説明

双方向無線測距精度を向上させるために相対クロック周波数差を推定する方法およびシステム

【課題】精度、安定度の高い部品、複雑な回路を使用せず、複雑な演算なしに、双方向無線測距を行う方法を提供する。
【解決手段】第1送受信機の第1クロックXと第2送受信機の第2クロックY間の相対クロック周波数差を推定することで双方向無線測距精度を向上させる。時刻t0で第1送受信機が第1パケットを送信し時刻t1で第2送受信機がこれを受信し、時刻t2で第2送受信機が第2パケットを送信し時刻t3で第1送受信機がこれを受信し、時刻t4で第2の送受信機が第3のパケットを送信し時刻t5で第1送受信機がこれを受信し、時刻t2とt4間、時刻t3とt5間の遅延から相対クロック周波数差を求め、これに基づいて第1送受信機、第2送受信機間の距離を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、無線装置間の相対クロック周波数差(RCFO)補償による正確な測距推定に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの無線通信ネットワークでは、各装置は単一の基準クロックに同期されない。そうではなく、各装置は各自のクロックに頼る。ハードウェア、製造プロセス、温度変動、部品経年劣化等の制限に起因して、クロックの実際の動作周波数は、一般に、設計された公称周波数と異なる。例えば、100MHzクロック信号が、許容差+/−20百万分率(ppm)を有する水晶によって生成される場合、クロックの実際の周波数は、99,998,000Hz〜100,002,000Hzの範囲内の任意の値であり得る。
【0003】
クロックの実際の周波数と設計された公称周波数との差は、「クロック周波数差」(CFO)又は「絶対クロック周波数差」(ACFO)と称される。(同じ公称周波数を有する)2つの独立したクロックの周波数間の差は、「相対クロック周波数差」(RCFO)と呼ばれる。例えば、公称周波数100MHzを有する2つのクロックがあり、一方のクロックが周波数99,998,000Hzを有し、他方のクロックが周波数100,002,000Hzを有する場合、RCFOは4KHz又は40ppmである。
【0004】
CFO及びRCFOは問題を生じるおそれがある。クロックが時間測定に使用される場合、ACFO及び/又はRCFOは誤差をもたらす。デジタル回路では、時間は一般に、2つの時刻の間のクロックサイクル数として測定される。
【0005】
【数1】

【0006】
式中、Tactualは実際のクロック周期であり、factualは実際のクロック周波数である。一例として、正確な100MHzクロックに基づくタイマは、1ミリ秒周期で100,000クロックサイクルをカウントする。ACFOが−20ppmである場合、実際のカウントは100,000クロックサイクルではなく〜99,998クロックサイクルである。装置が各自のクロックのACFOに関しての知識を有しない場合に多く当てはまるが、ACFOが補償されない場合、時間は単純に公称周波数を使用して計算される。
【0007】
【数2】

【0008】
式中、Tnormは公称クロック周期であり、fnormは公称クロック周波数であり、ΔfabsはACFOである。この例では、fnorm=100MHzであり、t=999,980nsであり、結果として20nsの時間誤差が生じる。
【0009】
同じ時間期間が、独立したクロックを使用する2つの装置によって測定される場合、RCFOは測定に不一致を生じる。例えば、公称クロック周波数が、タイマX及びタイマYの両方で100MHzである場合、タイマXは−20ppmの差を有し、タイマYは+20ppmの差を有し、これは40ppmのRCFOである。1ミリ秒時間期間は、タイマX及びタイマYでそれぞれ99,998,000ns及び100,002,000nsとして測定され、差は40nsである。
【0010】
RCFOは、双方向TOA(TW−TOA)システムの測距精度において大きな影響を有する。TW−TOAは、2つの送受信機間の測距に使用することもできる方法である。TW−TOAでは、送信機と受信機とを厳密に同期させる必要がない。TW−TOA測距方法は、IEEE802.15.4a規格に使用されている。
【0011】
TW−TOAでは、2つの送受信機がパケットを交換し、往復遅延が測定される。典型的な交換は以下の通りである。第1の装置がパケットを第2の装置に送信する。第2の装置は、パケットを受信した後、パケットを第1の装置に返送する。第1の装置は、第1のパケットの送信から第2のパケットの受信までに経過した合計時間を測定する。第2の装置は、第1のパケットの受信から第2のパケットの送信までに経過した時間を測定する。信号の往復移動時間は、これらの2つの測定値間の差として計算される。装置間の距離は、往復移動時間の2分の1を信号速度(電磁信号の場合、自由空間内で3×10m/秒)で乗算した積として計算される。
【0012】
第2の装置でのターンアラウンドタイムは、信号の「飛行」時間よりもはるかに長いため、RCFOに起因する誤差は、TW−TOAシステムの時間推定誤差全体において支配的な要因である。装置がRCFOの正確な推定値を得ることができる場合、それを補償することによって時間推定精度を改善することができる。明らかに、正確なRCFO推定は、正確な時間測定を実現する際に非常に重要である。
【0013】
図4は、従来技術による測距手順を示す。装置Xが、時刻tにおいて、要求パケット(測距要求(ranging-req))111を送信する。パケットは、時刻tにおいて、装置Yによって受信される。いくらかの遅延後、装置Yは、時刻tにおいて、肯定応答パケット(測距肯定応答(ranging-ack))112を送信する。測距肯定応答パケットは、時刻tにおいて、装置Xによって受信される。ターンアラウンド遅延t12が装置Yによって測定され、測距肯定応答パケット又は別個のパケット(測距データ(ranging-data))のいずれかで装置Xに送信される。遅延t03が装置Xによって測定される。
【0014】
を信号の「飛行」時間とする。周波数差を考慮しない場合、推定される往復飛行時間は、
【0015】
【数3】

【0016】
であり、t03は、装置Xによるそのクロックclkに基づく測距要求パケットの送信から測距肯定応答パケットの受信までの測定される往復時間であり、t12は、装置Yによるそのクロックclkに基づく測距要求パケットの受信の開始から測距肯定応答パケットの送信の開始までの測定されるターンアラウンドタイムである。
【0017】
装置Xと装置Yとの間の飛程は、
【0018】
【数4】

【0019】
である。式中、Cは電磁信号の速度、例えば自由空間では3×10m/秒である。
【0020】
真の往復飛行時間は、
【0021】
【数5】

【0022】
であるため、推定誤差は、
【0023】
【数6】

【0024】
である。
【0025】
プロセス時間は飛行時間よりもはるかに長く、且つt12>>2tであるとすると、
【0026】
【数7】

【0027】
式中、Δfは、公称周波数fに対するタイマクロックの周波数差であり、ΔfXYは、装置Xのタイマクロックと装置Yのタイマクロックとの間の相対周波数差である。上記式は、t12及びΔfXY/fを低減すると、時間推定精度が向上することを示す。しかし、実際には、所望の向上は実現可能でない場合がある。ΔfXY/fは、部品性能(特に水晶発振器)によって決まり、精度/安定性が高い部品ほどコストが高く、より複雑な回路設計を必要とし得る。
【0028】
プロセス時間t12は、多くの場合、いくつかの要因によって決まり、容易に低減することができない。その理由は、多くの通信規格が送信間にかなりの期間を課しており、受信側装置はデータを処理し、パケットを上位層に渡さなければならず、処理時間が長く、またパケットのペイロード部分の長さがゼロではないことが多いためである。
【0029】
無線システムにおいてRCFOを推定する従来の方法は、以下を含む。
【0030】
一つの方法は、受信パケットのプリアンブルを使用する。一般に、パケットのプリアンブルは複数のシンボルを含む。プリアンブルの長さ又は2つのシンボル間の時間間隔を測定することによって、受信側装置は、送信側装置のクロックに対する自身のクロックのRCFOを推定することができる。このような方法は、プリアンブルが有限の持続時間を有するため、正確なRCFO推定をもたらさない。したがって、2つのシンボル間の時間間隔はあまり大きくなることができず、この方法は、プリアンブル内の多くのシンボルを使用することによる処理利得からの恩恵を受けず、この方法は、搬送波周波数差及びサンプルタイミング誤差に敏感である。
【0031】
対称両側双方向(symmetric double-sided two-way)プロトコルは、以下の順序で2つの装置間でデータ/測距パケットを交換する。
装置Aが第1のパケットを送信する。
装置Bが第1のパケットを受信する。
装置Bが第2のパケットを送信する。
装置Aが第2のパケットを受信する。
装置Aが第3のパケットを送信する。
装置Bが第3のパケットを受信する。
装置A及び装置Bが、追加のデータパケットにおいてタイミング情報を交換する。
【0032】
装置Aは、第1のパケットを送信してから第2のパケットを受信するまでの往復時間troundAを測定する。装置Bは、第1のパケットを受信してから第2のパケットを送信するまでの返送時間treplyBを測定し、装置Aは、第2のパケットを受信してから第3のパケットを送信するまでの返送時間treplyAを測定する。
【0033】
このような方法の欠点は、RCFOに起因する誤差を相殺するために、時間treplyA及びtreplyBが同一又は非常に近くなければならないこと、情報を一方の装置から他方の装置に渡すために追加の送信が必要であること、及び2つの装置のRFフロントエンドでの遅延不整合が追加の誤差をもたらし得ることである。
【0034】
別の方法は、プリアンブルと、ペイロード部又は場合によってはポストアンブルとの組み合わせを使用する。Sahinogluによって2007年6月30日に出願された「Method for Reducing Radio Ranging Errors Due to Clock Frequency Offsets」という発明の名称の米国特許出願第11/749,517号を参照されたい。当該特許文献は、参照により本明細書に援用される。
【0035】
別の方法は周波数領域解析を使用する。パケットのプリアンブルの一部又は全部に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行することによって、RCFOを推定することができる。この手法では、多数のサンプルの記憶、複雑なFFT演算を必要とし、ひいては追加のハードウェア、ソフトウェア、及び電力を必要とする。精度は、受信信号の信号対雑音比(SNR)及びFFTに使用されるプリアンブル部分のサイズによって決まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
上記問題及び複雑性のないRCFOを推定する方法を提供することが望まれる。
【0037】
本発明は、データパケット交換を実行することによって非同期クロックを使用する2つの無線通信装置間の相対クロック周波数差(RCFO)を推定する方法を提供する。当該方法は、双方向到着時間(TOA)測定の測距推定誤差を最小に抑える。
【課題を解決するための手段】
【0038】
第1の送受信機が第1のパケットを送信する。第2の送受信機が第2のパケットを送信し、それから、第1の遅延後に第3のパケットを送信する。第1の送受信機は第2のパケットを受信し、それから、第2の遅延後に第3のパケットを受信する。相対クロック周波数差が、測定される第1の遅延及び第2の遅延から求められる。
【発明の効果】
【0039】
従来の方法と比較して、本発明は以下の利点を有する。
【0040】
本発明では、測距通信又はデータ通信を実行するために使用されるパケットの構造を変更する必要がない。
【0041】
チャネルインパルス応答、RF回路、及びベースバンド回路の不完全性のいかなる影響も相殺される。
【0042】
クロックの有限期間に起因するいかなる量子化誤差も、第1の遅延の増大によって低減することができる。
【0043】
RCFO推定の精度が高い。
【0044】
追加のハードウェア、計算、及びパワーの要件が非常に低い。
【0045】
方法は、IEEE802.15.4a規格に準拠し、その規格によって使用される媒体アクセス(MAC)プロトコルを変更する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
無線測距装置
図1は、本発明の一実施の形態による無線通信装置X101及び装置Y102を示す。装置Xと装置Yとの間の距離はDXY110である。装置Xは、データパケット120を装置Yに送信することができ、装置Yはデータパケット130を装置Xに送信することができる。図1は、タイマX141及びタイマY142並びにクロック信号clk151及びclk152も示す。タイマはクロック信号をカウントする。タイマは、カウントクロック信号がそれぞれの公称(設計)周波数からのオフセットによって異なる周波数を有すること以外は同一である。装置は複数のタイマを有してもよい。
【0047】
タイマ
図2は、公称クロック周波数fnormを有する信号clk202に従って動作するタイマ201を概略的に示す。もちろん、公称周波数は両装置で既知である。タイマ201がタイマ141、142のベースを形成する。
【0048】
タイマは、信号cntstart211がアクティブ(ON)になるとカウントを開始し、cntstop212がアクティブになるとカウントを停止する。タイマはカウントN213を出力し、
【0049】
【数8】

【0050】
を使用して、cntstartからcntstopまでに経過した時間を求めることができる。
【0051】
相対クロック周波数差(RFCO)
図3は、クロック周波数差に起因する時間測定誤差を示す。時刻tにおいて、cntstart信号がアクティブになり、タイマがカウントを開始する。次に、時刻tにおいて、cntstopがアクティブになり、タイマがカウントを停止する。
【0052】
タイマの公称クロック周波数がfnormである場合、出力カウントはNである。タイマXの実際のクロック周波数がfである場合、タイマXの出力カウントはNである。タイマYの実際のクロック周波数がfである場合、タイマYの出力カウントはNであり、以下のようにして与えられる。
【0053】
【数9】

【0054】
式中、Δfは、公称周波数fに対するクロックXの周波数誤差であり、Δfは、公称周波数fに対するクロックYの周波数誤差であり、ΔfXYは、クロックXとクロックYとの間の相対周波数誤差である。ΔN及びΔNは、公称カウントNに対するカウント誤差である。
【0055】
avg=(N+N)/2の場合、tは、
【0056】
【数10】

【0057】
として近似することができる。
【0058】
、N及び公称周波数fが分かっている場合、相対クロック周波数差は、
【0059】
【数11】

【0060】
である。
【0061】
RCFOプロトコル
図5は、本発明の一実施の形態による、パケット交換プロトコル及び関連付けられるRCFO推定方法を示す。図5において、時間軸は下に流れる。以下において、装置Xにおけるタイミング情報はクロックX及びタイマ141に対するものであり、装置Yにおけるタイミング情報はクロックY及びタイマ142に対するものである。これは暗黙的に理解され、上付文字及び下付文字によって明示的に示される。したがって、図5において、時間tは、図示のように、クロックカウントNに等しい。
【0062】
時刻tにおいて、装置Xが測距要求パケット111を送信する。装置Yは、時刻tにおいて、測距要求パケットを受信する。
【0063】
測距要求パケットを受信した後、且つ遅延t12後、装置Yは、時刻tにおいて、測距肯定応答パケット112を送信する。装置Xは、時刻tにおいて、測距肯定応答パケットを受信する。
【0064】
測距要求パケット111を受信した後、且つ第1の遅延t24後、装置Yは、時刻tにおいて、測距データ113を送信する。装置Xは、時刻tにおいて、測距データパケットを受信する。
【0065】
周波数差を考慮せずに推定される往復時間は、
【0066】
【数12】

【0067】
であり、式中、t03は、
【0068】
【数13】

【0069】
として求められる装置Xが測距要求パケットを送信してから測距肯定応答パケットを受信するまでの測定される往復時間であり、t12は、
【0070】
【数14】

【0071】
として求められる装置Yが測距要求パケットを受信してから測距肯定応答パケットを送信するまでの測定されるターンアラウンドタイムである。
【0072】
装置XとYとの間の飛程すなわち距離110は、
【0073】
【数15】

【0074】
であり、式中、Cは光速である。
【0075】
真の往復時間は、
【0076】
【数16】

【0077】
であるため、推定誤差は、
【0078】
【数17】

【0079】
である。
【0080】
処理時間は信号「飛行」時間よりもはるかに長い、すなわち、
12>>2t
とすると、
【0081】
【数18】

【0082】
であり、式中、Δfは、公称周波数fに対するタイマクロックの周波数差であり、ΔfXYは、装置Xのタイマクロックと装置Yのタイマクロックとの間の相対周波数差である。式(1)は、t12及びΔfXY/fを低減することによって、時間推定精度が向上することを示す。
【0083】
しかし、実際には、所望の向上は実現可能でない場合がある。値ΔfXY/fは、部品性能、特に水晶発振器によって決まり、精度/安定性が高い部品ほどコストが高く、より複雑な回路設計を必要とし得る。
【0084】
処理時間t12は、多くの場合、いくつかの要因によって決まり、容易に低減することができない。これらの要因には以下が含まれる。すなわち、通信規格は、通常、送信間に「かなりの」期間を課す。受信側装置は、データを処理し、パケットを上位層に渡さなければならず、処理時間は往復時間よりもかなり長い。パケットはゼロではない長さを有する。
【0085】
しかし、ΔfXYの正確な推定を得れば、時間推定の精度を向上させることができる。相対クロック周波数差に対する装置(送受信機)間の各パケットの信号の飛行時間推定は、
【0086】
【数19】

【0087】
である。
【0088】
推定誤差は、
【0089】
【数20】

【0090】
であり、式中、Δf’XYは推定されるRCFOである。
【0091】
式(3)は、相対周波数差の正確な推定が、時間推定誤差を大幅に低減することを示す。正確な相対周波数クロック差推定が達成される場合、すなわちΔf’XY=ΔfXYが達成される場合、式(3)中の最初の項がゼロになる。第2の項は、f>>ΔfXY且つf>>Δf’XYであるため、非常に小さい。したがって、ΔtはΔpよりも大幅に小さい。したがって、時間推定は非常に正確である。
【0092】
RCFOを推定するために、装置Xは、カウントN35として、測距肯定応答パケット112を受信してから測距データパケット113を受信するまでに経過した時間である第2の遅延t35を測定する。装置Yは、カウントN24として、測距肯定応答パケット112を送信してから測距データパケット113を送信するまでに経過した時間である第1の遅延t24を測定する。
【0093】
装置Yは、時間測定N24を装置Xに送信する。
【0094】
装置Xは、
【0095】
【数21】

【0096】
として相対クロック周波数差(RFCO)ΔfXYを求める。式中、fは、第1及び第2のクロックの公称周波数である。
【0097】
第1の遅延N24は、装置Yでの2つの送信パケット間の遅延であるため、厳密な値である。第2の遅延N35は、装置Xが受信する2つのパケット間の時間差である。
【0098】
次に、装置Xは式(2)を使用してtを求めることができる。
【0099】
第1の遅延N24の値は、以下を含むがこれに限定されない方法を使用して装置Xに知らせることができる。
24がネットワークによって予め決定される。
24が、装置Yによって予め決定され、測距肯定応答パケット112で送信される。
24が測距データパケット113で送信される。
24がいくつかの他のパケットで装置Xに送信される。
【0100】
装置Yが、第2の遅延が提供されるのと同様にしてRCFOを求めることができることを理解されたい。
【0101】
RCFOΔfXYの値が比較的安定している場合、RCFO推定を定期的に実行することができる。
【0102】
本発明を好ましい実施の形態の例として説明したが、本発明の精神及び範囲内で様々な他の適応及び変更を行うことが可能なことを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内にあるこのようなすべての変形及び変更を包含することである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施の形態によるパケットを交換することによって互いに通信する2つの装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるタイマのブロック図である。
【図3】クロック周波数差に起因する時間誤差のタイミング図である。
【図4】RCFO推定なしの場合の2つの装置間でのパケット交換プロトコルのタイミング図である。
【図5】本発明の一実施の形態による2つの装置間でのパケット交換プロトコルのタイミング図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向無線測距精度を向上させるために第1の送受信機の第1のクロックXと第2の送受信機の第2のクロックYとの間の相対クロック周波数差を推定する方法であって、
前記第1の送受信機が、前記第1のクロックXの時刻tにおいて、第1のパケットを送信すること、
前記第2の送受信機が、前記第2のクロックYの時刻tにおいて、前記第1のパケットを受信すること、
前記第2の送受信機が、前記第2のクロックの時刻tにおいて、第2のパケットを送信すること、
前記第1の送受信機が、前記第1のクロックXの時刻tにおいて、前記第2のパケットを受信すること、
前記第2の送受信機が、前記第2のクロックYの時刻tにおいて、第3のパケットを送信すること、及び
前記第1の送受信機が、前記第1のクロックXの時刻tにおいて、前記第3のパケットを受信し、前記相対クロック周波数差は、
【数1】

であり、式中、fは前記第1のクロック及び前記第2のクロックの公称クロック周波数であり、N24は、前記第2のクロックの時刻tと時刻tとの間の測定される第1の遅延であり、N35は、前記第1のクロックXの時刻tと時刻tとの間の測定される第2の遅延であることを含む方法。
【請求項2】
前記相対クロック周波数差に基づいて前記第1の送受信機と前記第2の送受信機との間の距離を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の遅延は、前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機が動作するネットワークによって予め決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の遅延は、前記第2の送受信機によって予め決定され、前記第1のパケットで送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の遅延は、前記第2のパケットで送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の遅延は、前記第1の送受信機によって前記第2の送受信機に第3のパケットで送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のパケット及び前記第2のパケットの構造は通信規格に準拠する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記相対クロック周波数差を求めながら、チャネルインパルス応答、RF回路、及びベースバンド回路の不完全性の影響を相殺することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の遅延を増大させて、量子化誤差を低減させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の送受信機と前記第2の送受信機との間の前記信号の推定飛行時間は、
【数2】

であり、式中、t03=前記第1のクロックXによって測定されるt−tであり、t12=クロックYによって測定されるt−tである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
双方向無線測距精度を向上させるために第1の送受信機の第1のクロックXと第2の送受信機の第2のクロックYとの間の相対クロック周波数差を推定するシステムであって、
前記第1のクロックXの時刻tにおいて、第1のパケットを送信する第1の送受信機と、
前記第2のクロックYの時刻tにおいて、前記第1のパケットを受信する第2の送受信機と、
を備え、該第2の送受信機は、前記第2のクロックの時刻tにおいて、第2のパケットを送信し、該第2のパケットは、前記第1のクロックXの時刻tにおいて、前記第1の送受信機によって受信され、前記第2の送受信機は、前記第2のクロックYの時刻tにおいて、第3のパケットを送信し、該第3のパケットは、前記第1のクロックXの時刻tにおいて、前記第1の送受信機によって受信され、前記相対クロック周波数差は、
【数3】

であり、式中、fは前記第1のクロック及び前記第2のクロックの公称クロック周波数であり、N24は、前記第2のクロックの時刻tと時刻tとの間の測定される第1の遅延であり、N35は、前記第1のクロックXの時刻tと時刻tとの間の測定される第2の遅延であるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−150872(P2009−150872A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−277188(P2008−277188)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】