説明

厚肉被接合材の接合方法及び接合構造

【課題】厚肉の被接合材同士を隙間なく接合する方法及び構造を提案する。
【解決手段】それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成され、前記外側端面同士が突き合わされた一対の厚肉被接合材1,1と、両厚肉被接合材1,1の中間面と内側端面とで形成される凹部に装入された、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板5と、を備え、両厚肉被接合材1,1の外側面同士を突き合わせてなる突合せ部と、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面との突合せ部と、がそれぞれ摩擦攪拌接合されているとともに、接続板5と前記凹部の底面との境界面が摩擦攪拌されている厚肉被接合材の接合構造であって、接続板5と前記凹部の底面との境界面7の摩擦攪拌が、接続板5の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように施されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚肉の被接合材同士を隙間なく接合する方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厚肉の被接合材同士を摩擦攪拌接合する方法が開示されている。その手順としては、まず図21(A)に示すように、一対の厚肉被接合材1,1の各接合端に、外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとからなる段部2を形成しておく。そして図21(B)に示すように、これら一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、この突合せ部3に沿って摩擦攪拌接合用のツール10を挿入して摩擦攪拌接合を施すことにより、両厚肉被接合材1,1を接合して接合線W1を形成する。次に図21(C)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に、この凹部4と同一又は相似の断面形状の接続板5を装入する。最後に図21(D)に示すように、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの突合せ部6,6に沿って摩擦攪拌接合用のツール10を挿入してそれぞれ摩擦攪拌接合を施すことにより、接合線W2,W2を形成する。このように、被接合材の厚さ方向に二段に分けて摩擦攪拌接合を施すことにより、既存の接合ツールでは対応できないような厚肉の被接合材を互いに接合することができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3307330号公報([0013]−[0018],図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法によって接合された接合構造では、図22に示したように、接続板5の底面と凹部4の底面(各厚肉被接合材1,1の中間面2b,2b)とが未接合のままで隙間8が残ってしまうことがある。また、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの突合せ部6を摩擦攪拌接合してなる接合線W2の内部に、ツールの進行方向に連続するトンネル状空洞欠陥9が残ってしまうことがある。そして、かかる隙間8やトンネル状空洞欠陥9は当該部分の気密性を低下させるので、この接合構造をたとえば半導体製造装置の真空処理容器等に用いた場合にはリークが発生しやすく、容器内を超高真空状態にして長時間保持することができないなどという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、厚肉の被接合材同士を隙間なく接合する厚肉被接合材の接合方法(以下、単に「接合方法」という。)及び厚肉被接合材の接合構造(以下、単に「接合構造」という。)を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成された一対の厚肉被接合材の前記外側端面同士を突き合わせて、該突合せ部を摩擦攪拌接合する第一工程と、前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板を装入する第二工程と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部をそれぞれ摩擦攪拌接合するとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌する第三工程と、を含み、前記第三工程では、摩擦攪拌用のツールを前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように移動させることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成された一対の厚肉被接合材の前記外側端面同士を突き合わせるとともに、前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板を装入する第一工程と、前記一対の厚肉被接合材の外側端面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、についてそれぞれ摩擦攪拌接合を施すとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌する第二工程と、を含み、前記第二工程では、摩擦攪拌用のツールを前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように移動させることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成され、前記外側端面同士が突き合わされた一対の厚肉被接合材と、
前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に装入された、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板と、を備え、前記両厚肉被接合材の外側面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、がそれぞれ摩擦攪拌接合されているとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面が摩擦攪拌されている、厚肉被接合材の接合構造であって、前記接続板と前記凹部の底面との境界面の摩擦攪拌が、前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように施されていることを特徴とする。
【0007】
かかる接合方法ないし接合構造によれば、従来の接合方法ないし接合構造において未接合のまま残されていた、接続板と凹部の底面との境界面が摩擦攪拌により一体化されるので、当該部分の隙間をなくした気密性の高い接合部を形成することができる。
また、摩擦攪拌時に接続板の中心部から周縁部に向かって摩擦攪拌用ツールを移動させるので、境界面に残存するエアーを巻き込むことなく接合できる。周縁部から中心部に向かって接合した場合、エアー巻き込みによるトンネル状欠陥が発生する。
【0008】
また、かかる接合方法ないし接合構造において、一対の厚肉被接合材の外側端面同士を突き合わせてなる突合せ部と、接続板と各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、についての摩擦攪拌接合が完了した後に、接続板と凹部の底面との境界面についての摩擦攪拌を行うと、摩擦攪拌時の接続板の位置決め・固定が容易となる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、接続板の底面と凹部の底面との間の隙間や、接続板と各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部を摩擦攪拌接合してなる接合線の内部にトンネル状空洞欠陥を残さずに、気密性の高い厚肉被接合材の接合構造を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略するものとする。また、厚肉被接合材として厚肉のアルミニウム板材を用い、且つ摩擦攪拌接合装置の接合能力が厚さ5mmの場合を想定している。
【0011】
<第一実施形態>
図1〜図4は本発明に係る接合方法の第一実施形態の各工程を表す断面図である。
まず、図1(A)に示すように、接合すべき一対の厚肉被接合材1,1を、それぞれの外側端面2a,2aで面接触させて突合せ部3を形成した上で、図示しない治具で拘束する。各厚肉被接合材1の厚さは5〜10mmであり、それぞれの接合端に沿って段部2が形成されている。段部2は、外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含んで形成されている。そして、一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2aを互いに突き合わせたときに、連続する両中間面2b,2bと、対向する一対の内側端面2c,2cとで凹部4が形成される。なお、厚肉被接合材1にはアルミニウムの圧延板(AA5052合金、AA6061合金)を切削加工したものか、あるいは、段部2を予め一体に形成したアルミニウム(JIS;A6063−T5又はT6等)の押出形材が用いられる。
【0012】
次に、図1(B)に示すように、突合せ部3上に、摩擦攪拌接合用のツール10をセットする。このツール10は、工具鋼からなり、回転円柱体11と、その底面であって緩く湾曲して凹んだ表面押え部12の中心から同軸にて垂下する攪拌ピン13とからなる。この攪拌ピン13は、厚肉被接合材1の外側端面2aや内側端面2cの高さより若干短く、その周面には、図示しないネジ状の小さな摩擦攪拌翼が形成されている。そして、図1(C)及び(c)に示すように、回転円柱体11と攪拌ピン13の中心軸を各厚肉被接合材1,1の突合せ部3に沿ってやや斜めにした状態で、図示しないモータによりツール10を回転させつつ突合せ部3に向けて進入させる。ツール10の回転速度は300〜5000rpmの範囲内において適宜選択される。なお、厚肉被接合材1,1は予め互いに長手方向及び幅方向に移動しないように拘束されている。
【0013】
次いで、図示のように、ツール10を各厚肉被接合材1に対し垂直方向に押圧し、表面押え部12全体が中間面2b,2bの表面に達するまで攪拌ピン13を押し込む。この状態で、ツール10をその傾斜した向きと反対方向に(図1(c)で左方)に移動させる。この送り速度は、0.02〜2m/分の範囲内において適宜選択される。このツール10の回転と移動に伴って、突合せ部3付近のメタルは攪拌ピン13により加熱され可塑化されると共に、突合せ部3の左右の厚肉被接合材1,1間において水平及び垂直方向に流動化される。
【0014】
また、流動化されたメタルは、ツール10の表面押え部12により垂直方向の流動に対し一定の圧力を与えられると共に、突合せ部3の表面付近から外部に飛散することを阻止される。この結果、図1(D),(d)に示すように、ツール10が通過した後において、流動化されたメタルは、流動化状態から固化して断面略半楕円形の接合線W1となる。この接合線W1の表面は、表面押え部12により、その直径の幅相当分が僅かに凹むが、突合せ部3に沿って所要の長さで連続し、且つ表面が平らな接合線W1となる。
【0015】
次いで、図2(A),(B)に示すように、厚肉被接合材1,1の連続する両中間面2b,2bと、対向する一対の内側端面2c,2cとで形成された凹部4内に、この凹部4と同じ断面を有するアルミニウム製の接続板5を装入し、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間に突合せ部6,6を形成する。そして、図2(C),(D)に示すように、突合せ部6,6に沿って、前記同様にツール10を用いて摩擦攪拌接合を順次施す。その結果、図2(E)に示すように、突合せ部6,6に沿って、接続板5と各厚肉被接合材1,1とを接合する平行な一対の接合線W2,W2が形成される。
【0016】
次に、図3及び図4(A),(B)に示すように、摩擦攪拌用のツール20を接続板5の上方から挿入して、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化しながら、ツール20を接続板5に沿って移動させる。図5に示すように、摩擦攪拌用のツール20は工具鋼からなり、回転円柱体21と、その水平な底面である表面押え部22の中心から同軸にて垂下する攪拌ピン23とを備えている。表面押え部22には、その周縁から攪拌ピン23の基端部に向かって、底面視で略二周の渦巻状に突出する凸条24が形成されている。この凸条24は、図5(B)中の矢印で示す方向にツール20が回転したときに、塑性化したメタルを攪拌ピン23の基端部に向かって強制的に集めるような向きで形成されている。また、攪拌ピン23の周面には、ネジ状の小さな摩擦攪拌翼25が形成されている。この摩擦攪拌翼25は、図5(B)中の矢印で示す方向にツール20が回転したときに、塑性化したメタルを下方から上方に向かって(攪拌ピン23の先端から表面押え部22に向かって)強制的に集めるような向きで形成されている。
【0017】
そして、回転円柱体21と攪拌ピン23の中心軸を接続板5の表面に垂直な向きであるいはやや傾斜させて、図示しないモータによりツール20を回転させつつ接続板5に向けて進入させる。ツール20の回転に伴って、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7付近のメタルは攪拌ピン23により加熱され可塑化されると共に、当該部分において水平及び垂直方向に流動化され、凹部4の底面付近の厚肉被接合材1,1のメタルと接続板5の底面付近のメタルとが一体化して、境界面7の微細な隙間が塞がれる。そして、接続板5の表面を表面押え部22で押さえ込みながら、ツール20を接続板5の表面全面に沿って順次移動させることにより、境界面7の微細な隙間を全て塞ぐことができる。
【0018】
ここで、ツール20を、図3及び図4(B)に示したように、接続板5の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように移動させれば、境界面に残存するエアーが接合部に巻き込まれることなく接合でき、さらにツール20を引き抜いたときに不可避的にできる孔を接続板5内に残さないようにすることができる。
もちろん、ツール20の移動軌跡はこれに限定されるものではなく、たとえば図6(A)に示すように、Uターンを繰り返しつつ接合線W2に平行な向きで移動させるようにしてもよいし、図6(B)に示すように、Uターンを繰り返しつつ接合線W2に直交する向きで移動させるようにしてもよく、これら以外の移動パターンとしてもよい。連続的にでも不連続的にでもよいが、ツール20が接続板5の表面全面を満遍なく通過するようにして、境界面7の隙間の接合線W2方向の連続性を分断することが重要である。
【0019】
ツール20による摩擦攪拌が完了すると、図7(A)に示すように、接続板5が、ツール20が通過した後にできる攪拌部W3となる。攪拌部W3は境界面7を含むように形成されるので、凹部4の底面と接続板5のメタルが一体化して、境界面7の微細な隙間が塞がれた接合構造を得ることができる。
なお、図7(B)に示すように、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの突合せ部6,6(接合線W2,W2)を横断するようにツール20を移動させれば、境界面7の隙間が塞がれるだけでなく、接合線W2,W2内のトンネル状空洞欠陥が攪拌部W3で分断されるので、より気密性の高い接合構造となる。
【0020】
<第二実施形態>
図8は本発明に係る接合方法の第二実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態は基本的に第一実施形態と同様であるが、突合せ部6,6の摩擦攪拌接合と境界面7の摩擦攪拌の順序のみにおいて異なる。
つまり、まず図8(A)に示すように、それぞれの接合端に沿って外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含む段部2が形成された一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図8(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5の上方から摩擦攪拌用のツール20を挿入し、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化させ、境界面7を含む攪拌部W3を形成する。
最後に図8(C)に示すように、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を順次あるいは同時に摩擦攪拌接合する。
【0021】
このようにして得られる接合構造も、第一実施形態と同様、凹部4の底面と接続板5のメタルが一体化して、境界面7の微細な隙間が塞がれた気密性の高いものとなっている。
なお、第一実施形態と異なり、凹部4の底面と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化させる際には、接続板5が移動しないように強固に拘束しておく必要がある。
【0022】
<第三実施形態>
図9は本発明に係る接合方法の第三実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態は基本的に第二実施形態と同様であるが、境界面7の摩擦攪拌時のツールの挿入方向のみにおいて異なる。
つまり、まず図9(A)に示すように、それぞれの接合端に沿って外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含む段部2が形成された一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図9(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5の下方(接合線W1側)から摩擦攪拌用のツール20を挿入し、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化させ、境界面7を含む攪拌部W3を形成する。
最後に図9(C)に示すように、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を順次あるいは同時に摩擦攪拌接合する。
【0023】
<第四実施形態>
図10は本発明に係る接合方法の第四実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態は基本的に第一実施形態と同様であるが、突合せ部6,6の摩擦攪拌接合と境界面7の摩擦攪拌の順序のみにおいて異なる。
つまり、まず図10(A)に示すように、それぞれの接合端に沿って外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含む段部2が形成された一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図10(B),(C)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5の上方から摩擦攪拌用のツール20を挿入し、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌するとともに、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合する。つまり、突合せ部6,6の摩擦攪拌接合と境界面7の摩擦攪拌とを区別せず、突合せ部6,6を包含するように摩擦攪拌を行うことにより、接続板5と各厚肉被接合材1,1との接合と、境界面7を含む攪拌部W3の形成を同時並行的に行うのである。したがって、作業工程の簡略化を図ることが可能である。
【0024】
<第五実施形態>
図11は本発明に係る接合方法の第五実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態は、突合せ部3の接合タイミングのみにおいて上記各実施形態と異なる。
つまり、まず図11(A)に示すように、それぞれの接合端に沿って外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含む段部が形成された一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成するとともに、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部に該凹部と同一の断面形状の接続板5を装入する。
次に図11(B)に示すように、下方から摩擦攪拌接合用のツールを挿入し、突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
続いて図11(C)に示すように、上方から摩擦攪拌接合用のツールを挿入し、突合せ部6,6を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。
最後に図11(D)に示すように、上方から摩擦攪拌用のツールを挿入し、凹部の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化させ、境界面7を含む攪拌部W3を形成する。摩擦攪拌用のツールは下から挿入することも可能である。
【0025】
なお、図11(A)の後の図11(B)〜(D)の順序は任意に変更可能であり、最終的に接合線W1,W2と攪拌部W3を形成できればよい。
【0026】
<第六実施形態>
図12は本発明に係る接合方法の第六実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態では、各厚肉被接合材1,1の接合端に沿って上面側に二段の段部2,2’が形成されている。
図12(A)に示すように、厚肉被接合材1,1は厚さ10〜15mmで、それぞれの接合端に沿って二段の段部2,2’が形成されている。段部2は外側端面2aと第一中間面2bと第一内側端面2cとで形成され、段部2’は第一内側端面2cと第二中間面2b’と第二内側端面2c’とで形成されている。そして、このような一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成する。すると、第一中間面2b,2bと第一内側端面2c,2cとで幅狭の凹部4が形成され、第二中間面2b’,2b’と第二内側端面2c’,2c’とで幅広の凹部4’が形成される。
続いて図12(B)に示すように、凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した上で、上記各実施形態と同様に、突合せ部3,6,6の摩擦攪拌接合による接合線W1,W2を形成するとともに、境界面7の摩擦攪拌により攪拌部W3を形成する。
最後に図12(C)に示すように、凹部4’に該凹部4’と同一断面形状の接続板5’を装入した上で、上記各実施形態と同様に、接続板5’と各厚肉被接合材1,1の第二内側端面2c’,2c’との間の突合せ部6’,6’を摩擦攪拌接合するとともに、接続板5’の底面と凹部4’の底面(第二中間面2b’,2b’及び接続板5の上面)との境界面7’を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0027】
<第七実施形態>
図13は本発明に係る接合方法の第七実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態では、各厚肉被接合材1,1の接合端に沿って形成された段部2が、底広凹溝2dを有する。つまり図13(A)に示すように、段部2は、外側端面2aと中間面2bと底広凹溝2dと内側端面2cとで形成されている。
そしてまず同図に示すように、これら一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図13(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cと底広凹溝2d,2dとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5をスライド装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合する。接続板5は、底広凹溝2d,2dに嵌合する底広凸条5d,5dを有している。
最後に図13(C)に示すように、接続板5の上方から摩擦攪拌用のツールを挿入し、凹部4の底面(中間面2b,2b及び底広凹溝2d,2dの底面)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0028】
このように、本発明における境界面7は、一水平面に限定されるわけではなく、二段以上の水平面を有するものであってもよいなど、その態様は任意である。また、図13(A)〜(C)の順序は適宜変更可能である。
【0029】
<第八実施形態>
図14は本発明に係る接合方法の第八実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態では、接合すべき一対の厚肉被接合材のうちの一方の厚肉被接合材1の厚さが他方の厚肉被接合材1’の厚さよりも大きくなっている。つまり図14(A)に示すように、一方の厚肉被接合材1の接合端には、外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとからなる段部2が形成されており、他方の厚肉被接合材1’の接合端には、外側端面2aと中間面2bと内側端面2c’とからなる段部2’が形成されているが、内側端面2cの高さは内側端面2c’の高さよりも大きい。
そしてまず同図に示すように、これら一対の厚肉被接合材1,1’の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図14(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1’の中間面2b,2bと内側端面2c,2c’とで形成される凹部4に該凹部4と相似断面形状の接続板5を装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1’の内側端面2c,2c’との間の突合せ部6,6’を摩擦攪拌接合する。接続板5の上面は、凹部4に装入されたときにそれぞれ厚肉被接合材1,1’の上面と同一高さとなるような第一水平面5a、第二水平面5bと、第一水平面5aと第二水平面5bとをつなぐ斜面5cとで形成されている。
最後に図14(C)に示すように、接続板5の上方から摩擦攪拌用のツールを挿入し、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0030】
このように本発明は、一対の厚肉被接合材の厚さが異なる場合にも対応可能である。また、図14(A)〜(C)の順序は適宜変更可能である。
【0031】
<第九実施形態>
図15は本発明に係る接合方法の第九実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態では、各厚肉被接合材1,1の接合端に沿って上下両側にそれぞれ段部2,2’が形成されている。
図15(A)に示すように、厚肉被接合材1,1は厚さ10〜15mmで、それぞれ接合端に沿って上段の段部2と下段の段部2’が形成されている。上段の段部2は外側端面2aと第一中間面2bと第一内側端面2cとで形成され、下段の段部2’は外側端面2aと第二中間面2b’と第二内側端面2c’とで形成されている。そして、このような一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。
次に図15(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の第一中間面2b,2bと第一内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1の第一内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。また、両厚肉被接合材1,1の第二中間面2b’,2b’と第二内側端面2c’,2c’とで形成される凹部4’に該凹部4’と同一断面形状の接続板5’を装入した後、接続板5’と各厚肉被接合材1,1の第二内側端面2c’,2c’との間の突合せ部6’,6’を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。
最後に図15(C)に示すように、接続板5の底面と凹部4の底面(第一中間面2b,2b)との境界面7を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成するとともに、接続板5’の底面(同図では上面)と凹部4の底面(第二中間面2b’,2b’)との境界面7’を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0032】
このように本発明は、各厚肉被接合材の接合端に沿って上下両側に段部が形成されている場合にも対応可能である。また、図15(B),(C)の順序は適宜変更可能である。
【0033】
<第十実施形態>
図16は本発明に係る接合方法の第十実施形態の各工程を表す断面図である。
図16(A)に示すように、厚肉被接合材1,1は厚さ10〜15mmで、接合端に沿って段部2が形成されている。段部2は高さの大きな(5〜10mmの)外側端面2aと中間面2bと高さの小さな(5mm以下の)内側端面2cとで形成されている。そして、このような一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3に上下両方から摩擦攪拌接合用のツールを装入して摩擦攪拌接合を行い、接合線W1,W1を形成する。
次に図16(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。
最後に図16(C)に示すように、接続板5の底面と凹部4の底面(中間面2b,2b)との境界面7を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0034】
このように本発明は、各厚肉被接合材の接合端に沿って形成された段部の外側端面の高さが大きい場合にも対応可能である。また、図16(B),(C)の順序は適宜変更可能である。
【0035】
<第十一実施形態>
図17は本発明に係る接合方法の第十一実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態では、各厚肉被接合材1,1の接合端に沿って上下両面側にそれぞれ段部2,2’が形成されている。
図17(A)に示すように、厚肉被接合材1,1は厚さ15〜20mmで、それぞれ接合端に沿って上段の段部2と下段の段部2’が形成されている。上段の段部2は外側端面2aと第一中間面2bと第一内側端面2cとで形成され、下段の段部2’は外側端面2aと第二中間面2b’と第二内側端面2c’とで形成されている。外側端面2aの高さは5〜10mmである。そして、このような一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3に上下両方から摩擦攪拌接合用のツールを装入して摩擦攪拌接合を行い、接合線W1,W1を形成する。
次に図17(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の第一中間面2b,2bと第一内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1の第一内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。また、両厚肉被接合材1,1の第二中間面2b’,2b’と第二内側端面2c’,2c’とで形成される凹部4’に該凹部4’と同一断面形状の接続板5’を装入した後、接続板5’と各厚肉被接合材1,1の第二内側端面2c’,2c’との間の突合せ部6’,6’を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。
最後に図17(C)に示すように、接続板5の底面と凹部4の底面(第一中間面2b,2b)との境界面7を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成するとともに、接続板5’の底面(同図では上面)と凹部4の底面(第二中間面2b’,2b’)との境界面7’を摩擦攪拌して攪拌部W3を形成する。
【0036】
このように本発明は、各厚肉被接合材の接合端に沿って上下両側に段部が形成され、外側端面の高さが大きい場合にも対応可能である。また、図17(B),(C)の順序は適宜変更可能である。
【0037】
<第十二実施形態>
図18は本発明に係る接合方法の第十二実施形態の各工程を表す断面図である。本実施形態は基本的に第一乃至第五の実施形態と同じであるが、各厚肉被接合材が曲面板材である点のみにおいて異なる。
つまり、図18(A)に示すように、それぞれの接合端に沿って外側端面2aと中間面2bと内側端面2cとを含む段部2が形成された一対の厚肉被接合材1,1の外側端面2a,2a同士を突き合わせて突合せ部3を形成し、該突合せ部3を摩擦攪拌接合して接合線W1を形成する。中間面2bは曲面となっている。
次に図18(B)に示すように、両厚肉被接合材1,1の中間面2b,2bと内側端面2c,2cとで形成される凹部4に該凹部4と同一断面形状の接続板5を装入した後、接続板5と各厚肉被接合材1,1の内側端面2c,2cとの間の突合せ部6,6を摩擦攪拌接合して接合線W2,W2を形成する。
最後に図18(C)に示すように、凹部4の底面(中間面2b,2b)と接続板5の底面との境界面7を摩擦攪拌して一体化させ、境界面7を含む攪拌部W3を形成する。
【0038】
このように本発明は、各厚肉被接合材が曲面板状である場合にも対応可能である。また、図18(A)〜(C)の順序は適宜変更可能である。
【0039】
<ツールについて>
以上の各実施形態で用いた摩擦攪拌用のツール20は、適宜の変更が可能である。たとえば図19に示した摩擦攪拌用のツール20’は、回転円柱体21の底面である表面押え部22の中心からずれた位置から(偏心して)円柱形の攪拌ピン23が垂下している。このように攪拌ピン23が回転円柱体21に対して偏心していると、回転円柱体21をその軸まわりに回転させたときに、攪拌ピン23が自転するとともに回転円柱体21の軸まわりに公転するので、境界面7の攪拌作用が増大する。攪拌ピン23の周面には、ネジ状の小さな摩擦攪拌翼25が形成されているので、この摩擦攪拌翼25を利用して攪拌ピン23を回転円柱体22に固定することができ、攪拌ピンの突出長さも容易に調節可能である。
【0040】
さらにまた、図20(A)〜(E)に示したツールを用いることも可能である。図20(A)のツール20Aは、回転円柱体21の底面である表面押え部22の中心からずれた位置から(偏心して)多角形柱体状の攪拌ピン23が垂下し、表面押え部22の周縁から攪拌ピン23の基端部に向かって渦巻状に突出する凸条24が形成されたものである。図20(B)〜(E)のツール20B〜20Eはいずれも、回転円柱体21の底面である表面押え部22の中心からずれた位置から(偏心して)略円柱形の攪拌ピン23が垂下しており、さらに、ツール20Bは攪拌ピン23の底面に十字形の凸条26が形成されたもの、ツール20Cは攪拌ピン23の底面に多数の細かい直方体形状の突起27,27,…が格子状に形成されたもの、ツール20Dは攪拌ピン23の底面に同心円状にリング状の突起28,28,…が形成されたもの、ツール20Eは攪拌ピン23の周面の底面付近に複数の凹溝29,29,…が形成されたものである。これらのツールはいずれも境界面7の攪拌作用を増大させたものである。
【0041】
なお、上記各実施形態では、摩擦攪拌接合用のツール10と摩擦攪拌用のツール20を別々のものとしたが、もちろん同一のツールで摩擦攪拌接合と摩擦攪拌の双方を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(A)〜(D)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第一実施形態の各工程を表す断面図であり、(c)は(C)のc−c断面図、(d)は(D)のd−d断面図である。
【図2】(A)〜(E)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第一実施形態の各工程を表す断面図である。
【図3】本発明に係る接合方法の第一実施形態の一工程を表す斜視図である。
【図4】(A)は図3のa−a断面図であり、(B)は図3の平面図である。
【図5】(A)は摩擦攪拌用ツールの側面図、(B)は(A)の底面図、(C)は(B)のC−C断面図である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ、摩擦攪拌ツールの移動軌跡の別の例を表す平面図である。
【図7】(A),(B)はそれぞれ、摩擦攪拌ツールの移動完了後の状態を表す断面図である。
【図8】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第二実施形態の各工程を表す断面図である。
【図9】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第三実施形態の各工程を表す断面図である。
【図10】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第四実施形態の各工程を表す断面図である。
【図11】(A)〜(D)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第五実施形態の各工程を表す断面図である。
【図12】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第六実施形態の各工程を表す断面図である。
【図13】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第七実施形態の各工程を表す断面図である。
【図14】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第八実施形態の各工程を表す断面図である。
【図15】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第九実施形態の各工程を表す断面図である。
【図16】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第十実施形態の各工程を表す断面図である。
【図17】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第十一実施形態の各工程を表す断面図である。
【図18】(A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る接合方法の第十二実施形態の各工程を表す断面図である。
【図19】(A)は摩擦攪拌用ツールの別の例を表す斜視図であり、(B)は同断面図である。
【図20】(A)〜(E)はそれぞれ摩擦攪拌用ツールの別の例を表す斜視図である。
【図21】(A)〜(D)は従来の接合方法の各工程を表す断面図である。
【図22】図20(D)の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 … 厚肉被接合材
2 … 段部
2a … 外側端面
2b … 中間面
2c … 内側端面
2d … 底広凹溝
3 … 突合せ部
4 … 凹部
5 … 接続板
5a … 第一水平面
5b … 第二水平面
5c … 斜面
5d … 底広凸条
6 … 突合せ部
7 … 境界面
8 … 隙間
10 … (摩擦攪拌接合用の)ツール
11 … 回転円柱体
12 … 表面押え部
13 … 攪拌ピン
20 … (摩擦攪拌用の)ツール
21 … 回転円柱体
22 … 表面押え部
23 … 攪拌ピン
24 … 凸条
25 … 摩擦攪拌翼
26 … 凸条
27 … 突起
28 … 突起
29 … 凹溝
W1,W2 … 接合線
W3 … 攪拌部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成された一対の厚肉被接合材の前記外側端面同士を突き合わせて、該突合せ部を摩擦攪拌接合する第一工程と、
前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板を装入する第二工程と、
前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部をそれぞれ摩擦攪拌接合するとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌する第三工程と、を含み、
前記第三工程では、摩擦攪拌用のツールを前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように移動させることを特徴とする厚肉被接合材の接合方法。
【請求項2】
前記第三工程では、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部に摩擦攪拌接合を施した後に、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌することを特徴とする請求項1に記載の厚肉被接合材の接合方法。
【請求項3】
それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成された一対の厚肉被接合材の前記外側端面同士を突き合わせるとともに、前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板を装入する第一工程と、
前記一対の厚肉被接合材の外側端面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、についてそれぞれ摩擦攪拌接合を施すとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌する第二工程と、を含み、
前記第二工程では、摩擦攪拌用のツールを前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように移動させることを特徴とする厚肉被接合材の接合方法。
【請求項4】
前記第二工程では、前記一対の厚肉被接合材の外側端面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、についてそれぞれ摩擦攪拌接合を施した後に、前記接続板と前記凹部の底面との境界面を摩擦攪拌することを特徴とする請求項3に記載の厚肉被接合材の接合方法。
【請求項5】
それぞれの接合端に沿って外側端面と中間面と内側端面とを含む段部が形成され、前記外側端面同士が突き合わされた一対の厚肉被接合材と、
前記両厚肉被接合材の中間面と内側端面とで形成される凹部に装入された、該凹部と同一又は相似の断面形状の接続板と、を備え、
前記両厚肉被接合材の外側面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、がそれぞれ摩擦攪拌接合されているとともに、前記接続板と前記凹部の底面との境界面が摩擦攪拌されている、厚肉被接合材の接合構造であって、
前記接続板と前記凹部の底面との境界面の摩擦攪拌が、前記接続板の中心付近から周縁部に向かって平面視で螺旋模様の連続的な軌跡を描くように施されていることを特徴とする厚肉被接合材の接合構造。
【請求項6】
前記両厚肉被接合材の外側面同士を突き合わせてなる突合せ部と、前記接続板と前記各厚肉被接合材の内側端面との突合せ部と、がそれぞれ摩擦攪拌接合された後に、前記接続板と前記凹部の底面との境界面の摩擦攪拌が施されていることを特徴とする請求項5に記載の厚肉被接合材の接合構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−18348(P2009−18348A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277723(P2008−277723)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【分割の表示】特願2003−162459(P2003−162459)の分割
【原出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】