説明

原稿送り装置および画像形成装置

【課題】従動ローラおよび駆動ローラが離間する場合において、スイッチバック時に原稿の斜め送りが発生するのを抑制する原稿送り装置を提供する。
【解決手段】原稿送り装置30は、原稿Gを読取位置P1へ搬送するための搬送路33aと、読取位置P1に搬送された原稿Gを排出トレイ32へ搬送するための搬送路33bと、読取位置P1を通過した原稿Gを搬送路33aへと戻すための搬送路33cと、駆動ローラ37aおよび従動ローラ37bを含む搬送ローラ37と、腰付部材38とを備える。従動ローラ37bは、駆動ローラ37aと接触する接触位置と、駆動ローラ37aと離間する離間位置との間を移動する。腰付部材38は、従動ローラ37bと連動しており、従動ローラ37bが離間位置に位置する場合に搬送路33b内に突出し、従動ローラ37bが接触位置に位置する場合に搬送路33bから退避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰付部材を備える原稿送り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排出トレイ上に排出される原稿が自重により曲がるのを抑制するための腰付部材を備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、記録材を搬送して排紙部へ排紙する排紙ローラと、排紙ローラの正転時に搬送中の記録材への腰付けを行い、排紙ローラの逆転時に記録材から離間して腰付けを解除する腰付け機構とを備えた画像形成装置が開示されている。腰付け機構は、リブにより規制される回動範囲内において、排紙ローラと連れ回るように構成されている。
【0004】
この画像形成装置では、記録材の表面に画像が形成される。そして、排紙ローラが正転することにより、表面に画像が形成された記録材が腰付け機構により腰付けされながら排紙部上へ搬送される。その後、排紙ローラが逆転することにより、記録材が腰付け機構による腰付けが解除された状態で再び画像形成装置の内部へ搬送される。すなわち、排紙ローラにより、表面に画像が形成された記録材がスイッチバックされる。そして、記録材の裏面に画像が形成される。その後、排紙ローラが正転することにより、両面に画像が形成された記録材が腰付け機構により腰付けされながら排紙部上へ搬送される。これにより、両面に画像が形成された記録材が排紙部に排紙される。
【0005】
ここで、スイッチバック機構を備えた原稿送り装置では、小型化が求められている。そこで、スイッチバック時に循環する原稿の一方端部(先端部)および他方端部(後端部)が一時的に重なるように構成された原稿送り装置が提案されている。この原稿送り装置では、原稿が重なる領域に配置される搬送ローラ(排出ローラ)は、原稿の一方端部の搬送方向と他方端部の搬送方向とが異なることから、少なくとも原稿の一方端部および他方端部が重なるときに、搬送ローラの従動ローラおよび駆動ローラを離間するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−103869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そして、上記の提案された原稿送り装置に腰付部材を設けた場合には、スイッチバック時に搬送ローラ(排出ローラ)により搬送される原稿に対して腰付けが行われることにより、スイッチバック時の搬送抵抗が増大するので、原稿の斜め送りが発生するという問題点がある。
【0008】
なお、上記特許文献1には、本願発明の前提である従動ローラおよび駆動ローラが離間する構成については開示も示唆もされていない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、従動ローラおよび駆動ローラが離間する場合において、スイッチバック時に原稿の斜め送りが発生するのを抑制する原稿送り装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る原稿送り装置は、原稿を読取位置へ搬送するための第1搬送路と、前記読取位置に搬送された原稿を排出トレイへ搬送するための第2搬送路と、前記第1搬送路および前記第2搬送路の間に設けられ、前記読取位置を通過した原稿を前記第1搬送路へと戻すための第3搬送路と、前記第2搬送路に設けられ、駆動ローラおよび従動ローラを含む第1搬送ローラと、前記第2搬送路から前記排出トレイへ排出される原稿に対して腰付けを行う腰付部材とを備え、前記第1搬送ローラは、前記駆動ローラおよび前記従動ローラが原稿を挟持する状態において、前記駆動ローラを正転させることにより、前記読取位置を通過した原稿を前記排出トレイへ搬送し、前記駆動ローラを逆転させることにより、前記読取位置を通過した原稿を前記第3搬送路を介して前記第1搬送路へ搬送する構成とされている原稿送り装置であって、前記駆動ローラおよび前記従動ローラのいずれか一方のローラは、前記駆動ローラおよび前記従動ローラの他方のローラと接触する接触位置と、前記他方のローラと離間する離間位置との間を移動する構成とされ、前記腰付部材は、前記一方のローラと連動しており、前記一方のローラが前記離間位置に位置する場合に前記第2搬送路内に突出し、前記一方のローラが前記接触位置に位置する場合に前記第2搬送路から退避する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
この構成によって、原稿を表裏反転させた状態で第3搬送路を介して第1搬送路へ搬送(スイッチバック)する場合には、一方のローラが接触位置に位置することにより、腰付部材が第2搬送路から退避しているので、スイッチバック時には腰付部材による腰付けが行われない。これにより、スイッチバック時の搬送抵抗が増大するのを防ぐことができるので、スイッチバック時に原稿の斜め送りが発生するのを抑制することができる。また、第1搬送ローラ以外の搬送ローラにより原稿が搬送される場合には、一方のローラを離間位置に位置させることにより、腰付部材が第2搬送路内に突出しているので、原稿に対して腰付けを行うことができる。
【0012】
本発明に係る原稿送り装置では、前記一方のローラは、前記従動ローラであり、前記他方のローラは、前記駆動ローラであることを特徴とする。
【0013】
この構成により、従動ローラが接触位置と離間位置との間で移動することにより、駆動ローラを接触位置と離間位置との間で移動させる場合に比べて、モータの駆動力を伝達するギヤなどの構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る原稿送り装置では、前記従動ローラを保持する保持部材と、前記保持部材が取り付けられた回動軸とを備え、前記従動ローラは、前記回動軸が基準位置から回動した場合に、前記離間位置から前記接触位置に移動する構成とされていることを特徴とする。
【0015】
この構成により、従動ローラを離間位置から接触位置に移動させることが容易にできる。
【0016】
本発明に係る原稿送り装置では、前記保持部材は、前記回動軸の回動に伴って回動し、前記回動軸に対して予め設定された角度範囲で揺動する構成とされていることを特徴とする。
【0017】
この構成により、駆動ローラおよび従動ローラは、従動ローラが揺動可能な状態で原稿を挟持することができる。
【0018】
本発明に係る原稿送り装置では、前記腰付部材を付勢する付勢部材と、前記回動軸に取り付けられた係合部とを備え、前記腰付部材は、回動部と前記回動部の回動中心である軸部とを含み、前記軸部は、前記回動部の一方端部と前記回動部の他方端部との間に設けられ、前記付勢部材は、前記回動部の一方端部を付勢して前記第2搬送路内に突出させる構成とされ、前記係合部は、前記回動部の他方端部と係合する構成とされ、前記腰付部材は、前記回動軸が基準位置から回動した場合に、前記係合部が前記回動部の他方端部と係合することにより、前記回動部の一方端部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2搬送路から退避する構成とされていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、従動ローラの離間位置から接触位置への移動に連動して、腰付部材を第2搬送路から退避させることが容易にできる。
【0020】
本発明に係る原稿送り装置では、前記第2搬送路に設けられ、前記読取位置を通過した原稿を前記第1搬送ローラへ搬送する第2搬送ローラを備え、前記第1搬送ローラは、前記第2搬送ローラにより原稿が搬送されている場合に、前記一方のローラを前記離間位置に配置し、前記第2搬送ローラにより搬送される原稿が前記第2搬送ローラから抜ける際に、前記一方のローラを前記離間位置から前記接触位置に移動させる構成とされていることを特徴とする。
【0021】
この構成により、第2搬送ローラにより原稿が搬送される場合には、一方のローラが離間位置に位置することにより、腰付部材が第2搬送路内に突出しているので、原稿に対して腰付けを行うことができる。また、第2搬送ローラにより搬送される原稿が第2搬送ローラから抜ける際に、一方のローラが離間位置から接触位置に移動することにより、駆動ローラおよび従動ローラが原稿を挟持することができる。その後、第1搬送ローラにより原稿のスイッチバック、または原稿の排出を行うことができる。
【0022】
本発明に係る原稿送り装置では、前記第1搬送路に設けられた第3搬送ローラを備え、前記第1搬送ローラは、前記第3搬送路を介して前記第1搬送路へ搬送される原稿が前記第3搬送ローラに渡された場合に、前記一方のローラを前記接触位置から前記離間位置に移動させる構成とされていることを特徴とする。
【0023】
この構成により、第3搬送ローラにより原稿を読取位置に搬送することができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、上記のいずれか一つに記載の原稿送り装置と、前記原稿送り装置により送られる原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像データに基づいて画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によって、スイッチバック時に原稿の斜め送りが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る原稿送り装置および画像形成装置によれば、従動ローラおよび駆動ローラが離間する場合において、スイッチバック時に原稿の斜め送りが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る原稿送り装置を備える画像形成装置の概略を示した正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の画像読取装置の概略を示した正面図である。
【図3】図2に示した画像読取装置の原稿送り装置の従動ローラおよび腰付部材を示した斜視図である。
【図4A】図3に示した原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラに対して離間した状態を示した正面図である。
【図4B】図3に示した原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラに対して離間した状態の概略を示した側面図である。
【図5A】図3に示した原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラと接触した状態を示した正面図である。
【図5B】図3に示した原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラと接触した状態の概略を示した側面図である。
【図6A】図3に示した原稿送り装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6B】図3に示した原稿送り装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6C】図3に示した原稿送り装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6D】図3に示した原稿送り装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6E】図3に示した原稿送り装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7A】図3に示した原稿送り装置の搬送路に原稿が取り込まれた状態を示した正面図である。
【図7B】図3に示した原稿送り装置に取り込まれた原稿が読取位置に搬送される直前の状態を示した正面図である。
【図7C】図3に示した原稿送り装置の爪部材が持ち上げられた状態を示した正面図である。
【図7D】図3に示した原稿送り装置の搬送ローラを原稿の後端が通過する状態を示した正面図である。
【図7E】図3に示した原稿送り装置の搬送ローラを原稿の後端が通過する状態を示した正面図である。
【図7F】図3に示した原稿送り装置の合流点を原稿の後端が通過した状態を示した正面図である。
【図7G】図3に示した原稿送り装置の搬送ローラに原稿の先端が突き合わされた状態を示した正面図である。
【図7H】図3に示した原稿送り装置の搬送ローラに原稿の先端が突き合わされた状態を示した正面図である。
【図7I】図3に示した原稿送り装置の排出トレイに原稿の先端および後端が排出された状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る原稿送り装置を備える画像形成装置の概略を示した正面図である。図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置1について説明する。
【0030】
画像形成装置1は、たとえば、スキャナ機能、ファクシミリ機能、およびプリンタ機能を有する複合機である。画像形成装置1は、原稿G(図2参照)の画像を読み取る画像読取装置2と、画像読取装置2により読み取られた画像データに基づいて画像を形成する画像形成部3とを備えている。
【0031】
画像形成部3は、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dと、帯電器5a〜帯電器5dと、露光装置6と、現像装置7a〜現像装置7dと、クリーナ装置8a〜クリーナ装置8dと、中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9dを有する中間転写ベルト装置9と、2次転写装置10と、定着装置11と、給紙トレイ12aおよび手差し給紙トレイ12bと、排紙トレイ13と、シート搬送装置14とを含んでいる。
【0032】
画像形成部3は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像と、単色(たとえば、ブラック)を用いたモノクロ画像とを形成可能に構成されている。
【0033】
具体的には、ブラックを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4aと、帯電器5aと、現像装置7aと、クリーナ装置8aと、中間転写ローラ9aとにより構成されている。また、シアンを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4bと、帯電器5bと、現像装置7bと、クリーナ装置8bと、中間転写ローラ9bとにより構成されている。
【0034】
また、マゼンタを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4cと、帯電器5cと、現像装置7cと、クリーナ装置8cと、中間転写ローラ9cとにより構成されている。また、イエローを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4dと、帯電器5dと、現像装置7dと、クリーナ装置8dと、中間転写ローラ9dとにより構成されている。
【0035】
感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dは、表面に光感光層を有する。帯電器5a〜帯電器5dは、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの表面を所定の電位に均一に帯電させるために設けられている。帯電器5a〜帯電器5dは、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器であってもよいし、チャージャー型の帯電器であってもよい。
【0036】
露光装置6は、たとえば、レーザダイオードおよび反射ミラーを有するレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの表面を画像データに応じて露光して、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0037】
現像装置7a〜現像装置7dは、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4d上に形成された静電潜像をK、C、M、Yのトナーにより現像する。クリーナ装置8a〜クリーナ装置8dは、現像および画像転写後に感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの表面に残留したトナーを除去および回収する。
【0038】
中間転写ベルト装置9は、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの上方に配置されており、中間転写ベルト9eと、中間転写ベルト駆動ローラ9fと、従動ローラ9gと、テンションローラ9hと、中間転写ベルトクリーニング装置9iとを含んでいる。
【0039】
中間転写ベルト9eは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端ベルト状に形成されている。中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9d、中間転写ベルト駆動ローラ9f、従動ローラ9g、およびテンションローラ9hは、中間転写ベルト9eを張架して支持し、中間転写ベルト9eを周回方向Cに移動させる。
【0040】
中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9dは、中間転写ベルト9eの内側に回転可能に支持され、中間転写ベルト9eを介して感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dに圧接されている。
【0041】
中間転写ベルト9eは、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dに接触するように設けられている。中間転写ベルト9eには、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの表面のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(各色のトナー像)が形成される。
【0042】
感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dから中間転写ベルト9eへのトナー像の転写は、中間転写ベルト9eの内側(裏面)に圧接されている中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9dによって行われる。中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9dは、たとえば、直径8〜10mmのステンレスなどの金属軸と、金属軸を覆う導電性の弾性材(たとえば、EPDM、発泡ウレタン等)とを有する。中間転写ローラ9a〜中間転写ローラ9dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(一)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、その導電性の弾性材により高電圧が中間転写ベルト9eに対して均一に印加される。
【0043】
2次転写装置10は、中間転写ベルト9eと接触する転写ローラ10aを有する。転写ローラ10aは、中間転写ベルト駆動ローラ9fと隣接するように、中間転写ベルト9eの外側に配置されている。中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとは、相互に圧接されてニップ域を形成する。また、2次転写装置10の転写ローラ10aには、中間転写ベルト9e上の各色のトナー像を記録シートに転写させるための電圧(たとえば、トナーの帯電極性(一)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、そのニップ域を定常的に得るために、転写ローラ10aおよび中間転写ベルト駆動ローラ9fのいずれか一方を硬質材料(金属製ローラ等)とし、他方を軟質材料(弾性ゴムローラや発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0044】
上述のように、感光体ドラム4a〜感光体ドラム4dの表面のトナー像は、中間転写ベルト9eで積層され、画像データに応じたカラーのトナー像となる。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト9eとともに搬送され、2次転写装置10によって記録シート上に転写される。
【0045】
また、2次転写装置10によって中間転写ベルト9e上のトナー像が記録シート上に完全に転写されず、中間転写ベルト9e上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置9iによって残留トナーを除去および回収する。
【0046】
たとえば、中間転写ベルトクリーニング装置9iは、従動ローラ9g側に押圧された状態で中間転写ベルト9eに接触するクリーニングブレードを有しており、このクリーニングブレードにより残留トナーが除去および回収される。
【0047】
定着装置11は、記録シートを挟み込んで搬送するヒートローラ11aおよび加圧ローラ11bを有する。ヒートローラ11aは、所定の定着温度となるように温度制御され、加圧ローラ11bとともに記録シートを熱圧着することにより、記録シートに転写されたトナー像を溶融、混合、圧接し、記録シートに対して熱定着させる機能を有している。また、定着装置11には、ヒートローラ11aを外部から加熱するための外部加熱ベルト11cが設けられている。
【0048】
給紙トレイ12aは、記録シートを格納しておくためのトレイであり、手差し給紙トレイ12bは、記録シートが載置されるトレイである。排紙トレイ13は、印刷済みの記録シートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0049】
シート搬送装置14は、記録シートを給紙トレイ12aまたは手差し給紙トレイ12bから2次転写装置10や定着装置11を経由させて排紙トレイ13に送るために設けられている。シート搬送装置14では、給紙トレイ12aからシート搬送路Sに沿って、ピックアップローラ14a、サバキローラ14b、分離ローラ14c、搬送ローラ14d、レジスト前ローラ対14e、レジストローラ対14f、および排紙ローラ14gが配置されている。
【0050】
ピックアップローラ14aは、給紙トレイ12aの近傍に設けられており、給紙トレイ12aから記録シートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。サバキローラ14bは、分離ローラ14cとの間に記録シートを通過させることにより、記録シートを1枚ずつ分離してシート搬送路Sへと搬送する。
【0051】
また、手差し給紙トレイ12bの近傍には、ピックアップローラ14iが設けられている。ピックアップローラ14iは、手差し給紙トレイ12bから記録シートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0052】
搬送ローラ14dおよびレジスト前ローラ対14eは、記録シートの搬送を促進補助するための小型のローラである。なお、図1では、簡略化のために、搬送ローラ14dを1個だけ示したが、実際には、搬送ローラ14dは、シート搬送路Sに沿って複数箇所に設けられている。
【0053】
レジスト前ローラ対14eは、レジストローラ対14fのシート搬送方向上流側の直近に設けられており、記録シートをレジストローラ対14fへと搬送する。レジストローラ対14fは、レジスト前ローラ対14eから搬送されてきた記録シートを一旦停止させて、記録シートの先端を揃え、中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとの間のニップ域で中間転写ベルト9e上のカラーのトナー像が記録シートに転写されるように、中間転写ベルト9eの回転にあわせて、記録シートをタイミングよく搬送する。
【0054】
たとえば、レジストローラ対14fは、中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとの間のニップ域で中間転写ベルト9e上のカラーのトナ一像の先端が記録シートにおける画像形成範囲の先端に合うように、記録シートを搬送する。
【0055】
トナー像が転写された記録シートは、ヒートローラ11aおよび加圧ローラ11bにより、トナー像が記録シートに定着されながら搬送される。各色のトナー像が定着された記録シートは、排紙ローラ14gによって排紙トレイ13上に排出される。
【0056】
なお、4つの画像形成ステーションのうち少なくとも一つを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を中間転写ベルト装置9の中間転写ベルト9eに転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、中間転写ベルト9eから記録シートに転写され、記録シート上に定着される。
【0057】
また、記録シートの表(オモテ)面だけではなく、両面の画像形成を行う場合は、記録シートの表面の画像を定着装置11により定着した後に、記録シートをシート搬送路Sの排紙ローラ14gにより搬送する途中で、排紙ローラ14gを停止させてから逆回転させ、搬送ローラ14hにより記録シートを表裏反転経路Srに通して、記録シートの表裏を反転させてから、記録シートを再びレジストローラ対14fへと導き、記録シートの表面と同様に、記録シートの裏面にトナー像を転写して定着し、記録シートを排紙トレイ13に排出する。
【0058】
図2は、本実施の形態に係る原稿送り装置を含む画像読取装置の概略を示した正面図である。図2を参照して、本実施の形態に係る原稿送り装置30を含む画像読取装置2について説明する。
【0059】
画像読取装置2は、画像読取部20と、画像読取部20に対して開閉可能に取り付けられた原稿送り装置30とを含んでいる。
【0060】
画像読取部20は、原稿固定方式による読み取りと、原稿移動方式による読み取りとを行うことが可能なように構成されている。画像読取部20は、原稿台ガラス21と、原稿読取ガラス22と、光源ユニット23と、ミラーユニット24と、撮像部25とを有する。
【0061】
原稿台ガラス21は、原稿Gの最大サイズよりも大きい透明なガラス板である。原稿読取ガラス22は、主走査方向(紙面に対する垂直方向)に延びる透明なガラス板である。原稿台ガラス21および原稿読取ガラス22は、光源ユニット23から出射された光を透過するとともに、原稿Gで反射された光を透過するように構成されている。
【0062】
光源ユニット23は、原稿Gへ向けて光を照射する光源23aと、原稿Gからの反射光をミラーユニット24へ導くミラー23bとを有する。光源ユニット23は、副走査方向Y1に移動可能なように構成されている。光源23aは、主走査方向において間隔を隔てて配置される複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)により構成されている。
【0063】
ミラーユニット24は、ミラー24aとミラー24bとを有する。ミラーユニット24は、光源ユニット23の移動速度の1/2の移動速度で、副走査方向Y1に移動可能なように構成されている。ミラー24aは、光源ユニット23のミラー23bからの反射光をミラー24bへと導くために設けられている。ミラー24bは、ミラー24aからの反射光を撮像部25へと導くために設けられている。
【0064】
撮像部25は、集光レンズやCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などを有する。撮像部25は、ミラーユニット24のミラー24bからの反射光を、集光レンズを介してCCDの受光面に結像することにより、原稿Gの画像を撮像するように構成されている。
【0065】
画像読取部20では、原稿固定方式による読取時に、光源ユニット23およびミラーユニット24を副走査方向Y1に移動させながら、光源23aから光が出射される。このとき、光源23aから出射される光は、原稿台ガラス21を介して原稿台ガラス21上に載置される原稿Gに照射される。そして、原稿Gからの反射光は、原稿台ガラス21、光源ユニット23のミラー23b、および、ミラーユニット24のミラー24aおよびミラー24bを介して撮像部25に入射される。これにより、画像読取部20は、原稿台ガラス21上に固定的に配置された原稿Gの画像を読み取ることが可能である。
【0066】
また、画像読取部20では、原稿移動方式による読取時に、光源ユニット23を読取位置(図2に示す位置)に停止させた状態で、光源23aから光が出射される。このとき、光源23aから出射される光は、原稿読取ガラス22を介して、原稿送り装置30により原稿読取ガラス22上を搬送方向Y1に搬送される原稿Gに照射される。そして、原稿Gからの反射光は、原稿読取ガラス22、光源ユニット23のミラー23b、および、ミラーユニット24のミラー24aおよびミラー24bを介して撮像部25に入射される。これにより、画像読取部20は、原稿送り装置30により原稿読取ガラス22上を搬送される原稿Gの画像を読み取ることが可能である。
【0067】
原稿送り装置30は、原稿Gが載置される原稿トレイ31と、原稿Gが排出される排出トレイ32と、原稿トレイ31に載置される原稿Gを読取位置P1へ搬送するための搬送路33aと、読取位置P1に搬送された原稿Gを排出トレイ32へ搬送するための搬送路33bと、読取位置P1を通過した原稿Gを搬送路33aへと戻すための搬送路33cとを含んでいる。なお、本実施の形態において、搬送路33aは本発明の「第1搬送路」に対応し、搬送路33bは本発明の「第2搬送路」に対応し、搬送路33cは本発明の「第3搬送路」に対応する。
【0068】
原稿トレイ31には、原稿Gがフェイスアップで載置されている。原稿トレイ31は、読取位置P1に対して一方方向Y1側に配置されている。なお、読取位置P1は、原稿読取ガラス22を介して光源23aから光が照射される位置である。原稿トレイ31の近傍には、ピックアップローラ34が設けられている。ピックアップローラ34は、原稿トレイ31に載置された原稿Gを上から順に原稿送り装置30の内部に取り込むために設けられている。
【0069】
ピックアップローラ34の近傍には、サバキローラ35aおよび分離ローラ35bが設けられている。サバキローラ35aおよび分離ローラ35bは、複数の原稿Gが重なった状態で搬送路33aへ搬送されること(重送)を防止するために設けられている。
【0070】
排出トレイ32は、原稿トレイ31の下方に配置され、原稿Gがフェイスダウンで排出される。また、排出トレイ32は、読取位置P1に対して一方方向Y1側に配置されている。すなわち、排出トレイ32および原稿トレイ31は、副走査方向Y1において、読取位置P1に対して同じ側に配置されている。
【0071】
搬送路33aおよび搬送路33bは、正面から見てU字状に形成されている。具体的には、搬送路33aは、読取位置P1に対する一方方向Y1側から他方方向Y2側まで延びるように形成され、読取位置P1に対する他方方向Y2側から読取位置P1まで延びるように形成されている。すなわち、搬送路33aは、読取位置P1の上方を跨ぎ、読取位置P1へ向けて折り返すように形成されている。
【0072】
搬送路33bは、読取位置P1から一方方向Y1側へ延びるように形成されている。搬送路33cは、搬送路33aおよび搬送路33bの間に設けられている。このため、搬送路33aの一部と搬送路33bの一部と搬送路33cとにより、循環経路が形成されている。具体的には、循環経路は、搬送路33aおよび搬送路33cの合流点P2と読取位置P1との間の搬送路33aと、読取位置P1と搬送路33bおよび搬送路33cの合流点P3との間の搬送路33bと、搬送路33cとにより構成されている。なお、合流点P3と排出トレイ32との間の搬送路33bは、搬送方向に対する原稿Gの先端および後端を切り替えるためのスイッチバック経路として機能する。
【0073】
搬送路33aには、搬送ローラ36aと搬送ローラ36bとが設けられ、搬送路33bには、搬送ローラ36cと搬送ローラ37とが設けられている。搬送ローラ36a、搬送ローラ36bおよび搬送ローラ36cは、搬送ローラ37の搬送力よりも強い搬送力を有する。なお、本実施の形態において、搬送ローラ36aは本発明の「第3搬送ローラ」に対応し、搬送ローラ36cは本発明の「第2搬送ローラ」に対応し、搬送ローラ37は本発明の「第1搬送ローラ」に対応する。
【0074】
搬送ローラ36aは、合流点P2近傍の下流側に配置されている。搬送ローラ36bは、読取位置P1近傍の上流側に配置されている。搬送ローラ36cは、読取位置P1と合流点P3との間に配置されており、読取位置P1を通過した原稿Gを搬送ローラ37へ搬送するために設けられている。搬送ローラ37は、合流点P3と排出トレイ32との間に配置されており、排出ローラとして機能する。すなわち、搬送ローラ36aと搬送ローラ36bと搬送ローラ36cとは、循環経路に配置され、搬送ローラ37は、スイッチバック経路に配置されている。
【0075】
搬送ローラ37は、図示省略したモータなどの駆動源により回転駆動される駆動ローラ37aと、駆動ローラ37aの回転に従って回転する従動ローラ37bとを有する。なお、本実施の形態において、駆動ローラ37aは本発明の「他方のローラ」に対応し、従動ローラ37bは本発明の「一方のローラ」に対応する。また、搬送ローラ37の近傍には、搬送路33bから排出トレイ32へ排出される原稿Gに対して腰付けを行う腰付部材38が設けられている。なお、搬送ローラ37の従動ローラ37bおよび腰付部材38については、後で詳細に説明する。
【0076】
合流点P3の近傍には、爪部材39が移動可能に設けられている。爪部材39は、自重により搬送路33bを塞ぐ位置に配置されている。また、爪部材39は、原稿Gが搬送方向Y3に搬送される際に、原稿Gにより押し上げられることにより、搬送路33bを開放するように構成されている。
【0077】
また、搬送ローラ36a近傍の上流側には、レバー40aが回動可能に設けられている。レバー40aは、搬送路33aおよび搬送路33cを塞ぐ位置に配置されている。また、レバー40aは、原稿Gが搬送路33aまたは搬送路33cを搬送される際に、原稿Gにより押し上げられるように構成されている。そして、レバー40aの近傍には、レバー40aが押し上げられたことを検出するセンサ40bが設けられている。センサ40bは、たとえば、フォトインタラプタであり、原稿Gが搬送ローラ36a近傍の上流側に位置しているか否かを制御部(図示省略)が判断するために設けられている。
【0078】
また、搬送ローラ36b近傍の上流側には、レバー41aが回動可能に設けられている。レバー41aは、搬送路33aを塞ぐ位置に配置されている。また、レバー41aは、原稿Gが搬送路33aを搬送される際に、原稿Gにより押し下げられるように構成されている。そして、レバー41aの近傍には、レバー41aが押し下げられたことを検出するセンサ41bが設けられている。センサ41bは、たとえば、フォトインタラプタであり、原稿Gが搬送ローラ36b近傍の上流側に位置しているか否かを制御部が判断するために設けられている。
【0079】
図3は、本実施の形態に係る原稿送り装置の従動ローラおよび腰付部材を示した斜視図である。図3を参照して、本実施の形態に係る原稿送り装置30の従動ローラ37bおよび腰付部材38の構造について説明する。
【0080】
従動ローラ37bおよび腰付部材38は、主走査方向Xに沿って間隔を隔てて複数設けられている。従動ローラ37bは、駆動ローラ37a(図2参照)と対応するように配置されている。
【0081】
腰付部材38は、板状部38aと、板状部38aの回動中心である軸部38bとを有する。なお、板状部38aは、本発明の「回動部」に対応する。板状部38aは、平面的に見て長方形状に形成され、一方端部38cがL字状に形成されている。軸部38bは、板状部38aの一方端部(先端部)38cと、板状部38aの他方端部(後端部)38dとの間に設けられている。軸部38bは、板状部38aの側面から主走査方向Xに突出する一対の突部であり、軸受部(図示省略)に支持されている。このため、腰付部材38では、板状部38aが軸部38bを回動中心として回動可能に構成されている。
【0082】
原稿送り装置30は、搬送ローラ37の従動ローラ37bを保持する保持部材42と、保持部材42が取り付けられた回動軸43と、回動軸43に取り付けられた係合部44と、腰付部材38を付勢する圧縮コイルばね45と、回動軸43を回動させるためのアクチュエータ46とを含んでいる。なお、本実施の形態における圧縮コイルばね45は、本発明の「付勢部材」に対応する。
【0083】
保持部材42は、従動ローラ37bの回転軸を保持する一対の側板部42aと、回動軸43が挿入される挿入孔42bと、回動軸43の突部43aが配置される揺動範囲規制部42cとを有する。保持部材42は、回動軸43の回動方向R1・R2への回動に伴って回動するように構成されている。また、保持部材42は、回動軸43に対して予め設定された角度範囲で揺動方向R1・R2に揺動可能に構成されている。具体的には、揺動範囲規制部42c(図4Aおよび図5A参照)は、回動軸43の突部43aを介して対向する一対の係合部を有しており、保持部材42は、揺動範囲規制部42cの係合部が回動軸43の突部43aに係合するまで、回動軸43に対して揺動方向R1・R2に揺動することが可能なように構成されている。
【0084】
また、保持部材42は、ねじりコイルばね47により揺動方向R1に付勢されている。ねじりコイルばね47は、コイルに回動軸43が挿入されており、一端が回動軸43に取り付けられ、他端が保持部材42に取り付けられている。
【0085】
すなわち、保持部材42に保持される従動ローラ37bは、駆動ローラ37aに対して移動するように構成されている。これにより、駆動ローラを移動させる場合に比べて、モータの駆動力を伝達するギヤなどの構成が複雑化するのを抑制することができる。また、回動軸43が回動されることにより、従動ローラ37bを保持する保持部材42が回動されるので、従動ローラ37bを離間位置と接触位置との間で容易に移動させることができる。
【0086】
回動軸43は、主走査方向Xに延びるように形成されている。回動軸43は、回動方向R1・R2に回動可能な状態で、軸受部(図示省略)に支持されている。回動軸43には、軸方向Xと直交する方向(径方向)に突出する突部43aが複数形成されている。また、回動軸43には、複数の保持部材42、ねじりコイルばね47、および係合部44が取り付けられている。
【0087】
係合部44は、回動軸43の回動方向R1・R2への回動に伴って回動するように構成されている。係合部44は、回動軸43に取り付けられる取付部44aと、取付部44aから径方向に突出する板状部44bとを有する。取付部44aは、円筒状に形成されており、円筒内に回動軸43が挿入されている。板状部44bは、腰付部材38の下方に配置され、腰付部材38の板状部38aの他方端部38d側と係合するように構成されている。これにより、従動ローラ37bの移動に連動して、腰付部材38を移動させることが容易にできる。
【0088】
圧縮コイルばね45は、腰付部材38の下方に配置され、腰付部材38の板状部38aの一方端部38c側を回動方向R1に付勢するように構成されている。すなわち、圧縮コイルばね45は、板状部38aの一方端部38c側を搬送路33b内に突出するように付勢している。
【0089】
アクチュエータ46は、ソレノイドやばね部材などが収納された筐体46aと、ソレノイドの内部に配置されるプランジャ46bとを有する。アクチュエータ46は、ピン48aおよび動力伝達部材48bを介して回動軸43に連結されている。プランジャ46bは、ばね部材により筐体46aに対する外方向Y4に付勢されている。アクチュエータ46は、作動時(オン状態の時)に、ソレノイドに通電されることにより、プランジャ46bがばね部材の付勢力に抗して内方向Y5に移動し、停止時(オフ状態の時)に、ソレノイドへの通電が遮断されることにより、プランジャ46bがばね部材の付勢力により外方向Y4に移動するように構成されている。
【0090】
ピン48aは、プランジャ46bの先端に取り付けられている。動力伝達部材48bは、一方端部にピン48aが係合される切欠部が形成され、他方端部に回動軸43が取り付けられている。動力伝達部材48bは、プランジャ46bの直線方向Y4・Y5の動力を回動方向R1・R2の動力に変換して回動軸43に伝達するために設けられている。
【0091】
図4Aおよび図4Bは、本実施の形態に係る原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラに対して離間した状態を示した図である。図5Aおよび図5Bは、本実施の形態に係る原稿送り装置の従動ローラが駆動ローラと接触した状態を示した図である。図4A、図4B、図5Aおよび図5Bを参照して、本実施の形態に係る原稿送り装置30の従動ローラ37bおよび腰付部材38の動作について説明する。
【0092】
(アクチュエータの作動前)
アクチュエータ46(図3参照)の作動前においては、図4Aおよび図4Bに示すように、従動ローラ37bが駆動ローラ37aと離間する離間位置に位置している。このとき、腰付部材38が搬送路33b内に突出している。なお、このとき、回動軸43が基準位置に位置している。また、従動ローラ37bを保持する保持部材42がねじりコイルばね47(図3参照)により揺動方向R1に付勢されていることにより、揺動範囲規制部42cの下方の係合部が回動軸43の突部43aに係合されている。
【0093】
(アクチュエータの作動時)
アクチュエータ46の作動時には、ソレノイドに通電されることにより、プランジャ46b(図3参照)がばね部材の付勢力に抗して内方向Y5に移動する。なお、プランジャ46bの移動量は予め設定されている。このとき、動力伝達部材48b(図3参照)により、直線方向Y5の動力が回動方向R1の動力に変換されて回動軸43に伝達される。これにより、回動軸43が基準位置から回動方向R1に回動される。なお、回動軸43の回動量は、プランジャ46bの移動量に応じた量であり、予め設定されている。そして、保持部材42および係合部44が回動軸43とともに回動方向R1に回動される。
【0094】
これにより、図5Aおよび図5Bに示すように、保持部材42に保持される従動ローラ37bが駆動ローラ37aと接触する接触位置まで移動される。このとき、回動軸43の突部43aが揺動範囲規制部42cの両方の係合部から離間している。これにより、従動ローラ37bが接触位置に位置するとき、ねじりコイルばね47により従動ローラ37bが駆動ローラ37a側に付勢されている。したがって、搬送ローラ37は、従動ローラ37bが揺動可能な状態で原稿Gを挟持することができる。
【0095】
また、係合部44により腰付部材38の他方端部38d側が圧縮コイルばね45(図3参照)の付勢力に抗して押し上げられるので、腰付部材38が軸部38bを回動中心として回動方向R2に回動される。これにより、腰付部材38が搬送路33bから退避する。
【0096】
(アクチュエータの停止時)
アクチュエータ46の停止時には、ソレノイドへの通電が遮断されることにより、プランジャ46bがばね部材の付勢力により外方向Y4に移動する。このとき、動力伝達部材48bにより、直線方向Y4の動力が回動方向R2の動力に変換されて回動軸43に伝達される。これにより、回動軸43が回動方向R2に回動されて基準位置に戻る。そして、保持部材42および係合部44が回動軸43とともに回動方向R2に回動される。
【0097】
これにより、図4Aおよび図4Bに示すように、保持部材42に保持される従動ローラ37bが接触位置から離間位置まで移動される。また、腰付部材38の一方端部38c側が圧縮コイルばね45の付勢力により押し上げられるので、腰付部材38が軸部38bを回動中心として回動方向R1に回動される。これにより、腰付部材38が搬送路33b内に突出する。
【0098】
図6A〜図6Eは、本実施の形態に係る原稿送り装置を備えた画像読取装置の動作を説明するためのフローチャートである。図7A〜図7Iは、本実施の形態に係る原稿送り装置を備えた画像読取装置の動作を説明するための正面図である。図6A〜図6Eおよび図7A〜図7Iを参照して、本実施の形態に係る原稿送り装置30を備えた画像読取装置2の動作について説明する。なお、以下では、原稿移動方式により原稿Gの両面が読み取られる際の動作について説明する。
【0099】
ステップS1:
ピックアップローラ34(図2参照)により、原稿トレイ31にフェイスアップで載置される原稿Gが原稿送り装置30の内部に取り込まれる。そして、原稿Gがサバキローラ35aおよび分離ローラ35b(図2参照)に渡される。
【0100】
ステップS2:
サバキローラ35aおよび分離ローラ35bにより、原稿送り装置30の内部に取り込まれた原稿Gが分離され、原稿Gが1枚ずつ搬送路33aに供給される。そして、原稿Gが搬送路33aを搬送される。
【0101】
ステップS3:
搬送路33aを搬送される原稿Gにより、レバー40a(図7A参照)が押し上げられる。そして、センサ40bにより、レバー40aの移動が検出される。このため、制御部(図示省略)は、センサ40bの検出結果に基づいて、搬送ローラ36a近傍の上流側に原稿Gが位置していると判断する。
【0102】
ステップS4:
制御部により、センサ40bにより原稿Gが検出されてから所定の時間(たとえば、20msec)が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS5に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS4が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、搬送路33aを搬送される原稿Gの先端が回転していない搬送ローラ36aに突き合わされて整合される。
【0103】
ステップS5:
搬送ローラ36aの駆動が開始される。これにより、搬送ローラ36aによる原稿Gの搬送が開始される。
【0104】
ステップS6:
搬送路33aを搬送される原稿Gにより、レバー41a(図7B参照)が押し下げられる。そして、センサ41bにより、レバー41aの移動が検出される。このため、制御部は、センサ41bの検出結果に基づいて、搬送ローラ36b近傍の上流側に原稿Gが位置していると判断する。
【0105】
ステップS7:
制御部により、センサ41bにより原稿Gが検出されてから所定の時間が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS8に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS7が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、搬送路33aを搬送される原稿Gの先端が回転していない搬送ローラ36bに突き合わされて整合され、画像読取部20による読取タイミングに合わされる。
【0106】
ステップS8:
搬送ローラ36bの駆動が開始される。これにより、搬送ローラ36bによる原稿Gの搬送が開始される。そして、原稿トレイ31にフェイスアップで載置された原稿Gの表面が原稿読取ガラス22側を向く状態で原稿Gが読取位置P1を通過する。
【0107】
ステップS9:
画像読取部20により、読取位置P1を通過する原稿Gの表面の画像が読み取られる。具体的には、光学ユニット23の光源23aから光が出射される。このとき、光源23aから出射される光が原稿読取ガラス22を介して原稿Gに照射される。そして、原稿Gからの反射光が、原稿読取ガラス22、光源ユニット23のミラー23b、および、ミラーユニット24のミラー24aおよびミラー24bを介して撮像部25に入射される。なお、原稿Gの表面の読み取りは、原稿Gの後端が読取位置P1を抜けるまで継続される。
【0108】
そして、読取位置P1を通過した原稿Gは、搬送路33bに搬送される。その後、搬送路33bを搬送方向Y3に搬送される原稿Gは、搬送ローラ36cにより搬送される。そして、搬送ローラ36cにより搬送される原稿Gは、爪部材39(図7C参照)を押し上げて搬送される。その後、搬送路33bを搬送される原稿Gは、先端から順に排出トレイ32の上方に一時的に排出される。
【0109】
このとき、図4Aおよび図4Bに示すように、従動ローラ37bが離間位置に位置するとともに、腰付部材38が搬送路33b内に突出している。これにより、排出トレイ32の上方に一時的に排出される原稿Gに対して腰付部材38により腰付けが行われる。したがって、排出トレイ32の上方に一時的に排出される原稿Gが自重により曲がるのを抑制することができる。その結果、排出トレイ32に既に排出された原稿Gが一時的に排出される原稿Gにより押し出されるのを抑制することができる。
【0110】
ステップS10:
搬送される原稿Gの後端が搬送ローラ36a近傍の上流側を通過することにより、レバー40a(図7D参照)が搬送路33aを塞ぐ元の位置に戻る。そして、センサ40bにより、レバー40aの移動が検出される。このため、制御部は、センサ40bの検出結果に基づいて、原稿Gが搬送ローラ36a近傍の上流側を通過したと判断する。
【0111】
ステップS11:
搬送される原稿Gの後端が搬送ローラ36b近傍の上流側を通過することにより、レバー41a(図7E参照)が搬送路33aを塞ぐ元の位置に戻る。そして、センサ41bにより、レバー41aの移動が検出される。このため、制御部は、センサ41bの検出結果に基づいて、原稿Gが搬送ローラ36b近傍の上流側を通過したと判断する。
【0112】
ステップS12:
制御部により、センサ41bにより原稿Gの通過が検出されてから所定の時間(予め設定された時間)が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS13に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS12が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、原稿Gの後端が搬送ローラ36cを抜ける直前のタイミングが計られる。
【0113】
ステップS13:
制御部により、アクチュエータ46(図3参照)が作動される。これにより、図5Aおよび図5Bに示すように、従動ローラ37bが離間位置から接触位置に移動するとともに、腰付部材38が搬送路33bから退避する。すなわち、原稿Gの後端が搬送ローラ36cから抜ける際に、従動ローラ37bが離間位置から接触位置に移動する。このため、原稿Gの後端が搬送ローラ36cから抜ける際に、原稿Gが搬送ローラ37により挟持され、腰付部材38による腰付けが解除される。なお、アクチュエータ46が作動された際の詳細な動作は、上記の通りである。
【0114】
ステップS14:
制御部により、図示省略したモータなどの駆動源が駆動されることによって、搬送ローラ37の駆動ローラ37aが正転される。これにより、原稿Gの後端が搬送ローラ36cを抜けた後も、搬送ローラ37のみにより原稿Gが搬送方向Y3に搬送される。なお、搬送ローラ36a、搬送ローラ36bおよび搬送ローラ36cの駆動は停止される。
【0115】
ステップS15:
制御部により、原稿Gの後端が合流点P3(図7F参照)を抜けたか否かが判断される。なお、原稿Gの後端が合流点P3を抜けたか否かは、たとえば、センサ41bにより原稿Gの通過が検出されてから経過した時間に基づいて判断される。そして、原稿Gの後端が合流点P3を抜けたと判断される場合には、ステップS16に移る。その一方、原稿Gの後端が合流点P3を抜けていないと判断される場合には、ステップS14に戻る。すなわち、原稿Gの後端が合流点P3を抜けるまで、駆動ローラ37aの正転が継続される。
【0116】
ステップS16:
制御部により、搬送ローラ37の駆動ローラ37aが逆転される。これにより、原稿Gの搬送方向が逆方向に切り替えられ、原稿Gが搬送方向Y2に搬送される。すなわち、原稿Gが循環経路からスイッチバック経路に一旦出た後、再び循環経路に戻ることにより、搬送方向に対する原稿Gの先端および後端を切り替えられる。このとき、爪部材39が自重により搬送路33bを塞ぐ位置に配置されていることから、搬送方向Y2に搬送される原稿Gが搬送路33cへと導かれる。これにより、原稿Gが表裏反転された状態で搬送路33cを介して搬送路33aへと戻される。このとき、腰付部材38が搬送路33bから退避していることから、腰付部材38による腰付けが行われない。このため、原稿Gの先端が搬送路33cを搬送される際の搬送抵抗が増大するのを防ぐことができるので、原稿Gの斜め送りが発生するのを抑制することができる。
【0117】
ステップS17:
搬送路33cを搬送される原稿Gにより、レバー40a(図7G参照)が押し上げられる。そして、センサ40bにより、レバー40aの移動が検出される。このため、制御部は、センサ40bの検出結果に基づいて、搬送ローラ36a近傍の上流側に原稿Gが位置していると判断する。
【0118】
ステップS18:
制御部により、センサ40bにより原稿Gが検出されてから所定の時間(たとえば、20msec)が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS19に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS18が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、搬送路33cを搬送される原稿Gの先端が回転していない搬送ローラ36aに突き合わされて整合される。
【0119】
ステップS19:
搬送ローラ36aの駆動が開始される。これにより、搬送ローラ36aによる原稿Gの搬送が開始される。
【0120】
ステップS20:
制御部により、アクチュエータ46が停止される。これにより、図4Aおよび図4Bに示すように、従動ローラ37bが接触位置から離間位置に移動するとともに、腰付部材38が搬送路33b内に突出する。すなわち、搬送路33cを介して搬送路33aへ搬送される原稿Gが搬送ローラ36aに渡された場合に、従動ローラ37bが接触位置から離間位置に移動する。このとき、腰付部材38が搬送路33b内に突出することから、搬送方向Y2に搬送される原稿Gに対して腰付けが行われるが、搬送ローラ37よりも搬送力の強い搬送ローラ36aにより原稿Gが搬送されることから、原稿Gの斜め送りが発生しない。そして、駆動ローラ37aの逆転が停止される。なお、アクチュエータ46が停止された際の詳細な動作は、上記の通りである。
【0121】
ステップS21:
搬送路33aを搬送される原稿Gにより、レバー41a(図7H参照)が押し下げられる。そして、センサ41bにより、レバー41aの移動が検出される。このため、制御部は、センサ41bの検出結果に基づいて、搬送ローラ36b近傍の上流側に原稿Gが位置していると判断する。
【0122】
ステップS22:
制御部により、センサ41bにより原稿Gが検出されてから所定の時間が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS23に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS22が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、搬送路33aを搬送される原稿Gの先端が回転していない搬送ローラ36bに突き合わされて整合され、画像読取部20による読取タイミングに合わされる。
【0123】
ステップS23:
搬送ローラ36bの駆動が開始される。これにより、搬送ローラ36bによる原稿Gの搬送が開始される。そして、スイッチバックにより表裏反転された原稿Gの裏面が原稿読取ガラス22側を向く状態で原稿Gが読取位置P1を通過する。
【0124】
ステップS24:
画像読取部20により、読取位置P1を通過する原稿Gの裏面の画像が読み取られる。なお、原稿Gの裏面の読み取りは、原稿Gの後端が読取位置P1を抜けるまで継続される。
【0125】
そして、読取位置P1を通過した原稿Gは、搬送路33bに搬送される。その後、搬送路33bを搬送方向Y3に搬送される原稿Gは、搬送ローラ36cにより搬送される。そして、搬送ローラ36cにより搬送される原稿Gは、爪部材39を押し上げて搬送される。その後、図7Iに示すように原稿Gの先端および後端が排出トレイ32の上方に一時的に排出される。なお、このとき、従動ローラ37bが離間位置に位置することにより、搬送方向の異なる原稿Gの先端および後端をスイッチバック経路に配置することが可能となる。これにより、循環経路の小型化を図ることができるので、原稿送り装置30の小型化を図ることができる。
【0126】
このとき、図4Aおよび図4Bに示すように、従動ローラ37bが離間位置に位置するとともに、腰付部材38が搬送路33b内に突出している。これにより、排出トレイ32の上方に一時的に排出される原稿Gに対して腰付部材38により腰付けが行われる。したがって、排出トレイ32の上方に一時的に排出される原稿Gが自重により曲がるのを抑制することができる。その結果、排出トレイ32に既に排出された原稿Gが一時的に排出される原稿Gにより押し出されるのを抑制することができる。
【0127】
ステップS25〜ステップS30:
ステップS25〜ステップS30の処理は、それぞれ、上記したステップS10〜ステップS15と同様であるので説明を省略する。
【0128】
ステップS31:
制御部により、搬送ローラ37の駆動ローラ37aが逆転される。これにより、原稿Gの搬送方向が逆方向に切り替えられ、原稿Gが搬送方向Y2に搬送される。すなわち、原稿Gが循環経路からスイッチバック経路に一旦出た後、再び循環経路に戻ることにより、搬送方向に対する原稿Gの先端および後端を切り替えられる。このとき、爪部材39が自重により搬送路33bを塞ぐ位置に配置されていることから、搬送方向Y2に搬送される原稿Gが搬送路33cへと導かれる。これにより、原稿Gが再び表裏反転された状態、すなわち、原稿Gがフェイスアップの状態で搬送路33cを介して搬送路33aへと戻される。このとき、腰付部材38が搬送路33bから退避していることから、腰付部材38による腰付けが行われない。このため、原稿Gの先端が搬送路33cを搬送される際の搬送抵抗が増大するのを防ぐことができるので、原稿Gの斜め送りが発生するのを抑制することができる。
【0129】
ステップS32〜ステップS36:
ステップS32〜ステップS36の処理は、それぞれ、上記したステップS17〜ステップS21と同様であるので説明を省略する。
【0130】
ステップS37:
制御部により、センサ41bにより原稿Gが検出されてから所定の時間が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS38に移る。その一方、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS37が繰り返し行われる。すなわち、所定の時間が経過するまで待機する。これにより、搬送路33aを搬送される原稿Gの先端が回転していない搬送ローラ36bに突き合わされて整合される。
【0131】
ステップS38:
搬送ローラ36bの駆動が開始される。これにより、搬送ローラ36bによる原稿Gの搬送が開始される。そして、スイッチバックにより再び表裏反転された原稿Gの表面が原稿読取ガラス22側を向く状態で原稿Gが読取位置P1を通過する。なお、このとき、原稿Gの両面が既に読み取られているので、画像読取部20による画像の読み取りは行われない。
【0132】
そして、読取位置P1を通過した原稿Gは、搬送路33bに搬送される。その後、搬送路33bを搬送方向Y3に搬送される原稿Gは、搬送ローラ36cにより搬送される。そして、搬送ローラ36cにより搬送される原稿Gは、爪部材39を押し上げて搬送される。その後、図7Iに示すように原稿Gの先端および後端が排出トレイ32の上方に一時的に排出される。
【0133】
このとき、図4Aおよび図4Bに示すように、従動ローラ37bが離間位置に位置するとともに、腰付部材38が搬送路33b内に突出している。これにより、排出トレイ32の上方に排出される原稿Gに対して腰付部材38により腰付けが行われる。したがって、排出トレイ32の上方に排出される原稿Gが自重により曲がるのを抑制することができる。その結果、排出トレイ32に既に排出された原稿Gが排出される原稿Gにより押し出されるのを抑制することができる。また、排出トレイ32に排出される原稿Gの先端が、排出トレイ32に既に排出された原稿Gの表面に引っかかることにより、排出される原稿GがZ字状に折り曲げられるのを抑制することができる。
【0134】
ステップS39:
ステップS39〜ステップS42の処理は、それぞれ、上記したステップS10〜ステップS13と同様であるので説明を省略する。
【0135】
ステップS43:
制御部により、図示省略したモータなどの駆動源が駆動されることによって、搬送ローラ37の駆動ローラ37aが正転される。なお、搬送ローラ36a、搬送ローラ36bおよび搬送ローラ36cの駆動は停止される。これにより、原稿Gの後端が搬送ローラ36cを抜けた後も、搬送ローラ37のみにより原稿Gが搬送方向Y3に搬送される。この駆動ローラ37aの正転は、原稿Gの後端が合流点P3(図7F参照)を抜けた後、原稿Gの後端が搬送ローラ37を抜けることにより、原稿Gが排出トレイ32に排出されるまで継続される。
【0136】
そして、原稿Gがフェイスダウンの状態で排出トレイ32に排出される。その後、駆動ローラ37aの正転が停止され、アクチュエータ46が停止される。これにより、従動ローラ37bが接触位置から離間位置に移動するとともに、腰付部材38が搬送路33b内に突出する。以上により、本実施の形態に係る原稿送り装置30を含む画像読取装置2による原稿Gの両面の読取動作が終了される。
【0137】
本実施の形態では、上記のように、搬送ローラ37の従動ローラ37bを接触位置と離間位置との間を移動可能に構成し、腰付部材38を従動ローラ37bと連動するように構成する。具体的には、腰付部材38は、従動ローラ37bが離間位置に位置する場合に搬送路33b内に突出し、従動ローラ37bが接触位置に位置する場合に搬送路33bから退避するように構成されている。また、従動ローラ37bは、原稿Gが搬送ローラ36aまたは搬送ローラ36cにより搬送される場合に離間位置に位置し、原稿Gが搬送ローラ37のみにより搬送される場合に接触位置に位置するように構成されている。
【0138】
このように構成することによって、搬送ローラ37により原稿Gを表裏反転させた状態で搬送路33cを介して搬送路33aへ搬送(スイッチバック)する場合には、腰付部材38が搬送路33bから退避しているので、腰付部材38による腰付けが行われない。これにより、スイッチバック時の搬送抵抗が増大するのを防ぐことができるので、原稿Gの斜め送りが発生するのを抑制することができる。また、搬送ローラ36cにより原稿Gが搬送される場合には、従動ローラ37bが離間位置に位置することにより、腰付部材38が搬送路33b内に突出しているので、原稿Gに対して腰付けを行うことができる。なお、搬送ローラ36aまたは搬送ローラ36cにより原稿Gが搬送される場合には、搬送ローラ36aおよび搬送ローラ36cの搬送力が搬送ローラ37の搬送力よりも強いことから、腰付部材38による腰付けが行われ、搬送抵抗が増大しても、原稿Gの斜め送りが発生しない。
【0139】
また、本実施の形態では、原稿Gの表面を読み取った後、スイッチバックすることにより、原稿Gの裏面を読み取ることができる。また、原稿Gの裏面を読み取った後、スイッチバックすることにより、原稿Gをフェイスダウンの状態で排出トレイ32に排出することができる。これにより、原稿トレイ31に複数の原稿Gが載置され、複数の原稿Gが連続的に読み取られて排出トレイ32に排出された場合にも、複数の原稿Gの順番に対する面の向きが反転するのを防止することができる。
【0140】
なお、今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0141】
たとえば、本実施の形態では、従動ローラ37bが離間位置と接触位置との間で移動する例を示したが、これに限らず、駆動ローラが離間位置と接触位置との間で移動するようにしてもよい。この場合には、駆動ローラが本発明の「一方のローラ」に対応し、従動ローラが本発明の「他方のローラ」に対応する。
【0142】
また、本実施の形態では、ステップS15において、原稿Gの後端が合流点P3を抜けたか否かを、センサ41bにより原稿Gの通過が検出されてから経過した時間に基づいて判断する例を示したが、これに限らず、原稿Gの後端が合流点P3を抜けたか否かを判断するためのセンサ(図示省略)が設けられていてもよい。
【0143】
また、本実施の形態では、本発明の腰付部材の回動部の一例として板状部38aを示したが、これに限らず、たとえば、本発明の腰付部材の回動部として断面形状が円形の棒状部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 画像形成装置
3 画像形成部
20 画像読取部
30 原稿送り装置
31 原稿トレイ
32 排出トレイ
33a 搬送路(第1搬送路)
33b 搬送路(第2搬送路)
33c 搬送路(第3搬送路)
36a 搬送ローラ(第3搬送ローラ)
36c 搬送ローラ(第2搬送ローラ)
37 搬送ローラ(第1搬送ローラ)
37a 駆動ローラ(他方のローラ)
37b 従動ローラ(一方のローラ)
38 腰付部材
38a 板状部(回動部)
38b 軸部
38c 一方端部
38d 他方端部
42 保持部材
43 回動軸
44 係合部
45 圧縮コイルばね(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取位置へ搬送するための第1搬送路と、
前記読取位置に搬送された原稿を排出トレイへ搬送するための第2搬送路と、
前記第1搬送路および前記第2搬送路の間に設けられ、前記読取位置を通過した原稿を前記第1搬送路へと戻すための第3搬送路と、
前記第2搬送路に設けられ、駆動ローラおよび従動ローラを含む第1搬送ローラと、
前記第2搬送路から前記排出トレイへ排出される原稿に対して腰付けを行う腰付部材とを備え、
前記第1搬送ローラは、前記駆動ローラおよび前記従動ローラが原稿を挟持する状態において、前記駆動ローラを正転させることにより、前記読取位置を通過した原稿を前記排出トレイへ搬送し、前記駆動ローラを逆転させることにより、前記読取位置を通過した原稿を前記第3搬送路を介して前記第1搬送路へ搬送する構成とされている原稿送り装置であって、
前記駆動ローラおよび前記従動ローラのいずれか一方のローラは、前記駆動ローラおよび前記従動ローラの他方のローラと接触する接触位置と、前記他方のローラと離間する離間位置との間を移動する構成とされ、
前記腰付部材は、前記一方のローラと連動しており、前記一方のローラが前記離間位置に位置する場合に前記第2搬送路内に突出し、前記一方のローラが前記接触位置に位置する場合に前記第2搬送路から退避する構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿送り装置であって、
前記一方のローラは、前記従動ローラであり、
前記他方のローラは、前記駆動ローラであること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の原稿送り装置であって、
前記従動ローラを保持する保持部材と、
前記保持部材が取り付けられた回動軸とを備え、
前記従動ローラは、前記回動軸が基準位置から回動した場合に、前記離間位置から前記接触位置に移動する構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の原稿送り装置であって、
前記保持部材は、前記回動軸の回動に伴って回動し、前記回動軸に対して予め設定された角度範囲で揺動する構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の原稿送り装置であって、
前記腰付部材を付勢する付勢部材と、
前記回動軸に取り付けられた係合部とを備え、
前記腰付部材は、回動部と前記回動部の回動中心である軸部とを含み、
前記軸部は、前記回動部の一方端部と前記回動部の他方端部との間に設けられ、
前記付勢部材は、前記回動部の一方端部を付勢して前記第2搬送路内に突出させる構成とされ、
前記係合部は、前記回動部の他方端部と係合する構成とされ、
前記腰付部材は、前記回動軸が基準位置から回動した場合に、前記係合部が前記回動部の他方端部と係合することにより、前記回動部の一方端部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2搬送路から退避する構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の原稿送り装置であって、
前記第2搬送路に設けられ、前記読取位置を通過した原稿を前記第1搬送ローラへ搬送する第2搬送ローラを備え、
前記第1搬送ローラは、前記第2搬送ローラにより原稿が搬送されている場合に、前記一方のローラを前記離間位置に配置し、前記第2搬送ローラにより搬送される原稿が前記第2搬送ローラから抜ける際に、前記一方のローラを前記離間位置から前記接触位置に移動させる構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の原稿送り装置であって、
前記第1搬送路に設けられた第3搬送ローラを備え、
前記第1搬送ローラは、前記第3搬送路を介して前記第1搬送路へ搬送される原稿が前記第3搬送ローラに渡された場合に、前記一方のローラを前記接触位置から前記離間位置に移動させる構成とされていること
を特徴とする原稿送り装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の原稿送り装置と、
前記原稿送り装置により送られる原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像データに基づいて画像を形成する画像形成部とを備えること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【公開番号】特開2012−180212(P2012−180212A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45801(P2011−45801)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】