説明

印字貼付装置

【課題】本発明は、装置をコンベアの側方に設置する場合でも、ユーザの手間を煩わせることなく、被貼付物の側面にラベルが上下逆向きに貼付されてしまうことを防止することができる印字貼付装置を提供することを課題とする。
【解決手段】姿勢判定部36は、印字貼付装置の姿勢を検知して姿勢信号を出力する姿勢検知センサ42から出力される姿勢信号に基づいてラベルの発行方向を判定し、CPU32は、姿勢判定部36による判定結果に応じてラベルに印字を施す向きを決定し、RAM33の描画領域に決定した向きのビットマップイメージデータを展開し、当該ビットマップイメージデータを印字発行部10によってラベルに印字を施して発行し、貼付部20によって発行したラベルを被貼付物に貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルに印字を行い、印字後のラベルを物品等の被貼付物に貼付する印字貼付装置に関し、特にコンベア等の搬送手段によって搬送されている被貼付物に印字後のラベルを貼付する印字貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアによって搬送されている被貼付物にラベルを貼付する場合には、被貼付物へのラベルの貼付位置に応じて、印字貼付装置は、コンベアに対して様々な位置に設置される。特に、コンベアによって搬送されている被貼付物の側面に印字後のラベルを貼付する場合には、印字貼付装置は、コンベアの側方に設置されることになり、ラベルの発行方向や、ラベルの流れ方向によっては、印字データが印字されたラベルが上下逆向きに貼付されてしまうため、コンベアに対するラベルの発行方向や、ラベルの流れ方向を考慮して印字データを作成する必要がある。
【0003】
また、被貼付物に貼付するラベルの方向を変更する装置として、ラベルをファン等の風圧で吸着し、ロボットアーム等で貼付位置に移動し、ラベルを貼り付け方向に回転させ指定された位置に貼り付ける貼付装置が存在するが(例えば、特許文献1参照)、被貼付物に貼付するラベルの方向は、ユーザによって設定されている。
【0004】
しかしながら、従来技術では、印字貼付装置に内蔵されている固定メッセージの向きは、所定の1方向に設定されているため、印字貼付装置がコンベアの側方に設置し、固定メッセージをラベルに印字して被貼付物に貼付する場合には、発行されたラベルの向きが上下逆向きになり、被貼付物の側面にラベルが上下逆向きに貼付されてしまう虞があると共に、ユーザが印字データの管理を誤ってしまった場合にも、発行されたラベルの向きが上下逆向きになり、被貼付物の側面にラベルが上下逆向きに貼付されてしまう虞があるという問題点があった。
【0005】
また、ロボットアーム等で貼付位置に移動し、ラベルを貼り付け方向に回転させる場合には、ラベルの方向を機械的に変更することが可能であるが、大規模で高価なラベル貼付機構が必要になってしまうと共に、被貼付物に貼付するラベルの方向をユーザが管理しなければならない。
【0006】
【特許文献1】特開2005−193926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置をコンベアの側方に設置する場合でも、ユーザの手間を煩わせることなく、被貼付物の側面にラベルが上下逆向きに貼付されてしまうことを防止することができる印字貼付装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、ラベルに印字を行って発行し、搬送手段によって搬送されている被貼付物に発行した前記ラベルを貼付する印字貼付装置であって、装置の姿勢を検知して姿勢信号を出力する姿勢検知センサと、該姿勢検知センサから出力される前記姿勢信号に基づいて前記ラベルの発行方向を判定する姿勢判定手段と、該姿勢判定手段による判定結果に応じて前記ラベルに印字を施す向きを決定する印字向き決定手段と、前記ラベルに対して前記印字向き決定手段によって決定された向きに印字を施して発行する印字発行手段と、該印字発行手段から発行された前記ラベルを前記被貼付物に貼付する貼付手段とを具備することを特徴とする印字貼付装置に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、固定メッセージが記憶されている固定メッセージ記憶手段を具備し、該固定メッセージ記憶手段に記憶されている前記固定メッセージを前記ラベルに印字する場合には、前記印字向き決定手段は、前記姿勢判定手段による判定結果に基づいて、前記ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向であるか否かを判断し、前記ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向である場合に、鉛直上方向が前記固定メッセージの上になる向きに決定することを特徴とする請求項1記載の印字貼付装置に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記ラベルに印字する印字データを外部から受信する印字データ受信手段を具備し、該印字データ受信手段によって受信された前記印字データを前記ラベルに印字する場合には、前記印字向き決定手段は、前記姿勢判定手段による判定結果に基づいて、前記印字データに設定されている向きで印字された前記ラベルが前記被貼付物に上下逆向きに貼付されてしまうか否かを判断し、上下逆向きに貼付されてしまう場合には、前記印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定することを特徴とする請求項1又は2記載の印字貼付装置に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記印字向き決定手段は、前記ラベルの発行方向が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向を下向きしたものである場合、前記ラベルの発行方向が鉛直下方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向を上向きしたものである場合、前記ラベルの発行方向の右側が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向の左側を上向きしたものである場合、もしくは、前記ラベルの発行方向の左側が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向の右側を上向きしたものである場合に、前記印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定することを特徴とする請求項3記載の印字貼付装置に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の印字貼付装置は、装置の姿勢を検知して姿勢信号を出力する姿勢検知センサから出力される姿勢信号に基づいてラベルの発行方向を判定し、当該判定結果に応じてラベルに印字を施す向きを決定し、ラベルに対して決定した向きに印字を施して発行し、発行したラベルを被貼付物に貼付するように構成することにより、設定された向きで印字されたラベルが上下逆向きに貼付されてしまうような姿勢で装置を設置、すなわちコンベアの側方に装置を設置した場合でも、装置の姿勢に応じて印字する向きを決定することができるため、ユーザの手間を煩わせることなく、固定メッセージや印字データが印字されたラベルが上下逆向きに被貼付物の側面に貼付されてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明の印字貼付装置は、固定メッセージ記憶手段に記憶されている固定メッセージをラベルに印字する場合には、姿勢信号に基づくラベルの発行方向の判定結果に応じて、ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向であるか否かを判断し、ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向である場合に、鉛直上方向が固定メッセージの上になる向きに決定するように構成することにより、コンベアの側方に装置を設置した場合でも、固定メッセージが印字されたラベルが常に鉛直上方向が上になるように被貼付物5側面に貼付されることになり、ラベルに印字された固定メッセージを容易に視認することができるという効果を奏する。
【0011】
さらに、本発明の印字貼付装置は、印字データ受信手段によって受信された印字データをラベルに印字する場合には、姿勢信号に基づくラベルの発行方向の判定結果に応じて、印字データに設定されている向きで印字されたラベルが被貼付物に上下逆向きに貼付されてしまうか否かを判断し、上下逆向きに貼付されてしまう場合には、印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定するように構成することにより、コンベアの側方に装置を設置した場合に、ラベルの発行方向や、ラベルの流れ方向を考慮することなく作成した印字データを用いても、印字データが印字されたラベルが上下逆向きに被貼付物の側面に貼付されてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る印字貼付装置の実施の形態の構成を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施の形態の印字貼付装置1は、図1を参照すると、パーソナルコンピュータ等のホスト2から印字データを受信し、受信した印字データをラベル3に印字して発行し、コンベア4上を搬送される荷物等の被貼付物5に発行したラベル3を貼付する装置であり、印字発行動作を実行する印字発行部10と、貼付動作を実行する貼付部20と、印字発行部10および貼付部20を制御する制御部30と、外部機器であるホスト2と制御部30とを接続する外部インターフェース(外部I/F)40と、リーダライタ41と、姿勢検知センサ42とを備えている。
【0015】
印字発行部10は、ラベル3が帯状台紙6に間隔を置いて仮着されたラベル連続体7を回転可能に保持する供給軸11と、図示しないモータによって回転駆動されるプラテンローラ12と、複数の発熱体がプラテンローラ12に対向する面に形成されているサーマルヘッド13と、先端が鋭角に形成され剥離板14と、ラベル3が剥離された帯状台紙6を巻き取る台紙巻取軸15とを備えている。供給軸11から繰り出されたラベル連続体7は、プラテンローラ12とサーマルヘッド13とで挟持搬送されると共に、ホスト2から受信された印字データに基づいてサーマルヘッド13に形成された複数の発熱体を選択的に発熱させ、ラベル3に印字を行うと共に、剥離板14でラベル3が帯状台紙6から剥離され、印字データが印字されたラベル3が発行される。なお、本実施の形態では、印字発行部10として熱転写方式を採用したが、インクジェット方式等の他の印字方式を採用しても良く、また、ラベル連続体7としてラベル3のみが連続して形成された、所謂台紙なしラベルを採用するようにして良い。
【0016】
また、印字発行部10には、RFID(Radio Frequency Identification)によって通信を行うRFタグが設けられているラベル3にも対応、すなわちホスト2から印字データと共にRFタグに書き込む通信データを受信した場合に、通信データをラベル3に設けられたRFタグに書き込むことができるように、ラベル3に設けられたRFタグと電磁波を用いた電磁誘導方式等で通信を行う通信手段であるRFIDアンテナ16が備えられている。なお、RFタグは、アンテナとICチップとからなり、電波を用いて無線(非接触)で情報通信が可能なタグであり、非接触ICタグ、無線ICタグ、非接触IC等の他の呼称で表される場合もあるが、本発明では、代表してRFタグと表現する。
【0017】
貼付部20は、印字発行部10から印字発行されたラベル3を吸引保持する吸着板21と、吸着板21を支持するロッド22と、ロッド22を伸縮させることで、コンベア4上を搬送される被貼付物5に向けて吸着板21を進退させるシリンダ23とを備えている。吸着板21は、図示しない真空装置に連通されており、真空装置の吸引作用により印字発行部10から印字発行されたラベル3を吸引保持する。次に、シリンダ23を駆動することでコンベア4上を搬送される被貼付物5の近傍まで吸着板21を移動させると共に、真空装置により吸着板21からエアー噴射させて、吸着板21に吸引保持していたラベル3をコンベア4上の被貼付物5に向けて吹き飛ばし、コンベア4上を搬送される被貼付物5にラベル3を貼付する。なお、本実施の形態では、貼付部20としてエアー噴射によってラベル3を貼付する方式を採用したが、ラベル3をシリンダ23で圧着して貼り付ける方式や、コンベア4上を搬送される被貼付物5上にラベル3を繰り出して圧接ローラで貼付する方式等の他の貼付方式を採用するようにしても良い。
【0018】
リーダライタ41は、RFIDアンテナ16を介してラベル3に設けられたRFタグと非接触通信を行う機能、すなわちRFタグ(ICチップのメモリ)に記憶されている情報を非接触で読み出す機能と、RFタグ(ICチップのメモリ)に情報を非接触で書き込む機能とを有する。
【0019】
姿勢検知センサ42は、例えば、静電容量型、ピエゾ抵抗型、熱分布検知型等の前後・左右・上下方向の加速度ベクトルが検知できる3軸加速度センサであり、印字貼付装置1の3次元における傾きに応じた姿勢信号を制御部30に出力する。
【0020】
制御部30は、図2を参照すると、所定の制御プログラムとフォントデータとを記憶するROM(read only memory)31と、ROM31に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御するCPU(central processing unit)32と、CPU32が動作する上で必要となる各種データを記憶するRAM(random access memory)33と、CPU32からの指示に基づいて、印字発行部10による印字発行動作を制御する印字制御部34と、貼付部20による貼付動作を制御する貼付制御部35と、姿勢検知センサ42からの姿勢信号に基づいて装置姿勢、すなわちラベル3の発行方向を3次元的に判定する姿勢判定部36と、ラベル3に印字する固定メッセージが記憶されている固定メッセージ記憶部37とを備えている。なお、固定メッセージとは、各種エラーや装置状態等をラベル3に印字してユーザに通知するために印字貼付装置1に内蔵されている印字データであり、本実施の形態では、ラベル3に設けられているRFタグに正しく通信情報が書き込めなかったことを通知する”RFID ERROR”という文字列が固定メッセージ記憶部37に記憶されているものとする。また、固定メッセージ記憶部37は、RAM33又はEEPROMに設けても良く適宜変更して構わない。
【0021】
次に、本実施の形態の発行貼付動作について図3乃至図7を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明に係る印字貼付装置の実施の形態の発行貼付動作を説明するためのフローチャートであり、図4および図5は、本発明に係る印字貼付装置の実施の形態のコンベアに対する設置例を示す図であり、図6は、本発明に係る印字貼付装置の実施の形態におけるラベルに印字する固定メッセージの向きを説明するための説明図であり、図7は、本発明に係る印字貼付装置の実施の形態におけるラベルに印字する印字データの向きを説明するための説明図である。
【0022】
外部I/F40を介してホスト2から送信されてきた印字データおよび通信データを受信すると、CPU32は、受信した通信データをリーダライタ41によってラベル3に設けられているRFタグに書き込む書き込み処理を行い(ステップA1)、正常に書き込むことができたか否かを判断する(ステップA2)。なお、RFタグへの通信データの書き込み処理は、リーダライタ41によってRFタグに予め記憶されているユニークIDの読み取りを実行した後に、通信データのRFタグへの書き込みが行われるが、ステップA2では、RFタグからのユニークIDの読み取りが正しく読み取れたか否か、RFタグに通信データを正しく書き込めたか否か、RFタグに書き込んだ通信データを正しく読み取ることができるか否かを判断することで、正常に書き込むことができたか否かを判断することができる。
【0023】
ステップA2でラベル3に設けられているRFタグに通信データを正常に書き込むことができなかったと判断された場合には、CPU32は、ラベル3に設けられているRFタグに正しく通信情報が書き込めなかったこと示す固定メッセージを固定メッセージ記憶部37から読み出すと共に、姿勢判定部36によって3次元的に判定された装置姿勢、すなわちラベルの発行方向に基づいて、図4(a)、(b)に示すように、被貼付物5側面にラベル3を貼付させる目的で印字貼付装置1がコンベア4の側方に設置され、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直方向であるか、また、図5(a)、(b)に示すように、被貼付物5側面にラベル3を貼付させる目的で印字貼付装置1がコンベア4の側方に設置され、印字発行部10によるラベル3の発行方向の左右が鉛直方向であるかを判断する(ステップA3)。なお、図4は、コンベア4による被貼付物5の搬送方向下流側から見た図であり、(a)には、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置された例が、(b)には、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直下方向になるように印字貼付装置1が設置された例がそれぞれ示されている。また、図5は、コンベア4の上方側から見た図であり、(a)には、印字発行部10によるラベル3の発行方向の右側が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置された例が、(b)には、印字発行部10によるラベル3の発行方向の左側が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置された例がそれぞれ示されている。さらに、図5(a)に示す印字貼付装置1は、前面側から見てラベル3が右から左に発行される、所謂右流れに設定された例が、図5(a)に示す印字貼付装置1は、前面側から見てラベル3が左から右に発行される、所謂左流れに設定された例がそれぞれ示されている。
【0024】
ステップA3で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直方向、もしくは印字発行部10によるラベル3の発行方向の左右が鉛直方向であると判断された場合には、CPU32は、読み出した固定メッセージに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、鉛直上方向が上になる向きで、固定メッセージに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に展開する(ステップA4)。すなわち、図4(a)に示すように、発行方向が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置されている場合には、図6(a)に示すように、発行方向が上になる向きで固定メッセージがビットマップイメージデータに展開され、図4(b)に示すように、発行方向が鉛直下方向になるように印字貼付装置1が設置されている場合には、図6(b)に示すように、発行方向が下になる向きで固定メッセージがビットマップイメージデータに展開され、図5(a)に示すように、発行方向の右側が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置されている場合には、図6(c)に示すように、発行方向の右側が上になる向きで固定メッセージがビットマップイメージデータに展開され、図5(b)に示すように、発行方向の左側が鉛直上方向になるように印字貼付装置1が設置されている場合には、図6(d)に示すように、発行方向の左側が上になる向きで固定メッセージがビットマップイメージデータに展開されることになる。
【0025】
なお、向きの異なるビットマップイメージデータの展開に際し、異なる向きに設定された固定メッセージを固定メッセージ記憶部37にそれぞれ記憶させておくようにしても良く、所定の向きに設定された固定メッセージを固定メッセージ記憶部37に記憶させておき、ビットマップイメージデータに展開する際に、設定された向きとは異なる向きに回転させるようにしても良い。
【0026】
次に、CPU32は、展開したビットマップイメージデータの印字を印字制御部34に指示すると共に、印字発行されるラベル3の貼付を貼付部20に指示し、印字制御部34は、印字発行部10を用いて鉛直上方向が上になる向きの固定メッセージをラベル3に印字発行させ、貼付部20は、印字発行部10から印字発行されたラベル3を被貼付物5側面に貼付させる(ステップA5)。このようにして被貼付物5側面に貼付されたラベル3には、常に鉛直上方向が上になる固定メッセージが印字されることになり、ユーザは、ラベル3に印字された固定メッセージを容易に視認することができる。
【0027】
ステップA3で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直方向でなく、且つ印字発行部10によるラベル3の発行方向の左右が鉛直方向でないと判断された場合、すなわち、印字発行部10によってコンベア4上の被貼付物5の上面と平行にラベル3が発行される場合には、CPU32は、読み出した固定メッセージに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字される向きを判断することなく、すなわち固定メッセージに予め設定されている向きで、固定メッセージに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に展開し(ステップA6)、ステップA5の処理で、被貼付物5上面に固定メッセージが印字されたラベル3を貼付させる。なお、搬送方向に対する固定メッセージの向きを設定しておくことも可能である。この場合には、ステップA4と同様の処理で、設定された向きで、固定メッセージに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に展開するようにすると良い。
【0028】
ステップA2でラベル3に設けられているRFタグに通信データを正常に書き込むことができたと判断された場合には、CPU32は、姿勢判定部36によって判定された装置姿勢に基づいて、図4(a)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直上方向であり、且つ、図7(a)に示すように、印字データが発行方向を下にした向きに設定されているか否かを判断する(ステップA7)。
【0029】
ステップA7で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直上方向であり、且つ印字データが発行方向を下にした向きに設定されている場合には、CPU32は、印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字データに対応するビットマップイメージデータを180°回転させてRAM33の描画領域に展開する(ステップA8)。すなわち、図4(a)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直上方向であり、且つ、図7(a)に示すように、印字データが発行方向を下にした向きに設定されている場合には、図7(b)に示すように、発行方向が上になる向きに180°回転されて印字データがビットマップイメージデータに展開される。
【0030】
ステップA7で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直上方向でないか、もしくは印字データが発行方向を下にした向きに設定されていない場合には、CPU32は、姿勢判定部36によって判定された装置姿勢に基づいて、図4(b)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直下方向であり、且つ、図7(b)に示すように、印字データが発行方向を上にした向きに設定されているか否かを判断する(ステップA9)。
【0031】
ステップA9で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直下方向であり、且つ印字データが発行方向を上にした向きに設定されている場合には、CPU32は、印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字データに対応するビットマップイメージデータを180°回転させてRAM33の描画領域に展開する(ステップA8)。すなわち、図4(b)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直下方向であり、且つ、図7(b)に示すように、印字データが発行方向を上にした向きに設定されている場合には、図7(a)に示すように、発行方向が下になる向きに180°回転されて印字データがビットマップイメージデータに展開される。
【0032】
ステップA9で印字発行部10によるラベル3の発行方向が鉛直下方向でないか、もしくは印字データが発行方向を上にした向きに設定されていない場合には、CPU32は、姿勢判定部36によって判定された装置姿勢に基づいて、図5(a)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向の右側が鉛直上方向であり、且つ、図7(c)に示すように、印字データが発行方向の左側を上にした向きに設定されているか否かを判断する(ステップA10)。
【0033】
ステップA10で印字発行部10によるラベル3の発行方向の右側が鉛直上方向であり、且つ印字データが発行方向の左側を上にした向きに設定されている場合には、CPU32は、印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字データに対応するビットマップイメージデータを180°回転させてRAM33の描画領域に展開する(ステップA8)。すなわち、図5(a)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向の右側が鉛直上方向であり、且つ、図7(c)に示すように、印字データが発行方向の左側を上にした向きに設定されている場合には、図7(d)に示すように、発行方向の右側が上になる向きに180°回転されて印字データがビットマップイメージデータに展開される。
【0034】
ステップA10で印字発行部10によるラベル3の発行方向の右側が鉛直上方向でないか、もしくは印字データが発行方向の左側を上にした向きに設定されていない場合には、CPU32は、姿勢判定部36によって判定された装置姿勢に基づいて、図5(b)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向の左側が鉛直上方向であり、且つ、図7(d)に示すように、印字データが発行方向の右側を上にした向きに設定されているか否かを判断する(ステップA11)。
【0035】
ステップA11で印字発行部10によるラベル3の発行方向の左側が鉛直上方向であり、且つ印字データが発行方向の右側を上にした向きに設定されている場合には、CPU32は、印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字データに対応するビットマップイメージデータを180°回転させてRAM33の描画領域に展開する(ステップA8)。すなわち、図5(b)に示すように、印字発行部10によるラベル3の発行方向の左側が鉛直上方向であり、且つ、図7(d)に示すように、印字データが発行方向の右側を上にした向きに設定されている場合には、図7(c)に示すように、発行方向の左側が上になる向きに180°回転されて印字データがビットマップイメージデータに展開される。
【0036】
ステップA11で印字発行部10によるラベル3の発行方向の左側が鉛直上方向でないか、もしくは印字データが発行方向の右側を上にした向きに設定されていない場合には、CPU32は、印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字される向きを回転させることなく、すなわち印字データに予め設定されている向きで、印字データに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に展開する(ステップA12)。
【0037】
次に、CPU32は、展開したビットマップイメージデータの印字を印字制御部34に指示すると共に、印字発行されるラベル3の貼付を貼付部20に指示し、印字制御部34は、印字発行部10を用いてステップA8もしくはステップA12でビットマップイメージデータに展開された印字データをラベル3に印字発行させ、貼付部20は、印字発行部10から印字発行されたラベル3を被貼付物5側面に貼付させる(ステップA13)。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、姿勢判定部36は、印字貼付装置1の姿勢を検知して姿勢信号を出力する姿勢検知センサ42から出力される姿勢信号に基づいてラベル3の発行方向を判定し、CPU32は、姿勢判定部36による判定結果に応じてラベル3に印字を施す向きを決定し、RAM33の描画領域に決定した向きのビットマップイメージデータを展開し、当該ビットマップイメージデータを印字発行部10によってラベル3に印字を施して発行し、貼付部20によって発行したラベル3を被貼付物に貼付するように構成することにより、設定された向きでラベル3に印字を施すと、ラベル3が上下逆向きに貼付されてしまう姿勢で印字貼付装置1を設置、すなわちコンベア4の側方に印字貼付装置1を設置した場合でも、装置の姿勢に応じてラベル3が上下逆向き貼付されないように印字する向きを決定することができるため、ユーザの手間を煩わせることなく、固定メッセージや印字データが印字されたラベル3が上下逆向きに被貼付物の側面に貼付されてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0039】
さらに、本実施の形態によれば、固定メッセージ記憶部37に記憶されている固定メッセージをラベル3に印字する場合には、CPU32は、姿勢判定部36による判定結果に基づいて、ラベル3の発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向であるか否かを判断し、ラベル3の発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向である場合に、鉛直上方向が固定メッセージの上になる向きに決定し、固定メッセージに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に決定した向きで展開するように構成することにより、コンベア4の側方に印字貼付装置1を設置した場合でも、固定メッセージが印字されたラベル3が常に鉛直上方向が上になるように被貼付物5側面に貼付されることになり、ラベル3に印字された固定メッセージを容易に視認することができるという効果を奏する。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、外部I/F40を介して受信された印字データをラベル3に印字する場合には、CPU32は、姿勢判定部36による判定結果に基づいて、印字データに設定されている向きでラベル3に印字を行った場合に、
印字データに設定されている向きで印字されたラベル3が被貼付物5に上下逆向きに貼付されてしまうか否かを判断し、上下逆向きに貼付されてしまう場合には、印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定し、印字データに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に決定した向きで展開するように構成することにより、コンベア4の側方に装置を設置した場合に、ラベル3の発行方向や、ラベル3の流れ方向を考慮することなく作成した印字データを用いても、印字データが印字されたラベル3が上下逆向きに被貼付物の側面に貼付されてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0041】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態の構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態の発行貼付動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態のコンベアに対する設置例を示す図である。
【図5】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態のコンベアに対する設置例を示す図である。
【図6】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態におけるラベルに印字する固定メッセージの向きを説明するための説明図である。
【図7】本発明に係る印字貼付装置の実施の形態におけるラベルに印字する印字データの向きを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 印字貼付装置
2 ホスト
3 ラベル
4 コンベア
5 被貼付物
6 帯状台紙
7 ラベル連続体
10 印字発行部
11 供給軸
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
14 剥離板
15 台紙巻取軸
16 RFIDアンテナ
20 貼付部
21 吸着板
22 ロッド
23 シリンダ
30 制御部
31 ROM
32 CPU
33 RAM
34 印字制御部
35 貼付制御部
36 姿勢判定部
37 固定メッセージ記憶部
40 外部インターフェース(外部I/F)
41 リーダライタ
42 姿勢検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルに印字を行って発行し、搬送手段によって搬送されている被貼付物に発行した前記ラベルを貼付する印字貼付装置であって、
装置の姿勢を検知して姿勢信号を出力する姿勢検知センサと、
該姿勢検知センサから出力される前記姿勢信号に基づいて前記ラベルの発行方向を判定する姿勢判定手段と、
該姿勢判定手段による判定結果に応じて前記ラベルに印字を施す向きを決定する印字向き決定手段と、
前記ラベルに対して前記印字向き決定手段によって決定された向きに印字を施して発行する印字発行手段と、
該印字発行手段から発行された前記ラベルを前記被貼付物に貼付する貼付手段とを具備することを特徴とする印字貼付装置。
【請求項2】
固定メッセージが記憶されている固定メッセージ記憶手段を具備し、
該固定メッセージ記憶手段に記憶されている前記固定メッセージを前記ラベルに印字する場合には、前記印字向き決定手段は、前記姿勢判定手段による判定結果に基づいて、前記ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向であるか否かを判断し、前記ラベルの発行方向もしくは発行方向の左右が鉛直方向である場合に、鉛直上方向が前記固定メッセージの上になる向きに決定することを特徴とする請求項1記載の印字貼付装置。
【請求項3】
前記ラベルに印字する印字データを外部から受信する印字データ受信手段を具備し、
該印字データ受信手段によって受信された前記印字データを前記ラベルに印字する場合には、前記印字向き決定手段は、前記姿勢判定手段による判定結果に基づいて、前記印字データに設定されている向きで印字された前記ラベルが前記被貼付物に上下逆向きに貼付されてしまうか否かを判断し、上下逆向きに貼付されてしまう場合には、前記印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定することを特徴とする請求項1又は2記載の印字貼付装置。
【請求項4】
前記印字向き決定手段は、前記ラベルの発行方向が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向を下向きしたものである場合、前記ラベルの発行方向が鉛直下方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向を上向きしたものである場合、前記ラベルの発行方向の右側が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向の左側を上向きしたものである場合、もしくは、前記ラベルの発行方向の左側が鉛直上方向であり、且つ前記印字データに設定されている向きが発行方向の右側を上向きしたものである場合に、前記印字データに設定されている向きを180°回転させた向きに決定することを特徴とする請求項3記載の印字貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−213897(P2008−213897A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55291(P2007−55291)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】