厨芥処理装置
【課題】破砕室から取り外したバスケットに露出した金属部分でシンク等に衝撃を加えないようにした厨芥処理装置を提供する。
【解決手段】厨芥処理装置1Aは、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36と、固定破砕刃であるブリッジ33と第2カッター35が収容されるバスケット3が、破砕室2に対して着脱可能である。バスケット3は、フラップ32と第1カッター34と第3カッター36に駆動力を伝達する軸部36aが、底部から突出する。厨芥処理装置1Aは、バスケット3から突出した軸部36aに衝撃吸収部材37を備える。衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端より突出して、軸部36aの外周を覆う。
【解決手段】厨芥処理装置1Aは、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36と、固定破砕刃であるブリッジ33と第2カッター35が収容されるバスケット3が、破砕室2に対して着脱可能である。バスケット3は、フラップ32と第1カッター34と第3カッター36に駆動力を伝達する軸部36aが、底部から突出する。厨芥処理装置1Aは、バスケット3から突出した軸部36aに衝撃吸収部材37を備える。衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端より突出して、軸部36aの外周を覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房のシンクに設置され、生ゴミ等の厨芥を破砕する厨芥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭やレストラン等において発生する生ゴミ等の厨芥を破砕処理する厨芥処理装置として、グラインダー型と称される厨芥処理装置が提案されている。グラインダー型の厨芥処理装置は、凹凸形状の櫛歯部を放射状に設けた回転破砕刃と固定破砕刃を交互に配置して、破砕室内に収容した構成である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような厨芥処理装置では、回転破砕刃と固定破砕刃をバスケットと称す破砕刃収容部材に収容し、破砕室に対して着脱可能とすることで、破砕室から破砕刃収容部材を取り外して、各破砕刃や破砕室の内部を洗浄可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
厨芥処理装置は、厨房に設置されるシンクに取り付けられる。従来、厨芥処理装置が取り付けられるシンクはステンレス製が一般的である。一方、金属材料以外で構成されるシンクとして、人工大理石製のシンクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような人工大理石製のシンクに厨芥処理装置を取り付けることも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−524233号公報
【特許文献2】特開2009−131739号公報
【特許文献3】特開2006−169829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
厨芥処理装置の回転破砕刃と固定破砕刃は、一般的に金属材料で構成される。回転破砕刃と固定破砕刃を収容した破砕刃収容部材を着脱可能とする構成では、回転破砕刃に駆動力を伝達するための軸部が、破砕刃収容部材の底部に露出しており、破砕刃収容部材には金属部分が露出しているところがある。
【0007】
このため、厨芥処理装置が設置されるシンクの材質が、人工大理石等の樹脂材料の場合、破砕室から取り外した破砕刃収容部材の金属部分でシンクに衝撃が加えられると、シンクを傷つける虞があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、破砕室から取り外した破砕刃収容部材に露出した金属部分でシンク等に衝撃を加えないようにした厨芥処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置され、固定破砕刃と回転駆動される回転破砕刃の協働で、厨芥を破砕して下方へ排出する厨芥処理装置において、回転破砕刃と固定破砕刃が収容され、回転破砕刃に駆動力を伝達する軸部が底部から突出し、厨芥が投入される破砕室に対して着脱可能な破砕刃収容部材と、回転破砕刃及び固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成され、軸部の下端から突出して軸部の周囲を覆う衝撃吸収部材を備えた厨芥処理装置である。
【0010】
本発明の厨芥処理装置では、破砕刃収容部材を破砕室から取り外して、各破砕刃及び破砕室の内部を洗浄可能となっている。破砕室から取り外した破砕刃収容部材を、軸部を下にしてシンク等に置くような場合、軸部の下端より衝撃吸収部材が突出しているので、軸部の金属部分がシンク等に直接接することが無い。このため、破砕刃収納部材に露出した金属部分でシンク等に衝撃が加えられることが無く、シンクの損傷を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の厨芥処理装置によれば、破砕刃収容部材を破砕室から取り外したときに、破砕刃収容部材の底部から突出した軸部で、シンク等に傷を付けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図2】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図3】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図4】本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットを下側から見た斜視図である。
【図5】本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す断面図である。
【図6】本実施の形態のバスケットを構成するハウジングの一例を示す構成図である。
【図7】本実施の形態のバスケットを構成する破砕刃アセンブリの斜視図である。
【図8】本実施の形態の破砕刃アセンブリを上側から見た分解斜視図である。
【図9】本実施の形態の破砕刃アセンブリを下側から見た分解斜視図である。
【図10】衝撃吸収部材の一例を示す第3カッターの分解斜視図である。
【図11】衝撃吸収部材の動作の一例を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の厨芥処理装置の実施の形態について説明する。
【0014】
<本実施の形態の厨芥処理装置の全体構成例>
図1〜図3は、本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。本実施の形態の厨芥処理装置1Aは、生ゴミ等の厨芥が投入される破砕室2が設けられた装置本体10と、厨芥を破砕する回転破砕刃と固定破砕刃が設けられ、図1に示すように、破砕室2に着脱可能に取り付けられるバスケット3を備える。
【0015】
厨芥処理装置1Aは、住宅等の厨房設備に設置されるシンク100の開口部101を、装置本体10の上部に設けた取付部材11により挟む形態で、装置本体10がシンク100の下側に取り付けられる。
【0016】
破砕室2は、装置本体10の上部に形成された投入口20につながる略円筒形状の空間で、投入口20がシンク100の開口部101に露出する。また、破砕室2は、バスケット3の取り付け位置より下方で装置本体10の側面に、排水管接続口21が形成される。破砕室2の底面22は、排水管接続口21に向かって下がる方向に傾斜しており、破砕室2に投入されて破砕された厨芥が、破砕室2への給水で、排水管接続口21方向に流れるように構成される。
【0017】
バスケット3は破砕刃収容部材の一例で、回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置された破砕刃アセンブリ30と、破砕刃アセンブリ30が取り付けられるハウジング31を備える。
【0018】
破砕刃アセンブリ30は、回転破砕刃を構成するフラップ32と、固定破砕刃を構成するブリッジ33と、回転破砕刃を構成する第1カッター34と、固定破砕刃を構成する第2カッター35と、回転破砕刃を構成する第3カッター36を備える。破砕刃アセンブリ30は、各回転破砕刃と固定破砕刃が金属材料で構成される。
【0019】
破砕刃アセンブリ30は、フラップ32が最上段に配置され、フラップ32の下側にブリッジ33が配置される。また、ブリッジ33の下側に第1カッター34が配置され、第1カッター34の下側に第2カッター35が配置される。更に、第2カッター35の下側に最下段の第3カッター36が配置される。
【0020】
破砕刃アセンブリ30は、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36に駆動力を伝達する軸部36aを、最下段の第3カッター36に備える。
【0021】
ハウジング31に破砕刃アセンブリ30が取り付けられたバスケット3は、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。
【0022】
バスケット3は、軸部36aに衝撃吸収部材37を備える。衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端より突出して、軸部36aの外周を覆う。これにより、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にして置くような場合に、バスケット3の底部から突出した破砕刃の金属部分が、載置場所に直接接しないように構成される。
【0023】
厨芥処理装置1Aは、破砕室2に取り付けられたバスケット3の破砕刃アセンブリ30を駆動する駆動機構4を備える。駆動機構4は、破砕刃アセンブリ30の回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36を回転駆動するモータ40と、図示しないベルトやギア等の減速機構を介してモータ40の駆動力が伝達される駆動軸41と、モータ40を制御する図示しない制御部を備える。
【0024】
駆動軸41は、バスケット3を破砕室2に着脱する際の挿抜方向に沿って延在し、破砕刃アセンブリ30の軸部36aとの嵌合部41aが、本例では六角軸状に形成され、破砕室2の底面22から突出している。
【0025】
これにより、厨芥処理装置1Aは、破砕室2に対するバスケット3の着脱で、破砕刃アセンブリ30の軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aに対して挿抜され、図2及び図3に示すように、バスケット3が破砕室2に取り付けられると、破砕刃アセンブリ30の軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aに結合される。
【0026】
厨芥処理装置1Aは、破砕室2の投入口20に着脱可能に取り付けられる蓋12を備える。蓋12は、図3に示すように投入口20に取り付けられると、破砕室2及びバスケット3の破砕刃アセンブリ30が露出しないように投入口20を塞ぐ形状を有すると共に、破砕室2とつながる給水孔12aが形成される。
【0027】
これにより、厨芥処理装置1Aは、投入口20が蓋12で閉じられた状態で、シンク100に水が流されると、蓋12の給水孔12aを通して、破砕室2内へ給水が行われる。なお、厨芥処理装置1Aでは、破砕室2内へ直接給水する機構を備えても良い。
【0028】
また、厨芥処理装置1Aは、投入口20を閉じた蓋12の回転動作で、蓋12が投入口20に着脱可能な状態と、投入口20を閉じた状態で着脱不可の状態を切り替えて、蓋12のロック及びロック解除を行う図示しないロック機構を備える。
【0029】
更に、厨芥処理装置1Aは、永久磁石とマグネットセンサ等を利用して、蓋12の開閉を検出することで、破砕開始及び破砕停止のスイッチを構成する図示しない検出手段を備える。
【0030】
すなわち、厨芥処理装置1Aでは、投入口20を閉じた蓋12を所定の方向に回転させて投入口20にロックすると、破砕開始のスイッチがオンとなり、例えば、モータ40を正逆反転駆動して破砕刃アセンブリ30のフラップ32と第1カッター34と第3カッター36を正逆回転させ、所定の運転時間経過後にモータ40の駆動を停止する制御が行われる。
【0031】
また、運転中に蓋12を逆方向に回転させてロックを解除すると、モータ40の駆動を停止する制御が行われる。ここで、モータ40としてDC(直流)モータを使用する構成では、端子間を短絡させる電気ブレーキ等を利用することで、モータ40の駆動停止後に、慣性でフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が回転し続けないような構成を備える。
【0032】
<本実施の形態のバスケットの構成例>
図4は、本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す下面側から見た斜視図、図5は、本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す断面図である。また、図6は、本実施の形態のバスケットを構成するハウジングの一例を示し、図6(a)は、ハウジングの平面図、図6(b)は、ハウジングの断面図である。
【0033】
本実施の形態のバスケット3は、破砕刃アセンブリ30がハウジング31に取り付けられる。ハウジング31に破砕刃アセンブリ30が取り付けられたバスケット3は、図4に示すように、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。ハウジング31は、図6(a)及び図6(b)に示すように、上下が開口した円筒形状の部品がプラスチック等の樹脂材料で構成され、外径は図1等に示す破砕室2の内径と略等しく構成され、外周面の対向する2箇所に、上下方向に延在するリブ31aが形成される。
【0034】
また、ハウジング31は、リブ31aの内側で内周面の対向する2箇所に、破砕刃アセンブリ30が取り付けられる溝部31bが、上下方向に延在して形成される。更に、ハウジング31は、外周面の対向する2箇所に、上下方向に延在する溝部31cが形成される。
【0035】
バスケット3は、破砕室2の内周面に形成された図示しない溝部に、ハウジング31のリブ31aが嵌められ、破砕室2の内周面に形成された上下方向に延在する凸部13に、ハウジング31の溝部31cが嵌められて取り付けられることで、破砕室2内での回転が規制される。
【0036】
<本実施の形態の破砕室アセンブリの構成例>
図7は、本実施の形態のバスケットを構成する破砕刃アセンブリの斜視図である。また、図8は、本実施の形態の破砕刃アセンブリを上側から見た分解斜視図、図9は、本実施の形態の破砕刃アセンブリを下側から見た分解斜視図である。
【0037】
破砕刃アセンブリ30は、フラップ32、ブリッジ33、第1カッター34、第2カッター35及び第3カッター36が、各回転破砕刃の回転の中心となる軸部36aと同軸上に配置される。
【0038】
次に、各図を参照してフラップ32の構成の詳細について説明する。破砕刃アセンブリ30の最上段に配置されるフラップ32は、軸受部32aの側部から水平に延びる1本の攪拌アーム32bを備え、攪拌アーム32bの回転方向における前後両面に押し込み面32cが形成される。
【0039】
押し込み面32cは、攪拌アーム32bの両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面である。
【0040】
フラップ32は、攪拌アーム32bの両側面に押し込み面32cが形成されることで、正逆両方向の回転動作で押し込み面32cに接した厨芥に対して、下方に押し付ける力を加えることができる。これにより、フラップ32は、回転動作で厨芥を取り込み、下段の破砕刃へと押し込む。
【0041】
また、フラップ32は、押し込み面32cの下端側が略垂直な面で構成され、下段のブリッジ33との協働で厨芥を粗く破砕する破砕刃として機能する。
【0042】
更に、フラップ32は、軸受部32aの上部に側方へ突出したハンドル32dが形成される。フラップ32は、各回転破砕刃と一体となって回転する構成であるので、最上段のフラップ32にハンドル32dを形成することで、直接破砕刃に触れることなく、このハンドル32dを操作することで各回転破砕刃を回転操作できるようになっている。
【0043】
すなわち、図1に示すように取り外されているバスケット3を破砕室2に取り付ける際に、駆動軸41の嵌合部41aとの連結のため破砕刃アセンブリ30の回転方向の向きを調整する場合、ハンドル32dを操作すれば、直接破砕刃に触れることなく、破砕刃アセンブリ30の回転方向の向きが調整できる。
【0044】
フラップ32は、軸受部32aに軸取付孔32eが貫通形成される。軸取付孔32eは断面形状が略D型状で、第1カッター34の後述する軸部に回転できない状態で嵌められる。
【0045】
次に、各図を参照してブリッジ33の構成の詳細について説明する。フラップ32の下段に配置されるブリッジ33は、回転破砕刃の回転軸を中心とするハブ33aが形成され、ハブ33aから外側に向かって延在する2本のアーム33bを備える。
【0046】
ブリッジ33のハブ33aは、第1カッター34の後述する第1の軸部(34c)が挿入される孔部の内径が、第1カッター34の回転の負荷とならないように、第1の軸部の外径より大きく構成される。
【0047】
アーム33bは、ハブ33aの外周面の180°間隔の位置から水平に延びる。各アーム33bは、両側面が略垂直な平板形状で、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34との協働で破砕刃として機能する。
【0048】
ブリッジ33は、各アーム33bの上面と下面が、それぞれ水平な面で構成されても良いが、本例では、各アーム33bの外側部分の下面が、第1カッター34側へ突出して突出面33cが形成される。各アーム33bのハブ33aに近い内側側は、水平な面で構成される。これにより、各アーム33bは、内側より外側の方が肉厚となっている。
【0049】
ブリッジ33は、各アーム33bの外側先端部分に脚部33dが形成される。ブリッジ33は、図6に示すハウジング31の溝部31bに脚部33dが嵌められ、回転が規制される。また、ブリッジ33と第2カッター35との間に、第1カッター34を回転可能とする所定の高さの隙間を形成して、回転破砕刃の回転軸に対してブリッジ33が傾斜しないように構成される。
【0050】
次に、各図を参照して第1カッター34の構成の詳細について説明する。ブリッジ33の下段に配置される第1カッター34は、回転軸を中心とするハブ34aが形成され、ハブ34aから外側に向かって延在する3本のアーム34bを備える。
【0051】
また、第1カッター34は、回転軸を構成する第1の軸部34cを、厨芥が投入される側であるハブ34aの上面に備えると共に、第2の軸部34dを、厨芥が排出される側であるハブ34aの下面に備える。
【0052】
アーム34bは、ハブ34aの外周面の120°間隔の位置から放射状に延びる。また、各アーム34bは、下段に配置される第2カッター35と対向する底面に櫛歯部34eが形成される。櫛歯部34eは、アーム34bの底面及び回転方向における前後両面が開口した凹部が、所定のピッチで複数個所に形成された凹凸形状である。
【0053】
第1カッター34は、各アーム34bの上面が、ブリッジ33の形状に合わせて水平な面で構成されても良いが、本例では、各アーム34bの外側部分の上面が、ブリッジ33と反対の側へ後退した形状の後退面34fが形成される。また、各アーム34bのハブ34aに近い内側側は、水平な面で構成される。これにより、各アーム34bは、内側より外側の方が肉薄となっている。
【0054】
また、第1カッター34は、アーム34bの回転方向における前後両面の上側部分を傾斜させ、アーム34bの上側部分の厚さを漸次肉薄とした肉抜き面34gが形成される。これにより、第1カッター34は、アーム34bの強度及び破砕性能を低下させることなく、軽量化が図られる。
【0055】
更に、第1カッター34は、ハブ34aの外周面が、内側に向けて凹状に湾曲させた湾曲面として構成され、アーム34bの強度を低下させることなく、ハブ34aを肉薄に形成して、軽量化が図られる。
【0056】
第1カッター34は、ハブ34aの上面から突出した第1の軸部34cが、上段に配置されるブリッジ33のハブ33aに対して回転可能に挿入される。また、第1の軸部34cの上端側の断面形状が略D型形状の部分に、最上段のフラップ32の軸取付孔32eが回転不可に嵌められる。更に、第1の軸部34cの先端に形成されたネジ部34hにナット30aが締結され、フラップ32とブリッジ33が、第1カッター34から外れないように固定される。
【0057】
第1カッター34は、ハブ34aの下面から突出した第2の軸部34dが、下段に配置される第2カッター35に対して回転可能に挿入される。また、第2の軸部34dの下端側に、第3カッター36に嵌る角軸部34iが形成される。更に、角軸部34iの底面に形成されたネジ穴34jにネジ30bが締結され、フラップ32及びブリッジ33が取り付けられた第1カッター34と第2カッター35が、第3カッター36から外れないように固定される。
【0058】
次に、各図を参照して、第2カッター35の構成の詳細について説明する。第1カッター34の下段に配置される第2カッター35は、回転破砕刃の回転軸を中心とするハブ35aが形成され、ハブ35aから接線方向に放射状に延びる8本のアーム35bが、リング35cで囲まれた形状である。
【0059】
第2カッター35のハブ35aは、第1カッター34の第2の軸部34dが挿入される孔部の内径が、第1カッター34の回転の負荷とならないように、第2の軸部34dの外径より大きく構成される。
【0060】
また、第2カッター35は、リング35cの外周に、180°間隔の位置から放射方向に突出する脚部35dが形成される。第2カッター35は、図6に示すハウジング31の溝部31bに脚部35dが嵌められ、回転が規制される。また、脚部35dは所定の高さを有し、ブリッジ33の脚部33dが脚部35dの上側に載ることで、ブリッジ33と第2カッター35との間に、第1カッター34を回転可能とする所定の高さの隙間が形成される。
【0061】
第2カッター35は、8本のアーム35bの中で、6本のアーム35bには上面に櫛歯部35eが形成される。第2カッター35の櫛歯部35eは、第1カッター34の櫛歯部34eに入る形状の凸部が、櫛歯部34eの凹部のピッチと同じピッチで形成される。
【0062】
第1カッター34と第2カッター35は同軸上に配設されるので、第1カッター34が回転して、第1カッター34のアーム34bと第2カッター35のアーム35bが対向する位置となると、第1カッター34の凹凸形状の櫛歯部34eの間に、第2カッター35の凸形状の櫛歯部35eが通る。
【0063】
これにより、第2カッター35のアーム35bの間に入った厨芥が、第1カッター34との協働で破砕される。
【0064】
上述したように、第1カッター34のアーム34bは3本、第2カッター35のアーム35bは8本であるので、アーム34b同士の間隔に対してアーム35b同士の間隔が狭い。
【0065】
このため、第2カッター35で8本全てのアーム35bに櫛歯部35eを設けると、第1カッター34のアーム34bの間に常に第2カッター35の櫛歯部35eが存在する状態となり、ある程度の大きさのブロック形状の厨芥が投入された場合に、第1カッター34のアーム34b間に厨芥が入り込まず、破砕されにくくなる事象が発生する。
【0066】
そこで、第2カッター35において、8本のアーム35bの中で、例えば2本のアーム35b1には櫛歯部35eを設けないことで、第1カッター34の回転動作中に、第2カッター35の櫛歯部35eを設けていないアーム35b1が第1カッター34のアーム34bの間に位置する場合は、円周方向に広い空間が形成されるようにする。
【0067】
これにより、ある程度の大きさのブロック形状の厨芥が投入された場合でも、第1カッター34のアーム34b間に厨芥が入り、第1カッター34の回転動作で櫛歯部34eと第2カッター35の櫛歯部35eとの協働で厨芥が破砕される。
【0068】
なお、第2カッター35において、櫛歯部35eを設けないアーム35bの数が多いと破砕能力が低下するので、例えば8本のアーム35bを備える場合は、櫛歯部35eを設けないアーム35b1は2本程度が望ましい。
【0069】
また、第2カッター35は、各アーム35bがハブ35aの接線方向に沿って放射状に延在することで、第2カッター35において径方向に並ぶ複数の櫛歯部35eに対して、第1カッター34が回転する際に、第1カッター34の櫛歯部34eが通るタイミングを円周方向にずらして、破砕負荷のピークの抑制および負荷の平坦化を図っている。
【0070】
更に、第2カッター35は、各アーム35bの回転方向の前後両面に押し付け面35fが形成される。押し付け面35fは、アーム35bの両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面である。
【0071】
第2カッター35の下段に配置される第3カッター36は、第2カッター35のアーム35bの底面と擦り合わされながら回転動作を行う。このため、第2カッター35のアーム35bの回転方向の前後両側面に押し付け面35fが形成されることで、押し付け面35fに接したある程度の大きさまで破砕されている厨芥に対して、第3カッター36の回転動作でこの第3カッター36に押し付ける力を加えることができる。
【0072】
また、第2カッター35は、各アーム35bの回転方向の前後の一方の側面は、縦溝を並列した波形面35gが形成される。これにより、第3カッター36の一の方向の回転動作時には、第2カッター35では、波形面35gの凹部で厨芥を捕らえて厨芥の半径方向への移動を抑制し、厨芥を確実に破砕できるようにしている。
【0073】
図10は、衝撃吸収部材の一例を示す第3カッターの分解斜視図で、次に、各図を参照して、第3カッター36及び衝撃吸収部材の構成の詳細について説明する。第2カッター35の下段に配置される第3カッター36は円板形状で、軸部36aの形成部位を除く全面に多数のスリット36bを配列している。なお、本例の第3カッター36においては、複数のスリット群が形成され、各スリット群においては、隣接するスリット36b同士は略平行に配列される。
【0074】
第3カッター36の上面は平面で、上段に配置される第2カッター35の各アーム35bの底面に接しながら回転する。また、第3カッター36のスリット36bは円板を表裏貫通し、スリット36bの上面側開口縁部にはエッジが形成される。
【0075】
第1カッター34の櫛歯部34eと第2カッター35の櫛歯部35eにより破砕されて、第3カッター36の上面に落下した厨芥は、スリット36bに引っ掛かり、第3カッター36が回転することで、第2カッター35の押し付け面35fによりスリット36bに押し付けられて、スリット36bのエッジ部分により破砕される。そして、細かく破砕された厨芥は、スリット36bを通って下方へ落下し、水の流れによって図3等に示す破砕室2の排水管接続口21から外部へと排出される。
【0076】
第3カッター36は、軸部36aの上面側に、第1カッター34の角軸部34iが嵌る角穴部36cが形成される。また、軸部36aの底面側には、図1等に示す駆動軸41の嵌合部41aが嵌る六角穴部36dが形成され、角穴部36cと六角穴部36dの間には、ネジ30bが通る貫通孔が形成される。
【0077】
軸部36aは、第3カッター36の底面から突出する形態で一体に形成される。軸部36aの外周面の形状は多角形状で、本例では図10に示すように六角形状である。
【0078】
軸部36aに取り付けられる衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bを備える。第1の衝撃吸収部材37aは、所定の硬度を有する樹脂材料で構成される。第1の衝撃吸収部材37aは円筒形状で、外周面に複数の溝部37cが形成される。また、第1の衝撃吸収部材37aの内周面の形状は、軸部36aの外周面の形状と合わせた多角形状で、本例では図10に示すように六角形状である。
【0079】
第2の衝撃吸収部材37bは、第1の衝撃吸収部材37aより柔らかい所定の硬度を有する例えばゴム材料で構成される。第2の衝撃吸収部材37bは、外周面と内周面の両方が円形のリング状で、内周面の直径は、軸部36aに挿入可能な大きさである。
【0080】
衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aに形成された長孔37dに、脱落防止部材であるネジ38が挿入され、ネジ38が軸部36aに形成されたネジ孔36eに締結されることで、軸部36aに固定される。
【0081】
図11は、衝撃吸収部材の動作の一例を示す要部側面図で、次に、各図を参照して、衝撃吸収部材の取付構造及び動作について説明する。第1の衝撃吸収部材37aは、上下方向に延びる長孔37dが、外周面から内周面に貫通して形成される。本例では、第1の衝撃吸収部材37aの対向する2箇所に長孔37dが形成される。長孔37dの短手方向の寸法は、ネジ38の頭部が入る長さで、長孔37dの長手方向の寸法は、ネジ38の頭部が移動可能な長さである。
【0082】
衝撃吸収部材37は、第2の衝撃吸収部材37bを第1の衝撃吸収部材37aの上側として、軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入される。軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入されると、長孔37dの内部の所定の位置に、軸部36aに形成されたネジ孔36eが露出する。
【0083】
長孔37dとネジ孔36eは、長孔37dに挿入されたネジ38がネジ孔36eに締結されると、図11(a)に示すように、ネジ38の頭部と長孔37dの上端が接する位置関係となっている。
【0084】
また、ネジ38の頭部と長孔37dの上端が接する状態で、衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端36fより第1の衝撃吸収部材37aが突出するように、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの特に上下方向の寸法が設定される。
【0085】
これにより、衝撃吸収部材37は、軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入され、第1の衝撃吸収部材37aの長孔37dにネジ38が挿入され、ネジ38が軸部36aのネジ孔36eに締結されると、第1の衝撃吸収部材37aが、軸部36aの下端36fより突出して、軸部36aの外周を覆う。
【0086】
衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aが、軸部36aに対して長孔37dの長手方向に沿った上下方向に移動可能に固定される。衝撃吸収部材37は、上下方向の荷重が加わらない状態では、第2の衝撃吸収部材37bの弾性力により、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態で保持される。
【0087】
衝撃吸収部材37は、上下方向の荷重が加わると、図11(b)に示すように、主に第2の衝撃吸収部材37bが弾性変形して、第2の衝撃吸収部材37bの厚さがt1からt2(<t1)に変化することにより、第1の衝撃吸収部材37aが上下方向に移動する。このとき、想定される最大荷重が加わった場合でも、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態を保持できるように、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さ、及び第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの硬度等が設定される。
【0088】
次に、破砕刃アセンブリ30を組み立てた状態について各図を参照して説明する。破砕刃アセンブリ30は、第1カッター34の第2の軸部34dに第2カッター35のハブ35aが回転可能に嵌められ、第2の軸部34dの角軸部34iが、第3カッター36の角穴部36cに嵌められる。
【0089】
そして、第3カッター36の六角穴部36d側から、ネジ30bが第1カッター34の角軸部34iのネジ穴34jに締結されて、第1カッター34と第2カッター35と第3カッター36が一体に構成される。
【0090】
また、第1カッター34の第1の軸部34cにブリッジ33のハブ33aが回転可能に嵌められ、更に、第1の軸部34cにフラップ32の軸取付孔32eが回転不可に嵌められる。
【0091】
そして、第1の軸部34cのネジ部34hにナット30aが締結されて、フラップ32及びブリッジ33と第1カッター34が一体に構成される。
【0092】
なお、上述したように一体化された破砕刃アセンブリ30のハウジング31への取り付けは、ブリッジ33の脚部33d及び第2カッター35の脚部35dを、図6に示すハウジング31の溝部31bに嵌めることで、ブリッジ33及び第2カッター35は回転不可にハウジング31に保持される。
【0093】
そして、図5に示すように、ハウジング31の溝部31bに保持金具39を嵌め、保持金具39をネジ39aでハウジング31に固定することで、破砕刃アセンブリ30は、保持金具39で上下方向への移動が不可能にハウジング31に保持される。これにより、ハウジング31に対してフラップ32、第1カッター34及び第3カッター36が回転可能なバスケット3が構成される。
【0094】
<本実施の形態の厨芥処理装置の動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の厨芥処理装置1Aの動作について説明する。まず、厨芥処理装置1Aの全体の動作について説明すると、蓋12を開けて投入口20から破砕室2に厨芥が投入され、蓋12で投入口20を閉じて、蓋12をロックのために所定方向に回転させると、図示しない制御手段は、蓋12で投入口20が閉じられたことを検出して、モータ40を回転駆動する。
【0095】
具体的には、数秒毎、例えば5秒毎に正転と逆転動作を繰り返す回転動作を行う。モータ40の回転速度としては、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が、例えば100rpm程度の低速で回転するように設定され、騒音や振動の発生を抑えている。
【0096】
なお、蓋12には給水孔12aが形成され、投入口20を蓋12で閉じても、破砕室2内へ給水が可能な構成であり、厨芥の破砕処理中は、シンク100に水を流す等によって、破砕室2の内部へ給水を行う。
【0097】
モータ40が回転すると、軸部36aで駆動軸41と接続されたフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が一体に回転する。これに対して、ブリッジ33と第2カッター35は回転しない。
【0098】
これにより、投入口20から破砕室2内に投入された厨芥は、フラップ32の攪拌アーム32bにより攪拌され、下段のブリッジ33のアーム33bとの協働でおおまかに破砕されると共に、破砕された厨芥が第1カッター34のアーム34b間に送り込まれる。
【0099】
第1カッター34のアーム34bの間に送り込まれた厨芥は、第1カッター34の回転により、第1カッター34の櫛歯部34eの間に下段の第2カッター35の櫛歯部35eが通る際に細かく破砕される。
【0100】
ここで、第2カッター35は、複数のアーム35bの中で櫛歯部35eを設けないアーム35b1を備えることで、第1カッター34の回転により、櫛歯部35eが設けられていないアーム35b1が第1カッター34のアーム34bの間に位置すると、円周方向に大きな空間が形成される。
【0101】
これにより、ブロック状等の大きな厨芥でも、第1カッター34のアーム34bの間に入り込み、第1カッター34の回転によって、第1カッター34の櫛歯部34eの間に下段の第2カッター35の櫛歯部35eが通る際に細かく破砕される。
【0102】
これにより、少ない枚数の固定破砕刃と回転破砕刃の組み合わせで、様々な大きさが混在した厨芥を破砕することができる。
【0103】
第1カッター34と第2カッター35の協働で破砕された厨芥は、第2カッター35の各アーム35bと第3カッター36の協働で、スリット36bから排出される。
【0104】
すなわち、第3カッター36の回転で、上段側の第2カッター35のアーム35bの押し付け面35fに厨芥が接触すると、押し付け面35fの傾斜角度によって、厨芥は第3カッター36方向である下方へ押し付けられる力を受ける。
【0105】
これにより、第2カッター35のアーム35b間にある厨芥は、第3カッター36の回転によって、アーム35bの押し付け面35fにより第3カッター36のスリット36bに押し付けられる。そして、スリット36bの上面側開口縁部のエッジにより破砕され、押し付け面35fで更に押し込まれてスリット36bを通り下方へ落下する。
【0106】
ここで、厨芥処理装置1Aでは、各破砕刃に掛かる荷重を、モータ40に流れる電流値等で検出して、硬質物の破砕中に回転破砕刃が回転できない等で所定値以上の荷重が掛かると、モータ40を反転駆動する制御が行われ、力の掛かる方向を変えることで、負荷の軽減を図ると共に、硬質物の破砕を可能としている。
【0107】
厨芥処理装置1Aでは、例えば一定時間モータ40を回転駆動した後、図示しない制御手段はモータ40の駆動を停止させる。モータ40の駆動時間は、破砕室2内に投入された標準的な量の厨芥を破砕して、排水管接続口21から排出するために必要な時間を考慮して予め設定されている。
【0108】
本実施の形態の厨芥処理装置1Aでは、バスケット3を取り外すことで、バスケット3及び破砕室2の内部の洗浄が可能である。すなわち、バスケット3の内部には、破砕刃アセンブリ30の最上段に配置されるフラップ32のハンドル32dが露出しており、ハンドル32dを持つことで、バスケット3を破砕室2から容易に着脱できる。また、バスケット3を破砕室2に取り付ける際に、駆動軸41の嵌合部41aに第3カッター36の六角穴部36dを嵌める必要がある。駆動軸41の嵌合部41aと六角穴部36dは、角軸と角穴の嵌合で結合されるので、六角穴部36dの向きを調整する必要がある。
【0109】
本例では、フラップ32と第1カッター34と第3カッター36は一体で回転するので、ハンドル32dを持ってフラップ32を回転させることで、第3カッター36が回転して、六角穴部36dの向きを調整することができる。
【0110】
従って、バスケット3を破砕室2に取り付ける際に、バスケット3の把持と、軸の向きを合わせる操作を、フラップ32のハンドル32dを持って行うことができ、着脱時の操作性が向上すると共に、安全性が向上する。
【0111】
そして、バスケット3が破砕室2に対して容易に着脱できることで、バスケット3を破砕室2から取り外して、バスケット3の内部の破砕刃アセンブリ30や破砕室2の内部の洗浄を行うことができる。
【0112】
さて、破砕室2から取り外されたバスケット3は、図4に示すように、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。バスケット3は、軸部36aの外周が衝撃吸収部材37で覆われ、図11(a)に示すように、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出している。
【0113】
これにより、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にしてシンク100に置くような場合に、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、バスケット3の底部から突出した破砕刃の金属部分は、シンク100に直接接しない。
【0114】
シンク100がステンレス等の金属材料で構成される場合、破砕刃の金属部分が直接接触しても、表面に傷は付きにくい。これに対して、シンク100が人工大理石等の樹脂材料で構成される厨房設備も存在する。人工大理石で構成されるシンク100は、ステンレス等に対して質感やイメージの向上が図られる。一方、金属が直接接触すると、表面に傷がつきやすい。
【0115】
本実施の形態の厨芥処理装置1Aでは、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にしてシンク100に置くような場合でも、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、破砕刃の金属部分はシンク100に直接接しないので、シンク100に傷が付くことを防止できる。
【0116】
なお、バスケット3を構成するハウジング31は樹脂材料で構成されているので、バスケット3を横向きや上下反転させてシンク100に置く場合、樹脂材料で構成されるハウジング31がシンク100と接するので、シンク100に傷が付くことを防止できる。
【0117】
万一、バスケット3を軸部36aを下にしてシンク100に落とした場合、衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出しているので、シンク100に第1の衝撃吸収部材37aが衝突し、破砕刃の金属部分は直接接しない。
【0118】
シンク100に第1の衝撃吸収部材37aが衝突することで、衝撃吸収部材37は、上方向に押し上げられる荷重が加わる。衝撃吸収部材37に上下方向の荷重が加わると、第1の衝撃吸収部材37aは、長孔37dにネジ38が挿入されて軸部36aに対して上下動可能に固定されていることで、図11(b)に示すように、主に第2の衝撃吸収部材37bが弾性変形して、第2の衝撃吸収部材37bの厚さがt1からt2(<t1)に変化することにより衝撃を吸収し、第1の衝撃吸収部材37aが上方向に移動する。
【0119】
第1の衝撃吸収部材37aは、破砕刃を構成する金属に比較して柔らかい材質で構成される。但し、衝撃吸収部材37全体を、第1の衝撃吸収部材37aと同じ材質で一体に構成すると、衝撃が加わった際の弾性変形量が十分でなく、衝撃を必要十分に吸収することができない。
【0120】
一方、衝撃吸収部材37全体を、第2の衝撃吸収部材37bと同じゴム材で一体に構成すると、衝撃が加わった際の弾性変形量が大きく、軸部36aが露出してしまう。更に、衝撃吸収部材37の軸部36aの下端36fからの突出量を大きくすれば、軸部36aが衝撃吸収部材37から露出しにくい構成とできるが、軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aと嵌合するので、衝撃吸収部材37の突出量には制約がある。
【0121】
そこで、衝撃吸収部材37は、軸部36aから突出する部分には、金属より柔らかい所定の硬度を有した樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aを備え、第1の衝撃吸収部材37aを軸部36aに対して上下動可能な構成とする。また、第1の衝撃吸収部材37aの上側に、第1の衝撃吸収部材37aより柔らかい所定の硬度を有したゴム材料で構成される第2の衝撃吸収部材37bを備え、第2の衝撃吸収部材37bの弾性変形で、第1の衝撃吸収部材37aが上下動可能な構成とする。
【0122】
そして、所定の高さからバスケット3を落下させる際に想定される最大荷重が加わった場合でも、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態を保持できるように、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さ、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの硬度、及び第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの上下方向の寸法等が設定される。
【0123】
これにより、バスケット3を軸部36aを下にしてシンク100に落とした場合でも、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、衝撃が主に第2の衝撃吸収部材37bの弾性変形により吸収され、かつ、破砕刃の金属部分がシンク100に直接接しないので、シンク100のひび割れ等の損傷を防ぐことができる。
【0124】
第1の衝撃吸収部材37aをポリプロピレン(PP)で構成し、第2の衝撃吸収部材37bをニトリルゴム(NBR)で構成した場合、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さを1.5mm程度、第2の衝撃吸収部材37bの上下方向の寸法を3mm程度とした構成で、シンク100に加わる衝撃値を40%程度低減でき、50cm程度の高さからバスケット3をシンク100に落下させた実験で、シンク100にひび割れ等が発生せず、所望の特性が得られた。
【0125】
なお、衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aの外周面に溝部37cを形成しておくことで、バスケット3を取り外して洗浄を行う際に、第1の衝撃吸収部材37aを把持して各部の洗浄を行ったり、各破砕刃を回転させる操作のすべり止めとなり、清掃作業が容易かつ安全に行なえるようにすることができる。
【0126】
ここで、厨芥処理装置において、回転破砕刃と固定破砕刃の配置は上述した例に限るものではなく、バスケットの最下段に固定破砕刃が配置され、固定破砕刃の孔部から上段側の回転破砕刃の軸部が突出する構成であっても良い。また、衝撃吸収部材37は、軸部36aから突出する第1の衝撃吸収部材37aの下端を凹凸形状として、衝撃を分散できるようにしても良い。更に、第2の衝撃吸収部材37bをコイルバネや皿バネで構成しても良い。
【0127】
また、第1の衝撃吸収部材37aの素材としては、ポリプロピレン(PP)に代えて、ポリエチレン(PE)やポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂系の素材を用いても良い。このように、第1の衝撃吸収部材37aの素材としては、耐薬品性を備えた樹脂系の素材であれば良く、より好ましくは、シンク100を構成する素材よりも柔らかい素材であると良い。
【0128】
更に、第2の衝撃吸収部材37bの素材としては、ニトリルゴム(NBR)に代えて、シリコンゴムやフッ素スポンジ、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム等のゴム系の素材を用いても良い。このように、第2の衝撃吸収部材37bの素材としては、耐薬品性を備えたゴム系の素材であれば良く、より好ましくは、第1の衝撃吸収部材37aを構成する樹脂系の素材よりも柔らかい素材であると良い。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、住宅のキッチン等に設置され、生ゴミ処理の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0130】
1A・・・厨芥処理装置、10・・・装置本体、12・・・蓋、12a・・・給水孔、2・・・破砕室、20・・・投入口、21・・・排水管接続口、3・・・バスケット、30・・・破砕刃アセンブリ、31・・・ハウジング、32・・・フラップ、33・・・ブリッジ、34・・・第1カッター、35・・・第2カッター、36・・・第3カッター、36a・・・軸部、36e・・・ネジ孔、37・・・衝撃吸収部材、37a・・・第1の衝撃吸収部材、37b・・・第2の衝撃吸収部材、37d・・・長孔、38・・・ネジ、4・・・駆動機構、40・・・モータ、41・・・駆動軸、100・・・シンク、101・・・開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房のシンクに設置され、生ゴミ等の厨芥を破砕する厨芥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭やレストラン等において発生する生ゴミ等の厨芥を破砕処理する厨芥処理装置として、グラインダー型と称される厨芥処理装置が提案されている。グラインダー型の厨芥処理装置は、凹凸形状の櫛歯部を放射状に設けた回転破砕刃と固定破砕刃を交互に配置して、破砕室内に収容した構成である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような厨芥処理装置では、回転破砕刃と固定破砕刃をバスケットと称す破砕刃収容部材に収容し、破砕室に対して着脱可能とすることで、破砕室から破砕刃収容部材を取り外して、各破砕刃や破砕室の内部を洗浄可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
厨芥処理装置は、厨房に設置されるシンクに取り付けられる。従来、厨芥処理装置が取り付けられるシンクはステンレス製が一般的である。一方、金属材料以外で構成されるシンクとして、人工大理石製のシンクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような人工大理石製のシンクに厨芥処理装置を取り付けることも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−524233号公報
【特許文献2】特開2009−131739号公報
【特許文献3】特開2006−169829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
厨芥処理装置の回転破砕刃と固定破砕刃は、一般的に金属材料で構成される。回転破砕刃と固定破砕刃を収容した破砕刃収容部材を着脱可能とする構成では、回転破砕刃に駆動力を伝達するための軸部が、破砕刃収容部材の底部に露出しており、破砕刃収容部材には金属部分が露出しているところがある。
【0007】
このため、厨芥処理装置が設置されるシンクの材質が、人工大理石等の樹脂材料の場合、破砕室から取り外した破砕刃収容部材の金属部分でシンクに衝撃が加えられると、シンクを傷つける虞があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、破砕室から取り外した破砕刃収容部材に露出した金属部分でシンク等に衝撃を加えないようにした厨芥処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置され、固定破砕刃と回転駆動される回転破砕刃の協働で、厨芥を破砕して下方へ排出する厨芥処理装置において、回転破砕刃と固定破砕刃が収容され、回転破砕刃に駆動力を伝達する軸部が底部から突出し、厨芥が投入される破砕室に対して着脱可能な破砕刃収容部材と、回転破砕刃及び固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成され、軸部の下端から突出して軸部の周囲を覆う衝撃吸収部材を備えた厨芥処理装置である。
【0010】
本発明の厨芥処理装置では、破砕刃収容部材を破砕室から取り外して、各破砕刃及び破砕室の内部を洗浄可能となっている。破砕室から取り外した破砕刃収容部材を、軸部を下にしてシンク等に置くような場合、軸部の下端より衝撃吸収部材が突出しているので、軸部の金属部分がシンク等に直接接することが無い。このため、破砕刃収納部材に露出した金属部分でシンク等に衝撃が加えられることが無く、シンクの損傷を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の厨芥処理装置によれば、破砕刃収容部材を破砕室から取り外したときに、破砕刃収容部材の底部から突出した軸部で、シンク等に傷を付けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図2】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図3】本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。
【図4】本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットを下側から見た斜視図である。
【図5】本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す断面図である。
【図6】本実施の形態のバスケットを構成するハウジングの一例を示す構成図である。
【図7】本実施の形態のバスケットを構成する破砕刃アセンブリの斜視図である。
【図8】本実施の形態の破砕刃アセンブリを上側から見た分解斜視図である。
【図9】本実施の形態の破砕刃アセンブリを下側から見た分解斜視図である。
【図10】衝撃吸収部材の一例を示す第3カッターの分解斜視図である。
【図11】衝撃吸収部材の動作の一例を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の厨芥処理装置の実施の形態について説明する。
【0014】
<本実施の形態の厨芥処理装置の全体構成例>
図1〜図3は、本実施の形態の厨芥処理装置の構成の概要を示す正面断面図である。本実施の形態の厨芥処理装置1Aは、生ゴミ等の厨芥が投入される破砕室2が設けられた装置本体10と、厨芥を破砕する回転破砕刃と固定破砕刃が設けられ、図1に示すように、破砕室2に着脱可能に取り付けられるバスケット3を備える。
【0015】
厨芥処理装置1Aは、住宅等の厨房設備に設置されるシンク100の開口部101を、装置本体10の上部に設けた取付部材11により挟む形態で、装置本体10がシンク100の下側に取り付けられる。
【0016】
破砕室2は、装置本体10の上部に形成された投入口20につながる略円筒形状の空間で、投入口20がシンク100の開口部101に露出する。また、破砕室2は、バスケット3の取り付け位置より下方で装置本体10の側面に、排水管接続口21が形成される。破砕室2の底面22は、排水管接続口21に向かって下がる方向に傾斜しており、破砕室2に投入されて破砕された厨芥が、破砕室2への給水で、排水管接続口21方向に流れるように構成される。
【0017】
バスケット3は破砕刃収容部材の一例で、回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置された破砕刃アセンブリ30と、破砕刃アセンブリ30が取り付けられるハウジング31を備える。
【0018】
破砕刃アセンブリ30は、回転破砕刃を構成するフラップ32と、固定破砕刃を構成するブリッジ33と、回転破砕刃を構成する第1カッター34と、固定破砕刃を構成する第2カッター35と、回転破砕刃を構成する第3カッター36を備える。破砕刃アセンブリ30は、各回転破砕刃と固定破砕刃が金属材料で構成される。
【0019】
破砕刃アセンブリ30は、フラップ32が最上段に配置され、フラップ32の下側にブリッジ33が配置される。また、ブリッジ33の下側に第1カッター34が配置され、第1カッター34の下側に第2カッター35が配置される。更に、第2カッター35の下側に最下段の第3カッター36が配置される。
【0020】
破砕刃アセンブリ30は、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36に駆動力を伝達する軸部36aを、最下段の第3カッター36に備える。
【0021】
ハウジング31に破砕刃アセンブリ30が取り付けられたバスケット3は、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。
【0022】
バスケット3は、軸部36aに衝撃吸収部材37を備える。衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端より突出して、軸部36aの外周を覆う。これにより、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にして置くような場合に、バスケット3の底部から突出した破砕刃の金属部分が、載置場所に直接接しないように構成される。
【0023】
厨芥処理装置1Aは、破砕室2に取り付けられたバスケット3の破砕刃アセンブリ30を駆動する駆動機構4を備える。駆動機構4は、破砕刃アセンブリ30の回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36を回転駆動するモータ40と、図示しないベルトやギア等の減速機構を介してモータ40の駆動力が伝達される駆動軸41と、モータ40を制御する図示しない制御部を備える。
【0024】
駆動軸41は、バスケット3を破砕室2に着脱する際の挿抜方向に沿って延在し、破砕刃アセンブリ30の軸部36aとの嵌合部41aが、本例では六角軸状に形成され、破砕室2の底面22から突出している。
【0025】
これにより、厨芥処理装置1Aは、破砕室2に対するバスケット3の着脱で、破砕刃アセンブリ30の軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aに対して挿抜され、図2及び図3に示すように、バスケット3が破砕室2に取り付けられると、破砕刃アセンブリ30の軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aに結合される。
【0026】
厨芥処理装置1Aは、破砕室2の投入口20に着脱可能に取り付けられる蓋12を備える。蓋12は、図3に示すように投入口20に取り付けられると、破砕室2及びバスケット3の破砕刃アセンブリ30が露出しないように投入口20を塞ぐ形状を有すると共に、破砕室2とつながる給水孔12aが形成される。
【0027】
これにより、厨芥処理装置1Aは、投入口20が蓋12で閉じられた状態で、シンク100に水が流されると、蓋12の給水孔12aを通して、破砕室2内へ給水が行われる。なお、厨芥処理装置1Aでは、破砕室2内へ直接給水する機構を備えても良い。
【0028】
また、厨芥処理装置1Aは、投入口20を閉じた蓋12の回転動作で、蓋12が投入口20に着脱可能な状態と、投入口20を閉じた状態で着脱不可の状態を切り替えて、蓋12のロック及びロック解除を行う図示しないロック機構を備える。
【0029】
更に、厨芥処理装置1Aは、永久磁石とマグネットセンサ等を利用して、蓋12の開閉を検出することで、破砕開始及び破砕停止のスイッチを構成する図示しない検出手段を備える。
【0030】
すなわち、厨芥処理装置1Aでは、投入口20を閉じた蓋12を所定の方向に回転させて投入口20にロックすると、破砕開始のスイッチがオンとなり、例えば、モータ40を正逆反転駆動して破砕刃アセンブリ30のフラップ32と第1カッター34と第3カッター36を正逆回転させ、所定の運転時間経過後にモータ40の駆動を停止する制御が行われる。
【0031】
また、運転中に蓋12を逆方向に回転させてロックを解除すると、モータ40の駆動を停止する制御が行われる。ここで、モータ40としてDC(直流)モータを使用する構成では、端子間を短絡させる電気ブレーキ等を利用することで、モータ40の駆動停止後に、慣性でフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が回転し続けないような構成を備える。
【0032】
<本実施の形態のバスケットの構成例>
図4は、本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す下面側から見た斜視図、図5は、本実施の形態の厨芥処理装置を構成するバスケットの一例を示す断面図である。また、図6は、本実施の形態のバスケットを構成するハウジングの一例を示し、図6(a)は、ハウジングの平面図、図6(b)は、ハウジングの断面図である。
【0033】
本実施の形態のバスケット3は、破砕刃アセンブリ30がハウジング31に取り付けられる。ハウジング31に破砕刃アセンブリ30が取り付けられたバスケット3は、図4に示すように、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。ハウジング31は、図6(a)及び図6(b)に示すように、上下が開口した円筒形状の部品がプラスチック等の樹脂材料で構成され、外径は図1等に示す破砕室2の内径と略等しく構成され、外周面の対向する2箇所に、上下方向に延在するリブ31aが形成される。
【0034】
また、ハウジング31は、リブ31aの内側で内周面の対向する2箇所に、破砕刃アセンブリ30が取り付けられる溝部31bが、上下方向に延在して形成される。更に、ハウジング31は、外周面の対向する2箇所に、上下方向に延在する溝部31cが形成される。
【0035】
バスケット3は、破砕室2の内周面に形成された図示しない溝部に、ハウジング31のリブ31aが嵌められ、破砕室2の内周面に形成された上下方向に延在する凸部13に、ハウジング31の溝部31cが嵌められて取り付けられることで、破砕室2内での回転が規制される。
【0036】
<本実施の形態の破砕室アセンブリの構成例>
図7は、本実施の形態のバスケットを構成する破砕刃アセンブリの斜視図である。また、図8は、本実施の形態の破砕刃アセンブリを上側から見た分解斜視図、図9は、本実施の形態の破砕刃アセンブリを下側から見た分解斜視図である。
【0037】
破砕刃アセンブリ30は、フラップ32、ブリッジ33、第1カッター34、第2カッター35及び第3カッター36が、各回転破砕刃の回転の中心となる軸部36aと同軸上に配置される。
【0038】
次に、各図を参照してフラップ32の構成の詳細について説明する。破砕刃アセンブリ30の最上段に配置されるフラップ32は、軸受部32aの側部から水平に延びる1本の攪拌アーム32bを備え、攪拌アーム32bの回転方向における前後両面に押し込み面32cが形成される。
【0039】
押し込み面32cは、攪拌アーム32bの両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面である。
【0040】
フラップ32は、攪拌アーム32bの両側面に押し込み面32cが形成されることで、正逆両方向の回転動作で押し込み面32cに接した厨芥に対して、下方に押し付ける力を加えることができる。これにより、フラップ32は、回転動作で厨芥を取り込み、下段の破砕刃へと押し込む。
【0041】
また、フラップ32は、押し込み面32cの下端側が略垂直な面で構成され、下段のブリッジ33との協働で厨芥を粗く破砕する破砕刃として機能する。
【0042】
更に、フラップ32は、軸受部32aの上部に側方へ突出したハンドル32dが形成される。フラップ32は、各回転破砕刃と一体となって回転する構成であるので、最上段のフラップ32にハンドル32dを形成することで、直接破砕刃に触れることなく、このハンドル32dを操作することで各回転破砕刃を回転操作できるようになっている。
【0043】
すなわち、図1に示すように取り外されているバスケット3を破砕室2に取り付ける際に、駆動軸41の嵌合部41aとの連結のため破砕刃アセンブリ30の回転方向の向きを調整する場合、ハンドル32dを操作すれば、直接破砕刃に触れることなく、破砕刃アセンブリ30の回転方向の向きが調整できる。
【0044】
フラップ32は、軸受部32aに軸取付孔32eが貫通形成される。軸取付孔32eは断面形状が略D型状で、第1カッター34の後述する軸部に回転できない状態で嵌められる。
【0045】
次に、各図を参照してブリッジ33の構成の詳細について説明する。フラップ32の下段に配置されるブリッジ33は、回転破砕刃の回転軸を中心とするハブ33aが形成され、ハブ33aから外側に向かって延在する2本のアーム33bを備える。
【0046】
ブリッジ33のハブ33aは、第1カッター34の後述する第1の軸部(34c)が挿入される孔部の内径が、第1カッター34の回転の負荷とならないように、第1の軸部の外径より大きく構成される。
【0047】
アーム33bは、ハブ33aの外周面の180°間隔の位置から水平に延びる。各アーム33bは、両側面が略垂直な平板形状で、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34との協働で破砕刃として機能する。
【0048】
ブリッジ33は、各アーム33bの上面と下面が、それぞれ水平な面で構成されても良いが、本例では、各アーム33bの外側部分の下面が、第1カッター34側へ突出して突出面33cが形成される。各アーム33bのハブ33aに近い内側側は、水平な面で構成される。これにより、各アーム33bは、内側より外側の方が肉厚となっている。
【0049】
ブリッジ33は、各アーム33bの外側先端部分に脚部33dが形成される。ブリッジ33は、図6に示すハウジング31の溝部31bに脚部33dが嵌められ、回転が規制される。また、ブリッジ33と第2カッター35との間に、第1カッター34を回転可能とする所定の高さの隙間を形成して、回転破砕刃の回転軸に対してブリッジ33が傾斜しないように構成される。
【0050】
次に、各図を参照して第1カッター34の構成の詳細について説明する。ブリッジ33の下段に配置される第1カッター34は、回転軸を中心とするハブ34aが形成され、ハブ34aから外側に向かって延在する3本のアーム34bを備える。
【0051】
また、第1カッター34は、回転軸を構成する第1の軸部34cを、厨芥が投入される側であるハブ34aの上面に備えると共に、第2の軸部34dを、厨芥が排出される側であるハブ34aの下面に備える。
【0052】
アーム34bは、ハブ34aの外周面の120°間隔の位置から放射状に延びる。また、各アーム34bは、下段に配置される第2カッター35と対向する底面に櫛歯部34eが形成される。櫛歯部34eは、アーム34bの底面及び回転方向における前後両面が開口した凹部が、所定のピッチで複数個所に形成された凹凸形状である。
【0053】
第1カッター34は、各アーム34bの上面が、ブリッジ33の形状に合わせて水平な面で構成されても良いが、本例では、各アーム34bの外側部分の上面が、ブリッジ33と反対の側へ後退した形状の後退面34fが形成される。また、各アーム34bのハブ34aに近い内側側は、水平な面で構成される。これにより、各アーム34bは、内側より外側の方が肉薄となっている。
【0054】
また、第1カッター34は、アーム34bの回転方向における前後両面の上側部分を傾斜させ、アーム34bの上側部分の厚さを漸次肉薄とした肉抜き面34gが形成される。これにより、第1カッター34は、アーム34bの強度及び破砕性能を低下させることなく、軽量化が図られる。
【0055】
更に、第1カッター34は、ハブ34aの外周面が、内側に向けて凹状に湾曲させた湾曲面として構成され、アーム34bの強度を低下させることなく、ハブ34aを肉薄に形成して、軽量化が図られる。
【0056】
第1カッター34は、ハブ34aの上面から突出した第1の軸部34cが、上段に配置されるブリッジ33のハブ33aに対して回転可能に挿入される。また、第1の軸部34cの上端側の断面形状が略D型形状の部分に、最上段のフラップ32の軸取付孔32eが回転不可に嵌められる。更に、第1の軸部34cの先端に形成されたネジ部34hにナット30aが締結され、フラップ32とブリッジ33が、第1カッター34から外れないように固定される。
【0057】
第1カッター34は、ハブ34aの下面から突出した第2の軸部34dが、下段に配置される第2カッター35に対して回転可能に挿入される。また、第2の軸部34dの下端側に、第3カッター36に嵌る角軸部34iが形成される。更に、角軸部34iの底面に形成されたネジ穴34jにネジ30bが締結され、フラップ32及びブリッジ33が取り付けられた第1カッター34と第2カッター35が、第3カッター36から外れないように固定される。
【0058】
次に、各図を参照して、第2カッター35の構成の詳細について説明する。第1カッター34の下段に配置される第2カッター35は、回転破砕刃の回転軸を中心とするハブ35aが形成され、ハブ35aから接線方向に放射状に延びる8本のアーム35bが、リング35cで囲まれた形状である。
【0059】
第2カッター35のハブ35aは、第1カッター34の第2の軸部34dが挿入される孔部の内径が、第1カッター34の回転の負荷とならないように、第2の軸部34dの外径より大きく構成される。
【0060】
また、第2カッター35は、リング35cの外周に、180°間隔の位置から放射方向に突出する脚部35dが形成される。第2カッター35は、図6に示すハウジング31の溝部31bに脚部35dが嵌められ、回転が規制される。また、脚部35dは所定の高さを有し、ブリッジ33の脚部33dが脚部35dの上側に載ることで、ブリッジ33と第2カッター35との間に、第1カッター34を回転可能とする所定の高さの隙間が形成される。
【0061】
第2カッター35は、8本のアーム35bの中で、6本のアーム35bには上面に櫛歯部35eが形成される。第2カッター35の櫛歯部35eは、第1カッター34の櫛歯部34eに入る形状の凸部が、櫛歯部34eの凹部のピッチと同じピッチで形成される。
【0062】
第1カッター34と第2カッター35は同軸上に配設されるので、第1カッター34が回転して、第1カッター34のアーム34bと第2カッター35のアーム35bが対向する位置となると、第1カッター34の凹凸形状の櫛歯部34eの間に、第2カッター35の凸形状の櫛歯部35eが通る。
【0063】
これにより、第2カッター35のアーム35bの間に入った厨芥が、第1カッター34との協働で破砕される。
【0064】
上述したように、第1カッター34のアーム34bは3本、第2カッター35のアーム35bは8本であるので、アーム34b同士の間隔に対してアーム35b同士の間隔が狭い。
【0065】
このため、第2カッター35で8本全てのアーム35bに櫛歯部35eを設けると、第1カッター34のアーム34bの間に常に第2カッター35の櫛歯部35eが存在する状態となり、ある程度の大きさのブロック形状の厨芥が投入された場合に、第1カッター34のアーム34b間に厨芥が入り込まず、破砕されにくくなる事象が発生する。
【0066】
そこで、第2カッター35において、8本のアーム35bの中で、例えば2本のアーム35b1には櫛歯部35eを設けないことで、第1カッター34の回転動作中に、第2カッター35の櫛歯部35eを設けていないアーム35b1が第1カッター34のアーム34bの間に位置する場合は、円周方向に広い空間が形成されるようにする。
【0067】
これにより、ある程度の大きさのブロック形状の厨芥が投入された場合でも、第1カッター34のアーム34b間に厨芥が入り、第1カッター34の回転動作で櫛歯部34eと第2カッター35の櫛歯部35eとの協働で厨芥が破砕される。
【0068】
なお、第2カッター35において、櫛歯部35eを設けないアーム35bの数が多いと破砕能力が低下するので、例えば8本のアーム35bを備える場合は、櫛歯部35eを設けないアーム35b1は2本程度が望ましい。
【0069】
また、第2カッター35は、各アーム35bがハブ35aの接線方向に沿って放射状に延在することで、第2カッター35において径方向に並ぶ複数の櫛歯部35eに対して、第1カッター34が回転する際に、第1カッター34の櫛歯部34eが通るタイミングを円周方向にずらして、破砕負荷のピークの抑制および負荷の平坦化を図っている。
【0070】
更に、第2カッター35は、各アーム35bの回転方向の前後両面に押し付け面35fが形成される。押し付け面35fは、アーム35bの両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面である。
【0071】
第2カッター35の下段に配置される第3カッター36は、第2カッター35のアーム35bの底面と擦り合わされながら回転動作を行う。このため、第2カッター35のアーム35bの回転方向の前後両側面に押し付け面35fが形成されることで、押し付け面35fに接したある程度の大きさまで破砕されている厨芥に対して、第3カッター36の回転動作でこの第3カッター36に押し付ける力を加えることができる。
【0072】
また、第2カッター35は、各アーム35bの回転方向の前後の一方の側面は、縦溝を並列した波形面35gが形成される。これにより、第3カッター36の一の方向の回転動作時には、第2カッター35では、波形面35gの凹部で厨芥を捕らえて厨芥の半径方向への移動を抑制し、厨芥を確実に破砕できるようにしている。
【0073】
図10は、衝撃吸収部材の一例を示す第3カッターの分解斜視図で、次に、各図を参照して、第3カッター36及び衝撃吸収部材の構成の詳細について説明する。第2カッター35の下段に配置される第3カッター36は円板形状で、軸部36aの形成部位を除く全面に多数のスリット36bを配列している。なお、本例の第3カッター36においては、複数のスリット群が形成され、各スリット群においては、隣接するスリット36b同士は略平行に配列される。
【0074】
第3カッター36の上面は平面で、上段に配置される第2カッター35の各アーム35bの底面に接しながら回転する。また、第3カッター36のスリット36bは円板を表裏貫通し、スリット36bの上面側開口縁部にはエッジが形成される。
【0075】
第1カッター34の櫛歯部34eと第2カッター35の櫛歯部35eにより破砕されて、第3カッター36の上面に落下した厨芥は、スリット36bに引っ掛かり、第3カッター36が回転することで、第2カッター35の押し付け面35fによりスリット36bに押し付けられて、スリット36bのエッジ部分により破砕される。そして、細かく破砕された厨芥は、スリット36bを通って下方へ落下し、水の流れによって図3等に示す破砕室2の排水管接続口21から外部へと排出される。
【0076】
第3カッター36は、軸部36aの上面側に、第1カッター34の角軸部34iが嵌る角穴部36cが形成される。また、軸部36aの底面側には、図1等に示す駆動軸41の嵌合部41aが嵌る六角穴部36dが形成され、角穴部36cと六角穴部36dの間には、ネジ30bが通る貫通孔が形成される。
【0077】
軸部36aは、第3カッター36の底面から突出する形態で一体に形成される。軸部36aの外周面の形状は多角形状で、本例では図10に示すように六角形状である。
【0078】
軸部36aに取り付けられる衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bを備える。第1の衝撃吸収部材37aは、所定の硬度を有する樹脂材料で構成される。第1の衝撃吸収部材37aは円筒形状で、外周面に複数の溝部37cが形成される。また、第1の衝撃吸収部材37aの内周面の形状は、軸部36aの外周面の形状と合わせた多角形状で、本例では図10に示すように六角形状である。
【0079】
第2の衝撃吸収部材37bは、第1の衝撃吸収部材37aより柔らかい所定の硬度を有する例えばゴム材料で構成される。第2の衝撃吸収部材37bは、外周面と内周面の両方が円形のリング状で、内周面の直径は、軸部36aに挿入可能な大きさである。
【0080】
衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aに形成された長孔37dに、脱落防止部材であるネジ38が挿入され、ネジ38が軸部36aに形成されたネジ孔36eに締結されることで、軸部36aに固定される。
【0081】
図11は、衝撃吸収部材の動作の一例を示す要部側面図で、次に、各図を参照して、衝撃吸収部材の取付構造及び動作について説明する。第1の衝撃吸収部材37aは、上下方向に延びる長孔37dが、外周面から内周面に貫通して形成される。本例では、第1の衝撃吸収部材37aの対向する2箇所に長孔37dが形成される。長孔37dの短手方向の寸法は、ネジ38の頭部が入る長さで、長孔37dの長手方向の寸法は、ネジ38の頭部が移動可能な長さである。
【0082】
衝撃吸収部材37は、第2の衝撃吸収部材37bを第1の衝撃吸収部材37aの上側として、軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入される。軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入されると、長孔37dの内部の所定の位置に、軸部36aに形成されたネジ孔36eが露出する。
【0083】
長孔37dとネジ孔36eは、長孔37dに挿入されたネジ38がネジ孔36eに締結されると、図11(a)に示すように、ネジ38の頭部と長孔37dの上端が接する位置関係となっている。
【0084】
また、ネジ38の頭部と長孔37dの上端が接する状態で、衝撃吸収部材37は、軸部36aの下端36fより第1の衝撃吸収部材37aが突出するように、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの特に上下方向の寸法が設定される。
【0085】
これにより、衝撃吸収部材37は、軸部36aに第2の衝撃吸収部材37bと第1の衝撃吸収部材37aが挿入され、第1の衝撃吸収部材37aの長孔37dにネジ38が挿入され、ネジ38が軸部36aのネジ孔36eに締結されると、第1の衝撃吸収部材37aが、軸部36aの下端36fより突出して、軸部36aの外周を覆う。
【0086】
衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aが、軸部36aに対して長孔37dの長手方向に沿った上下方向に移動可能に固定される。衝撃吸収部材37は、上下方向の荷重が加わらない状態では、第2の衝撃吸収部材37bの弾性力により、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態で保持される。
【0087】
衝撃吸収部材37は、上下方向の荷重が加わると、図11(b)に示すように、主に第2の衝撃吸収部材37bが弾性変形して、第2の衝撃吸収部材37bの厚さがt1からt2(<t1)に変化することにより、第1の衝撃吸収部材37aが上下方向に移動する。このとき、想定される最大荷重が加わった場合でも、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態を保持できるように、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さ、及び第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの硬度等が設定される。
【0088】
次に、破砕刃アセンブリ30を組み立てた状態について各図を参照して説明する。破砕刃アセンブリ30は、第1カッター34の第2の軸部34dに第2カッター35のハブ35aが回転可能に嵌められ、第2の軸部34dの角軸部34iが、第3カッター36の角穴部36cに嵌められる。
【0089】
そして、第3カッター36の六角穴部36d側から、ネジ30bが第1カッター34の角軸部34iのネジ穴34jに締結されて、第1カッター34と第2カッター35と第3カッター36が一体に構成される。
【0090】
また、第1カッター34の第1の軸部34cにブリッジ33のハブ33aが回転可能に嵌められ、更に、第1の軸部34cにフラップ32の軸取付孔32eが回転不可に嵌められる。
【0091】
そして、第1の軸部34cのネジ部34hにナット30aが締結されて、フラップ32及びブリッジ33と第1カッター34が一体に構成される。
【0092】
なお、上述したように一体化された破砕刃アセンブリ30のハウジング31への取り付けは、ブリッジ33の脚部33d及び第2カッター35の脚部35dを、図6に示すハウジング31の溝部31bに嵌めることで、ブリッジ33及び第2カッター35は回転不可にハウジング31に保持される。
【0093】
そして、図5に示すように、ハウジング31の溝部31bに保持金具39を嵌め、保持金具39をネジ39aでハウジング31に固定することで、破砕刃アセンブリ30は、保持金具39で上下方向への移動が不可能にハウジング31に保持される。これにより、ハウジング31に対してフラップ32、第1カッター34及び第3カッター36が回転可能なバスケット3が構成される。
【0094】
<本実施の形態の厨芥処理装置の動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の厨芥処理装置1Aの動作について説明する。まず、厨芥処理装置1Aの全体の動作について説明すると、蓋12を開けて投入口20から破砕室2に厨芥が投入され、蓋12で投入口20を閉じて、蓋12をロックのために所定方向に回転させると、図示しない制御手段は、蓋12で投入口20が閉じられたことを検出して、モータ40を回転駆動する。
【0095】
具体的には、数秒毎、例えば5秒毎に正転と逆転動作を繰り返す回転動作を行う。モータ40の回転速度としては、回転破砕刃であるフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が、例えば100rpm程度の低速で回転するように設定され、騒音や振動の発生を抑えている。
【0096】
なお、蓋12には給水孔12aが形成され、投入口20を蓋12で閉じても、破砕室2内へ給水が可能な構成であり、厨芥の破砕処理中は、シンク100に水を流す等によって、破砕室2の内部へ給水を行う。
【0097】
モータ40が回転すると、軸部36aで駆動軸41と接続されたフラップ32と第1カッター34と第3カッター36が一体に回転する。これに対して、ブリッジ33と第2カッター35は回転しない。
【0098】
これにより、投入口20から破砕室2内に投入された厨芥は、フラップ32の攪拌アーム32bにより攪拌され、下段のブリッジ33のアーム33bとの協働でおおまかに破砕されると共に、破砕された厨芥が第1カッター34のアーム34b間に送り込まれる。
【0099】
第1カッター34のアーム34bの間に送り込まれた厨芥は、第1カッター34の回転により、第1カッター34の櫛歯部34eの間に下段の第2カッター35の櫛歯部35eが通る際に細かく破砕される。
【0100】
ここで、第2カッター35は、複数のアーム35bの中で櫛歯部35eを設けないアーム35b1を備えることで、第1カッター34の回転により、櫛歯部35eが設けられていないアーム35b1が第1カッター34のアーム34bの間に位置すると、円周方向に大きな空間が形成される。
【0101】
これにより、ブロック状等の大きな厨芥でも、第1カッター34のアーム34bの間に入り込み、第1カッター34の回転によって、第1カッター34の櫛歯部34eの間に下段の第2カッター35の櫛歯部35eが通る際に細かく破砕される。
【0102】
これにより、少ない枚数の固定破砕刃と回転破砕刃の組み合わせで、様々な大きさが混在した厨芥を破砕することができる。
【0103】
第1カッター34と第2カッター35の協働で破砕された厨芥は、第2カッター35の各アーム35bと第3カッター36の協働で、スリット36bから排出される。
【0104】
すなわち、第3カッター36の回転で、上段側の第2カッター35のアーム35bの押し付け面35fに厨芥が接触すると、押し付け面35fの傾斜角度によって、厨芥は第3カッター36方向である下方へ押し付けられる力を受ける。
【0105】
これにより、第2カッター35のアーム35b間にある厨芥は、第3カッター36の回転によって、アーム35bの押し付け面35fにより第3カッター36のスリット36bに押し付けられる。そして、スリット36bの上面側開口縁部のエッジにより破砕され、押し付け面35fで更に押し込まれてスリット36bを通り下方へ落下する。
【0106】
ここで、厨芥処理装置1Aでは、各破砕刃に掛かる荷重を、モータ40に流れる電流値等で検出して、硬質物の破砕中に回転破砕刃が回転できない等で所定値以上の荷重が掛かると、モータ40を反転駆動する制御が行われ、力の掛かる方向を変えることで、負荷の軽減を図ると共に、硬質物の破砕を可能としている。
【0107】
厨芥処理装置1Aでは、例えば一定時間モータ40を回転駆動した後、図示しない制御手段はモータ40の駆動を停止させる。モータ40の駆動時間は、破砕室2内に投入された標準的な量の厨芥を破砕して、排水管接続口21から排出するために必要な時間を考慮して予め設定されている。
【0108】
本実施の形態の厨芥処理装置1Aでは、バスケット3を取り外すことで、バスケット3及び破砕室2の内部の洗浄が可能である。すなわち、バスケット3の内部には、破砕刃アセンブリ30の最上段に配置されるフラップ32のハンドル32dが露出しており、ハンドル32dを持つことで、バスケット3を破砕室2から容易に着脱できる。また、バスケット3を破砕室2に取り付ける際に、駆動軸41の嵌合部41aに第3カッター36の六角穴部36dを嵌める必要がある。駆動軸41の嵌合部41aと六角穴部36dは、角軸と角穴の嵌合で結合されるので、六角穴部36dの向きを調整する必要がある。
【0109】
本例では、フラップ32と第1カッター34と第3カッター36は一体で回転するので、ハンドル32dを持ってフラップ32を回転させることで、第3カッター36が回転して、六角穴部36dの向きを調整することができる。
【0110】
従って、バスケット3を破砕室2に取り付ける際に、バスケット3の把持と、軸の向きを合わせる操作を、フラップ32のハンドル32dを持って行うことができ、着脱時の操作性が向上すると共に、安全性が向上する。
【0111】
そして、バスケット3が破砕室2に対して容易に着脱できることで、バスケット3を破砕室2から取り外して、バスケット3の内部の破砕刃アセンブリ30や破砕室2の内部の洗浄を行うことができる。
【0112】
さて、破砕室2から取り外されたバスケット3は、図4に示すように、第3カッター36がハウジング31の底部に露出し、軸部36aが底部から突出する。バスケット3は、軸部36aの外周が衝撃吸収部材37で覆われ、図11(a)に示すように、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出している。
【0113】
これにより、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にしてシンク100に置くような場合に、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、バスケット3の底部から突出した破砕刃の金属部分は、シンク100に直接接しない。
【0114】
シンク100がステンレス等の金属材料で構成される場合、破砕刃の金属部分が直接接触しても、表面に傷は付きにくい。これに対して、シンク100が人工大理石等の樹脂材料で構成される厨房設備も存在する。人工大理石で構成されるシンク100は、ステンレス等に対して質感やイメージの向上が図られる。一方、金属が直接接触すると、表面に傷がつきやすい。
【0115】
本実施の形態の厨芥処理装置1Aでは、破砕室2から取り外したバスケット3を、軸部36aを下にしてシンク100に置くような場合でも、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、破砕刃の金属部分はシンク100に直接接しないので、シンク100に傷が付くことを防止できる。
【0116】
なお、バスケット3を構成するハウジング31は樹脂材料で構成されているので、バスケット3を横向きや上下反転させてシンク100に置く場合、樹脂材料で構成されるハウジング31がシンク100と接するので、シンク100に傷が付くことを防止できる。
【0117】
万一、バスケット3を軸部36aを下にしてシンク100に落とした場合、衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出しているので、シンク100に第1の衝撃吸収部材37aが衝突し、破砕刃の金属部分は直接接しない。
【0118】
シンク100に第1の衝撃吸収部材37aが衝突することで、衝撃吸収部材37は、上方向に押し上げられる荷重が加わる。衝撃吸収部材37に上下方向の荷重が加わると、第1の衝撃吸収部材37aは、長孔37dにネジ38が挿入されて軸部36aに対して上下動可能に固定されていることで、図11(b)に示すように、主に第2の衝撃吸収部材37bが弾性変形して、第2の衝撃吸収部材37bの厚さがt1からt2(<t1)に変化することにより衝撃を吸収し、第1の衝撃吸収部材37aが上方向に移動する。
【0119】
第1の衝撃吸収部材37aは、破砕刃を構成する金属に比較して柔らかい材質で構成される。但し、衝撃吸収部材37全体を、第1の衝撃吸収部材37aと同じ材質で一体に構成すると、衝撃が加わった際の弾性変形量が十分でなく、衝撃を必要十分に吸収することができない。
【0120】
一方、衝撃吸収部材37全体を、第2の衝撃吸収部材37bと同じゴム材で一体に構成すると、衝撃が加わった際の弾性変形量が大きく、軸部36aが露出してしまう。更に、衝撃吸収部材37の軸部36aの下端36fからの突出量を大きくすれば、軸部36aが衝撃吸収部材37から露出しにくい構成とできるが、軸部36aが駆動軸41の嵌合部41aと嵌合するので、衝撃吸収部材37の突出量には制約がある。
【0121】
そこで、衝撃吸収部材37は、軸部36aから突出する部分には、金属より柔らかい所定の硬度を有した樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aを備え、第1の衝撃吸収部材37aを軸部36aに対して上下動可能な構成とする。また、第1の衝撃吸収部材37aの上側に、第1の衝撃吸収部材37aより柔らかい所定の硬度を有したゴム材料で構成される第2の衝撃吸収部材37bを備え、第2の衝撃吸収部材37bの弾性変形で、第1の衝撃吸収部材37aが上下動可能な構成とする。
【0122】
そして、所定の高さからバスケット3を落下させる際に想定される最大荷重が加わった場合でも、第1の衝撃吸収部材37aが軸部36aの下端36fより突出した状態を保持できるように、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さ、第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの硬度、及び第1の衝撃吸収部材37aと第2の衝撃吸収部材37bの上下方向の寸法等が設定される。
【0123】
これにより、バスケット3を軸部36aを下にしてシンク100に落とした場合でも、樹脂材料で構成される第1の衝撃吸収部材37aがシンク100と接し、衝撃が主に第2の衝撃吸収部材37bの弾性変形により吸収され、かつ、破砕刃の金属部分がシンク100に直接接しないので、シンク100のひび割れ等の損傷を防ぐことができる。
【0124】
第1の衝撃吸収部材37aをポリプロピレン(PP)で構成し、第2の衝撃吸収部材37bをニトリルゴム(NBR)で構成した場合、第1の衝撃吸収部材37aの軸部36aの下端36fからの突出高さを1.5mm程度、第2の衝撃吸収部材37bの上下方向の寸法を3mm程度とした構成で、シンク100に加わる衝撃値を40%程度低減でき、50cm程度の高さからバスケット3をシンク100に落下させた実験で、シンク100にひび割れ等が発生せず、所望の特性が得られた。
【0125】
なお、衝撃吸収部材37は、第1の衝撃吸収部材37aの外周面に溝部37cを形成しておくことで、バスケット3を取り外して洗浄を行う際に、第1の衝撃吸収部材37aを把持して各部の洗浄を行ったり、各破砕刃を回転させる操作のすべり止めとなり、清掃作業が容易かつ安全に行なえるようにすることができる。
【0126】
ここで、厨芥処理装置において、回転破砕刃と固定破砕刃の配置は上述した例に限るものではなく、バスケットの最下段に固定破砕刃が配置され、固定破砕刃の孔部から上段側の回転破砕刃の軸部が突出する構成であっても良い。また、衝撃吸収部材37は、軸部36aから突出する第1の衝撃吸収部材37aの下端を凹凸形状として、衝撃を分散できるようにしても良い。更に、第2の衝撃吸収部材37bをコイルバネや皿バネで構成しても良い。
【0127】
また、第1の衝撃吸収部材37aの素材としては、ポリプロピレン(PP)に代えて、ポリエチレン(PE)やポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂系の素材を用いても良い。このように、第1の衝撃吸収部材37aの素材としては、耐薬品性を備えた樹脂系の素材であれば良く、より好ましくは、シンク100を構成する素材よりも柔らかい素材であると良い。
【0128】
更に、第2の衝撃吸収部材37bの素材としては、ニトリルゴム(NBR)に代えて、シリコンゴムやフッ素スポンジ、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム等のゴム系の素材を用いても良い。このように、第2の衝撃吸収部材37bの素材としては、耐薬品性を備えたゴム系の素材であれば良く、より好ましくは、第1の衝撃吸収部材37aを構成する樹脂系の素材よりも柔らかい素材であると良い。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、住宅のキッチン等に設置され、生ゴミ処理の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0130】
1A・・・厨芥処理装置、10・・・装置本体、12・・・蓋、12a・・・給水孔、2・・・破砕室、20・・・投入口、21・・・排水管接続口、3・・・バスケット、30・・・破砕刃アセンブリ、31・・・ハウジング、32・・・フラップ、33・・・ブリッジ、34・・・第1カッター、35・・・第2カッター、36・・・第3カッター、36a・・・軸部、36e・・・ネジ孔、37・・・衝撃吸収部材、37a・・・第1の衝撃吸収部材、37b・・・第2の衝撃吸収部材、37d・・・長孔、38・・・ネジ、4・・・駆動機構、40・・・モータ、41・・・駆動軸、100・・・シンク、101・・・開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置され、前記固定破砕刃と回転駆動される前記回転破砕刃の協働で、厨芥を破砕して下方へ排出する厨芥処理装置において、
前記回転破砕刃と前記固定破砕刃が収容され、前記回転破砕刃に駆動力を伝達する軸部が底部から突出し、厨芥が投入される破砕室に対して着脱可能な破砕刃収容部材と、
前記回転破砕刃及び前記固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成され、前記軸部の下端から突出して前記軸部の周囲を覆う衝撃吸収部材と
を備えたことを特徴とする厨芥処理装置。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材は、前記回転破砕刃及び前記固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成される第1の衝撃吸収部材と、
前記第1の衝撃吸収部材に加わる荷重で弾性変形する第2の衝撃吸収部材を備え、
前記第1の衝撃吸収部材は、前記軸部の下端から突出して前記軸部の周囲を覆い、前記第2の衝撃吸収部材は、前記第1の衝撃吸収部材が前記軸部の下端より突出した状態を保持する範囲の弾性変形で、前記第1の衝撃吸収部材を上下動させる
ことを特徴とする請求項1記載の厨芥処理装置。
【請求項3】
前記第1の衝撃吸収部材は第1の材質で構成され、前記第2の衝撃吸収部材は、前記第1の材質より柔らかく、前記第1の衝撃吸収部材に加わる荷重で弾性変形する所定の硬度を有した第2の材質で構成される
ことを特徴とする請求項2記載の厨芥処理装置。
【請求項4】
前記第1の衝撃吸収部材は、移動方向を規制する長孔が形成され、前記長孔に挿入された脱落防止部材により前記軸部に移動可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2または3記載の厨芥処理装置。
【請求項1】
回転破砕刃と固定破砕刃が交互に配置され、前記固定破砕刃と回転駆動される前記回転破砕刃の協働で、厨芥を破砕して下方へ排出する厨芥処理装置において、
前記回転破砕刃と前記固定破砕刃が収容され、前記回転破砕刃に駆動力を伝達する軸部が底部から突出し、厨芥が投入される破砕室に対して着脱可能な破砕刃収容部材と、
前記回転破砕刃及び前記固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成され、前記軸部の下端から突出して前記軸部の周囲を覆う衝撃吸収部材と
を備えたことを特徴とする厨芥処理装置。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材は、前記回転破砕刃及び前記固定破砕刃を構成する金属材料より柔らかい所定の硬度を有した材質で構成される第1の衝撃吸収部材と、
前記第1の衝撃吸収部材に加わる荷重で弾性変形する第2の衝撃吸収部材を備え、
前記第1の衝撃吸収部材は、前記軸部の下端から突出して前記軸部の周囲を覆い、前記第2の衝撃吸収部材は、前記第1の衝撃吸収部材が前記軸部の下端より突出した状態を保持する範囲の弾性変形で、前記第1の衝撃吸収部材を上下動させる
ことを特徴とする請求項1記載の厨芥処理装置。
【請求項3】
前記第1の衝撃吸収部材は第1の材質で構成され、前記第2の衝撃吸収部材は、前記第1の材質より柔らかく、前記第1の衝撃吸収部材に加わる荷重で弾性変形する所定の硬度を有した第2の材質で構成される
ことを特徴とする請求項2記載の厨芥処理装置。
【請求項4】
前記第1の衝撃吸収部材は、移動方向を規制する長孔が形成され、前記長孔に挿入された脱落防止部材により前記軸部に移動可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2または3記載の厨芥処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−36767(P2011−36767A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184708(P2009−184708)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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