説明

即湯システム

【課題】貯湯部の容量を大型化せずに給湯器から長い流路が形成されている場合にも対応することができ、給湯器から供給される水の温度に応じて短い時間で貯湯部に温かい水を満たすことが可能な即湯システムを提供すること。
【解決手段】この即湯システムQWは、切替弁30が、給湯器HW側から第一温度以上の水が供給された場合には第一流路12側に、第一温度未満の水が供給された場合には第二流路側14側に流路を切り替え、サーモスタット弁34が、水栓FCに延びる流路16に供給する水が第二温度に近づくように、第一流路12から供給される水量と、第二流路14から供給される水量とを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と水栓との間に配設される即湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯個所で水栓が開かれると即時に温水を供給することができる即湯システムとして、給湯器に、上水を供給する給水管と給湯個所に通じる出湯管とが接続され、この給水管と出湯管とを循環ポンプを設けた戻り管で接続した循環路が形成されたものがある。この循環方式の即湯システムでは、水栓が閉じられて給湯が使用されない時、給湯器及び循環ポンプを作動してこの循環路で所定温度の温水を循環させる循環保温運転を行い、水栓が開かれて給湯が使用された時、給湯個所に即時に温水が供給されるものである。
【0003】
また、主給湯器と水栓との間に保温加熱体を有する即湯ポットを配設し、この即湯ポットの下部に主給湯器からの給湯配管を直結して出湯初期における給湯配管からの冷水のすべてを即湯ポット内に導き、この導いた冷水と即湯ポット内の湯とを即湯ポット内で混合し即湯ポット上部の出湯口から取り出して水栓より吐出させる構造の貯湯方式の即湯システムもある。
【0004】
貯湯方式の即湯システムにあっては、出湯初期において下部から流入する冷水で即湯ポット内に貯留する高温湯が押し上げられ、上部の出湯口からは高温湯だけが取り出されそのまま出湯口から流出させるので、水栓においてその高温湯がそのまま吐出されるおそれがある。そこで、主給湯器から即湯ポットへの給湯配管から分岐せるバイパス路を即湯ポットの出湯口に臨ませ、出湯初期における給湯配管からの冷水をバイパス側と即湯ポット側とに分岐し即湯ポットの湯とバイパス路からの冷水を出湯口で混合して水栓に供給する即湯システムも提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、循環方式の貯湯システムでは、循環ポンプ等の追加部品がコストアップの要因となる。また、貯湯方式の貯湯システムでは、電気ヒータ等の部品代がかかる外、水を加熱する際に生じる膨張水と圧力を逃がして即湯ポットが水圧によって破損するのを防止するために減圧弁等の安全装置も必要となって、高価なものになってしまうという問題がある。更に、これら初期費用に加えて、循環ポンプや電気ヒータを作動させ続けることは電気代等の維持費を必要とするばかりか、地球温暖化対策等の環境保全の観点からも好ましくない。
【0006】
そこで、電気ヒータ等を用いない貯湯方式の貯湯システムが提案されている(下記特許文献2参照)。下記特許文献2に記載されている貯湯システムは、給湯器と水栓とを接続する給湯配管の途上に配設される断熱性を有する貯湯部を備えるものである。具体的には、給湯器側から送られる水の温度が所定の温度より低い場合には、給湯配管内の主な水を貯湯部内に供給するとともに、貯湯部内から押し出された残留水を水栓に供給し、給湯器側から送られる水の温度が所定の温度より高い場合には、給湯配管内の湯の一部を貯湯部内に供給するとともに、貯湯部内から押し出された残留水と給湯配管内の貯湯部を介さずに直送された湯とを混合して水栓に供給するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−266463号公報
【特許文献2】特開2009−52884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に記載されている即湯システムでは、給湯器側から所定温度より低い水が供給された場合には、一定の割合(例えば、略100%)の水を貯湯部内に供給していた。そのため、即湯性を確保するという観点からは、給湯器から貯湯部に至る流路の長さ分の水量に応じた貯湯量を確保する必要があり、給湯器から貯湯部に至る流路が長くなることが想定される場合には貯湯部が大型化する懸念がある。また上記特許文献2に記載されている即湯システムでは、給湯器側から所定温度より高い水が供給された場合には、一定の割合(例えば、略20%)の水を貯湯部内に供給していた。そのため、給湯器側から供給される水の温度に拘らず、所定量以上の水を使用しないと貯湯部内が温かい水で満たされなかった。給湯器側から供給される水が、例えば60℃の場合と50℃の場合とを比較すると、水栓において40℃程度の温度の水として常温水と混合して吐出するのであれば、水栓において必要とされる水量は60℃の方が少なく、結果として貯湯部には50℃の場合よりも多く供給することができるはずである。しかしながら、上述した従来の技術では、一定量の水を貯湯部に供給する構成であることから、より低温の50℃の水の場合の供給量を基準として貯湯部に供給するものとしており、結果として貯湯が完了するまでに多くの時間がかかっていた。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯湯部の容量を大型化せずに給湯器から長い流路が形成されている場合にも対応することができ、給湯器から供給される水の温度に応じて短い時間で貯湯部に温かい水を満たすことが可能な即湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る即湯システムは、給湯器と水栓との間に配設される即湯システムであって、互いに独立して設けられた第一流路及び第二流路と、前記第一流路の途上と前記第二流路の途上とを繋ぐ第三流路と、前記給湯器側から延びる流路を前記第一流路と前記第二流路とに分岐する分岐部と、前記第一流路と前記第二流路とを合流させ前記水栓に延びる流路に繋ぐ合流部と、水を貯溜可能であり、断熱性を有する貯湯部と、を備え、前記第三流路は、前記第一流路と前記貯湯部内とを連通させると共に前記第二流路と前記貯湯部内とを連通させるように形成され、前記分岐部に設けられる流路切替手段は、前記給湯器側から第一温度以上の水が供給された場合には前記第一流路側に流路を切り替える一方で、前記第一温度未満の水が供給された場合には前記第二流路側に流路を切り替えるように構成され、前記合流部に設けられる温度調整手段は、前記水栓に延びる流路に供給する水が第二温度に近づくように、前記第一流路から供給される水量と、前記第二流路から供給される水量とを調整するものであって、前記合流部において混合される水が前記第二温度未満となる場合には、前記第一流路から供給される水量を増やすと共に前記第二流路から供給される水量を減らし、前記合流部において混合される水が前記第二温度より高い場合には、前記第一流路から供給される水量を減らすと共に前記第二流路から供給される水量を増やすように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明において、分岐部では、給湯器側から第一温度未満の水が供給された場合には流路切替手段が第二流路側に流路を切り替えるので、給湯器側から供給される水は第二流路に流れる。従って、合流部には、給湯器側から供給されて第二流路を経由する水と、第二流路から第三流路に流れ込んだ水によって貯湯部から押し出され第一経路を経由する水とが流れ込む。一方、給湯器側から第一温度以上の水が供給された場合には流路切替手段が第一流路側に流路を切り替えるので、給湯器側から供給される水は第一流路を流れる。従って、合流部には、給湯器側から供給されて第一流路を経由する水と、第一流路から第三流路に流れ込んだ水によって貯湯部から押し出され第二流路を経由する水とが流れ込む。
【0012】
上述した第一流路及び第二流路を流れる水は合流部に流れ込み、温度調整手段によってそれぞれの流路から水栓に延びる流路に流れ出す流量を調整される。温度調整手段は、合流部において混合される水が第二温度未満となる場合には、第一流路から供給される水量を増やすと共に第二流路から供給される水量を減らして、水栓に延びる流路に供給する水の温度が第二温度に近づくように流量調整を実行する。従って、比較的低温の水が給湯器から第二流路を経由して供給された場合には、貯湯部へ流れ込む割合を増やしつつも、第二流路から合流部に直接供給される水も確保できるので、全ての水を貯湯部に送り込む場合に比較して貯湯部内の温かい水を有効に活用することができる。
【0013】
また、温度調整手段は、合流部において混合される水が第二温度より高い場合には、第一流路から供給される水量を減らすと共に第二流路から供給される水量を増やして、水栓に延びる流路に供給する水の温度が第二温度に近づくように流量調整を実行する。従って、比較的高温の水が給湯器から第一流路を経由して供給された場合であって貯湯部に比較的低温の水が貯留されている場合には、第一流路から合流部に直接供給される水を確保しつつも、貯湯部へ流れ込んで貯湯部内の水を押し出して第二流路から合流部に供給することができるので、貯湯部に効率的に温かい水を貯留することができる。また、比較的高温の水よりも低温の水が給湯器から第一流路を経由して供給された場合には、第一流路から合流部に直接供給される水量を増やし、貯湯部へ供給される水量を減らすことができるので、給湯器から供給される水の温度に応じて効率的に貯湯部に温かい水を貯留することができる。
【0014】
また本発明に係る即湯システムでは、前記第一温度よりも前記第二温度が高くなるように設定されていることも好ましい。この好ましい態様では、給湯器から供給される水の温度が第一温度以上であって第二温度未満の場合に、温度調整手段は、第一流路から供給される水量を増やすと共に第二流路から供給される水量を減らして、水栓に延びる流路に供給する水の温度が第二温度に近づくように流量調整を実行する。従って、給湯器から供給される水の温度が第二温度以上とならない場合にはそのまま第一流路から水栓側へと供給し続けることができ、給湯器から供給される水温のまま水栓へと供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、貯湯部の容量を大型化せずに給湯器から長い流路が形成されている場合にも対応することができ、給湯器から供給される水の温度に応じて短い時間で貯湯部に温かい水を満たすことが可能な即湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における基本的な概念を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態における基本的な概念を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態である即湯システムの構成を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す即湯システムの動作を説明するための概略構成図である。
【図5】図3に示す即湯システムの動作を説明するための概略構成図である。
【図6】図3に示す即湯システムの動作を説明するための概略構成図である。
【図7】図3に示す即湯システムの動作を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
本発明の実施の形態を説明するのに先立って、本発明の実施の形態である即湯システムの基本的な概念を図1及び図2を参照しながら説明する。本実施形態の即湯システムは、給湯器HWと水栓FCとの間に配置され、水栓FCから吐水した場合に即座に湯を供給するためのものである。図1は、本発明の実施形態における基本的な概念を説明するための図であって、給湯器HWから供給される水が低温の場合を示す図である。図2は、給湯器HWから供給される水が高温の場合を示す図である。図1及び図2に示す水栓FCにおいては、図示する湯の供給と、図示しない水の供給とを受けて、38℃〜43℃の湯を吐出させるものである。従って、図1及び図2に示す水栓FCに対する湯側の供給温度は、その実使用温度である38℃〜43℃をやや上回る程度のものであれば足り、本実施形態の場合は45℃を想定している。
【0019】
図1の(a)に示すように、給湯器HWから20℃の水が供給され、貯湯部WTには60℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を3:7にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水の残りは貯湯部WTに供給され、この供給によって押し出される60℃の水を水栓FC側に供給している。
【0020】
図1の(b)に示すように、給湯器HWから20℃の水が供給され、貯湯部WTには50℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を2:8にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水の残りは貯湯部WTに供給され、この供給によって押し出される50℃の水を水栓FC側に供給している。
【0021】
図1の(c)に示すように、給湯器HWから20℃の水が供給され、貯湯部WTには47℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を1:9にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水の残りは貯湯部WTに供給され、この供給によって押し出される47℃の水を水栓FC側に供給している。
【0022】
図1の(a)〜(c)に示すように、貯湯部WTに貯留されている水の温度に応じて、給湯器HWから水栓FCに直接供給される水との混合比を調整することで、貯湯部WTに貯留されている水を有効に活用し、安定的に狙いの温度の水を水栓FCに供給している。このような工夫をせずに、給湯器HWから供給される水を全て貯湯部WTに供給し、貯湯部WT内の水を押し出す場合に比較して、貯湯部WT内の水の消費量を抑制することができる。従って、給湯器HWからの配管長さが貯湯部WTの内部容量に相当する長さよりも長い場合にも対応することができる。
【0023】
図2の(a)に示すように、給湯器HWから60℃の水が供給され、貯湯部WTには20℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を7:3にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水の残りは貯湯部WTに供給され、この供給によって押し出される20℃の水を水栓FC側に供給している。
【0024】
図2の(b)に示すように、給湯器HWから50℃の水が供給され、貯湯部WTには20℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を8:2にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水の残りは貯湯部WTに供給され、この供給によって押し出される20℃の水を水栓FC側に供給している。
【0025】
図2の(c)に示すように、給湯器HWから45℃の水が供給され、貯湯部WTには20℃の水が貯留されている場合には、水栓FCに対して給湯器HW側から供給される水と貯湯部WT側から供給される水との比を10:0にし、水栓FCに対して略45℃の水を供給する。この場合、給湯器HWから供給される水は全て水栓FC側に供給され、貯湯部WTには供給されない。
【0026】
図2の(a)〜(c)に示すように、貯湯部WTに貯留されている水の温度に応じて、給湯器HWから水栓FCに直接供給される水との混合比を調整することで、貯湯部WTに有効に水を溜めることができ、安定的に狙いの温度の水を水栓FCに供給している。このような工夫をせずに、給湯器HWから供給される水の一定割合(例えば、20%)を貯湯部WTに供給し、貯湯部WT内の水を押し出す場合に比較して、貯湯部WT内に効率的に温度の高い水を溜めることができる。
【0027】
本発明の実施の形態は、上述したような概念を実現するためのものである。引き続いて、図3を参照しながら本発明の実施形態である即湯システムQWについて説明する。図3は、即湯システムQWの概略構成図である。
【0028】
図3に示すように、即湯システムQWは、給湯器HWと水栓FCとの間に配設されるものであって、水栓FCから吐水を開始した場合に極力タイムラグがないように湯を供給するためのシステムである。給湯器HWは給水管W1から常温水の供給を受けて加熱し、過熱後の水を流路10に送り出すものである。水栓FCは、流路16からは高温の水の供給を受け、給水管W2からは常温水の供給を受け、それらの水を混合して吐水するものである。
【0029】
即湯システムQWは、互いに独立して設けられている第一流路12及び第二流路14を備えている。第一流路12と第二流路14とは、給湯器HWから延びる流路10を分岐する分岐部101から分岐して形成されている。第一流路12と第二流路14とは合流部161において合流し、水栓FCに延びる流路16に繋がっている。即湯システムQWは、第一流路12の途上にある中間部121から分岐する第一分岐流路20と、第二流路14の途上にある中間部141から分岐する第二分岐流路18とを有している。第一分岐流路20は貯湯部32内に連通しており、第二分岐流路18も貯湯部32内に連通している。従って、第一分岐流路20及び第二分岐流路18は、第一流路12の中間部121と第二流路14の中間部141とを繋いでおり、本発明の第三流路に相当する。
【0030】
貯湯部32は、その内部に水を貯留可能なタンクであって、断熱性を有する材料によって形成され、若しくは断熱性を有する材料によって囲繞されることで全体として断熱性を有している。第一分岐流路20及び第二分岐流路18から貯湯部32内に水が供給されると、その供給速度が減速され、その供給方向に交わる断面全体に分散されるように構成されている。その結果として、第一分岐流路20及び第二分岐流路18から貯湯部32内に高温の水が供給され、貯湯部32内に既に低温の水が貯留されている場合であっても、それらが混じることなく、貯留されている低温の水が押し出されるように構成されている。第一分岐流路20及び第二分岐流路18から貯湯部32内に低温の水が供給され、貯湯部32内に既に高温の水が貯留されている場合も同様に、貯留されている高温の水が押し出される。
【0031】
第一流路12と第二流路14との分岐部101には、流路切替手段としての切替弁30が配置されている。切替弁30内には弁体301が設けられており、流路10から供給される水の温度に応じて、第一流路12及び第二流路14のいずれかに選択的に水を供給するように、いずれかの流路を全閉するように構成されている。本実施形態の場合、給湯器HW側から38℃(第一温度)以上の水が供給された場合には第一流路12側に流路が切り替えられ、第二流路14が全閉されるように構成されている。また、給湯器HW側から38℃(第一温度)未満の水が供給された場合には第二流路14側に流路が切り替えられ、第一流路12が全閉されるように構成されている。
【0032】
第一流路12と第二流路14との合流部161には、温度調整手段としてのサーモスタット弁34が配置されている。サーモスタット弁34内には弁体341が設けられており、第一流路12と第二流路14とのそれぞれから供給される水の温度に応じて、第一流路12から供給される水量、第二流路14から供給される水量を調整して、45℃(第二温度)に極力近づくように温度調整した水として流路16に送り出すように構成されている。より具体的には、サーモスタット弁34は、混合される水が45℃未満となる場合には、第一流路12から供給される水量を増やすと共に第二流路14から供給される水量を減らし、混合される水が45℃より高い場合には、第一流路12から供給される水量を減らすと共に第二流路14から供給される水量を増やすように構成されている。
【0033】
続いて、即湯システムQWの具体的な動作について、図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、給湯器HW側から38℃未満の水が供給され、貯湯部32内に50℃の水が貯留されている場合を示している。38℃未満の水が流れ込む切替弁30は、弁体301が第一流路12を全閉し、第二流路14側に水が流れるように移動する。第二流路14側に流れ込んだ水は、中間部141において分岐し、一部がサーモスタット弁34側に流れ、残部が第二分岐流路18側に流れる。第二分岐流路18側に流れた水は貯湯部32内に流れ込み、貯湯部32内の水を第一分岐流路20へと押し出す。第一分岐流路20に押し出された水は、中間部121から第一流路12に流れ込んで、サーモスタット弁34側へ流れる。
【0034】
サーモスタット弁34では、第一流路12側から流れ込む50℃の水と、第二流路14側から流れ込む38℃未満の水とが混合されて、45℃の水として流路16側へと送り出される。本実施形態の場合は、第一流路12側からの水が略89%で、第二流路14側からの水が略11%となるように弁体341が移動する。図4に示す状況は、水栓FCにおいて吐水を開始し、給湯器HWからは未だ常温水が供給されている状況である。
【0035】
続いて、図5に示す状況は、給湯器HWから供給される水の温度が上昇し、38℃以上で45℃未満の水が供給されている状況を示している。38℃以上45℃未満の水が流れ込む切替弁30は、弁体301が第二流路14を全閉し、第一流路12側に水が流れるように移動する。第一流路12側に流れ込んだ水は、サーモスタット弁34側へ流れる。サーモスタット弁34では、38℃以上45℃未満の水が流れ込むので、第一流路12側から流れ込む水のみを受け入れるように弁体341が移動する。
【0036】
続いて、図6に示す状況は、給湯器HWから供給される水の温度が上昇し、45℃以上60℃未満の水が供給され、貯湯部32内に38℃未満の水が貯留されている場合を示している。45℃以上60℃未満の水が流れ込む切替弁30は、弁体301が第二流路14を全閉し、第一流路12側に水が流れるように移動する。第一流路12側に流れ込んだ水は、中間部121において分岐し、一部がサーモスタット弁34側に流れ、残部が第一分岐流路20側に流れる。第一分岐流路20側に流れた水は貯湯部32内に流れ込み、貯湯部32内の水を第二分岐流路18へと押し出す。第二分岐流路18に押し出された水は、中間部141から第二流路14に流れ込んで、サーモスタット弁34側へ流れる。
【0037】
サーモスタット弁34では、第一流路12側から流れ込む45℃以上60℃未満の水と、第二流路14側から流れ込む38℃未満の水とが混合されて、45℃の水として流路16側へと送り出される。本実施形態の場合は、第一流路12側からの水が略73%で、第二流路14側からの水が略27%となるように弁体341が移動する。図6に示す状況では、貯湯部32内に45℃以上60℃未満の水が満たされていく。
【0038】
続いて、図7に示す状況は、給湯器HWから供給される水の温度が更に上昇し、60℃の水が供給され、貯湯部32内に45℃以上60℃未満の水が貯留されている場合を示している。60℃の水が流れ込む切替弁30は、弁体301が第二流路14を全閉し、第一流路12側に水が流れるように移動する。第一流路12側に流れ込んだ水は、中間部121において第一分岐流路20側に流れる。第一分岐流路20側に流れた水は貯湯部32内に流れ込み、貯湯部32内の水を第二分岐流路18へと押し出す。第二分岐流路18に押し出された水は、中間部141から第二流路14に流れ込んで、サーモスタット弁34側へ流れる。第二流路14側に流れ込んだ水は、サーモスタット弁34側へ流れる。サーモスタット弁34では、45℃以上の水が流れ込むので、第二流路14側から流れ込む水のみを受け入れるように弁体341が移動する。
【符号の説明】
【0039】
10:流路
12:第一流路
14:第二流路
16:流路
18:第二分岐流路
20:第一分岐流路
30:切替弁
32:貯湯部
34:サーモスタット弁
101:分岐部
121:中間部
141:中間部
161:合流部
301:弁体
341:弁体
FC:水栓
HW:給湯器
QW:即湯システム
W1:給水管
W2:給水管
WT:貯湯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と水栓との間に配設される即湯システムであって、
互いに独立して設けられた第一流路及び第二流路と、
前記第一流路の途上と前記第二流路の途上とを繋ぐ第三流路と、
前記給湯器側から延びる流路を前記第一流路と前記第二流路とに分岐する分岐部と、
前記第一流路と前記第二流路とを合流させ前記水栓に延びる流路に繋ぐ合流部と、
水を貯溜可能であり、断熱性を有する貯湯部と、を備え、
前記第三流路は、前記第一流路と前記貯湯部内とを連通させると共に前記第二流路と前記貯湯部内とを連通させるように形成され、
前記分岐部に設けられる流路切替手段は、前記給湯器側から第一温度以上の水が供給された場合には前記第一流路側に流路を切り替える一方で、前記第一温度未満の水が供給された場合には前記第二流路側に流路を切り替えるように構成され、
前記合流部に設けられる温度調整手段は、
前記水栓に延びる流路に供給する水が第二温度に近づくように、前記第一流路から供給される水量と、前記第二流路から供給される水量とを調整するものであって、
前記合流部において混合される水が前記第二温度未満となる場合には、前記第一流路から供給される水量を増やすと共に前記第二流路から供給される水量を減らし、前記合流部において混合される水が前記第二温度より高い場合には、前記第一流路から供給される水量を減らすと共に前記第二流路から供給される水量を増やすように構成されていることを特徴とする即湯システム。
【請求項2】
前記第一温度よりも前記第二温度が高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の即湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−75160(P2011−75160A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225180(P2009−225180)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】