説明

厚い金属被加工物をクリンチングするための方法、そのようなクリンチング工具の使用、ならびにそのようにして製造された鋼構造要素

荷重に耐え得る構造的な鋼の接続を生成するための方法であって、クリンチング接続部(13)が雄のダイ(20)および雌のダイ(30)によって局所的な変形を使用して形成され、この接続部が第1の金属被加工物(6.1、6.2)を第2の金属被加工物(6.3、6.4)へと接続している方法に関する。この目的のために、まずは、第1の金属被加工物および第2の金属被加工物が、雌のダイの加工面上に互いに重ねて配置され、整列させられる。次いで、雄の金型のダイが適用され、互いに重ねて配置された2つの金属被加工物(6.1、6.2、6.3、6.4)へと塑性変形によってクリンチング接続部(13)が形成されるまで下げられる。第1の金属被加工物が、第1の被加工物厚さ(t1)を有し、第2の金属被加工物が、第2の被加工物厚さ(t2)を有し、これらが共に、8ミリメートルよりも大きい全体としての被加工物の厚さ(tt)をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重に耐え得るクリンチング接続部を生成するための厚い金属被加工物のクリンチングであって、請求項1の冒頭部分に記載のクリンチング、そのようなクリンチング接続部の鋼構造における使用であって、請求項9の冒頭部分に記載の使用、ならびにそのようにして製造された鋼構造要素(特には、エスカレータ、動く歩道、またはエレベータ装置に使用される)であって、請求項13の冒頭部分に記載の鋼構造要素に関する。
【背景技術】
【0002】
クリンチングは、すでに長期にわたって知られている変形接合方法である。この方法は、圧入接続とも称される。クリンチングは、個々の実施形態に応じて、補助の接続部品を必要とせずに達成できる変形に基づく接続技法である。
【0003】
クリンチングについて、接合要素の形成に関して、さまざまな変形例が存在している。クリンチングを、以下に従って分類することが可能である:
−接合要素の構成による分類:切断部分を有するクリンチングおよび切断部分を持たないクリンチング。
−母型の形状による分類:中実または開いた母型。
−工具の運動学による分類:1段階または複数段階によるクリンチング。
【0004】
以下において、主たる関心は、切断部分を持たないクリンチングにある。この方法は、例えば溶接、スポット溶接、リベットまたはブラインドリベットによる接続、ならびにポンチリベットの使用など、プレートまたは他の被加工物を接続するために使用される従来からの方法に比べ、いくつかの利点を有する。従来からの接続方法との比較によれば、切断部分を持たないクリンチングは、接続当たりのコストを考慮に入れるとさらに有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでのところ、4ミリメートルを超える厚さのプレートおよび他の金属被加工物をクリンチングすることは、不可能である。さらには、これまでのところ、クリンチングは、同じ厚さまたは異なる厚さの2枚のプレートの接続に限られている。
【0006】
本発明の目的は、プレートおよび厚板(好ましくは、4ミリメートルを超える厚さを有する)からなる桁材をクリンチングするための方法であって、クリンチングを、将来において、対応する部品により大きなモーメントおよび力を加えることができることが重要である鋼要素の構成においても使用できるようにする方法を提供することにある。換言すると、クリンチングを、応力に耐え、荷重に耐え、支持をもたらす金属被加工物に使用できるようにしなければならない。その場合、厚い金属被加工物を、そのようなクリンチング接続部の相当強度を保証するために、最適なアンダーカットプレスおよび可能な限り大きいネック厚さが達成されるように接合しなければならない。
【0007】
さらに、そのように最適化されたクリンチングの使用、およびそのようにして製造された鋼構造要素も提案される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、方法については請求項1の特徴によって達成され、使用については請求項9の特徴によって達成され、鋼構造要素については請求項13の特徴によって達成される。
【0009】
本発明の実施形態および発展の好都合な例が、それぞれの従属請求項によって包含または定義される。
【0010】
本発明によれば、鋼板ならびに鋼製の桁または形鋼材(ここでは、広く金属被加工物と称される)であって、全体として8ミリメートルよりも厚い(すなわち、8ミリメートルよりも大きい)総被加工物厚さ(tt)を有する金属被加工物をクリンチングし、安定かつ荷重に耐える鋼構造要素を生成することが、初めて可能になる。
【0011】
これを可能にするために、クリンチング工具を適切に発展させ、最適化させた。本発明による工具は、円錐形に形作られたダイを有し、そのようなダイのフランク角が、10度以下であることを特徴とする。フランク角は、好ましくは5度からゼロ度へと進む。このダイの直径は、好ましくは10ミリメートルから35ミリメートルの間の範囲にある。12ミリメートル(14ミリメートル、16ミリメートル、18ミリメートル)から20ミリメートルまたは25ミリメートルまでの間の直径が特に好ましく、この直径は、接続すべき金属被加工物の厚さならびに必要とされる強度または引っ張り力に依存する。
【0012】
本発明によれば、クリンチングが、より厚い被加工物(例えば、St−37、St−44、St−52、St−70プレート、またはEN−S235、S275、S355、S460プレート)あるいは桁材(厚さ>4ミリメートル)を接続するための接合方法としてこれまで最も使用されてきた溶接の真の代案となる。
【0013】
本発明によれば、さまざまな厚さおよびさまざまな素材のプレート、異形材、ならびに他の金属部品または金属被加工物を、接合することが可能である。2つの金属被加工物の接続が、クリンチングのみにて、接続すべき金属被加工物の材料から直接に生じる。クリンチングによって接続された部材を、ここではクリンチング被加工物と称する。
【0014】
今や、本発明によれば、金属被加工物の接続(例えば、プレート形材の鋼桁、プレート部品、またはプレートストリップとの接続)を、エレベータおよびエスカレータの建設においてより幅広く使用することも可能になり、とりわけエレベータケージあるいはエスカレータの骨組みまたは支持構造を、クリンチング技法によって製造することが可能である。
【0015】
しかしながら、荷重を受けるさまざまな付属部品を、例えば耐荷重または支持の骨組み、構造体、ブラケット、彫刻、シャーシ、またはフレームへと、クリンチング技法によって固定することが可能である。したがって、例えばプレートの被覆(パネル)を、クリンチングによって取り付けることができる。
【0016】
大きな保持力(引っ張り力およびせん断力)をさらに実現する2つの金属被加工物の外れることがない接続が、本発明によって生み出される。このように製造されたクリンチングによる鋼構造要素は、動的な荷重のもとで、スポット溶接による接続部に比べて大幅に良好な耐荷重の挙動を示す。
【0017】
コート済みおよびコートなしのどちらの材料も、本発明によって問題なく接合することが可能であり、このことが、特にはエレベータおよびエスカレータの建設における材料の選択に新たな可能性をもたらす。すなわち、例えば、メッキされ、塗装され、あるいはプラスチックでコートされたプレートおよび/または鋼製の桁を、被膜にクリンチングによる知覚可能な損傷を生じることなく接合することが可能である。また、金属部品または金属被加工物に、それらをより大きな鋼構造要素を形成するためにクリンチングによって接合する前に、耐食コーティングを設けることができる。
【0018】
クリンチングのさらなる利点は、接続を生み出すために、前もっての孔あけ作業も、補助の接合部品、接続部品、または接続材料も不要である点にある。しかしながら、従来からの方法に対するクリンチングの原理的な利点は、低い接合コストである。さらに、接続される被加工物への熱の取り込みまたは熱の誘導が生じないため、ひずみ、融着、および構造的な変化が回避され、これは、例えば支持構造体、骨組み、成形枠、安全枠、支持枠、および保持構造などの大きくて長い鋼構造要素において特に有利である。
【0019】
本発明のさらなる詳細および利点が、実施形態の例に基づき、図面を参照して、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】クリンチング工具のダイおよびクリンチングによって接合された2つの金属被加工物を、大幅に簡略化した概略図にて示している。
【図2A】本発明によるクリンチングの第1の段階を、概略図にて示している。
【図2B】本発明によるクリンチングの第2の段階を、概略図にて示している。
【図2C】本発明によるクリンチングの第3の段階を、概略図にて示している。
【図3A】クリンチングされた2つの金属被加工物の断面を示している。
【図3B】本発明によるクリンチング工具の一領域の部分断面または詳細を示している。
【図4A】クリンチングされた2つの金属被加工物または金属部品とクリンチング工具の一部分とを示す断面を示しており、クリンチング工具のダイの直径は、12ミリメートルである。
【図4B】クリンチングされた2つの金属被加工物とクリンチング工具の一部分とを示す断面を示しており、クリンチング工具のダイの直径は、14ミリメートルである。
【図4C】クリンチングされた2つの金属被加工物とクリンチング工具の一部分とを示す断面を示しており、クリンチング工具のダイの直径は、20ミリメートルである。
【図5A】本発明によるダイの断面を概略的に示している。
【図5B】本発明によるさらなるダイの断面を概略的に示している。
【図6】骨組みまたは支持構造体を備えるエスカレータまたは動く歩道の側面図を示している。
【図7】本発明による2連クリンチング接続部を備える骨組みの一部分の側面図を示している。
【図8A】本発明による2連クリンチング接続部を備える骨組みの一部分の図を示している。
【図8B】本発明による2連クリンチング接続部の断面G−Gを示している。
【図8C】現在の技術水準による溶接接続部を備える骨組みの一部分の図を示している。
【図9】本発明による単一クリンチング接続部を備えるさらなる骨組みの一部分の図を示している。
【図10】本発明によるクリンチング接続部を備える骨組みのための中央支持部の一部分の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願の技術的範囲は、すでに冒頭において示したように、切断部分を持たないクリンチングに関する。クリンチングのこの形態は、純粋な変形接続プロセスである。被加工物の接続は、単純に、凹所の形成およびその後の圧縮成形(upsetting)に連動した圧入によって実現される。この切断部分を持たない方法の発展の根底にある原理は、主として、材料の閉じ込めをより大きくすることによって接続の剛性を高めたいという要求にある。
【0022】
本発明の原理が、図1に純粋に概念的に示されている。クリンチング接続部13によって一体に接続された2つの金属被加工物11および12が図示されている。ダイ工具20(ここでは、ダイと称される)の一部分が、クリンチング接続部10またはクリンチング点10の上方に示されている。
【0023】
クリンチング工具20は、ダイと、母型または金床として構成できる対向工具30とを備える。ダイは、回転軸24に関して回転対称であるように設計されている。ダイは、フランク角Wを有しつつ回転軸24に対して同心に配置されたフランク面25を有する。ダイの終端である前端面23に関し、フランク面25について、前端面23に隣接しており、フランク角W1を有するフランク面25の下部遷移領域21と、フランク角W2を有するフランク面25の上部遷移領域22とを、区別すべきである。2つの遷移領域21、22は、互いにつながることができる。その場合、これらの遷移領域は、図1、図3B、および図6Aによる実施形態の例に示されているように、不連続な態様および方法で互いにつながることができ、異なるフランク角W1、W2を有することができる。しかしながら、図4Aから図4Cおよび図6Bによる実施形態の例に示されているように、下部および上部の遷移領域21、22が、互いに連続的につながり、フランク角W1、W2が同一であることも可能である。図2Aから図2Cに示されているように、接続される金属被加工物11、12(例えば、厚さt1の鋼製の桁および厚さt2のプレート(ここで、t1>t2))が、ダイによって、プレスまたは圧縮成形と同様に、塑性変形のもとで母型30のくぼみ、凹所、空洞、または変形用空間31へと押し込まれる。押しボタン、圧縮点、またはプレス点と同様の形状を有するクリンチング接続部13が、くぼみ、凹所、空洞、または変形用空間31の特別な形態によって生じる。クリンチング接続部13が、図1、図2C、図3A、および図4Aから図4Cに概略的に示されているように、形状による固定および強度による固定の方法で、金属被加工物11、12を一体に接続する。
【0024】
図2Aから図2Cは、切断部分を持たないクリンチング接続部13の形成を、中実な母型30とともに、3つの段階にて示している。図2Aから図2Cにおいては、2つの金属被加工物11、12が、簡単化のために、同じ厚さにて示されている。
【0025】
図2Aにおいて、第1の金属被加工物11および第2の金属被加工物12が合わせられており、すなわち一方が他方の上に載せられていることを、見て取ることができる。次いで、重ねて配置された2つの金属被加工物11、12が、例えばテンプレートによって互いに整列させられ、共に対向工具として機能する母型30の加工面へともたらされる。図2Bに、ダイ工具20のダイがどのように前進させられるのかが示されており、ダイ工具20のダイが、すでに途中まで被加工物11および12へと沈められている。被加工物11および12が、ダイの高い圧力のもとで変形し、材料が、母型30の凹所、空洞、変形用空間、またはくぼみ31へと「流入」する。ダイの沈み込みまたは押し込みは、第2の金属被加工物12の下面14が母型30の凹所、空洞、変形用空間、またはくぼみ31の底部に実質的に当接するまで実行される。次いで、さらなる段階において、ダイが引き戻される(この段階は、ダイのフランク面がいくらか異なる形態を有するものの、図1に示した状況に実質的に相当する)。
【0026】
本発明によれば、好ましくは、分離の際に、金属被加工物11および12の変形後のダイの分離を容易にするために、ストリッパーまたは押え装置40が使用される。そのようなストリッパーまたは押え装置40は、ダイが変形時に生じる力および材料の変形ゆえにクリンチング接続部13でジャミングしかねない場合に、特に有利である。ストリッパー40が、ダイ側において上側の金属被加工物11の表面15に対して(ある意味)支持される一方で、ダイが引き込まれ、あるいは引き戻される。当業者であれば、本発明を知ることによって、ダイ側のストリッパーに代えて、母型側のストリッパーも当然ながら実現できる。
【0027】
好ましくは、接続されるべき金属被加工物11および12が、図1において符号41または40によって特徴付けられている押え装置によって、母型30に向かって押し付けられ、あるいは母型30に対して押し付けられる。ダイ工具20は、金属被加工物11および次いで12の方向のいわゆるダイ前進行程を生じさせる圧力シリンダ(例えば、油圧シリンダ、圧縮ガスシリンダ、水気圧シリンダ、サーボ電気式シリンダ)を備える。ダイ前進行程の第1の段階において、ダイが前進させられ(図2A)、次いで、ダイが金属被加工物11、12へと沈められ、金属被加工物11、12が圧縮成形および変形させられる凹所形成段階が生じる(図2Bおよび図2C)。最後に、ダイ戻り行程と呼ばれる段階が生じる(図1を参照)。次いで、この(半)完成、または接続済み、あるいは接合済みの鋼構造要素を、運び去ることができ、あるいはさらなるクリンチング接続部を形成することができる。
【0028】
凹所形成の際の圧縮成形圧力の結果として、金属被加工物11および12の材料の横方向の流れが生じ、例えば(機械加工による)環状溝の形態であるくぼみ、凹所、空洞、または変形用空間31を有する母型30が、実質的または完全に満たされ、ダイ側の金属被加工物11のアンダーカットfが、母型側の金属被加工物12に形成される(図3Aを参照)。図3Aに示されているように、アンダーカットfおよびネック厚さtnが、クリンチング接続部13を評価するために最も重要または最も有効である。これは、クリンチング接続部13の耐荷重性能が、これらの変数に直接相関しているからである。これら2つの特徴的な大きさが、本発明による鋼構造要素の安定性および強度にとってきわめて重要である。アンダーカットfの典型的な値は、0.5ミリメートルであり、ネック厚さtnの典型的な値は、1.5ミリメートルである。
【0029】
さらに、クリンチング接続部13ならびに金属被加工物11および12を、以下の事項によって特徴付けることができる。それらは、接続要素またはダイの内径di、突き出し高さh、母型側の金属被加工物12の残余の底部厚さtb2、ダイ側の金属被加工物11の残余の底部厚さtb1、母型側の金属被加工物の厚さt2、ダイ側の金属被加工物の厚さt1、および被加工物の全体の厚さttである。
【0030】
それ自体は知られているクリンチングプロセスを最適化し、4ミリメートルを超える厚さの金属被加工物11、12をもクリンチングして、鋼構造要素を形成できるように変更するために、さまざまな試験および実験を行った。(実験において)決定された断面、接合力、および押え力をシミュレーションに基づく参照と比較できるよう、シミュレーションを実行し、次いで種々の工具を製作して、接合試験を実行した。切断部分のないクリンチングであって、中実な母型30によるクリンチングのための工具の設計原理を、工具設計に関する試験のための基礎とした。
【0031】
最初の試験により、小さなダイの直径(直径D2=12ミリメートルまたは14ミリメートル)のクリンチング接続部13の形成において、約400kNから510kNの接合力を使用しなければならず、より大きなダイの直径(D2=20ミリメートル)では、約670kNの接合力を使用しなければならない(どちらも、押え力を含む)という結果がもたらされた。これらの結果は、それ自体は、予想される結果の領域にある(しかしながら、工具の潤滑にもかかわらず、被加工物におけるダイのきわめて高度なジャミングが生じた)。
【0032】
ダイのジャミングに関するより詳細な試験により、ジャミングが、ダイのフランク面に作用する半径方向の応力によって引き起こされていることが明らかにされた。過剰な半径方向の応力が、特にフランク面25の上部遷移領域22において生じることが明らかになった。さらなる最適化の段階において、今やダイの幾何形状が、フランク面25に作用する半径方向の応力を小さくするような方法で選択的に変更された。第1の工具の変形例において、直径D2=12ミリメートルおよびD2=14ミリメートルのダイのネック厚さtnおよびアンダーカット値fが、ほぼ同じであったという事実ゆえ、さらなる最適化を行なった。この場合において、さまざまな被加工物全体の厚さttを有し、さまざまな厚さt1、t2を有する被加工物11、12を有する被加工物について、試験を行った。この場合において、全体としての被加工物の厚さttが8ミリメートルを超える場合に、市販のダイまたは従来からのダイがきわめてジャミングされやすいだけでなく、被加工物11、12の間の領域に空洞(図4CのXを参照)が形成されることが明らかになった。この空洞Xは、そのようなクリンチング接続部13の強度ならびに鋼構造要素の全体の安定性を損ない、低下させる。
【0033】
さまざまな最適化段階により、ダイのフランク面の設計が、ジャミングおよび空洞Xの形成に直接的な影響を有するという認識に達した。これら2つの悪い結果を軽減または完全に除去するために、少なくとも一部分が円錐形に形作られたダイを開発し、試験した。該当のフランク角W、W1を適切に選択することで、検出可能な空洞の形成につながることなく、ジャミングを低減でき、あるいは完全になくすことができた。これら2つの結果が、部分的にしか相関しておらず、部分的に相反することさえ明らかになった。適切な角度範囲を選択することによって、2つの結果を最小限にすることができた。このようにして、クリンチング接続部13による安定な鋼構造要素の厚板クリンチングの基礎が確立された。
【0034】
図4Aから図4Cに示され、以下で説明される試験において、本発明によるダイは、いずれの場合も、一定のダイフランク角W=5°を有し、すなわちD1<D2であり、換言すると、少なくともダイにおいて凹所形成の際に被加工物11および12に接触する部分が、下方向(すなわち、ダイの被加工物側の端部の方向)に細くなっている。
【0035】
種々の試験のいくつかの態様が、図4Aから図4Cに示されている。種々の直径のダイを使用した場合について、被加工物11、12の流れの挙動が示されている。図4Aには、ダイが12ミリメートルの直径を有する場合に、2つの金属被加工物11、12がどのように変形するかが示されている。図4Bには、ダイが直径14ミリメートルを有する場合に、2つの金属被加工物11、12がどのように変形するかが示されている。図4Cは、ダイが20ミリメートルの直径を有する場合に、2つの金属被加工物11、12がどのように変形するかを示している。3つの図のすべてに、ダイ戻り行程の前を示す瞬間の図が使用されている。
【0036】
図4Aから図4Cに基づき、ダイの直径D2が、材料または金属被加工物の横方向の流れに影響を有することを、見て取ることができる。12ミリメートルの直径を有するダイの場合には、Yによって標識された領域に見ることができるとおり、金属被加工物12の材料が、くぼみまたは凹所31によって形成された空洞へと完全には流れない。14ミリメートルのダイの場合には、くぼみまたは凹所31の良好な「充填」がもたらされる。20ミリメートルの直径を有するダイが使用される場合には、被加工物11および12の間に空洞(図4CにXで指し示されている)が現れる。
【0037】
さまざまな実験および研究によって示されているとおり、ダイの直径は、クリンチングプロセスおよびクリンチング接続部13の強度に直接的な影響を有する種々のパラメータのうちの1つにすぎない。tt>8ミリメートルのより厚い被加工物のクリンチングにおいては、フランク面25の設計が特に重要であり、大きな役割を有することが明らかになっている。
【0038】
したがって、本発明は、変形時に金属被加工物11および12へと沈められるダイが、円錐形であるという事実を特徴とする。ダイの円錐形は、少なくとも被加工物11、12へと沈められ、あるいは被加工物11、12へと押し込まれるダイの長さLの一部分(遷移領域21、22と称される)に及んでいる。円錐形は、ダイのフランク面25(図3Bを参照)が少なくとも下部遷移領域21において前端面23へと円錐形に形作られ、10度以下(好ましくは、5度以下)のフランク角W1を有するという事実によってもたらされている。図1および図5Aにさらに示されているように、上部遷移領域22のフランク角W2は、好ましくは0(ゼロ)度に等しく、あるいは同様に、好ましくは5度以下である(図4Aから図4Cならびに図5Bによる実施形態の例)。
【0039】
10ミリメートルから20ミリメートルの間の直径D2を有し、10度以下(好ましくは、5度以下)である第1の角度W1から2度以下(好ましくは、0から1度)である第2の角度W2へと移行するフランク角W1、W2を有するダイが、特に満足できることが明らかになっている。その場合、第1の角度W1が、前端面23(すなわち、ダイの被加工物側の端部の領域)への直接の(下部の)遷移領域21に位置し、(上部の)遷移領域22の第2の角度W2が、金属被加工物11、12から離れるように、金属被加工物11、12から延び、金属被加工物11、12から突き出している(すなわち、ダイの工具側の領域にある)。
【0040】
円錐ダイのこの構成によれば、ジャミングの傾向が大幅に少なくなり、空洞Xの形成が生じない(あるいは、ほとんど目立たない空洞しか形成されない)。しかしながら、半径方向の応力がより小さく、したがってジャミングの傾向が少ないという利点は、金属被加工物11、12の間の空洞Xの形成という「代償」を伴い、すなわちフランク角W、W1、W2を任意に選択することは不可能である。これは、そのようにした際、空洞Xが大きくなりすぎ、クリンチング接続部の強度が弱くなりすぎると考えられるためである。
【0041】
フランク角によって生み出されるフランク面の後退またはフランク面の減少が大きすぎないダイの構成の形態が、理想的である。これは、フランク面の後退またはフランク面の減少が大きすぎる場合には、被加工物11、12への半径方向の圧力が小さすぎ、材料または金属被加工物の横方向の流れが少なくなってしまうからである。
【0042】
W、W1、W2の上述の角度の値は、これらのダイによってもたらされるクリンチング接続部が、ネック厚さtnおよびアンダーカットfについて、市販の従来からの純粋に円柱形の薄板ダイと同様かつ同等の値を有することからも、満足できることが明らかになっている。これは、このクリンチング接続部13が、比較できる同一の引っ張り強度を有することを意味する。
【0043】
ダイの円錐形は、少なくとも被加工物11、12へと沈められるダイの長さLを有する遷移領域21、22に及んでいる。この長さLは、被加工物の全体の厚さttが8ミリメートルを超える金属被加工物の場合には、0.3tt≦L≦2ttのように決定することができ、すなわち円錐形の遷移領域21、22が、全体としての被加工物の厚さttの10分の3と被加工物の厚さttの2倍との間に相当する。
【0044】
本発明によるさまざまなダイ形状を、以下で図1、図5A、および図5Bによって簡単に説明する。
【表1】

【0045】
例えば、12ミリメートルの直径および5°から0°へのダイフランク面を有するダイ(実施形態2、図5A)など、本発明によるダイによって達成されて得られた強度は、平均で50kN超または55kNである。きわめて注意深く選択された条件の場合においては、引っ張り力が、数パーセントにすぎないわずかな公差で約58kNである。
【0046】
ストリッパー40の引き離し力(ストリッパー)の設計について、2つの基準が考慮される。一方では、引き離し力またはストリッパー力が、ダイのジャミング力よりも大きくなければならない。この値は、当然ながら、上述のように、使用されるダイの幾何形状に強く依存するが、工具の潤滑またはコーティングにも依存する。30kNから40kNの最大エジェクト力が、きわめて確実な結果をもたらす。ダイのフランク角Wまたは円錐度を最適に設計することで、エジェクト力は25kNとなる。エジェクト力のさらなる低減は、5°から0°へのダイ(実施形態2、図5A)も考慮に入れることができる。これは、ここではダイのジャミングが決して生じないからである。
【0047】
特に有利な実施形態においては、ストリッパー40が、同時に押え装置41としても機能し、被加工物11、12のひずみを可能な限り小さく保ち、あるいはひずみのない状態に保つために、金属被加工物11、12が受ける変形が可能な限り小さくなるように寸法付けられている。
【0048】
本発明によるダイ、ならびにそのようなダイを保持または装備するクリンチング工具またはクリンチング装置によれば、きわめて安定かつ荷重に耐える鋼構造要素を、可能な限り簡単で、問題がなく、経済的であり、かつ信頼できる態様および方法で、製造することができる。クリンチング接続部13を有するそれらの鋼構造要素のコストは、溶接、リベット、またはねじによる接続部のそれよりも低い。クリンチング接続部13による鋼構造要素の複合材料コストは、ゼロである。さらに、加工時間が、最小限へと限定される。
【0049】
エスカレータ1が、図6に側面図で示されている。エスカレータ1は、周回する手すりを備える欄干2と、踏み板またはステップ3を備えるエンドレスチェーンとを備える。典型的には、エスカレータまたは動く歩道の欄干2の下方に、2つの階E1およびE2の間の介在空間または支持幅をまたぎ、エスカレータ1または動く歩道の要素、部品、またはサブアセンブリを保持するように構成された鋼構造4が配置されている。
【0050】
この鋼構造4は、最高の要求を満足させなければならず、したがって製造が高価かつ複雑である。本発明によれば、今や図7に示されるとおりの骨組みの鋼構造要素または骨組み支持要素5が使用される。このような骨組み鋼要素または骨組み要素5は、長手方向に延びる2つの鋼桁または形材桁6.1および6.2を備えることができる。L字、I字、またはU字の形を有する鋼製の梁、ならびに管または成形管が、特に好ましい。これら2つの鋼桁6.1、6.2が、いくつかの平たいプレートまたは鉄板あるいはいくつかのプレート形材または形鋼6.3、6.4によって、接続される。平たいプレートまたは鉄板あるいはいくつかのプレート形材または形鋼6.3、6.4が、本発明によれば、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部13によって上記鋼桁または形材桁6.1および6.2のそれぞれへと固定され、安定な骨組み枠、骨組み支持壁、または骨組み支持要素が形成される。
【0051】
図7に見ることができるとおり、平坦な薄板または鉄板あるいは形鋼またはプレート形材は、典型的には、垂直なステーまたはストラット6.3と斜めのストラットまたは筋交い6.4とが常に交互に続くように配置される。クリンチング接続部13が、図7において円「A」によって示されている。
【0052】
本発明による鋼構造要素5の詳細が、図8Aおよび図8Bに示されている。一方の鋼桁6.1、ならびに平たいプレートまたは鉄板あるいは薄板異形部材または形鋼6.3、6.4のうちの2つを、見て取ることができる。図示の例では、鋼桁6.1が、4ミリメートル超の材料厚さt1を有するL字桁またはアングル材であり、ストラットまたはステーおよび筋交いが、3ミリメートル以上の材料厚さt2を有するアングルプレート形材、鉄板、形鋼、または鋼構造形材6.3、6.4である。互いに隣接して配置された2つのクリンチング接続部13の断面を、図8Bに見て取ることができる。このような接続部は、2連クリンチング接続部とも称される。
【0053】
本発明によれば、異なる厚さの金属被加工物(例えば、長手方向の桁または形材桁6.1と、プレート形材または形鋼あるいは鋼構造形材6.3、6.4と)を接合してなり、クリンチング接続部13が好ましくは厚い方の被加工物の側から適用されている(すなわち、クリンチング工具のダイが厚い方の金属被加工物の側から沈められ、クリンチング接続部が反対側に形成される)鋼構造要素が、特に有利であると考えられる(図8B)。換言すると、厚い方の材料が横方向の流れによって薄い方の材料において局所的な変形によって形を変えることで、固定の接続が形成されるクリンチング接続部が好ましい。
【0054】
図8Cに、比較のために、被加工物6.1、6.2、6.4が5つまたは6つの溶接接続部によって溶接されている骨組みまたは骨組み支持枠の一部分が示されている。このような溶接接続部の製造にコストがかかることは、明らかである。
【0055】
本発明の実施形態のさらなる形態が、図9に示されている。ここでは、鋼構造要素を製造するために、単一クリンチング接続部13が使用されている。このような接続は、単一クリンチング接続部と称される。
【0056】
本発明の実施形態のさらなる形態が、図10に示されている。ここでもやはり、例えば鋼の構造様式の(中間または中央の)支持部51を生成するために、クリンチング接続部13が使用されている。この(中間または中央の)支持部51は、動く歩道の建造またはエスカレータの建造において使用するための鋼構造要素50、5の一部であってもよい。形鋼7.1が、概略的に示されているとおり、下側の形鋼7.2に載せられている。2つの形鋼が、クリンチング接続部13によって接合されている。さらに、7.1および7.3も6.2とクリンチングでき、1つのクリンチング接続部またはいくつかのクリンチング接続部13を有することができる。長手方向の桁または形材桁6.2が、形鋼7.1に載せられている。いくつかの平たいプレートまたは鉄板あるいはいくつかのプレート形材または形鋼6.5、6.6が、この長手方向の桁または形材桁6.2へとクリンチング接続部13によって固定されている。
【0057】
本発明によれば、エレベータ装置の一部である鋼構造要素を構成することも可能である。すなわち、例えば、第1の金属被加工物11が、エレベータケージの支持または保持要素あるいは固定要素であってもよい。そのとき、第2の金属被加工物12は、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部13によって支持または保持要素あるいは固定要素へと固定される平たいプレートまたは鉄板あるいはプレート形材または形鋼である。その結果、例えばエレベータケージの枠または安全枠を、金属薄板または鋼部分からなるいくつかのストラットを有する安定な鋼桁11から建造することができる。これらのストラットが、鋼桁へと固定にクリンチングされる。さらに、ウインチ格子、駆動格子、駆動梁、エンジンスタンド、ウインチ枠、またはエンジン枠を、形鋼またはプレートとクリンチングすることができる。
【0058】
しかしながら、第1の金属被加工物11は、エレベータ装置の釣り合いおもり、釣り合いおもり枠、または釣り合いおもりバスケットの支持または枠要素であってもよい。この場合、第2の金属被加工物12は、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部13によって支持または枠要素へと固定される平たいプレートまたは鉄板あるいはプレート形材または形鋼である。
【0059】
また、本発明によるダイ工具20によれば、引っ張り強度およびせん断強度をさらに高めるために、互いに隣接する2つのクリンチング接続部13を形成することも可能である(図8Aおよび図8Bを参照)。この場合、引っ張り強度を、単一クリンチング接続部13と比べて、ほぼ2倍の大きさの値へと向上させることができることが、明らかになっている。試料に、平均で約118kNの荷重を加えることができた。
【0060】
特に有利なクリンチング工具20は、互いに隣接して配置され、第1の金属被加工物11を2つのクリンチング接続部によって第2の金属被加工物12に接続することができる2つの同一なダイを備える。ここでは、互いに隣接する2つのクリンチング接続部が、前進の運動および凹所形成の運動によって同時に形成される。この2連クリンチング接続部の例が、図8Aおよび図8Bに示されている。本発明によれば、例えばより厚い形鋼の桁部材11、6.1(第1の金属被加工物)を、互いに隣接配置される2つのクリンチング接続部13によって、より薄いプレート、鉄板、形鋼材、またはプレート形材12、6.3、6.4(第2の金属被加工物)に接続できることを、図示の例において見て取ることができる。
【0061】
本発明によれば、クリンチング接続部13を、切断部分を有することなく、開いた母型によって形成することも可能である。その場合、母型の弾性的に取り付けられたプレートが、ダイの下方の被加工物の材料の半径方向の流れによって、凹所形成プロセスの後で外へと押され、アンダーカットの形成を可能にする。
【0062】
従来からのクリンチングの利点は別として、母型なしのクリンチングも利用可能であり、母型なしのクリンチングは、その特別な機能の原理ゆえに、以下の利点を有する:
−(接合)ダイと対向工具(金床)との間のずれが、接続部13の品質を悪化させることがない。したがって、接合装置の精度への要求が少なくなる。
−時間のかかる設定作業を、なくすことができる。
−もはや母型の縁において破損が生じることがあり得ないため、摩耗が少なくなり、加工の信頼性が向上する。
−すべての接続作業に、同じ金床を使用することができる。従来からのクリンチングの場合と異なり、接続作業の変更の場合に、母型を交換する必要がもはやない。
−ジョイント接続部13が、従来からのクリンチングによってもたらされる接続部と比べ、より平坦であって邪魔にならない。
−薄板の厚さの変更が、工具を変更することなく可能であり、貴重な作業時間が確保される。
−材料の組み合わせの変更が、支出なしで行われる。
−母型なしのクリンチングは、工具セット当たりまたは(接合)ダイ当たりのクリンチング接続部または接合点の数を増加させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)を第2の金属被加工物(12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)に接続するクリンチング接続部(13)が、ダイ工具(20)および対向工具(30)による局所的な変形によって形成されてなる荷重に耐え得る鋼構造接続部の製造方法であって、
第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)および第2の金属被加工物(12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)を対向工具(30)の加工面上に重ねて配置し、整列させるステップ、
ダイ工具(20)のダイを前進させるステップ、
ダイを、重ねて配置された2つの金属被加工物(11、12、6.1、6.3、6.4、6.2、6.5、6.6、7.1、7.2、7.3)へと、局所的な変形によってクリンチング接続部(13)が形成されるまで沈めるステップ、および
ダイを引き抜くステップ
を含み、
金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1、12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)のクリンチング後の分離を可能にするために、ダイの引き抜き時にストリッパー(40)が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
形鋼、鋼桁、鋼板、成形管、ステンレス鋼、アルミニウム、または銅プレート、あるいは鋼製プレート形材(6.1、6.2、7.1)が、第1の金属被加工物(11)として使用され、鋼板、形鋼、成形管、ステンレス鋼、アルミニウム、または銅プレート、あるいは鋼製プレート形材(6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)が、第2の金属被加工物(12)として使用される鋼構造接続部に関することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の被加工物の厚さ(t1)が、第2の被加工物の厚さ(t2)よりも大きく、第1の被加工物の厚さ(t1)が、好ましくは4ミリメートル以上であり、第2の被加工物の厚さ(t1)が、好ましくは3ミリメートル以上であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
円錐形の遷移領域(21、22)を有するダイが選択され、円錐形の遷移領域(21、22)が、全体としての被加工物の厚さ(tt)に応じた長さLを0.3tt≦l≦ttのとおりに有し、好ましくはLがttよりも短くて小さく、好ましい場合においてはL≦0.5ttであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
8ミリメートルよりも厚い全体としての被加工物の厚さ(tt)について、10から30ミリメートルまたは35ミリメートルの間の直径(D2)を有するダイが選択され、直径(D2)は、好ましくは12から20ミリメートルまたは25ミリメートルの間(これらの値を含む)にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)が、第1の被加工物厚さ(t1)を有し、第2の金属被加工物(12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)が、第2の被加工物厚さ(t2)を有し、これらが共に、8ミリメートルよりも厚い全体としての被加工物の厚さ(tt)をもたらしており、さらに/または
ダイが、回転軸(24)に関して回転対称であるように設計され、ダイの沈めの方向に角度(W、W1、W2)で細くなっている少なくとも1つの円錐形の遷移領域(21、22)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ストリッパー(40)が、分離に先立って第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)の表面(15)に向かって前進させられ、
分離の際に、ストリッパー(40)によって金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1、12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)に対して分離力が加えられる一方で、反対の方向に作用する戻り行程力が、ダイを引き戻し、
分離力が、8ミリメートルよりも厚い全体としての被加工物の厚さ(tt)について、45kN未満であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
2つの同一なダイが、互いに隣接して配置されて、同時に使用され、
第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)が、ダイの沈めおよび引き抜きの後の2つの隣接するクリンチング接続部(13)によって、第2の金属被加工物(12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)に接続されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2つの金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1、12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)から金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1、12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)が少なくともクリンチング接続部(13)によって接合されてなる荷重に耐え得る鋼構造要素(5、50)を製造するためのクリンチング工具(20)の使用であって、
クリンチング工具(20)が、フランク角(W、W1)を有する円錐形の遷移領域(21、22)を有するダイを備え、ダイの被加工物側の端面(23)が、被加工物側において、ダイの工具側の直径(D2)よりもわずかに小さい直径(D1)を有することを特徴とする、使用。
【請求項10】
鋼構造要素(5、50)の第1の金属被加工物(11、6.1、6.2、7.1)が、第1の被加工物厚さ(t1)を有し、鋼構造要素(5、50)の第2の金属被加工物(12、6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)が、第2の被加工物厚さ(t2)を有し、第1の被加工物厚さ(t1)が、第2の被加工物厚さ(t2)よりも大きく、第1の被加工物厚さ(t1)が、好ましくは4ミリメートル以上であり、第2の被加工物厚さ(t1)が、好ましくは3ミリメートル以上であり、全体としての被加工物の厚さ(tt)が、8ミリメートルよりも厚いことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
第1の被加工物(11)が、形鋼、鋼桁、鋼板、成形管、ステンレス鋼、アルミニウム、または銅プレート、あるいは鋼製プレート形材(6.1、6.2、7.1)であり、第2の金属被加工物(12)が、鋼板、形鋼、成形管、ステンレス鋼、アルミニウム、または銅プレート、あるいは鋼製プレート形材(6.3、6.4、6.5、6.6、7.2、7.3)であることを特徴とする、請求項9および/または10に記載の使用。
【請求項12】
クリンチング接続部(13)が、少なくとも40kNの引っ張り荷重のために設計されていることを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
少なくとも2つの金属被加工物(11、12、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、7.1、7.2、7.3)を少なくとも1つのクリンチング接続部(13)によって接合してなる鋼構造要素(5、50)であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって製造されていることを特徴とする、鋼構造要素(5、50)。
【請求項14】
動く歩道またはエスカレータ(1)の骨組み(4、5、50)の一部であり、
第1の金属被加工物(11)が、骨組み(4、5、50)の桁または鋼桁(6.1、6.2)であり、第2の金属被加工物(12)が、この桁または鋼桁(6.1、6.2)へと1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部(13)によって固定された平たいプレート、平たい鋼、プレート形材、または形鋼(6.3、6.4、6.5、6.6)であることを特徴とする、請求項13に記載の鋼構造要素(5、50)。
【請求項15】
動く歩道またはエスカレータ(1)の骨組み(4、5、50)のための1つ、複数、または少なくとも1つの支持部(51)を、好ましくは中央の支持部として備えることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素(5、50)。
【請求項16】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、エレベータ装置の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項17】
第1の金属被加工物(11)が、エレベータケージの支持、固定、または保持要素、あるいは枠要素であり、第2の金属被加工物(12)が、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部(13)によって支持要素、保持要素、固定要素、または枠要素へと固定された平たいプレート、平たい鋼、形鋼、またはプレート形材であることを特徴とする、請求項16に記載の鋼構造要素。
【請求項18】
第1の金属被加工物(11)が、エレベータ装置の釣り合いおもり、釣り合いおもり枠、または釣り合いおもりバスケットの支持要素または枠要素であり、第2の金属被加工物(12)が、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部(13)によって支持要素または枠要素へと固定された平たいプレート、平たい鋼、形鋼、またはプレート形材であることを特徴とする、請求項16に記載の鋼構造要素。
【請求項19】
第1の金属被加工物(11)が、エレベータ装置のウインチ格子、駆動格子、駆動梁、またはエンジン枠の支持、固定、または保持要素、あるいは枠要素であり、第2の金属被加工物(12)が、1つ、2つ、または3つ以上のクリンチング接続部(13)によって支持要素、保持要素、固定要素、または枠要素へと固定された平たいプレート、平たい鋼、形鋼、またはプレート形材であることを特徴とする、請求項16に記載の鋼構造要素。
【請求項20】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、建設現場のクレーン、ガントリークレーン、コンテナクレーン、またはコンテナ港湾クレーンの一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項21】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、高電圧鉄塔、高電圧鉄塔設備、高電圧支柱設備、変電所、または発電所の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項22】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、鋼桁風力発電所設備、風力発電所設備、または太陽光設備の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項23】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、鋼製の歩道橋、鋼橋、鉄塔、鋼桁鉄塔、または回転橋設備の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項24】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、鋼製ホール屋根、鋼製ドーム屋根、または鋼製屋根ボールトの一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項25】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、鋼製/ガラス製ファサード、高層ビルのファサード、高層ビルの鋼桁骨格、または高層ビルの鋼桁の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項26】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、精錬所、工場、製糖所、または産業プラントの一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項27】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、積荷設備、積荷台車、貨車、客車、地下鉄車両、都市鉄道車両、または高速鉄道車両の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項28】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、ホイールローダ、キャタピラー、軌道車、フォークリフト、スタッカートラック、フロントエンドローダ、またはサイドスタッカーの一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項29】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、海洋設備、船クレーン、船舶、ウォータービークル、曳航バージ、枠接続部、鋼枠、または船枠の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。
【請求項30】
鋼構造要素または金属被加工物(11、12)が、鋼製の装甲、耐摩耗の鋼製の装甲、装甲コンベア、装甲シュート、装甲ポンプ、または車輪の装甲の一部であることを特徴とする、請求項13および/または14に記載の鋼構造要素。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−518336(P2010−518336A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549355(P2009−549355)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000047
【国際公開番号】WO2008/098390
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】