説明

即時放出特性及び/又は制御放出特性を有する薬学的剤形

本発明は概して、吸収ウィンドウ活性物質、腸溶コーティングされた放出ビーズを含む制御放出成分(ここで、上記腸溶コーティングされた放出ビーズは、少なくとも2つのpH感受性ポリマー層を含む)を含む薬学的剤形に関する。制御放出剤形は、吸収ウィンドウ活性物質の良好な生物学的利用能を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)胃腸管において吸収ウィンドウを有する(即ち、十二指腸及び/又は空腸で通常吸収される)か、(2)胃腸管(例えば、胃及び/又は十二指腸)におけるか又はそれに近接した治療位置を有するか、或いは(3)結腸で分解する吸収ウィンドウ活性物質の制御放出のための薬学的薬物送達系に関する。本発明はまた、哺乳動物における各種障害及び疾患の治療におけるこれらの制御放出送達系の使用に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、一部継続出願である2005年9月30日に出願された米国特許出願第11/239,249号の継続であり、米国特許法35巻第120条の下、2005年5月26日に出願された米国特許出願第11/138,008号、2004年4月
2日に出願された米国特許出願第10/815,924号、2004年4月2日に出願された米国特許出願第10,815,926号、2004年4月2日に出願された米国特許出願第10/815,929号、及び2004年4月2日に出願された米国特許出願第10/815,930号(これらの開示は全て、参照により本明細書に援用される)の有益性を主張する。
【背景技術】
【0003】
即時放出薬物送達系のような従来の薬物送達系は、(1)胃腸管における吸収ウィンドウを有する活性物質、(2)胃腸管におけるか又はそれに近接した治療位置を有する活性物質、及び(3)結腸で分解する活性物質に関して使用が限られていた。通常の持続放出製剤が、かかる活性物質を的確に吸収しないGI管の領域でかかる活性物質を放出するため、かかる活性物質の従来の持続放出剤形は、配合するのが困難である。したがって、制御放出製剤の有益性(例えば、投薬の頻度を低減させること、及び薬物血漿レベルの浮き沈みを最小に抑えること)を得るために制御放出製剤中にかかる活性物質を配合することは困難である。
【0004】
或る特定の活性物質は、胃腸管において吸収ウィンドウを有する。例えばバクロフェンのようなこれらの活性物質の吸収は、部位特異的である。バクロフェンは、主として上部胃腸(GI)管で吸収される。さらに、バクロフェンの吸収の程度は、下部GI管で実質的に低減される。吸収は、用量依存的である可能性があり、用量が増すとともに低減される。バクロフェンのような限られた吸収ウィンドウを有する活性物質を患者に投与する改善された方法としては、長期間の上部GI管への有効量の薬物の送達が挙げられる。
【0005】
さらに、特に即時放出剤形として投与される場合に、いくつかの副作用が、哺乳動物への活性物質の投与に付随し得る。例えば、バクロフェンの副作用としては、悪心、嘔吐、下痢、眩暈、日中の鎮静状態、及びそれほど頻度は高くないが、抑うつ障害のような精神病的状態が挙げられる。さらに、1日3回又は4回、薬学的剤形を投与する必要性等頻繁な投薬が必要とされる場合には、投薬計画に対する患者の服薬遵守は最適以下であり得る。1日1回又は2回等頻度のより少ない投薬を必要とする薬学的剤形が好適である。さらに、長期間にわたって活性物質の安定な血漿レベルを確立及び維持することが可能な薬学的剤形は、より少ない頻度の投薬を要することにより、及び/又は副作用を最低限に抑えることにより患者に有益であり得る。
【0006】
吸収ウィンドウを有する活性物質に関する様々な他の製剤が記載されている。例えば、バクロフェンに関する薬学的剤形の1つは、粘膜を通って活性物質を送達するように口腔粘膜と接触して配置される付着錠を包含する。しかしながら、この薬学的剤形は、付着錠に関連する様々な既知の欠点を示す。さらに、付着錠は、γ−アミノ酪酸(GABA)関連作用物質にとって準最適であるとみなされる部位にバクロフェンを送達する。吸収ウィンドウを有する活性物質に関する他の提唱される製剤としては、長時間の胃残留時間を促進するために顕著な膨潤及び膨潤状態での高い寸法安定性を示すマトリックス剤形が挙げられる。さらに、長期間にわたる活性物質の連続した投与を提供する、吸収ウィンドウを有する活性物質を送達するための浸透圧ポンプ型剤形が提唱されている。
【0007】
それにも関わらず、吸収ウィンドウを有する活性物質の持続放出を提供するのに適した薬学的剤形は依然として、著しく且つ絶えず必要とされている。さらに、より頻度の少ない投薬を達成するために、及び副作用を最低限に抑えるために、長期間にわたって活性物質の安定な血漿レベルを確立並びに維持する吸収ウィンドウを有する活性物質に関する薬学的剤形が依然として必要とされている。これらの目的及び他の目的は、本発明により達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は概して、(1)胃腸管において吸収ウィンドウを有する(例えば、胃及び/又は小腸で通常吸収される)か、(2)胃腸管(例えば、胃及び/又は小腸)におけるか又はそれに近接した治療位置を有するか、或いは(3)結腸で分解する吸収ウィンドウ活性物質の制御放出のための薬学的薬物送達系に関する。本発明はまた、哺乳動物における各種障害及び疾患の治療におけるこれらの制御放出送達系の使用方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
現在驚くべきことに吸収窓活性物質の長期にわたる持続が以下の薬学的剤形により達成できることが分かっている。即ち、i.吸収ウィンドウ活性物質、及びii.腸溶コーティングされた制御放出ビーズを含む制御放出成分(ここで、腸溶コーティングされた放出ビーズは、少なくとも2つのpH感受性ポリマー層を含む)を含む薬学的剤形である。外部pH感受性ポリマー層は内部pH感受性ポリマー層よりも低いpHで溶解することが好ましい。
【0010】
本発明での使用に好適な吸収ウィンドウ活性物質としては、限定するものではないが、ACE阻害剤、抗生物質、抗痛風剤、抗高脂血症剤、抗高血圧剤、抗痙縮剤、抗腫瘍剤、ビスマス塩、気管支拡張薬、COX−2阻害剤、利尿薬、GABA受容体アゴニスト、ヒスタミン(H2)遮断薬、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、核酸又はアミノ酸誘導体、オピオイド、ペプチド擬似薬、プロスタグランジン、治療用イオン、ビタミン、又はそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0011】
本発明の薬学的剤形は、即時放出活性物質製剤と比較した場合に長期にわたるインビボでの吸収を提供するように適応している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明は概して、(1)胃腸管において吸収ウィンドウを有する(例えば、胃及び/又は小腸で通常吸収される)か、(2)胃腸管(例えば、胃及び/又は小腸)におけるか又はそれに近接した治療位置を有するか、或いは(3)結腸で分解する吸収ウィンドウ活性物質の制御放出のための薬学的薬物送達系に関する。本発明はまた、哺乳動物における各種障害及び疾患の治療におけるこれらの制御放出送達系の使用に関する。
【0013】
本発明は、(i)吸収ウィンドウ活性物質(この吸収ウィンドウ活性物質は、吸収ウィンドウ活性物質の類縁体、誘導体、プロドラッグ又はそれらの混合物、並びに吸収ウィンドウ活性物質のラセミ混合物又は吸収ウィンドウ活性物質の実質的に光学的に純粋な異性体混合物を包含し得る)、及び(ii)腸溶コーティングされた制御放出ビーズを含む制御放出成分(ここで、上記腸溶コーティングされた放出ビーズは、少なくとも2つのpH感受性ポリマー層を含む)を含む薬学的剤形に関する。
【0014】
薬学的剤形の腸溶コーティングされた制御放出ビーズは、吸収ウィンドウ活性物質のコアを含み、ここで上記吸収ウィンドウ活性物質は、内部pH感受性ポリマー層及び外部pH感受性ポリマー層でコーティングされる。本実施形態によれば、コアは、糖スフェアに接着され得る吸収ウィンドウ活性物質を含む。内部pH感受性ポリマー層は、コアに接着して、実質的にコアを包む。外部pH感受性ポリマー層は、内部感受性ポリマー層に接着して、実質的にコア及び内部pH感受性ポリマー層の両方を包む。
【0015】
外部pH感受性ポリマー層は、内部pH感受性ポリマー層よりも低いpHで溶解することが好ましい。外部pH感受性層は、薬学的剤形が胃を通過して、小腸のより高いpH環境に到達するまで、吸収ウィンドウ活性物質の放出を遅延させる。この時点で、外部pH感受性層が溶解して、内部pH感受性層を露出させる。内部pH感受性層は、小腸のpH環境への曝露時に、吸収ウィンドウ活性物質の持続放出を引き起こす。GI管の領域(ここで、吸収ウィンドウ活性物質は有効に吸収され得る)を越えた薬学的剤形の通過に先立つ吸収ウィンドウ活性物質の持続放出及び/又は吸収は、pH感受性ポリマーの量により制御される。好ましい実施形態では、それぞれ、外部pH感受性層は、約5、約5.5、約6又は約6.5のpHで溶解し、内部pH感受性層は、約5.5、約6.0、約6.5又は約7で溶解する。
【0016】
本発明の溶解プロファイルは、製剤で使用される内部pH感受性ポリマー及び/又は外部pH感受性ポリマーの量を調節することにより調整することができる。内部pH感受性ポリマー及び/又は外部pH感受性ポリマーの量は、例えば、腸溶コーティングされた放出ビーズに対する重量の割合、腸溶コーティングされた制御放出ビーズ上のコーティングの厚さ又は薬学的剤形に対する重量の割合のような当該技術分野で既知の様々な手段により測定することができる。外部ポリマー層は、腸溶コーティングされた放出ビーズに対して、約5%〜約50%、約10%〜約40%、又は約15%〜約35%の重量パーセントを有し得る。内部ポリマー層は、腸溶コーティングされた放出ビーズに対して、約5%〜約50%、約8%〜約40%、約10%〜約35%、又は約20%〜約30%の重量パーセントを有し得る。
【0017】
本発明の薬学的剤形はまた、即時放出成分をさらに含んでもよい。一実施形態では、即時放出成分は即時放出ビーズを含む。この実施形態では、即時放出成分は、1時間後に少なくとも約80%の吸収ウィンドウ作用物質放出を含む、模擬胃液におけるインビトロの溶解プロファイルを示す。
【0018】
即時放出成分は、所望の生理学的な結果を生じるのに必須の任意の適切な量の吸収ウィンドウ活性物質を含み得る。即時放出成分対制御放出成分の比は、当業者に既知である。例えば、即時放出成分対制御放出成分の比は、約1:4〜約4:1、約5:1〜約1:5、約6:1〜約1:6、約7:1〜約1:7、約8:1〜約1:8、約9:1〜約1:9、約1:10〜約10:1、約1:3〜約3:1、又は約1:1である。別の実施形態では、即時放出成分対制御放出成分の比は、約1:2〜約2:1である。
【0019】
本発明の製剤は、即時放出製剤と比較した場合に、より少ない頻度の投薬を可能にし得ることが見出された。例えば、慢性GABAアゴニスト療法を要する患者に関して、本発明の製剤の1日2回投与は、既存の即時放出製剤の1日3回投与と生物学的に等価である。この低減された投薬頻度は、患者にとってより利便性がよく、通常より良好な患者の服薬遵守につながる。さらに、血漿のピーク値及びトラフ値の数を低減し、これは通常、有効性の改善及び副作用の低減に関連する。
【0020】
胃腸管において吸収ウィンドウを有する活性物質は、本発明の薬学的剤形での使用に適している。本発明による使用に適切であるかかる狭いウィンドウ活性物質の例としては、ACE阻害剤、抗生物質、抗痛風剤、抗高脂血症剤、抗高血圧剤、抗痙縮剤、抗腫瘍剤、ビスマス塩、気管支拡張薬、COX−2阻害剤、利尿薬、GABA受容体アゴニスト、ヒスタミン(H2)遮断薬、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、核酸又はアミノ酸誘導体、オピオイド、ペプチド擬似薬、プロスタグランジン、治療用イオン、ビタミン又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明に適したACE阻害剤としては、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、ラミプリル又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明に適したアミノ酸誘導体としては、バクロフェン、ガバペンチン、レボドパ、α−メチルドパ、バラシクロビル、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明に適した抗生物質としては、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、テトラサイクリン、β−ラクタム抗生物質、キノロン、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に適したβ−ラクタム抗生物質としては、アモキシシリン、セファレキシン、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のキノロンとしては、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン(morfloxacin)、オフロキサシン、ペフロキサシン、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明に適した抗高血圧剤としては、アテノロール、メトプロロール、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
一例として、プラバスタチンは、本発明に適切な抗高脂血症剤である。
【0026】
本発明に適した抗痙縮剤としては、ダントロレン、チザニジン、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明に適した気管支拡張薬としては、アルブテロール、ピルブテロール、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
一例として、フロセミドは、本発明に適した利尿剤である。
【0029】
本発明に適した核酸誘導体としては、アシクロビル、AZT、ジダノシン、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明に適した治療用イオンとしては、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明に適したビタミンとしては、アスコルビン酸、葉酸、リボフラビン、ビタミンE、チアミンジスルフィド、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、本発明の薬学的剤形は、胃腸管における局所治療用の活性物質を送達するのに使用され得る。これらの活性物質は、例えば胃の新生物(例えば、胃の腺癌又は胃リンパ腫)の治療に有用であり得る。本発明の薬学的剤形による使用に適しており、且つ胃腸管の局所治療に適した活性物質の例としては、抗腫瘍剤、ヒスタミン(H2)遮断薬、ビスマス塩、プロスタグランジン、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、オピオイド、COX−2阻害剤、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの剤形は、哺乳動物における各種障害及び疾患の治療に使用することができる。
【0033】
本発明に適した抗腫瘍剤としては、5−シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、マイトマイシン、セムスチン、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明に適したビスマス塩としては、次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明に適したヒスタミン(H2)遮断薬としては、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明に適したプロスタグランジンとしては、ミソプロストール、合成ミソプロストール、合成プロスタグランジン、又はそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
上述するように、本発明の薬学的剤形はまた、結腸で分解し得る活性物質にも適している。メトプロロールは、結腸で分解するという理由で本発明に適した活性物質の一例である。
【0038】
本発明に適した活性物質のさらなる例は、アロプリノール、クロルプロマジン、又はそれらの混合物である。
【0039】
本発明の薬学的剤形は、1時間後に少なくとも約5%の吸収ウィンドウ活性物質放出、4時間後に少なくとも約20%の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び6時間後に少なくとも約30%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬腸液媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示し得る。本発明の薬学的剤形はまた、1時間後に約2%〜約90%の吸収ウィンドウ活性物質放出、4時間後に少なくとも約30%の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び6時間後に少なくとも約40%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬胃液/模擬腸液(1時間切換え)媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示し得る。
【0040】
本発明の別の実施形態は、絶食患者への単回用量の投与後に約30分〜約7時間(好ましくは、約1時間〜約5.5時間、より好ましくは約90分〜約5.5時間、さらに好ましくは約2時間〜約5.5時間)の平均最大吸収ウィンドウ活性物質放出を含むインビボの血漿プロファイルを示す。
【0041】
定常状態では、本発明の薬学的剤形は、即時放出剤形から定常状態で得られるCMINに匹敵するCMINに、より遅い時点で到達し、これはより少ない頻度の投薬を可能にする。特に、本発明の薬学的剤形は、1日2回投与される場合、1日3回投与される即時放出錠剤製剤のものと類似した血漿中濃度−時間曲線下平均定常面積(AUC)、最大血漿中濃度(CMAX)及び最小血漿中濃度(CMIN)を実現させる。
【0042】
代替的な実施形態では、本発明の薬学的剤形は、絶食患者への投与の約2時間後に、少なくとも2時間の治療レベルよりも高い持続吸収ウィンドウ活性物質濃度を含むインビボの血漿プロファイルを示す。
【0043】
本発明の薬学的剤形は、制御放出成分を含有し、ここで制御放出成分は、少なくとも2つのpH感受性ポリマー層を含む腸溶コーティングされた放出ビーズを含む。腸溶コーティングされたビーズはまた吸収ウィンドウ活性物質を含み得る。制御放出成分は、2時間後の約10%未満の吸収ウィンドウ活性物質放出、3時間後の少なくとも約40%の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び6時間後の少なくとも約70%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬胃液/模擬腸液(2時間で切換え)媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示す。好ましくは、制御放出成分は、2時間後の約10%未満の吸収ウィンドウ活性物質放出、3時間後の少なくとも約50%の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び6時間後の少なくとも約80%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬胃液/模擬腸液(2時間切換え)媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示す。最も好ましくは、制御放出成分は、2時間後の約10%未満の吸収ウィンドウ活性物質放出、3時間後の少なくとも約60%の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び6時間後の少なくとも約90%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬胃液/模擬腸液(2時間切換え)媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示す。
【0044】
本発明は、即時放出成分及び制御放出成分の両方を有する薬学的剤形を包含する。この実施形態では、薬学的剤形は、2時間後の約75%未満の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び3時間後の少なくとも約80%の吸収ウィンドウ活性物質放出を含む模擬胃液/模擬腸液(2時間切換え)媒体におけるインビトロの溶解プロファイルを示す。好ましくは、薬学的剤形は、2時間後の約65%未満の吸収ウィンドウ活性物質放出、及び3時間後の少なくとも約90%の吸収ウィンドウ活性物放出を含む模擬胃液/模擬腸液(2時間切換え)媒体におけインビトロの溶解プロファイルを示す。
【0045】
本発明の剤形に関する適切なインビトロの溶解試験法は、当業者に既知であり、本明細書中の実施例に記載するものを包含する。USPパドル法は、米国薬局方第XXII版(1990年)に記載されるようなパドル及びバスケット法を指す。特に、37℃で模擬胃液(SGF)(pH1.2)又は模擬腸液(SIF)(pH6.8)900ml中の50rpm又は75rpmのUSPパドル法を使用して、本発明によるインビトロの溶解プロファイルを確定し得る。
【0046】
本発明の薬学的剤形は、吸収ウィンドウ活性物質の持続的な吸収を可能にするように適合しており、既存の即時放出製剤と比較してより少ない頻度の投与を可能にする。本明細書中で使用する場合、「長期にわたる吸収」とは、吸収ウィンドウ活性物質が、絶食条件下で長時間、インビボで吸収されることを意味する。即時放出成分及び制御放出成分の両方を含む好ましい実施形態では、吸収の大部分(即ち、80〜90%)が起こる時間は、剤形投与後約7時間又は8時間まで延長する。具体的には、吸収ウィンドウ活性物質の少なくとも80%が本発明の剤形から吸収される時間の中央値は、投与後約2.5時間を上回り、通常は投与後3〜4.5時間である。比較すると、吸収ウィンドウ活性物質の少なくとも80%が既存の即時放出製剤から吸収される時間の中央値は、投与後1.5〜2時間である。吸収ウィンドウ活性物質が剤形から吸収される時間は、当業者に既知の数学的方法を使用してデコンボリューションにより算出することができる。
【0047】
1回量又は分割量で宿主に投与される、本発明による有用な化合物の1日の総用量は、一般に、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重、好ましくは1日当たり約0.05mg/kg体重〜約50mg/kg体重、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約45mg/kg体重、1日当たり約0.15mg/kg体重〜約40mg/kg体重、1日当たり約0.2mg/kg体重〜約35mg/kg体重、又は1日当たり約0.2mg/kg体重〜約30mg/kg体重の量である。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、体重、全体的健康状態、性別、食生活、投与時間及び投与経路、吸収及び排出の速度、他の薬物との組合せ、並びに治療される個々の疾患の重症度を含む様々な因子に依存することを理解すべきである。個々の組成物及び投与方法に対する所望の治療応答を得るのに有効な吸収ウィンドウ活性物質の量を得るために、本発明の組成物中の吸収ウィンドウ活性物質の実際の投与量レベルを変更してもよい。
【0048】
1回量又は分割量で宿主に投与される、本発明による有用な活性物質の1日の総用量は、例えば、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約20mg/kg体重、及び好ましくは0.02mg/kg/日〜10mg/kg/日、1日当たり約0.03mg/kg体重〜約15mg/kg体重、1日当たり約0.05mg/kg体重〜約10mg/kg体重、又は1日当たり約0.1mg/kg体重〜約5mg/kg体重の量でもよい。吸収ウィンドウ活性物質の好ましい用量域は、剤形当たり2.5mg〜100mgである。本発明による剤形は、1日量を構成するのに使用し得るような量又はその一部分を含有してもよい。
【0049】
本発明の薬学的剤形(好ましくは、錠剤又はカプセル剤、これらは、ビーズ、顆粒、粒子又はそれらの混合物を含有し得る)は、約1mg〜約1000mg、約1.5mg〜約500mg、約2mg〜約250mg、約2.5mg〜約200mg、約3mg〜約175mg、約3.5mg〜約150mg、約4mg〜約125mg、約10mg〜約100mg、約12mg〜約75mg、約15mg〜約50mg、約17mg〜約45mg、約20mg〜約40mg、約25mg〜約35mgの量で吸収ウィンドウ活性物質を含有してもよく、哺乳動物における各種障害及び疾患の治療に使用することができる。さらに、本発明の薬学的剤形は、約200mg〜約1000mg、約300mg〜約900mg、約400mg〜約800mg、約450mg〜約750mg、約500mg〜約700mg、約550mg〜約650mgの量で吸収ウィンドウ活性物質を含有してもよい。
【0050】
通常、患者にとっての最適用量は、滴定により決定され、それにより患者は、最初に少用量が投与され、次に、患者が最小の副作用で最大の治療的有効性を実現する用量レベルに達するまで用量が徐々に増加される。
【0051】
当業者に明らかな薬学的剤形のうち、本発明による固形経口剤形は、錠剤製剤、若しくは個別の単位を詰めたカプセル製剤、又はサシェ製剤でもよい。本発明の個別の単位には、ビーズ、顆粒、ペレット、スフェロイド、粒子、錠剤、丸剤等が含まれる。
【0052】
剤形は、当該技術分野で既知の方法に従って作製することができる。幾つかの好ましい方法を以下に記載する。
【0053】
粒子ベースの剤形、即時放出粒子。本発明の即時放出/制御放出剤形はまた、薬学的粒子の形態をとってもよい。薬学的剤形は、吸収ウィンドウ活性物質の所望の放出を提供するのに十分な比で制御放出粒子と組み合わせて即時放出粒子を含んでもよい。制御放出粒子は、即時放出粒子をコーティングすることによって製造することができる。
【0054】
本明細書で使用される「粒子」という用語は、約0.01mm〜約5.0mm、好ましくは約0.1mm〜約2.5mm、及びより好ましくは約0.5mm〜約2mmの直径を有する顆粒を意味する。当業者は、本発明による粒子はこのサイズ範囲内の任意の幾何学的な形状であってよいことを理解すべきである。粒子の統計的分布の平均値が上記に挙げた粒子サイズの範囲内に収まる限り、それらは本発明の企図される範囲に含まれるとみなされる。粒子は、製薬分野において既知である任意の標準的な構造を呈してよい。このような構造体には、例えば、マトリックス粒子、薬物層を有するノンパレル(non−pareil)核、及びその上に多層を有する活性又は不活性な核が含まれる。これらの構造体のうちの任意のものに制御放出コーティングを加えて、制御放出粒子を作製することができる。
【0055】
粒子は、粒子を作製するためのいくつかの既知の方法のうちの任意のものに従って製造することができる。即時放出粒子は、吸収ウィンドウ活性物質及び崩壊剤を含む。適切な崩壊剤としては、例えば、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、及び結晶セルロースが挙げられる。
【0056】
前記の成分に加えて、薬学的剤形はまた、適切な量の他の物質、例えば、製薬分野において慣用される希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、矯味剤、及び流動促進剤を含有してもよい。これらの付加的な物質の量は、所望の製剤に所望の効果を与えるのに十分な量である。粒子を組み込む薬学的剤形はまた、望ましいならば、粒子の約75重量%までの量で、製薬分野において慣用される希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、矯味剤、及び流動促進剤等これらの他の物質の適切な量を含有してもよい。
【0057】
好ましい1つの実施形態において、前述の粒子の有効量をカプセル内に含むように経口剤形を調製する。例えば、摂取され胃液に接触した場合に有効な制御放出用量を実現するのに十分な量で溶融押出し粒子をゼラチンカプセル中に配置してもよい。別の好ましい実施形態において、従来の錠剤成形装置を用いて、標準技術によって、適切な量の粒子を圧縮して経口錠剤にする。錠剤(圧縮及び成形)、カプセル剤(硬質及び軟質ゼラチン)、及び丸剤を製造するための技術及び組成物は、参照により本明細書に組み入れられるREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Arthur Osol, ed., 1553-93 (1980)においても記載されている。適切な成分を混合し、その混合物を顆粒化することによって、粒子を作製することができる。得られた粒子を乾燥させ、選別し、所望のサイズを有する粒子を、薬剤調製のために使用する。
【0058】
腸溶コーティングされた制御放出。吸収ウィンドウ活性物質の制御放出は、少なくとも2つのpH感受性ポリマーのコーティングにより達成される。外部pH感受性ポリマーは、遅延又は遅延持続放出腸溶コーティングとして機能する。任意の市販のpH感受性ポリマーは、2つのpH感受性コーティングそれぞれに使用され得る。吸収ウィンドウ活性物質は、pH約4.5以下の酸性の胃環境中では最小限しか放出されないか、又は放出されない。吸収ウィンドウ活性物質は、適切な遅延時間後に、或いはユニットが胃を通過した後に腸溶層が腸のより高いpHで溶解する場合に利用可能となるべきである。薬物放出時間の好ましい持続時間は、絶食条件下での投薬後最大約7時間の範囲である。
【0059】
腸溶ポリマーには、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、例えば、商品名Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)L100、若しくはEudragit(登録商標)S12.5、S100(Rohm GmbH, Darmstadt, Germany)として既知の物質等の共重合されたメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、又は腸溶コーティングを得るために使用される類似の化合物が含まれる。例えば、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)調製物4110D c;Aquateric(登録商標)、Aquacoat(登録商標)CPD30(FMC Corp.);Kollicoat MAE(登録商標)30D及びKollicoat MAE(登録商標)30DP(BASF);Eastacryl(登録商標)30D(Eastman Chemical, Kingsport, TN)等、ポリマーの水性コロイド分散系又は再分散系を適用することもできる。
【0060】
本発明で使用する腸溶ポリマーは、pH感受性ではない他の既知のコーティング製品と混合することによって変更することができる。このようなコーティング製品の例には、E Eudragit(登録商標)、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)RSという商品名で現在販売されている、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート塩化物を少量含む中性のメタクリル酸エステル;Eudragit(登録商標)NE30D及びEudragit(登録商標)NE30という商品名で販売されている、官能基を全く含まない中性エステル分散系;並びに他のpH非依存性のコーティング製品が含まれる。
【0061】
腸溶コーティングは制御放出成分を実質的に包み込む。「実質的に包み込む」という用語は、或る成分の全体又はほぼ全体の封入を定義することを意図する。このような封入には、好ましくは少なくとも約80%の封入、より好ましくは少なくとも約90%の封入及びさらに好ましくは少なくとも約99%の封入が含まれる。
【0062】
好ましい実施形態では、剤形はカプセル剤製剤であり、このカプセル剤は、即時放出製剤での吸収ウィンドウ活性物質を含有するビーズ及び腸溶コーティングされた制御放出製剤での吸収ウィンドウ活性物質を含有するビーズの組合せを含有する。この好ましい実施形態では、腸溶コーティングされた制御放出ビーズは、吸収ウィンドウ活性物質放出の速度を制御する2つのpH感受性層を含有する。
【0063】
制御放出ビーズは、糖スフェア上に吸収ウィンドウ活性物質をコーティングすること、次に吸収ウィンドウ活性物質でコーティングされた糖スフェア上へ内部pH感受性ポリマーをコーティングすること、続いて吸収ウィンドウ活性物質及び内部pH感受性ポリマーでコーティングされた糖スフェア上へ外部pH感受性ポリマーをコーティングすることにより調製される。好ましくは、外部pH感受性ポリマー層は、約5.5以上のpHで溶解する。代替的な実施形態では、外部pH感受性ポリマー層は、約3以上のpHで、約3.5以上のpHで、約4以上のpHで、約4.5以上のpHで、約5以上のpHで、約5.5以上のpHで、約6以上のpHで、又は約6.5以上のpHで溶解する。
【0064】
内部pH感受性層は、外部腸溶コートの溶解時に吸収ウィンドウ活性物質の持続放出を提供するように機能する。
【0065】
内部pH感受性ポリマー層は、外部pH感受性ポリマー層と組み合わせて、腸溶コーティングされた制御放出成分が吸収ウィンドウ活性物質の生物学的利用能の改善をもたらすような量で適用される。好ましくは、内部pH感受性ポリマー層は、約6以上のpHで溶解する。代替的な実施形態では、内部pH感受性ポリマー層は、約4以上のpHで、約4.5以上のpHで、約5以上のpHで、約5.5以上のpHで、約6.5以上のpHで、又は約7以上のpHで溶解する。特に好ましいポリマーについて、以下の実施例で記載する。
【0066】
本発明の1つの実施形態は、吸収ウィンドウ活性物質を含む易流動性の製剤を提供する。本明細書で使用される「易流動性」という用語は、通過を遅らせる障害もメカニズムも伴わずに、患者の消化器系を通過する剤形を意味する。したがって、例えば、「易流動性」という用語は、例えば米国特許第5,651,985号で記載されているような、長期間にわたって胃中に存在するように設計される、胃内ラフト型の剤形を除外する。
【0067】
本発明による剤形は、吸収ウィンドウ活性物質と、チザニジン、ダントロレン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、オピオイド、及びCOX−2阻害剤等少なくとも1種の付加的な活性物質との組合せを含むこともできる。所望の治療効果を実現するために、即時放出成分又は制御放出成分中に他の活性物質を一緒に配合することができる。
【0068】
個々の組成物及び投与方法に対する所望の治療応答を得るために有効な吸収ウィンドウ活性物質の量、並びに、組合せ製品として使用する場合は有効な有効成分量を得るために、組成物中の吸収ウィンドウ活性物質並びに吸収ウィンドウ活性物質と組み合わせて使用されるべき任意の活性物質の用量レベルを変更してもよい。
【0069】
本発明の目的は、医療提供者によって望まれる吸収ウィンドウ活性物質の制御された生物学的利用能を提供する。生物学的利用能とは、治療的に活性な薬剤が、投与後に体内で利用可能になる程度を意味する。通常、生物学的利用能は、試験調製物を投与される前に一晩絶食した患者において測定される。次いで、血漿試料を採取し、親化合物及び/又はその活性な代謝生成物の血漿中濃度について分析する。これらのデータは、CMAX、血漿中に見出される有効成分の最大量として、又は、AUC、血漿中濃度時間曲線下面積として表現することができる。Shargel & Yu, APPLIED BIOPHARMACEUTICS AND PHARMACOKINETICS ch. 10 (3d ed. 1996);APPLIED PHARMACOKINETICS: PRINCIPLES OF THERAPEUTIC DRUG MONITORING, Evans et al., eds. (3d ed. 1992)も参照されたい。
【0070】
例えば、被験体における生物学的利用能比較試験に吸収ウィンドウ活性物質製剤を使用してもよい。被験体は、薬物投与前に一晩絶食する。次いで、投薬時、投薬後12時間にわたって1時間毎、次いで、投薬後の16時間及び24時間に、血漿試料を採取し、吸収ウィンドウ活性物質又は吸収ウィンドウ活性物質代謝生成物のng/ml濃度について分析する。
【0071】
本明細書中で使用する場合、「吸収ウィンドウ活性物質」という用語は、胃腸管の特定の場所で吸収されるか、胃腸管の特定の場所で吸収されることにより患者に有益であるか、或いは胃腸管の種々の場所で分解する活性物質を指す。吸収ウィンドウ活性物質は、吸収のウィンドウを有さない活性物質と異なり、したがってGI管全体にわたって吸収される。吸収ウィンドウは、多数の理由、例えばGI管の生理学的特性、GI管に沿った能動輸送機構の場所、或いは活性物質の薬理学的特性及び/又は吸収特性に起因し得る。例えば、バクロフェンのような或る特定の活性物質は、小腸の上部でより容易に吸収され、大腸ではよく吸収されない。好ましい実施形態では、吸収ウィンドウ活性物質は、胃及び/又は小腸でより容易に吸収される。別の実施形態では、吸収ウィンドウ活性物質は、胃でより容易に吸収される。代替的な実施形態では、吸収ウィンドウ活性物質は、小腸でより容易に吸収される。より好ましくは、吸収ウィンドウ活性物質は、上部小腸でより容易に吸収される。さらに別の実施形態では、吸収ウィンドウ活性物質は、十二指腸でより容易に吸収される。或いは、吸収ウィンドウ活性物質は、空腸でより容易に吸収される。さらに、吸収ウィンドウ活性物質は、回腸で吸収される。
【0072】
上述の活性物質以外に、胃腸管で治療効果を有するか、胃腸管において吸収ウィンドウを有するか、GI管における特定の場所で投与されるべきであるか、又は結腸で分解する任意の活性物質が、本発明の薬学的剤形により送達され得る。かかる活性物質は、当業者に既知であり、単独で、又は他の適切な活性物質と組み合わせて送達され得る。
【0073】
「類似体」という用語は、特定の化合物又はそのクラスの化学的に修飾された形態を含み、且つ当該化合物又はクラスに特徴的な薬学的及び/又は薬理学的活性を維持している化合物を意味する。
【0074】
「誘導体」という用語は、酸のエステル又はアミド、アルコール又はチオールに対するベンジル基、及びアミンに対するtert−ブトキシカルボニル基等の保護基等、熟練した化学者にはその修飾がルーチンとみなされている、化学的に修飾された化合物を意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、患者にこのようなプロドラッグが投与された場合、インビボで本発明の活性な親薬物を放出する、任意の共有結合した担体を含む。プロドラッグは、薬剤の多数の望ましい特質(すなわち、可溶性、生物学的利用能、製造等)を高めることが知られているため、本発明の化合物は、プロドラッグの形態で送達してもよい。本発明のプロドラッグは、ルーチン操作又はインビボのいずれかで修飾が切断されて親化合物になるように、その化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。インビボでの変換は、例えば、カルボン酸、リン酸、若しくは硫酸のエステルの化学的若しくは酵素的加水分解、又は影響を受けやすい官能基の還元若しくは酸化等いくつかの代謝プロセスの結果として起こり得る。本発明の範囲内のプロドラッグには、本発明のプロドラッグが哺乳動物の被験体に投与された場合に、切断されて、遊離のヒドロキシル基、遊離のアミノ基、又は遊離のスルフヒドリル基をそれぞれ形成させる任意の基に、ヒドロキシ、アミノ、又はスルフヒドリル基が結合している化合物が含まれる。代謝的切断によってインビボで迅速に変換され得る官能基は、本発明の化合物のカルボキシル基と反応する基のクラスを形成する。これらには、限定されるわけではないが、アルカノイル(アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、非置換及び置換アロイル(ベンゾイル及び置換ベンゾイル等)、アルコキシカルボニル(エトキシカルボニル等)、トリアルキルシリル(トリメチルシリル及びトリエチルシリル等)、ジカルボン酸と形成されたモノエステル(スクシニル等)等の基が含まれる。本発明による有用な化合物の代謝的に切断可能な基はインビボで容易に切断されるため、このような基を有する化合物は、プロドラッグの役割を果たす。代謝的に切断可能な基を有する化合物は、これらがその代謝的に切断可能な基の存在のおかげで親化合物に与えられた、高められた可溶性及び/又は吸収速度の結果として、改善された生物学的利用能を示し得るという利点を有する。
【0076】
プロドラッグの考察は以下の文献で提供される:DESIGN OF PRODRUGS, H. Bundgaard, ed. (Elsevier, 1985); METHODS IN ENZYMOLOGY, K. Widder et al., eds., vol. 42, 309-96 (Academic Press 1985); A TEXTBOOK OF DRUG DESIGN AND DEVELOPMENT, Krogsgaard-Larsen & H. Bundgaard, ed., Chapter 5; Design and Applications of Prodrugs, 113-91 (1991); H. Bundgard, Advanced Drug Delivery Reviews, 1-38 (1992); 8 J. PHARM. SCIENCES 285 (1988) ; N. Nakeya et al., 32 CHEM. PHARM. BULL. 692 (1984) ; T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, 14 A.C.S. SYMPOSIUM SERIES: BIOREVERSIBLE CARRIERS IN DRUG DESIGN, Edward B. Roche, ed. (Am. Pharm. Assoc. & Pergamon Press 1987)。これらの各文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0077】
「代謝生成物」という用語は、化合物の投与された形態に対する身体の作用によってヒト又は動物の体内で得られる化合物の形態、例えば、メチル化化合物の投与後に、そのメチル化化合物に対する身体による作用の結果として体内で得られる、メチル基を有する化合物の脱メチル化類似体を意味する。代謝生成物自体が生物活性を有してもよい。
【0078】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書においては、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、過剰な毒性、刺激性、アレルギー応答も、妥当な利益/リスク比に相応する他の問題又は合併症も伴わない、化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を意味するために使用される。
【0079】
例えば、「薬学的に許容される塩」とは、特定された化合物がその酸又は塩基の塩に変換されている、開示された化合物の誘導体を意味する。このような薬学的に許容される塩には、限定されるわけではないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が含まれる。薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成された親化合物の従来の非毒性塩又は4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導されるもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン(dislfonic)酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製される塩が含まれる。
【0080】
本発明の目的では、「制御放出」という用語は、長期間にわたって(すなわち、1時間以上の期間にわたって)1種若しくは複数種の活性な薬学的物質を放出することができる、又は、長期間にわたって活性物質の放出を遅延させる、剤形の一部分又は全体を意味する。制御放出(CR)の特徴は、持続放出(SR)、長期放出(PR)、調節放出(MR)、遅延放出(DR)、又は徐放(ER)と呼んでもよい。本明細書において考察される溶解プロファイルに関連して使用される場合、「制御放出」という用語は、1時間を超える期間にわたって活性物質を送達する、本発明による剤形のその部分を意味する。
【0081】
「即時放出」とは、胃液と接触すると実質的に直ちに活性物質を放出し、約1時間以内に実質的に完全に溶解する剤形の一部分又は全体を意味する。即時放出(IR)の特徴は、瞬間(instant)放出(IR)と呼んでもよい。本明細書において考察される溶解プロファイルに関連して使用される場合、「即時放出」という用語は、1時間未満の期間中に活性物質を送達する、本発明による剤形のその部分を意味する。
【0082】
「CMAX」という用語は、本発明の組成物によって示される最高血漿中濃度である。「TMAX」とは、血漿中濃度−時間プロファイルにおいてCMAXが生じる時間を意味する。「CMIN」は、最低血漿中濃度である。「C」は濃度の、「T」は時間の、「max」は最大の、「min」は最小の略記である。血漿レベルの初回ピークとは、活性物質の血漿レベルの最初の上昇を意味し、これに、1回又は複数回の追加のピークが続くことがあり、そのうちの1つがCMAXになり得る。本明細書で使用される場合、「吸収ウィンドウ活性物質の平均最高レベル」とは、吸収ウィンドウ活性物質の平均CMAXを意味する。本明細書に記載する血漿中濃度は、典型的に少なくとも12の被験体からなる集団を用いて測定される。
【0083】
前述の血漿中濃度は、剤形の単回経口投与後の血漿レベルを意味してもよく、又は、定常状態で得られるレベルを意味してもよい。本明細書で使用される場合、「定常状態」の血漿中濃度とは、体内の薬物の量が実質的に一定となるような、安定なレベルの吸収及び排出に達するまで薬物を反復投薬した際に得られる血漿レベルを意味する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、ヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。
【0085】
「有効量」という用語は、所望の治療効果を生じるのに有効な、本発明による化合物/組成物の量を意味する。
【0086】
「賦形剤」という用語は、体内で活性ではない薬理学的に不活性な成分を意味する。HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS(Am. Pharm. Ass'n 1986)を参照されたい。多くの様々な賦形剤を本発明による製剤中で使用することができ、本明細書において提供される一覧が網羅的ではないことが、当業者には認識されるであろう。
【0087】
本発明の活性物質は、投与様式及び剤形の性質に応じて、保存剤、増量剤、ポリマー、崩壊剤、流動促進剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味剤、着香剤、滑沢剤、酸性化剤、及び予製剤(dispensing agent)等薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルと混合してもよい。薬学的に許容される担体及び賦形剤を含む、このような成分を、経口剤形を調製するために使用することができる。薬学的に許容される担体には、水、エタノール、ポリオール、植物油、脂肪、ロウ、ゲル形成ポリマー及び非ゲル形成ポリマーを含むポリマー、並びにそれらの適切な混合物が含まれる。賦形剤の例には、デンプン、アルファ化デンプン、アビセル、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、及びレーキ混合物が含まれる。崩壊剤の例には、デンプン、アルギン酸、及び或る特定の複合ケイ酸塩が含まれる。滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、並びに高分子量のポリエチレングリコールが含まれる。
【0088】
「絶食条件下の投薬」とは、被験体を一晩、少なくとも10時間絶食させた後、室温水240mlとともに投与量が経口投与される場合として定義される。薬物投与とともに与えられるものを除いて、服用量投与の1時間前から投薬の1時間後まで、液体はまったく与えられない。投与の2時間後に、被験体は、室温水240mlを摂取してもよい。
【0089】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、文脈において明確な指示がない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、複数形への言及を含む。したがって、例えば、プロファイル(a profile)への言及は、当業者に既知であるその等価物を含む、1つ又は複数のそのようなプロファイルへの言及である。実施される例以外で、又は特に指示がない場合、本明細書において使用される成分の量又は反応条件を表すすべての数字は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。
【0090】
特定されるすべての特許及び他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得る、そのような刊行物において記載されている方法論を説明及び開示する目的のために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0091】
他に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。任意の既知の方法、装置、及び材料を本発明の実施及び試験において使用してよいが、これに関して好ましい方法、装置、及び材料を本明細書で説明する。
【0092】
更に詳述せずとも、上記の記載の恩恵を受ける当業者は、本発明を最大限に利用することができる。以下の実施例は例示にすぎず、開示内容の残りの部分を決して限定しない。
【実施例】
【0093】
実施例1 バクロフェンでコーティングされた活性なシード(seed)
【0094】
【表1】

【0095】
ポビドン(プラスドンK−29/32(登録商標))を精製水に加え、ポビドンが完全に溶解するまで混合する。均一に分散されるまで、上記の溶液中でバクロフェンを混合する。次いで、流動層コーティング装置を使用して、バクロフェン懸濁液で糖スフェアをコーティングして、コーティングされた活性なシードを製造する。
【0096】
実施例2 バクロフェンでコーティングされた活性なシード
【0097】
【表2】

【0098】
ヒプロメロース、タイプ2910(登録商標)、USP(ファーマコート606、6cps)を適切な量の精製水に加え、ヒプロメロースが完全に溶解するまで混合する。均一に分散されるまで、上記の溶液中でバクロフェンを混合する。次いで、流動層コーティング装置を使用して、バクロフェン懸濁液で糖スフェアをコーティングして、コーティングされた活性なシードを製造する。
【0099】
この製剤の溶解プロファイルを図1に示す。
【0100】
実施例3 バクロフェンを含有する活性な顆粒剤
【0101】
【表3】

【0102】
バクロフェン、デンプン1500(アルファ化デンプン)、及びアビセルPH−102(微結晶セルロース)を混合する。バクロフェン混合物をHobartミキサー中に満たし、混合して均質な混合物を形成させる。この混合物を精製水とともに顆粒化して粒質物を形成させる。オーブン中、60℃の温度でこの粒質物を乾燥して顆粒を形成させる。#30メッシュふるいを用いてこれらの顆粒を選別する。ステアリン酸マグネシウムを混合して、活性な顆粒剤を形成させる。
【0103】
実施例4 バクロフェンのコーティングされた活性なシード及び腸溶コーティングされたシードを含有する組成物
【0104】
【表4】

【0105】
ヒプロメロース、タイプ2910、USPを適切な量の精製水に加え、ヒプロメロースが完全に溶解するまで混合する。次いで、均一に分散されるまで、上記の溶液中でバクロフェンを混合する。この懸濁液を#40メッシュのふるいに通してステンレス鋼容器中に入れる。Wursterインサートを装備している流動層コーティング機中に糖スフェアを満たし、排気温度が50±5℃に到達するまで加熱する。上記に由来する活性な懸濁液を噴霧して糖スフェアをコーティングし、次いでそれを60±10℃の温度で5〜30分間乾燥させる。IRシードを#16メッシュのステンレス鋼製ふるいに通す。基準に合うIRシードを回収し、傾斜型コーンブレンダー中で1〜10分間、タルク、USPと混合する。
【0106】
イソプロピルアルコール及びアセトンを混合することによって、腸溶溶液を調製する。クエン酸トリエチル及びメタクリル酸コポリマー、タイプAをこの混合物中で、完全に溶解するまで攪拌する。完全に分散されるまで、上記の溶液中でタルクを混合する。次いで、流動層コーティング装置を使用して、上記のように調製したIRシードをこの腸溶溶液でコーティングして、腸溶コーティングされたシードを製造する。腸溶コーティングされたシードを#14メッシュのステンレス鋼製ふるいに通す。基準に合う腸溶コーティングされたシードを第2層腸溶コーティングのために回収する。
【0107】
第2の腸溶溶液は、精製水及びアセトンを混合することにより調製される。完全に溶解するまで、クエン酸トリエチル及びメタクリル酸コポリマー、タイプCを混合物中で、完全に溶解するまで攪拌する。完全に分散するまで、タルクを上記溶液中で混合する。次に、流動層コーティング装置を使用して、上記のように調製した腸溶コーティングされたシードをこの腸溶溶液でコーティングして、腸溶コーティングされたシードを生産する。腸溶コーティングされたシードを#12メッシュのステンレス鋼製ふるいに通す。基準に合う腸溶コーティングされたシードを回収し、傾斜型コーンブレンダーで1〜10分間、タルク、USPと混合する。
【0108】
適切な量のIRシードに適切な量の腸溶コーティングされたシードを加え、カプセル化して、バクロフェンのERカプセル剤を得る。
【0109】
実施例5 バクロフェンERカプセル剤
【0110】
実施例4に記載したプロセスを用いて、以下の処方を有するバクロフェンERカプセル剤を調製した。
【0111】
【表5】

【0112】
【表6】

【0113】
実施例6 バクロフェンERカプセル剤
【0114】
実施例10に記載した方法に従って、以下の組成を有するバクロフェンERカプセル剤を調製した。10mg、15mg、20mg、30mg、35mg及び40mgのバクロフェンを有するカプセル剤を調整し、これらの異なる用量強度は正比例していた。
【0115】
【表7】

【0116】
実施例7 バクロフェン含有製剤の血漿プロファイルの測定
【0117】
即時放出成分が12mgのバクロフェンを含有し、腸溶コーティングされた制御放出成分が24mgのバクロフェンを含有し、残りの賦形剤を用量に比例して調整したことを除いては実施例6に従って調製した36mgバクロフェン製剤を比較する生物学的利用能調査を健常志願者20例において行った。この製剤を、絶食条件下で、20mgの参照用即時放出錠剤(Watson Laboratories, Inc.)と比較した。一晩、少なくとも10時間、被験体を絶食させた後、室温水240mlとともに試験試料を経口投与した。薬物投与とともに与えられるものを除いて、服用量投与の1時間前から投薬の1時間後まで、液体はまったく与えられない。被験体は、投与の2時間、6時間、8時間、及び12時間後に室温水240mlを摂取した。さらに、被験体は、昼食及び夕食とともに480mlの液体を摂取した。投与の0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、8時間、10時間、12時間、16時間、及び24時間後に血液試料を採取した。これらの結果を図2に示す。さらに、図2は、用量強度20mgの投与から得られたデータに基づく、30mgの即時放出バクロフェンの模擬血漿中濃度を示す。
【0118】
実施例8 バクロフェン含有製剤の定常状態の血漿プロファイルの測定
【0119】
単回投与の生物学的利用能のデータに基づき、12時間毎に投与された、実施例6に従って調製した40mgのバクロフェン製剤、及び8時間毎に投与された20mgの即時放出バクロフェン錠剤(Watson Laboratories, Inc.)について定常状態のバクロフェンの平均血漿レベルを算出した。これらの結果を図3に示す((C)は本発明の40mgの剤形を表し、(D)は、参照用の20mgの即時放出剤形を表す)。これらの結果は、定常状態では、即時放出製剤によって投与後8時間で得られるCMINに匹敵するCMINに、本発明の40mgの剤形は投与後12時間で到達することを示す。
【0120】
本発明をこれまで十分に説明したが、本発明又はその任意の実施形態の範囲を逸脱することなく、広範囲及び同等の範囲の条件、処分、他のパラメータとを用いて本発明の方法を実施できることが、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】37℃、900ml模擬胃液(pH1.2)中、75rpmのUSPパドル法での測定による、実施例2に従って調製したバクロフェンカプセル製剤30mgのインビトロの溶解プロファイルのグラフである。
【図2】実施例7に記載のように測定した、バクロフェン錠剤製剤のインビボ血漿プロファイルのグラフである。
【図3】実施例8に記載のように測定した、定常状態のバクロフェン血漿レベルをシミュレートするグラフである。(C)は本発明の40mgの剤形を表し、(D)は、参照用の20mgの即時放出剤形を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.吸収ウィンドウ活性物質、及び
ii.腸溶コーティングされた制御放出ビーズを含む制御放出成分であって、該腸溶コーティングされた放出ビーズが、少なくとも2つのpH感受性ポリマー層を含む制御放出成分
を含む薬学的剤形。
【請求項2】
前記腸溶コーティングされた制御放出ビーズが、前記吸収ウィンドウ活性物質を含むコアを含み、該吸収ウィンドウ活性物質が、内部pH感受性ポリマー層及び外部pH感受性ポリマー層でコーティングされる、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項3】
前記外部pH感受性ポリマー層が、前記内部pH感受性ポリマー層よりも低いpHで溶解する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項4】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約5.5以下のpHで溶解し、内部pH感受性ポリマー層は、約6以上のpHで溶解する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項5】
即時放出成分をさらに含む、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項6】
前記即時放出成分が、即時放出ビーズを含む、請求項5に記載の薬学的剤形。
【請求項7】
可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項8】
前記可塑剤が、1,2−プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エステル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、又はそれらの任意の混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の薬学的剤形。
【請求項9】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約3以上のpHで溶解する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項10】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約4以上のpHで溶解する、請求項9に記載の薬学的剤形。
【請求項11】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約4.5以上のpHで溶解する、請求項10に記載の薬学的剤形。
【請求項12】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約5以上のpHで溶解する、請求項11に記載の薬学的剤形。
【請求項13】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約5.5以上のpHで溶解する、請求項12に記載の薬学的剤形。
【請求項14】
前記外部pH感受性ポリマー層が、約6以上のpHで溶解する、請求項13に記載の薬学的剤形。
【請求項15】
前記内部pH感受性ポリマー層が、約5以上のpHで溶解する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項16】
前記内部pH感受性ポリマー層が、約5.5以上のpHで溶解する、請求項15に記載の薬学的剤形。
【請求項17】
前記内部pH感受性ポリマー層が、約6以上のpHで溶解する、請求項16に記載の薬学的剤形。
【請求項18】
前記内部pH感受性ポリマー層が、約6.5以上のpHで溶解する、請求項17に記載の薬学的剤形。
【請求項19】
前記内部pH感受性ポリマー層及び/又は前記外部pH感受性ポリマー層が、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、メタクリル酸ポリマー、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸及びメチルエステル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、又はそれらの任意の混合物から成る群から選択されるpH感受性ポリマーから成る、請求項2に記載の薬学的剤形(from)。
【請求項20】
前記外部pH感受性ポリマー層が、メタクリル酸ポリマーを含む、請求項19に記載の薬学的剤形。
【請求項21】
前記即時放出成分対前記制御放出成分の比が、約1:4〜約4:1である、請求項5に記載の薬学的剤形。
【請求項22】
前記即時放出成分対前記制御放出成分の比が、約1:2〜約2:1である、請求項21に記載の薬学的剤形。
【請求項23】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約1mg〜約1000mgの量で存在する、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項24】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約1.5mg〜約500mgの量で存在する、請求項23に記載の薬学的剤形。
【請求項25】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約2mg〜約250mgの量で存在する、請求項24に記載の薬学的剤形。
【請求項26】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約2.5mg〜約200mgの量で存在する、請求項25に記載の薬学的剤形。
【請求項27】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約10mg〜約100mgの量で存在する、請求項26に記載の薬学的剤形。
【請求項28】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約15mg〜約50mgの量で存在する、請求項27に記載の薬学的剤形。
【請求項29】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約300mg〜約900mgの量で存在する、請求項23に記載の薬学的剤形。
【請求項30】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約400mg〜約800mgの量で存在する、請求項29に記載の薬学的剤形。
【請求項31】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、約450mg〜約750mgの量で存在する、請求項30に記載の薬学的剤形。
【請求項32】
前記薬学的剤形が錠剤である、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項33】
前記薬学的剤形がカプセル剤である、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項34】
前記カプセル剤が、ビーズ、顆粒、粒子、錠剤又はそれらの混合物から成る群から選択される別個のユニットをさらに含む、請求項33に記載の薬学的剤形。
【請求項35】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、ACE阻害剤、抗生物質、抗痛風剤、抗高脂血症剤、抗高血圧剤、抗痙縮剤、抗腫瘍剤、ビスマス塩、気管支拡張薬、COX−2阻害剤、利尿薬、GABA受容体アゴニスト、ヒスタミン(H2)遮断薬、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、核酸又はアミノ酸誘導体、オピオイド、ペプチド擬似薬、プロスタグランジン、治療用イオン、ビタミン、又はそれらの任意の混合物を含む、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項36】
前記ACE阻害剤が、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、ラミプリル、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項37】
前記アミノ酸配列又はアミノ酸誘導体が、バクロフェン、ガバペンチン、レボドパ、α−メチルドパ、バラシクロビル、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項38】
前記抗生物質が、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、テトラサイクリン、β−ラクタム抗生物質、キノロン、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項39】
前記β−ラクタム抗生物質が、アモキシシリン、セファレキシン、又はそれらの混合物である、請求項38に記載の薬学的剤形。
【請求項40】
前記キノロンが、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン(morfloxacin)、オフロキサシン(ofioxacin)、ペフロキサシン、又はそれらの任意の混合物である、請求項38に記載の薬学的剤形。
【請求項41】
前記抗高脂血症剤が、プラバスタチンである、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項42】
前記抗高血圧剤が、アテノロール、メトプロロール、又はそれらの混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項43】
前記抗痙縮剤が、ダントロレン、チザニジン、又はそれらの混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項44】
前記抗腫瘍剤が、5−シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、フルオロウラシル、メトトレキサート、マイトマイシン、セムスチン、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項45】
前記ビスマス塩が、次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、又はそれらの混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項46】
前記気管支拡張薬が、アルブテロール、ピルブテロール、又はそれらの混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項47】
前記利尿剤が、フロセミドである、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項48】
前記ヒスタミン(H2)遮断薬が、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項49】
前記核酸誘導体が、アシクロビル、AZT、ジダノシン、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項50】
前記プロスタグランジンが、ミソプロストールである、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項51】
前記治療用イオンが、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項52】
前記ビタミンが、アスコルビン酸、葉酸、リボフラビン、ビタミンE、チアミンジスルフィド、又はそれらの任意の混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項53】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、アロプリノール、クロルプロマジン、又はそれらの混合物である、請求項35に記載の薬学的剤形。
【請求項54】
前記吸収ウィンドウ活性物質がラセミ混合物である、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項55】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、光学的に純粋な異性体混合物である、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項56】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、胃及び小腸で放出される、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項57】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、胃で放出される、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項58】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、小腸で放出される、請求項1に記載の薬学的剤形。
【請求項59】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、上部小腸で放出される、請求項58に記載の薬学的剤形。
【請求項60】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、十二指腸で放出される、請求項58に記載の薬学的剤形。
【請求項61】
前記吸収ウィンドウ活性物質が、空腸で放出される、請求項58に記載の薬学的剤形。
【請求項62】
前記外部ポリマー層が、前記腸溶コーティングされた放出ビーズに対して約5重量パーセント〜約50重量パーセントの量で存在する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項63】
前記外部ポリマー層が、前記腸溶コーティングされた放出ビーズに対して約15重量パーセント〜約35重量パーセントの量で存在する、請求項62に記載の薬学的剤形。
【請求項64】
前記内部ポリマー層が、前記腸溶コーティングされた放出ビーズに対して約5重量パーセント〜約50重量パーセントの量で存在する、請求項2に記載の薬学的剤形。
【請求項65】
前記外部ポリマー層が、前記腸溶コーティングされた放出ビーズに対して約20重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在する、請求項64に記載の薬学的剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−510065(P2009−510065A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533447(P2008−533447)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/036694
【国際公開番号】WO2007/040997
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508096736)インパックス ラボラトリーズ,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】