説明

厨房装置

【課題】複数のビルトイン機器が組み込まれた厨房装置が設置されている室内空間にいる人が感じる煙、臭気、蒸気、熱、騒音などによる不快感を低減すること。
【解決手段】ビルトイン機器2〜5を複数個組み入れた函体1と、ビルトイン機器2〜5から発生する排気を個別排気通路7、基幹排気通路8を介して集中的に排気する排気装置9とを備え、ビルトイン機器からの排気を厨房装置が設置された室内に放出することなく、外へ排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気を発生するビルトイン機器を複数個組み入れた函体と、そのビルトイン機器から発生する排気を排気通路を介して集中的に排気する排気装置とを備えた厨房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、キッチンがダイニングルームやリビングルームと一体となった構造の住宅が増加しているが、キッチンは単に調理の場ではなく、対話や団欒の場の一部という位置づけになってきており、キッチン周りの機器・設備に快適性への配慮が求められるようになってきている。
【0003】
厨房装置は、一般にはビルトインされている各機器の排気をその機器単独でおこなっており、その給排気口は機器の表面に設置され、そこから臭気、煙、蒸気を含んだ排気が厨房装置の外に出てくる構造となっており、排気は厨房装置の上部に設置したレンジフードで行うという方式を採用している。
【0004】
従来、この種の厨房装置はビルトイン機器の排気を厨房装置を設置した室内に出さないものとして、生ゴミ処理機とレンジフードの例(例えば、特許文献1参照)、また、ビルトインタイプの食器洗い機の排気システムの例がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
図4は、特許文献1に記載された従来の調理装置を示すものである。図4に示すように、厨芥処理機(生ゴミ処理機)108を運転するとダンパが開となり送風機109を動作させ、排気ダクト117により外部へ導出する。
【0006】
また、図5は特許文献2に記載された従来のビルトインタイプの食器洗い機の排気システムを示すものである。
【0007】
図5に示すように、食器洗い乾燥機の排気が後方に導かれ排気通路121を通って、キッチン背面の壁の上方にある換気通路に合流して室外に直接排気する構成である。
【特許文献1】特開平5−15422号公報
【特許文献2】特開2006−340996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、ビルトイン機器の排気口が機器の表面に設置され、厨房装置が設置された室内に排気し、上方にレンジフードを設置する一般的な方式では、レンジフードで排気しても、調理台上の料理からの臭気・煙などは効率よく排気できても、オーブン、電子レンジ、食器洗い乾燥機などからの排気は室内に拡散するので、キッチンにいる人は煙、臭気、蒸気にさらされ、また熱気や排気の騒音を感じるなど、不快な状態に置かれることになる。
【0009】
さらにダイニングルームやリビングルームと一体となった構造の住宅では、これらの不快の源がダイニングルームやリビングルームにまで及ぶことになる。
【0010】
また、特許文献1の従来の調理装置では、調理を楽しく談笑しながら行えるよう、生ゴミ処理機とコンロの排気を室内に出さずに排気することで、快適性を確保しようとしているが、一般の厨房装置の多くが内蔵している食器洗い乾燥機からは蒸気を含んだ排気が出
るので、これだけでは快適なリビングキッチンの実現には不十分である。
【0011】
特許文献2の従来のビルトインタイプの食器洗い機の排気システムの、食器洗い乾燥機の排気を後方へ導いて室内に排出しない方式は、厨房装置の背面が壁面に密着して設置されている場合には有効であるが、対話や団欒の空間としてのキッチンに求められるペニンシュラ型やアインランド型の厨房装置にはこの構成は適用できない。
【0012】
さらに、いずれも複数のビルトイン機器の排気を集中的に排気する経路を設けて排気する場合に生じる問題については想定されていない。
【0013】
例えば、レンジでの調理時の排気には水分、油、煙、臭気成分などが含まれており、排気が排気通路を通過中に水分が結露して滴り落ちたり、臭気成分が付着して臭気が残ったりするなどの課題を有していた。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、厨房装置が設置された室内の快適性を保つことができる厨房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記旧来の課題を解決するために、本発明の厨房装置は、排気を発生するビルトイン機器を複数個組み入れた函体と、前記複数のビルトイン機器からの排気を導く個別排気通路と、前記個別排気通路が接続される基幹排気通路を前記函体内に備え、前記基幹排気通路を通じて函体が設置された部屋の外部へ排気する排気装置を前記函体内部または外部に備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の厨房装置は、複数のビルトイン機器の排気に含まれる、煙、蒸気、臭気などを厨房装置が設置された室内に排出することがなく、また熱や騒音を低減できるので、これらの要因による不快感を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、排気を発生するビルトイン機器を複数個組み入れた函体と、前記複数のビルトイン機器からの排気を導く個別排気通路と、前記個別排気経路のうちの複数が接続される基幹排気通路を前記函体内に備え、前記基幹排気経路を通じて函体が設置された部屋の外部へ排気する排気装置を前記函体内部または外部に備えることにより、ビルトイン機器から発生する排気は、厨房装置が設置された室内へ出ることがなく、湿度、臭気、蒸気、温度、騒音などによる不快感を低減することができる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明の基幹排気通路を複数のビルトイン機器からの排気出口より下方に設置することにより、前記個別排気通路または前記基幹排気通路に付着した油や水滴も基幹排気通路側へ流すことができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の前記個別排気通路と前記基幹排気通路に断熱を施すことにより、ビルトイン機器の排気の温度が前記個別排気通路や前記基幹排気通路で急激に低下することを防ぎ、排気に含まれる蒸気や油分の前記個別排気通路や前記基幹排気通路への結露、付着を低減できるので、速やかに外部へ排出することができる。
【0020】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の前記複数のビルトイン機器の個別排気通路のうち少なくともひとつが、その個別排気通路が接続されたビルトイン機器の運転時以外にも通風可能とすることにより、ビルトイン機器が停止後に前記排気装置を運転することにより、前記基幹排気通路内に滞留した蒸気、臭気などを外部に排出すること
ができる。
【0021】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の前記基幹排気通路に空気取入口を設けることにより、前記個別排気通路を通風可能としただけでは、風量不足となる可能性があるが、前記空気取入口から空気を吸い込むことにより、より大きな風量での通風が可能になるので、前記基幹排気通路の中に滞留している、煙、臭気、蒸気などを含んだ空気を効率的に排出することができる。
【0022】
第6の発明は、特に、第4または第5の発明の前記複数のビルトイン機器の運転終了後の所定時間、前記排気装置を運転し、前記基幹通風通路に通風することにより、ビルトイン機器停止後に臭気、湿度などの基幹排気通路内での滞留を低減でき、これらが厨房装置を設置した室内に漏れることを防止することができる。
【0023】
第7の発明は、特に、第4または第5の発明の湿度検出手段、温度検出手段、臭気検出手段の少なくともひとつを、前記基幹排気通路と、前記排気装置と、排気装置から外部へ排気を導く外部排気通路の少なくとも1か所に備え、前記湿度検出手段、または温度検出手段、または臭気検出手段からの検出情報に基づいて、前記排気装置を運転することにより、前記基幹排気通路内に滞留している煙、臭気、蒸気などを含んだ空気をより確実に排出することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、反発明の第1の実施の形態における厨房装置を示す図である。
【0026】
厨房装置の函体1にビルトイン機器として、IHクッキングヒータ2、オーブンレンジ3、食器洗い乾燥機4、生ゴミ処理機5が組み込まれている。
【0027】
これらの複数のビルトイン機器から発生する排気は、各機器の排気口6、個別排気通路7から基幹排気通路8へと導き、排気装置9によりレンジフード10の排気通路と連通して外へ集中排気する構成としている。排気装置9は排気装置制御手段13によって運転・停止などの制御がなされる。
【0028】
これにより、各ビルトイン機器からの排気は厨房装置が設置された室内には放出されずに外部へ排出されるので、厨房装置が設置された室内の快適性が、煙・臭気・蒸気・熱・騒音などで損なわれるのを低減することができる。
【0029】
また、基幹排気経路8は各ビルトイン機器の排気口6より下方に設置されているので、個別排気通路7で結露あるいは付着した水分・油などは下方の基幹排気通路8に落ちるので、ビルトイン機器の方へ戻ったり、途中に滞留することを防止することができる。
【0030】
基幹排気通路8に結露した水や油分が溜まる場合、基幹排気通路8の下部にドレイン(図示せず)を設けることにより、基幹排気通路8の外へ排出することが可能である。
【0031】
さらに、個別排気通路7や基幹排気通路8が断熱性の材質で構成されているか、または断熱材(図示せず)で囲っておけば、個別排気通路7、基幹排気通路8の内壁面への結露を低減することができるので、蒸気を効率的に外部に排出することができる。
【0032】
なお本実施の形態では外部排気通路がレンジフードの排気通路と連通しているが、これ
らは別々の通路で外部へ排気するようになっていても良い。
【0033】
また、排気装置9は函体1の内部に設置されているが、函体1の外部、たとえば外部通路19に設置しても良い。
【0034】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態の厨房装置を示す図である。図1と同じものには同じ番号を付与し説明の重複を省く。
【0035】
図2において、基幹排気通路8には空気取入口15が設置した構成にしている。
【0036】
ビルトイン機器運転時の排気は煙、臭気、蒸気などを含んでいるので速やかに外へ排出することが望ましい。しかし、各ビルトイン機器の排気量は各機器に合わせた風量になっており、個別排気通路から基幹排気通路内に入ってきた排気をすばやく外へ排出するにはより大きな風量で通風することが望ましい場合がある。
【0037】
基幹排気通路8に空気取入口15を設け、必要に応じてこの空気取入口からも空気を取り入れることにより、個別排気通路7の内径などに制限されず、基幹排気通路8の中の風量を大きくすることができ、個別排気通路からの排気に含まれる煙、臭気、蒸気などを基幹排気通路に滞留することなく速やかに外へ排出することができる。
【0038】
さらに、ビルトイン機器2〜5の運転終了後に、基幹排気通路8の内部に煙、臭気、蒸気などが滞留していることも考えられるが、ビルトイン機器2〜5の運転終了後一定時間排気装置9を運転することにより、それらを排出することができる。
【0039】
なお、空気取入口15の位置は、図2に示したように排気装置からみて、個別排気通路の接続部よりも遠い位置にあることが望ましいが、異なる位置にあっても煙、臭気、蒸気などを排出する効果は得られる。
【0040】
また、基幹排気通路内壁に臭気の元になる汚れなどがこびりつき、臭気が厨房装置を設置した室内にもれてくる恐れがある場合は、空気取入口15に開閉手段(図示せず)を設置し、排気装置停止時には空気取入口を閉じておけばよい。
【0041】
なお本実施の形態では外部排気通路がレンジフードの排気通路と連通しているが、これらは別々の通路で外部へ排気するようになっていても良い。
【0042】
また、排気装置9は函体1の内部に設置されているが、函体1の外部、たとえば外部通路19に設置しても良い。
【0043】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態における厨房装置を示す図である。図1と同じものには同じ番号を付与し説明の重複を省く。
【0044】
図3において、基幹排気通路8の内側には湿度検出手段16を装着した構成とし、その検出信号により排気装置制御装置13が排気装置9に運転・停止などの指示を出す。
【0045】
たとえば、基幹排気通路8の内部の湿度が所定の値より高い場合は、ビルトイン機器の運転状態にかかわらず排気装置を運転する。
【0046】
このことにより、常に基幹排気通路8の内部に蒸気が滞留しない状態に保つことができ
る。
【0047】
同様に、湿度検出手段の代わりに温度検出手段を装着した場合は、たとえば所定の温度以上の温度を検出した場合に排気装置9を運転することにより基幹排気通路8の内部に熱がこもることを防ぐことができ、また同様に、湿度検出手段の代わりに煙検出手段を装着した場合は、たとえば煙を少しでも検出している間排気装置9を運転することにより煙が基幹排気通路8の内部に滞留することを防止でき、また同様に湿度検出手段の代わりに臭気検出手段を装着した場合は、たとえば臭気を検出している間は排気装置9を運転することにより、臭気が基幹排気通路8の内部に滞留することを防止することができる。
【0048】
なお本実施の形態では、検出手段、湿度検出手段、温度検出手段、臭気検出手段を基幹排気通路8の内部に装着したが、個別排気通路7や外部排気通路19に装着してもよい。
【0049】
また、温度検出手段については、基幹排気通路8、個別排気通路7、外部排気通路19の外部に装着しても内部の温度検出は可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0050】
また本実施の形態では外部排気通路がレンジフードの排気通路と連通しているが、これらは別々の通路で外部へ排気するようになっていても良い。
【0051】
また、排気装置9は函体1の内部に設置されているが、函体1の外部、たとえば外部通路19に設置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ビルトイン機器に限らず、また調理機器、食器洗い乾燥機、生ゴミ処理機など厨房で使用する機器に限らず、複数の機器から発生する排気を、排気通路を介して集中的に排気する排気装置を備えた乾燥機、調理機器などのビルトイン機器、に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1における厨房装置を示す図
【図2】本発明の実施の形態2における厨房装置を示す図
【図3】本発明の実施の形態3における厨房装置を示す図
【図4】従来の調理装置を示す図
【図5】従来のビルトインタイプの食器洗い機の排気システムを示す図
【符号の説明】
【0054】
1 厨房装置の函体(筐体)
2〜5 ビルトイン機器
6 各機器の排気口
7 個別排気通路
8 基幹排気通路
9 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を発生するビルトイン機器を複数個組み入れた函体と、前記複数のビルトイン機器からの排気を導く個別排気通路と、前記個別排気通路が接続される基幹排気通路を前記函体内に備え、前記基幹排気通路を通じて函体が設置された部屋の外部へ排気する排気装置を前記函体内部または外部に備えた厨房装置。
【請求項2】
前記基幹排気通路が前記複数のビルトイン機器からの排気口より下方に設置した請求項1に記載の厨房装置。
【請求項3】
前記個別排気通路と前記基幹排気通路と前記排気装置の一部または全体に断熱を施した請求項1または2に記載の厨房装置
【請求項4】
前記複数のビルトイン機器の個別排気通路のうち少なくともひとつが、その個別排気通路が接続されたビルトイン機器の運転時以外にも通風可能にした請求項1〜3のいずれか1項に記載の厨房装置。
【請求項5】
前記基幹排気通路に空気取入口を設けたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の厨房装置。
【請求項6】
前記複数のビルトイン機器の運転終了後の所定時間、前記排気装置を運転し、前記基幹排気通路に通風する請求項4または5に記載の厨房装置。
【請求項7】
煙検出手段、湿度検出手段、温度検出手段、臭気検出手段の少なくともひとつを、前記基幹排気通路と、前記排気装置と、前記排気装置から外部への排気を導く外部排気通路のうち少なくとも1か所に備え、前記煙検出手段、前記湿度検出手段、前記温度検出手段、前記臭気検出手段のうち少なくともひとつからの検出情報に基づいて、前記排気装置を制御する排気装置制御手段を備えた請求項4または5に記載の厨房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−48476(P2010−48476A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213777(P2008−213777)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】