作されるものであるが、テープ印字装置のカセット装着部には、印字用カセット1の排出部4から排出された印字テープ5を切断するための図示しないカッタ装置(切断刃を備えている)が配設されている。ここに、図2などに基づき説明した印字用カセット1の構成及びかかる印字用カセット1が装着されて印字テープ5が製作されるテープ印字装置の構成は公知であるので、印字用カセット1やテープ印字装置で印字テープ5を製作する際の詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、印字テープ5の取り扱いについて図6に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された第1実施形態の印字用カセット1の排出部4から排出された印字テープ5がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図6(a)に示すように、第1小巻テープ11(第1基材31・第1粘着剤層32・被印字媒体33)と第2小巻テープ13(第2粘着剤層51・第2基材52)で構成された帯状の印字テープ5が製作される。そして、図6(b)に示すように、第2小巻テープ13の第2基材52を剥がして第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を露出させる。さらに、図6(c)に示すように、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を被着体61にくっつける。
【0037】
そして、図6(d)に示すように、第1基材31を被着体61からゆっくり剥がす。このとき、第1基材31とともに第1粘着剤層32も剥がれ、もって、被印字媒体33のみを残すことができるので、図6(e)に示すように、インク41が熱転写された被印字媒体33が、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51によって、被着体61にくっついた状態になる。このインク41は、テープ印字装置によって、インクリボン6(図3(a)等参照)から第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図2等参照)に熱転写されたものである。
【0038】
以上詳細に説明したように、第1実施形態の印字用カセット1は、テープ印字装置のカセット装着部に装着されることによって、印字テープ5をテープ印字装置から排出させることが可能となる。
そして、テープ印字装置から排出される印字テープ5については、テープ印字装置のカッタ装置で切断した後、第1小巻テープ11に貼り付けられた第2小巻テープ13から第2基材52を剥がし(図6(b)参照)、露出させた第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を被着体61に接着させた状態で(図6(c)参照)、第1基材31をゆっくり剥がすと(図6(d)参照)、第1基材31とともに第1粘着剤層32が剥がれる一方で被印字媒体33がインク41とともに被着体61に残存し、図5に示すように、インク41が熱転写されている印字面11Aを裏側に有する被印字媒体33が、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を介して、被着体61に貼り付けられるので、「ラミネートテープ」を被着体61に貼り付けることができる(図6(e)参照)。
【0039】
また、被印字媒体13は、第1粘着剤層32を介して第1基材31に貼り付けられることによって構成された第1小巻テープ11の形態をもって(図1参照)、図3(a)に示すように、第1実施形態の印字用カセット1内でフィルムスプール14に巻回された状態から第2小巻テープ13とその第2粘着剤層51を介して貼り付けられた印字テープ5の状態になってテープ排出部4から排出されることから、被印字媒体33が薄くても、第1実施形態の印字用カセット1内での走行性を確保することができる。
特に、第1実施形態では、被印字媒体33よりも第1基材31が厚いことから、被印字媒体33が薄くても、第1実施形態の印字用カセット1内における第1小巻テープ11の走行性を確保することができる。
【0040】
また、被着体61に接着させる際は、図6(a)(b)に示すように、第2小巻テープ13に第1小巻テープ11が貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1小巻テープ11の厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ラミネートテープ」を構成する被印字媒体33がどんなに薄くても、図6に示すようにして「ラミネートテープ」を被着体61に貼り付ける作業が行い易い。
特に、第1実施形態では、被印字媒体33よりも第1基材31が厚いことから、被印字媒体33がどんなに薄くても、第1基材31を剥がし易い。
【0041】
尚、第1基材31を被印字媒体33に貼り付けている第1粘着剤層32は、上述したように、第1基材31と被印字媒体33との間において、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって形成されている。この点、第1粘着剤は、第1基材31と被印字媒体33との間の全域に充填されていてもよいが、第1粘着剤を所定パターンで塗布して、均一に分散させてもよい。
【0042】
図18は、第1粘着剤層32を塗布形成する第1粘着剤の塗布パターン例を示した図である。図18(a)では、第1基材13に対して点状の第1粘着剤を間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層32を水玉模様のように塗布形成した例を示している。図18(b)では、第1基材31に対して線状の第1粘着剤を斜めなどの角度を付けて間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層32を格子模様のように塗布形成した例を示している。図18(c)では、第1基材31に対して線状の第1粘着剤を幅方向に間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層32を縞模様のように塗布形成した例を示している。図18(d)では、第1基材31に対して線状の第1粘着剤を長手方向に間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層32を縞模様のように塗布形成した例を示している。
【0043】
すなわち、第1実施形態の印字用カセット1を使用して印字装置で製作される印字テープ5については、上述したように、被印字媒体33は、第1粘着剤層32を介して第1基材31に貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1基材31の厚みにより腰のある状態を確保できるので、第1実施形態の印字用カセット1内での走行性を確保することができる。この点、第1粘着剤層32を形成する第1粘着剤を、例えば、図18(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散させると、全面的に塗布した場合と比べ、第1粘着剤層32を形成する第1粘着剤が、被印字媒体33と第1基材31の間からはみ出しにくくなる。よって、第1実施形態の印字用カセット1内における被印字媒体33の走行性が一層に安定する。
【0044】
また、上述したように、印字テープ5(すなわち、被印字媒体33)を被着体61に接着させる際は、被印字媒体33に第1基材31が第1粘着剤層32を介して貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1基材31の厚みにより腰のある状態を確保できるので、被印字媒体33がどんなに薄くても、被印字媒体33を被着体61に確実に貼り付ける作業が可能となる(図6(a)(b)(c)参照)。この点、第1粘着剤層32を形成する第1粘着剤が、例えば、図18(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散されていると、被印字媒体33を第1基材31とともに被着体61に貼り付けた状態にあっても、被印字媒体33から第1基材31を剥がすきっかけを作りやすく、その後も、被印字媒体33から第1基材31を剥がしやすい(図6(d)参照)。
【0045】
また、被印字媒体33が、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を介して、被着体61に貼り付けられた際には、被印字媒体33と第2小巻テープ13の総厚みが約30μmと薄いため、被印字媒体33が無色透明であればその輪郭を確認しにくく、被印字媒体33上のインク41(印字内容)を目立たせることができる。また、被印字媒体33と第2小巻テープ13の総重量も軽いため、被着体61が、例えば、CDやDVDなどの回転物であっても、その回転バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0046】
また、被着体61の曲面部分に貼り付けた場合でも、被印字媒体33が10μmと薄いため、被着体61の曲面部分から次第に剥がれることがない。この効果は、被印字媒体33の厚みが30μm程度あっても実現可能である。
【0047】
また、図5に示すように、インク41が熱転写されている印字面11Aは、被印字媒体33の裏側にあり、すなわち、被印字媒体33によってラミネートされているので、「ラミネートテープ」の特徴である耐摩擦性も備えている。
【0048】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態の印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5については、例えば、図7の平面図で示すように、第1基材31の幅を被印字媒体33の幅より大きくしてもよい。逆に、図8の平面図で示すように、第1基材31の幅を被印字媒体33の幅より小さくしてもよい。これらの場合には、いずれも、第1基材31の幅と被印字媒体33の幅が異なることから、第1基材31が見分けやすく、また、第1基材31を剥がす際に便宜である。
この点は、図示はしないが、第2小巻テープ13の第2基材52の幅を大きくした場合も同様である。
【0049】
また、第1基材31の幅が被印字媒体33の幅と同じ印字テープ5であっても、図9の平面図に示すように、第1基材31であることを示す旨の文字・模様等(例えば、図9では、「アプリケーションフィルム」の文字)を第1基材31自身に予め印刷しておけば、第1基材31の存在が強調され、第1基材31を剥がす際に便宜である。このとき、第1基材31に予め印刷された文字・模様等によって、印字テープ5の上下を示唆すれば、印字テープ5を被着体61(図6等参照)に接着させる際に便宜である。
【0050】
また、図12の斜視図に示すように、印字テープ5を構成する第2小巻テープ13の第2基材52に予めハーフカット71を施しておけば、第2小巻テープ13の第2基材52を剥がす際に便宜である。さらに、同様にして、図13の斜視図に示すように、第1基材31に予めハーフカット81を施しておけば、第1基材31を剥がす際に便宜である。
【0051】
尚、図14乃至図17において、第2基材52に予め施されるハーフカット71の様々な態様を示す。図14(a)(b)では、第2基材52の幅方向に複数のハーフカット71を施した例を示し、図14(c)(d)では、第2基材52の長手方向に複数のハーフカット71を施した例を示している。図15(a)(b)(c)では、第2基材52に直線状のハーフカット71を施した例を示している。図16(a)(b)(c)では、第2基材52に曲線状のハーフカット71を施した例を示している。図17(a)(b)(c)では、第2基材52の幅方向と長手方向のハーフカット71を組み合わせて施した例を示している。
【0052】
すなわち、第1実施形態の印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5については、上述したように、被印字媒体33に第2粘着剤層51を介して第2基材52が貼り付けられた状態になっている(図6(a)参照)。そして、被印字媒体33を被着体61に貼り付けるため、被印字媒体33から第2基材52の一部をハーフカット71に沿って剥がせば(図6(b)、図12参照)、第2粘着剤層51の一部が露出するので、被印字媒体33の一部を第2粘着剤層51の一部を介して被着体61に貼り付けることができる(図6(c)、図12参照)。
【0053】
このとき、第2基材52の残部は被印字媒体33に貼り付いた状態のままであり、第2基材52の残部の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体33がどんなに薄くても、被印字媒体33の一部を皺が入ることなく被着体61に確実に貼り付ける作業が可能となる。さらに、その後は、被印字媒体33から第2基材52の残部を剥がせば、第2粘着剤層51の残部が露出するので、被印字媒体33の残部を第2粘着剤層51の残部を介して被着体61に貼り付けることができる。このとき、被着体61に貼り付けられた被印字媒体33の一部によって張りのある状態を確保できるので、被印字媒33がどんなに薄くても、被印字媒体33の残部を皺が入ることなく被着体61に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0054】
すなわち、被印字媒体33から第2基材52を一部ずつハーフカット71に沿って剥がすことを繰り返すことによって、被印字媒体33を一部ずつ被着体61に貼り付けることができるので、被印字媒体33を皺が入ることなく被着体61に確実に貼り付ける作業が容易となる。
【0055】
さらに、このとき、第1基材31は被印字媒体33に貼り付いた状態にあり(図6(b)、図12参照)、第1基材31の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体33がどんなに薄くても、被印字媒体33を皺が入ることなく被着体61に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0056】
さらに、その後は、第1基材31を、ハーフカット81によって、被印字媒体33から容易に剥がすことが可能である(図13参照)。
【0057】
尚、図14乃至図17に示された、第2基材52に予め施されるハーフカット71の様々な態様は、第1基材31に予め施されるハーフカット81の態様としてもよい。
【0058】
また、第1実施形態の印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5においては、第1基材31が無色透明であれば、第1小巻テープ11の印字面11A(図1等参照)に熱転写されたインク41を視認することができ、印字テープ5の上下を確認することができるので、印字テープ5を被着体61に接着させる際に便宜である。また、第1基材31が有色透明であれば、第1小巻テープ11の印字面11A(図1等参照)に熱転写されたインク41に加え、第1基材31の存在までも視認することができるので、印字テープ5を被着体61に接着させる際や第1基材31を剥がす際に便宜である。
【0059】
一方、第1基材31が非透明であれば、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)に熱転写されたインク41を視認することができない。
すなわち、第1実施形態の印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5については、上述したように、被印字媒体33に第1粘着剤層32を介して第1基材31が貼り付けられた状態になっている。従って、第1基材31が非透明であれば、上述したように、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)に熱転写されたインク41を視認することができないので、隠蔽性を持たせることができる。よって、第1基材31を介して被印字媒体33を視認することは不可能であり、被印字媒体33上のインク41(印字内容)を隠蔽することができるので、被印字媒体33の印字内容に対するセキュリティ効果が発揮される。
【0060】
もっとも、被印字媒体33の印字内容を視認することができなければ、印字テープ5を被着体61に接着させる際に不便である。従って、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材13又は第2基材52に予め設けられていれば便宜である。図10は、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)の上下方向を示した目印(矢印)が第1基材31に予め設けられている例を示した図である。この矢印は、その指す方向が上方向を示すが、下方向を示すようにしてもよい。また、この矢印を、第2基材52に予め設けてもよい。図11は、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)の左右方向を示した目印(「→R」「L←」)が第2基材52に予め設けられている例を示した図である。「→R」の目印は、その指す方向が右方向を示す。「L←」の目印は、その指す方向が左方向を示す。また、これらの目印を、第1基材31に予め設けてもよい。
【0061】
このようにして、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材31又は第2基材52に予め設けられていれば、被印字媒体33(の印字内容)を視認することが不可能であっても、その目印を手がかりにすれば、被印字媒体33の上下方向又は左右方向を間違えることなく、印字テープ5(被印字媒体33)を被着体61に貼り付けることができる。
【0062】
また、第1実施形態の印字用カセット1は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、図3(a)に示すように、サーマルヘッド配置部20に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH1とそれに対向するプラテンP1によって、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)に印字がなされる。その際には、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図1等参照)がインクリボン6のインク面を介して、テープ印字装置のサーマルヘッドH1に対向する(図2、図3(a)参照)。このときの状態において図3(a)の線F1−F1で切断した図を図3(b)に示す。図3(b)に示すように、第1小巻テープ11の被印字媒体33は、インクリボン6に被われるので、テープ印字装置のサーマルヘッドH1に対して隠れた状態にある。
【0063】
また、インクリボン6の幅は、第1小巻テープ11の幅より大きいことから、印字時にインクリボン6がその幅方向にずれても、第1小巻テープ11の被印字媒体33がインクリボン6によってテープ印字装置のサーマルヘッドH1から隠れている状態が維持される。よって、テープ印字装置のサーマルヘッドH1によって発生する印字時の熱は、インクリボン6を経て第1小巻テープ11の被印字媒体33に伝わるため、第1小巻テープ11の被印字媒体33に直接伝わらない。そのため、第1小巻テープ11の被印字媒体33は、熱による悪影響を受けにくい状態で印字がなされるため、印字品質が良好で見栄えが良い。
【0064】
また、第1実施形態の印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5は、テープ印字装置のサーマルヘッドH1とインクリボン6によって印字されるサーマルタイプのものであったが、インクリボン6が不要な感熱タイプのものであっても、上述した様々な効果(印字時の熱による悪影響をインクリボン6によって受けにくくする効果を除く)を得ることができる。そこで、以下は、サーマルタイプの印字テープ5との違いを中心にして、感熱タイプの印字テープ5がテープ印字装置で製作される場合を第1実施形態の印字用カセット1に応用させながら説明する。
【0065】
図20は、印字用カセットの斜視図である。図20に示すように、第1実施形態の印字用カセット1は、上カセットケース2と下カセットケース3を有しており、テープ排出部4から印字テープ5が排出される。尚、図1に示すインクリボン6は存在しない。
【0066】
また、図21は、上カセットケース2(図20参照)を除いて示す印字用カセット1の平面図である。図21において、印字用カセット1の下カセットケース3内には、第2小巻テープ13が巻回されたテープスプール12や、第1小巻テープ11が巻回されたフィルムスプール14、リボン供給スプール15、リボン巻取スプール16が、それぞれ上カセットケース2(図20参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。尚、リボン供給スプール15やリボン巻取スプール16にインクリボン6は存在しない。
【0067】
この点、第1小巻テープ11は、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材(取扱補助フィルム)と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ラミネートフィルム)とが積層されており、さらに、第1基材と被印字媒体との間においては、第1粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第1小巻テープ11は、その被印字媒体側を内側にしてフィルムスプール14に巻回されており、このように巻回された第1小巻テープ11では、フィルムスプール14に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール14に巻回された第1小巻テープ11は、下カセットケース3に立設された案内ピン17から回転可能な案内コロ18を経て、下カセットケース3に形成された腕部19まで案内され、更に、腕部19からサーマルヘッド配置部20の外側で露出された後、案内部材21、送りローラ22を経てテープ排出部4から印字用カセット1の外部に排出される。
【0068】
尚、第1実施形態の印字用カセット1では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH1がサーマルヘッド配置部20に存在する。そして、第1小巻テープ11は、サーマルヘッドH1とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP1に挟まれる。
【0069】
一方、第2小巻テープ13は、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、第2小巻テープ13は、その第2基材の側を外側にしてテープスプール12に巻回されており、このように巻回された第2小巻テープ13は、送りローラ22により、その第2粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ11の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ11が貼り付けられ、テープ排出部4から印字用カセット1の外部に排出される。
【0070】
これにより、印字用カセット1のテープ排出部4からは、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13とで構成された印字テープ5が排出される。尚、図22に、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13とが下カセットケース3上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0071】
また、図19に、印字テープ5を図21の線A2−A2で切断した断面図を示す。図19に示すように、印字テープ5は、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13で構成されている。この点、第1小巻テープ11は、上述したように、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材31と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体33とが積層されており、さらに、第1基材31と被印字媒体33の他面(側)との間においては、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層32が塗布形成されている。
【0072】
この点、被印字媒体33の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ11の印字面11Aを構成する。
【0073】
そして、第1実施形態の印字用カセット1が、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、サーマルヘッド配置部20に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH1によって、第1小巻テープ11(の被印字媒体33)の印字面11A(図19等参照)に塗布された感熱発色剤を変色させることにより、印字がなされる。
【0074】
また、第2小巻テープ13は、上述したように、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)52に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層51が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、インク41が付着した第1小巻テープ11の印字面11Aと第2粘着剤層51とが重ね合わさることにより、第2小巻テープ13が第1小巻テープ11に貼り付けられ、印字テープ5となる。
【0075】
さらに、印字テープ5は、第2基材52を剥がすことにより露出する第2粘着剤層51の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第1基材31をゆっくり剥がすと、図23に示すように、被印字媒体33を、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を介して、被着体61に貼付させることができる。
【0076】
また、第1実施形態の印字用カセット1では、第1基材31と被印字媒体33を第1粘着剤層32を介して貼り付けることによって第1小巻テープ11を構成してるが、被印字媒体33のみによって第1小巻テープ11を構成してもよい。図24は、被印字媒体33のみによって構成した第1小巻テープ11を使用して製作された印字テープ5の断面を示した図である。
【0077】
すなわち、図24に示すように、印字テープ5は、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13で構成されている。この点、第1小巻テープ11は、上述したように、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体33のみからなる。また、第2小巻テープ13は、上述したように、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)52に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層51が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、インク41が付着した第1小巻テープ11の印字面11Aと第2粘着剤層51とが重ね合わさることにより、第2小巻テープ13が第1小巻テープ11に貼り付けられ、印字テープ5となる。
【0078】
ここで、図24では、被印字媒体33と第2粘着剤層51は、インク41の厚みにより浮いたように見えるが、実際は、インク41の厚みは薄いため、両者は直接粘着している。
【0079】
次に、その印字テープ5の取り扱いについて図25に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された第1実施形態の印字用カセット1の排出部4から排出された印字テープ5がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図25(a)に示すように、第1小巻テープ11(被印字媒体33)と第2小巻テープ13(第2粘着剤層51・第2基材52)で構成された帯状の印字テープ5が製作される。そして、図25(b)に示すように、第2小巻テープ13の第2基材52を剥がして第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を露出させる。さらに、図25(c)に示すように、第2小巻テープ13の第2粘着剤層51を被着体61にくっつける。
【0080】
このとき、図26の斜視図に示すように、印字テープ5を構成する第2小巻テープ13の第2基材52に予めハーフカット71を施しておけば、第2小巻テープ13の第2基材52を剥がす際に便宜である。そして、第2基材52に予め施されるハーフカット71は、上述した図14乃至図17に示す様々な態様であってもよく、この場合でも、ハーフカット71が発揮する上述した効果を得ることができる。
【0081】
尚、被印字媒体33のみによって構成した第1小巻テープ11を使用して製作された印字テープ5は、サーマルタイプのものだけでなく、感熱タイプのものであってもよい。図27は、そのような感熱タイプの印字テープ5の断面を示した図である。
【0082】
すなわち、図27に示すように、感熱タイプの印字テープ5は、第1小巻テープ11と第2小巻テープ13で構成されている。この点、第1小巻テープ11は、上述したように、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体33のみからなる。この点、被印字媒体33の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ11の印字面11Aを構成する。また、第2小巻テープ13は、上述したように、厚みが約53μmの第2基材(剥離シート)52に対し、第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層51が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。そして、第1小巻テープ11の印字面11Aと第2粘着剤層51とが重ね合わさることにより、第2小巻テープ13が第1小巻テープ11に貼り付けられ、感熱タイプの印字テープ5となる。
【0083】
また、第1実施形態では、印字用カセット1を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ5について説明したが、印字用カセット1がセットされたテープ印字装置を用いて製作されることが不可能なシート状の印字テープ(幅広のテープ状のものも含む)であっても、上述した様々な効果(印字用カセット1内で奏する効果を除く)を得ることができる。また、本実施形態では、インクリボン6の幅は印字テープ5の幅より大きいが、インクリボン6の幅と印字テープ5の幅が同じであってもよい。
【0084】
尚、被印字媒体33の厚みは、2.5μm〜30μm程度が望ましい。
【0085】
以下、本発明に係る印字用カセットについて、本発明を具体化した第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。図29は、印字用カセットの斜視図である。図29に示すように、第2実施形態の印字用カセット101は、上カセットケース102と下カセットケース103を有しており、テープ排出部104から印字テープ105が排出される。尚、符号106は、インクリボンである。インクリボン106の幅は、印字テープ105の幅より大きい。
【0086】
また、図30(a)は、上カセットケース102(図29参照)を除いて示す印字用カセット101の平面図である。図30(a)において、印字用カセット101の下カセットケース103内には、第3小巻テープ113が巻回されたテープスプール112や、第1小巻テープ111が巻回されたフィルムスプール114、インクリボン106が巻回されたリボン供給スプール115、リボン巻取スプール116が、それぞれ上カセットケース102(図29参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0087】
この点、第1小巻テープ111は、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材(取扱補助フィルム)と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ラミネートフィルム)とが積層されており、さらに、第1基材と被印字媒体との間においては、第1粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第1小巻テープ111は、その被印字媒体側を内側にしてフィルムスプール114に巻回されており、このように巻回された第1小巻テープ111では、フィルムスプール114に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール114に巻回された第1小巻テープ111は、下カセットケース103に立設された案内ピン117から回転可能な案内コロ118を経て、下カセットケース103に形成された腕部119まで案内され、更に、腕部119からサーマルヘッド配置部120の外側で露出された後、案内部材121、送りローラ122を経てテープ排出部104から印字用カセット101の外部に排出される。
【0088】
また、インクリボン106は、インク塗布側の面を内側にしてリボン供給スプール115に巻回されており、このようにリボン供給スプール115に巻回されたインクリボン106は、腕部119からサーマルヘッド配置部120の外側で露出され、そのインク塗布面と被印字媒体の一面(側)とが重ね合わされるように案内された後に、案内部材121の外側に沿って案内されることにより第1小巻テープ111の印字面から離れ、リボン巻取スプール116に巻き取られる。
【0089】
尚、第2実施形態の印字用カセット101では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH2がサーマルヘッド配置部120に存在する。そして、第1小巻テープ111とインクリボン106は、サーマルヘッドH2とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP2に挟まれる。
【0090】
一方、第3小巻テープ113は、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材(ベースフィルム)の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層に対して厚みが約53μmの第4基材(剥離シート)が貼付されている。そして、第3小巻テープ113は、その第4基材の側を外側にしてテープスプール112に巻回されており、このように巻回された第3小巻テープ113は、送りローラ122により、その第3粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ111の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ111が貼り付けられ、テープ排出部104から印字用カセット101の外部に排出される。
【0091】
これにより、印字用カセット101のテープ排出部104からは、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113とで構成された印字テープ105が排出される。尚、図31に、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113とインクリボン106とが下カセットケース103上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0092】
また、図28に、印字テープ105を図30(a)の線B1−B1で切断した断面図を示す。図28に示すように、印字テープ105は、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113で構成されている。この点、第1小巻テープ111は、上述したように、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材131と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体133とが積層されており、さらに、第1基材131と被印字媒体133の他面(側)との間においては、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層132が塗布形成されている。また、第3小巻テープ113は、上述したように、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材152の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層151が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材152の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層153が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層153に対して厚みが約53μmの第4基材154が貼付されている。そして、インク141が付着した第1小巻テープ111の印字面111Aと第3粘着剤層151とが重ね合わさることにより、第3小巻テープ113が第1小巻テープ111に貼り付けられ、印字テープ105となる。
【0093】
さらに、印字テープ105は、第4基材154を剥がすことにより露出する第4粘着剤層153の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第1基材131をゆっくり剥がすと、図32に示すように、被印字媒体133をその印字面111A上に熱転写されたインク141とともに、第3小巻テープ113の第3粘着剤151・第3基材152・第4粘着剤層153を介して、被着体161に貼付させることができる。
【0094】
ここで、図28と図32では、被印字媒体133と第3粘着剤層151は、インク141の厚みにより浮いたように見えるが、実際は、インク141の厚みは薄いため、両者は直接粘着している。
【0095】
但し、上述したようにして、印字面111A上にインク141が熱転写された被印字媒体133を第1基材131に貼付させるには、第1粘着剤層132を形成する第1粘着剤として、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、一時的に貼り付けておき、最終的には剥がされる部分なので、弱い粘着力のものが使用される。
【0096】
一方、第3粘着剤層151及び第4粘着剤層153を形成する粘着剤としては、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、特に、第4粘着剤層153を形成する粘着剤については、被着体161に応じた粘着力のものが使用される。
【0097】
尚、印字用カセット101は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされて印字テープ105が製作されるものであるが、テープ印字装置のカセット装着部には、印字用カセット101の排出部104から排出された印字テープ105を切断するための図示しないカッタ装置(切断刃を備えている)が配設されている。ここに、図29などに基づき説明した印字用カセット101の構成及びかかる印字用カセット101が装着されて印字テープ105が製作されるテープ印字装置の構成は公知であるので、印字用カセット101やテープ印字装置で印字テープ105を製作する際の詳細な説明は省略する。
【0098】
次に、印字テープ105の取り扱いについて図33に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された第2実施形態の印字用カセット101の排出部104から排出された印字テープ105がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図33(a)に示すように、第1小巻テープ111(第1基材131・第1粘着剤層132・被印字媒体133)と第3小巻テープ113(第3粘着剤層151・第3基材152・第4粘着剤層153・第4基材154)で構成された帯状の印字テープ105が製作される。そして、図33(b)に示すように、第3小巻テープ113の第4基材154を剥がして第3小巻テープ113の第4粘着剤層153を露出させる。さらに、図33(c)に示すように、第3小巻テープ113の第4粘着剤層153を被着体161にくっつける。
【0099】
そして、図33(d)に示すように、第1基材131を被着体161からゆっくり剥がす。このとき、第1基材131とともに第1粘着剤層132も剥がれ、もって、被印字媒体133のみを残すことができるので、図33(e)に示すように、インク141が熱転写された被印字媒体133が、第3小巻テープ113の第3粘着剤層151・第3基材152・第4粘着剤層153によって、被着体161にくっついた状態になる。このインク141は、テープ印字装置によって、インクリボン106(図30(a)等参照)から第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)に熱転写されたものである。
【0100】
以上詳細に説明したように、第2実施形態の印字用カセット101は、テープ印字装置のカセット装着部に装着されることによって、印字テープ105をテープ印字装置から排出させることが可能となる。
そして、テープ印字装置から排出される印字テープ105については、テープ印字装置のカッタ装置で切断した後、第1小巻テープ111に貼り付けられた第3小巻テープ113から第4基材154を剥がし(図33(b)参照)、露出させた第3小巻テープ113の第4粘着剤層153を被着体161に接着させた状態で(図33(c)参照)、第1基材131をゆっくり剥がすと(図33(d)参照)、第1基材131とともに第1粘着剤層132が剥がれる一方で被印字媒体133がインク141とともに被着体161に残存し、図32に示すように、インク141が熱転写されている印字面111Aを裏側に有する被印字媒体133が、第3小巻テープ113の第3粘着剤層151・第3基材152・第4粘着剤層153を介して、被着体161に貼り付けられるので、「ラミネートテープ」を被着体161に貼り付けることができる(図33(e)参照)。
【0101】
また、被印字媒体133は、第1粘着剤層132を介して第1基材131に貼り付けられることによって構成された第1小巻テープ111の形態をもって(図28参照)、図30(a)に示すように、第2実施形態の印字用カセット101内でフィルムスプール114に巻回された状態から第3小巻テープ113とその第3粘着剤層151を介して貼り付けられた印字テープ105の状態になってテープ排出部104から排出されることから、被印字媒体133が薄くても、第2実施形態の印字用カセット101内での走行性を確保することができる。
特に、第2実施形態では、被印字媒体133よりも第1基材131が厚いことから、被印字媒体133が薄くても、第2実施形態の印字用カセット101内における第1小巻テープ111の走行性を確保することができる。
【0102】
また、被着体161に接着させる際は、図33(a)(b)に示すように、第3小巻テープ113に第1小巻テープ111が貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1小巻テープ111の厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ラミネートテープ」を構成する被印字媒体133がどんなに薄くても、図33に示すようにして「ラミネートテープ」を被着体161に貼り付ける作業が行い易い。
特に、第2実施形態では、被印字媒体133よりも第1基材131が厚いことから、被印字媒体133がどんなに薄くても、第1基材131を剥がし易い。
【0103】
尚、第1基材131を被印字媒体133に貼り付けている第1粘着剤層132は、上述したように、第1基材131と被印字媒体133との間において、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって形成されている。この点、第1粘着剤は、第1基材131と被印字媒体133との間の全域に充填されていてもよいが、第1粘着剤を所定パターンで塗布して、均一に分散させてもよい。
【0104】
図45は、第1粘着剤層132を塗布形成する第1粘着剤の塗布パターン例を示した図である。図45(a)では、第1基材131に対して点状の第1粘着剤を間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層132を水玉模様のように塗布形成した例を示している。図45(b)では、第1基材131に対して線状の第1粘着剤を斜めなどの角度を付けて間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層132を格子模様のように塗布形成した例を示している。図45(c)では、第1基材131に対して線状の第1粘着剤を幅方向に間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層132を縞模様のように塗布形成した例を示している。図45(d)では、第1基材131に対して線状の第1粘着剤を長手方向に間欠(周期)的に塗布して第1粘着剤層132を縞模様のように塗布形成した例を示している。
【0105】
すなわち、第2実施形態の印字用カセット101を使用して印字装置で製作される印字テープ105については、上述したように、被印字媒体133は、第1粘着剤層132を介して第1基材131に貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1基材131の厚みにより腰のある状態を確保できるので、第2実施形態の印字用カセット101内での走行性を確保することができる。この点、第1粘着剤層132を形成する第1粘着剤を、例えば、図45(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散させると、全面的に塗布した場合と比べ、第1粘着剤層132を形成する第1粘着剤が、被印字媒体133と第1基材131の間からはみ出しにくくなる。よって、第2実施形態の印字用カセット101内における被印字媒体133の走行性が一層に安定する。
【0106】
また、上述したように、印字テープ105(すなわち、被印字媒体133)を被着体161に接着させる際は、被印字媒体133に第1基材131が第1粘着剤層132を介して貼り付けられた状態にあり、少なくとも第1基材131の厚みにより腰のある状態を確保できるので、被印字媒体133がどんなに薄くても、被印字媒体133を被着体161に確実に貼り付ける作業が可能となる(図33(a)(b)(c)参照)。この点、第1粘着剤層132を形成する第1粘着剤が、例えば、図45(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散されていると、被印字媒体133を第1基材131とともに被着体161に貼り付けた状態にあっても、被印字媒体133から第1基材131を剥がすきっかけを作りやすく、その後も、被印字媒体133から第1基材131を剥がしやすい(図33(d)参照)。
【0107】
また、被印字媒体133が、第3小巻テープ113の第3粘着剤層151・第3基材152・第4粘着剤層153を介して、被着体161に貼り付けられた際には、被印字媒体133と第3小巻テープ113の総厚みが約58μmと薄いため、被印字媒体133が無色透明であればその輪郭を確認しにくく、被印字媒体133上のインク141(印字内容)を目立たせることができる。また、被印字媒体133と第3小巻テープ113の総重量も軽いため、被着体161が、例えば、CDやDVDなどの回転物であっても、その回転バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0108】
また、被着体161の曲面部分に貼り付けた場合でも、被印字媒体133が10μmと薄いため、被着体161の曲面部分から次第に剥がれることがない。この効果は、被印字媒体133の厚みが30μm程度あっても実現可能である。
【0109】
また、図32に示すように、インク141が熱転写されている印字面111Aは、被印字媒体133の裏側にあり、すなわち、被印字媒体133によってラミネートされているので、「ラミネートテープ」の特徴である耐摩擦性も備えている。
【0110】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第2実施形態の印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105については、例えば、図34の平面図で示すように、第1基材131の幅を被印字媒体133の幅より大きくしてもよい。逆に、図35の平面図で示すように、第1基材131の幅を被印字媒体133の幅より小さくしてもよい。これらの場合には、いずれも、第1基材131の幅と被印字媒体133の幅が異なることから、第1基材131が見分けやすく、また、第1基材131を剥がす際に便宜である。
この点は、図示はしないが、第3小巻テープ113の第4基材154の幅を大きくした場合も同様である。
【0111】
また、第1基材131の幅が被印字媒体133の幅と同じ印字テープ105であっても、図36の平面図に示すように、第1基材131であることを示す旨の文字・模様等(例えば、図36では、「アプリケーションフィルム」の文字)を第1基材131自身に予め印刷しておけば、第1基材131の存在が強調され、第1基材131を剥がす際に便宜である。このとき、第1基材131に予め印刷された文字・模様等によって、印字テープ105の上下を示唆すれば、印字テープ105を被着体161(図33等参照)に接着させる際に便宜である。
【0112】
また、図39の斜視図に示すように、印字テープ105を構成する第3小巻テープ113の第4基材154に予めハーフカット171を施しておけば、第3小巻テープ113の第4基材154を剥がす際に便宜である。さらに、同様にして、図40の斜視図に示すように、第1基材131に予めハーフカット181を施しておけば、第1基材131を剥がす際に便宜である。
【0113】
尚、図41乃至図44において、第4基材154に予め施されるハーフカット171の様々な態様を示す。図41(a)(b)では、第4基材154の幅方向に複数のハーフカット171を施した例を示し、図41(c)(d)では、第4基材154の長手方向に複数のハーフカット171を施した例を示している。図42(a)(b)(c)では、第4基材154に直線状のハーフカット171を施した例を示している。図43(a)(b)(c)では、第4基材154に曲線状のハーフカット171を施した例を示している。図44(a)(b)(c)では、第4基材154の幅方向と長手方向のハーフカット171を組み合わせて施した例を示している。
【0114】
すなわち、第2実施形態の印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105については、上述したように、被印字媒体133に第3粘着剤層151を介して第3基材152が貼り付けられた状態になっており、被印字媒体133と第3基材152が一体になっている(図33(a)参照)。そして、被印字媒体133を被着体161に貼り付けるため、第3基材152に第4粘着剤層153を介して貼り付けられた第4基材154の一部をハーフカット171に沿って第3基材152から剥がせば(図33(b)、図39参照)、第4粘着剤層153の一部が露出するので、第3基材152と一体となった被印字媒体133の一部を第4粘着剤層153の一部を介して被着体161に貼り付けることができる(図33(c)、図39参照)。
【0115】
このとき、第4基材154の残部は第3基材152を介して被印字媒体133に貼り付いた状態のままであり、第4基材154の残部の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体133がどんなに薄くても、被印字媒体133の一部を皺が入ることなく被着体161に確実に貼り付ける作業が可能となる。さらに、その後は、被印字媒体133と一体となった第3基材152から第4基材154の残部を剥がせば、第4粘着剤層153の残部が露出するので、第3基材152と一体となった被印字媒体133の残部を第4粘着剤層154の残部を介して被着体161に貼り付けることができる。このとき、被着体161に貼り付けられた被印字媒体133の一部によって張りのある状態を確保できるので、被印字媒133がどんなに薄くても、被印字媒体133の残部を皺が入ることなく被着体161に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0116】
すなわち、被印字媒体133と一体となった第3基材152から第4基材154を一部ずつハーフカット171に沿って剥がすことを繰り返すことによって、被印字媒体133を一部ずつ被着体161に貼り付けることができるので、被印字媒体133を皺が入ることなく被着体161に確実に貼り付ける作業が容易となる。
【0117】
さらに、このとき、第1基材131は被印字媒体133に貼り付いた状態にあり(図33(b)、図39参照)、第1基材131の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体133がどんなに薄くても、被印字媒体133を皺が入ることなく被着体161に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0118】
さらに、その後は、第1基材131を、ハーフカット181によって、被印字媒体133から容易に剥がすことが可能である(図40参照)。
【0119】
尚、図41乃至図44に示された、第4基材154に予め施されるハーフカット171の様々な態様は、第1基材131に予め施されるハーフカット181の態様としてもよい。
【0120】
また、第2実施形態の印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105においては、第1基材131が無色透明であれば、第1小巻テープ111の印字面111A(図28等参照)に熱転写されたインク141を視認することができ、印字テープ105の上下を確認することができるので、印字テープ105を被着体161に接着させる際に便宜である。また、第1基材131が有色透明であれば、第1小巻テープ111の印字面111A(図28等参照)に熱転写されたインク141に加え、第1基材131の存在までも視認することができるので、印字テープ105を被着体161に接着させる際や第1基材131を剥がす際に便宜である。
【0121】
一方、第1基材131が非透明であれば、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)に熱転写されたインク141を視認することができない。
すなわち、第2実施形態の印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105については、上述したように、被印字媒体133に第1粘着剤層132を介して第1基材131が貼り付けられた状態になっている。従って、第1基材131が非透明であれば、上述したように、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)に熱転写されたインク141を視認することができないので、隠蔽性を持たせることができる。よって、第1基材131を介して被印字媒体133を視認することは不可能であり、被印字媒体133上のインク141(印字内容)を隠蔽することができるので、被印字媒体133の印字内容に対するセキュリティ効果が発揮される。
【0122】
もっとも、被印字媒体133の印字内容を視認することができなければ、印字テープ105を被着体161に接着させる際に不便である。従って、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材131又は第4基材154に予め設けられていれば便宜である。図37は、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)の上下方向を示した目印(矢印)が第1基材131に予め設けられている例を示した図である。この矢印は、その指す方向が上方向を示すが、下方向を示すようにしてもよい。また、この矢印を、第4基材154に予め設けてもよい。図38は、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)の左右方向を示した目印(「→R」「L←」)が第4基材154に予め設けられている例を示した図である。「→R」の目印は、その指す方向が右方向を示す。「L←」の目印は、その指す方向が左方向を示す。また、これらの目印を、第1基材131に予め設けてもよい。
【0123】
このようにして、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材131又は第4基材154に予め設けられていれば、被印字媒体133(の印字内容)を視認することが不可能であっても、その目印を手がかりにすれば、被印字媒体133の上下方向又は左右方向を間違えることなく、印字テープ105(被印字媒体133)を被着体161に貼り付けることができる。
【0124】
また、第2実施形態の印字用カセット101は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、図30(a)に示すように、サーマルヘッド配置部120に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH2とそれに対向するプラテンP2によって、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)に印字がなされる。その際には、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)がインクリボン106のインク面を介して、テープ印字装置のサーマルヘッドH2に対向する(図29、図30(a)参照)。このときの状態において図30(a)の線F2−F2で切断した図を図30(b)に示す。図30(b)に示すように、第1小巻テープ111の被印字媒体133は、インクリボン106に被われるので、テープ印字装置のサーマルヘッドH2に対して隠れた状態にある。
【0125】
また、インクリボン106の幅は、第1小巻テープ111の幅より大きいことから、印字時にインクリボン106がその幅方向にずれても、第1小巻テープ111の被印字媒体133がインクリボン106によってテープ印字装置のサーマルヘッドH2から隠れている状態が維持される。よって、テープ印字装置のサーマルヘッドH2によって発生する印字時の熱は、インクリボン106を経て第1小巻テープ111の被印字媒体133に伝わるため、第1小巻テープ111の被印字媒体133に直接伝わらない。そのため、第1小巻テープ111の被印字媒体133は、熱による悪影響を受けにくい状態で印字がなされるため、印字品質が良好で見栄えが良い。
【0126】
また、第2実施形態の印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105は、テープ印字装置のサーマルヘッドH2とインクリボン106によって印字されるサーマルタイプのものであったが、インクリボン106が不要な感熱タイプのものであっても、上述した様々な効果(印字時の熱による悪影響をインクリボン106によって受けにくくする効果を除く)を得ることができる。そこで、以下は、サーマルタイプの印字テープ105との違いを中心にして、感熱タイプの印字テープ105がテープ印字装置で製作される場合を第2実施形態の印字用カセット101に応用させながら説明する。
【0127】
図47は、印字用カセットの斜視図である。図47に示すように、第2実施形態の印字用カセット101は、上カセットケース102と下カセットケース103を有しており、テープ排出部104から印字テープ105が排出される。尚、図29に示すインクリボン106は存在しない。
【0128】
また、図48は、上カセットケース102(図47参照)を除いて示す印字用カセット101の平面図である。図48において、印字用カセット101の下カセットケース103内には、第3小巻テープ113が巻回されたテープスプール112や、第1小巻テープ111が巻回されたフィルムスプール114、リボン供給スプール115、リボン巻取スプール116が、それぞれ上カセットケース102(図47参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。尚、リボン供給スプール115やリボン巻取スプール116にインクリボン106は存在しない。
【0129】
この点、第1小巻テープ111は、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材(取扱補助フィルム)と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ラミネートフィルム)とが積層されており、さらに、第1基材と被印字媒体との間においては、第1粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第1小巻テープ111は、その被印字媒体側を内側にしてフィルムスプール114に巻回されており、このように巻回された第1小巻テープ111では、フィルムスプール114に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール114に巻回された第1小巻テープ111は、下カセットケース103に立設された案内ピン117から回転可能な案内コロ118を経て、下カセットケース103に形成された腕部119まで案内され、更に、腕部119からサーマルヘッド配置部120の外側で露出された後、案内部材121、送りローラ122を経てテープ排出部104から印字用カセット101の外部に排出される。
【0130】
尚、第2実施形態の印字用カセット101では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH2がサーマルヘッド配置部120に存在する。そして、第1小巻テープ111とインクリボン106は、サーマルヘッドH2とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP2に挟まれる。
【0131】
一方、第3小巻テープ113は、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材(ベースフィルム)の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層に対して厚みが約53μmの第4基材(剥離シート)が貼付されている。そして、第3小巻テープ113は、その第4基材の側を外側にしてテープスプール112に巻回されており、このように巻回された第3小巻テープ113は、送りローラ122により、その第3粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ111の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ111が貼り付けられ、テープ排出部104から印字用カセット101の外部に排出される。
【0132】
これにより、印字用カセット101のテープ排出部104からは、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113とで構成された印字テープ105が排出される。尚、図49に、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113とが下カセットケース103上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0133】
また、図46に、印字テープ105を図48の線B2−B2で切断した断面図を示す。図46に示すように、印字テープ105は、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113で構成されている。この点、第1小巻テープ111は、上述したように、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる第1基材131と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体133とが積層されており、さらに、第1基材131と被印字媒体133の他面(側)との間においては、第1粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層132が塗布形成されている。
【0134】
この点、被印字媒体133の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ111の印字面111Aを構成する。
【0135】
そして、第2実施形態の印字用カセット101が、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、サーマルヘッド配置部120に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH2によって、第1小巻テープ111(の被印字媒体133)の印字面111A(図28等参照)に塗布された感熱発色剤を変色させることにより、印字がなされる。
【0136】
また、第3小巻テープ113は、上述したように、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材152の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層151が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材152の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層153が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層153に対して厚みが約53μmの第4基材154が貼付されている。そして、第1小巻テープ111の印字面111Aと第3粘着剤層151とが重ね合わさることにより、第3小巻テープ113が第1小巻テープ111に貼り付けられ、印字テープ105となる。
【0137】
さらに、印字テープ105は、第4基材154を剥がすことにより露出する第4粘着剤層153の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第1基材131をゆっくり剥がすと、図50に示すように、被印字媒体133を、第3小巻テープ113の第3粘着剤151・第3基材152・第4粘着剤層153を介して、被着体161に貼付させることができる。
【0138】
また、第2実施形態の印字用カセット101では、第1基材131と被印字媒体133を第1粘着剤層132を介して貼り付けることによって第1小巻テープ111を構成してるが、被印字媒体133のみによって第1小巻テープ111を構成してもよい。図51は、被印字媒体133のみによって構成した第1小巻テープ111を使用して製作された印字テープ105の断面を示した図である。
【0139】
すなわち、図51に示すように、印字テープ105は、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113で構成されている。この点、第1小巻テープ111は、上述したように、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体133のみからなる。また、第3小巻テープ113は、上述したように、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材152の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層151が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材152の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層153が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層153に対して厚みが約53μmの第4基材154が貼付されている。そして、インク141が付着した第1小巻テープ111の印字面111Aと第3粘着剤層151とが重ね合わさることにより、第3小巻テープ113が第1小巻テープ111に貼り付けられ、印字テープ105となる。
【0140】
ここで、図51では、被印字媒体133と第3粘着剤層151は、インク141の厚みにより浮いたように見えるが、実際は、インク141の厚みは薄いため、両者は直接粘着している。
【0141】
次に、その印字テープ105の取り扱いについて図52に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された第2実施形態の印字用カセット101の排出部104から排出された印字テープ105がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図52(a)に示すように、第1小巻テープ111(被印字媒体133)と第3小巻テープ113(第3粘着剤層151・第3基材152・第4粘着剤層153・第4基材154)で構成された帯状の印字テープ105が製作される。そして、図52(b)に示すように、第3小巻テープ113の第4基材154を剥がして第3小巻テープ113の第4粘着剤層153を露出させる。さらに、図52(c)に示すように、第3小巻テープ113の第4粘着剤層153を被着体161にくっつける。
【0142】
このとき、図53の斜視図に示すように、印字テープ105を構成する第3小巻テープ113の第4基材154に予めハーフカット171を施しておけば、第3小巻テープ113の第4基材154を剥がす際に便宜である。そして、第4基材154に予め施されるハーフカット171は、上述した図41乃至図44に示す様々な態様であってもよく、この場合でも、ハーフカット171が発揮する上述した効果を得ることができる。
【0143】
尚、被印字媒体133のみによって構成した第1小巻テープ111を使用して製作された印字テープ105は、サーマルタイプのものだけでなく、感熱タイプのものであってもよい。図54は、そのような感熱タイプの印字テープ105の断面を示した図である。
【0144】
すなわち、図54に示すように、感熱タイプの印字テープ105は、第1小巻テープ111と第3小巻テープ113で構成されている。この点、第1小巻テープ111は、上述したように、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる被印字媒体133のみからなる。この点、被印字媒体133の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ111の印字面111Aを構成する。また、第3小巻テープ113は、上述したように、シート厚が約12μmの「PETシート」からなる第3基材152の一面側に第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層151が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、第3基材152の他面側に第4粘着剤が塗布されることによって第4粘着剤層153が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第4粘着剤層153に対して厚みが約53μmの第4基材154が貼付されている。そして、第1小巻テープ111の印字面111Aと第3粘着剤層151とが重ね合わさることにより、第3小巻テープ113が第1小巻テープ111に貼り付けられ、感熱タイプの印字テープ105となる。
【0145】
また、第2実施形態では、印字用カセット101を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ105について説明したが、印字用カセット101がセットされたテープ印字装置を用いて製作されることが不可能なシート状の印字テープ(幅広のテープ状のものも含む)であっても、上述した様々な効果(印字用カセット101内で奏する効果を除く)を得ることができる。また、本実施形態では、インクリボン106の幅は印字テープ105の幅より大きいが、インクリボン106の幅と印字テープ105の幅が同じであってもよい。
【0146】
尚、被印字媒体133の厚みは、2.5μm〜30μm程度が望ましい。
【0147】
以下、本発明に係る印字用カセットについて、本発明を具体化した第3実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。図56は、印字用カセットの斜視図である。図56に示すように、第3実施形態の印字用カセット201は、上カセットケース202と下カセットケース203を有しており、テープ排出部204から印字テープ205が排出される。尚、符号206は、インクリボンである。インクリボン206の幅は、印字テープ205の幅より大きい。
【0148】
また、図57(a)は、上カセットケース202(図56参照)を除いて示す印字用カセット201の平面図である。図57(a)において、印字用カセット201の下カセットケース203内には、第2小巻テープ213が巻回されたテープスプール212や、第1小巻テープ211が巻回されたフィルムスプール214、インクリボン206が巻回されたリボン供給スプール215、リボン巻取スプール216が、それぞれ上カセットケース202(図56参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0149】
この点、第1小巻テープ211は、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ベースフィルム)の他面側に粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層に剥離シートが貼付されており、フィルムスプール214に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール214に巻回された第1小巻テープ211は、下カセットケース3に立設された案内ピン217から回転可能な案内コロ218を経て、下カセットケース203に形成された腕部219まで案内され、更に、腕部219からサーマルヘッド配置部220の外側で露出された後、案内部材221、送りローラ222を経てテープ排出部204から印字用カセット201の外部に排出される。
【0150】
また、インクリボン206は、インク塗布側の面を内側にしてリボン供給スプール215に巻回されており、このようにリボン供給スプール215に巻回されたインクリボン206は、腕部219からサーマルヘッド配置部220の外側で露出され、そのインク塗布面と第1小巻テープ211の印字面とが重ね合わされるように案内された後に、案内部材221の外側に沿って案内されることにより第1小巻テープ211の印字面から離れ、リボン巻取スプール216に巻き取られる。
【0151】
尚、第3実施形態の印字用カセット201では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH3がサーマルヘッド配置部220に存在する。そして、第1小巻テープ211とインクリボン206は、サーマルヘッドH3とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP3に挟まれる。
【0152】
一方、第2小巻テープ213は、「PETシート」からなる第2基材(取扱補助フィルム)の一面側に第2粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第2粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第2小巻テープ213は、その第2基材側を外側にしてテープスプール212に巻回されており、このように巻回された第2小巻テープ213は、送りローラ222により、その第2粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ211の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ211が貼り付けられ、テープ排出部204から印字用カセット201の外部に排出される。従って、第1小巻テープ211の印字面は、第2小巻テープ213の第2粘着剤層の貼付対象面でもある。
【0153】
これにより、印字用カセット201のテープ排出部204からは、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213とで構成された印字テープ205が排出される。尚、図58に、第2小巻テープ213と第1小巻テープ211とインクリボン206とが下カセットケース203上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0154】
また、図55に、印字テープ205を図57(a)の線C1−C1で切断した断面図を示す。図55に示すように、印字テープ205は、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213とで構成されている。この点、第2小巻テープ213は、上述したように、PETシートからなる第2基材252の一面側に第2粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第2粘着剤層251が塗布形成されている。また、第1小巻テープ211は、上述したように、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体233の他面側に第1粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層232が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層233に第1基材231が貼付されている。そして、インク241が付着した第1小巻テープ211の(被印字媒体233の)印字面211Aと第2粘着剤層251とが重ね合わさることにより、第1小巻テープ211が第2小巻テープ213に貼り付けられ、印字テープ205となる。従って、第1小巻テープ211の(被印字媒体233の)印字面211Aは、第2小巻テープ213の第2粘着剤層251の貼付対象面でもある。
【0155】
さらに、印字テープ205は、第1基材231を剥がすことにより露出する第1粘着剤層232の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第2小巻テープ213をゆっくり剥がすと、図59に示すように、被印字媒体233をその印字面211A上に熱転写されたインク241とともに第1粘着剤層232を介して被着体261に貼付させることができる。
【0156】
ここで、図55では、被印字媒体233と第2粘着剤層251は、インク241の厚みにより浮いたように見えるが、実際は、インク241の厚みは薄いため、両者は直接粘着している。
【0157】
但し、上述したようにして、印字面211A上にインク241が熱転写された被印字媒体233を第2小巻テープ213に貼付させるには、第2粘着剤層251を形成する第2粘着剤として、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、一時的に貼り付けておき、最終的には剥がされる部分なので、弱い粘着力のものが使用される。
【0158】
一方、第1粘着剤層232を形成する粘着剤としては、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、被着体261に応じた粘着力のものが使用される。
【0159】
尚、印字用カセット201は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされて印字テープ205が製作されるものであるが、テープ印字装置のカセット装着部には、印字用カセット201の排出部204から排出された印字テープ205を切断するための図示しないカッタ装置(切断刃を備えている)が配設されている。ここに、図56などに基づき説明した印字用カセット201の構成及びかかる印字用カセット201が装着されて印字テープ205が製作されるテープ印字装置の構成は公知であるので、印字用カセット201やテープ印字装置で印字テープ205を製作する際の詳細な説明は省略する。
【0160】
次に、印字テープ205の取り扱いについて図60に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された本実施形態の印字用カセット201の排出部204から排出された印字テープ205がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図60(a)に示すように、第1小巻テープ211(第1基材231・第1粘着剤層232・被印字媒体233)と第2小巻テープ213(第2粘着剤層251・第2基材252)で構成された帯状の印字テープ205が製作される。そして、図60(b)に示すように、第1小巻テープ211の第1基材231を剥がして第1小巻テープ211の第1粘着剤層232を露出させる。さらに、図60(c)に示すように、第1小巻テープ211の第1粘着剤層232を被着体261にくっつける。
【0161】
そして、図60(d)に示すように、第2基材252を被着体261からゆっくり剥がす。このとき、第2基材252とともに第2粘着剤層251も剥がれ、もって、第2小巻テープ213のみを剥がすことができるので、図60(e)に示すように、インク241が熱転写された被印字媒体233が第1粘着剤層232によって被着体261にくっついた状態になる。このインク241は、テープ印字装置によって、インクリボン206(図57(a)等参照)から第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)に熱転写されたものである。
【0162】
以上詳細に説明したように、第3実施形態の印字用カセット201は、印字装置のカセット装着部に装着されることによって、印字テープ205を印字装置から排出させることが可能となる。
そして、印字装置から排出される印字テープ205については、テープ印字装置のカッタ装置で切断した後、第2小巻テープ213に貼り付けられた第1小巻テープ211から第1基材231を剥がし(図60(b)参照)、露出させた第1小巻テープ211の第1粘着剤層232を被着体261に接着させた状態で(図60(c)参照)、第2小巻テープ213をゆっくり剥がすと(図60(d)参照)、被印字媒体233がインク241とともに被着体261に残存し、図59に示すように、インク241が熱転写されている印字面211Aが存在する一面側が露出した状態の被印字媒体233が第1粘着剤層232を介して被着体261に貼り付けられるので、「ノンラミネートテープ」を被着体261に貼り付けることができる(図60(e)参照)。
【0163】
また、被印字媒体233は、第1粘着剤層232を介して第1基材231に貼り付けられることによって構成された第1小巻テープ211の形態をもって(図55参照)、図57(a)に示すように、第3実施形態の印字用カセット201内でフィルムスプール214に巻回された状態から第2小巻テープ213とその第2粘着剤層251を介して貼り付けられた印字テープ205の状態になってテープ排出部204から排出されることから、被印字媒体233が薄くても、第2実施形態の印字用カセット201内での走行性を確保することができる。
【0164】
また、被着体261に接着させる際は、図60(a)(b)に示すように、第1小巻テープ211に第2小巻テープ213が貼り付けられた状態にあり、少なくとも第2小巻テープ13の厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ノンラミネートテープ」を構成する被印字媒体233がどんなに薄くても、図60に示すようにして「ノンラミネートテープ」を被着体261に貼り付ける作業が行い易い。
この点、被着体261の接着面が曲面である場合には、その曲面に密着させるために、第2小巻テープ213を薄くして伸縮できるようにすべきであるが、上記貼付作業の行い易さの確保を考慮すれば、第2小巻テープ213の厚さは約30〜50μmであることが望ましい。
特に、第3実施形態では、被印字媒体233よりも第2基材252を厚くすれば、被印字媒体233がどんなに薄くても、第2基材252を剥がし易くすることができる。
【0165】
尚、第2基材252を被印字媒体233に貼り付けている第2粘着剤層251は、上述したように、第2基材252の一面側に対して、第2粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって形成されている。この点、第2粘着剤は、第2基材252の全面に塗布されていてもよいが、第2粘着剤を所定パターンで塗布して、均一に分散させてもよい。
【0166】
図73は、第2粘着剤層251を塗布形成する第2粘着剤の塗布パターン例を示した図である。図73(a)では、第2基材252に対して点状の第2粘着剤を間欠(周期)的に塗布して第2粘着剤層251を水玉模様のように塗布形成した例を示している。図73(b)では、第2基材252に対して線状の第2粘着剤を斜めなどの角度を付けて間欠(周期)的に塗布して第2粘着剤層251を格子模様のように塗布形成した例を示している。図73(c)では、第2基材252に対して線状の第2粘着剤を幅方向に間欠(周期)的に塗布して第2粘着剤層251を縞模様のように塗布形成した例を示している。図73(d)では、第2基材252に対して線状の第2粘着剤を長手方向に間欠(周期)的に塗布して第2粘着剤層251を縞模様のように塗布形成した例を示している。
【0167】
すなわち、第3実施形態の印字用カセット201を使用して印字装置で製作される印字テープ205については、上述したように、被印字媒体233は、第2粘着剤層251を介して第2基材252に貼り付けられた状態にあり、少なくとも第2基材252の厚みにより腰のある状態を確保できるので、第3実施形態の印字用カセット201内での走行性を確保することができる。この点、第2粘着剤層251を形成する第2粘着剤を、例えば、図73(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散させると、全面的に塗布した場合と比べ、第2粘着剤層251を形成する第2粘着剤が、被印字媒体233と第2基材252の間からはみ出しにくくなる。よって、第3実施形態の印字用カセット201内における被印字媒体233の走行性が一層に安定する。
【0168】
また、上述したように、印字テープ205(すなわち、被印字媒体233)を被着体261に接着させる際は、被印字媒体233に第2基材252が第2粘着剤層251を介して貼り付けられた状態にあり、少なくとも第2基材252の厚みにより腰のある状態を確保できるので、被印字媒体233がどんなに薄くても、被印字媒体233を被着体261に確実に貼り付ける作業が可能となる(図60(a)(b)(c)参照)。この点、第2粘着剤層251を形成する第2粘着剤が、例えば、図73(a)(b)(c)(d)に示すような所定パターンで均一に分散されていると、被印字媒体233を第2基材252とともに被着体2161に貼り付けた状態にあっても、被印字媒体233から第2基材252を剥がすきっかけを作りやすく、その後も、被印字媒体233から第2基材252を剥がしやすい(図60(d)参照)。
【0169】
また、被印字媒体233が第1粘着剤層232を介して被着体261に貼り付けられた際には、被印字媒体233と第1粘着剤層232の総厚みが約26〜31μmと薄いため、被印字媒体233が無色透明であればその輪郭を確認しにくく、被印字媒体233上のインク241(印字内容)を目立たせることができる。また、被印字媒体233と第1粘着剤層232の総重量も軽いため、被着体261が、例えば、CDやDVDなどの回転物であっても、その回転バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0170】
また、被着体261の曲面部分に貼り付けた場合でも、被印字媒体233が10〜15μmと薄いため、被着体261の曲面部分から次第に剥がれることがない。この効果は、被印字媒体233の厚みが30μm程度あっても実現可能である。
【0171】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第3実施形態の印字用カセット201を使用して印字装置で製作される印字テープ205については、例えば、図61の平面図で示すように、第2小巻テープ213の幅を第1小巻テープ211の幅より大きくしてもよい。また、図63の平面図で示すように、第2小巻テープ213の幅を第1小巻テープ211の第1基材231の幅より小さくしてもよく、さらに、この場合には、図62の平面図に示すように、第1小巻テープ211の被印字媒体233及び第1粘着剤層232の幅を第2小巻テープ213の幅より小さくしてもよい。これらの場合には、いずれも、第2小巻テープ213の幅と第1小巻テープ211の第1基材231の幅が異なることから、第2小巻テープ213と第1テープ211の第1基材231が見分けやすく、また、第2小巻テープ213や第1小巻テープ211の第1基材231を剥がす際に便宜である。
【0172】
また、図64の平面図に示すように、第2小巻テープ213の幅が第1小巻テープ211の幅と同じ印字テープ205であっても、第2小巻テープ213の第2基材252の表面にアプリケーションテープであることを示す旨の文字・模様等(例えば、図64では、「アプリケーションフィルム」の文字)を予め印刷しておけば、第2小巻テープ213の存在が強調され、第2小巻テープ213を剥がす際に便宜である。このとき、第2小巻テープ213に予め印刷された文字・模様等によって、印字テープ205の上下を示唆すれば、印字テープ205を被着体261(図60等参照)に接着させる際に便宜である。
【0173】
また、図67の斜視図に示すように、印字テープ205を構成する第1小巻テープ211の第1基材231に予めハーフカット271を施しておけば、第1小巻テープ211の第1基材231を剥がす際に便宜である。さらに、同様にして、図68の斜視図に示すように、第2小巻テープ213に予めハーフカット281を施しておけば、第2小巻テープ213を剥がす際に便宜である。
【0174】
尚、図69乃至図72において、第1基材231に予め施されるハーフカット271の様々な態様を示す。図69(a)(b)では、第1基材231の幅方向に複数のハーフカット271を施した例を示し、図69(c)(d)では、第1基材231の長手方向に複数のハーフカット271を施した例を示している。図70(a)(b)(c)では、第1基材231に直線状のハーフカット271を施した例を示している。図71(a)(b)(c)では、第1基材231に曲線状のハーフカット271を施した例を示している。図72(a)(b)(c)では、第1基材231の幅方向と長手方向のハーフカット271を組み合わせて施した例を示している。
【0175】
すなわち、第3実施形態の印字用カセット201を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ205については、上述したように、被印字媒体233に第1粘着剤層232を介して第1基材231が貼り付けられた状態になっており、被印字媒体233と第1基材231が一体になっている(図60(a)参照)。そして、被印字媒体233を被着体261に貼り付けるため、第1基材231の一部をハーフカット271に沿って被印字媒体233から剥がせば(図60(b)、図67参照)、第1粘着剤層232の一部が露出するので、被印字媒体233の一部を第1粘着剤層232の一部を介して被着体261に貼り付けることができる(図60(c)、図67参照)。
【0176】
このとき、第1基材231の残部は被印字媒体233に貼り付いた状態のままであり、第1基材231の残部の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体233がどんなに薄くても、被印字媒体233の一部を皺が入ることなく被着体261に確実に貼り付ける作業が可能となる。さらに、その後は、被印字媒体233から第1基材231の残部を剥がせば、第1粘着剤層232の残部が露出するので、被印字媒体233の残部を第1粘着剤層231の残部を介して被着体261に貼り付けることができる。このとき、被着体261に貼り付けられた被印字媒体233の一部によって張りのある状態を確保できるので、被印字媒233がどんなに薄くても、被印字媒体233の残部を皺が入ることなく被着体261に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0177】
すなわち、被印字媒体233から第1基材231を一部ずつハーフカット271に沿って剥がすことを繰り返すことによって、被印字媒体233を一部ずつ被着体261に貼り付けることができるので、被印字媒体233を皺が入ることなく被着体261に確実に貼り付ける作業が容易となる。
【0178】
さらに、このとき、第2基材252は被印字媒体233に貼り付いた状態にあり(図60(b)、図67参照)、第2基材252の剛性により腰のある状態を確保できるので、被印字媒体233がどんなに薄くても、被印字媒体233を皺が入ることなく被着体261に確実に貼り付ける作業が可能となる。
【0179】
さらに、その後は、第2基材252を、ハーフカット281によって、被印字媒体233から容易に剥がすことが可能である(図68参照)。
【0180】
尚、図41乃至図44に示された、第4基材154に予め施されるハーフカット171の様々な態様は、第1基材131に予め施されるハーフカット181の態様としてもよい。
【0181】
また、第3実施形態の印字用カセット201を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ205においては、第2小巻テープ213が無色透明であれば、第1小巻テープ211の印字面211A(図55等参照)に熱転写されたインク241を視認することができ、印字テープ205の上下を確認することができるので、印字テープ205を被着体261に接着させる際に便宜である。また、第2小巻テープ213が有色透明であれば、第1小巻テープ211の印字面211A(図55等参照)に熱転写されたインク241に加え、第2小巻テープ213の存在までも視認することができるので、印字テープ205を被着体261に接着させる際や第2小巻テープ213を剥がす際に便宜である。
【0182】
一方、第2基材252が非透明であれば、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)に熱転写されたインク241を視認することができない。
すなわち、第3実施形態の印字用カセット201を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ205については、上述したように、被印字媒体233に第2粘着剤層251を介して第2基材252が貼り付けられた状態になっている。従って、第2基材252が非透明であれば、上述したように、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)に熱転写されたインク241を視認することができないので、隠蔽性を持たせることができる。よって、第2基材252を介して被印字媒体233を視認することは不可能であり、被印字媒体233上のインク241(印字内容)を隠蔽することができるので、被印字媒体233の印字内容に対するセキュリティ効果が発揮される。
【0183】
もっとも、被印字媒体233の印字内容を視認することができなければ、印字テープ205を被着体261に接着させる際に不便である。従って、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材231又は第2基材252に予め設けられていれば便宜である。図65は、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)の上下方向を示した目印(矢印)が第2基材252に予め設けられている例を示した図である。この矢印は、その指す方向が上方向を示すが、下方向を示すようにしてもよい。また、この矢印を、第1基材231に予め設けてもよい。図66は、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)の左右方向を示した目印(「→R」「L←」)が第1基材231に予め設けられている例を示した図である。「→R」の目印は、その指す方向が右方向を示す。「L←」の目印は、その指す方向が左方向を示す。また、これらの目印を、第2基材252に予め設けてもよい。
【0184】
このようにして、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)の上下方向又は左右方向を示した目印が第1基材231又は第2基材252に予め設けられていれば、被印字媒体233(の印字内容)を視認することが不可能であっても、その目印を手がかりにすれば、被印字媒体233の上下方向又は左右方向を間違えることなく、印字テープ205(被印字媒体233)を被着体261に貼り付けることができる。
【0185】
また、第3実施形態の印字用カセット201は、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、図57(a)に示すように、サーマルヘッド配置部220に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH3とそれに対向するプラテンP3によって、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)に印字がなされる。その際には、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)がインクリボン206のインク面を介して、テープ印字装置のサーマルヘッドH3に対向する(図56、図57(a)参照)。このときの状態において図57(a)の線F3−F3で切断した図を図57(b)に示す。図57(b)に示すように、第1小巻テープ211の被印字媒体233は、インクリボン206に被われるので、テープ印字装置のサーマルヘッドに対して隠れた状態にある。
【0186】
また、インクリボン206の幅は、第1小巻テープ211の幅より大きいことから、印字時にインクリボン206がその幅方向にずれても、第1小巻テープ211の被印字媒体233がインクリボン206によってテープ印字装置のサーマルヘッドH3から隠れている状態が維持される。よって、テープ印字装置のサーマルヘッドH3によって発生する印字時の熱は、インクリボン206を経て第1小巻テープ211の被印字媒体233に伝わるため、第1小巻テープ211の被印字媒体233に直接伝わらない。そのため、第1小巻テープ211の被印字媒体233は、熱による悪影響を受けにくい状態で印字がなされるため、印字品質が良好で見栄えが良い。
【0187】
また、第3実施形態の印字用カセット201を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ205は、テープ印字装置のサーマルヘッドH3とインクリボン206によって印字されるサーマルタイプのものであったが、インクリボン206が不要な感熱タイプのものであっても、上述した様々な効果(印字時の熱による悪影響をインクリボン206によって受けにくくする効果を除く)を得ることができる。そこで、以下は、サーマルタイプの印字テープ205との違いを中心にして、感熱タイプの印字テープ205がテープ印字装置で製作される場合を第3実施形態の印字用カセット201に応用させながら説明する。
【0188】
図75は、印字用カセットの斜視図である。図75に示すように、第3実施形態の印字用カセット201は、上カセットケース202と下カセットケース203を有しており、テープ排出部204から印字テープ205が排出される。尚、図56に示すインクリボン206は存在しない。
【0189】
また、図76は、上カセットケース202(図75参照)を除いて示す印字用カセット201の平面図である。図76において、印字用カセット201の下カセットケース203内には、第2小巻テープ213が巻回されたテープスプール212や、第1小巻テープ211が巻回されたフィルムスプール214、リボン供給スプール215、リボン巻取スプール216が、それぞれ上カセットケース202(図75参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。尚、リボン供給スプール215やリボン巻取スプール216にインクリボン206は存在しない。
【0190】
この点、第1小巻テープ211は、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体(薄膜ベースフィルム)の他面側に粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層に剥離シートが貼付されており、フィルムスプール214に巻回された内側(被印字媒体の一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール214に巻回された第1小巻テープ211は、下カセットケース203に立設された案内ピン217から回転可能な案内コロ218を経て、下カセットケース203に形成された腕部219まで案内され、更に、腕部219からサーマルヘッド配置部220の外側で露出された後、案内部材221、送りローラ222を経てテープ排出部204から印字用カセット201の外部に排出される。
【0191】
尚、第3実施形態の印字用カセット201では、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、テープ印字装置のサーマルヘッドH3がサーマルヘッド配置部220に存在する。そして、第1小巻テープ211とインクリボン206は、サーマルヘッドH3とそれに対向するテープ印字装置のプラテンローラP3に挟まれる。
【0192】
一方、第2小巻テープ213は、「PETシート」からなる第2基材(取扱補助フィルム)の一面側に第2粘着剤(弱粘着剤)が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第2粘着剤層(弱粘着剤層)が塗布形成されている。そして、第2小巻テープ213は、その第2基材側を外側にしてテープスプール212に巻回されており、このように巻回された第2小巻テープ213は、送りローラ222により、その第2粘着剤層の塗布面と第1小巻テープ211の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ211が貼り付けられ、テープ排出部204から印字用カセット201の外部に排出される。従って、第1小巻テープ211の印字面は、第2小巻テープ213の第2粘着剤層の貼付対象面でもある。
【0193】
これにより、印字用カセット201のテープ排出部204からは、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213とで構成された印字テープ205が排出される。尚、図77に、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213とが下カセットケース203上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0194】
また、図74に、印字テープ205を図76の線C2−C2で切断した断面図を示す。図74に示すように、印字テープ205は、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213で構成されている。この点、第1小巻テープ211は、上述したように、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体233の他面側に第1粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層232が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層233に第1基材231が貼付されている。
【0195】
この点、被印字媒体233の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ211の印字面211Aを構成する。
【0196】
そして、第3実施形態の印字用カセット201が、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、サーマルヘッド配置部220に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドH3によって、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図55等参照)に塗布された感熱発色剤を変色させることにより、印字がなされる。
【0197】
また、第2小巻テープ213は、上述したように、PETシートからなる第2基材252の一面側に第2粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって第2粘着剤層251が塗布形成されている。そして、第1小巻テープ211の(被印字媒体233の)印字面211Aと第2粘着剤層251とが重ね合わさることにより、第1小巻テープ211が第2小巻テープ213に貼り付けられ、印字テープ205となる。従って、第1小巻テープ211の(被印字媒体233の)印字面211Aは、第2小巻テープ213の第2粘着剤層251の貼付対象面でもある。
【0198】
さらに、印字テープ205は、第1基材231を剥がすことにより露出する第1粘着剤層232の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、第2基材252をゆっくり剥がすと、図78に示すように、被印字媒体233を、第1粘着剤層232を介して、被着体261に貼付させることができる。
【0199】
また、第3実施形態の印字用カセット201では、第1小巻テープ211と第2小巻テープ213で印字テープ205を構成してるが、第1小巻テープ211のみによって印字テープ205を構成してもよい。図79は、第1小巻テープ211のみを使用して製作された印字テープ205の断面を示した図である。
【0200】
すなわち、図79に示すように、印字テープ205は、第1小巻テープ211のみで構成されている。この点、第1小巻テープ211は、上述したように、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体233の他面側に第1粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層232が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層233に第1基材231が貼付されている。そして、第1小巻テープ211の印字面211Aにインク241が熱転写されることにより、印字テープ205となる。
【0201】
次に、その印字テープ205の取り扱いについて図80に基づき説明する。
テープ印字装置のカセット装着部に装着された第3実施形態の印字用カセット201の排出部204から排出された印字テープ205がテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図80(a)に示すように、第1小巻テープ211(第1基材231・第1粘着剤層232・被印字媒体233)のみで構成された帯状の印字テープ205が製作される。そして、図80(b)に示すように、第1小巻テープ211の第1基材231を剥がして第1小巻テープ211の第1粘着剤層232を露出させる。さらに、図80(c)に示すように、第1小巻テープ211の第1粘着剤層232を被着体261にくっつける。
【0202】
このとき、図81の斜視図に示すように、印字テープ205を構成する第1小巻テープ211の第1基材231に予めハーフカット271を施しておけば、第1小巻テープ211の第1基材231を剥がす際に便宜である。そして、第1基材231に予め施されるハーフカット271は、上述した図69乃至図72に示す様々な態様であってもよく、この場合でも、ハーフカット271が発揮する上述した効果を得ることができる。
【0203】
尚、第1小巻テープ211のみで構成した第1小巻テープ211を使用して製作された印字テープ205は、サーマルタイプのものだけでなく、感熱タイプのものであってもよい。図82は、そのような感熱タイプの印字テープ205の断面を示した図である。
【0204】
すなわち、図82に示すように、感熱タイプの印字テープ205は、第1小巻テープ211のみで構成されている。この点、第1小巻テープ211は、上述したように、10〜15μmのウレタンシートからなる被印字媒体233の他面側に第1粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって第1粘着剤層232が塗布形成されるとともに、その第1粘着剤層233に第1基材231が貼付されている。この点、被印字媒体233の一面(側)には、感熱発色剤が塗布されている。これにより、第1小巻テープ211の印字面211Aを構成する。そして、第3実施形態の印字用カセット201が、テープ印字装置のカセット装着部にセットされると、サーマルヘッド配置部220に存在するようになるテープ印字装置のサーマルヘッドによって、第1小巻テープ211(の被印字媒体233)の印字面211A(図82等参照)に塗布された感熱発色剤を変色させることにより、印字がなされる。これにより、感熱タイプの印字テープ205となる。
【0205】
また、第3実施形態では、印字用カセット201を使用してテープ印字装置で製作される印字テープ205について説明したが、印字用カセット201がセットされたテープ印字装置を用いて製作されることが不可能なシート状の印字テープ(幅広のテープ状のものも含む)であっても、上述した様々な効果(印字用カセット201内で奏する効果を除く)を得ることができる。また、本実施形態では、インクリボン206の幅は印字テープ205の幅より大きいが、インクリボン206の幅と印字テープ205の幅が同じであってもよい。
【0206】
尚、被印字媒体233の厚みは、2.5μm〜30μm程度が望ましい。
【0207】
以下、本発明に係る印字用カセットについて、本発明を具体化した第4実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。図84は、印字用カセットの斜視図である。図84に示すように、第4実施形態の印字用カセット1001は、上カセットケース1002と下カセットケース1003を有しており、テープ排出部1004から印字テープ1005が排出される。尚、符号1006は、インクリボンである。
【0208】
また、図85は、上カセットケース1002(図84参照)を除いて示す印字用カセット1001の平面図である。図85において、印字用カセット1001の下カセットケース1003内には、両面粘着テープ1013が巻回されたテープスプール1012や、積層ラミネートテープ1011が巻回されたフィルムスプール1014、インクリボン1006が巻回されたリボン供給スプール1015、リボン巻取スプール1016が、それぞれ上カセットケース1002(図84参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0209】
この点、積層ラミネートテープ1011は、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる取扱補助フィルムと、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる薄膜ラミネートフィルムとが積層されており、さらに、取扱補助フィルムと薄膜ラミネートフィルムとの間においては、弱粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって弱粘着剤層が塗布形成されている。そして、積層ラミネートテープ1011は、その薄膜ラミネートフィルム側を外側にしてフィルムスプール1014に巻回されており、このように巻回された積層ラミネートテープ1011では、フィルムスプール1014に巻回された内側(薄膜ラミネートフィルムの一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール1014に巻回された積層ラミネートテープ1011は、下カセットケース1003に立設された案内ピン1017から回転可能な案内コロ1018を経て、下カセットケース1003に形成された腕部1019まで案内され、更に、腕部1019からサーマルヘッド配置部1020の外側で露出された後、案内部材1021、送りローラ1022を経てテープ排出部1004から印字用カセット1の外部に排出される。
【0210】
また、インクリボン1006は、インク塗布側の面を内側にしてリボン供給スプール1015に巻回されており、このようにリボン供給スプール1015に巻回されたインクリボン1006は、腕部1019からサーマルヘッド配置部1020の外側で露出され、そのインク塗布面と薄膜ラミネートフィルムの一面(側)とが重ね合わされるように案内された後に、案内部材1021の外側に沿って案内されることにより積層ラミネートテープ1011の印字面から離れ、リボン巻取スプール1016に巻き取られる。
【0211】
一方、両面粘着テープ1013は、シート厚が約12μmの「PETシート」からなるベースフィルムの一面側に第1粘着剤が塗布されることによって第1粘着剤層が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、ベースフィルムの他面側に第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第2粘着剤層に対して厚みが約53μmの剥離シートが貼付されている。そして、両面粘着テープ1013は、その剥離シートの側を外側にしてテープスプール1012に巻回されており、このように巻回された両面粘着テープ1013は、送りローラ1022により、その第1粘着剤層の塗布面と積層ラミネートテープ1011の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、積層ラミネートテープ1011が貼り付けられ、テープ排出部1004から印字用カセット1001の外部に排出される。
【0212】
これにより、印字用カセット1001のテープ排出部1004からは、積層ラミネートテープ1011と両面粘着テープ1013とで構成された印字テープ1005が排出される。尚、図86に、積層ラミネートテープ1011と両面粘着テープ1013とインクリボン1006とが下カセットケース1003上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0213】
また、図83に、印字テープ1005を図85の線D−Dで切断した断面図を示す。図83に示すように、印字テープ1005は、積層ラミネートテープ1011と両面粘着テープ1013で構成されている。この点、積層ラミネートテープ1011は、上述したように、シート厚が約70μmの「PETシート」からなる取扱補助フィルム1051と、シート厚が約10μmのウレタンシートからなる薄膜ラミネートフィルム1053とが積層されており、さらに、取扱補助フィルム1051と薄膜ラミネートフィルム1053の他面(側)との間においては、弱粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって弱粘着剤層1052が塗布形成されている。また、両面粘着テープ1013は、上述したように、シート厚が約12μmの「PETシート」からなるベースフィルム1032の一面側に第1粘着剤が塗布されることによって第1粘着剤層1031が約20μmの厚みをもって塗布形成されるとともに、ベースフィルム1032の他面側に第2粘着剤が塗布されることによって第2粘着剤層1033が約16μmの厚みをもって塗布形成され、さらに、その第2粘着剤層1033に対して厚みが約53μmの剥離シート1034が貼付されている。そして、インク1041が付着した積層ラミネートテープ1011の印字面1011Aと第1粘着剤層1031とが重ね合わさることにより、両面粘着テープ1013が積層ラミネートテープ1011に貼り付けられ、印字テープ1005となる。
【0214】
さらに、印字テープ1005は、剥離シート1034を剥がすことにより露出する第2粘着剤層1033の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、取扱補助フィルム1051をゆっくり剥がすと、図87に示すように、薄膜ラミネートフィルム1053をその印字面1011A上に熱転写されたインク1041とともに両面粘着テープ1013(の第2粘着剤層1033)を介して被着体1061に貼付させることができる。
【0215】
但し、上述したようにして、印字面1011A上にインク1041が熱転写された薄膜ラミネートフィルム1053を取扱補助フィルム1051に貼付させるには、弱粘着剤層1052を形成する弱粘着剤として、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、一時的に貼り付けておき、最終的には剥がされる部分なので、弱い粘着力のものが使用される。
【0216】
一方、第1粘着剤層1031及び第2粘着剤層1033を形成する粘着剤としては、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、特に、第2粘着剤層1033を形成する粘着剤については、被着体1061に応じた粘着力のものが使用される。
【0217】
尚、印字用カセット1001は、図示しないテープ印字装置のカセット装着部にセットされて印字テープ1005が製作されるものであるが、テープ印字装置のカセット装着部には、印字用カセット1001の排出部1004から排出された印字テープ1005を切断するための図示しないカッタ装置(切断刃を備えている)が配設されている。ここに、図84などに基づき説明した印字用カセット1001の構成及びかかる印字用カセット1001が装着されて印字テープ1005が製作されるテープ印字装置の構成は公知であるので、印字用カセット1001やテープ印字装置で印字テープ1005を製作する際の詳細な説明は省略する。
【0218】
次に、印字テープ1005の取り扱いについて図88に基づき説明する。
不図示のテープ印字装置のカセット装着部に装着された第4実施形態の印字用カセット1001の排出部1004から排出された印字テープ1005が不図示のテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図88(a)に示すように、積層ラミネートテープ1011(取扱補助フィルム1051・弱粘着剤層1052・薄膜ラミネートフィルム1053)と両面粘着テープ1013(第1粘着剤層1031・ベースフィルム1032・第2粘着剤層1033・剥離シート1034)で構成された帯状の印字テープ1005が製作される。そして、図88(b)に示すように、両面粘着テープ1013の剥離シート1034を剥がして両面粘着テープ1013の第2粘着剤層1033を露出させる。さらに、図88(c)に示すように、両面粘着テープ1013の第2粘着剤層1033を被着体1061にくっつける。
【0219】
そして、図88(d)に示すように、取扱補助フィルム1051を被着体1061からゆっくり剥がす。このとき、取扱補助フィルム1051とともに弱粘着剤層1052も剥がれ、もって、薄膜ラミネートフィルム1053のみを残すことができるので、図88(e)に示すように、インク1041が熱転写された薄膜ラミネートフィルム1053が両面粘着テープ1013(の第2粘着剤層1033)によって被着体1061にくっついた状態になる。このインク1041は、不図示のテープ印字装置によって、インクリボン1006(図85等参照)から積層ラミネートテープ1011(の薄膜ラミネートフィルム1053)の印字面1011A(図83等参照)に熱転写されたものである。
【0220】
以上詳細に説明したように、第4実施形態の印字用カセット1001は、不図示のテープ印字装置のカセット装着部に装着されることによって、印字テープ1005を不図示のテープ印字装置から排出させることが可能となる。
そして、不図示のテープ印字装置から排出される印字テープ1005については、不図示のテープ印字装置のカッタ装置で切断した後、積層ラミネートテープ1011に貼り付けられた両面粘着テープ1013から剥離シート1034を剥がし(図88(b)参照)、露出させた両面粘着テープ1013の第2粘着剤層1033を被着体1061に接着させた状態で(図88(c)参照)、取扱補助フィルム1051をゆっくり剥がすと(図88(d)参照)、取扱補助フィルム1051とともに弱粘着剤層1052が剥がれる一方で薄膜ラミネートフィルム1053がインク1041とともに被着体1061に残存し、図87に示すように、インク1041が熱転写されている印字面1111Aを裏側に有する薄膜ラミネートフィルム1053が両面粘着テープ1013(の第2粘着剤層1033)を介して被着体1061に貼り付けられるので、「ラミネートテープ」を被着体1061に貼り付けることができる(図88(e)参照)。
【0221】
また、薄膜ラミネートフィルム1053は、弱粘着剤層1052を介して取扱補助フィルム1051に貼り付けられることによって構成された積層ラミネートテープ1011の形態をもって(図83参照)、図85に示すように、第4実施形態の印字用カセット1001内でフィルムスプール1014に巻回された状態から両面粘着テープ1013とその第1粘着剤層1031を介して貼り付けられた印字テープ1005の状態になってテープ排出部1004から排出されることから、薄膜ラミネートフィルム1053が薄くても、第4実施形態の印字用カセット1001内での走行性を確保することができる。
特に、第4実施形態では、薄膜ラミネートフィルム1053よりも取扱補助フィルム1051が厚いことから、薄膜ラミネートフィルム1053が薄くても、第4実施形態の印字用カセット1001内における積層ラミネートテープ1011の走行性を確保することができる。
【0222】
また、被着体1061に接着させる際は、図88(a)(b)に示すように、両面粘着テープ1013に積層ラミネートテープ1011が貼り付けられた状態にあり、少なくとも積層ラミネートテープ1011の厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ラミネートテープ」を構成する薄膜ラミネートフィルム1053がどんなに薄くても、図88に示すようにして「ラミネートテープ」を被着体1061に貼り付ける作業が行い易い。
特に、第4実施形態では、薄膜ラミネートフィルム1053よりも取扱補助フィルム1051が厚いことから、薄膜ラミネートフィルム1053がどんなに薄くても、取扱補助フィルム1051を剥がし易い。
【0223】
また、薄膜ラミネートフィルム1053が両面粘着テープ1013(の第2粘着剤層1033)を介して被着体1061に貼り付けられた際には、薄膜ラミネートフィルム1053と両面粘着テープ1013の総厚みが約58μmと薄いため、薄膜ラミネートフィルム1053が無色透明であればその輪郭を確認しにくく、薄膜ラミネートフィルム1053上のインク1041(印字内容)を目立たせることができる。また、薄膜ラミネートフィルム1053と両面粘着テープ1013の総重量も軽いため、被着体1061が、例えば、CDやDVDなどの回転物であっても、その回転バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0224】
また、被着体1061の曲面部分に貼り付けた場合でも、薄膜ラミネートフィルム1053が10μmと薄いため、被着体1061の曲面部分から次第に剥がれることがない。この効果は、薄膜ラミネートフィルム1053の厚みが15μm程度あっても実現可能である。
【0225】
また、図87に示すように、インク1041が熱転写されている印字面1011Aは、薄膜ラミネートフィルム1053の裏側にあり、すなわち、薄膜ラミネートフィルム1053によってラミネートされているので、「ラミネートテープ」の特徴である耐摩擦性も備えている。
【0226】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第4実施形態の印字用カセット1001を使用して不図示のテープ印字装置で製作される印字テープ1005については、例えば、図89の平面図で示すように、取扱補助フィルム1051の幅を薄膜ラミネートフィルム1053の幅より大きくしてもよい。逆に、図90の平面図で示すように、取扱補助フィルム1051の幅を薄膜ラミネートフィルム1053の幅より小さくしてもよい。これらの場合には、いずれも、取扱補助フィルム1051の幅と薄膜ラミネートフィルム1053の幅が異なることから、取扱補助フィルム1051が見分けやすく、また、取扱補助フィルム1051を剥がす際に便宜である。
この点は、図示はしないが、両面粘着テープ1013の剥離シート1034の幅を大きくした場合も同様である。
【0227】
また、取扱補助フィルム1051の幅が薄膜ラミネートフィルム1053の幅と同じ印字テープ1005であっても、図91の平面図に示すように、取扱補助フィルム1051であることを示す旨の文字・模様等(例えば、図91では、「アプリケーションフィルム」の文字)を取扱補助フィルム1051自身に予め印刷しておけば、取扱補助フィルム1051の存在が強調され、取扱補助フィルム1051を剥がす際に便宜である。このとき、取扱補助フィルム1051に予め印刷された文字・模様等によって、印字テープ1005の上下を示唆すれば、印字テープ1005を被着体1061(図88等参照)に接着させる際に便宜である。
【0228】
また、図92の斜視図に示すように、印字テープ1005を構成する両面粘着テープ1013の剥離シート1034に予めハーフカットS1を施しておけば、両面粘着テープ1013の剥離シート1034を剥がす際に便宜である。さらに、同様にして、図93の斜視図に示すように、取扱補助フィルム1051に予めハーフカットS2を施しておけば、取扱補助フィルム1051を剥がす際に便宜である。
【0229】
また、第4実施形態の印字用カセット1001を使用して不図示のテープ印字装置で製作される印字テープ1005においては、取扱補助フィルム1051が無色透明であれば、積層ラミネートテープ1011の印字面1011A(図83等参照)に熱転写されたインク1041を視認することができ、印字テープ1005の上下を確認することができるので、印字テープ1005を被着体1061に接着させる際に便宜である。また、取扱補助フィルム1051が有色透明であれば、積層ラミネートテープ1011の印字面1011A(図83等参照)に熱転写されたインク1041に加え、取扱補助フィルム1051の存在までも視認することができるので、印字テープ1005を被着体1061に接着させる際や取扱補助フィルム1051を剥がす際に便宜である。
【0230】
また、第4実施形態の印字用カセット1001を使用して不図示のテープ印字装置で製作される印字テープ1005においては、両面粘着テープ1013に代えて、図85の線D−Dで切断した図94の断面図で示すように、単層粘着テープ1101を使用してもよい。
すなわち、単層粘着テープ1101は、厚みが約53μmの剥離シート1034に対し、第3粘着剤が塗布されることによって第3粘着剤層1035が約16μmの厚みをもって塗布形成されている。
そして、インク1041が付着した積層ラミネートテープ1011の印字面1011Aと第3粘着剤層1035とが重ね合わさることにより、単層粘着テープ1101が積層ラミネートテープ1011に貼り付けられ、印字テープ1005となる。
さらに、印字テープ1005は、剥離シート1034を剥がすことにより露出する第3粘着剤層1035の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、取扱補助フィルム1051をゆっくり剥がすと、図95に示すように、薄膜ラミネートフィルム1053をその印字面1011A上に熱転写されたインク1041とともに第3粘着剤層1035を介して被着体1061に貼付させることができる。
尚、第3粘着剤層1035を形成する粘着剤としては、第2粘着剤層1033を形成する粘着剤が使用される。
【0231】
そして、両面粘着テープ1013に代えて単層粘着テープ1101を使用した場合でも、上述した各効果を奏することが可能である。もっとも、厚みが同じ剥離シート1034を構成要素に持ちながら、両面粘着テープ1013の厚み(約101μm)よりも単層粘着テープ1101の厚み(約69μm)が薄いことから、「ラミネートテープ」の輪郭がより確認しにくく、また、被着体1061が回転物(CDやDVDなど)の場合には、その回転バランスに悪影響をより及ぼしにくくできる。
【0232】
以下、本発明に係る印字用カセットについて、本発明を具体化した第5実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。図97は、印字用カセットの斜視図である。図97に示すように、第5実施形態の印字用カセット2001は、上カセットケース2002と下カセットケース2003を有しており、テープ排出部2004から印字テープ2005が排出される。尚、符号2006は、インクリボンである。
【0233】
また、図98は、上カセットケース2002(図97参照)を除いて示す印字用カセット2001の平面図である。図98において、印字用カセット2001の下カセットケース2003内には、アプリケーションテープ2013が巻回されたテープスプール2012や、薄膜テープ2011が巻回されたフィルムスプール2014、インクリボン2006が巻回されたリボン供給スプール2015、リボン巻取スプール2016が、それぞれ上カセットケース2002(図97参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0234】
この点、薄膜テープ2011は、10〜15μmのウレタンシートからなる薄膜ベースフィルムの他面側に粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって粘着剤層が塗布形成されるとともに、その粘着剤層に剥離シートが貼付されており、フィルムスプール2014に巻回された内側(薄膜ベースフィルムの一面側)が印字面となる。従って、フィルムスプール2014に巻回された薄膜テープ2011は、下カセットケース2003に立設された案内ピン2017から回転可能な案内コロ2018を経て、下カセットケース2003に形成された腕部2019まで案内され、更に、腕部2019からサーマルヘッド配置部2020の外側で露出された後、案内部材2021、送りローラ2022を経てテープ排出部2004から印字用カセット2001の外部に排出される。
【0235】
また、インクリボン2006は、インク塗布側の面を内側にしてリボン供給スプール2015に巻回されており、このようにリボン供給スプール2015に巻回されたインクリボン2006は、腕部2019からサーマルヘッド配置部2020の外側で露出され、そのインク塗布面と薄膜テープ2011の印字面とが重ね合わされるように案内された後に、案内部材2021の外側に沿って案内されることにより薄膜テープ2011の印字面から離れ、リボン巻取スプール2016に巻き取られる。
【0236】
一方、アプリケーションテープ2013は、「PETシート」からなる取扱補助フィルムの一面側に弱粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって弱粘着剤層が塗布形成されている。そして、アプリケーションテープ2013は、その取扱補助フィルム側を外側にしてテープスプール2012に巻回されており、このように巻回されたアプリケーションテープ2013は、送りローラ2022により、その弱粘着剤層の塗布面と薄膜テープ2011の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、薄膜テープ2011が貼り付けられ、テープ排出部2004から印字用カセット2001の外部に排出される。従って、薄膜テープ2011の印字面は、アプリケーションテープ2013の弱粘着剤層の貼付対象面でもある。
【0237】
これにより、印字用カセット2001のテープ排出部2004からは、薄膜テープ2011とアプリケーションテープ2013とで構成された印字テープ2005が排出される。尚、図99に、アプリケーションテープ2013と薄膜テープ2011とインクリボン2006とが下カセットケース2003上で上述したように案内される過程の概要を示す。
【0238】
また、図96に、印字テープ2005を図98の線E−Eで切断した断面図を示す。図96に示すように、印字テープ2005は、薄膜テープ2011とアプリケーションテープ2013とで構成されている。この点、アプリケーションテープ2013は、上述したように、PETシートからなる取扱補助フィルム2051の一面側に弱粘着剤が約25μmの厚みをもって塗布されることによって弱粘着剤層2052が塗布形成されている。また、薄膜テープ2011は、上述したように、10〜15μmのウレタンシートからなる薄膜ベースフィルム2031の他面側に粘着剤が約16μmの厚みをもって塗布されることによって粘着剤層2033が塗布形成されるとともに、その粘着剤層2033に剥離シート2034が貼付されている。そして、インク2041が付着した薄膜テープ2011の印字面2011Aと弱粘着剤層2052とが重ね合わさることにより、薄膜テープ2011がアプリケーションテープ2013に貼り付けられ、印字テープ2005となる。従って、薄膜テープ2011の印字面2011Aは、アプリケーションテープ2013の弱粘着剤層2052の貼付対象面でもある。
【0239】
さらに、印字テープ2005は、剥離シート2034を剥がすことにより露出する粘着剤層2033の塗布面によって、被着体に貼り付けることができる。その後、アプリケーションテープ2013をゆっくり剥がすと、図100に示すように、薄膜ベースフィルム2031をその印字面2011A上に熱転写されたインク2041とともに粘着剤層2033を介して被着体2061に貼付させることができる。
【0240】
但し、上述したようにして、印字面2011A上にインク2041が熱転写された薄膜ベースフィルム2031をアプリケーションテープ2013に貼付させるには、弱粘着剤層2052を形成する弱粘着剤として、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、一時的に貼り付けておき、最終的には剥がされる部分なので、弱い粘着力のものが使用される。
【0241】
一方、粘着剤層2033を形成する粘着剤としては、アクリル系や、ゴム系、シリコーン系などいずれかの系の単量体を共重合させた共重合体を主成分とし、各種の添加剤(例えば、架橋剤、タッキファイア、軟化剤、安定剤、顔料など)の配合の有無は問わないが、被着体2061に応じた粘着力のものが使用される。
【0242】
尚、印字用カセット2001は、図示しないテープ印字装置のカセット装着部にセットされて印字テープ2005が製作されるものであるが、テープ印字装置のカセット装着部には、印字用カセット2001の排出部2004から排出された印字テープ2005を切断するための図示しないカッタ装置(切断刃を備えている)が配設されている。ここに、図97などに基づき説明した印字用カセット2001の構成及びかかる印字用カセット2001が装着されて印字テープ2005が製作されるテープ印字装置の構成は公知であるので、印字用カセット2001やテープ印字装置で印字テープ2005を製作する際の詳細な説明は省略する。
【0243】
次に、印字テープ2005の取り扱いについて図101に基づき説明する。
不図示のテープ印字装置のカセット装着部に装着された第5実施形態の印字用カセット2001の排出部2004から排出された印字テープ2005が不図示のテープ印字装置のカッタ装置で切断されると、例えば、図101(a)に示すように、薄膜テープ2011(薄膜ベースフィルム2031・粘着剤層2033・剥離シート2034)とアプリケーションテープ2013(取扱補助フィルム2051・弱粘着剤層2052)で構成された帯状の印字テープ2005が製作される。そして、図101(b)に示すように、薄膜テープ2011の剥離シート2034を剥がして薄膜テープ2011の粘着剤層2033を露出させる。さらに、図101(c)に示すように、薄膜テープ2011の粘着剤層2033を被着体2061にくっつける。
【0244】
そして、図101(d)に示すように、取扱補助フィルム2051を被着体2061からゆっくり剥がす。このとき、取扱補助フィルム2051とともに弱粘着剤層2052も剥がれ、もって、アプリケーションテープ2013のみを剥がすことができるので、図101(e)に示すように、インク2041が熱転写された薄膜ベースフィルム2031が粘着剤層2033によって被着体2061にくっついた状態になる。このインク2041は、不図示のテープ印字装置によって、インクリボン2006(図98等参照)から薄膜テープ2011(の薄膜ベースフィルム2031)の印字面2011A(図96等参照)に熱転写されたものである。
【0245】
以上詳細に説明したように、第5実施形態の印字用カセット2001は、不図示のテープ印字装置のカセット装着部に装着されることによって、印字テープ2005を不図示のテープ印字装置から排出させることが可能となる。
そして、不図示のテープ印字装置から排出される印字テープ2005については、不図示のテープ印字装置のカッタ装置で切断した後、アプリケーションテープ2013に貼り付けられた薄膜テープ2011から剥離シート2034を剥がし(図101(b)参照)、露出させた薄膜テープ2011の粘着剤層2033を被着体2061に接着させた状態で(図101(c)参照)、アプリケーションテープ2013をゆっくり剥がすと(図101(d)参照)、薄膜ベースフィルム2031がインク2041とともに被着体2061に残存し、図100に示すように、インク2041が熱転写されている印字面2011Aが存在する一面側が露出した状態の薄膜ベースフィルム2031が粘着剤層2033を介して被着体2061に貼り付けられるので、「ノンラミネートテープ」を被着体2061に貼り付けることができる(図101(e)参照)。
【0246】
また、薄膜ベースフィルム2031は、粘着剤層2033を介して剥離シート2034に貼り付けられることによって構成された薄膜テープ2011の形態をもって(図96参照)、図98に示すように、第5実施形態の印字用カセット2001内でフィルムスプール2014に巻回された状態からアプリケーションテープ2013とその弱粘着剤層2052を介して貼り付けられた印字テープ2005の状態になってテープ排出部2004から排出されることから、薄膜ベースフィルム2031が薄くても、第5実施形態の印字用カセット2001内での走行性を確保することができる。
【0247】
また、被着体2061に接着させる際は、図101(a)(b)に示すように、薄膜テープ2011にアプリケーションテープ2013が貼り付けられた状態にあり、少なくともアプリケーションテープ2013の厚みにより腰のある状態を確保できるので、「ノンラミネートテープ」を構成する薄膜ベースフィルム2031がどんなに薄くても、図101に示すようにして「ノンラミネートテープ」を被着体2061に貼り付ける作業が行い易い。
この点、被着体2061の接着面が曲面である場合には、その曲面に密着させるために、アプリケーションテープ2013を薄くして伸縮できるようにすべきであるが、上記貼付作業の行い易さの確保を考慮すれば、アプリケーションテープ2013の厚さは約30〜50μmであることが望ましい。
【0248】
また、薄膜ベースフィルム2031が粘着剤層2033を介して被着体2061に貼り付けられた際には、薄膜ベースフィルム2031と粘着剤層2033の総厚みが約26〜31μmと薄いため、薄膜ベースフィルム2031が無色透明であればその輪郭を確認しにくく、薄膜ベースフィルム2031上のインク2041(印字内容)を目立たせることができる。また、薄膜ベースフィルム2031と粘着剤層2033の総重量も軽いため、被着体2061が、例えば、CDやDVDなどの回転物であっても、その回転バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0249】
また、被着体2061の曲面部分に貼り付けた場合でも、薄膜ベースフィルム2031が10〜15μmと薄いため、被着体2061の曲面部分から次第に剥がれることがない。
【0250】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第5実施形態の印字用カセット2001を使用して不図示のテープ印字装置で製作される印字テープ2005については、例えば、図102の平面図で示すように、アプリケーションテープ2013の幅を薄膜テープ2011の幅より大きくしてもよい。また、図104の平面図で示すように、アプリケーションテープ2013の幅を薄膜テープ2011の剥離シート2034の幅より小さくしてもよく、さらに、この場合には、図103の平面図に示すように、粘着テープ2011の薄膜ベースフィルム2031及び粘着剤層2033の幅をアプリケーションテープ2013の幅より小さくしてもよい。これらの場合には、いずれも、アプリケーションテープ2013の幅と薄膜テープ2011の剥離シート2034の幅が異なることから、アプリケーションテープ2013と薄膜テープ2011の剥離シート2034が見分けやすく、また、アプリケーションテープ2013や薄膜テープ2011の剥離シート2034を剥がす際に便宜である。
【0251】
また、図105の平面図に示すように、アプリケーションテープ2013の幅が薄膜テープ2011の幅と同じ印字テープ2005であっても、アプリケーションテープ2013の取扱補助フィルム2051(図101等参照)の表面にアプリケーションテープであることを示す旨の文字・模様等を予め印刷しておけば、アプリケーションテープ2013の存在が強調され、アプリケーションテープ2013を剥がす際に便宜である。このとき、アプリケーションテープ2013に予め印刷された文字・模様等(例えば、図105では、「アプリケーションフィルム」の文字)によって、印字テープ2005の上下を示唆すれば、印字テープ2005を被着体2061(図101等参照)に接着させる際に便宜である。
すなわち、このような特徴を有する発明は、印字用カセットであって、前記取扱補助フィルムに予め印刷が施されていること、
を特徴としている。
【0252】
また、図106の斜視図に示すように、印字テープ2005を構成する薄膜テープ2011の剥離シート2034に予めハーフカットS11を施しておけば、薄膜テープ2011の剥離シート2034を剥がす際に便宜である。さらに、同様にして、図107の斜視図に示すように、アプリケーションテープ2013に予めハーフカットS12を施しておけば、アプリケーションテープ2013を剥がす際に便宜である。
【0253】
また、第5実施形態の印字用カセット2001を使用して不図示のテープ印字装置で製作される印字テープ2005においては、アプリケーションテープ2013が無色透明であれば、薄膜テープ2011の印字面2011A(図96等参照)に熱転写されたインク2041を視認することができ、印字テープ2005の上下を確認することができるので、印字テープ2005を被着体2061に接着させる際に便宜である。また、アプリケーションテープ2013が有色透明であれば、薄膜テープ2011の印字面2011A(図96等参照)に熱転写されたインク2041に加え、アプリケーションテープ2013の存在までも視認することができるので、印字テープ2005を被着体2061に接着させる際やアプリケーションテープ2013を剥がす際に便宜である。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は、薄膜の被印字媒体を使用した印字テープ又は印字用カセットの製作技術に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】第1実施形態において、サーマルタイプの印字テープを図3の線A1−A1で切断した際の断面図である。
【図2】第1実施形態において、サーマルタイプの印字用カセットの斜視図である。
【図3】(a)は、第1実施形態において、上カセットケースを除いて示すサーマルタイプの印字用カセットの平面図である。(b)は、線F1−F1で切断した際の断面図である。
【図4】第1実施形態において、サーマルタイプの第1小巻テープと第2小巻テープとインクリボンとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図5】第1実施形態において、サーマルタイプの印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図6】第1実施形態において、印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図7】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図8】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図9】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図10】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図11】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図12】第1実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図13】第1実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図14】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図15】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図16】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図17】第1実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図18】第1実施形態において、第1粘着剤層を塗布形成する第1粘着剤の塗布パターン例を示した図である。
【図19】第1実施形態において、感熱タイプの印字テープを図21の線A2−A2で切断した際の断面図である。
【図20】第1実施形態において、感熱タイプの印字用カセットの斜視図である。
【図21】第1実施形態において、上カセットケースを除いて示す感熱タイプの印字用カセットの平面図である。
【図22】第1実施形態において、感熱タイプの第1小巻テープと第2小巻テープとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図23】第1実施形態において、感熱タイプの印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図24】第1実施形態において、第1基材がない印字テープを図3の線A1−A1で切断した際の断面図である。
【図25】第1実施形態において、第1基材がない印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図26】第1実施形態において、第1基材がない印字テープを示した斜視図である。
【図27】第1実施形態において、第1基材がない印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図28】第2実施形態において、サーマルタイプの印字テープを図30の線B1−B1で切断した際の断面図である。
【図29】第2実施形態において、サーマルタイプの印字用カセットの斜視図である。
【図30】(a)は、第2実施形態において、上カセットケースを除いて示すサーマルタイプの印字用カセットの平面図である。(b)は、線F2−F2で切断した際の断面図である。
【図31】第2実施形態において、サーマルタイプの第1小巻テープと第3小巻テープとインクリボンとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図32】第2実施形態において、サーマルタイプの印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図33】第2実施形態において、印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図34】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図35】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図36】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図37】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図38】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図39】第2実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図40】第2実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図41】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図42】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図43】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図44】第2実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図45】第2実施形態において、第1粘着剤層を塗布形成する第1粘着剤の塗布パターン例を示した図である。
【図46】第2実施形態において、感熱タイプの印字テープを図48の線B2−B2で切断した際の断面図である。
【図47】第2実施形態において、感熱タイプの印字用カセットの斜視図である。
【図48】第2実施形態において、上カセットケースを除いて示す感熱タイプの印字用カセットの平面図である。
【図49】第2実施形態において、感熱タイプの第1小巻テープと第3小巻テープとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図50】第2実施形態において、感熱タイプの印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図51】第2実施形態において、第1基材がない印字テープを図30の線B1−B1で切断した際の断面図である。
【図52】第2実施形態において、第1基材がない印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図53】第2実施形態において、第1基材がない印字テープを示した斜視図である。
【図54】第2実施形態において、第1基材がない印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図55】第3実施形態において、サーマルタイプの印字テープを図57の線C1−C1で切断した際の断面図である。
【図56】第3実施形態において、サーマルタイプの印字用カセットの斜視図である。
【図57】(a)は、第3実施形態において、上カセットケースを除いて示すサーマルタイプの印字用カセットの平面図である。(b)は、線F3−F3で切断した際の断面図である。
【図58】第3実施形態において、サーマルタイプの第1小巻テープと第2小巻テープとインクリボンとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図59】第3実施形態において、サーマルタイプの印字テープを「ノンラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図60】第3実施形態において、印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図61】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図62】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図63】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図64】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図65】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図66】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図67】第3実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図68】第3実施形態において、他の印字テープを示した斜視図である。
【図69】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図70】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図71】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図72】第3実施形態において、他の印字テープを示した平面図である。
【図73】第3実施形態において、第2粘着剤層を塗布形成する第2粘着剤の塗布パターン例を示した図である。
【図74】第3実施形態において、感熱タイプの印字テープを図76の線C2−C2で切断した際の断面図である。
【図75】第3実施形態において、感熱タイプの印字用カセットの斜視図である。
【図76】第3実施形態において、上カセットケースを除いて示す感熱タイプの印字用カセットの平面図である。
【図77】第3実施形態において、感熱タイプの第1小巻テープと第2小巻テープとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図78】第3実施形態において、感熱タイプの印字テープを「ノンラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図79】第3実施形態において、第2基材がない印字テープを図57の線C1−C1で切断した際の断面図である。
【図80】第3実施形態において、第2基材がない印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図81】第3実施形態において、第2基材がない印字テープを示した斜視図である。
【図82】第3実施形態において、第2基材がない印字テープを「ノンラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図83】第4実施形態おいて、印字テープを図85の線D−Dで切断した際の断面図である。
【図84】第4実施形態おいて、印字用カセットの斜視図である。
【図85】第4実施形態おいて、上カセットケースを除いて示す印字用カセットの平面図である。
【図86】第4実施形態おいて、積層ラミネートテープと両面粘着テープとインクリボンとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図87】第4実施形態おいて、印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図88】第4実施形態おいて、印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図89】第4実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図90】第4実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図91】第4実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図92】第4実施形態おいて、他の印字テープを示した斜視図である。
【図93】第4実施形態おいて、他の印字テープを示した斜視図である。
【図94】第4実施形態おいて、他の印字テープを図85の線D−Dで切断した際の断面図である。
【図95】第4実施形態おいて、他の印字テープを「ラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図96】第5実施形態おいて、印字テープを図98の線A−Aで切断した際の断面図である。
【図97】第5実施形態おいて、印字用カセットの斜視図である。
【図98】第5実施形態おいて、上カセットケースを除いて示す印字用カセットの平面図である。
【図99】第5実施形態おいて、薄膜テープとアプリケーションテープとインクリボンとが下カセットケース上で案内される過程の概要を示した図である。
【図100】第5実施形態おいて、印字テープを「ノンラミネートテープ」として被着体に貼付させた際の断面図である。
【図101】第5実施形態おいて、印字テープの取り扱いを示した説明図である。
【図102】第5実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図103】第5実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図104】第5実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図105】第5実施形態おいて、他の印字テープを示した平面図である。
【図106】第5実施形態おいて、他の印字テープを示した斜視図である。
【図107】第5実施形態おいて、他の印字テープを「ノンラミネートテープ」として被着体に貼付させる際の様子を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0256】
1 印字用カセット
5 印字テープ
6 インクリボン
11 第1小巻テープ
11A 印字面
13 第2小巻テープ
31 第1基材
32 第1粘着剤層
33 被印字媒体
51 第2粘着剤層
52 第2基材
61 被着体
71 ハーフカット
81 ハーフカット
H1 サーマルヘッド
101 印字用カセット
105 印字テープ
106 インクリボン
111 第1小巻テープ
111A 印字面
113 第3小巻テープ
131 第1基材
132 第1粘着剤層
133 被印字媒体
151 第3粘着剤層
152 第3基材
153 第4粘着剤層
154 第4基材
161 被着体
171 ハーフカット
181 ハーフカット
H2 サーマルヘッド
201 印字用カセット
205 印字テープ
206 インクリボン
211 第1小巻テープ
211A 印字面
213 第2小巻テープ
231 第1基材
232 第1粘着剤層
233 被印字媒体
251 第2粘着剤層
252 第2基材
261 被着体
271 ハーフカット
281 ハーフカット
H3 サーマルヘッド
1001 印字用カセット
1005 印字テープ
1006 インクリボン
1011 積層ラミネートテープ
1011A 印字面
1013 両面粘着テープ
1031 第1粘着剤層
1032 ベースフィルム
1033 第2粘着剤層
1034 剥離シート
1035 第3粘着剤層
1051 取扱補助フィルム
1052 弱粘着剤層
1053 薄膜ラミネートフィルム
1061 被着体
1101 単層粘着テープ
S1 ハーフカット
S2 ハーフカット
2001 印字用カセット
2005 印字テープ
2006 インクリボン
2011 薄膜テープ
2011A 印字面(貼付対象面)
2013 アプリケーションテープ
2031 薄膜ベースフィルム
2033 粘着剤層
2034 剥離シート
2051 取扱補助フィルム
2052 弱粘着剤層
2061 被着体
S11 ハーフカット
S12 ハーフカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1小巻テープと第2小巻テープテープとを収納するとともに、印字位置を設けた印字装置に装着される印字用カセットであって、
前記第1小巻テープは、
第1基材と、
被印字媒体と、
前記第1基材と前記被印字媒体との間に介在した第1粘着剤で形成される第1粘着剤 層と、を備える一方、
前記第2小巻テープは、
第2基材と、
前記第2基材に塗布した第2粘着剤で形成される第2粘着剤層と、を備え、
前記被印字媒体は、前記第1粘着剤層が粘着する面の裏面側を印字面とし、
前記第2粘着剤層と前記被印字媒体との接着力が前記第1粘着剤層と前記被印字媒体との接着力よりも小さいこと、を特徴とする印字用カセット。
【請求項2】
請求項1に記載する印字用カセットであって、
前記被印字媒体の印字面側に感熱発色剤が塗布されていること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項3】
請求項1に記載する印字用カセットであって、
インク面を有するインクリボンを収納し、
前記インクリボンのインク面と前記被印字媒体の印字面とが前記印字装置の印字位置で対向すること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する印字用カセットであって、
前記第2基材の幅と前記被印字媒体の幅とが異なること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載する印字用カセットであって、
前記第2基材は透明であること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項6】
請求項5に記載する印字用カセットであって、
前記第2基材は有色又は有柄であること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項7】
薄膜テープとインクリボンとアプリケーションテープとがそれぞれ個別に巻回されるとともに印字装置に装着される印字用カセットであって、
前記アプリケーションテープは、
基材である取扱補助フィルムと、
前記取扱補助フィルムの一面側に塗布されるとともに前記薄膜テープから剥離可能に
貼り付けるための第1粘着剤で形成された第1粘着剤層と、を備える一方、
前記薄膜テープは、
前記インクリボンのインクが転写される印字面及び前記第1粘着剤層の貼付対象面を
一面側に併存する薄膜ベースフィルムと、
前記薄膜ベースフィルムの他面側に貼り付けられた剥離シートと、
前記薄膜ベースフィルムと前記剥離シートの間に塗布されるとともに第2粘着剤で形
成された第2粘着剤層と、を備え、
前記薄膜テープと前記アプリケーションテープとが前記第1粘着剤層を介して貼り付けられた状態で前記印字装置から排出されることによって、前記薄膜ベースフィルムを被着体に貼り付けることができる印字テープが形成されること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項8】
請求項7に記載する印字用カセットであって、
前記薄膜テープの幅と前記アプリケーションテープの幅とが異なること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載する印字用カセットであって、
前記取扱補助フィルムが透明であること、を特徴とする印字用カセット。
【請求項10】
請求項9に記載する印字用カセットであって、
前記取扱補助フィルムが有色であること、を特徴とする印字用カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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【図106】
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【図107】
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【公開番号】特開2007−331373(P2007−331373A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303356(P2006−303356)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】