説明

即出湯型給湯装置

【課題】 構造が簡単で、かつ、施工も容易なドリームパイプ方式の即出湯型給湯装置を提供する。
【解決手段】 給湯器21内の熱交換器24とアキュムレータ32付きの出湯端末22を給水配管で結び、給水配管の熱交換器24よりも上流側にピストン装置30を設け、給水配管のピストン装置30よりも上流側に水電磁弁31を設ける。出湯時には、アキュムレータ32は低圧型のものが使用されており、通常の水圧では水圧が加わったときに動作する側の限界状態で静止しており、ピストン装置30は圧力印加状態で停止している。即出湯運転時には、水電磁弁31をを閉じ、ピストン装置30を駆動させると、ピストン装置30とアキュムレータ32との間で水が脈動し、熱交換器24の熱がアキュムレータ32側へ輸送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先止式給湯システムにおける即出湯型給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先止式給湯システムでは、一般に給湯器とカランの位置が離れており、給湯器とカランとを長尺の接続配管で接続している。カランを閉じて給湯停止している時には、接続配管内の温水は接続配管を介して放熱しており、湯温が下がっている。そのため、カランを開いても直ちに温水が出湯されず、接続配管内に溜まっていた冷水がカランから排出された後でなければ、カランから温水が出湯されず、使用感が悪い。
【0003】
カランを開いたときに直ちに温水が出湯されるようにした給湯装置を即出湯型給湯装置というが、このような給湯装置には、循環方式のものとドリームパイプ方式のものとが知られている。循環方式の即出湯型給湯装置は、給湯器とカランとの間で往きと戻りの2本の接続配管によって循環路を構成し、接続配管内の湯温が下がると循環路内で温水を循環させながら加熱し、接続配管内の湯温を所定温度以上に保っている。このような循環方式の即出湯型給湯装置では、2本の接続配管が必要であるため、既存の住宅に施工することは困難であり、また新築においても配管コストが高くつくため普及しづらい。
【0004】
これに対し、ドリームパイプ方式の即出湯型給湯装置では、配管内の温水を循環させる必要がないので、1本の接続配管のみで済み、配管施工が容易になるという利点があるため、近年注目されている。
【0005】
このようなドリームパイプ方式の即出湯型給湯装置としては、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示されている即出湯型給湯装置は、既設の配管に応じて循環方式にも、ドリームパイプ方式にも用いることができるものであるが、ドリームパイプ方式に用いる場合についていえば、図1に示すように構成されていた。1本の接続配管11によってカラン12と給湯器13とを接続している。給湯器13内には、熱交換器14とバーナー15が設けられている。接続配管11のカラン12側端部にはカラン側膨張タンク16を設けてあり、この接続配管11の他端は熱交換器14の出湯口につながっている。また、接続配管11の給湯器13側端部には給湯器側膨張タンク17を設けている。給湯器側膨張タンク17とカラン側膨張タンク16との間において、接続配管11の給湯器側端部には正逆反転可能なポンプ18を設けてあり、給湯器側膨張タンク17にはヒーター等の加熱部19を設けている。しかして、ポンプ18を運転してポンプモータを交互に正回転と逆回転させると、ポンプ18の正回転と逆回転に応じて接続配管11内中心部の温水が給湯器側膨張タンク17とカラン側膨張タンク16との間で往復移動し、接続配管11内外周部の静止境界層にある湯と熱交換する。その結果、加熱部19によって加熱された温水の熱がカラン12側に輸送され、接続配管11内の湯の温度をその全長にわたって加熱することができ、即出湯運転を行なうことができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1などの従来のドリームパイプ方式の即出湯型給湯装置では、接続配管は1本で済むものの、給湯器内に給湯器側膨張タンクや加熱部などを設けなければならず、給湯器内の構造が複雑になると共に給湯器が大きくなる欠点があった。また、カラン側においてもカラン側膨張タンクを接続配管に取り付けなければならず、壁内工事となって施工に手間が掛かっていた。
【0007】
【特許文献1】実公平07−040900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造が簡単で、かつ、施工も容易なドリームパイプ方式の即出湯型給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる請求項1の即出湯型給湯装置は、蓄圧器付きの出湯端末につながれた給水配管に、該配管内の水を加熱するための加熱器を設け、前記給水配管の前記加熱器よりも上流側の位置に、該配管内の水を脈動させるためのピストン装置を設け、前記給水配管の前記ピストン装置よりも上流側の位置に、該配管内の流路を開閉するための開閉弁を設けたことを特徴としている。
【0010】
本発明の即出湯型給湯装置によれば、給湯時には開閉弁を開いてピストン装置を停止させておけば、加熱器で加熱された水(湯)を出湯端末から出湯させることができる。一方、給湯停止中の即出湯運転時には、開閉弁を閉じた状態でピストン装置を運転させると、ピストン装置によって発生する接続配管内の水圧変動が出湯端末と反対側に漏れてしまうのを防止することができる。よって、ピストン装置によって発生した圧力変動によってピストン装置と蓄圧器との間で水の脈動が発生し、この脈動によって加熱器の熱が出湯端末側に輸送され、給水配管内の水が加熱され、即出湯が可能になる。
【0011】
しかも、本発明の即出湯型給湯装置にあっては、給水配管は1本で済むうえに、加熱器側では最低限ピストン装置と開閉弁だけがあればよい。特に、即出湯用の加熱手段としては、給湯用の加熱器を用いることができる。そのため、即出湯型給湯装置の構造が簡単になり、コストが安価になると共に加熱器やピストン装置等が納められている給湯器を小型化することができる。また、既存の給水配管を利用して即出湯型給湯装置を設備する場合には、給湯器を屋外等に設置すると共に室内の出湯端末を蓄圧器付き出湯端末に交換するだけでよく、壁内配管や地中配管の工事を不要にでき、施工を容易に行なうことができる。
【0012】
また、本発明にかかる請求項2の実施態様は、前記出湯端末からの出湯時には、前記蓄圧器が静止状態に保持されることを特徴としている。蓄圧器を静止状態に保持させる方法としては、前記給水配管内の水圧を上昇させた状態で前記ピストン装置を停止させ、前記ピストン装置が停止して前記給水配管内の水圧が上昇している状態では前記蓄圧器が動作範囲の限度に達して静止するようにすればよい。かかる実施態様によれば、出湯端末からの出湯時には蓄圧器が静止状態に保持されているので、蓄圧器の疲労度合いを小さくできる。また、出湯端末からの出湯時に蓄圧器内の湯が吐き出されて出湯端末から勢いよく湯が吐出されるのを防止することができる。また、ウォーターハンマー現象を防止することもできる。
【0013】
本発明にかかる請求項4の実施態様は、前記加熱器の近傍に温度センサを設け、前記温度センサの検知温度が所定温度以上になった場合には、前記加熱器を加熱停止させることを特徴としている。かかる実施態様によれば、加熱器で水が沸騰するのを防止することができる。
【0014】
本発明にかかる請求項5の実施態様は、即出湯運転開始からの経過時間を計測し、所定時間が経過したら即出湯運転を終了させるためのタイマーを備えたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、即出湯運転の切り忘れを防止することができ、エネルギーの浪費を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、用途や設置形態等に応じて適宜設計変更することができる。
【0016】
図2は本発明の一実施例による即出湯型給湯装置の構成を示す概略図である。給湯器21は屋外に設置されており、屋内に設置されたカランやシャワーヘッド等の出湯端末22との間を接続配管23によって接続されている。
【0017】
まず、この給湯器21の構造を説明する。給湯器21内には給湯兼即出湯用の熱交換器24が設けられており、熱交換器24の下部にはガスバーナー25が設置されている。よって、この実施例では、熱交換器24とガスバーナー25によって加熱部が構成されている。また、ガスバーナー25のガス供給管には、バーナー用電磁弁26が設けられている。
【0018】
熱交換器24の水入口には入水管27の一端が接続されており、入水管27の他端は市水道などの上水につながっている。熱交換器24の湯出口には出湯管28の一端が接続されており、出湯管28の他端は接続配管23につながっている。よって、入水管27、出湯管28及び接続配管23によって給水配管が構成されている。給水配管には、銅配管が用いられている。熱交換器24の湯出口近傍において出湯管28には温度センサ29が取り付けられている。熱交換器24の水入口側に位置する入水管27には、ピストン装置30が設けられており、ピストン装置30よりも上流側には入水管27内の水路を開閉するための水電磁弁31(開閉弁)が設けられている。屋内に設置された出湯端末22には接続配管23の端部が接続されている。出湯端末22はアキュムレータ付き出湯端末となっており、出湯端末22にはアキュムレータ32(蓄圧器)が設けられている。なお、図2では1台の出湯端末だけを示しているが、接続配管23を分岐させて各分岐端部に出湯端末を設けてもよい。
【0019】
図3は上記アキュムレータ32の構造の一例を示す断面図である。アキュムレータ32は、蓄圧素子33とケーシング34により構成されている。蓄圧素子33は、例えば合成樹脂又は合成ゴムをブロー成形により蛇腹状に成形した後、大気圧下又は加圧下において開口部分(すなわち、成形時の注入口35)を塞いで内部に空気を封止したものである。このような蓄圧素子33は蛇腹状をしているので、伸縮性がよく、加えられる圧力に応じて大きな容積変化を示す。なお、気体の透過防止手段として、蓄圧素子33の表面にアルミ箔等をコーティングしてもよい。
【0020】
ケーシング34は、底面中央部にバーリング成形した流体入口部36を有する樹脂製の円筒容器37と蓋部材38とからなる。アキュムレータ32は、蓄圧素子33を円筒容器37内に挿入し、蓋部材38を適宜手段で円筒容器37の上部に封着して構成されている。また、蓄圧素子33は、上面の注入口37を蓋部材38に設けられた凹部39に嵌め込むことによって蓋部材38の下面に固定されている。
【0021】
アキュムレータ32は出湯端末22と一体化されており、アキュムレータ32の流体入口部36が出湯端末22内の水流路と連通している。また、このアキュムレータ32は、低圧力設定型もしくは低圧力設定されたものであり、通常の止水時及び出湯時の水道水圧(1kgf/cm)で上死点、すなわちケーシング34内で蓄圧素子33が縮みきって最大容量となった状態に達している。
【0022】
なお、アキュムレータ32としては、このような構造のものに限るものではなく、例えば特開昭63−312501号公報に開示されたようなものでもよい。
【0023】
図4はピストン装置30の構造を示す一部破断した正面図である。このピストン装置30にあっては、シリンダ40内にピストン41が摺動自在に納められており、モータ42により回転させられる回転板43の外周部にピストン棒44の一端が回動自在に連結され、ピストン棒44の他端がピストン41の後端面に回動自在に連結されている。シリンダ40の前面には吸引/吐出孔46が開口しており、この吸引/吐出孔46が入水管27の内部に接続されている。しかして、モータ42により回転板43を一方向に所定の回転数で回転させてピストン装置30を駆動すると、ピストン41が往復動することによってシリンダ40内の空間45の容量が繰り返し変化し、ピストン装置30は入水管27内の水の吸い込みと吐き出しとを一定の周期で繰り返す。
【0024】
しかして、このようなアキュムレータ32とピストン装置30の組合せにあっては、ピストン装置30が運転停止してピストン41が静止している場合には、給水時と止水時とにかかわりなく、図5(a)に示すように、アキュムレータ32に通常の水道圧が加わっているので、蓄圧素子33は上記のように上死点で固定されて動かない。従って、アキュムレータ32を出湯端末22に設けているにもかかわらず、出湯端末22を開いて出湯を開始するときに湯がアキュムレータ32からも吐き出されて出湯端末22から勢いよく出湯されたりする不具合を防止できる。また、出湯時に蓄圧素子33が固定されていて動かないので、蓄圧素子33の寿命が向上する。
【0025】
また、出湯端末22の止水時に即出湯運転を行なう場合には、ピストン装置30のピストン41をシリンダ40内に突き出した状態(空間45の容積が最小の状態)で水電磁弁31を閉じた後、ピストン装置30を駆動する。ピストン41をシリンダ40内に突き出した初期状態でピストン装置30を駆動すると、ピストン装置30はピストン41を後退させる動作から始まるので、給水配管(以下、接続配管23、入水管27及び出湯管28を合わせたものを給水配管という。)内の水圧は通常の水圧(ピストン駆動前の水圧)とそれよりも低い水圧との間で繰り返し変動する。このとき、ピストン装置30の上流側に設けられている水電磁弁31が閉じられているので、給水配管内の水圧変動は上流側に逃げることができず、アキュムレータ32に伝わる。よって、アキュムレータ32は水圧の変動に応じて給水配管内の水を吐き出したり、吸い込んだりする動作を繰り返す。この結果、給水配管内の水は、ピストン装置30とアキュムレータ32の間を往復移動して脈動する。
【0026】
図6は給湯器21の制御基板などに実装されている制御回路47とその周囲の電気的構成を表わしたブロック図である。制御回路47はマイクロプロセッサやその他の電子回路によって構成されており、タイマー49(マイクロプロセッサのタイマー機能)を備えている。制御回路47は、リモコン(図示せず)に設けられた保温運転スイッチ48のオン、オフや前記温度センサ29の検知温度を監視しており、プログラムに従って所定の手順でバーナー用電磁弁26、水電磁弁31、ピストン装置30を制御する。
【0027】
次に、上記即出湯型給湯装置の即出湯運転時(非出湯時)と出湯時の動作を説明する。最初に、図7のフロー図に従って、即出湯運転時の動作を説明する。リモコン等によりタイマー49の動作時間を設定して保温運転スイッチ48をオンにすると(ステップS1)、タイマー49がオンになって設定時間のカウントを開始する(ステップS2)。ついで、入水管27の水電磁弁31が閉じられ(ステップS3)、ピストン装置30が運転開始する(ステップS4)。このとき、ピストン装置30は、ピストン41をシリンダ40内に突き出した状態(空間45の容積が最小の状態)で停止されていたので、ピストン装置30は、ピストン41をシリンダ40内に突き出した初期状態で水電磁弁31を閉じられる。
【0028】
よって、図5(b)において説明したように、ピストン装置30が運転開始すると、給水配管内の水圧は通常の水圧よりも負圧側で変動し、アキュムレータ32はピストン装置30の動作に連動して水を吐き出したり、吸い込んだりする。ピストン装置30のピストン41が後退して給水配管内が負圧になると、アキュムレータ32は水を吐き出すので、給水配管内の水はアキュムレータ32側からピストン装置30側へ向けて移動し、逆に、ピストン装置30のピストン41が突出して給水配管内の水圧が元に戻ると、アキュムレータ32は水を吸い込むので、給水配管内の水はピストン装置30側からアキュムレータ32側へ移動する。
【0029】
ついで、ガスバーナー25を燃焼させて(ステップS5)熱交換器24内の水を加熱する。ピストン装置30が湯の吸い込みと吐き出しとを繰り返すことにより出湯管28内の湯が脈動しているので、熱交換器24から給水配管内の水に供給された熱はアキュムレータ32側へ向けて輸送される。
【0030】
給水配管における熱の輸送は、以下のようにして行なわれる。図8(a)(b)は給水配管内における湯の流れ(移動方向)と熱の移動する様子を表わしている。図8において、接続配管の向かって右側が給湯器側で湯温が高く、向かって左側が出湯端末側で湯温が低くなっている。白抜きの矢印は接続配管内における湯の流れの方向を表わしている。細線矢印は熱の移動方向を表わしている。また、図8において符号αで示したものは、湯が静止していたときに接続配管の長さ方向に垂直であった湯の断面の変化を表わしている。
【0031】
図8(a)は、ピストン装置30が湯を吸い込んでいて給水配管内でピストン装置30側へ向かう湯の流れが生じている場合を表わしている。この湯の流れは層流となっており、給水配管の管内中心部では湯は大きな距離移動しているが、給水配管の管内外周部では湯と給水配管との摩擦のため、湯の移動距離は小さくなっている。このとき湯は低温側から高温側へ移動しているので、給水配管に垂直な断面を考えると、管内中心部では湯温が低く、管内外周部の湯と給水配管で温度が高くなっている。そのため、この半周期においては、給水配管及び管内外周部の湯から管内中心部へ向けて熱の移動が生じ、管内中心部の湯が熱を受け取る。
【0032】
図8(b)は、ピストン装置30が湯を吐き出していて給水配管内でアキュムレータ32側へ向かう湯の流れが生じている場合を表わしている。給水配管の管内中心部では湯は大きな距離移動するので、図8(a)の過程において熱を受け取った管内中心部の湯は、低温側(アキュムレータ32側)へ向けて熱を運ぶ。図8(b)の状態では、給水配管に垂直な断面を考えると、管内中心部では湯温が高く、管内外周部の湯と給水配管で温度が低くなっている。そのため、この半周期においては、管内中心部の湯から給水配管及び管内外周部の湯へ向けて熱の移動が生じ、管内中心部の湯が熱を放出して給水配管と管内外周部の湯が熱を受け取る。
【0033】
従って、給水配管の高温側の端部では、ガスバーナー25によって給水配管が加熱されており、ピストン装置30による給水配管内の水の脈動によってこの熱はアキュムレータ32側へ輸送され、その結果給水配管全体及びその内部の水が加熱される。かかる仕組みにより、給水配管が1本しか無くても、ガスバーナー25を燃焼させることにより給水配管に沿って熱を輸送することができ、給湯停止時においても給水配管内の湯を温めておくことができ、即出湯を可能にすることができる。
【0034】
再び図7のフロー図のステップS5に戻る。こうして熱交換器14はガスバーナー25により加熱されているが、ガスバーナー25を燃焼し続けると、熱交換器24内の水が沸騰する恐れがある。そのため、温度センサ29によって熱交換器24近傍の温度を監視しており(ステップS6)、温度センサ29の検知温度が所定温度(例えば80℃)以上になった場合には、ガスバーナー25の燃焼を停止し(ステップS7)、温度センサ29の検知温度が所定温度(例えば80℃)よりも下がった場合には、ガスバーナー25を再度燃焼させる(ステップS5)。こうして温度センサ29の検知温度に応じてガスバーナー25の燃焼と燃焼停止を繰り返すことにより(ステップS5〜S7)、熱交換器温度を所定温度近傍に保っている。
【0035】
ついで、タイマー設定時間が経過してタイマー49がオフになると(ステップS8)、ピストン装置30が運転停止し(ステップS9)、水電磁弁31を開いて(ステップS10)即出湯運転を終了する。こうしてピストン装置30が停止する際には、ピストン41がシリンダ40内に突き出した状態(空間45の容積が最小の状態)で停止する。
【0036】
なお、この実施例では、タイマーで即出湯運転時間を設定することにより、スイッチの切り忘れによる無駄なエネルギー消費を抑制しているが、タイマー49で自動的に終了させず、保温運転スイッチ48を押して手動で即出湯運転を終了させるようにしてもよい。
【0037】
つぎに、即出湯運転中に出湯端末22が開かれた場合を説明する。即出湯運転中に出湯端末22が開かれた場合には、ピストン41がシリンダ40内に突き出した状態(空間45の容積が最小の状態)でピストン装置30が運転停止し、水電磁弁31が開かれる。ガスバーナー25が燃焼中でなければガスバーナー25を燃焼開始させる。よって、アキュムレータ32には通常の水圧が加わってアキュムレータ32内の蓄圧素子33は縮みきった状態で保持される。そして、熱交換器24で加熱された湯が出湯端末22から出湯される。
【0038】
上記のような構造を有する本発明の即出湯型給湯装置によれば、1本の給水配管によって効率よく配管内の湯温を昇温させることができるので、循環方式のものに比べて施工が容易である。また、既存の配管を利用して即出湯型給湯装置を設置する場合には、屋外側の給湯器を上記給湯器21に取り替え、屋内側の出湯端末をアキュムレータ32付きの出湯端末22に取り替えるだけでよく、壁内配管や地中配管にアキュムレータを取り付けたりする工事が必要なく、工事を簡略にすることができる。また、ピストン装置30を用いれば、ピストン装置30が湯を吸い込み、吐き出すことができるので、アキュムレータの機能を備えており、給湯器側にはアキュムレータ等の蓄圧器を不要にできる。さらに、給湯器21の構造も非常に簡単になるので、即出湯型給湯装置のコストを安価にし、即出湯型給湯装置の小型化を図ることができる。
【0039】
なお、ピストン装置30の駆動の仕方としては、ドリームパイプ方式のように比較的小さな振幅、大きな振動数で振動させる方法と、比較的大きな振幅、小さな振動数で振動させる方法とがある。後者の方法では、湯が振動するというよりも、むしろ管内中心部では湯の流れが生じている。このため、前者のドリームパイプ方式の場合には銅の80倍〜200倍程度の熱伝導率を達成することができると言われているが、後者の方法ではより高い効率も期待することができる。
【0040】
すなわち、ピストン装置30を用いて比較的大きな振幅、小さな振動数で振動させた場合には、給水配管内の水が比較的小さな流速で大きな距離(例えば、1〜数m)移動するので、図9(a)(b)に示すように給水配管と配管内の水との間での直接の熱のやり取りが大きくなり、高温側での給水配管から水への熱の移動と、低温側での水から給水配管への熱の移動が大きくなり、また、給水配管内の中心部を流れる湯によって直接運ばれる熱量もかなり大きなものとなる。そのため、給水配管として熱伝導の良好な銅配管を用いていることと相俟って、熱伝導が促進され、熱の輸送効率が高くなる。実験によれば、給水配管内の中心部で水が1ストローク2秒間で1mくらい流れるようなピストン装置30を用いるのが望ましい。
【0041】
また、上記実施例では、低圧型のアキュムレータ32を用いているが、これとは反対に高圧型のアキュムレータを用いることも可能である。高圧型のアキュムレータとは、通常の水圧では動作しないものである。例えば、図3に示したような構造のアキュムレータで、蓄圧素子33内の空気圧が高いものを考えるとよい。このアキュムレータでは、通常の圧力では動作しないので、出湯時などピストン装置30が駆動されていない状態では静止状態にある。一方、ピストン装置30は、停止時にはピストン41がシリンダ40で後退した状態(空間45の容積が最大の状態)となっている。ピストン41は初期状態では後退しているので、このピストン装置30が駆動するとき、給水配管内の水圧は通常の水圧よりも大きな水圧で変動する。よって、アキュムレータが動作し、ピストン装置30とアキュムレータとの間で水が脈動する。
【0042】
しかし、このように高圧型のアキュムレータを用いる場合には、上記説明から分かるように、低圧型のアキュムレータを用いる場合よりもパワーの大きなピストン装置30が必要になり、また、給湯配管に加わる水圧も大きくなり、給水配管の疲労も大きくなる。従って、高圧型のアキュムレータよりも低圧型のアキュムレータを用いる方が、メリットが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来例による即出湯型給湯装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明による即出湯型給湯装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の即出湯型給湯装置に用いられているアキュムレータの構造を示す一部破断した正面図である。
【図4】本発明の即出湯型給湯装置に用いられているピストン装置の構造を示す一部破断した正面図である。
【図5】(a)(b)は、ピストン装置とアキュムレータの関連動作を説明する図である。
【図6】本発明の即出湯型給湯器における制御回路回りの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の即出湯型給湯器の即出湯運転時の処理手順を説明するフロー図である。
【図8】(a)(b)は、即出湯運転時に熱が輸送される様子を説明する図である。
【図9】(a)(b)は、即出湯運転時にピストン装置の運転により熱が輸送される様子を説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
21 給湯器
22 出湯端末
23 接続配管
24 熱交換器
25 ガスバーナー
26 バーナー用電磁弁
27 入水管
28 出湯管
29 温度センサ
30 ピストン装置
31 水電磁弁
32 アキュムレータ
33 蓄圧素子
34 ケーシング
35 注入口
36 流体入口部
37 円筒容器
38 蓋部材
39 凹部
40 シリンダ
41 ピストン
42 モータ
43 回転板
44 ピストン棒
45 空間
46 吸引/吐出孔
47 制御回路
48 保温運転スイッチ
49 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄圧器付きの出湯端末につながれた給水配管に、該配管内の水を加熱するための加熱器を設け、前記給水配管の前記加熱器よりも上流側の位置に、該配管内の水を脈動させるためのピストン装置を設け、前記給水配管の前記ピストン装置よりも上流側の位置に、該配管内の流路を開閉するための開閉弁を設けたことを特徴とする即出湯型給湯装置。
【請求項2】
前記蓄圧器は、前記出湯端末からの出湯時には静止状態に保持されることを特徴とする、請求項1に記載の即出湯型給湯装置。
【請求項3】
前記ピストン装置は、動作時には前記給水配管内の水圧を周期的に上昇及び下降させ、前記給水配管内の水圧を上昇させた状態で停止するものであり、
前記蓄圧器は、前記ピストン装置が停止して前記給水配管内の水圧が上昇している状態では、動作範囲の限度に達して静止していることを特徴とする、請求項2に記載の即出湯型給湯装置。
【請求項4】
前記加熱器の近傍に温度センサを設け、前記温度センサの検知温度が所定温度以上になった場合には、前記加熱器を加熱停止させることを特徴とする、請求項1〜3に記載の即出湯型給湯装置。
【請求項5】
即出湯運転開始からの経過時間を計測し、所定時間が経過したら即出湯運転を終了させるためのタイマーを備えた、請求項1〜4に記載の即出湯型給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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