説明

印字装置

【課題】紙詰まりの防止と余白の削減が可能な印字装置を提供する。
【解決手段】用紙を紙送りする紙送り部と、前記用紙に印字する印字部と、小片として切り取ることができるように前記印字された用紙に切り込みを入れるカッタ部と、を備え、用紙排出口から小片が繋がった状態の印字された用紙を排出する印字装置において、前記用紙排出口から排出されて切り取られずに残っている小片の残存量を判定する判定部と、前記残存量が予め定めた所定量より多い場合、前記カッタ部の動作後における前記用紙の前記用紙排出口への紙送りを中止するよう前記紙送り部を制御し、前記以外の場合、前記カッタ部の動作後に前記用紙を前記用紙排出口へ紙送りするよう前記紙送り部を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レストラン等の飲食店において、厨房へ調理の指示を伝えるための伝票を印字する伝票出力装置(印字装置)が利用されている。図13に、伝票出力装置が伝票を印字して出力した様子を示す。同図に示されるように、伝票は、注文された料理1つ1つに対応する単品伝票901の形で伝票出力装置900の排出口902から出力されてくる。単品伝票901−1,901−2,901−3のそれぞれは、パーシャルカットされて前後の単品伝票と繋がった状態となっている。パーシャルカットとは、単品伝票を完全に切断して分離してしまうのではなく、一部分(図では中央)のみを残してカットする手法である。店員は、このように繋がった伝票から単品伝票901を切り取って、その単品伝票に指示された料理を調理する。
【0003】
伝票をパーシャルカットするカッタは、排出口902よりも所定距離(例えば10mm程度)離れた伝票出力装置内部に設置されている。そのため、図13の左側の図に示すように、最後に印字された単品伝票901−3は、排出口902から一部分のみしか排出されておらず、印字内容が見にくく、又、切り取る際に掴みにくくなっている。そこで、最後の単品伝票901−3を印字してパーシャルカットした後に伝票の用紙を紙送りすることによって、図13の右側の図に示すように、この最後の単品伝票901−3が内容を判読可能な位置まで排出口902の外に出てくるようにすることが行われている。ただし、この状態のまま次の単品伝票の印字をしてしまうと、紙送りをした分が印字の際の余白となってしまうので、紙戻しをしてから印字をすることで余白を削減可能とした伝票出力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−92371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図13の右側の図のように伝票を紙送りした後、例えば、厨房が混んでいるといった場合に、伝票出力装置から出力された単品伝票が暫くの間、切り取られずに排出口902からぶら下がったままになっている状況が起こり得る。このような状況で、新たに注文が入って次の伝票を印字する際に、特許文献1の伝票出力装置が伝票を紙戻ししてしまうと、単品伝票901のパーシャルカットされている部分が紙戻しの途中で伝票出力装置の内部に引っ掛かってしまい、紙詰まりが発生するという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙詰まりの防止と余白の削減が可能な印字装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る印字装置は、用紙を紙送りする紙送り部と、前記用紙に印字する印字部と、小片として切り取ることができるように前記印字された用紙に切り込みを入れるカッタ部と、を備え、用紙排出口から小片が繋がった状態の印字された用紙を排出する印字装置において、前記用紙排出口から排出されて切り取られずに残っている小片の残存量を判定する判定部と、前記残存量が予め定めた所定量より多い場合、前記カッタ部の動作後における前記用紙の前記用紙排出口への紙送りを中止するよう前記紙送り部を制御し、前記以外の場合、前記カッタ部の動作後に前記用紙を前記用紙排出口へ紙送りするよう前記紙送り部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る印字装置は、上記の印字装置において、前記制御部は、前記印字部が印字を行った後に前記用紙の前記カッタ部への紙送りを一時的に中止し、その後の所定期間内に次の印字命令を受けなかった場合、前記用紙を前記カッタ部へ紙送りして前記用紙に切り込みを入れるよう、前記紙送り部と前記カッタ部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る印字装置は、上記の印字装置において、前記カッタ部が前記用紙に切り込みを入れた回数を記憶する記憶部を備え、前記判定部は、前記記憶部に記憶された回数に基づいて前記残存量を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る印字装置は、上記の印字装置において、前記用紙排出口から所定距離離れた箇所に前記用紙が到達したか否かを判別するセンサを備え、前記判定部は、前記センサの判別結果に基づいて前記残存量を判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る印字装置は、上記の印字装置において、前記用紙排出口に前記用紙が有るか無いかを判別するセンサと、前記紙送り部による前記用紙の紙送り量を記憶する記憶部と、を備え、前記判定部は、前記センサにより用紙無しと判別された時点から測った前記紙送り量に基づいて前記残存量を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印字装置において紙詰まりの防止と余白の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による印字装置が適用された注文管理システムの構成図である。
【図2】注文管理システムの全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】注文管理装置のブロック図である。
【図4】注文管理装置によって作成される伝票データのデータ構成を示す図である。
【図5】伝票出力装置が印字を行って出力する伝票の一例を示す図である。
【図6】伝票出力装置の内部の構造を示す図である。
【図7】伝票出力装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】伝票出力装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】伝票出力装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】伝票作成指示データのデータ構成を示す図である。
【図11】伝票出力装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】伝票出力装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】従来の伝票出力装置が伝票を印字して出力した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態による印字装置が適用された注文管理システムの構成図であり、図2は、注文管理システムの全体の動作の流れを示すフローチャートである。この注文管理システムは、注文入力装置10と、注文管理装置20と、伝票出力装置30(印字装置)を含んで構成され、例えば、レストラン等の飲食店に導入されて利用される。
【0015】
注文入力装置10は、店員が注文を入力するために使用する携帯型の端末装置であり、注文を入力するための入力機能、入力した内容を確認するために表示をする表示機能、注文データを送信する送信機能等を有している。注文データには、後述するテーブルNo.及び担当No.の各データと、注文された料理の名称や数量等のデータが含まれる。注文入力装置10は、店員が注文を入力する(ステップS11)と、注文データを作成して(ステップS12)、作成した注文データを無線で注文管理装置20へ送信する(ステップS13)。
【0016】
注文管理装置20は、飲食店の注文を管理するサーバ装置であり、図3に示すように、CPU21と、無線通信部22と、記憶部23とを有している。注文管理装置20は、注文入力装置10から送信された注文データを無線通信部22により受信し(ステップS14)、受信した注文データを記憶部23に登録する(ステップS15)。また、注文管理装置20は、記憶部23に予め出力設定データを記憶しており、この出力設定データを利用して注文データから伝票データを作成し(CPU21の伝票データ作成機能)(ステップS16,ステップS17)、作成した伝票データを無線通信部22から無線で伝票出力装置30へ送信する(ステップS18)。
【0017】
伝票出力装置30は、厨房へ調理の指示を伝えるための伝票を印字する装置である。伝票出力装置30は、注文管理装置20から送信された伝票データを受信し(ステップS19)、受信した伝票データに基づいて伝票を印字する(ステップS20)。
【0018】
図4は、注文管理装置20によって作成される伝票データのデータ構成を示す図である。伝票データは、先頭から順に、伝票No.,テーブルNo.,担当No.,時刻,単品伝票データ(単品伝票1データ,単品伝票2データ,単品伝票3データ,…),カット命令の各データが配列されて構成される。単品伝票データとカット命令は、注文された料理の数の分だけ続けて配列される(図の例では、注文された料理の数が3である場合が示されている)。
【0019】
伝票No.とは、多数の伝票データを1つ1つ区別するために割り振られる固有の番号である。テーブルNo.とは、飲食店内のテーブル(座席)を特定する番号である。担当No.とは、客から注文を受けてその入力を行った店員を特定する番号である。時刻は、注文管理装置20が伝票データを作成した時刻を表す。単品伝票データとは、注文された料理1つ1つを表す情報であり、料理の名称や注文数量などの情報を含む。例えば、あるテーブルから受けた注文が「カツカレー、シチュー、ツナサラダを各1個」であったとすると、単品伝票1データは「カツカレー 1」、単品伝票2データは「シチュー 1」、単品伝票3データは「ツナサラダ 1」である。カット命令とは、伝票をパーシャルカットすることを指示する命令(データ)である。
【0020】
図5は、伝票出力装置30が印字を行って出力する伝票の一例を示す図である。この例において、伝票は、単品伝票1,単品伝票2,単品伝票3の3つの単品伝票が集合して構成されている。単品伝票とは、注文された料理1つ1つに対応する、伝票の個片のことである。各単品伝票には、上述した伝票データに基づいて伝票No.とテーブルNo.と担当No.と時刻とが印字されている。また、単品伝票1,単品伝票2,単品伝票3のそれぞれには、上述した伝票データに含まれる単品伝票1データ,単品伝票2データ,単品伝票3データに基づいて、注文された料理の名称と数量が印字されている。更に、単品伝票1と単品伝票2の間、及び、単品伝票2と単品伝票3の間は、上述した伝票データに含まれるカット命令に基づくパーシャルカットが施されている(各単品伝票の間が中央の一部分のみを残してカットされている)。
【0021】
図6は、伝票出力装置30の内部の構造(一部分)を示す図である。伝票出力装置30の内部には、プラテンローラ31と、印字ヘッド32と、用紙切れセンサ33と、カッタ部34が設けられている。また、カッタ部34は、固定刃34Aと可動刃34Bからなる。
【0022】
プラテンローラ31は、ロール紙39の紙送りや紙戻しを行う機構部品である。具体的には、ロール紙39がプラテンローラ31と印字ヘッド32の間に保持されており、プラテンローラ31が回転することによって、ロール紙39が紙送り又は紙戻しされる。
【0023】
印字ヘッド32は、ロール紙39に印字を行う部品である。本実施形態では、ロール紙39として熱を加えると色が変化する感熱紙を使用し、印字ヘッド32としてロール紙39に熱を加えることによって印字を行う加熱型の印字ヘッドを適用するものとする。
用紙切れセンサ33は、ロール紙39が無くなったか否かを検出するセンサであり、印字ヘッド32の近傍に設けられている。
【0024】
カッタ部34は、印字されたロール紙39(伝票)をパーシャルカットする部分である。カッタ部34の可動刃34Bは図中の上下方向に移動可能となっており、この可動刃34Bが下方へ動いて固定刃34Aと可動刃34Bの間にロール紙39を挟み込むことによって、ロール紙39がパーシャルカットされて単品伝票TDが形成される。
排出口36は、パーシャルカットされた単品伝票TDが排出されてくる開口部である。
【0025】
更に、図6において、排出口36の近傍(排出口36よりも内側)のA点には、用紙有無センサ35Aが設けられている。用紙有無センサ35Aは、パーシャルカットされた単品伝票TDがA点に存在するか否かを検出するセンサであり、例えば、透過型の光センサや反射型の光センサである。この用紙有無センサ35Aにより、排出口36から排出された単品伝票TDが切り取られずに排出口36の先にぶら下がったままになっているか、あるいは、店員により切り取られて排出口36の部分から取り去られたかを判断可能である。
【0026】
また、図6において、排出口36よりも下方(例えば、単品伝票数枚分、排出口36から離れた位置)のB点には、用紙有無センサ35Bが設けられている。用紙有無センサ35Bは、排出された単品伝票TDが排出口36からB点まで到達したか否かを検出するセンサである。この用紙有無センサ35Bにより、排出口36から排出され店員に切り取られずに残っている単品伝票TDの枚数が、排出口36とB点間の距離に対応する枚数と比べて多いか少ないかを判断可能である。
なお、この用紙有無センサ35Bは省略することもできる。
【0027】
図7は、伝票出力装置30の電気的構成を示すブロック図である。伝票出力装置30は、制御部(CPU)301と、記憶部(ROM,RAM,不揮発性メモリ)302と、無線通信部303と、プリンタ部制御回路304と、カッタ部制御回路305と、用紙有無センサ制御回路306とを有している。
【0028】
無線通信部303は、注文管理装置20から送信された伝票データを受信する。
記憶部302は、無線通信部303が受信した伝票データを記憶する。また、記憶部302は、制御部301が後述の判定を行うための閾値αを予め記憶している。
プリンタ部制御回路304は、制御部301から指示を受けて、印字ヘッド32とプラテンローラ31を制御し伝票の印字を行う。
カッタ部制御回路305は、制御部301から指示を受けて、可動刃34Bとプラテンローラ31を制御し伝票のパーシャルカットを行う。
用紙有無センサ制御回路306は、用紙有無センサ35A,35Bを制御し、用紙有無センサ35A,35Bから検出信号を受け取る。
【0029】
制御部301は、記憶部302に記憶された伝票データに基づいて後述する伝票作成指示データを生成する。そして、制御部301は、この伝票作成指示データに従って、伝票の印字をプリンタ部制御回路304へ指示し、伝票のパーシャルカットをカッタ部制御回路305へ指示する。
【0030】
このとき、制御部301は、伝票の印字を開始するに先立って、まず、前回出力した後店員に切り取られずに排出口36の先に残っている単品伝票TDの数量が、所定量より多いか少ないかを判定する。例えば、厨房が混んでいて直ちに次の料理を作り始められない状況では、店員は出力された単品伝票を切り取らず出力されたままにしておくので、排出口36に残っている単品伝票TDの数量は多くなる。逆に、直ぐに次の料理を作り始められる時は、店員は単品伝票を切り取って調理を開始するので、排出口36には単品伝票TDがほとんど残らない。
【0031】
上記の判定方法として、制御部301は、例えば、前回の伝票印字の際にカッタ部34が伝票をパーシャルカットした回数をカウントし、そのカウント値(即ち、作成された単品伝票の枚数)が記憶部302の閾値αを超えたか否かにより判定を行ってもよい。また、制御部301は、用紙有無センサ制御回路306から得られる用紙有無センサ35Bの検出信号を用いて判定を行ってもよい。また、制御部301は、これらを組み合わせて、用紙有無センサ35Bの検出信号により用紙無しと判定されてからのパーシャルカットの回数をカウントし、そのカウント値に基づいて判定を行ってもよい。また、制御部301は、プラテンローラ31の回転量を算出し、その回転量に基づいて判定を行ってもよい。
【0032】
制御部301は、切り取られずに残っている単品伝票の数量が多いか少ないかの判定結果に応じて、今回作成する伝票のうちの最後の単品伝票を印字しパーシャルカットした後に紙送りをするかしないかを決定する。具体的には、制御部301は、切り取られずに残っている単品伝票の数量が所定量より少ないと判定した場合には、今回の最後の単品伝票を印字しパーシャルカットした後に当該パーシャルカットされた箇所が用紙有無センサ35Aの少し手前に来るまで紙送りをするよう、プリンタ部制御回路304とカッタ部制御回路305に指示する。また、制御部301は、切り取られずに残っている単品伝票の数量が所定量より多いと判定した場合には、今回の最後の単品伝票を印字しパーシャルカットした後の紙送りを行わないよう、プリンタ部制御回路304とカッタ部制御回路305に指示する。
【0033】
例えば厨房が空いている時は、上記の制御により、最後の単品伝票が紙送りされて、その印字内容全体を外から視認でき、また単品伝票を切り取り易い状態となる。よって、直ちにその料理を作り始めるのに好都合である。
【0034】
また、厨房が混んでいる時は、上記の制御により、最後の単品伝票をパーシャルカットした後の紙送りが行われず、パーシャルカット箇所はカッタ部34の部分に留まることになる。したがって、紙送りをしなかった分、次回伝票を印字する際に用紙の余白を削減することができる。またそれだけでなく、従来のように最後の単品伝票をその内容が判読可能な位置まで紙送りした後、次回の伝票を印字する段階で余白削減のため今度は紙戻しをしていたのと比べて、紙戻しの工程が存在しないことにより紙詰まりの危険性が低減される。
このように、紙詰まりの防止と余白の削減を両立させることが可能である。なお、紙送りを行わないため最後の単品伝票は完全には外から見えないが、厨房が混んでおり直ちにその料理を作り始められる状況ではないので問題はない。
【0035】
次に、伝票出力装置30の処理の流れを、図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。伝票の印字をまだ1枚も行っていない状態(初期状態)から説明を始める。
まず、制御部301は、紙送りフラグをOFFにセットし(ステップS101)、伝票フラグ(後述)をONにセットし(ステップS101A)、パーシャルカットの回数を表す変数iを「0」にセットする(ステップS101B)。紙送りフラグOFFは、前回伝票をパーシャルカットしてから紙送りをしていない状態を意味する。
【0036】
制御部301は、無線通信部303が注文管理装置20から伝票データを受信したか否かを確認する(ステップS102)。伝票データが受信され記憶部302に記憶されると、制御部301は、伝票出力装置30の電源が投入されてから用紙のカットを行ったか否かを判定する(ステップS103)。この時点では初期状態であるため、ステップS103の判定結果は「No」となり、制御部301は、前回のパーシャルカットの回数を表す変数i0に変数iの値を代入して(ステップS110A)、その後、ステップS110の「伝票印字処理1」を実行する。
【0037】
「伝票印字処理1」において、制御部301は、伝票データを記憶部302から読み出して伝票作成指示データに変換し、変換により得られた伝票作成指示データを記憶部302に記憶する(ステップS110−1)。図10に、伝票作成指示データのデータ構成を示す。伝票作成指示データは、先頭から順に、単品伝票印字データ(単品伝票1印字データ,単品伝票2印字データ,単品伝票3印字データ,…)と、「印字ヘッドからカッタまでの距離分先をカット」命令(以下、単にカット命令と言う)と、「印字ヘッドからカッタまでの距離分紙送り」命令(以下、単に紙送り命令と言う)が配列されて構成される。単品伝票印字データとカット命令は、伝票データに含まれる単品伝票データの数と同じ数だけ配列される。
【0038】
単品伝票1印字データは、伝票データ中の単品伝票1データに対応した単品伝票を作成するための印字内容を指定するデータであり、伝票データ中の伝票No.とテーブルNo.と担当No.と時刻の各データ、及び、単品伝票1データの料理名称と数量のデータを含むデータである。単品伝票2印字データ,単品伝票3印字データ,…についても同様である。
カット命令は、各単品伝票印字データの印字完了時点からの紙送り量が、印字ヘッド32からカッタ部34のカット位置までの距離に一致した時にパーシャルカットを行うことを指示する命令(データ)である。紙送り命令は、印字ヘッド32からカッタ部34のカット位置までの距離分、伝票を紙送りすることを指示する命令(データ)である。
【0039】
制御部301は、次に、変数nを「1」にセットし(ステップS110−2)、更に変数iを「0」にセットする(ステップS110−3)。変数nはこれから印字する単品伝票を指定する変数である。例えば、n=1は単品伝票1印字データを用いて印字をすることを示す。変数iはパーシャルカットを行った回数をカウントするための変数である。
【0040】
次いで制御部301は、n=1であるので記憶部302から単品伝票1印字データを読み出して、この単品伝票1印字データに従いプリンタ部制御回路304に単品伝票1(今回印字する伝票のうち1枚目の単品伝票)の印字を指示し、その後、記憶部302から単品伝票1印字データの次のカット命令を読み出して保持する(ステップS110−4)。制御部301は、伝票作成指示データの次のデータが単品伝票印字データであるかどうかにより、全ての単品伝票の印字が完了したか否かを判定する(ステップS110−5)。
【0041】
まだ印字していない単品伝票がある場合(ステップS110−5で「No」)、制御部301は、変数nを「1」インクリメントする(ステップS110−6)。この結果n=2となるので、制御部301は、ステップS110−4と同様に単品伝票2(2枚目の単品伝票)の印字をプリンタ部制御回路304に指示し、その後次のカット命令を読み出して保持する(ステップS110−7)。
【0042】
ここで、単品伝票2の印字に伴って行われる紙送りにより、既に印字済みの単品伝票1の末端部分がカッタ部34のカット位置に到達すると、制御部301は、ステップS110−4で保持しておいたカット命令に従いカッタ部制御回路305に伝票のパーシャルカットを指示する(同ステップS110−7)。そしてステップS110−7の後、制御部301は、変数iを「1」インクリメントする(ステップS110−8)。これにより、単品伝票1と単品伝票2の間にパーシャルカットが施され、パーシャルカットの回数が変数iにセットされる。
【0043】
その後、全ての単品伝票の印字が完了するまで、ステップS110−5〜ステップS110−8の処理が繰り返される。そして、全ての単品伝票の印字が完了すると、ステップS110−5の判定結果は「Yes」となり、処理はステップS110−9へ進む。なお、この時点では、最後の単品伝票の末端部分は印字ヘッド32のところにあり、パーシャルカットは行われていない。
【0044】
制御部301は、記憶部302から紙送り命令を読み出して、この紙送り命令に従いカッタ部制御回路305にプラテンローラ31による紙送りを指示する(ステップS110−9)。この紙送りによって最後の単品伝票の末端部分がカッタ部34のカット位置に到達すると、制御部301は、最後にステップS110−7の処理をした際に保持しておいたカット命令に従い、カッタ部制御回路305にパーシャルカットを指示する(同ステップS110−9)。そしてステップS110−9の後、制御部301は、変数iを「1」インクリメントする(ステップS110−10)。この結果、最後の単品伝票の末端部分にパーシャルカットが施され、今回の伝票作成処理で行ったパーシャルカットのトータル回数が変数iに記録される。なお、この時、最後の伝票の末端部分はカッタ部34のところにあり、最後の伝票は排出口36から全体が見えていない状態にある。
以上で「伝票印字処理1」が終了し、処理はステップS111へ進む。
【0045】
制御部301は、「伝票印字処理1」を実行中にエラーが発生したか否かを判定する(ステップS111)。エラーが発生した場合、制御部301は、所定の印字エラー処理を行う(ステップS117)。
【0046】
エラーが発生しなかった場合、制御部301は、伝票フラグがONであるかOFFであるかを確認する(ステップS112)。伝票フラグは、出力した伝票が排出口36から切り取られているか、切り取られずに残っているかを表すフラグであり、切り取られている場合を伝票フラグON、切り取られていない場合を伝票フラグOFFとする。制御部301は、用紙有無センサ35Aの検出信号に基づいて、伝票フラグをON又はOFFにセットする。
【0047】
この時点では、最後の伝票が排出口36のところに存在しているので、伝票フラグはOFFであり、処理はステップS113へ進む。制御部301は、前回の「伝票印字処理1」で伝票を作成した際に記録されたパーシャルカットのトータル回数i0と、記憶部302に予め記憶されている閾値αとの大小を判定する(ステップS113)。今回は伝票出力装置30の電源を投入してから最初の伝票作成であるため、前回のトータル回数は初期値としてi0=0であるとする。すると、処理はステップS114へ進み、制御部301は、今回の「伝票印字処理1」で印字しパーシャルカットした最後の単品伝票がその内容を判読可能な位置まで排出口36の外に出てくるよう、プラテンローラ31に紙送りを行わせる(ステップS114)。
【0048】
そして、制御部301は、紙送りフラグをONにセットする(ステップS115)。紙送りフラグONは、伝票をパーシャルカットした後に紙送りを行って、伝票のパーシャルカットした部分が用紙有無センサ35Aの少し手前まで来ている状態を意味する。その後、処理はステップS102へ戻り、次の伝票データが受信されると、上述と同様に処理はステップS103へ進む。
【0049】
この時、既に伝票の作成を行った後であるのでステップS103の判定結果は「Yes」となり、処理はステップS104へ進む。制御部301は、用紙有無センサ35Aの検出信号を確認して、排出口36から出力済みの単品伝票が切り取られているか、切り取られずに残っているかを判定する(ステップS104)。
【0050】
単品伝票が切り取られている場合には、用紙の先端部分が用紙有無センサ35Aの少し手前にある状態となっている。この場合、制御部301は、伝票フラグをONにセットし(ステップS105)、その後、用紙の先端部分が印字ヘッド32の位置に来るように紙戻しをプラテンローラ31に行わせる(ステップS106)。なお、パーシャルカットされた箇所が存在しないため、印字ヘッド32まで紙戻しをしても紙詰まりは生じない。
【0051】
単品伝票が切り取られていない場合には、制御部301は、伝票フラグをOFFにセットする(ステップS107)。そして、制御部301は、紙送りフラグがONであるかOFFであるかを確認する(ステップS108)。この時点では、ステップS115で紙送りフラグはONにセットされているので、制御部301は、最後の単品伝票の末端にパーシャルカットが施された部分がカッタ部34のカット位置に来るように紙戻しをプラテンローラ31に行わせる(ステップS109)。なお、排出口36からカッタ部34までの部分には紙が引っ掛かる箇所がないため、カッタ部34までの紙戻しを行っても紙詰まりは生じない。
【0052】
一方、後述するステップS116で紙送りフラグがOFFにセットされている場合には、最後の単品伝票の末端にパーシャルカットが施された部分は既にカッタ部34のカット位置にあるため、制御部301は、ステップS109の紙戻しを省略する。
【0053】
ステップS106,ステップS108,ステップS109の後、制御部301は、上述と同様にステップS110AとステップS110とステップS111を実行する。そして、ステップS112において、制御部301は、ステップS105又はステップS107でセットされた伝票フラグを上述と同様に確認する(ステップS112)。
【0054】
制御部301は、ステップS107で伝票フラグがOFFにセットされていた場合、上述と同様にステップS113において、前回の「伝票印字処理1」で記録されたパーシャルカットのトータル回数i0と、記憶部302の閾値αとの大小を判定する(ステップS113)。
【0055】
判定の結果、i0<αであれば、制御部301は、上述と同様にステップS114,ステップS115を実行し、今回印字した最後の単品伝票が判読可能な位置まで来るように伝票を紙送りする制御を行う。前回作成した単品伝票の枚数が少ないi0<αの場合に紙送りをすることにより、今回作成した単品伝票もその印字内容が視認可能な状態となって、調理を迅速に行うことができる。
【0056】
一方、上記判定の結果、i0≧αであるときは、制御部301は、伝票の紙送りを行わないで、紙送りフラグをOFFにセット(ステップS116)して処理をステップS102へ移す。この結果、最後の単品伝票をパーシャルカットした箇所はカッタ部34の位置から動かない。そのため、上述したように、紙詰まりの防止と余白の削減を両立させることができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図7のブロック図において、第2の実施形態による伝票出力装置30は、制御部301と記憶部302が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と共通の部分は説明を省略し、異なる部分を中心に説明を行う。
【0058】
記憶部302は、第1の実施形態と同様に、無線通信部303が受信した伝票データを記憶し、また、閾値αを予め記憶している。第2の実施形態の記憶部302は、更に、制御部301が後述の制御を行うための閾値βを予め記憶している。
【0059】
制御部301は、第1の実施形態と同様の動作(制御)を行う。第2の実施形態の制御部301は、更に、最後の単品伝票を印字した後に一旦、この最後の単品伝票の末端部分をカッタ部34のカット位置に紙送りしてパーシャルカットする動作を保留させる。そして、閾値βにより定められた所定時間の間に無線通信部303が次の伝票データを受信しなかった場合は、その後、単品伝票の紙送りとパーシャルカットを行う。閾値βの所定時間内に次の伝票データが受信された場合には、当該次の伝票データを印字するのに伴って上記した最後の単品伝票も紙送りされるので、その時にパーシャルカットを行う。これにより、最後の単品伝票の後ろの余白を削減することができる。
【0060】
第2の実施形態による伝票出力装置30の処理の流れを、図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部301は、カット保留フラグをOFFにセットする(ステップS201)。カット保留フラグOFFは、最後の単品伝票をパーシャルカットしたことを意味する。
続くステップS202〜ステップS206,ステップS208〜ステップS211は、第1の実施形態のステップS101〜ステップS109と同じである。
【0061】
制御部301は、ステップS206の次に、紙送りフラグがONであるかOFFであるかを確認する(ステップS207)。紙送りフラグがONの場合、処理はステップS208へ進み、紙送りフラグがOFFの場合、処理はステップS212A,ステップS212へ進む。
ステップS212A及びステップS213〜ステップS215は、それぞれ第1の実施形態のステップS110A及びステップS111〜ステップS113と同じである。
【0062】
ステップS215の後、制御部301は、閾値βの所定時間内に次の伝票データが受信されたか否かを判断する(ステップS216)。閾値βの所定時間内に次の伝票データが受信された場合、制御部301は、カット保留フラグをONにセットする(ステップS222)。カット保留フラグONは、最後の単品伝票をまだパーシャルカットしていないことを意味する。
【0063】
一方、閾値βの所定時間内に次の伝票データが受信されなかった場合、処理はステップS217へ進む。ステップS217〜ステップS218は、第1の実施形態のステップS110−9〜ステップS110−10と同じである。ステップS218の後、制御部301は、カット保留フラグをOFFにセットする(ステップS219)。
【0064】
ステップS220,ステップS221,ステップS223,ステップS224は、第1の実施形態のステップS114〜ステップS117と同じである。
ステップS212−1〜ステップS212−3は、第1の実施形態のステップS110−1〜ステップS110−3と同じである。
【0065】
ステップS212−3の後、制御部301は、カット保留フラグがONであるかOFFであるかを確認する(ステップS212−4)。カット保留フラグがONの場合、制御部301は、第1の実施形態のステップS110−4と同様に単品伝票1の印字を行う(ステップS212−7)。この単品伝票1の印字に伴って紙送りが行われて、前回の最後の単品伝票の保留されていたパーシャルカットが行われる。カット保留フラグがOFFの場合、制御部301は、第1の実施形態のステップS110−4と同様に単品伝票1の印字を行い(ステップS212−5)、その後、変数iを「1」インクリメントする(ステップS212−6)。
【0066】
ステップS212−8〜ステップS212−11は、第1の実施形態のステップS110−5〜ステップS110−8と同じである。
【0067】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10…注文入力装置 20…注文管理装置 30…伝票出力装置 21…CPU 22…無線通信部 23…記憶部 31…プラテンローラ 32…印字ヘッド 33…用紙切れセンサ 34…カッタ部 34A…固定刃 34B…可動刃 35A,35B…用紙有無センサ 36…排出口 39…ロール紙 301…制御部 302…記憶部 303…無線通信部 304…プリンタ部制御回路 305…カッタ部制御回路 306…用紙有無センサ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を紙送りする紙送り部と、
前記用紙に印字する印字部と、
小片として切り取ることができるように前記印字された用紙に切り込みを入れるカッタ部と、
を備え、用紙排出口から小片が繋がった状態の印字された用紙を排出する印字装置において、
前記用紙排出口から排出されて切り取られずに残っている小片の残存量を判定する判定部と、
前記残存量が予め定めた所定量より多い場合、前記カッタ部の動作後における前記用紙の前記用紙排出口への紙送りを中止するよう前記紙送り部を制御し、前記以外の場合、前記カッタ部の動作後に前記用紙を前記用紙排出口へ紙送りするよう前記紙送り部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印字部が印字を行った後に前記用紙の前記カッタ部への紙送りを一時的に中止し、その後の所定期間内に次の印字命令を受けなかった場合、前記用紙を前記カッタ部へ紙送りして前記用紙に切り込みを入れるよう、前記紙送り部と前記カッタ部を制御することを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記カッタ部が前記用紙に切り込みを入れた回数を記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された回数に基づいて前記残存量を判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記用紙排出口から所定距離離れた箇所に前記用紙が到達したか否かを判別するセンサを備え、
前記判定部は、前記センサの判別結果に基づいて前記残存量を判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項5】
前記用紙排出口に前記用紙が有るか無いかを判別するセンサと、
前記紙送り部による前記用紙の紙送り量を記憶する記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記センサにより用紙無しと判別された時点から測った前記紙送り量に基づいて前記残存量を判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−201269(P2011−201269A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73328(P2010−73328)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】