説明

原稿搬送装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】外装カバーなどの開閉時にその搬送ガイドが他の部材に接触するのを防止しながら、複雑に構成された原稿搬送路のできるだけ奥部まで露出可能であって、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】原稿搬送装置20は、第1原稿搬送路32、第2原稿搬送路34、原稿反転部36、第3原稿搬送路44、第4原稿搬送路51、開放することによって第1原稿搬送路32を露出可能な外装カバー24、開放することによって第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51の略全域を露出可能なガイドユニット70、一部が外側に突出するようにガイドユニット70に設けられた第2分岐ガイド48、及びガイドユニット70の開閉時に第2分岐ガイド48を姿勢変更させて第2分岐ガイド48のガイドユニット70に対する突出位置を変更させる姿勢変更部材73を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される画像形成装置に適用可能な、原稿の搬送装置に関する。また、この原稿搬送装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリなどの画像形成装置には、複数枚の原稿を自動的に原稿読取部へと送り出す原稿搬送装置を備えているものがある。原稿搬送装置は、原稿載置トレイに積み上げられた原稿束の最上層から1枚ずつ分離して搬送する。原稿は、原稿読取部でその表面の画像データを読み取られた後、原稿搬送路の最下流に設けられた原稿排出トレイに排出される。
【0003】
画像形成装置で原稿を複写するとき、表裏両面に画像データが記載された原稿と同じコピーを一度の操作で出力させたい、すなわち原稿の両面に記載された画像データを、一度に一枚の用紙に複写したい場合がある。このような要求に応えるため、原稿搬送装置には、両面印刷に対応した原稿の反転部を備えているものがある。この原稿反転部には、一般的に、スイッチバック方式を採用して原稿の搬送方向を変更する機構が搭載されている。このようにして搬送方向が逆方向に変更された原稿は、表裏が反転した状態で、再度原稿読取部へと搬送される。
【0004】
上記構成の原稿搬送装置では、原稿を、表裏両面の画像データを読み取るべくスイッチバックさせた場合、第2面の読み取り終了後そのまま排出すると、当初原稿載置トレイに積み上げられていた状態に対して、原稿の表裏が逆になった状態で原稿排出トレイに排出され、積み重ねられるといった問題が懸念される。この問題に対応するため、第2面の読み取りが終了した原稿をそのまま排出せず、再度原稿反転部に送り込み、スイッチバックさせた後、原稿排出トレイに排出する原稿搬送装置が提案されている。このような原稿搬送装置の例を、特許文献1に見ることができる。
【0005】
特許文献1に記載された原稿搬送装置は、先端から搬送された原稿を後端から排出して搬送方向を変える第1反転路(原稿反転部)と、この第1反転路から第2面を読み終えた原稿の表裏を反転させて排出する第2反転路とを備えている。
【0006】
一方、原稿の搬送に関しては、例えば原稿を、原稿載置トレイから原稿読取部へと続く原稿搬送路に受け渡すには、供給ローラや供給ベルトといった供給部材が用いられる。この供給部材は、原稿載置トレイの原稿搬送方向下流部に設けられ、原稿束の最上層に圧接して原稿を下流側へと送り出す。また、原稿搬送路上には、原稿を搬送するための搬送ローラやコロといった搬送部材が様々な箇所に設けられ、原稿は、これらの搬送ローラとコロとが互いに圧接することにより形成される搬送ニップに挿通され、搬送される。
【0007】
このような構成の原稿搬送装置では、装置内部に形成される原稿搬送路上で、原稿のジャムが発生し得る。特に、スイッチバック方式を採用して原稿の搬送方向を変更する原稿反転部を備えた原稿搬送装置は、原稿載置トレイ、原稿読取部、原稿反転部、及び原稿排出トレイを互いに繋ぐ原稿搬送路の構成が複雑であるとともに、搬送制御も複雑であるため、原稿のジャムが発生し易いことが懸念されている。
【0008】
そして、原稿のジャムが発生した場合には、ジャムを起こした原稿を取り除くジャム処理作業を行う必要がある。原稿搬送装置のジャム処理方法としては、外装カバーや搬送ガイドを開放することによって装置内部の原稿搬送路を露出させ、原稿を取り除く方法が一般的に採用されている。前述の特許文献1に記載された原稿搬送装置も、原稿搬送路を露出可能な外装カバー及び搬送ガイドを備えている。
【特許文献1】特開2003−206061号公報(第9頁、図2−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された原稿搬送装置は、原稿台(原稿載置トレイ)から読取ミラー(原稿読取部)まで延びる第1搬送路の上部を露出可能な外部カバー(外装カバー)と、第1反転路(原稿反転部)から第1搬送路まで延びる第3搬送路を露出可能な内部カバーと、第2反転路を露出可能な中央カバーとを備えることにより、複雑な原稿搬送路の様々な箇所で起こり得る原稿のジャムに対応することができる。ここで、このような外装カバーの内面や内部カバーなどに設けられた搬送ガイドが、好適な原稿搬送を実現するための原稿搬送路の構造上、外装カバーの内面や内部カバーなどから外側に向かって突出している場合がある。
【0010】
これにより、外装カバーや内部カバーを開閉する際、原稿搬送路を隔てて対向する他の搬送部材などに搬送ガイドが接触する恐れがある。したがって、ジャム処理作業を実行するのに必要な空間を確保できるまで、十分に外装カバーや内部カバーを開放することができないといった不具合が生じる可能性がある。或いは、外装カバーや内部カバーを閉鎖するとき、その周辺の他の部材に搬送ガイドが接触して邪魔になり、閉鎖することができなくなるといった不具合が生じる可能性もある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、原稿の表裏両面の画像データを読み取るべく原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更するとともに、複数の複雑な原稿搬送路を備える原稿搬送装置において、外装カバーなどの開閉時にその搬送ガイドが他の部材に接触するのを防止しながら、複雑に構成された原稿搬送路のできるだけ奥部まで露出可能であって、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置を提供することを目的とする。また、このような原稿搬送装置を搭載した使い勝手のよい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の原稿搬送装置は、原稿を原稿載置トレイから原稿読取部まで搬送する第1原稿搬送路と、原稿を原稿読取部から原稿排出トレイまで搬送する第2原稿搬送路と、原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿反転部と、原稿を第2原稿搬送路の途中から原稿反転部まで搬送する第3原稿搬送路と、第2原稿搬送路の途中に設けられ、原稿を原稿排出トレイ方向または第3原稿搬送路に振り分ける切替ガイドと、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を原稿読取部の上流側で再度第1原稿搬送路に送り込む第4原稿搬送路と、第3原稿搬送路の途中であって、第4原稿搬送路との分岐部より上流側で第3原稿搬送路から分岐して、切替ガイドの箇所の下流側で第2原稿搬送路に合流するとともに、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を第2原稿搬送路の原稿排出トレイ方向に搬送する第5原稿搬送路と、第1原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第1原稿搬送路を露出可能な外装カバーと、第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路の略全域を露出可能なガイドユニットと、このガイドユニットから少なくとも一部が外側に突出するように設けられ、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動することにより姿勢変更する可動ガイドと、この可動ガイドにガイドユニットの開閉時に係合して姿勢変更させ、可動ガイドのガイドユニットに対する突出位置を変更させる姿勢変更部材とを備えることとした。
【0013】
また、上記構成の原稿搬送装置において、前記姿勢変更部材は、原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動可能であるとともに、前記可動ガイドを姿勢変更させるべく姿勢変更部材を付勢する付勢手段を備えることとした。
【0014】
また、上記構成の原稿搬送装置において、前記姿勢変更部材は、前記ガイドユニットの閉鎖時、原稿搬送装置の固定フレーム部に当接することにより、前記可動ガイドとの係合が解除された状態でその位置を保持する当接部を備えることとした。
【0015】
また本発明では、上記原稿搬送装置を画像形成装置に搭載することとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、原稿搬送装置は、原稿を原稿載置トレイから原稿読取部まで搬送する第1原稿搬送路と、原稿を原稿読取部から原稿排出トレイまで搬送する第2原稿搬送路と、原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿反転部と、原稿を第2原稿搬送路の途中から原稿反転部まで搬送する第3原稿搬送路と、第2原稿搬送路の途中に設けられ、原稿を原稿排出トレイ方向または第3原稿搬送路に振り分ける切替ガイドと、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を原稿読取部の上流側で再度第1原稿搬送路に送り込む第4原稿搬送路と、第3原稿搬送路の途中であって、第4原稿搬送路との分岐部より上流側で第3原稿搬送路から分岐して、切替ガイドの箇所の下流側で第2原稿搬送路に合流するとともに、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を第2原稿搬送路の原稿排出トレイ方向に搬送する第5原稿搬送路と、第1原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第1原稿搬送路を露出可能な外装カバーと、第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路の略全域を露出可能なガイドユニットと、このガイドユニットから少なくとも一部が外側に突出するように設けられ、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動することにより姿勢変更する可動ガイドと、この可動ガイドにガイドユニットの開閉時に係合して姿勢変更させ、可動ガイドのガイドユニットに対する突出位置を変更させる姿勢変更部材とを備えることとしたので、可動ガイドを、好適な原稿搬送を実現するためにガイドユニットから外側に向かって突出するように設けた場合であっても、ガイドユニットの開閉時に可動ガイドが他の部材に接触するのを防止することができる。これにより、ジャム処理作業を実行するのに必要な空間を確保できるまで十分にガイドユニットを開放することができ、また可動ガイドが邪魔になりガイドユニットを閉鎖することができないといった不具合を防止することが可能ある。したがって、原稿の表裏両面の画像データを読み取るべく原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更するとともに、複数の複雑な原稿搬送路が形設された構成であっても、その奥部まで露出させることができ、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置を提供することができる。
【0017】
また、前記姿勢変更部材は、原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動可能であるとともに、前記可動ガイドを姿勢変更させるべく姿勢変更部材を付勢する付勢手段を備えることとしたので、付勢手段を利用して容易に、且つ自動的に可動ガイドを姿勢変更させることができる。これにより、ジャム処理作業を実行するのに必要な空間を十分に確保するに際し、可動ガイドがガイドユニットの開閉の邪魔にならないようにするために、手間が掛かるのを防止することが可能である。したがって、原稿のジャム処理作業を高効率に遂行することが可能な原稿搬送装置を提供することができる。
【0018】
また、前記姿勢変更部材は、前記ガイドユニットの閉鎖時、原稿搬送装置の固定フレーム部に当接することにより、前記可動ガイドとの係合が解除された状態でその位置を保持する当接部を備えることとしたので、可動ガイドの原稿搬送に係る姿勢変更の妨げとなるのを確実に防止することができる。これにより、可動ガイドを、通常の原稿搬送時には原稿の移動を妨げず、スムーズに搬送できるように自在に姿勢変更させることができ、ジャム処理時にはガイドユニットの開閉の邪魔にならないように強制的に姿勢変更させることが可能である。したがって、複数の複雑な原稿搬送路が形設された構成において、より一層好適な原稿搬送を実現しながら、原稿搬送路の奥部まで露出させることができ、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置を提供することができる。
【0019】
また本発明では、上記原稿搬送装置を画像形成装置に搭載することとしたので、ガイドユニットの開閉時に可動ガイドが他の部材に接触するのを防止しながら、複雑に構成された原稿搬送路のできるだけ奥部まで露出可能であって、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な使い勝手のよい画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図18に基づき説明する。
【0021】
最初に、本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。図中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には、給紙部である給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図1において給紙カセット3の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は、本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0023】
本体2の内部であって、給紙カセット3の左方には、第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は、給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部10まで搬送する。
【0024】
給紙カセット3の上方であって、第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部5が備えられている。手差し給紙部5には、給紙カセット3に入っていないサイズの用紙Pや、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
【0025】
手差し給紙部5の左方には、第2用紙搬送部6が備えられている。第2用紙搬送部6は、給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部5から第1用紙搬送部4まで略水平に延び、第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部6は、手差し給紙部5から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0026】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置20が、その下方には画像読取装置7が備えられている。ユーザーが原稿の複写を行う場合には、原稿搬送装置20に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿搬送装置20では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取装置7によってその画像データが読み取られる。
【0027】
原稿画像の読み取り、すなわち印刷の開始は、本体2の上部であって、画像読取装置7の正面側に備えられた操作パネル(図示せず)を用いて実行される。ユーザーは、この操作パネルから、使用する用紙サイズや拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などを入力して設定することが可能である。
【0028】
原稿の画像データの情報は、第2用紙搬送部6の上方であって、本体2の中央部に配置された露光装置8に送られる。露光装置8により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部9に向かって照射される。
【0029】
第1用紙搬送部4の上方であって、露光装置8の左方には、画像形成部9及び転写部10が備えられている。画像形成部9では、露光装置8によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは、露光装置8の上方に備えられたトナーコンテナ11から画像形成部9に補給される。画像形成部9で形成されたトナー像は、第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部10にて転写される。
【0030】
転写部10の上方には、定着装置12が備えられている。転写部10にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置12へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0031】
定着装置12の上方には、用紙案内装置13が備えられている。定着装置12から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、用紙案内装置13から画像形成装置1の胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
【0032】
用紙案内装置13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部15において、定着装置12から排出された用紙Pの搬送方向が変更される。そして、用紙Pは、用紙案内装置13を通過し、定着装置12の左方、及び転写部10の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て転写部10へと送られる。
【0033】
続いて、本体2の上面に搭載された原稿搬送装置20について、図2を用いてその構造の概略を説明する。図2は、原稿搬送装置の模型的垂直断面正面図である。図2中の実線矢印は、原稿の搬送経路及び搬送方向を示す。
【0034】
原稿搬送装置20は、図2に示すように、原稿載置トレイ21、リフト部材22、原稿送り部30、及び原稿排出トレイ23を備えている。
【0035】
原稿載置トレイ21は、原稿搬送装置20の上部に設けられている。原稿載置トレイ21には、原稿を上方から載置して、積み上げることができる。原稿載置トレイ21は、原稿搬送方向の上流から下流、すなわち図2において右方から左方に向かって下る傾斜をなす構成となっている。
【0036】
リフト部材22は、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流部に設けられている。リフト部材22は、原稿載置トレイ21の載置面に沿った形をなす板状部材で構成されている。そして、リフト部材22は、その上流部に設けられた原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向に略水平な支軸(図示せず)を中心とし、下流端を自由端として、原稿搬送方向に沿った垂直面内で回動可能にして設けられている。リフト部材22は、原稿供給時、図示しないモータにより前記支軸を中心として回転変位せしめられ、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿の下流端が、その上方に配置された原稿供給装置60に接触するように、上方に向かって付勢される。
【0037】
原稿送り部30は、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置60とを備えている。原稿供給装置60は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、最上層から1枚ずつ分離し、原稿供給口31を通して原稿送り部30の内部に向かって供給する。原稿供給口31の下流側には、原稿送り部30の内部に向かって第1原稿搬送路32が延びている。
【0038】
第1原稿搬送路32の先は、原稿搬送装置20の底面に到達し、この箇所に原稿読取部33が設けられている。また、第1原稿搬送路32に続いて、原稿読取部33の箇所から第2原稿搬送路34が延びている。原稿読取部33に送り込まれた原稿は、第1原稿搬送路32から第2原稿搬送路34へとさらに下流側へ、すなわち図2において原稿読取部33の箇所を左方から右方へと移動する最中に、その下方に設けられた本体2の画像読取装置7(図1参照)により、下側の面である第1面の画像データが読み取られる。
【0039】
第2原稿搬送路34の、原稿読取部33の下流には、原稿切替部35が設けられている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿切替部35に到達した原稿は、第2原稿搬送路34の上方へと振り分けられ、その原稿搬送方向下流側に続く原稿反転部36にて搬送方向が変更される。搬送方向が変更された原稿は、原稿切替部35の上側を経て、原稿読取部33の上流側の第1原稿搬送路32に送り込まれ、再度原稿読取部33で第2面の画像データが読み取られる。
【0040】
原稿切替部35の下流であって、第2原稿搬送路34の下流端には、原稿排出口37が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出口37から原稿排出トレイ23に排出される。
【0041】
原稿排出トレイ23は、原稿載置トレイ21の下方に備えられ、これらのトレイが上下二段にして構成されている。原稿排出トレイ23に排出された原稿は、原稿搬送装置20の手前側から取り出すことができる。
【0042】
原稿載置トレイ21と、原稿排出トレイ23とは、互いの原稿搬送方向を逆にして、すなわち図2において原稿載置トレイ21は原稿を左方に向かって送り出し、原稿排出トレイ23は原稿を右方に向かって排出する形にして構成されている。これにより、原稿供給口31と原稿排出口37とが、原稿読取部33が存在する方向に対して各トレイの同じ側、すなわち図2において左側に設けられている。そして、原稿供給口31から原稿読取部33の箇所を経て原稿排出口37まで延びる第1原稿搬送路32及び第2原稿搬送路34は、図2に示すように、上下方向にU字形状に、すなわち横方向から見てU字形状に湾曲した形で設けられている。
【0043】
上記構成により、原稿搬送装置20は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、一枚ずつ分離して原稿送り部30内に送り込み、原稿読取部33でその画像データを読み取った後、原稿排出トレイ23に排出する。
【0044】
次に、原稿搬送装置20の原稿送り部30の詳細な構成について、図2に加えて、図3を用いて説明する。図3は、原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図である。なお、図3において、実線矢印は原稿の搬送経路及び搬送方向を示す。
【0045】
原稿送り部30は、前述のように、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置60とを備えている(図3参照)。そして、第1原稿搬送路32が、図3に示すように、原稿供給口31の下流側に、下方に向かって延びている。
【0046】
原稿供給装置60は、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向略中央部の上方に設けられ、ピックアップローラ61、供給ベルト62、及び分離ローラ63を備えている。
【0047】
ピックアップローラ61は、原稿供給口31のすぐ下流側に備えられている。原稿供給時、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿の下流部がリフト部材22によって持ち上げられ、ピックアップローラ61には、原稿の下流端最上層が下方から接触する。この原稿の最上層は、ピックアップローラ61によって供給ベルト62へと引き渡され、供給ベルト62により原稿送り部30の内部へと搬送される。
【0048】
供給ベルト62は、ピックアップローラ61の下流側において、その表面下部が第1原稿搬送路32に突出するように配置されている。また、供給ベルト62は、原稿搬送方向に回転する、すなわち図3において原稿供給口31から左方に原稿を搬送できるように、2個のプーリに巻き掛けられている。そして、分離ローラ63が、供給ベルト62の下方に配置され、供給ベルト62に接触している。この供給ベルト62と分離ローラ63とが接触して形成される搬送ニップに原稿が挿通される。
【0049】
供給ベルト62と分離ローラ63とが接触して形成される搬送ニップに原稿が重なって複数枚進入したとき、重なった上側の原稿だけが供給ベルト62によって送り出される。分離ローラ63の作用により、重なった下側の原稿が送り出されることがないので、原稿が重なって送られてしまう重送という問題が起こるのを防止できる。
【0050】
第1原稿搬送路32上において、原稿供給装置60の箇所の下流には、搬送ローラ対38と、レジストローラ対39とが設けられている。レジストローラ対39は、互いに圧接し合うレジストローラ39aとコロ39bとで構成され、原稿読取部33へと向かう原稿に対して、正確な読み取りが実行できるよう、斜め送りを矯正し、好適なタイミングを計って送り出す。
【0051】
また、レジストローラ対39の箇所のすぐ上流側には、タイミングスイッチ40が備えられている。タイミングスイッチ40は、原稿後端の通過を検知する。このタイミングスイッチ40が得た原稿後端の通過時間情報は、原稿送り部30に設けられた各搬送ローラや駆動部の動作タイミングや動作時間の基準として用いられる。
【0052】
レジストローラ対39の箇所の下流には、原稿読取部33が設けられている。ここで、原稿供給口31から延びる第1原稿搬送路32は、原稿供給装置60、レジストローラ対39、及び原稿読取部33の箇所まで、正面から見て反時計方向に回転するように湾曲している。したがって、第1原稿搬送路32は、原稿読取部33の上流側で図3において左方及び下方に向かって延び、第1原稿搬送路32から続いて延びる第2原稿搬送路34は、原稿読取部33の下流側で右斜め上方に向かって、原稿排出口37及び原稿排出トレイ23まで延びている。
【0053】
原稿読取部33には、読取ガイド部材41が備えられている。読取ガイド部材41は、原稿読取部33の下方に設けられた本体2の画像読取装置7のコンタクトガラス7aに対向して配置されている。読取ガイド部材41は、原稿幅方向、すなわち原稿搬送装置20の前後方向に長く延び、原稿を案内する部分が下方に凸となる形状をなしている。そして、原稿搬送装置20の、画像読取装置7に対する閉鎖状態において、読取ガイド部材41は、その下方であって、コンタクトガラス7aとの間を搬送される原稿が、コンタクトガラス7aに接触するように案内している。
【0054】
原稿読取部33に送り込まれた原稿は、第1原稿搬送路32から第2原稿搬送路34へと、図3において読取ガイド部材41の下側の箇所を左方から右方へと移動する最中に、すなわちコンタクトガラス7a上を通過する際、コンタクトガラス7aの下方に配置された読取ユニット(図示せず)により画像データが読み取られる。
【0055】
第2原稿搬送路34の、原稿読取部33の下流には、原稿切替部35が設けられている。原稿切替部35には、略水平に原稿幅方向に延びる支軸(図示せず)を中心として、垂直面内で揺動可能な切替ガイド42が備えられている。切替ガイド42は、原稿搬送装置20の前後方向、すなわち原稿幅方向に長く延び、原稿搬送方向上流側の先端部の正面から見た垂直断面形状が、原稿を振り分け易いようにくさび形をなしている。また、切替ガイド42は、その背面側に配置された駆動装置であるソレノイド(図示せず)によって駆動せしめられ、原稿搬送方向上流側の先端部を上下に振るように姿勢変更する。
【0056】
原稿切替部35の下流側であって、第2原稿搬送路34の下流端には、原稿排出口37、及び原稿排出ローラ対43が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23(図2参照)に排出される。
【0057】
また、原稿切替部35の下流には、図3において略右方に延びる第2原稿搬送路34に対して右斜め上方に、第3原稿搬送路44が延びている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿切替部35の切替ガイド42を下方へと姿勢変更し(図4参照)、原稿読取部33で第1面の画像データが読み取られた原稿を、第2原稿搬送路34の途中から第3原稿搬送路44を経て、原稿反転部36へと送り込む。
【0058】
第3原稿搬送路44の、原稿切替部35の下流には、第1原稿分岐部45が設けられている。第1原稿分岐部45には、第1分岐ガイド46が備えられている。第1分岐ガイド46は、原稿搬送装置20の前後方向(原稿幅方向)に長く延び、第3原稿搬送路44の下流側先端部、すなわち上端部の正面から見た垂直断面形状がくさび形をなしている。また、第1分岐ガイド46は、その下部が原稿搬送装置20のフレームにバネ材(図示せず)で連結されて支持され、この支持部を中心として原稿搬送方向に沿う垂直面内で揺動可能である。この第1分岐ガイド46を支持するバネ材は、原稿の第1分岐ガイド46への当接によって湾曲する程度の弾発力を有している。これにより、第1分岐ガイド46は、原稿が第3原稿搬送路44を通過するとき、下流側先端部、すなわち上端部を図3において右方に振るように姿勢変更する。そして、原稿が第1分岐ガイド46の箇所を通過し終わったとき、或いは原稿が当接していないとき、第1分岐ガイド46は、上端部を左方に振り、図3に示す姿勢を保持する。
【0059】
第3原稿搬送路44の下流端であって、原稿反転部36との間には、第2原稿分岐部47が設けられている。第2原稿分岐部47には、可動ガイドである第2分岐ガイド48が備えられている。第2分岐ガイド48は、原稿搬送装置20の前後方向(原稿幅方向)に長く延び、第3原稿搬送路44の下流側先端部、すなわち図3における右端部の正面から見た垂直断面形状がくさび形をなしている。また、第2分岐ガイド48は、その左側部分に、略水平に原稿幅方向に延びる軸部(図示せず)を有し、この軸部を中心として原稿搬送方向に沿う垂直面内で揺動可能である。そして、第2分岐ガイド48は、第2分岐ガイド48右端部への原稿の当接により、前記軸部中心に揺動可能な程度の重さで形成されている。これにより、第2分岐ガイド48は、原稿が第3原稿搬送路44を通過するとき、下流側先端部、すなわち右端部を図3において上方に振るように姿勢変更する。そして、原稿が第2分岐ガイド48の箇所を通過し終わったとき、或いは原稿が当接していないとき、第2分岐ガイド48は、重力及び図示しないストッパの作用により、右端部を下方に振り、図3に示す姿勢を保持する。
【0060】
原稿反転部36は、第3原稿搬送路44の下流であって、第2原稿搬送路34下流部の上方に配置され、反転ローラ対49と、反転用トレイ50とを備えている。
【0061】
反転ローラ対49は、第3原稿搬送路44に対して原稿反転部36の最上流部に配置され、互いに当接し合って原稿を搬送するための搬送ニップを形成する反転ローラ49aと、従動コロ49bとで構成されている。反転ローラ49aは、図示しないモータにより、図3における時計方向及び反時計方向に回転せしめられる。従動コロ49bは、図示しないソレノイドの作用により、その下流側に配置された支軸49cを中心として垂直面内で揺動可能であって、下側に配置された反転ローラ49aとの接触/離間を選択できる。反転用トレイ50は、原稿載置トレイ21のすぐ下方に比較的狭い隙間を隔てて配置され、原稿載置トレイ21と同様に斜め上方に向かって延びている(図2参照)。
【0062】
原稿反転部36では、第3原稿搬送路44を通って図3において左方から右方へと搬送されてきた原稿の下流部分を反転用トレイ50へと一旦送り込み、その原稿の上流部分が反転ローラ対49の箇所に差し掛かったとき、反転ローラ49aと従動コロ49bとの搬送ニップに原稿を保持した状態で反転ローラ49aの回転を逆転させることにより、原稿の搬送方向を右方から左方へと変更する。
【0063】
図3において、原稿反転部36及び第2原稿分岐部47の左方であって、第3原稿搬送路44及び原稿読取部33の上方には、第4原稿搬送路51が設けられている。第4原稿搬送路51は、原稿反転部36及び第2原稿分岐部47の箇所から、図3において左方に向かって延び、その先で第1原稿搬送路32の、搬送ローラ対38の上流の箇所に合流している。これにより、第2原稿分岐部47を完全に通過して原稿反転部36で搬送方向が変更された原稿は、第4原稿搬送路51を通り、原稿読取部33の上流側で再度第1原稿搬送路32に送り込まれ、原稿読取部33に到達して、下側の面である第2面の画像データが読み取られる。
【0064】
一方、第3原稿搬送路44の途中であって、第4原稿搬送路51との分岐部である第2原稿分岐部47の上流側の第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐する形で、第5原稿搬送路52が設けられている。第5原稿搬送路52は、第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐して、切替ガイド42を有する原稿切替部35の下流側で第2原稿搬送路34に合流している。第5原稿搬送路52の途中には、搬送ローラ対53が備えられている。第5原稿搬送路52は、表裏両面の画像データの読取が完了した原稿を、再度原稿反転部36に送り込んでスイッチバックさせることによって、当初原稿載置トレイ21に積み上げられていた状態と表裏を合わせて原稿排出トレイ23に排出すべく、第2原稿搬送路34の原稿排出トレイ23方向に搬送する。
【0065】
続いて、原稿搬送装置20の原稿搬送動作について、図3に加えて、図4〜図11を用いて説明する。図4は図3と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿載置トレイから搬送した原稿が原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図5は図4と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第3原稿搬送路から原稿反転部に進入した状態を示すもの、図6は図5と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が完全に原稿反転部内に搬送された状態を示すもの、図7は図6と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部から搬送した原稿が第4原稿搬送路を経て第1原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図8は図7と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、第4原稿搬送路から搬送した原稿が再度原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図9は図8と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部に進入した原稿後端が第1原稿分岐部の箇所で停止した状態を示すもの、図10は図9と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第1原稿分岐部から第5原稿搬送路を経て排出される状態を示すもの、図11は図10と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、連続する2枚の原稿が第1及び第2原稿分岐部で交差する状態を示すものである。なお、図4〜図11では、原稿Dを太い実線で描画している。
【0066】
表裏一方の画像データのみの読み取りを行う原稿を用いる場合、原稿搬送装置20は図3に示す形態となる。すなわち、図示しないソレノイドを作動させ、原稿切替部35の切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を上方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させる。これにより、原稿読取部33の箇所を通過して第2原稿搬送路34に進入した原稿は、第3原稿搬送路44及び原稿反転部36の方に送り出されることはなく、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23に排出される。
【0067】
ここで、両面印刷を行う場合、原稿の表裏両面の画像データを読み取る必要がある。このとき、図4に示すように、原稿切替部35では、切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を下方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させる。その結果、原稿読取部33の箇所を通過して第1面の画像データが読み取られた原稿Dは、第2原稿搬送路34の途中から第3原稿搬送路44に進入し、原稿反転部36に向かって搬送される。
【0068】
第3原稿搬送路44に進入した原稿Dは、図5に示すように、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所を通過する。原稿Dは、第1原稿分岐部45の箇所を通過するとき、第1分岐ガイド46に当接することにより、第1分岐ガイド46を支持するバネ材の弾発力に抗して、図5における右方に上端部を振るように第1分岐ガイド46を姿勢変更させる。また、原稿Dは、第2原稿分岐部47の箇所を通過するとき、第2分岐ガイド48に当接することにより、重力の作用に抗して、上方に図5における右端部を振るように第2分岐ガイド48を姿勢変更させる。
【0069】
原稿Dは、第2原稿分岐部47を通過すると、原稿反転部36に進入する。原稿Dの上流部は、反転ローラ対49の箇所を経て、反転用トレイ50上に搬送される。
【0070】
なお、図5に示すように、原稿反転部36に進入する原稿Dの先端が反転ローラ対49の箇所に差し掛かるとき、従動コロ49bは、反転ローラ49aに対して離間している。引き続き、原稿Dの先端が従動コロ49bの箇所を通過すると、図6に示すように、従動コロ49bは、反転ローラ49aと当接して搬送ニップを形成する。したがって、反転ローラ対49を使用して、原稿反転部36に進入した原稿Dを搬送したり、スイッチバックさせて搬送方向の変更を実行したりすることができる。
【0071】
そして、図6に示すように、原稿反転部36への原稿Dの搬送が完了すると、原稿D後端が反転ローラ対49の搬送ニップを通過する前に、その搬送ニップに原稿Dの上流部を挟んだ状態で反転ローラ49aを逆転させ、原稿Dをスイッチバックさせる。なお、この原稿Dのスイッチバックのタイミングは、レジストローラ対39の箇所のすぐ上流側に設けられたタイミングスイッチ40が得た原稿D後端の通過時間情報を基準として計られている。
【0072】
原稿反転部36でスイッチバックされ、方向転換された原稿Dの先端は、続いて第2原稿分岐部47に到達する。これより前、第3原稿搬送路44から原稿反転部36に原稿Dが移動するとき、原稿D後端が第2原稿分岐部47の箇所を完全に通過すると、第2分岐ガイド48は、重力及び図示しないストッパの作用により、右端部を下方に振り、図7に示す状態に姿勢変更して第3原稿搬送路44を閉塞している。したがって、原稿反転部36でスイッチバックされ、方向転換された原稿Dは、第3原稿搬送路44に進入することなく、第4原稿搬送路51に進入する。
【0073】
続いて、原稿Dは、図7に示すように、搬送ローラ対38の上流で第4原稿搬送路51から再度第1原稿搬送路32に送り込まれる。そして、原稿D先端が搬送ローラ対38の搬送ニップに挿通されると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが、反転ローラ49aに対して離間する。
【0074】
第4原稿搬送路51から第1原稿搬送路32に搬送された原稿Dが、図8に示すように再度原稿読取部33の箇所を通過するとき、第2面の画像データの読み取りが実行される。このとき、原稿切替部35では、切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を下方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させたままである。したがって、第2面の画像データが読み取られた原稿Dは、第2原稿搬送路34の途中から再度第3原稿搬送路44に進入し、原稿反転部36に向かって搬送される。
【0075】
再度第3原稿搬送路44に進入した原稿Dは、第1原稿分岐部45の箇所を通過する。原稿D先端が第2原稿分岐部47の箇所を通過して原稿反転部36に進入すると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが反転ローラ49aに当接して搬送ニップを形成する。そして、タイミングスイッチ40から得た時間情報に基づき、図9に示すように、原稿D後端が第2原稿分岐部47の箇所を通過する前に、原稿Dの搬送を停止させる。このとき、第1原稿分岐部45では、原稿D後端が第1分岐ガイド46の箇所を通過し終わっているので、第1分岐ガイド46が、バネ材の作用によって上端部を左方に振り、図9に示す姿勢を保持している。
【0076】
この後、原稿反転部36の反転ローラ対49を逆転すると、原稿Dは、スイッチバックされ、図10に示すように、第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐して、第5原稿搬送路52に進入する。そして、原稿Dは、第2原稿搬送路34の下流部を経て、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23(図2参照)に排出される。
【0077】
なお、第5原稿搬送路52に進入した原稿Dの先端が、第5原稿搬送路52途中の搬送ローラ対53の搬送ニップに挿通されると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが、反転ローラ49aに対して離間する。
【0078】
これに関連して、連続して複数枚の原稿Dの、表裏両面の画像データを読み取るとき、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所では、図11に示す状態になることがある。図11では、第2面の画像データの読み取りが済んだ前の原稿D1の先端が第5原稿搬送路52途中の搬送ローラ対53の搬送ニップに挿通され、原稿反転部36の従動コロ49b及び反転ローラ49aが離間している。これと同時に、原稿読取部33における第1面或いは第2面の読み取りが途中の状態にある次の原稿D2が、第3原稿搬送路44を経て、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所に進入している。第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所では、下側を通過する前の原稿D1と上側を通過する次の原稿D2とが擦れ合うように交差している。これにより、原稿搬送の時間短縮を図ることができる。
【0079】
また、連続して複数枚の原稿Dの、表裏両面の画像データを読み取るとき、原稿切替部35の切替ガイド42は、最初の原稿Dの画像データ読取開始時、図4に示すように、第2原稿搬送路34に進入する原稿を第3原稿搬送路44に送り込むように姿勢変更する。そして、切替ガイド42は、最終の原稿Dの排出終了後、図3に示すように、第2原稿搬送路34に進入する原稿を原稿排出トレイ23方向に搬送するように姿勢変更する。
【0080】
次に、このような原稿搬送動作を行う原稿搬送装置20において、原稿のジャムが発生した場合の対処方法について、図12〜図14を用いて説明する。図12は図3と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、外装カバーを開放した状態を示すもの、図13は図12と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、外装カバー及びガイドユニットを開放した状態を示すもの、図14は外装カバー及びガイドユニットを開放した状態の原稿送り部を示す部分外観斜視図である。
【0081】
原稿送り部30は、図12〜図14に示すように、その上側に、外装カバー24を備えている。外装カバー24には、第1原稿搬送路32の上側の搬送ガイド、ピックアップローラ61、供給ベルト62、及び搬送ローラ対38の搬送コロ38bが設けられている。
【0082】
そして、外装カバー24は、レジストローラ対39の近傍に原稿幅方向に略水平にして設けられた軸部24aを備え、この軸部24aを中心として、原稿搬送方向に延びる垂直面内で回動可能であって、原稿送り部30に対して開閉することができる。したがって、図12に示すように外装カバー24を開放すると、原稿供給装置60の供給ベルト62及び分離ローラ63と、搬送ローラ対38の搬送ローラ38a及び搬送コロ38bとが各々互いに離間し、第1原稿搬送路32を露出させることができる。
【0083】
上記のように外装カバー24は、第1原稿搬送路32の、レジストローラ対39の箇所より上流側であって、その大半を露出可能である。これにより、原稿供給装置60の箇所や、第1原稿搬送路32と第4原稿搬送路51との合流部などにおいて原稿のジャムが発生した場合、外装カバー24を開放することで、これらの箇所に滞留する原稿を容易に確認でき、手で触れ、取り除くことが可能であって、簡単にジャム処理作業を遂行することができる。
【0084】
また、原稿送り部30は、図12〜図14に示すように、第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51の近辺に、ガイドユニット70を備えている。ガイドユニット70は、原稿搬送装置20の前後方向(原稿幅方向)に長く延び、第3原稿搬送路44の上側搬送ガイドの一部及び第4原稿搬送路51の下側搬送ガイドの一部を構成する下ガイドブロック71と、第4原稿搬送路51の上側搬送ガイドの一部及び第1原稿搬送路32の下側搬送ガイドの一部を構成する上ガイドブロック72と、可動ガイドである第2分岐ガイド48が設けられている(図13参照)。
【0085】
下ガイドブロック71は、切替ガイド42の上部の箇所から第1分岐ガイド46の上部の箇所までにおいて第3原稿搬送路44の上側搬送ガイドを構成し、第2分岐ガイド48の下流から第1原稿搬送路32との合流部までにおいて第4原稿搬送路51の下側搬送ガイドを構成している。上ガイドブロック72は、第2分岐ガイド48の中間箇所から第1原稿搬送路32との合流部までにおいて第4原稿搬送路51の上側搬送ガイドを構成し、分離ローラ63の下流から第4原稿搬送路51との合流部までにおいて第1原稿搬送路32の下側搬送ガイドを構成している。
【0086】
なお、ガイドユニット70に対して、下ガイドブロック71及び上ガイドブロック72は固定され、第2分岐ガイド48は図12においてその左側部分に設けられた原稿幅方向に延びる軸部(図示せず)を介して支持され、この軸部を中心として原稿搬送方向に沿う垂直面内で揺動可能である。また、第2分岐ガイド48は、図12におけるその右端部が、ガイドユニット70から外側に向かって突出している。
【0087】
そして、ガイドユニット70は、搬送ローラ対38の搬送ローラ38aの軸部と共通の、原稿幅方向に略水平にして設けられた軸部を備え、この軸部を中心として、原稿搬送方向に延びる垂直面内で回動可能であって、原稿送り部30に対して開閉することができる。したがって、図13及び図14に示すようにガイドユニット70を開放すると、第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51の略全域を露出させることができる。
【0088】
上記のようにガイドユニット70は、第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51の略全域を露出可能であって、原稿のジャムが発生し易いと考えられる切替ガイド42、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所を上方から見ることができる。したがって、これらの切替部、分岐部などにおいて原稿のジャムが発生した場合、ガイドユニット70を開放することで、滞留する原稿を容易に確認でき、手で触れ、取り除くことが可能であって、簡単にジャム処理作業を遂行することができる。
【0089】
なお、外装カバー24及びガイドユニット70は、各々が個別に有する軸部を中心として、双方が同じ方向、すなわち図13に示すように正面から見て反時計方向に回動して開閉可能である。
【0090】
続いて、ガイドユニット70の詳細な構成と、その開閉動作について、図15〜図18を用いて説明する。図15は原稿送り部のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図、図16は図15と同様の原稿送り部のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、外装カバーを全開し、ガイドユニットをやや開放した状態を示すもの、図17は図16と同様の原稿送り部のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、ガイドユニットを図16の状態からさらに開放した状態を示すもの、図18は図17と同様の原稿送り部のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、ガイドユニットを図17の状態からさらに開放した状態を示すものである。
【0091】
ガイドユニット70は、下ガイドブロック71、上ガイドブロック72、及び可動ガイドである第2分岐ガイド48のほかに、図15に示すように、姿勢変更部材73と、付勢手段であるばね74とを備えている。
【0092】
姿勢変更部材73は、原稿幅方向に長く延びるガイドユニット70の、正面側或いは背面側の一方、若しくはそれら両側の箇所に配置されている。さらに、姿勢変更部材73は、第2分岐ガイド48の箇所より、ガイドユニット70と軸部を共通する搬送ローラ38aに近い箇所に配置されている。そして、姿勢変更部材73は、垂直且つ原稿搬送方向に延びるプレート状の部材として構成されるとともに、下ガイドブロック71に対応する箇所に、略水平に原稿幅方向に延びる軸部73aを介して支持され、この軸部73aを中心として原稿搬送方向に沿う垂直面内で揺動可能である。
【0093】
また、姿勢変更部材73は、正面から見て、L字形のクランクのような形状をなし、軸部73aの箇所からやや下方に向かって延びる部分の先端に当接部73bを、軸部73aの箇所から第2分岐ガイド48の方向に向かって延びる部分の先端に係合部73cを備えている。当接部73bは、姿勢変更部材73が正面から見て時計方向に回転するとき、原稿送り部30の内部フレーム30aと当接する。係合部73cは、姿勢変更部材73が正面から見て時計方向に回転するとき、第2分岐ガイド48の原稿幅方向の端部に外側に向かって突出するように設けられた突起部48aと係合する。
【0094】
ばね74は、圧縮ばねで構成され、一端が下ガイドブロック71に、他端が姿勢変更部材73に当接するように、これらの部材の間に配置されている。また、ばね74は、姿勢変更部材73の軸部73aの箇所より当接部73bに近い箇所に配置されている。そして、ガイドユニット70に対して、下ガイドブロック71は固定され、姿勢変更部材73は揺動可能に支持されているので、ばね74が、正面から見て時計方向に姿勢変更部材73が回転するように、姿勢変更部材73を付勢している。
【0095】
ここで、図15に示すように、通常の原稿搬送状態にあるときなど、ガイドユニット70が閉鎖状態である場合、姿勢変更部材73は、当接部73bが内部フレーム30aに当接し、ばね74の弾発力に抗して正面から見て反時計方向に回転せしめられている。また、姿勢変更部材73の係合部73cは、第2分岐ガイド48に設けられた突起部48aとの係合が解除されている。
【0096】
続いて、図16に示すように、外装カバー24を開放し、ガイドユニット70を開放方向にやや持ち上げると、姿勢変更部材73の、当接部73bと内部フレーム30aとの当接が解除される。これにより、ばね74の弾発力の作用で、姿勢変更部材73は、正面から見て時計方向に付勢され、回転せしめられる。その結果、姿勢変更部材73の係合部73cが、第2分岐ガイド48の突起部48aと係合する。そして、姿勢変更部材73は、第2分岐ガイド48を正面から見て時計方向に回転させ、姿勢変更させる。このようにして、ばね74が可動ガイドである第2分岐ガイド48を姿勢変更させるべく姿勢変更部材73を付勢して、姿勢変更部材73は、第2分岐ガイド48の、ガイドユニット70に対する突出箇所である、図16における右端部の位置を変更させる。
【0097】
引き続き、図17に示すように、ガイドユニット70を開放方向に持ち上げると、第2分岐ガイド48の、図17における右端部が、第2原稿分岐部47の上方の搬送ガイドに接近する。しかしながら、第2分岐ガイド48は、すでに、その突出箇所である図17における右端部が、姿勢変更部材73によって位置変更されているので、第2原稿分岐部47の上方の搬送ガイドに接触することはない。
【0098】
したがって、図18に示すように、ガイドユニット70は、その開放途中で他の部材に衝突することなく開放することができる。同様に、ガイドユニット70を閉鎖するときにも、その閉鎖途中で他の部材に衝突することはない。
【0099】
なお、ガイドユニット70の閉鎖の最終段階では、図15に示すように、ばね74の弾発力に抗して、姿勢変更部材73の当接部73bが内部フレーム30aに当接し、係合部73cと第2分岐ガイド48との係合が解除された状態で姿勢変更部材73の位置が保持される。これにより、原稿搬送の際、姿勢変更部材73が、原稿の当接によって揺動する第2分岐ガイド48の姿勢変更を邪魔することはない。
【0100】
上記のように、原稿搬送装置20は、原稿を原稿載置トレイ21から原稿読取部33まで搬送する第1原稿搬送路32と、原稿を原稿読取部33から原稿排出トレイ23まで搬送する第2原稿搬送路34と、原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿反転部36と、原稿を第2原稿搬送路34の途中から原稿反転部36まで搬送する第3原稿搬送路44と、第2原稿搬送路34の途中に設けられ、原稿を原稿排出トレイ23方向または第3原稿搬送路44に振り分ける切替ガイド42と、原稿反転部36でスイッチバックさせた原稿を原稿読取部33の上流側で再度第1原稿搬送路32に送り込む第4原稿搬送路51と、第3原稿搬送路44の途中であって、第4原稿搬送路との分岐部である第2原稿分岐部47より上流側の第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44からから分岐して、切替ガイド42の箇所の下流側で第2原稿搬送路34に合流するとともに、原稿反転部36でスイッチバックさせた原稿を第2原稿搬送路34の原稿排出トレイ23方向に搬送する第5原稿搬送路52と、第1原稿搬送路32を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第1原稿搬送路32を露出可能な外装カバー24と、第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第3原稿搬送路44及び第4原稿搬送路51の略全域を露出可能なガイドユニット70と、このガイドユニット70から少なくとも一部が外側に突出するように設けられ、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動することにより姿勢変更する可動ガイドである第2分岐ガイド48と、この第2分岐ガイド48にガイドユニット70の開閉時に係合して姿勢変更させ、第2分岐ガイド48のガイドユニット70に対する突出位置を変更させる姿勢変更部材73とを備えているので、第2分岐ガイド48を、好適な原稿搬送を実現するためにガイドユニット70から外側に向かって突出するように設けた場合であっても、ガイドユニット70の開閉時に第2分岐ガイド48が他の部材に接触するのを防止することができる。これにより、ジャム処理作業を実行するのに必要な空間を確保できるまで十分にガイドユニット70を開放することができ、また第2分岐ガイド48が邪魔になりガイドユニット70を閉鎖することができないといった不具合を防止することが可能ある。したがって、原稿の表裏両面の画像データを読み取るべく原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更するとともに、複数の複雑な原稿搬送路が形設された構成であっても、その奥部まで露出させることができ、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置20を提供することができる。
【0101】
また、姿勢変更部材73は、原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動可能であるとともに、第2分岐ガイド48を姿勢変更させるべく姿勢変更部材73を付勢する付勢手段であるばね74を備えているので、ばね74を利用して容易に、且つ自動的に第2分岐ガイド48を姿勢変更させることができる。これにより、ジャム処理作業を実行するのに必要な空間を十分に確保するに際し、第2分岐ガイド48がガイドユニット70の開閉の邪魔にならないようにするために、手間が掛かるのを防止することが可能である。したがって、原稿のジャム処理作業を高効率に遂行することが可能な原稿搬送装置20を提供することができる。
【0102】
そして、姿勢変更部材73は、ガイドユニット70の閉鎖時、原稿搬送装置20の固定フレーム部である内部フレーム30aに当接することにより、第2分岐ガイド48との係合が解除された状態でその位置を保持する当接部73bを備えているので、第2分岐ガイド48の原稿搬送に係る姿勢変更の妨げとなるのを確実に防止することができる。これにより、第2分岐ガイド48を、通常の原稿搬送時には原稿の移動を妨げず、スムーズに搬送できるように自在に姿勢変更させることができ、ジャム処理時にはガイドユニット70の開閉の邪魔にならないように強制的に姿勢変更させることが可能である。したがって、複数の複雑な原稿搬送路が形設された構成において、より一層好適な原稿搬送を実現しながら、原稿搬送路の奥部まで露出させることができ、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な原稿搬送装置20を提供することができる。
【0103】
また本発明では、上記原稿搬送装置20を画像形成装置1に搭載したので、ガイドユニット70の開閉時に第2分岐ガイド48が他の部材に接触するのを防止しながら、複雑に構成された原稿搬送路のできるだけ奥部まで露出可能であって、原稿のジャム処理作業を効率よく遂行することが可能な使い勝手のよい画像形成装置1を得ることができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0105】
例えば、原稿搬送装置20を搭載した画像形成装置1は、上記実施形態ではブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリーラック方式のカラー印刷用画像形成装置であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、原稿の表裏両面の画像データを読み取るべく原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿搬送装置において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の原稿搬送装置の模型的垂直断面正面図である。
【図3】図2の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図である。
【図4】図3と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿載置トレイの原稿が原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すものである。
【図5】図4と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第3原稿搬送路から原稿反転部に進入した状態を示すものである。
【図6】図5と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が完全に原稿反転部内に搬送された状態を示すものである。
【図7】図6と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部の原稿が第4原稿搬送路を経て第1原稿搬送路に進入した状態を示すものである。
【図8】図7と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が再度原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すものである。
【図9】図8と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部に進入した原稿後端が第1原稿分岐部の箇所で停止した状態を示すものである。
【図10】図9と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第1原稿分岐部から第5原稿搬送路を経て排出される状態を示すものである。
【図11】図10と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、連続する2枚の原稿が第1及び第2原稿分岐部で交差する状態を示すものである。
【図12】図3と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、外装カバーを開放した状態を示すものである。
【図13】図12と同様の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、外装カバー及びガイドユニットを開放した状態を示すものである。
【図14】外装カバー及びガイドユニットを開放した状態の原稿送り部を示す部分外観斜視図である。
【図15】原稿送り部のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図である。
【図16】図15と同様のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、外装カバーを全開し、ガイドユニットをやや開放した状態を示すものである。
【図17】図16と同様のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、ガイドユニットを図16の状態からさらに開放した状態を示すものである。
【図18】図17と同様のガイドユニット周辺を示す垂直断面部分拡大正面図にして、ガイドユニットを図17の状態からさらに開放した状態を示すものである。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成装置
2 本体
7 画像読取装置
20 原稿搬送装置
21 原稿載置トレイ
23 原稿排出トレイ
24 外装カバー
30 原稿送り部
30a 内部フレーム(固定フレーム部)
32 第1原稿搬送路
33 原稿読取部
34 第2原稿搬送路
35 原稿分岐部
36 原稿反転部
42 切替ガイド
44 第3原稿搬送路
45 第1原稿分岐部
46 第1分岐ガイド
47 第2原稿分岐部
48 第2分岐ガイド(可動ガイド)
49 反転ローラ対
49a 反転ローラ
49b 従動コロ
50 反転用トレイ
51 第4原稿搬送路
52 第5原稿搬送路
53 搬送ローラ対
70 ガイドユニット
73 姿勢変更部材
74 ばね(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を原稿載置トレイから原稿読取部まで搬送する第1原稿搬送路と、原稿を原稿読取部から原稿排出トレイまで搬送する第2原稿搬送路と、原稿をスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿反転部と、原稿を第2原稿搬送路の途中から原稿反転部まで搬送する第3原稿搬送路と、第2原稿搬送路の途中に設けられ、原稿を原稿排出トレイ方向または第3原稿搬送路に振り分ける切替ガイドと、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を原稿読取部の上流側で再度第1原稿搬送路に送り込む第4原稿搬送路と、第3原稿搬送路の途中であって、第4原稿搬送路との分岐部より上流側で第3原稿搬送路から分岐して、切替ガイドの箇所の下流側で第2原稿搬送路に合流するとともに、原稿反転部でスイッチバックさせた原稿を第2原稿搬送路の原稿排出トレイ方向に搬送する第5原稿搬送路と、第1原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第1原稿搬送路を露出可能な外装カバーと、第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路を構成する搬送ガイドを有し、開放することによって第3原稿搬送路及び第4原稿搬送路の略全域を露出可能なガイドユニットと、このガイドユニットから少なくとも一部が外側に突出するように設けられ、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動することにより姿勢変更する可動ガイドと、この可動ガイドにガイドユニットの開閉時に係合して姿勢変更させ、可動ガイドのガイドユニットに対する突出位置を変更させる姿勢変更部材とを備えることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記姿勢変更部材は、原稿幅方向に延びる軸部を中心として揺動可能であるとともに、前記可動ガイドを姿勢変更させるべく姿勢変更部材を付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記姿勢変更部材は、前記ガイドユニットの閉鎖時、原稿搬送装置の固定フレーム部に当接することにより、前記可動ガイドとの係合が解除された状態でその位置を保持する当接部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の原稿搬送装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−232194(P2009−232194A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75517(P2008−75517)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】