説明

反射防止フィルムの外観欠陥検査装置及びそれを用いた外観欠陥検査方法

【課題】反射防止フィルムの欠陥を高精度で、且つ、非破壊で行うことで生産性の向上が可能となる外観欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】透明フィルム基材の片面に反射防止層を設けてなる反射防止フィルムの表面を照射する表面照射手段と、表面反射光を撮像する撮像手段と、撮像された画像を画像処理して欠陥を検出する手段を有する自動欠陥検査ユニットと、顕微鏡検査ユニットと,目視欠陥検査ユニットと、を具備することを特徴とする反射防止フィルムの外観欠陥検査装置およびそれを用いた検査方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビやパソコンなどの表示デバイスおいて、表示画面の保護や防塵とともに,外部からの光の映りこみを防止する為の反射防止フィルムの外観欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやパソコンなどの表示デバイスでは、見易さは最も重要な品質特性の一つであり、一般には表示画面の表面に、表示画面の保護や防塵とともに外部からの光の映りこみを防止するため、透明フィルムに反射防止材料をコーティングして製造される反射防止フィルムが貼られている。したがって、反射防止フィルムは上述の機能を満たす為に、極めて厳しい品質が要求されている。
【0003】
前記反射防止フィルムの品質検査方法としては、例えば、製品サイズに断裁された反射防止フィルムの目視検査の代替として、前記反射防止フィルムの上部より光を照射して、その透過した光を投影シートに投影し、該投影シートに投影された光と影を基に欠陥があるか否かを検査する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、多くの欠陥検査方法はロール状のワークに対して行われ、反射防止フィルムの製造工程、特に透明フィルムに反射防止材料をコーティングする工程の中に欠陥検査装置が具備されている。
【0005】
例えば、透明フィルムに存在する被検査物の画像を撮像するラインセンサーカメラ、および撮像された画像を画像処理して欠陥を検出する画像処理装置を有し、さらにラインセンサーカメラがレンズの周りに光源としてリング型蛍光灯を有する欠陥検査装置が提案されている(特許文献2)。
【0006】
また、例えば、反射防止フィルムにコヒーレントな検査光を照射し、その検査光が被検体である反射防止フィルムで反射してなる反射光を活用した方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
一般にロール状のフィルム基材を連続して加工する工程では、その一連の工程の中や別の工程にて、ロール状のフィルム基材を連続して上記のような自動検査により品質を管理している。しかしながら、透明フィルム基材に透明な層を複数積層してなる前記反射防止フィルムの検査では、上記のような自動検査を実施しても、透明な各層の膜の変化や異物混入による欠陥の検出が難しく、特に、前記透明フィルム基材裏面の反射率が大きいため、欠陥を正確に検出することが難しいと言う問題がある。
【0008】
これらの問題に対して、一般には自動検査に加えて、目視による欠陥検査を実施している。この場合、例えば、検査の対象となる前記透明フィルム基材の裏面(反射防止層がない面)に、光を吸収する効果のある黒色基材を設けて、前記透明フィルム基材裏面での反射率を低減させて目視検査を実施している。
【0009】
しかしながら上述の方法では、例えば、黒色基材としてフィルムシートも用いる方法では、前記透明フィルム基材の裏面と該黒色基材との間隙に空気層が介在して正確な検出ができない。また、黒色基材として黒色組成物を塗工して黒色層を設ける方法では、検査終了後に該黒色層を取り除く必要があり、これにより反射防止フィルムがダメージを受ける、所謂、破壊検査となり生産性に問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−172707号公報
【特許文献2】特開2005−62119号公報
【特許文献3】特開2006−112828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、反射防止フィルムの欠陥を高精度で、且つ、非破壊で行うことで生産性の向上が可能となる外観欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の請求項1に係る発明は、透明フィルム基材の片面に反射防止層を設けてなる反射防止フィルムの表面を照射する表面照射手段と、表面反射光を撮像する撮像手段と、撮像された画像を画像処理して欠陥を検出する手段を有する自動欠陥検査ユニットと、顕微鏡検査ユニットと,目視欠陥検査ユニットと、を具備することを特徴とする反射防止フィルムの外観欠陥検査装置である。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記目視欠陥検査ユニットが、該透明フィルム基材と同等の屈折率を有する無色透明な液体層を、前記透明フィルム基材の裏面(反射防止層を設けてない面)に塗布する手段と、黒色基材とを脱気させながら密着させる手段を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルムの外観欠陥検査装置である。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記自動欠陥検査ユニット及び顕微鏡検査ユニットで欠陥検査した後に、前記目視欠陥検査ユニットで欠陥の可視化による欠陥判定(良品、不良品)を行うことを特徴とする反射防止フィルムの外観欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の外観欠陥検査装置およびそれを用いた方法により、非破壊で欠陥検査を行うことができ、生産性の向上と検出精度の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る検査フロー図である。
【図2】本発明に係る外観欠陥検査装置の一例を示す構成概略図である。
【図3】本発明に係る目視欠陥検査ユニットの一例を示す構成概略図である。
【図4】本発明に係る検査方法の一例を説明する断面概略図である。
【図5】従来の検査方法の一例を説明する断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の反射防止フィルムの外観欠陥検査装置および方法について、図に基づいて以下に詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る検査フロー図を示す。反射防止フィルム(基材)を外観欠陥検査装置に取り付け、自動欠陥検査ユニットでの自動検査、顕微鏡検査ユニットでの顕微鏡検査を経て、欠陥の可視化を実施し、製品としての合否判断をするフローを示している。
【0019】
図2は、本発明に係る外観欠陥検査装置の一例を示す構成概略図を示す。図2に示すように、本発明は、反射防止フィルム7である基材を取り付ける、基材取り付けユニット10と、自動欠陥検査ユニット20と、顕微鏡検査ユニット30とに加えて,目視欠陥検査ユニット40を具備した外観欠陥検査装置であることを特徴としている。
【0020】
すなわち、本発明の外観欠陥検査装置は、反射防止フィルム7である基材取り付けユニット10全体が移動して、通常の光学系による自動欠陥検査ユニット20と、顕微鏡検査ユニット30による汎用の自動検査を行い、加えて、目視欠陥検査ユニット40で可視化による非破壊検査により外観欠陥を検出する外観欠陥検査装置である。
【0021】
従来の反射防止フィルムの検査方法の一例として、以下に図5を用いて説明する。一般に反射防止フィルム7は、透明フィルム基材2の片面に屈折率の異なる透明層が多層積層された反射防止層1が形成されている。一例として、従来の反射防止フィルム7の検査方法は、通常の光学系による自動検査の後、さらに検査の精度を上げる目的で可視化を行っている。その可視化の方法としては、反射防止フィルム7の裏面(反射防止層1がない面)に、光を吸収する効果のある黒色組成物を塗布して黒色層5を設けることで、前記反射防止フィルム7の裏面の反射率を低減させて目視検査を行い、終了後、該黒色層5を取り除く方法である。しかしながら、この方法では該黒色層5を取り除くことで、反射防止フィルム7がダメージを受け、所謂、破壊検査となり生産性に問題が生じる。
【0022】
本発明は、通常の光学系による自動検査の後、図4に示すように、反射防止フィルム7の裏面(反射防止層1がない面)に、透明フィルム基材2と同等の屈折率を有する液体層3、黒色基材4を順次積層して、前記反射防止フィルム7の裏面の反射率を低減させて目視検査を行い、終了後、該黒色基材4を剥離し、その後前記液体層3を乾燥手段などにより取り除く、非破壊の可視化による外観欠陥を検出する外観欠陥検査方法である。
【0023】
本発明の目視欠陥検査ユニット40を図3を用いて、以下により具体的に説明する。図3(a)は前記目視欠陥検査ユニットの側面概略図を示す。図3(b)は、本発明に係る目視欠陥検査ユニットの正面概略図を示す。図3(c)は、本発明に係る目視欠陥検査ユニットの上面概略図を示す。図3(d)は、本発明に係る目視欠陥検査ユニットのクリーニングローラーの概略図を示す。
【0024】
検査対象の反射防止フィルム7は図2に示す基材取り付けユニット10全体として、自動検査ユニット20、顕微鏡検査ユニット30、目視欠陥検査ユニット40に移動する。前記基材取り付けユニット10が、図3(a)に示す前記目視欠陥検査ユニットに移動した後、反射防止フィルム7の検査対象部分が搬送ローラー6で設定され、その後、前記液体層3を塗布するための噴射ノズル8を具備した装置が押し上げら、前記液体層3を塗布する。
【0025】
前記液体層3の塗布と同時に、図3(d)に示すクリーニングローラー9で密着と脱気が行われる。これら一連の欠陥可視化を終了した後、目視による欠陥検査を行い、製品としての合否判断をする。
【0026】
本発明に係わる液体層3に使用できる液体は、屈折率がトリアセチルセルロース(TAC)と同等であること、TACに塗布しても損傷を与えないこと、無色透明であること、乾燥性がよいこと、無害であること、不燃性であること等を満たすものであれば限定するこのではない。例えば、1,3−ジクロロプロパン、トルエン、1,2−ジブロモプロパン、サリチル酸メチル、o−トルイジン、アニリンなどである。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・反射防止層
2・・・・透明フィルム基材
3・・・・液体層
4・・・・黒色基材
5・・・・黒色層
6・・・・搬送ローラー
7・・・・反射防止フィルム
8・・・・噴射ノズル
9・・・・クリーニングローラー
10・・・基材取り付けユニット
20・・・自動欠陥検査ユニット
30・・・顕微鏡検査ユニット
40・・・目視欠陥検査ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム基材の表面に反射防止層を設けてなる反射防止フィルムの表面を照射する表面照射手段と、表面反射光を撮像する撮像手段と、撮像された画像を画像処理して欠陥を検出する手段を有する自動欠陥検査ユニットと、顕微鏡検査ユニットと,目視欠陥検査ユニットと、を具備することを特徴とする反射防止フィルムの外観欠陥検査装置。
【請求項2】
前記目視欠陥検査ユニットが、該透明フィルム基材と同等の屈折率を有する無色透明な液体層を、前記透明フィルム基材の裏面に塗布する手段と、塗布された裏面と黒色基材とを脱気させながら密着させる手段を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルムの外観欠陥検査装置。
【請求項3】
前記自動欠陥検査ユニット及び顕微鏡検査ユニットで欠陥検査した後に、前記目視欠陥検査ユニットで欠陥の可視化による欠陥判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルムの外観欠陥検査装置を用いた反射防止フィルムの外観欠陥検査方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−220335(P2012−220335A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86238(P2011−86238)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】