反射板及び反射板の製造方法
本発明による反射板は、入射光を反射させるための反射板において、結晶領域と非結晶領域とが混じっている結晶性プラスチックによって製造され、前記非結晶領域には非結晶粒子が一方向に配向されてなった配向層が複数設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、延伸性に優れた結晶性プラスチック材料を延伸して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されることにより、その非結晶領域においても入射光が反射できるようにした。これにより、本発明によれば、結晶領域と非結晶領域の両方で入射光が反射されることができて全体的な反射率が高められる。また、本発明によれば、反射率増大のための発泡工程や別途の添加剤追加なしにも配向された非結晶領域の高い拡散反射率によって反射率を非常に向上させた優秀な性能の反射板を提供することができ、全体的な反射板の製造工程が簡素化され、製造コストが節減されて生産性が大きく向上することができる。
本発明によれば、延伸性に優れた結晶性プラスチック材料を延伸して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されることにより、その非結晶領域においても入射光が反射できるようにした。これにより、本発明によれば、結晶領域と非結晶領域の両方で入射光が反射されることができて全体的な反射率が高められる。また、本発明によれば、反射率増大のための発泡工程や別途の添加剤追加なしにも配向された非結晶領域の高い拡散反射率によって反射率を非常に向上させた優秀な性能の反射板を提供することができ、全体的な反射板の製造工程が簡素化され、製造コストが節減されて生産性が大きく向上することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光燈、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)のバックライトのような光源の反射板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の反射板の製造方法に関する従来技術は、大きく白色顔料/染料添加剤の使用方法と内部に気泡を生成する方法とに分類することができる。
【0003】
まず、韓国登録特許第611599号「面光源反射部材用白色フィルム」には、内部に気泡を含有する白色フィルムの少なくとも片面に光安定剤を含有する塗布層が設けられてなる面光源反射部材用白色フィルムが開示されている。上記白色フィルムは、長時間使用においても輝度の経時的低下が少なく高画質の画像を長期にわたって維持できるので、液晶画面用のエッジライト、直下型ライトの面光源の反射板およびリフレクターに用いられる部材で望ましく使用できることを開示している。
【0004】
液晶画面の照明用器材では、導光板のエッジから冷陰極線管を照明光源にする、いわゆるエッジライト方式が広く使用されている(日本公開特許公報昭63−62104号)。この照明方式において、光をより効率的に活用するため、冷陰極線管の周りにリフレクターが設けられ、更に、導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下には反射板が設けられている。
【0005】
一方、液晶テレビのような大画面用では、エッジライト方式では画面の高輝度化が望めないことから直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状であったり、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
【0006】
また、液晶表示装置の面光源に用いられるリフレクターや反射板のような面光源反射部材には高い反射機能が要求され、白色染料や白色顔料を添加したフィルム、内部に微細な気泡を含有させたフィルム、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に、内部に微細な気泡を含有させたフィルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている。このように、内部に微細な気泡を含有したフィルムは、日本公開特許公報平6−322153号、日本公開特許公報平7−118433号などに開示されており、これを要約すると、(イ)フィルム構成樹脂と非相溶性樹脂の添加後、1軸又は2軸延伸、(ロ)有/無機の粒子の添加後、1軸又は2軸延伸、(ハ)発泡ガスを用いて押出シート成形、(ニ)押出シートにガスを注入して発泡することに関する技術である。
【0007】
また、最近の液晶表示装置のバックライト用反射板の材質としては、日本古川社製のMCPET(Micro-forming Polyethylene Terephthalate)製品が広く使用されている。MCPET製品はペットボトル原料のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂をマイクロ発泡させて微細な気泡をシート内部に多く生成して、光の反射率を高めた。上記MCPET製品をLCDのバックライト用反射板材質で使った韓国特許出願には以下のようなものなどがある。
【0008】
(1)韓国出願番号10−2003−0073384 バックライトユニット
(2)韓国出願番号10−2003−0082948 液晶表示モジュール
(3)韓国出願番号10−2003−0089231 液晶表示装置バックライトアセンブリ
(4)韓国出願番号10−2004−0100558 液晶表示装置及びその製造方法
(5)韓国出願番号10−2004−0046746 バックライトユニット
(6)韓国出願番号10−2004−0078310 光学フィルムとそれを有するバックライトユニット
(7)韓国出願番号10−2005−7005358 光反射板及びその製造方法
(8)韓国出願番号10−2005−0010677 バックライトアセンブリ及びそれを有する表示装置
(9)韓国出願番号10−2005−0016992 バックライトユニット及び液晶表示装置
このような従来の面光源用反射板材料として商用化された製品とその主要特性は以下の表1の通りである。
【0009】
【表1】
【0010】
図1は上記表1の商用化された製品のそれぞれの構造を概略的に示している。図1と表1に提示された従来の製品は、添加された顔料/染料、表面処理、内部に気泡形成、添加剤の添加後の延伸による気孔拡張などによって所望する反射率を得た。
【0011】
図2は反射板の拡散反射の原理を示している。
【0012】
全反射(total reflection)は、鏡面反射(mirror reflection)と拡散反射(diffuse reflection)とを足すものである。光の鏡面反射とは、反射板の面から直接反射されて反射波が一定の方向に出て行くことを意味し、拡散反射とは、反射板の内部の微細気泡、白色顔料(pigment)、結晶粒子に入射した光が全ての方向に反射されて改めて外に出て行くことを意味する。拡散反射される程度は、反射板内部の微細気泡、白色顔料および結晶粒子の数によって左右される。一方、LCDでは拡散反射率(diffuse reflectance)が高いことが有利である。
【0013】
このような従来の白色顔料、染料添加剤を使用した製品など(帝人デュポン社、東レ社、三井社)は、比較的反射率に優れた炭酸カルシウム(CaCO3)や硫酸バリウム(BaSO4)などの添加剤を用いて反射板を製作する。このような反射板は白色顔料、染料添加剤の材料費などの理由で厚みがあるように製作することができず、薄くして使用する。即ち、反射板の厚みを厚くすればするほど、それに伴って内部に含まれる白色顔料および染料添加剤の量も増加されなければならないため、これは全体的な材料費を急激に上昇させる要因となり、実際に使用されることは困難である。このように反射板の厚みを薄くした状態では、反射板の全体的な大きさにおいて制約がある。即ち、反射板の厚みが薄い状態で全体的な反射板の大きさだけを大きくすると、長時間使用時に熱によって反射板が歪んだり、しわが寄ったりするか、構造的に十分な強性を持たないため、一般的に42インチ以上の大型TVなどに適用するには困難である。
【0014】
このような問題を解消するために研究開発された発泡製品(古川社製)は42インチ以上の大型TVなどに適用できるように厚みを厚く製作することができる。しかし、PETを発泡するためには48時間高圧ガスタンク内で行われるガス注入工程を伴う必要があり、これにより生産単価が非常に高価であり、発泡製品の場合は生産時間を縮めにくい短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は、製造工程を簡素化し、製造コストを下げて、生産性を向上させ、かつ反射率も向上させた反射板及びその反射板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1視点によれば、入射光を反射させるための反射板であって、結晶領域と非結晶領域が混じっている結晶性プラスチックによって製造される反射板において、前記非結晶領域には非結晶粒子が一方向に配向されてなった配向層が複数設けられていることを特徴とする反射板が得られる。
【0017】
前記反射板において、前記配向層は前記一方向に複数配置されることが望ましい。
【0018】
前記反射板において、前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることが望ましい。
【0019】
前記反射板において、前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることが望ましい。
【0020】
前記反射板の反射率は95%以上であることが望ましい。
【0021】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることが望ましい。
【0022】
前記反射板において、前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることが望ましい。
【0023】
前記反射板において、前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることが望ましい。
【0024】
本発明の別の視点によれば、結晶性プラスチックをその結晶性プラスチックの結晶化温度(crystallization temperature、Tc)以下で一方向に延伸することにより、前記結晶性プラスチックの非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されていることを特徴とする反射板の製造方法が得られる。
【0025】
前記反射板の製造方法は、結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレット(pellet)を押出成形機に投入して押出シートを形成する段階と、
前記押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロ−ルによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する段階、及び、
冷却ロ−ルを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階とを具備することが望ましい。
【0026】
前記反射板の製造方法は、延伸用結晶性プラスチック材料のシートを用意する段階、及び、前記シートを前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下で延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階を具備することが望ましい。
【0027】
前記反射板の製造方法において、前記配向層は前記一方向に複数配置されることが望ましい。
【0028】
前記反射板の製造方法において、前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることが望ましい。
【0029】
前記反射板の製造方法において、前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることが望ましい。
【0030】
前記反射板の製造方法において、前記反射板の反射率は95%以上であることが望ましい。
【0031】
前記反射板の製造方法において、前記反射板にはUV安定剤が含まれていることが望ましい。
【0032】
前記反射板の製造方法において、前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることが望ましい。
【0033】
前記反射板の製造方法において、前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることが望ましい。
【発明の効果】
【0034】
以上で説明したとおり、本発明によれば、延伸性に優れた結晶性プラスチック材料を延伸して非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されることにより反射率を高めた反射板を提供することができる。また、本発明によれば、反射率増大のための発泡工程や別途の添加剤追加なしに、非結晶領域の配向層による高い拡散反射率によって反射率を非常に高めた優秀な性能の反射板を製造することができるので、反射板の製造工程が簡素化され、かつ製造コストが節減され、生産性が大きく向上することができる。
【0035】
本発明によって製造された反射板は各種照明の反射板で使用されるのに適合し、特に液晶表示装置用のエッジライト、直下型ライトの面光源の反射板、リフレクターに使用されるのに非常に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の面光源用反射板材料として常用化された製品の構造の概略図である。
【図2】反射板の拡散反射の原理を示した図である。
【図3】本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸によって製造された反射板の反射原理を説明した図である。
【図4】本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸による反射板の製造方法の望ましい一実施例を示した図である。
【図5】帝人デュポン社製のUXフィルム断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図6】福川社製のMCPET製品の1,000倍拡大SEM写真である。
【図7】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図8】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の1,000倍拡大SEM写真である。
【図9】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と平行した断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図10】本発明の実施例で結晶性プラスチックとして使用されたPPの結晶化温度の実験結果である。
【図11】示差走査熱量計を利用した結晶性プラスチックの流動性分析グラフである。
【図12】延伸温度によるPP材料の反射板製品の特性を比べた写真である。
【図13】PP材料の温度による異なる延伸結果の写真である。
【図14】本発明の望ましい実施例によって製造された様々な厚みの反射板と従来のMCPET製品の全反射率を示したグラフである。
【図15】厚みによる本発明の望ましい実施例による反射板と従来のMCPET製品の拡散反射率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の構成と動作を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0038】
各図面に示された同一の参照符号は、同一機能を遂行する構成要素を意味する。また、本発明の明細書において「シート」とは、一枚の板材状、もしくはロール形タイプで巻かれて連続的に供給可能なロール材状の全てを含む概念である。
【0039】
また、本発明の明細書において「一方向」とは、延伸されるシートの延伸方向を意味し、「厚み方向」とは、その一方向と垂直なシートの厚み方向を意味するのであって、具体的な方向は図3で示している。
【0040】
図3は本発明による結晶領域と非結晶領域とが混じっている結晶性プラスチックによって製造された反射板の反射原理を説明した図であって、具体的には、結晶性プラスチックを結晶化温度以下の延伸温度条件で低温延伸して製造するものである。結晶性プラスチックは延伸前には半透明の状態を維持する。図3を参照すれば、延伸前反射板材料(例:neat PP)の結晶領域、又は結晶は、光を拡散反射させる一方、非結晶粒子が無秩序に配置されている非結晶領域(amorphous region)では光を透過することにより、全体的には半透明の状態である。しかし、反射板材料を結晶化温度以下で一方向に低温延伸することになれば、結晶化温度以下で変形可能な形態で存在する非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層(図3にライン形態で示す)が形成される。このように、結晶化温度以下で延伸が行われることになれば、元から反射が可能な状態の結晶(又は結晶領域)で拡散反射が生じることはもちろんのこと、既存に反射ができなかった非結晶領域でも複数の配向層によって入射光が反射されて、全体的に高い反射率を得ることができるようになる。一方、このような配向層は前記一方向(図3に図示)およびその一方向と垂直な厚み方向(図3に図示)に複数配置されて、入射光が反射板を通じて殆ど反射できる。また、本実施例で使用される反射板の反射率は概ね95%以上になるように適宜延伸することが望ましい。
【0041】
図4は本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸による反射板の製造工程の望ましい一実施例を示している。
【0042】
まず、結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレットを押出成形機に投入する。低温延伸される反射板の結晶性プラスチック材料は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene 2、6-naphthalate)、PBT(polybutylene terephthalate)などのポリエステル系や、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、HDPE(high density polyethylene)、LDPE(low density polyethylene)、LLDPE(linear low density polyethylene)などのポリオレフィン系であることが望ましい。
【0043】
ここで、ポリオレフィン系の樹脂の使用時には、UV(ultraviolet)露出後の黄変を防止するためにUV安定剤を添加することが望ましい。UV安定剤としては、ヒンダードアミン系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリルレート系、トリアジン系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系などの有機系の光安定剤、あるいはゾルゲルなどの無機系の光安定剤を用いることができる。このようなUV安定剤の具体的な例は以下の通りである。
【0044】
ヒンダードアミン系:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
サリチル酸系:p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、
ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、
ベンゾトリアゾール系:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2’ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−アクリロイルエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、
シアノアクリレート系: エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
上記以外:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’−チオビス(4−tーオクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ・t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエート、2−エトキシ−2’−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、
ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系のうち、少なくとも一つ以上を用いることが好ましく、さらには、これらを併用して用いることが、より好ましい。
【0045】
本願発明では、上記UV安定剤の中、反射板の仕様によって添加されるUV安定剤の種類が変わり、その安定剤の添加比率も0.05重量%乃至5重量%範囲で適宜決定することができる。一方、安定剤の添加比率が0.05重量%以下であれば、黄変を除去する効果が落ちるので好ましくなく、5重量%以上であれば、全体的な値段が上がるだけでなく、強性も減少して好ましくない。UV安定剤の添加およびUV安定剤は、結晶性プラスチック母材とともに適正添加比率で交ぜて押出成形機でコンパウンディング押出して押出シートを成形する。
【0046】
そして押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロールによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する。
【0047】
そして冷却ロールを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向するように非結晶領域を延伸する。延伸工程では、反射板の使用用途、反射率、厚み、製造コストなどの求められる製品仕様に従って多様に変形して反射板を製造する。
【0048】
一方、本発明の反射板の製造方法では、図4で押出成形機工程及び冷却ロ−ル工程を削除し、最初から結晶性プラスチックからなるロ−ル材状のシートを用意する段階と、用意したシートを結晶化温度Tc以下で延伸チェンバーに投入して延伸する段階だけで反射板を製造することもできる。そして、延伸チェンバーで延伸され排出された反射板を用途/製品規格にしたがって分断(slitting)する。但し、このような分断工程は一枚の板材状のシートを延伸チェンバーに入れる場合には省略できる。次に、反射板を包装規格にしたがってスタッキング(stacking)することで反射板の製造工程は完了される。
【0049】
このような本発明の低温延伸方法によって製造された反射板の一実施例(SPP(stretched polypropylene))の主要特徴を従来の製品と比べて以下の表2に整理した。本発明の製法によって製造された上記SPP製品は結晶性プラスチック材料としてPP(polypropylene)を用いた。
【0050】
【表2】
【0051】
図5は帝人デュポン社製のUXフィルム断面の10,000倍拡大SEM(Scanning Electro Microscope)写真である。写真で矢印は10〜20%の添加剤で使用された白色顔料であるBaSO4粒子であり、丸は延伸によって添加剤の周りに発生した1〜数μm位の気孔である。UXフィルムはBaSO4粒子と気孔の数によって所望する反射率を得る。
【0052】
図6は古川社製のMCPET製品の1,000倍拡大SEM写真である。MCPET写真では無数に多い数十μm大きさの微細気泡(micro bubble)を観察することができ、MCPETはこのような気泡によって所望する反射率が得られる。
【0053】
図7は本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の10,000倍拡大SEM写真であり、図8はその1,000倍拡大SEM写真である。また図9は本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と平行した断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【0054】
図7を参照すれば、1μm未満の非常に小さくて不規則な空間を観察できるが、これは低温延伸によって非結晶領域に複数の配向層が形成される過程で、結晶と非結晶との間の境界が亀裂して生じた空間であり、これは図7の延伸方向と垂直な断面写真のみで観察されるが、この空間も本発明の反射板の拡散反射率に役に立つことができる。
【0055】
図8を参照すれば、図6のMCPET製品と比べた時、気泡と言える空間を観察することができず、非結晶領域に形成された複数の配向層が数多く観察される。このような非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されて配向層が形成された構造が、本発明の反射板の反射率を決める主な因子になる。
【0056】
一方、図9を参照すれば、気孔は観察されず、非結晶領域が配向された構造を確かに観察することができる。図1、図5、図6に示した既存の反射板はどの方向で断面を切っても気孔が存在することが確認できるが、本発明による反射板は方向性があるので、延伸方向と平行した方向で断面を切ると、全然気孔が観察されない。結晶性プラスチック素材の低温延伸で製造された本発明の反射板のこのような非結晶領域に形成されたライン状の複数の配向層は、本発明の反射板の反射率を決める主な因子になる。
【0057】
図10は本発明の実施例で結晶性プラスチックとして使用されたPPの結晶化温度の実験結果であって、丸で示された120℃である。本発明の反射板の材料として使用される結晶性プラスチックの一般的な結晶化温度は、例えば、PETの場合は160.8℃、PEの場合は70℃であるので、本発明ではこのような結晶化温度以下で結晶性プラスチックを低温延伸して非結晶領域を配向させて反射率が高められる。
【0058】
図11は示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)を利用した結晶性プラスチックの流動性分析グラフである。熔融温度(melting temperature、Tm)とは、結晶状態が液体になる温度を言う。結晶化温度Tcとは、結晶化が仕上げされて完全に固い状態になる温度を言う。そして、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)とは、結晶性高分子の非結晶部分が溶ける温度を言う。従来の反射フィルムを作る方法は、押出で一定した厚みのシートを作った後、それが完全に固くなる前、即ち、溶融温度(Tm)で温度が下がって結晶化温度(Tc)になる前に、一方向または一方向及び一方向と直交する方向に延伸させる方式で反射板を製造するのに対して、本願発明の低温延伸製造方法は、Tc以下で固くなっている結晶性材質のシートを延伸することに特徴がある。
【0059】
図12は延伸温度によるPP材料の反射板製品の特性を比べた写真であって、左側から温度 140℃、150℃、160℃、120℃でPPを延伸したものである。結晶化温度(PP:120℃)以上の温度(140℃、150℃、160℃)で延伸した左側3つの製品は、既存フィルムと同様に広くて薄くて半透明に延伸されているのに対して、最右側の120℃で延伸した製品は、相対的に非常に小さな大きさで白の不透明に延伸されていることが分かる。すなわち、結晶性プラスチックを添加剤なしに結晶化温度以上(140℃、150℃、160℃)で延伸することになれば、反射板として使用するのに不適合になるので、反射板の仕様を満たす反射率を得るためには、添加剤を数十%添加しなければならない。これに比べて本発明の低温延伸(Tc以下の延伸)によれば、非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されて配向層が形成されることにより、反射率に優れた反射板を得ることができ、この際、別途の添加剤がなしに十分な反射率を得ることができる。
【0060】
図13はPP材料の温度による異なる延伸結果の写真であって、左側から60℃、80℃、100℃で延伸した結果であり、延伸温度ごとに適用された引張強度は以下の表3の通りである。
【0061】
【表3】
【0062】
このように、延伸前の初期結晶性プラスチック材料の大きさと厚みによって延伸温度と引張力を延伸チェンバーの延伸条件として適宜選択することで、所望する反射率が得られる最終厚みの反射板を製造することができる。
【0063】
図14は本発明の望ましい実施例によって製造された様々な厚みの反射板と従来のMCPET製品の全反射率(total reflectance)を示したグラフである。
【0064】
そして、以下の表4は図14に全反射率が示された本発明の反射板の延伸前の初期厚みと延伸後の最終厚みを示している。
【0065】
【表4】
【0066】
図14を参照すれば、既存に使用中である古川社製のMCPET製品は、0.94mmで視覚細胞を最も刺激する550nm波長領域における反射率が97.9%であるが、本発明による低温延伸方法によって製造された反射板は、0.5mmだけでも従来のMCPET反射板より高い全反射率を有することから、従来に使用中の製品より厚みを顕著に減らすことができる。従って、全体的なLCDのBLU(Back Light Unit)をコンパクト(compact)にすることができる。また、厚み0.5mmでも98%以上の高い全反射率を有することから、TVのみならずモニターなどにも適用することができる。更に、図14のグラフを参照すれば、本発明のSPP1.2mm製品の場合は、反射率を100.3%まで得ることができてLCD製品の輝度向上に大きく寄与することができる。
【0067】
図15は厚みによる本発明の望ましい実施例による反射板と従来のMCPET製品の拡散反射率を示したグラフである。
【0068】
液晶画面全体が均一な輝度を有するためには、拡散反射率に優れたものが求められる。図15を参照すれば、本発明の反射板の製造方法によって低温延伸させた反射板SPP0.8mm以上の厚みで従来のMCPET(古川社製)0.94mm製品より拡散反射率も高いことが分かる。また、SPP0.5mm製品でも550nm波長領域で従来のMCPET製品と拡散反射率においてほとんど同等な水準であることが分かる。
【0069】
したがって、本発明による低温延伸方法で製造された反射板は、従来、最も優秀な反射率を見せるMCPET製品より同一の厚みで一層高い反射率が得られることが分かり、厚みを0.94mmから0.5mmに減らしても同等な程度の反射率が得られることが分かる。
【0070】
以上で説明した実施例は以下のように変形することができる。
【0071】
上述の実施例では一方向に延伸する1軸延伸を遂行して配向層が一方向のみに配置されていることを説明したが、一方向と直交する二方向(例えば、2軸延伸)にも共に延伸する2軸延伸を遂行して配向層が一方向および二方向に共に配置されることも可能である。
【0072】
また、上述の実施例では結晶性プラスチックを延伸することにより、その非結晶領域に複数の配向層が配置されることを示したが、それ以外にも結晶性プラスチックを厚み方向に押すディープドローイング工程を通じて、結晶性プラスチックが押される厚み方向に沿って複数の配向層が配置されることも可能である。即ち、本実施例において、多様な作業方式によって非結晶領域に一方向に沿って配向層が形成されるものであれば、本発明の権利範囲に属する。
【0073】
以上、図面および明細書に実施例を開示した。ここで特定の用語が使用されているが、これはただ本発明を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や特許請求範囲に記載の本発明の範囲を制限するために使用されたものではない。それ故に、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、上記実施例から多様な変形および同様の他の実施例が可能であることを分かるはずである。よって、本発明の本の技術的保護範囲は添付の特許請求範囲の技術的思想に基いて定められるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光燈、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)のバックライトのような光源の反射板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の反射板の製造方法に関する従来技術は、大きく白色顔料/染料添加剤の使用方法と内部に気泡を生成する方法とに分類することができる。
【0003】
まず、韓国登録特許第611599号「面光源反射部材用白色フィルム」には、内部に気泡を含有する白色フィルムの少なくとも片面に光安定剤を含有する塗布層が設けられてなる面光源反射部材用白色フィルムが開示されている。上記白色フィルムは、長時間使用においても輝度の経時的低下が少なく高画質の画像を長期にわたって維持できるので、液晶画面用のエッジライト、直下型ライトの面光源の反射板およびリフレクターに用いられる部材で望ましく使用できることを開示している。
【0004】
液晶画面の照明用器材では、導光板のエッジから冷陰極線管を照明光源にする、いわゆるエッジライト方式が広く使用されている(日本公開特許公報昭63−62104号)。この照明方式において、光をより効率的に活用するため、冷陰極線管の周りにリフレクターが設けられ、更に、導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下には反射板が設けられている。
【0005】
一方、液晶テレビのような大画面用では、エッジライト方式では画面の高輝度化が望めないことから直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状であったり、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
【0006】
また、液晶表示装置の面光源に用いられるリフレクターや反射板のような面光源反射部材には高い反射機能が要求され、白色染料や白色顔料を添加したフィルム、内部に微細な気泡を含有させたフィルム、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に、内部に微細な気泡を含有させたフィルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている。このように、内部に微細な気泡を含有したフィルムは、日本公開特許公報平6−322153号、日本公開特許公報平7−118433号などに開示されており、これを要約すると、(イ)フィルム構成樹脂と非相溶性樹脂の添加後、1軸又は2軸延伸、(ロ)有/無機の粒子の添加後、1軸又は2軸延伸、(ハ)発泡ガスを用いて押出シート成形、(ニ)押出シートにガスを注入して発泡することに関する技術である。
【0007】
また、最近の液晶表示装置のバックライト用反射板の材質としては、日本古川社製のMCPET(Micro-forming Polyethylene Terephthalate)製品が広く使用されている。MCPET製品はペットボトル原料のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂をマイクロ発泡させて微細な気泡をシート内部に多く生成して、光の反射率を高めた。上記MCPET製品をLCDのバックライト用反射板材質で使った韓国特許出願には以下のようなものなどがある。
【0008】
(1)韓国出願番号10−2003−0073384 バックライトユニット
(2)韓国出願番号10−2003−0082948 液晶表示モジュール
(3)韓国出願番号10−2003−0089231 液晶表示装置バックライトアセンブリ
(4)韓国出願番号10−2004−0100558 液晶表示装置及びその製造方法
(5)韓国出願番号10−2004−0046746 バックライトユニット
(6)韓国出願番号10−2004−0078310 光学フィルムとそれを有するバックライトユニット
(7)韓国出願番号10−2005−7005358 光反射板及びその製造方法
(8)韓国出願番号10−2005−0010677 バックライトアセンブリ及びそれを有する表示装置
(9)韓国出願番号10−2005−0016992 バックライトユニット及び液晶表示装置
このような従来の面光源用反射板材料として商用化された製品とその主要特性は以下の表1の通りである。
【0009】
【表1】
【0010】
図1は上記表1の商用化された製品のそれぞれの構造を概略的に示している。図1と表1に提示された従来の製品は、添加された顔料/染料、表面処理、内部に気泡形成、添加剤の添加後の延伸による気孔拡張などによって所望する反射率を得た。
【0011】
図2は反射板の拡散反射の原理を示している。
【0012】
全反射(total reflection)は、鏡面反射(mirror reflection)と拡散反射(diffuse reflection)とを足すものである。光の鏡面反射とは、反射板の面から直接反射されて反射波が一定の方向に出て行くことを意味し、拡散反射とは、反射板の内部の微細気泡、白色顔料(pigment)、結晶粒子に入射した光が全ての方向に反射されて改めて外に出て行くことを意味する。拡散反射される程度は、反射板内部の微細気泡、白色顔料および結晶粒子の数によって左右される。一方、LCDでは拡散反射率(diffuse reflectance)が高いことが有利である。
【0013】
このような従来の白色顔料、染料添加剤を使用した製品など(帝人デュポン社、東レ社、三井社)は、比較的反射率に優れた炭酸カルシウム(CaCO3)や硫酸バリウム(BaSO4)などの添加剤を用いて反射板を製作する。このような反射板は白色顔料、染料添加剤の材料費などの理由で厚みがあるように製作することができず、薄くして使用する。即ち、反射板の厚みを厚くすればするほど、それに伴って内部に含まれる白色顔料および染料添加剤の量も増加されなければならないため、これは全体的な材料費を急激に上昇させる要因となり、実際に使用されることは困難である。このように反射板の厚みを薄くした状態では、反射板の全体的な大きさにおいて制約がある。即ち、反射板の厚みが薄い状態で全体的な反射板の大きさだけを大きくすると、長時間使用時に熱によって反射板が歪んだり、しわが寄ったりするか、構造的に十分な強性を持たないため、一般的に42インチ以上の大型TVなどに適用するには困難である。
【0014】
このような問題を解消するために研究開発された発泡製品(古川社製)は42インチ以上の大型TVなどに適用できるように厚みを厚く製作することができる。しかし、PETを発泡するためには48時間高圧ガスタンク内で行われるガス注入工程を伴う必要があり、これにより生産単価が非常に高価であり、発泡製品の場合は生産時間を縮めにくい短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は、製造工程を簡素化し、製造コストを下げて、生産性を向上させ、かつ反射率も向上させた反射板及びその反射板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1視点によれば、入射光を反射させるための反射板であって、結晶領域と非結晶領域が混じっている結晶性プラスチックによって製造される反射板において、前記非結晶領域には非結晶粒子が一方向に配向されてなった配向層が複数設けられていることを特徴とする反射板が得られる。
【0017】
前記反射板において、前記配向層は前記一方向に複数配置されることが望ましい。
【0018】
前記反射板において、前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることが望ましい。
【0019】
前記反射板において、前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることが望ましい。
【0020】
前記反射板の反射率は95%以上であることが望ましい。
【0021】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることが望ましい。
【0022】
前記反射板において、前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることが望ましい。
【0023】
前記反射板において、前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることが望ましい。
【0024】
本発明の別の視点によれば、結晶性プラスチックをその結晶性プラスチックの結晶化温度(crystallization temperature、Tc)以下で一方向に延伸することにより、前記結晶性プラスチックの非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されていることを特徴とする反射板の製造方法が得られる。
【0025】
前記反射板の製造方法は、結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレット(pellet)を押出成形機に投入して押出シートを形成する段階と、
前記押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロ−ルによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する段階、及び、
冷却ロ−ルを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階とを具備することが望ましい。
【0026】
前記反射板の製造方法は、延伸用結晶性プラスチック材料のシートを用意する段階、及び、前記シートを前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下で延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階を具備することが望ましい。
【0027】
前記反射板の製造方法において、前記配向層は前記一方向に複数配置されることが望ましい。
【0028】
前記反射板の製造方法において、前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることが望ましい。
【0029】
前記反射板の製造方法において、前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることが望ましい。
【0030】
前記反射板の製造方法において、前記反射板の反射率は95%以上であることが望ましい。
【0031】
前記反射板の製造方法において、前記反射板にはUV安定剤が含まれていることが望ましい。
【0032】
前記反射板の製造方法において、前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることが望ましい。
【0033】
前記反射板の製造方法において、前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることが望ましい。
【発明の効果】
【0034】
以上で説明したとおり、本発明によれば、延伸性に優れた結晶性プラスチック材料を延伸して非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されることにより反射率を高めた反射板を提供することができる。また、本発明によれば、反射率増大のための発泡工程や別途の添加剤追加なしに、非結晶領域の配向層による高い拡散反射率によって反射率を非常に高めた優秀な性能の反射板を製造することができるので、反射板の製造工程が簡素化され、かつ製造コストが節減され、生産性が大きく向上することができる。
【0035】
本発明によって製造された反射板は各種照明の反射板で使用されるのに適合し、特に液晶表示装置用のエッジライト、直下型ライトの面光源の反射板、リフレクターに使用されるのに非常に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の面光源用反射板材料として常用化された製品の構造の概略図である。
【図2】反射板の拡散反射の原理を示した図である。
【図3】本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸によって製造された反射板の反射原理を説明した図である。
【図4】本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸による反射板の製造方法の望ましい一実施例を示した図である。
【図5】帝人デュポン社製のUXフィルム断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図6】福川社製のMCPET製品の1,000倍拡大SEM写真である。
【図7】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図8】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の1,000倍拡大SEM写真である。
【図9】本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と平行した断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【図10】本発明の実施例で結晶性プラスチックとして使用されたPPの結晶化温度の実験結果である。
【図11】示差走査熱量計を利用した結晶性プラスチックの流動性分析グラフである。
【図12】延伸温度によるPP材料の反射板製品の特性を比べた写真である。
【図13】PP材料の温度による異なる延伸結果の写真である。
【図14】本発明の望ましい実施例によって製造された様々な厚みの反射板と従来のMCPET製品の全反射率を示したグラフである。
【図15】厚みによる本発明の望ましい実施例による反射板と従来のMCPET製品の拡散反射率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の構成と動作を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0038】
各図面に示された同一の参照符号は、同一機能を遂行する構成要素を意味する。また、本発明の明細書において「シート」とは、一枚の板材状、もしくはロール形タイプで巻かれて連続的に供給可能なロール材状の全てを含む概念である。
【0039】
また、本発明の明細書において「一方向」とは、延伸されるシートの延伸方向を意味し、「厚み方向」とは、その一方向と垂直なシートの厚み方向を意味するのであって、具体的な方向は図3で示している。
【0040】
図3は本発明による結晶領域と非結晶領域とが混じっている結晶性プラスチックによって製造された反射板の反射原理を説明した図であって、具体的には、結晶性プラスチックを結晶化温度以下の延伸温度条件で低温延伸して製造するものである。結晶性プラスチックは延伸前には半透明の状態を維持する。図3を参照すれば、延伸前反射板材料(例:neat PP)の結晶領域、又は結晶は、光を拡散反射させる一方、非結晶粒子が無秩序に配置されている非結晶領域(amorphous region)では光を透過することにより、全体的には半透明の状態である。しかし、反射板材料を結晶化温度以下で一方向に低温延伸することになれば、結晶化温度以下で変形可能な形態で存在する非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層(図3にライン形態で示す)が形成される。このように、結晶化温度以下で延伸が行われることになれば、元から反射が可能な状態の結晶(又は結晶領域)で拡散反射が生じることはもちろんのこと、既存に反射ができなかった非結晶領域でも複数の配向層によって入射光が反射されて、全体的に高い反射率を得ることができるようになる。一方、このような配向層は前記一方向(図3に図示)およびその一方向と垂直な厚み方向(図3に図示)に複数配置されて、入射光が反射板を通じて殆ど反射できる。また、本実施例で使用される反射板の反射率は概ね95%以上になるように適宜延伸することが望ましい。
【0041】
図4は本発明に係る結晶性プラスチックの低温延伸による反射板の製造工程の望ましい一実施例を示している。
【0042】
まず、結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレットを押出成形機に投入する。低温延伸される反射板の結晶性プラスチック材料は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene 2、6-naphthalate)、PBT(polybutylene terephthalate)などのポリエステル系や、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、HDPE(high density polyethylene)、LDPE(low density polyethylene)、LLDPE(linear low density polyethylene)などのポリオレフィン系であることが望ましい。
【0043】
ここで、ポリオレフィン系の樹脂の使用時には、UV(ultraviolet)露出後の黄変を防止するためにUV安定剤を添加することが望ましい。UV安定剤としては、ヒンダードアミン系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリルレート系、トリアジン系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系などの有機系の光安定剤、あるいはゾルゲルなどの無機系の光安定剤を用いることができる。このようなUV安定剤の具体的な例は以下の通りである。
【0044】
ヒンダードアミン系:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
サリチル酸系:p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、
ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、
ベンゾトリアゾール系:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2’ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−アクリロイルエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、
シアノアクリレート系: エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
上記以外:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’−チオビス(4−tーオクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ・t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエート、2−エトキシ−2’−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、
ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系のうち、少なくとも一つ以上を用いることが好ましく、さらには、これらを併用して用いることが、より好ましい。
【0045】
本願発明では、上記UV安定剤の中、反射板の仕様によって添加されるUV安定剤の種類が変わり、その安定剤の添加比率も0.05重量%乃至5重量%範囲で適宜決定することができる。一方、安定剤の添加比率が0.05重量%以下であれば、黄変を除去する効果が落ちるので好ましくなく、5重量%以上であれば、全体的な値段が上がるだけでなく、強性も減少して好ましくない。UV安定剤の添加およびUV安定剤は、結晶性プラスチック母材とともに適正添加比率で交ぜて押出成形機でコンパウンディング押出して押出シートを成形する。
【0046】
そして押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロールによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する。
【0047】
そして冷却ロールを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向するように非結晶領域を延伸する。延伸工程では、反射板の使用用途、反射率、厚み、製造コストなどの求められる製品仕様に従って多様に変形して反射板を製造する。
【0048】
一方、本発明の反射板の製造方法では、図4で押出成形機工程及び冷却ロ−ル工程を削除し、最初から結晶性プラスチックからなるロ−ル材状のシートを用意する段階と、用意したシートを結晶化温度Tc以下で延伸チェンバーに投入して延伸する段階だけで反射板を製造することもできる。そして、延伸チェンバーで延伸され排出された反射板を用途/製品規格にしたがって分断(slitting)する。但し、このような分断工程は一枚の板材状のシートを延伸チェンバーに入れる場合には省略できる。次に、反射板を包装規格にしたがってスタッキング(stacking)することで反射板の製造工程は完了される。
【0049】
このような本発明の低温延伸方法によって製造された反射板の一実施例(SPP(stretched polypropylene))の主要特徴を従来の製品と比べて以下の表2に整理した。本発明の製法によって製造された上記SPP製品は結晶性プラスチック材料としてPP(polypropylene)を用いた。
【0050】
【表2】
【0051】
図5は帝人デュポン社製のUXフィルム断面の10,000倍拡大SEM(Scanning Electro Microscope)写真である。写真で矢印は10〜20%の添加剤で使用された白色顔料であるBaSO4粒子であり、丸は延伸によって添加剤の周りに発生した1〜数μm位の気孔である。UXフィルムはBaSO4粒子と気孔の数によって所望する反射率を得る。
【0052】
図6は古川社製のMCPET製品の1,000倍拡大SEM写真である。MCPET写真では無数に多い数十μm大きさの微細気泡(micro bubble)を観察することができ、MCPETはこのような気泡によって所望する反射率が得られる。
【0053】
図7は本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と垂直な断面の10,000倍拡大SEM写真であり、図8はその1,000倍拡大SEM写真である。また図9は本発明の結晶化温度以下の低温延伸によって製造されたPP材質反射板の延伸方向と平行した断面の10,000倍拡大SEM写真である。
【0054】
図7を参照すれば、1μm未満の非常に小さくて不規則な空間を観察できるが、これは低温延伸によって非結晶領域に複数の配向層が形成される過程で、結晶と非結晶との間の境界が亀裂して生じた空間であり、これは図7の延伸方向と垂直な断面写真のみで観察されるが、この空間も本発明の反射板の拡散反射率に役に立つことができる。
【0055】
図8を参照すれば、図6のMCPET製品と比べた時、気泡と言える空間を観察することができず、非結晶領域に形成された複数の配向層が数多く観察される。このような非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されて配向層が形成された構造が、本発明の反射板の反射率を決める主な因子になる。
【0056】
一方、図9を参照すれば、気孔は観察されず、非結晶領域が配向された構造を確かに観察することができる。図1、図5、図6に示した既存の反射板はどの方向で断面を切っても気孔が存在することが確認できるが、本発明による反射板は方向性があるので、延伸方向と平行した方向で断面を切ると、全然気孔が観察されない。結晶性プラスチック素材の低温延伸で製造された本発明の反射板のこのような非結晶領域に形成されたライン状の複数の配向層は、本発明の反射板の反射率を決める主な因子になる。
【0057】
図10は本発明の実施例で結晶性プラスチックとして使用されたPPの結晶化温度の実験結果であって、丸で示された120℃である。本発明の反射板の材料として使用される結晶性プラスチックの一般的な結晶化温度は、例えば、PETの場合は160.8℃、PEの場合は70℃であるので、本発明ではこのような結晶化温度以下で結晶性プラスチックを低温延伸して非結晶領域を配向させて反射率が高められる。
【0058】
図11は示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)を利用した結晶性プラスチックの流動性分析グラフである。熔融温度(melting temperature、Tm)とは、結晶状態が液体になる温度を言う。結晶化温度Tcとは、結晶化が仕上げされて完全に固い状態になる温度を言う。そして、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)とは、結晶性高分子の非結晶部分が溶ける温度を言う。従来の反射フィルムを作る方法は、押出で一定した厚みのシートを作った後、それが完全に固くなる前、即ち、溶融温度(Tm)で温度が下がって結晶化温度(Tc)になる前に、一方向または一方向及び一方向と直交する方向に延伸させる方式で反射板を製造するのに対して、本願発明の低温延伸製造方法は、Tc以下で固くなっている結晶性材質のシートを延伸することに特徴がある。
【0059】
図12は延伸温度によるPP材料の反射板製品の特性を比べた写真であって、左側から温度 140℃、150℃、160℃、120℃でPPを延伸したものである。結晶化温度(PP:120℃)以上の温度(140℃、150℃、160℃)で延伸した左側3つの製品は、既存フィルムと同様に広くて薄くて半透明に延伸されているのに対して、最右側の120℃で延伸した製品は、相対的に非常に小さな大きさで白の不透明に延伸されていることが分かる。すなわち、結晶性プラスチックを添加剤なしに結晶化温度以上(140℃、150℃、160℃)で延伸することになれば、反射板として使用するのに不適合になるので、反射板の仕様を満たす反射率を得るためには、添加剤を数十%添加しなければならない。これに比べて本発明の低温延伸(Tc以下の延伸)によれば、非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されて配向層が形成されることにより、反射率に優れた反射板を得ることができ、この際、別途の添加剤がなしに十分な反射率を得ることができる。
【0060】
図13はPP材料の温度による異なる延伸結果の写真であって、左側から60℃、80℃、100℃で延伸した結果であり、延伸温度ごとに適用された引張強度は以下の表3の通りである。
【0061】
【表3】
【0062】
このように、延伸前の初期結晶性プラスチック材料の大きさと厚みによって延伸温度と引張力を延伸チェンバーの延伸条件として適宜選択することで、所望する反射率が得られる最終厚みの反射板を製造することができる。
【0063】
図14は本発明の望ましい実施例によって製造された様々な厚みの反射板と従来のMCPET製品の全反射率(total reflectance)を示したグラフである。
【0064】
そして、以下の表4は図14に全反射率が示された本発明の反射板の延伸前の初期厚みと延伸後の最終厚みを示している。
【0065】
【表4】
【0066】
図14を参照すれば、既存に使用中である古川社製のMCPET製品は、0.94mmで視覚細胞を最も刺激する550nm波長領域における反射率が97.9%であるが、本発明による低温延伸方法によって製造された反射板は、0.5mmだけでも従来のMCPET反射板より高い全反射率を有することから、従来に使用中の製品より厚みを顕著に減らすことができる。従って、全体的なLCDのBLU(Back Light Unit)をコンパクト(compact)にすることができる。また、厚み0.5mmでも98%以上の高い全反射率を有することから、TVのみならずモニターなどにも適用することができる。更に、図14のグラフを参照すれば、本発明のSPP1.2mm製品の場合は、反射率を100.3%まで得ることができてLCD製品の輝度向上に大きく寄与することができる。
【0067】
図15は厚みによる本発明の望ましい実施例による反射板と従来のMCPET製品の拡散反射率を示したグラフである。
【0068】
液晶画面全体が均一な輝度を有するためには、拡散反射率に優れたものが求められる。図15を参照すれば、本発明の反射板の製造方法によって低温延伸させた反射板SPP0.8mm以上の厚みで従来のMCPET(古川社製)0.94mm製品より拡散反射率も高いことが分かる。また、SPP0.5mm製品でも550nm波長領域で従来のMCPET製品と拡散反射率においてほとんど同等な水準であることが分かる。
【0069】
したがって、本発明による低温延伸方法で製造された反射板は、従来、最も優秀な反射率を見せるMCPET製品より同一の厚みで一層高い反射率が得られることが分かり、厚みを0.94mmから0.5mmに減らしても同等な程度の反射率が得られることが分かる。
【0070】
以上で説明した実施例は以下のように変形することができる。
【0071】
上述の実施例では一方向に延伸する1軸延伸を遂行して配向層が一方向のみに配置されていることを説明したが、一方向と直交する二方向(例えば、2軸延伸)にも共に延伸する2軸延伸を遂行して配向層が一方向および二方向に共に配置されることも可能である。
【0072】
また、上述の実施例では結晶性プラスチックを延伸することにより、その非結晶領域に複数の配向層が配置されることを示したが、それ以外にも結晶性プラスチックを厚み方向に押すディープドローイング工程を通じて、結晶性プラスチックが押される厚み方向に沿って複数の配向層が配置されることも可能である。即ち、本実施例において、多様な作業方式によって非結晶領域に一方向に沿って配向層が形成されるものであれば、本発明の権利範囲に属する。
【0073】
以上、図面および明細書に実施例を開示した。ここで特定の用語が使用されているが、これはただ本発明を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や特許請求範囲に記載の本発明の範囲を制限するために使用されたものではない。それ故に、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、上記実施例から多様な変形および同様の他の実施例が可能であることを分かるはずである。よって、本発明の本の技術的保護範囲は添付の特許請求範囲の技術的思想に基いて定められるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射させるための反射板において、
結晶領域と非結晶領域とが混じっている結晶性プラスチックによって製造され、
前記非結晶領域には非結晶粒子が一方向に配向されてなった配向層が複数設けられていることを特徴とする反射板。
【請求項2】
前記配向層は前記一方向に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項3】
前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項4】
前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項5】
前記反射板の反射率は95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項6】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項7】
前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項8】
前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項9】
結晶性プラスチックをその結晶性プラスチックの結晶化温度(crystallization temperature、Tc )以下で一方向に延伸することにより、前記結晶性プラスチックの非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されている反射板を製造する反射板の製造方法。
【請求項10】
結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレット(pellet)を押出成形機に投入して押出シートを形成する段階と、
前記押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロ−ルによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する段階、及び、
冷却ロ−ルを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階とを具備することを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項11】
延伸用結晶性プラスチック材料のシートを用意する段階、及び、
前記シートを前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下で延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階を具備することを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項12】
前記配向層は前記一方向に複数配置されることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項13】
前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項14】
前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項15】
前記反射板の反射率は95%以上であることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項16】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項17】
前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項16に記載の反射板の製造方法。
【請求項18】
前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることを特徴とする請求項16に記載の反射板の製造方法。
【請求項1】
入射光を反射させるための反射板において、
結晶領域と非結晶領域とが混じっている結晶性プラスチックによって製造され、
前記非結晶領域には非結晶粒子が一方向に配向されてなった配向層が複数設けられていることを特徴とする反射板。
【請求項2】
前記配向層は前記一方向に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項3】
前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項4】
前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項5】
前記反射板の反射率は95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項6】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項7】
前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項8】
前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項9】
結晶性プラスチックをその結晶性プラスチックの結晶化温度(crystallization temperature、Tc )以下で一方向に延伸することにより、前記結晶性プラスチックの非結晶領域に設けられた非結晶粒子が一方向に配向され、その非結晶領域に複数の配向層が形成されている反射板を製造する反射板の製造方法。
【請求項10】
結晶性プラスチックの非結晶化状態の材料であるペレット(pellet)を押出成形機に投入して押出シートを形成する段階と、
前記押出成形機から排出される押出シートを、冷却ロ−ルによって前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下まで冷却する段階、及び、
冷却ロ−ルを通した前記押出シートを延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階とを具備することを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項11】
延伸用結晶性プラスチック材料のシートを用意する段階、及び、
前記シートを前記結晶性プラスチックの結晶化温度以下で延伸チェンバーに投入して非結晶領域の非結晶粒子が一方向に配向されるように延伸する段階を具備することを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項12】
前記配向層は前記一方向に複数配置されることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項13】
前記配向層は前記一方向と垂直な厚み方向に複数配置されることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項14】
前記反射板はポリエステル系またはポリオレフィン系であることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項15】
前記反射板の反射率は95%以上であることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項16】
前記反射板にはUV安定剤が含まれていることを特徴とする請求項9に記載の反射板の製造方法。
【請求項17】
前記UV安定剤は0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項16に記載の反射板の製造方法。
【請求項18】
前記UV安定剤は有機系の光安定剤またはゾルゲルなどの無機系の光安定剤であることを特徴とする請求項16に記載の反射板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−511188(P2010−511188A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538334(P2009−538334)
【出願日】平成19年11月23日(2007.11.23)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005957
【国際公開番号】WO2008/063030
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509142346)アルファーヴィジョン カンパニー,リミテッド (1)
【出願人】(509142357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月23日(2007.11.23)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005957
【国際公開番号】WO2008/063030
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509142346)アルファーヴィジョン カンパニー,リミテッド (1)
【出願人】(509142357)
【Fターム(参考)】
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