説明

原料秤量制御装置

【課題】 排出する原料の重量を測定するロードセル等の秤量機2を有する秤量槽1、原料の排出速度を制御するフィーダ等の定量排出装置3、および原料の受け入れ停止の指令と定量排出装置3の運転を行うコントローラ100により構成され、原料受け入から原料排出までの動作を一連のサイクルで動作する原料秤量制御装置で、従来は、原料受け入れ中は後工程への原料排出要求があっても秤量完了まで後工程を待たせる必要があった。
【解決手段】 コントローラ100は、定量排出装置3に運転指令と原料排出速度指令を出力する定量排出制御部102と、原料受け入れ停止信号を出力する原料受け入れ停止指令部101を有しており、さらに原料受け入れ停止指令部101は秤量値を排出量積算値で補正する秤量補正部103と、原料秤量値が補正した秤量値となったときを秤量完了として、原料受け入れ停止信号を出力する秤量完了判定部を有しており、
秤量槽1への原料受入中に原料を排出していても秤量値までの秤量を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の秤量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の原料秤量制御装置では、転炉での秤量ホッパを例にとると、2台の副原料バンカと2台のフィーダと、本発明でいう秤量槽に該当する秤量ホッパと、2台の秤量機と、投入ゲートと、投入ゲート開閉機構と、検出スイッチと、コントローラから構成され、コントローラは秤量ホッパ内の固定材料を秤量機で秤量しつつ、投入ゲートを介して受容容器である転炉に投入する投入制御を行ない、かつ秤量機の秤量値があらかじめ設定された所定値に到達した時点から前記投入ゲートの開閉操作を繰り返すものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−160509号公報(第8−12頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の原料秤量制御装置では、後工程への原料排出要求のタイミングが原料受け入れ中の場合は、秤量と排出を同時に行うと秤量機では、そのときに必要な原料が必要な重量だけ受け入れられたか計量することができなくなる。そのため秤量槽への原料受入中は、後工程への原料排出要求があっても原料の受け入れが完了し計量も完了するまで、原料排出しないようにしているので、後工程を待たせる必要があった。このため、後工程のサイクルを乱す要因となっていた。尚ここで後工程とは、秤量槽から排出された原料を受け取り、その原料を運搬したり加工したりするものである
そこで、本発明は、秤量槽への原料受入中に原料の排出を開始しても秤量を可能とし、秤量槽の後工程のサイクルを乱すことのない原料秤量制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
【0006】
請求項1に記載の発明は、秤量槽と、秤量槽内の原料の重量を測定する秤量機と、原料を指令された速度で排出する定量排出装置と、前記秤量機で測定した原料秤量値と後工程からの原料排出要求信号とに基づいて前記定量排出装置に運転指令と排出速度指令を出力する定量排出制御部と、前記原料秤量値と前記原料排出要求信号と前記排出速度指令とに基づいて原料受け入れ停止信号を出力する原料受け入れ停止指令部と、を有するコントローラと、を有することを特徴とする原料秤量制御装置とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の原料秤量制御装置において、前記定量排出制御部は、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求したら、前記運転指令で直ちに前記定量排出装置を運転することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の原料秤量制御装置において、前記原料受け入れ停止指令部は、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求するとき前記原料秤量値から前記排出速度指令の時間積算値を引き算して補正後秤量値を演算し、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求しないとき前記補正後秤量値を前記秤量値と等しくする秤量目標補正部と、前記原料秤量値が前記補正後秤量値以上であるときのみ、前記原料受け入れ停止信号を出力する秤量完了判定部と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、原料の受け入れ中に排出を同時に行っても計量をすることができ、常に後工程からの排出開始要求に合わせて制約なく秤量槽より原料排出させることができるので、後工程のサイクルを乱すことのない原料秤量装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の原料秤量制御装置の構成を示すブロック図
【図2】秤量槽の原料秤量状況説明図
【図3】本発明の秤量槽の秤量値と原料受入、原料排出工程の状況説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例を示す原料秤量制御装置の構成を示すブロック図である。図において、原料秤量制御装置は、秤量槽1、秤量機2、定量排出装置3、コントローラ100を有しており、コントローラ100は原料受け入れ停止指令部101、定量排出制御部102を有している。さらに原料受け入れ停止指令部101は、秤量目標補正部103、秤量完了判定部104を有している。秤量槽1は、受け入れた原料を貯留し、後工程に排出する。後工程とは、秤量槽1から排出された原料を受け取り、その原料を運搬したり加工したりするものであるが、本発明の原料秤量装置はこの後工程の形態、実施する処理内容によらず適用できるものである。秤量機2は、ロードセル等であり、秤量槽1内の原料の重量を測定する。定量排出装置3は、原料を指令された速度で排出する。コントローラ100は秤量機2から原料の重量測定値である原料秤量値を、また後工程から原料排出要求信号を入力され、原料受け入れ停止信号と、排出速度指令と定量排出装置3の運転指令とを出力する。原料受け入れ停止指令部101は、秤量値の補正演算を行い、かつ原料秤量値が補正された補正後秤量値以上となったことで秤量完了を判定し、原料受け入れ停止信号を生成するものである。このように秤量値で指定される重量の原料を受け入れることを秤量と呼ぶ。以上の秤量動作は秤量目標補正部103及び秤量完了判定部104が行うが、その詳細は後述する。定量排出制御部102は、定量排出装置3への排出速度指令と、後工程から入力される原料排出要求信号により運転指令を生成するものである。
【0013】
排出速度指令は原料を排出する後工程の要求により決定される。例えば後工程が高炉へ原料を運ぶコンベアであれば、コンベア上の堆積厚みを指定どおりの値とするための排出速度が指令される。ベルトコンベアの速度をV、ベルトコンベアのベルト上の搬送幅をL、指定される堆積厚みをLt、原料の嵩比重をw0とすると、単位時間当たりの原料排出重量で定義される排出速度指令Wvは、式(1)で定められる。
Wv = L × V × Lt × w0 式(1)
上記は後工程がベルトコンベアの場合の排出速度指令Wvの演算のしかたの一例であるが、これに限るものではない。
【0014】
以下、本実施例における原料秤量制御装置の動作について、場合を分けて説明する。図2は、秤量槽1の原料秤量状況説明図である。同図(A)は、原料の受け入れのみを行っている動作を示したものであり、同図(B)は、原料の受け入れと排出を同時に行っている動作を示したものであり、同図(C)は、原料の排出のみを行っている動作を示したものである。
【0015】
本発明に係る原料秤量制御装置は、秤量機2を有する秤量槽1と、速度指令どおりの速度で原料の排出を行う定量排出装置3とを有し、原料受け入れ中でも定量排出装置3の速度指令の時間積算値を利用することにより、後工程を待たせることなく原料排出を同時に行いながらも、秤量値どおりの秤量を実現するものである。すなわち、原料受け入れ中でも後工程から原料排出要求信号が入力されれば、定量排出装置3を運転して原料の排出を行い、秤量目標補正部103にて定量排出装置6の速度指令の時間積算値を演算し、演算値を用いて原料の受け入れ目標値である秤量値を補正し、この補正後秤量値を用いて秤量完了判定部104で秤量完了を判定し、受け入れ停止を指令するものである。
【0016】
図3は、本発明の秤量槽の秤量値と原料受入、原料排出工程の状況説明図である。秤量値Whと補正後秤量値Whhと空量値Wlと、排出開始タイミングと受入完了タイミングの関係を示している。
【0017】
(1)秤量完了後に、後工程から原料排出要求信号が入力され原料の排出要求があった場合
原料は図2(A)に示す原料受入工程において秤量槽1へ受入れられる。ここで秤量目標補正部103は秤量値Whの補正は行わない。すなわち補正後秤量値Whhと秤量値Whは等しい値とする。秤量完了判定部104は秤量機5から入力される原料秤量値が補正後秤量値Whh以上となったときを秤量完了とし、図示しない原料供給装置に対して原料受け入れ停止信号を出力して、原料の供給を停止させる。秤量完了後に後工程から原料排出要求信号が入力された場合、定量排出制御部102は、秤量した原料を空量値Wlまで定量排出装置3を運転して排出し、排出完了でコントローラ100は秤量槽1より排出された秤量済み原料の重量である総排出重量Wを式(2)により演算する。
W = Wh − Wl 式(2)
【0018】
(2)原料受け入れ中に、後工程から原料排出要求信号が入力され原料の排出要求あった場合
図2(B)に示す原料受け入れ工程と原料排出工程を同時に行った場合、秤量中に定量排出装置3で排出される原料分だけ実際に秤量した重量よりも少なくなるため、原料の受け入れ目標値を秤量値Whのまま秤量を続けると排出された原料の重量分だけ過剰に秤量することになる。ここで、定量排出装置3に対する排出速度指令をWvとすると、秤量補正部103は、原料受け入れと排出を同時に行っている時の同時排出重量Wvtを排出速度指令の時間積算値として式(3)により演算する。
Wvt = Wv × tu 式(3)
ここでtuは、同時排出重量Wvt演算時点までに原料受け入れと排出を同時に行ってきた時間である。
秤量補正部103は、式(4)により同時排出重量Wvtだけ秤量値Whをリアルタイムに減量補正し、補正後秤量値Whhを演算する。
Whh = Wh − Wvt 式(4)
【0019】
秤量完了判定部104は秤量機2からの原料秤量値が補正後秤量値Whh以上となった時点を秤量完了とし、(1)の場合と同様、原料供給装置に対して原料受け入れ停止信号を出力して、秤量槽1への原料の供給を停止させる。秤量完了後に定量排出制御部102は空量値Wlまで定量排出装置3を運転して排出し、排出完了でコントローラ100は、秤量槽1より排出された秤量済み原料の重量である総排出重量Wを演算する。
このとき、実際は同時排出重量Wvtの分だけ多く原料が排出されているので、秤量制御演算部101は、同時排出重量Wvtを加算することにより、式(5)で総排出量Wを演算する。
W = Whh− Wl + Wvt 式(5)
式(4)と式(5)より
W = Wh − Wl 式(2)
となり、原料受け入れと原料排出を同時に行った場合でも、(1)の場合と同じ総排出重量Wだけ原料を受け入れ、排出できたことになる。
以上より、後工程を待たせることなく原料排出を同時に行う秤量制御ができる。
【0020】
図3から明らかなように、原料受入中に原料排出を要求されてもすぐに原料を排出しており、秤量が完了するまでの後工程の待ち時間が無くなり、排出開始から受入完了までの時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 秤量槽
2 秤量機
3 定量排出装置
100 コントローラ
101 原料受け入れ停止指令部
102 定量排出制御部
103 秤量目標補正部
104 秤量完了判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量槽と、
秤量槽内の原料の重量を測定する秤量機と、
原料を指令された速度で排出する定量排出装置と、
前記秤量機で測定した原料秤量値と後工程からの原料排出要求信号とに基づいて前記定量排出装置に運転指令と原料排出速度指令を出力する定量排出制御部と、
前記原料秤量値と前記原料排出要求信号と前記原料排出速度指令とに基づいて原料受け入れ停止信号を出力する原料受け入れ停止指令部と、を有するコントローラと、
を有することを特徴とする原料秤量制御装置。
【請求項2】
前記定量排出制御部は、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求したら、前記運転指令で直ちに前記定量排出装置を運転することを特徴とする請求項1に記載の原料秤量制御装置。
【請求項3】
前記原料受け入れ停止指令部は、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求するとき前記原料秤量値から前記排出速度指令の時間積算値を引き算して補正後秤量値を演算し、前記原料排出要求信号が原料の排出を要求しないとき前記補正後秤量値を前記秤量値と等しくする秤量目標補正部と、
前記原料秤量値が前記補正後秤量値以上であるときのみ、前記原料受け入れ停止信号を出力する秤量完了判定部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の原料秤量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−232049(P2011−232049A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100137(P2010−100137)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】