説明

印字装置、印字方法、及び、印字制御プログラム

【課題】 電池容量を検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字する印字装置と、該印字装置の印字方法と、当該印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供する。
【解決手段】 印字装置は、印字テープに印字する印字部と、電池電圧を検出する電圧検出部と、前記印字部によって前記印字テープに所定情報を印字させるのに先だって、前記印字部によって前記印字テープにマークを印字させるとともに、当該マークの印字と並行して、前記電圧検出部によって前記電池電圧を検出させるように、前記印字部および前記電圧検出部を制御する印字制御部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを作成する印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、この印字装置にラベルを作成させる印字方法を実現させるための印字制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印字テープに対して、キーボード等の入力部から入力された或いは他の機器から出力された文字等を任意に印字することで、固有のラベルを作成できる装置として印字装置がある。
【0003】
また、印字装置は、乾電池や充電池を電源として内蔵し、電池電圧に対応した所定時間だけサーマルヘッドへ通電することによって印刷を行い、使用を続けることによって電池残量が少なくなって掛けられる電圧が所定値以下となったときに、電圧不足を報知して電池の交換或いは充電をユーザに促すものである。
【0004】
このような印字装置として、下記に示す特許文献1には、乾電池や充電池を電源として内蔵する印刷装置において、印刷条件に基づいて動作基準電圧を設定する動作基準電圧設定部と、電池の電圧を検出する電圧検出部と、印刷部による印刷が実行されたとき、電圧検出部によって検出された電池電圧と、動作基準電圧設定部によって設定された動作基準電圧とを比較して、電池電圧が動作基準電圧よりも低いときには電池の電圧不足を表示部に報知させる報知部と、を備え、印刷条件に適した動作基準電圧を設定して電源としての電池を有効的に利用して印刷を実行する印字装置が開示されている。
【0005】
また、印字装置は、文字の入力や編集時、印刷時等により負荷変動が大きく、処理内容によって、電池の出力電圧も変動するため、処理内容に合せて印字装置の使用中に繰り返し電圧検出を行っている。
【0006】
そして、小型軽量の手動カッター式の簡易テープ印字装置には、印刷開始時の電圧検出として、印字ヘッドに印字されない程度の疑似通電を行って電池残量の検出を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−194853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1の印字装置は、印刷条件に適した動作基準電圧を印刷の度に設定して、電源電池を有効的に利用して印刷を実行するものであるも、装置が複雑化し、各種回路を作動させるため、電池の消耗量を軽減させることが困難であった。
【0009】
また、小型軽量の手動カッター式の簡易テープ印刷装置においては、印刷開始前の検出で疑似負荷を印字ヘッドに加えて電圧検出を行っても、印刷処理に必要な電池残圧の検出を正確に検出できない場合や、誤って印字テープに印字してしまう不都合が生じる場合もあった。
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、印刷に必要な電池容量を正確に検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字する印字装置と、該印字装置の印字方法と、当該印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る印字装置は、印字テープに印字する印字部と、電池電圧を検出する電圧検出部と、前記印字部によって前記印字テープに所定情報を印字させるのに先だって、前記印字部によって前記印字テープにマークを印字させるとともに、当該マークの印字と並行して、前記電圧検出部によって前記電池電圧を検出させるように、前記印字部および前記電圧検出部を制御する印字制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る印字装置の印字方法は、印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る印字装置の印字制御プログラムは、印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印刷に必要な電池容量を正確に検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字する印字装置と、該印字装置の印字方法と、当該印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る印字装置に交換可能なテープカセットを組み込んだ状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る印字装置の印刷の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る印字装置の表示部の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る印字装置の印字テープの印字、搬送及び切断位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施形態に係る印字装置1の平面図であり、図2は、この印字装置1に使用するテープカセット21の外観及び印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印字装置1は、表面に印字面を備え裏面が粘着面とされた印刷テープ層と、粘着面に貼付される剥離テープ層と、が積層されて形成されたテープ部材31からなる印字テープに文字等を印字する装置である。
【0017】
なお、テープ部材31は、剥離テープ層を有さず、裏面に粘着層を有する印字用感熱ロールテープとすることもある。
【0018】
印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に液晶表示装置から構成されてソフトウェアキーボード機能により仮想のキーボードを表示するタッチパネル表示部3を備える。また、タッチパネル表示部3には、文字入力装置として液晶表示装置の表示画面の上面に透明な加圧スイッチであるタッチパネル入力部4が重ねて配設されている。
【0019】
そして、タッチパネル表示部3の表示画面には、アルファベット文字キー、数字キー、記号キー等の文字・記号入力キー(以下、これら総じて文字キーと呼称)や、漢字への変換キー、無変換キー及び実行キー等々の制御キーを備える仮想のキーボードを表示するキーボード領域3a及びそのキーボード領域3aから入力された文字を表示する文字編集領域3bが設けられる。
【0020】
キーボード領域3aは、タッチパネル入力部4の各キーを画像として表示するとともに、タッチパネル入力部4として表示画面上に表示される各キーの位置を押圧することにより、各キーの座標位置のデータを入力するようになっており、これらタッチパネル表示部3とタッチパネル入力部4からソフトウェアキーボードを構成する。尚、仮想のキーボードを表示するキーボード領域3aの代わりに、ハードウェアキーボードを設けてもよい。
【0021】
そして、テープカセット21を装填させるために装置の背面に用意される開閉蓋の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、テープ印字機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0022】
このテープ印字機構45は、縦方向に配列された印字素子(不図示)と、印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸19と、を備える。
【0023】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7近傍には、テープ部材31の印刷テープ層及び剥離テープ層を幅方向に切断することを可能とする、カッターボタンの押下にリンクして作動する手動カッター17が組み込まれている。テープ繰出部7はその一端部が筐体2の外部に連通しており、この端部がテープ出口71である。
【0024】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0025】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。
【0026】
そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別するテープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0027】
そして、印字装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチ16の幾つか或いは全部が係合し、係合したテープ幅検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによって印字テープのテープ幅等の種類を判別できるようになっている。
【0028】
つまり、この印字装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の幅等によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印字テープの幅等を識別することができ、制御部40がテープ幅に適合した印字データを作成することができるようになっている。そして、制御部40は、テープ幅に応じた印字可能なテープ幅方向の最大長さを検出することができる。
【0029】
この印字装置1は、印字の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11との間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0030】
そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31の印字テープに熱転写されて印字テープに印字が行われ、ユーザーがカッターボタンを押下することにより、手動カッター17が作動してテープ部材31を幅方向に切断し、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0031】
そして、印字装置1でラベルを作成するにあたって、ラベル作成の度に印字テープに余白部分が生成されることについて、図を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る印字装置1に交換可能なテープカセットを組み込んだ状態を示す模式図である。
【0032】
ロール状のテープからなるテープ部材31である印字テープには、図3に示すように前回ラベル作成時に生成される、印字の際に先述のサーマルヘッド11の先端がインクリボン35に当接する位置と、印字テープ切断時に切断部であるフルカット機構17におけるカッターの先端がテープ部材31に当接する位置との間の空間により、印字テープ先端からサーマルヘッド11までの距離Lからなる余白部分100が生成されている。
【0033】
次に、印字装置1の回路構成について述べる。この印字装置1は、図4に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶部としてのROM41及びRAM42が接続されている。
【0034】
また、制御部40には、使用者のキー操作を受けて文字データやフォントサイズ等を入力する入力部としてタッチパネル入力部4が接続されている。そして、制御部40には、入力された情報などの種々の情報を表示する表示部であるタッチパネル表示部3を駆動させるタッチパネル表示部駆動回路63が接続されている。
【0035】
さらに、制御部40には、サーマルヘッド11を駆動する印字部であるヘッド駆動回路51と、搬送用モータ46を駆動する搬送部である搬送用モータ駆動回路52と、電圧検出部であるバッテリーチェック回路54と、が接続されている。
【0036】
制御部40はCPUであって、タッチパネル入力部4からのキー入力信号、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0037】
ROM41には、設定された文字列データ等を表示し印字するためのプログラムや印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0038】
そして、ROM41は、表示用のフォントのパターンデータを記憶する表示用CG(キャラクタージェネレータ)41aを有する。また、ROM41は、印字用のパターンデータを記憶する印字用CG(キャラクタージェネレータ)41bを有する。
【0039】
RAM42には、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印字データメモリ領域42aやタッチパネル表示部3に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域42bなどが確保されており、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどのワークエリア42cも設けられている。
【0040】
ヘッド駆動回路51は、印刷情報や書式設定の情報に従って印字部であるサーマルヘッド11を制御し、テープ部材31に印刷を実行させる。搬送用モータ駆動回路52は、搬送部を駆動させる回路であって、プラテンローラ12やリボン巻取軸を回転させるステッピングモータ等の搬送用モータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31およびインクリボン35を搬送する。
【0041】
バッテリーチェック回路54は、電池電圧を検出する電圧検出部であって、制御部40に向けて、電池電圧を直接的に、又は、所定の分解能を得るように圧縮拡張させて間接的に、アナログ信号を出力させる。制御部40は、入力したアナログ信号をAD変換等によりデジタル信号に変換して電池電圧の情報を得る。
【0042】
制御部40は、電圧検出制御部として、単純に電池電圧を検出する場合の他、作動時に最大負荷となる条件である装置内に装填された印字テープのテープ幅で印字範囲が最大となる長さの直線マークを示す印字データの制御信号を出力し、ヘッド駆動回路51を駆動させてサーマルヘッド11を制御し、縦方向の1ラインを印字させ、そのタイミングで電圧降下した電池電圧をバッテリーチェック回路54から出力されるアナログ信号により得て、電池電圧の残量を検出する。
【0043】
また、ROM41には、予め、無負荷状態や所定の負荷状態による電圧降下した電池電圧に基づいて、各種電池の残量、即ち、残量のレベルを示す情報が格納されている。具体的には、アルカリ電池、ニッケル水素2次電池等の装填可能な各電池の電池特性に基づいて、即時シャットダウン電圧、あと数枚のラベル作成が可能な残量少量電圧、及び、十分にラベル作成が可能な使用可能電圧等の情報が設定されて格納されている。
【0044】
また、制御部40は、バッテリーチェック回路54の電池電圧の残量の検出結果を受けて、電池残量判定部として、印字を継続するか否かを判定する。そして、制御部40は、検出結果が所定の閾値よりも低い時、例えば、上述の残量少量電圧であれば、タッチパネル表示部3を制御して印刷を継続するか否かの案内表示を行わせる。
【0045】
また、制御部40は、電池残量判定部として、検出結果が所定の閾値以上の時、例えば、上述の使用可能電圧であれば、警告等を発せず、印字部及び搬送部を制御して、直線マークを印字した後、搬送部を制御して印字テープに前余白の送り出しを行わせてから、印字部を制御して所定情報の印字を行わせる。ここで、所定情報とは、本来印字すべき文字や図案を含む情報のことであり、直線マークとは、当該所定情報の印刷開始位置よりも前に印字されるマークであって、当該所定情報の印刷開始位置との間の余白によって、前余白を規定するものである。
【0046】
つまり、印字装置1は、印字制御部である制御部40が、印字部であるヘッド駆動回路51、及び、搬送部である搬送用モータ駆動回路52を制御することにより、文字列をテープ部材31に印字してラベルを作成することができる。
【0047】
次に、本実施形態の印字装置1において、印刷に必要な電池容量を正確に検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字する印字装置の流れについて図を用いて説明する。図5は、印字装置1でラベルを作成する流れを示すフローチャートである。図6は、本実施形態の印字装置1における印刷動作時のタッチパネル表示部3の表示例である。図7は、本実施形態の印字装置1における印刷動作時の印字テープの搬送処理、及び、印字処理の流れを示す図である。
【0048】
先ず、印字装置1がラベル印刷モードとされると制御部40は、作成するラベルの文字等をユーザに入力又は選択させるメッセージをタッチパネル表示部3に表示させる
【0049】
なお、ラベル作成開始時は、先述のとおり、前回ラベル作成時に生成されるサーマルヘッド11と手動カッター17との間の空間により、テープ部材31先端からサーマルヘッド11までの距離Lからなる余白部分100が生成されている。
【0050】
ユーザによって作成するラベルの文字等が入力又は選択されると、制御部40は、図6(a)に示す画面をタッチパネル表示部3に表示する。この画面において、作成するラベルの枚数をユーザに入力又は選択させる。ユーザによる入力又は選択が完了すると、制御部40は、図6(b)に示す画面をタッチパネル表示部3に表示して、印刷処理を開始する。この印刷処理の最初に、制御部40は、印字制御部として、図7(b)に示すように、切断位置を示す破線や点線による直線マークPを印字テープに印字させる処理を実行しながら、これと並行して、バッテリーチェック回路54により電池電圧を読み込んで、電池残量を検出する処理(ステップS101)を実行する。この並行処理によって、制御部40は、印刷に必要な電池容量を正確に検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とする直線マークPを印字する。この際、制御部40は、ラベルの前余白Mが適切な長さになるような位置に直線マークPを印字する。
【0051】
そして、制御部40は、電池電圧の検出結果を受けて、電池残量判定部として、予めROM41に格納される各種電池毎の容量状態を示す即時シャットダウン電圧、残量少量電圧及び使用可能電圧の値である閾値と比較して、印字を継続することが可能な電池残量であるか否かを判定する処理(ステップS105)を行う。なお、制御部40は、即時シャットダウン電圧以下であれば、直ちに、電源オフ処理を実行する。
【0052】
検出結果が所定の閾値よりも低い時、つまり、残量少量電圧の値と判断すると、電池残留警告表示処理(ステップS135)に進み、使用可能電圧の値があると判断すると、前余白搬送処理(ステップS110)に進む。
【0053】
そして、制御部40は、電池残留警告表示処理(ステップS135)として、図6(c)に示すように、タッチパネル表示部3を制御してユーザーに印刷を続行するか否かの案内表示を行う。
【0054】
印刷継続判定(ステップS140)として、ユーザーにより残量少量電圧の値であっても印刷続行を指示することを示す操作としてタッチパネル入力部4で「印刷継続する」を選択入力されると、入力処理として印刷を続行すべく、前余白搬送処理(ステップS110)に進む。また、印刷継続判定(ステップS140)として、ユーザーにより印刷中止を指示することを示す操作としてタッチパネル入力部4で「印刷継続しない」を選択入力されると、処理を終了する。
【0055】
そして、制御部40は、ステップS105において、印字を継続することが可能な使用可能電圧の値と判定すると、切断位置を示す直線マークを印字した位置から作成するラベル用の所定量の前余白分Mを搬送する前余白搬送処理(ステップS110)を実行する。
【0056】
制御部40は、さらに前余白分を搬送すると、図6(d)に示すように、「印刷中」の案内表示をするとともに、ラベル用の所定情報の文字印字を開始する文字印字処理(ステップS115)を実行する。
【0057】
続いて、制御部40は、印字処理及び搬送処理を行い、図7(b)乃至図7(e)に示すように、ラベル用の文字印字を完了すると、ラベル用の所定量の後余白分Nを搬送する後余白搬送処理(ステップS120)を実行する。
【0058】
その後、余白分の最終端部が手動カッター17の位置まで搬送すべく、余白L分搬送処理(ステップS125)を実行し、所定位置まで搬送すると停止し、処理を終了する。
【0059】
そして、図7(f)に示すように、ユーザが手動カッターによる押下操作により備え付けのカッターを駆動させたり、又は、印字テープを装置テープ排出部近傍に備え付けた刃に噛ませるなどして印字テープを切断させてラベルを作成する。
【0060】
また、印字テープの後端を切断して生成したラベルの先端部分には、切断位置を示す直線マークPを印字して有ることから、ユーザーが、直線マークPを目印として、図7(g)に示すように挟み等で切断すれば、作成したラベルの体裁を正しく整えることができる。
【0061】
なお、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字するにあたっては、破線、点線に限定されず印字テープの最大長さを示す実線による直線マークPを印字させるようしても構わず、これにより、印刷処理に必要な最大負荷を加えた状態で電池残量を検出することができ、より正確に適正な電池残量で有るか否かの判定が可能となる。
【0062】
以上のように、本発明の実施形態によれば、印刷に必要な電池容量を正確に検出するとともに、ラベルの体裁を正しく整えることを容易とするマークを印字する印字装置1と、該印字装置1の印字方法と、当該印字方法を印字装置1に実現させるための印字制御プログラムとを提供することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態によれば、テープ幅に合せた最大長さの直線マークPを印字テープに印字させることができることから、印刷時に必要な電池残量の検出に必要な通電を行って、電池電圧の残量を正しく検出することができる。
【0064】
さらに、本発明の実施形態によれば、電圧検出部の検出結果に基づいて印字を継続するか否かを判定し、検出結果が所定の閾値よりも低い時には、印刷するか否かの問い合わせを行うことにより、印刷中止を選択すれば電力不足によって、ラベル作成が完了する前に電池残量がなくなってしまうといった問題を防止することができる。
【0065】
そして、本発明の実施形態によれば、電圧検出部の検出結果が所定の閾値以上の時、直線マークPを印字した後、印字テープに前余白の送り出しを行わせてから、印字部により所定情報の印字を行わせることにより、前余白を適正とするラベルを作成することができる。
【0066】
さらに、本発明の実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできる印字制御プログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等で印字制御プログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶された印字制御プログラムを読み取り可能であって、読み取った印字制御プログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0068】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 印字テープに印字する印字部と、
電池電圧を検出する電圧検出部と、
前記印字部によって前記印字テープに所定情報を印字させるのに先だって、前記印字部によって前記印字テープにマークを印字させるとともに、当該マークの印字と並行して、前記電圧検出部によって前記電池電圧を検出させるように、前記印字部および前記電圧検出部を制御する印字制御部と、を備えることを特徴とする印字装置。
[2] 前記印字制御部は、前記印字テープの幅に合せた長さの直線を前記マークとして、前記印字部によって前記印字テープに印字させることを特徴とする上記[1]に記載の印字装置。
[3] 情報を表示する表示部と、
前記電圧検出部の検出結果に基づいて印字を継続するか否かを判定する電池残量判定部と、を更に備え、
当該電池残量判定部は、前記検出結果が所定の閾値よりも低い時、前記表示部に印刷を続行するか否かの案内表示を行わせることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の印字装置。
[4] 前記印字テープを搬送させる搬送部をさらに備え、
前記電池残量判定部は、前記検出結果が所定の閾値以上の時、前記印字部によって前記印字テープに前記マークの印字後に、次いで、前記搬送部によって前記印字テープを前余白に相当する長さ分だけ送り出させて、次いで、前記印字部によって所定の情報を印字させることを特徴とする上記[3]に記載の印字装置。
[5] 印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出することを特徴とする印字装置の印字方法。
[6] 印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。
【符号の説明】
【0069】
1 印字装置 2 筐体
3 タッチパネル表示部 3a キーボード領域
3b 文字編集領域
4 タッチパネル入力部 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ
15 カセット受部 16 テープ幅検出スイッチ
17 手動カッター 19 リボン巻取軸
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 41a 表示用CG
41b 印字用CG
42 RAM
42a 印字データメモリ領域 42b 表示データメモリ領域
42c ワークエリア
45 テープ印字機構
46 搬送用モータ
51 ヘッド駆動回路 52 搬送用モータ駆動回路
54 バッテリーチェック回路
63 タッチパネル表示部駆動回路
100 余白部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字テープに印字する印字部と、
電池電圧を検出する電圧検出部と、
前記印字部によって前記印字テープに所定情報を印字させるのに先だって、前記印字部によって前記印字テープにマークを印字させるとともに、当該マークの印字と並行して、前記電圧検出部によって前記電池電圧を検出させるように、前記印字部および前記電圧検出部を制御する印字制御部と、を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記印字制御部は、前記印字テープの幅に合せた長さの直線を前記マークとして、前記印字部によって前記印字テープに印字させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
情報を表示する表示部と、
前記電圧検出部の検出結果に基づいて印字を継続するか否かを判定する電池残量判定部と、を更に備え、
当該電池残量判定部は、前記検出結果が所定の閾値よりも低い時、前記表示部に印刷を続行するか否かの案内表示を行わせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記印字テープを搬送させる搬送部をさらに備え、
前記電池残量判定部は、前記検出結果が所定の閾値以上の時、前記印字部によって前記印字テープに前記マークの印字後に、次いで、前記搬送部によって前記印字テープを前余白に相当する長さ分だけ送り出させて、次いで、前記印字部によって所定の情報を印字させることを特徴とする請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出することを特徴とする印字装置の印字方法。
【請求項6】
印字テープに所定情報を印字するのに先だって、前記印字テープにマークを印字するとともに、当該マークの印字と並行して、電池電圧を検出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67041(P2013−67041A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205767(P2011−205767)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】