説明

反射体

【課題】Ag膜の凝集が生じ難い反射体を提供する。
【解決手段】本発明の反射体は、基板の一方の面に純AgまたはAg基合金の反射膜を有する反射体であって、基板の他方の面に防湿膜を有するものである。防湿膜は、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜、プラズマ重合膜、ガラス皮膜、または樹脂皮膜が単独で、または積層されて構成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射体に関し、詳細には、車両用灯具、照明器具、光学ミラー、有機ELディスプレイなどに好ましく用いられる反射体(反射板や反射膜を含む)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
純AgやAg基合金膜(以後、総称としてAg膜という)は高い反射率が得られることから、各種光源を用いた光学ミラーや照明器具などに汎用されている。
【0003】
しかしながら、Ag膜は凝集し易く、凝集により反射率が低下するという問題を抱えている。この凝集は、主に、大気中のハロゲンイオンが水分と共にAg膜表面に吸着することによって生じる。そこで、Ag膜の表面に外部環境を遮断するための保護膜が被覆されたAg反射膜が、特許文献1(保護膜としてUV硬化樹脂やアクリル系樹脂など)や特許文献2(保護膜として金属の酸化物や窒化物など)に開示されている。しかし、保護膜のピンホールを完全にゼロにすることは困難であり、ピンホール部分からの水分やハロゲンイオンの浸入、更には保護膜が樹脂の場合は樹脂そのものを水分やハロゲンイオンが拡散浸透することによってAgの凝集が発生するために、Ag膜の表面に多数の白点や変色が生じて、意匠性や商品性を低下させる原因となっていた。
【0004】
また、Ag膜は、上述した水分やハロゲンイオン由来の凝集のほかに、熱による凝集の問題や、大気中の硫黄による硫化の問題を抱えている。前者の熱による凝集は、例えば、ハロゲンランプ、HIDなどの各種光源から放出される熱により約80〜200℃程度の高温環境下にAg膜が曝されることによって生じる。Ag原子は高温の熱により拡散して凝集し、Ag膜の表面が粗くなって反射率の低下をもたらす。また、後者の硫黄による硫化は、大気中の硫黄が樹脂皮膜や金属酸化物膜などの保護膜を拡散浸透し、Ag膜と反応して表面が徐々に硫化されることによって黒く変色する現象であり、これによっても反射率が低下する。そこで、耐硫化性向上のため、例えば特許文献3および4には、AgにGeやInを添加したAg合金膜が開示されている。また、特許文献5には、耐熱性向上のため、AgにBiを添加したAg合金膜が開示されている。本願出願人も、耐熱性および耐候性に優れたリフレクター用Ag合金反射膜として、特許文献6に、Bi含有Ag膜の表面及び/又は当該Ag膜上の他層との界面にBi層及び/又はBi酸化物層が形成された反射膜を開示している。
【特許文献1】特開2000−106017号公報
【特許文献2】特開2006−98856号公報
【特許文献3】特開2001−192753号公報
【特許文献4】特開2006−37169号公報
【特許文献5】特開2005−48231号公報
【特許文献6】特開2005−15893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、Ag膜の凝集が生じ難い反射体を提供することにある。詳細には、特に車両用灯具や照明器具などの反射膜に要求される高い反射率(概ね93%以上)を有し、しかも耐湿性や、好ましくは耐硫化性や耐熱性にも優れた反射体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し得た本発明の反射体は、基板の一方の面に純AgまたはAg基合金の反射膜を有する反射体であって、前記基板の他方の面に防湿膜を有するところに要旨を有している。
【0007】
本発明の好ましい実施形態において、上記防湿膜は、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜、プラズマ重合膜、ガラス皮膜、または樹脂皮膜が単独で、または積層されて構成されている。
【0008】
本発明の好ましい実施形態において、上記基板は、JIS K7209(A法)に基づき、23℃の純水に24時間浸漬したときの吸水率が0.1%以上の樹脂で構成されている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、上記Ag基合金は、Bi、Ge、V、Zn、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有しており、ここで、Biを含有するときはBiを0.02〜1原子%の範囲で含有し、Ge、V、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有するときは、これらの元素を合計で0.02〜1原子%の範囲で含有し、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有するときは、これらの元素を合計で0.1〜5原子%の範囲で含有する。上記のうち、より好ましいAg基合金は、Biと、Ge、V、Zn、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素とを、合計で0.02〜5原子%の範囲で含有する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、上記反射膜の上に保護膜を有している。
【0011】
本発明には、上記のいずれかに記載の反射体を備えた車両用灯具、照明器具、光学ミラー、有機ELディスプレイなども包含される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反射体は、反射膜が被覆されていない面(反射膜が被覆されている面を表面とすると、裏面)に水分の浸入を抑える防湿膜を有しているため、特に水分に起因するAg膜の凝集が生じ難く、耐湿性に極めて優れている。その結果、高い反射率が長時間維持されるようになる。従って、本発明の反射体を用いれば、耐久性が格段に高められた車両用灯具、照明器具、光学ミラー、有機ELディスプレイなどを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者は、Ag膜を用いた反射体であって、照明器具や車両用灯具などに要求される高い反射率を有し、しかもAg膜の凝集も防止可能な反射体を提供するため、鋭意検討してきた。その結果、(ア)Ag膜の凝集を防止するには、従来のようにAg膜の上に保護膜を設けたりAg合金の組成を制御するだけではなく、意外にも、基板の裏面(反射膜が被覆されている面を表面、反射膜が被覆されていない面を裏面と呼ぶ)に水分の浸入を抑える防湿膜(防水膜)を設けることが極めて有用であること、(イ)このような裏面への防湿膜の被覆効果(耐湿試験でのAg膜の凝集抑制効果、膨れ防止効果)は、特に、ポリカーボネート(PC)樹脂のように吸水率が所定以上に高い樹脂材料を基板として用いたときに顕著に発揮されることを見出した。更に、(ウ)耐湿性の更なる向上や、耐硫化性や耐熱性などの改善のためには、裏面だけでなく、表面についても適切に制御することが極めて有用であり、例えば、Ag膜の上に保護膜を設けたり、基板とAg膜との間(界面)に下地膜を設けることにより、これらの特性が格段に向上することを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明者の検討結果によれば、大気中のハロゲンイオンや硫黄などが水とともにAg膜に吸着することによって生じるAg膜の凝集は、基板の裏面に防湿膜を設けること、好ましくはAg膜の上に保護膜を更に設けることによって顕著に抑制できることが判明した。後記する実施例に示すように、本発明によれば、耐湿性評価のために通常行なわれる試験期間の約240時間よりも更に長期間の500時間以上(実施例では1000時間)保持したとしても、Ag膜の凝集によってAg膜上に発生する白点の発生を抑えることができた。
【0015】
以下、図1を参照しながら、本発明に係る反射体の好ましい実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の基本構成を示す一例であり、これに限定する趣旨ではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の反射体は、基板1の一方の面(表面)に純AgまたはAg基合金の反射膜2を有しており、基板1の他方の面(裏面)に防湿膜(防水膜)3を有するところに特徴がある。以下では、説明の便宜上、純AgまたはAg基合金の反射膜をAg反射膜と呼ぶ場合がある。
【0017】
(防湿膜について)
本発明を最も特徴付ける防湿膜3は、水分の浸入を抑えるものであれば良く、具体的には、例えば、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜、プラズマ重合膜、ガラス皮膜、樹脂皮膜などが例示される。これらは単独で基板の裏面を被覆していても良いし、2種以上が積層されて基板の裏面を被覆して構成されていても良い。種々の膜を適切に組合わせることにより、当該膜自体の特性も有効に発揮されるようになる。例えば、金属膜の上に樹脂皮膜を積層させることにより、水分浸入抑制効果が一層高められるほか、金属膜の摩耗に対する耐久性も得られるようになる。
【0018】
ここで、上記金属膜としては、耐食性金属で構成されていることが好ましく、例えば、Cu、Ni、Co、W、Mo、Ta、Cr、Ti、Al、Nb、Hf、Zrなどの金属単体、またはこれらの2種以上の合金からなる膜が挙げられる。特に、Tiなどのような極めて高い耐食性金属を用いれば、腐食の発生がなく防湿膜としての効果が長期間維持される。上記金属酸化物膜としては、例えば、Si、Ti、Al、Sn、Znなどの金属の酸化物膜が挙げられる。上記金属窒化物膜としては、例えば、Ti、Cr、Zr、Hf、Taなどの金属の窒化物膜が挙げられる。上記金属炭化物膜としては、例えば、Ti、Zr、Hf、Taなどの金属の炭化物膜が挙げられる。上記ガラス皮膜としては、例えば、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられる。上記樹脂皮膜を構成する樹脂材料としては、ポリカーボネートよりも透湿度が低い樹脂で、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられ、これら樹脂の混合膜も用いられる。このうち、塗装法によって形成可能なフッ素系樹脂が好ましく用いられる。
【0019】
また、上記プラズマ重合膜は、プラズマ重合によって形成された膜であり、有機シリコンを原料としたものが好ましく用いられる。有機シリコンとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、トリエトキシシランなどが例示される。これらの有機シリコンを原料として形成されたプラズマ重合膜は、水との濡れ性が非常に悪く撥水性が高いため、水分やハロゲンイオンの基板への浸入を効果的に防止することができる。
【0020】
防湿膜3の厚さは、おおむね、5nm以上であることが好ましい。5nm未満では連続膜にならない恐れがあり、防湿性が得られなくなる。
【0021】
一方、防湿膜3の厚さの上限は材料によって異なる。例えば、防湿膜3が金属膜またはプラズマ重合膜の場合、おおむね、500nm以下であることが好ましい。500nmを超えると膜応力が大きくなり、成膜後に割れや剥がれが発生して防湿性が低下する恐れがある。より好ましくは450nm以下であり、更に好ましくは400nm以下である。また、防湿膜3が金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜、またはガラス膜の場合、おおむね、200nm以下が好ましい。200nmを超えると膜応力が大きくなり、成膜後に割れや剥がれが発生して防湿性が低下する恐れがある。より好ましくは180nm以下であり、更に好ましくは160nm以下である。また、防湿膜が樹脂皮膜の場合、特に上限は限定されないが、工法上、おおむね200μm以下であることが好ましい。
【0022】
前述したように、本発明の特徴部分は、基板の裏面に防湿膜を設けたところにあり、それ以外の構成要件は特に限定されない。以下、詳しく説明する。
【0023】
(基板)
基板1は、Ag膜を備えた照明器具や車両用灯具などの分野に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂材料やガラス基板などが例示される。樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、PETやPBTなどのポリエステル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂、エポキシ樹脂、アセタール樹脂、脂環式炭化水素樹脂などが例示され、これら樹脂の混合物も用いられる。
【0024】
具体的には、光源の発する熱の温度に応じて基板1の種類を定めることが好ましい。例えば、光源の温度が約180℃以上の場合はガラスの使用が好ましく、約120〜180℃の場合はPET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)などのポリエステル樹脂の使用が好ましく、約120℃以下の場合はポリカーボネート樹脂の使用が好ましい。
【0025】
本発明では、基板1に用いられる樹脂材料として、JIS K7209に規定のA法(23℃の純水に24時間浸漬後、吸水量を測定する方法)により測定したときの吸水率が0.1%以上の樹脂を使用することが好ましく、このような樹脂基板を用いたときに、裏面への防湿膜の被覆効果が特に顕著に発揮される。上記効果は、樹脂の吸水率が高ければ高いほど顕著である。このような樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(吸水率0.20%)、ABS樹脂(吸水率0.30%)、ポリエーテルイミド樹脂(吸水率0.25%)などが挙げられる。
【0026】
(純AgまたはAg基合金の反射膜2)
本発明に用いられるAg反射膜2の組成は特に限定されず、純AgまたはAg基合金の両方が用いられる。裏面の防湿膜3の被覆により、特別にAg膜の組成を制御しなくても良好な耐湿性が得られるからである。勿論、耐湿性の更なる向上や、耐熱性や耐硫化性などの他の特性改善の目的でAg基合金の組成を適切に制御しても良い。
【0027】
本発明では、例えば、Bi、Ge、V、Zn、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有するAg基合金を用いることが好ましい。これらの元素は、Ag膜の耐凝集性の向上に寄与する同効元素であり、これらの元素を単独で、または2種以上を併用することができる。
【0028】
これら元素のなかでも、Biと;Ge、V、およびZnと;上記以外の元素(Au、Pd、Rh、Pt、およびCu)とは、作用機序が若干相違しているため、所望の特性が有効に発揮されるように、含有量の範囲をそれぞれ、以下のように適切に制御することが好ましい。
【0029】
まず、Biは、熱やハロゲンイオンに起因するAg膜の結晶粒成長や凝集を抑制する元素であり、このような作用を有効に発揮させるため、Bi量の下限を0.02原子%とすることが好ましい。Biのより好ましい含有量は0.05原子%であり、更に好ましくは0.08原子%である。ただし、Biの含有量が過剰になると、反射率の低下を招くため、その上限を1原子%とすることが好ましい。Bi量のより好ましい上限は0.8原子%である。
【0030】
また、Ge、V、およびZnは、Ag膜の耐凝集性のみならず、耐熱性、耐硫化性にも寄与する元素であり、このような作用を有効に発揮させるため、これら元素の合計量(単独量または併用量)を、好ましくは0.02〜1原子%(より好ましくは0.05〜0.6原子%)に制御する。
【0031】
また、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuは、ハロゲンイオンによる凝集の発生を抑制し得る元素である。このような効果は、これら元素の合計量(単独量または併用量)の好ましい範囲を0.1〜5原子%の範囲(より好ましくは0.3〜3原子%)に制御することによって有効に発揮される。0.1原子%未満では、ハロゲンイオンによる凝集抑制効果が小さく、一方、5原子%を超えると、コストの上昇、初期反射率の低下、更には耐硫化性の低下(上記保護膜のピンホールの増加)などを招く。
【0032】
上述したAg基合金のなかでも、特に、Biと;Ge、V、Zn、Au、およびPdよりなる群から選択される少なくとも一種の元素(以下、これらの元素をまとめてZ群元素と呼ぶ場合がある)とを、含有するものを用いることが好ましい。Z群元素は、Ag反射膜の上に必要に応じて設けられる保護膜(詳細は後述する)のバリヤ性向上に寄与する元素であり、Z群元素の添加によって上記保護膜が緻密化され、ピンホールの生成が減少するため、上記保護膜の耐久性が高められる。Z群元素の上記作用は、特にBiと併用することによって顕著に発揮される。すなわち、これらの元素を併用することにより、それぞれを単独で添加した場合に比べ、作用効果が格段に向上する。従って、このAg基合金を用いれば、Bi添加による耐熱性と耐ハロゲンイオン性が一層向上してAg膜の凝集が更に有効に抑制されるほか、Z群元素添加による上記保護膜のバリヤ性も一層高められる。Bi、およびZ群元素のそれぞれの好ましい含有量は上述したとおりであるが、更に、Biと、Z群元素の合計量を、0.02〜5原子%の範囲に制御することが好ましく、0.05〜4原子%がより好ましい。
【0033】
また、Biの含有量[Bi]と、Z群元素の含有量[Z]は、下記(1)式を満足することが好ましく、これにより、約93%以上の高い反射率が確保されるようになる。下記(1)式の左辺をQ値とすると、より好ましいQ値は6以下であり、更に好ましいQ値は4以下である。
7×[Z]+13×[Bi]≦8 ・・・ (1)
【0034】
Ag反射膜2の好ましい厚さは、おおむね、70〜500nmであり、より好ましくは100〜400nmであり、更に好ましくは150〜300nmである。好ましい厚さの下限は、全反射を得るために設定されたものであり、反射膜2の厚さが厚くなるほど、Ag膜の凝集が生じ難くなる。一方、好ましい厚さの上限は、コストなどを考慮して設定されたものである。
【0035】
以上、図1に示す反射体の構成について説明した。
【0036】
なお、図1には示していないが、基板の表面側(Ag反射膜2側)に、水分の浸入を防止し得る保護膜や下地膜を更に設けてもよく、このような態様も本発明の範囲内に包含される。具体的には、例えば、下記(a)〜(c)の態様が挙げられる。
【0037】
(a)Ag反射膜2(第1層)の上に保護膜(第2層)
Ag反射膜2の上に、大気中のハロゲンイオンや水分とAg膜との接触を防止し得る保護膜を更に設けてもよい。Ag反射膜を第1層とすると、この保護膜は第2層に相当する。この保護膜は、Ag反射膜を外部環境から遮断するためのバリヤ層として作用するとともに、光を透過し得るように無色透明であることが必要である。このような要件を満たす保護膜としては、例えば、Si、Al、またはTiの酸化物からなる膜が好ましく用いられる。これらのほかにも、透明酸化膜として、例えば、SnO2、ZnOなどからなる酸化膜があるが、これらの酸化膜は黄色などの色を呈し、光源の色を再現できないため、本発明では用いられない。耐熱性や耐硫化性の向上をも図る場合には、上述したSi、Al、またはTiの酸化物のうちSiの酸化物を用いることがより好ましい。また、Siの酸化物は他の酸化物に比べ、成膜速度も高いため、生産性にも優れているなどの利点を有している。
【0038】
上記保護膜(第2層)の好ましい厚さは、おおむね、5〜80nmであり、より好ましい厚さは、おおむね、7〜60nmであり、更に好ましくは10〜50nmである。厚さが薄くなると、ピンホールが多くなりすぎて大気中のハロゲンイオンや水分をバリアする効果が低下すると共に硫化の発生を抑えることが困難である。一方、厚さが厚くなると、膜応力が大きくなり、耐湿試験や耐熱試験で割れや剥離が生じる恐れがある。また、保護膜としてSiO2を用いる場合、SiO2は非常に僅かながら光を吸収するため、厚さが厚くなると反射率が低下し、目標レベルの約93%を下回る恐れがある。
【0039】
(b)前記(a)の保護膜(第2層)の上にプラズマ重合膜
更なる耐久性の向上を目的として、上記保護膜(第2層)の上に前述したプラズマ重合膜を被覆しても良い。特に有機シリコンを用いたプラズマ重合膜を用いれば、水分やハロゲンイオンの浸入防止能、耐酸性および耐アルカリ性が格段に高められる。上記プラズマ重合膜の好ましい厚さは、おおむね、5〜500nmであり、より好ましい厚さは、おおむね、10〜400nmである。厚さが薄くなるとバリア性が低下し、一方、厚さが厚くなると膜応力が大きくなり、積層成膜した後に耐熱試験や耐湿試験を行ったときに割れや剥がれが生じる恐れがある。
【0040】
(c)基板とAg反射膜との間(界面)に下地膜
基板とAg反射膜との間(界面)に、裏面に設けた防湿膜と実質的に同じ材料の膜を下地膜として更に設けても良い。これにより、基板表面のゴミなどに起因するAgの凝集が抑えられる。基板表面にゴミや汚れがあると、反射体の使用中に反射率が低下することがある。例えば、基板表面にハロゲンイオンや硫黄成分などを含む汚れや微細なゴミが付着している場合、これを放置すると、この部分でAg膜の凝集が発生し、時間の経過と共にその凝集はAg反射膜の表面にまで達し、最終的に反射率の低下をもたらすと考えられる。上記下地膜としては、裏面に設けた防湿膜と同じ材料が例示される。
【0041】
上記下地膜の厚さの好ましい下限は5nmである。5nm未満では連続膜を形成できない場合があり、基板上にハロゲンイオンや硫黄成分などが付着している場合に、これらとAg膜を隔離することが困難になる。より好ましくは7nm以上である。
【0042】
上記下地膜の厚さの好ましい上限は、下地膜の材料によって変化し得、材料に応じて適切な厚さに制御することが好ましい。例えば、下地膜が金属膜またはプラズマ重合膜の場合、500nm以下(より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは300nm以下)であることが好ましい。また、下地膜が金属酸化物膜の場合、100nm以下(より好ましくは90nm以下であり、更に好ましくは60nm以下)であることが好ましい。それぞれの好ましい上限を超えると膜応力が大きくなり、成膜した後に耐湿試験や耐熱試験を行なうと割れや剥離が発生する恐れがあるからである。なお、下地膜が樹脂皮膜の場合、工法上、約200nm以下に制御されていることが好ましい。
【0043】
以上、本発明に係る反射体の好ましい構成を説明した。
【0044】
本発明反射体の反射率は非常に高く、JIS R 3106に基づき、D65光源での波長範囲380〜780nmの光によって測定された可視光反射率を、おおむね、93%以上に高めることができる。この高い反射率は、後記する耐湿試験を行ったとき、1000時間保持後にも維持される。従って、本発明の反射体を用いれば、光源(ランプ)の消費電力を従来よりも下げても従来と同程度の明るさを確保することができる。また、複数のランプを使用する場合には、ランプの個数を減少させることができるため、光源に費やすコストを削減できる。また、従来の反射膜材料では充分な明るさを確保できなかったLED光源のリフレクターにも好適に用いられる。
【0045】
本発明の反射体は、車両用灯具、照明器具、光学ミラー、有機ELディスプレイなどに好ましく用いられる。
【0046】
ここで、車両用灯具とは、自動車や自動二輪車のヘッドランプやリアランプなどを意味する。本発明の反射体は、これらランプの反射板やエクステンションに好適に用いられる。
【0047】
また、照明器具とは、ダウンライトや蛍光灯などを意味する。また、光学ミラーとは、カメラのフラッシュや、光の反射を利用した分析装置内のミラーなどを意味する。本発明の反射体は、上記用途の反射体として好適に用いられる。
【0048】
また、有機ELディスプレイとは、有機ELを使用したテレビや携帯電話用ディスプレイなどを意味する。また、有機EL照明器具は、有機ELを使用した照明器具を意味する。本発明の反射体は、これらの反射板に好適に用いられる。
【0049】
本発明に係る反射体を成膜するに当たっては、膜を形成する材料に応じて、適宜変えて行うことが好ましい。具体的には以下のとおりである。
【0050】
例えば、本発明を特徴付ける防湿膜の成膜は、当該防湿膜が金属または金属酸化物で構成されているときは、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。詳細には、金属の場合は直流カソードを用いたDCスパッタリング法の適用が好ましく、金属酸化物の場合は高周波カソードを用いたRFスパッタリング法の適用が好ましい。なお、金属酸化物の場合は、CVD法により成膜することもできる。また、防湿膜がプラズマ重合膜で構成されているときは、ヘキサメチルジシロキサンを原料として、プラズマCVD法で成膜することが好ましい。また、防湿膜が樹脂材料で構成されているときは、塗装により形成することが好ましく、各種樹脂を含む塗料を用いたスプレイ塗布、刷毛塗り、ディッピングなどの方法により形成することが好ましい。また、基板が平滑な平板である場合、テフロンシートやアルミ箔の片面にアクリル系やシリコン系の粘着剤が塗布された粘着シートを基板の裏面に貼付けて用いても良い。
【0051】
また、Ag膜は、純AgまたはAg基合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。特に直流カソードを用いたDCスパッタリング法によって成膜することが好ましい。
【0052】
また、Ag反射膜の上にSi酸化物の保護膜(第2層)を積層するときは、Si酸化物スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。特に高周波カソードを用いたRFスパッタリング法によって成膜することが好ましい。
【0053】
また、上記第2層の上に更にプラズマ重合膜を成膜するときは、例えば、ヘキサメチルジシロキサンを原料として、プラズマCVD法で成膜することが好ましい。
【0054】
また、基板とAg反射膜との間に下地膜を形成する場合は、下地膜を構成する材料によって成膜方法を適宜変えて行うことが好ましい。例えば、下地膜が金属または金属酸化物で構成されているときは、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。詳細には、金属膜の場合は直流カソードを用いたDCスパッタリング法の適用が好ましく、金属酸化物の場合は高周波カソードを用いたRFスパッタリング法の適用が好ましい。なお、金属酸化物の場合は、CDV法により成膜することもできる。また、下地膜がプラズマ重合膜で構成されているときは、ヘキサメチルジシロキサンを原料として、プラズマCVD法で成膜することが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0056】
実施例1
本実施例では、下記に示す試料1〜6の反射体を作製し、反射率や耐湿性などを測定した。各試料を構成するAg反射膜の組成、保護膜および防湿膜の種類、並びにその作製方法については、以下に詳述する。なお、基板は、ポリカーボネート(PC)製の直径50mm、厚さ1mmの円板状基板を用いた。
【0057】
(試料1)
試料1の構成は以下のとおりである。以下では、基板側から順に記載している(試料2〜6も同じ)。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO膜(10nm)
(Ag基合金膜組成:Ag−0.05原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=Al膜(200nm)およびアクリル樹脂(約50nm)
【0058】
試料1の作製方法は以下のとおりである。
【0059】
まず、PC基板表面をマスキングし、以下のようにして、PC基板の裏面にAl膜およびアクリル樹脂皮膜を形成した。
【0060】
はじめに、図2に示すスパッタリング装置のチャンバー内にφ100mm×t5mmのAlスパッタリングターゲットをセットした。次に、上記PC基板の裏面をスパッタリングターゲットに正対するようにセットし、チャンバー内を1×10−5Torr以下となるように真空に引いた。その後、チャンバー内にArガスを導入し、チャンバー内圧力が2×10−3Torrとなるように制御し、スパッタリングターゲットにDC(直流)を印加してプラズマを発生させ、DCパワー200Wでスパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより、PC基板裏面上にAl膜を200nm成膜した。
【0061】
次に、Al膜を成膜したPC基板をスパッタリング装置のチャンバーより取出し、Al膜が成膜されている面にアクリル樹脂を約50nmの厚さで塗装した。次いで、室温で乾燥した後、100℃で3時間の乾燥を更に行った。
【0062】
次に、PC基板表面のマスキングを外し、以下の要領でPC基板の表面にAg基合金膜およびSiO2膜を順次積層して成膜し、試料1を得た。
【0063】
まず、Ag基合金膜は、上記Al膜の成膜と同様にスパッタリング装置を用いて行った。具体的には、スパッタリングターゲットとして、Ag−0.5原子%Bi−0.5原子%Geの組成のAg基合金スパッタリングターゲットを用いたこと以外は、上記Al膜の成膜と同様にしてスパッタリングを行い、150nm厚さのAl基合金膜を成膜した。
【0064】
このようにして成膜したAg基合金膜の組成をICP(Inductivily Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)発光分析法およびICP発光質量分析法により測定し、その結果を100%に規格化してAg基合金膜の組成とした。組成は原子%で求めた。
【0065】
次に、ターゲットをSiO2スパッタリングターゲットに交換し、チャンバー内を1×10−5Torr以下となるように真空に引いた。その後、チャンバー内にArガスを導入し、チャンバー内圧力を2×10−3Torrとなるように制御し、ターゲットにRF(高周波)を印加してプラズマを発生させ、RFパワー200WでSiO2スパッタリングターゲットをスパッタすることにより、Ag基合金膜上にSiO2膜を10nm成膜した。
【0066】
(試料2)
試料2の構成は以下のとおりである。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO膜(10nm)
(Ag基合金膜の組成:Ag−0.05原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=Ti膜(200nm)およびSiO膜(10nm)
【0067】
試料2の作製方法は以下のとおりである。
【0068】
まず、PC基板表面をマスキングし、PC基板の裏面にTi膜およびSiO2膜を形成した。Ti膜の成膜は、試料1と同様、スパッタリング法により行い、スパッタリングターゲットにTiスパッタリングターゲットを用いたこと以外は試料1と同様の条件で200nmの厚さに成膜した。
【0069】
次に、試料1と同様の方法で、Ti膜上にSiO2膜を形成した。
【0070】
次いで、PC基板表面のマスキングを外し、試料1と同様の方法でAg基合金膜およびSiO2膜の成膜を行い、試料2を得た。
【0071】
(試料3)
試料3の構成は以下のとおりである。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO膜(10nm)
(Ag基合金膜の組成:Ag−0.1原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=ホウケイ酸ガラス膜(100nm)
【0072】
試料3の作製方法は以下のとおりである。
【0073】
まず、PC基板表面をマスキングし、ホウケイ酸ガラス膜を形成した。具体的には、ホウケイ酸ガラスのスパッタリングターゲットを用いたこと以外は試料1のSiO2膜の成膜と同様の方法により、PC基板裏面にホウケイ酸ガラス膜を100nm成膜した。
【0074】
次に、PC基板表面のマスキングを外し、Ag基合金スパッタリングターゲットとしてAg−1原子%Bi−0.5原子%Geのスパッタリングターゲットを用いたこと以外は試料1と同様の方法により、Ag基合金膜およびSiO2膜の成膜を行い、試料3を得た。
【0075】
(試料4)
試料4の構成は以下のとおりである。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO膜(10nm)
(Ag基合金膜の組成:Ag−0.1原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=プラズマ重合膜(100nm)
【0076】
試料4の作製方法は以下のとおりである。
【0077】
まず、PC基板表面をマスキングし、PC基板の裏面に以下の要領でプラズマ重合膜を形成した。
【0078】
はじめに、PC基板を図3に示すプラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、チャンバー内を1×10−5Torr以下となるように真空に引いた。その後、上記装置中のバブラーとチャンバー間のニードルバルブを開いてバブラー内の有機シリコンの蒸気をチャンバー内に導入し、ニードルバルブの開閉度を調整することにより、チャンバー内圧力を0.1Torrとした。その後、チャンバー内の上部電極にRF(高周波)を印加し、RFパワー200Wでプラズマを発生させ、基板上に厚さ100nmのプラズマ重合膜を形成した。なお、上記有機シリコンとしては、ヘキサメチルジシロキサンを用いた。
【0079】
次に、PC基板表面のマスキングを外し、試料3と同様の方法によりAg基合金膜およびSiO2膜の成膜を行い、試料4を得た。
【0080】
(試料5)
試料5の構成は以下のとおりである。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO膜(10nm)
(Ag基合金膜の組成:Ag−0.1原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=SiO膜(50nm)
【0081】
試料5の作製方法は以下のとおりである。
【0082】
まず、PC基板表面をマスキングし、PC基板の裏面に試料2と同様の方法でSiO2膜を形成した。次に、PC基板表面のマスキングを外し、試料3と同様の方法でAg基合金膜およびSiO2膜の成膜を行い、試料5を得た。
【0083】
(試料6)
試料6の構成は以下のとおりである。
PC基板の表面=Ag基合金膜(150nm)およびSiO2膜(10nm)
(Ag基合金膜の組成:Ag−0.05原子%Bi−0.1原子%Ge)
PC基板の裏面=なし
【0084】
PC基板表面に、試料1と同様の方法でAg基合金膜およびSiO2膜の成膜を行い、試料6を得た。
【0085】
このようにして得られた試料1〜6について、以下の方法で、反射率の測定および耐湿性の評価を行なった。
【0086】
(反射率の測定)
JIS R 3106に基づき、D65光源での波長380〜780nmの光によって可視光反射率(初期反射率)を測定した。また、以下の耐湿試験を行い、1000時間後の反射率を同様にして測定した。
【0087】
本実施例では、上記のようして測定した初期反射率および1000時間後の反射率が、いずれも、93%以上のものを合格とした。
【0088】
(耐湿性の評価)
上記の試料を、温度50℃、相対湿度95%の恒温恒湿装置内に入れ、保持後240時間、500時間、1000時間の試料表面に発生した白点の数を目視で測定した。測定は、直径50mmの基板全面で行なった。
【0089】
白点の数が0を◎、1〜4個を○、5〜9個を△、10個以上を×とし、1000時間保持後の結果が◎または○のものを合格と評価し、△または×のものを不合格と評価した。
【0090】
更に、上記の1000時間保持後の各試料について、Ag基合金膜の膨れの有無を調べるため、反射膜面を光学顕微鏡(倍率100倍)にて観察した。
【0091】
これらの結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
表1より以下のように考察することができる。
【0094】
まず、PC基板の裏面に金属膜や金属酸化物膜などの防湿膜を設けた試料1〜5では、耐湿試験1000時間後も白点の発生はほとんど認められず、膨れも発生せず、且つ、高い反射率が維持されていた。特にAg基合金膜中のBi濃度が高い試料3〜5では、非常に良好な結果が得られた。
【0095】
これに対し、基板裏面に防湿膜を設けなかった試料6では、所望とする耐湿性および反射率が得られなかった。詳細には、耐湿試験240時間までは白点の発生は殆ど見られなかったが、500時間を超えると白点が発生し始め、1000時間では白点が多数発生すると共にAg基合金膜の膨れが発生して反射率が低下した。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明に係る反射体の構成を示す概略断面図である。
【図2】図2は、実施例に用いたスパッタリング装置の概略を示す模式図である。
【図3】図3は、実施例に用いたプラズマCVD装置の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
【0097】
1 基板
2 純AgまたはAg基合金の反射膜(Ag反射膜)
3 防湿膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面に純AgまたはAg基合金の反射膜を有する反射体であって、
前記基板の他方の面に防湿膜を有することを特徴とする反射体。
【請求項2】
前記防湿膜は、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜、プラズマ重合膜、ガラス皮膜、または樹脂皮膜が単独で、または積層されて構成されている請求項1に記載の反射体。
【請求項3】
前記基板は、JIS K7209(A法)に基づき、23℃の純水に24時間浸漬したときの吸水率が0.1%以上の樹脂で構成されている請求項1または2に記載の反射体。
【請求項4】
前記Ag基合金は、Bi、Ge、V、Zn、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有し、
Biを含有するときはBiを0.02〜1原子%の範囲で含有し、
Ge、V、およびZnよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有するときは、これらの元素を合計で0.02〜1原子%の範囲で含有し、
Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群ら選択される少なくとも一種の元素を含有するときは、これらの元素を合計で0.1〜5原子%の範囲で含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の反射体。
【請求項5】
前記Ag基合金は、Biと、Ge、V、Zn、Au、Pd、Rh、Pt、およびCuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素とを、合計で0.02〜5原子%の範囲で含有するものである請求項4に記載の反射体。
【請求項6】
前記反射膜の上に保護膜を有する請求項1〜5のいずれかに記載の反射体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の反射体を備えた車両用灯具。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の反射体を備えた照明器具。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の反射体を備えた光学ミラー。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の反射体を備えた有機ELディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−97065(P2010−97065A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268760(P2008−268760)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】