説明

反応容器内表面のコーティング方法

内径が小さい反応容器内表面のコーティング方法は、(i)適切な溶媒中の1種以上のモノマーの溶液を反応容器に導入する工程と、(ii)反応容器に不活性ガスの流れを導入する工程と、(iii)モノマー溶液の重合を開始させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相化学反応の分野、特に、反応容器の内表面がポリマーでコーティングされた固相化学反応用反応容器に関する。本発明は、特に、内径が小さい固相反応容器(例えば、放射化学反応に特に適したマイクロチューブ又はループ)のポリマーコーティングに関する。本発明は、特に、開環メタセシス重合(ROMP)ポリマーによる、反応容器の内表面のコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの反応が固相で都合よく実施されることがよく知られており、また、固相には反応容器の内表面のコーティングも含まれ得ることがよく知られている。
【0003】
いくつかの反応容器(例えばマイクロデバイス)は直径の小さいマイクロチャネルを含み、他のもの(例えばループ)の内径は小さく、このために、デバイスのチャネルを塞ぐこと、或いは、内表面のいくつかの部分でコーティングを省くことなしに、このようなデバイスの表面をコーティングすることは極めて困難である。
【0004】
本発明は、マイクロ反応容器又は内径の小さい反応容器の内表面をポリマーでコーティングする方法と、コーティングされたデバイスとに関する。
【0005】
開環メタセシス重合(ROMP)は、オレフィンのメタセシス反応の変形形態である。ROMPポリマーの主な利点の1つは、原理的に全てのモノマー単位が官能基をもち、いくつかの他のポリマーよりずっと多い保持量(loading)を与えるはずであるということである。ROMPは、有機合成のための機能性ポリマーの製造で知られている(Barrett et al Chemical Reviews 2002 102 pp 3301−24)。多数の他の化学的応用(例えば、クロマトグラフィー、固相抽出、合成ライブラリー構築と精製)が報告されており、これらの全ては、Barrett等により検討されている。
【0006】
デバイス表面にROMPポリマーを付けることもまた報告されている。WO03/093406号において、ROMPポリマーは、小型化されたバイオリアクターの表面を変えて、それらの生体適合性(すなわち、細胞の生存可能性や増殖、及び/又は、細胞により産出された他の生体成分が、その表面との接触により悪影響を受けない)を向上させる手段として示唆されている。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0122747号において、表面の金属被覆を可能にするために、マイクロデバイスがROMPポリマーを用いて製造される。ROMPポリマーの側鎖は、それらが望みの金属に結合するように選択される。電極、ヒーター及びバルブのような構成部品の一体化がこうして可能になり、マイクロデバイスをより機能的にしている。
【特許文献1】国際公開第03/093406号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0122747号明細書
【非特許文献1】Barrett et al Chemical Reviews 2002 102 pp 3301−24
【非特許文献2】Arstad et al.,Org.Lett.,4(11),1975−1977(2002)
【非特許文献3】“Protecting Groups in Organic Synthesis”,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(John Wiley&Sons Inc.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は反応容器の内表面にポリマーを付けることを含む。この場合、これらのポリマーは、固相物理又は化学プロセスのための固相担体として機能し得る。本発明は、特に、ROMPポリマーでコーティングされた反応容器に関し、特に、固相放射化学プロセスが実施されるのに適する反応容器に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様において、デバイスの内表面をポリマーでコーティングする方法が提供され、この方法は、
(i)適切な溶媒中の1種以上のモノマーの溶液をデバイスに導入する工程と、
(ii)デバイスに不活性ガスの流れを導入する工程と、
(iii)モノマー溶液の重合を開始させる工程と
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
前記方法は、前記デバイスが、マイクロデバイス又は内径約2mm未満の反応容器である場合に特に適している。
【0011】
工程(ii)の目的は、ポリマーのコーティングが内表面にしっかりと確実に付き、同時に、マクロチャネル又はデバイス自体の内側の穴が塞がれずに確実に残されるようにするためである。工程(ii)は、工程(iii)の前、或いはそれと同時に平行して実施され得る。
【0012】
適切な不活性ガス、例えば、窒素又はアルゴンを用いることができる。しかし、窒素が特に適切である。
【0013】
デバイスの「内表面」は、デバイスに導入された反応体と接する表面を意味する。こうして、内表面がポリマーでコーティングされている場合、反応体はそのポリマーの側鎖と接触する。側鎖自体が化学プロセスに関与し、それらは事実上どんな有機置換基でもあり得るので、特定の化学プロセスの実施に適するように、ポリマーを合わせることができる。
【0014】
本明細書においては、「マイクロデバイス」は、マイクロチャネル又はキャピラリー(通常、直径10〜300μm、より好ましくは50〜300μm)の所定ネットワークが、基板(適切にはガラス又はシリコンからなる)の表面にエッチングされているか、或いはそうでなければ機械加工されているデバイスである。別法として、マイクロチャネルを、ポリジメチルシロキサンを用いて作り出してもよく(ポリジメチルシロキサンはマスター(通常はガラス)上に注がれ、硬化するまで放置され、次いで、引き剥がされ得る)、或いは、マイクロチャネルは、射出成形、ホットエンボス、キャスティング、リソグラフィー、若しくは機械加工によって製造される。これらのチャネルは、適切には金属(例えば、金、白金又は銀)、或いはより一般的にはガラスからなるカバープレートを接合することによりシールされて、ピコリットルからマイクロリットルの容積の液体若しくはガスを扱うことができる、封じ込められたネットワークが作製され得る。用いられるシール方法は、選択された材料に応じて決まり、熱接合(ガラス小片の場合)、陽極接合(シリコン小片の場合)から選択され、ポリマー小片の場合には、シール方法は、クランプによる締め付け、接着剤による接合、熱及び圧力を加えること、並びに自然接着から選択され得る。分析の局面ではナノリットルからピコリットルの容積が使用され得るが、これらのデバイスは数百マイクロリットル/分までの流れを扱うことができる。例えば複数のデバイスを重ねることにより、更に、この量を増やすことができるであろう。これらのデバイスは、マイクロシリンジポンプ(Kloehen Limited(ラスベガス、米国)から入手可能)と共に、或いは、電気浸透流の下で使用されるように設計される。溶融シリカキャピラリーが、試薬又は試薬源と分析装置(例えば、紫外線(UV)、キャピラリー電気泳動(CE)、キャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)、電気化学、屈折率、及び放射線検出器)とを連結するために使用され得る。
【0015】
内径約2mm未満の反応容器はループであってもよく、これは、長さが通常1〜100cm、より普通には2〜50cmの長さの短いチューブを備える反応容器である。通常、ループの直径は約1マイクロメートル〜2ミリメートルであり、好ましくは40〜200マイクロメートルである。
【0016】
マイクロデバイス及びループのような反応容器は、放射化学反応において特に有用である。従来の放射化学反応には、大きく高価なホットセルの必要性、屈曲性のないリグ(rig)、反応容器間の移送中の試薬の相当な損失(これは、比較的多量の出発物質が必要であることを意味している)、HPLCによる精製、更に、11Cの場合の低い比放射能を含めて、様々な不都合があることが見出されている。しかし、従来の反応容器をループ又はマイクロデバイスに入れ替えることにより、比放射能を1桁向上させることができるので、出発材料、試薬及び溶媒を相当に減らすことができ、また、最少の損失で、粗生成物をバイアルに移す、或いは、HPLCカラムに注入できる。
【0017】
したがって、本発明の方法でコーティングされるデバイスとして、固相放射化学プロセスの実施に適したデバイスが含まれることが好ましい。
【0018】
前記プロセスの放射能のある性質のために、このようなデバイスは、放射能汚染から作業者を保護するための遮蔽体を備えている。このような遮蔽体は、適切には、デバイスの回りの鉛のバリア又はボックスの形態を取る。更に、本発明によるデバイスは、放射化学的検出手段(例えば、ポジトロン検出器又は、放射線検出器を装備したHPLC装置)に、適切に連結されているか、或いは、それを組み込んでいる。
【0019】
「固相放射化学プロセス」は、プロセスに関与する1種以上の部分が固相に固定されており、また、プロセスに関与する1種以上の部分が放射性トレーサー標識を含む、物理又は化学プロセスを表す。
【0020】
固相放射化学プロセスの一例は、放射性物質の回収、例えば、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水又は18Fフッ素イオンを含む天然水からの18Fフッ素イオンの回収である。
【0021】
放射性物質は固相から溶離されるか、或いは、in situに、更なる固相放射化学プロセス(例えば、放射性フッ素化のようなin situ標識反応)に使用され得る。
【0022】
固相放射化学プロセスの別の例は、アナライトが疎水性相互作用により非特異的に固相担体に結合し、様々な極性の溶媒を用いる勾配溶離によって溶離され得る、クロマトグラフィーによる分離である。固相放射化学プロセスの更に別の例は、酵素が固相に固定化されている酵素反応である。
【0023】
本発明の方法において使用される1種以上のモノマーは、そのモノマーから生成するポリマーの側鎖が、固定化される試薬への結合に用いられ、固定化される試薬の特性が側鎖の特性を決めるであろうから、デバイスの目的に応じて選択されるであろう。
【0024】
本発明での使用に特に適するモノマーの1種は、開環メタセシス重合(ROMP)で重合し得るモノマーである。本明細書では、このようなモノマーはROMPモノマーと呼ばれ、生成ポリマーはROMPポリマーと呼ばれる。
【0025】
通常のポリマーによるデバイス内表面のコーティングは、重合を開始させるのに遊離基又はUV光の存在が通常必要であるために、困難であることが多い。反応容器、特に狭い内側の穴を有するものの内表面で重合が起こる必要がある場合に、明らかに、これは問題になり得る。更に、ほとんどの通常のポリマーでは、保持量が少なく、膨潤性が限られており、このために、化学プロセスの固相担体としてのそれらの有用性が制限される。
【0026】
ROMP反応は、立体規則性のある単分散ポリマー及びコポリマーを製造するために、歪のある環状オレフィンを用いる。ROMP反応の機構はルテニウムアルキリデン触媒(グラブス(Grubbs)触媒としても知られている)を含み、下に示されているように、反応が環状オレフィンを含むので、生成する新たなオレフィンが成長ポリマー鎖の一部として触媒にくっ付いたままであること以外は、オレフィン合成の機構と同じである。
【0027】
【化1】

Mはモリブデン及びルテニウムから選択される金属であり、Rは有機置換基である。
【0028】
ROMP反応の駆動力は環の歪の解放であるため、上の反応の第2工程は本質的に不可逆である。下に示されるもののような歪のある環状オレフィンは、反応を可能にするのに十分な歪をもっている。
【0029】
【化2】

ROMPポリマーは、容易に得られ高度に機能化されたモノマーから調製され、大きな保持容量を有するという利点がある。更に、それらはルテニウムカルベン触媒を用いて調製され、遊離基又はUV開始剤を必要とせず、モノマー溶液の粘度を調節してポリマー膜の厚さに影響を与えることができる。
【0030】
こうして、本発明の方法において使用されるモノマーが前駆体又はROMPポリマーであり、その溶液がルテニウムカルベン触媒もまた含むことが好ましい。
【0031】
1種以上のモノマーがROMPポリマーの前駆体である場合、そのモノマー溶液はROMPポリマー生成物の膨潤の大きさを制御するための架橋剤もまた含む。モノマー溶液中に存在する架橋剤の量が多くなる程、最終ポリマーに見られる膨潤は少なくなり、その剛性は増大する。モノマー溶液中の架橋剤の最適な量は、約5〜50mol%である。適切な架橋剤は該技術分野において知られており、このような化合物の一例が、Arstad等により(Org.Lett.,4(11),1975−1977(2002)における化合物5)、ROMPポリマー担持トリフェニルホスフィンの合成に用いられた。
【0032】
こうして、溶媒に曝された時のROMPポリマーの膨潤度は制御が容易であり、このことは、ポリマーが溶液中の化合物と反応してポリマーに試薬を固定するか、或いは、固定化された試薬が反応するのにポリマーの膨潤が必要であるから、重要である。更に、ポリマーの膨潤性は、ポリマーコーティングを逐次膨潤及び収縮させることによる反応容器からの生成物の抽出を可能にする。
【0033】
本発明の方法によって生成される好ましいROMPポリマーは、式(I)のものである。
【0034】
【化3】

式中、XはC4〜6シクロアルキル又はC4〜6ヘテロシクリル部分であり、
Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、C4〜10シクロアルキル、C4〜10ヘテロシクリル、C4〜10アリール、C4〜10ヘテロアリール、エーテル、PEG、スルフィド、アミド、スルファミド又はこれらの組合せ(これらはいずれも1以上のR基で置換されていてもよい)の1以上を含むC〜C20リンカー基であり、
は、水素、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C4〜12シクロアルキル、C4〜12ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C(O)R、C1〜20アルキル−C(O)R、C2〜20アルケニル−C(O)R、C2〜20アルキニル−C(O)R、ニトロ、イソシアネート、C1〜10アルキル−C(O)−C(R−C(O)−C1〜10アルキル、アミノオキシ、ニトリル、塩化リン、スクシンイミド、塩化スルホニル、ハロゲン、トシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート(nonaflate)、シラン、OR、SR、N(R、N(R、第四リン、C1〜20アルキル−R、C2〜20アルケニル−R、C2〜20アルキニル−R、又は酵素若しくは触媒を含む基であり、
は、C(O)R、C1〜20アルキル−C(O)R、C2〜20アルケニル−C(O)R、C2〜20アルキニル−C(O)R、ニトロ、イソシアネート、C1〜10アルキル−C(O)−C(R−C(O)−C1〜10アルキル、アミノオキシ、ニトリル、塩化リン、スクシンイミド、塩化スルホニル、ハロゲン、トシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート、シラン、OR、SR、N(R、N(R、第四リン、C1〜20アルキル−R、C2〜20アルケニル−R5又はC2〜20アルキニル−Rであり、
は、H、OH、C1〜20アルキル、OC1〜20アルキル、N(R、N+(Rであり、
各Rは独立にH又はC1〜10アルキルであり、
は、OR、SR、N(R、N(R、C4〜10シクロアルキル、C4〜10ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである。
【0035】
本明細書では、「アルキル」は、線状又は枝分れのある飽和炭化水素鎖(1以上のハロ置換基により、或いは、1以上のC3〜7シクロアルキル基で置換されていてもよい)を表す。例えば、「C1〜20アルキル」は1〜20個の炭素原子を有する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル、トリフルオロメチル、2−クロロエチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル及びメチレンシクロペンチルが含まれる。
【0036】
本明細書では、「シクロアルキル」は飽和炭素環又は2以上が縮合した炭素環を表す。このような基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。C4〜6シクロアルキル基は4〜6個の炭素原子を有する。
【0037】
「アルケニル」は、1以上の炭素−炭素2重結合を含む線状又は枝分れのある炭化水素鎖(1以上のハロ置換基により、或いは、1以上のC3〜7シクロアルキル基で置換されていてもよい)を表す。
【0038】
「アルキニル」は、1以上の炭素−炭素3重結合を含む線状又は枝分れのある炭化水素鎖(1以上のハロ置換基により、或いは、1以上のC3〜7シクロアルキル基で置換されていてもよい)を表す。
【0039】
「ヘテロシクリル」は、1個以上の環内炭素原子が窒素、酸素又は硫黄原子で置換されたシクロアルキル基を表す。例には、テトラヒドロフラン、モルホリン、ピペラジン、及びイミダゾリンが含まれる。
【0040】
本明細書では、「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0041】
本明細書では、「芳香族」及び「アリール」という用語は、4〜14個の環内炭素原子をもち3環までを含む芳香族環系を表す。芳香族基の例は、ベンゼン、ナフタレン及びビフェニルである。
【0042】
「複素芳香族」及び「ヘテロアリール」は、1個以上の炭素原子が窒素、酸素又は硫黄原子で置換された芳香族環系を表す。複素芳香族基の例は、ピリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール及びイミダゾールの環系である。
は、好ましくは、ハロゲン、OH、SH、C1〜20アルキル、C4〜12アリール、C1〜20アルキル−R、C1〜20アルキル−C(O)R、N(R、N(R、又は酵素若しくは触媒を含む基であり、
はOHであり、Rは一般式(I)で定義した通りであり、またRは、N(R、N(R、アリール又はヘテロアリールである。
は、最も好ましくは、C1〜20アルキル、−N=C=O、−SH又はN(R(特に18Fフッ素イオンが結合したもの)であるか、或いは、酵素若しくは触媒を含む(Rは、一般式(I)で定義された通りである)。
【0043】
2種以上の特定のR基が本発明のROMPポリマー生成物に存在することが更に適切である。これは、反応混合物中に2種以上のモノマーを含めることにより実現され、得られるポリマーの膨潤性を用途に合わせ、またデュアル保持機能又はマルチ保持機能のデバイスの製造を可能にする。
【0044】
本発明の方法により製造される最も好ましいROMPポリマーは式(II)のものである。
【0045】
【化4】

式中、−L−、R及びnは、式(I)で定義した通りである。
【0046】
本発明の特に好ましいROMPポリマーは、式(III)のものである。
【0047】
【化5】

式中、R及びnは、式(I)で定義した通りであり、
は、式(I)の−L−で定義した適宜存在する基であり、
q=1〜4である。
【0048】
本発明の最も特別に好ましいROMPポリマーは、式(III)で、Rがトリアルキルアンモニウムであり、Rが存在せず、q=3であり、n=ポリマーの単位の数、であるポリマーである。
【0049】
式(III)のROMPポリマーでコーティングされたデバイスは、下のスキーム1に示されるように、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水又は18Fフッ素イオンを含む天然水からの18Fフッ素イオンの回収に特に適している。
【0050】
【化6】

式中、各Rは、独立にC1〜6アルキル基であり、Xは非求核性陰イオン、例えば、炭酸イオン、炭酸水素イオン又はシュウ酸イオンである。
【0051】
この場合、式(III)のRは、18Fフッ素イオンが結合したトリアルキルアンモニウムとなるので、デバイスはin situに放射性フッ素化を行うのに特に適したものになる。
【0052】
好ましくは、in situでの放射性フッ素化は、18F標識放射性トレーサーの合成における1工程をなす。本明細書では、「放射性トレーサー」という用語には、担体付加及び無担体の放射標識化合物が含まれ、特に、放射性リガンド(高い比放射能で放射標識された化合物)が含まれる。
【0053】
当業者は、他の適切なR基を用いると、他の関心のある放射標識の固定化と、それらを次のin situ放射標識化反応に使用することが可能であることを理解するであろう。in situ放射標識化反応のために固定化され得る他の適切な放射性トレーサー標識の例には、他の非金属の陽電子放出核種、例えば、11C、13N、15O、17F、75Br、76Br又は124I;陽電子を放出する放射性金属、例えば、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Ga;ガンマ線を放出する放射性ハロゲン、例えば、123I、125I、131I又は77Br;並びに、ガンマ線を放出する放射性金属イオン、例えば、99mTc;が含まれる。
【0054】
が、18Fフッ素イオンが結合したトリアルキルアンモニウムであり、Rは存在せず、q=3であり、n=ポリマーの単位の数である式(III)のROMPポリマーを用いて調製され得る18F標識放射性トレーサーの具体例には、2−[18F]フルオロデオキシグルコース(2−[18F]−FDG);L−6−[18F]フルオロ−DOPA;3’−デオキシ−3’−フルオロチミジン(FLT);2−(1,1−ジシアノプロペン−2−イル)−6−(2−[18F]フルオロエチル)−メチルアミノ)−ナフタレン([18F]FDDNP);5[18F]フルオロウラシル;5[18F]フルオロシトシン;及び、[18F]−1−アミノ−3−フルオロシクロブタン−1−カルボン酸([18F]−FACBC)が含まれる。それぞれの場合に、18F標識放射性トレーサーの未標識前駆体化合物がデバイスに導入される。スキーム2に示されているように、18Fが求核置換により前駆体化合物に組み入れられて、18F標識放射性トレーサーが生成する。
【0055】
【化7】

式中、各Rは独立にC1〜6アルキル基であり、Xは非求核性陰イオン、例えば、炭酸イオン、炭酸水素イオン、又はシュウ酸イオンである。
【0056】
この場合、式(III)のRは、18Fフッ素イオンが結合したトリアルキルアンモニウムとなっているので、デバイスはin situに放射性フッ素化を行うのに特に適したものとなっている。
【0057】
好ましくは、in situでの放射性フッ素化は、18F標識放射性トレーサーの合成における1工程をなす。本明細書では、「放射性トレーサー」という用語には、担体付加及び無担体の放射標識化合物が含まれ、特に、放射性リガンド(高い比放射能で放射標識された化合物)が含まれる。
【0058】
当業者は、他の適切なR基を用いると、他の関心のある放射標識の固定化と、それらを次のin situ放射標識化反応に使用することが可能であることを理解するであろう。in situ放射標識化反応のために固定化され得る他の適切な放射性トレーサー標識の例には、他の非金属の陽電子放出核種、例えば、11C、13N、15O、17F、75Br、76Br又は124I;陽電子を放出する放射性金属、例えば、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc、又は68Ga;ガンマ線を放出する放射性ハロゲン、例えば、123I、125I、131I、又は77Br;並びに、ガンマ線を放出する放射性金属イオン、例えば、99mTc;が含まれる。
【0059】
当業者は、ROMPポリマーが好ましいが、他のタイプのポリマーを生じるモノマーもまた本発明で使用でき、このようなポリマーの好ましい側鎖は前記ROMPポリマーに対するものと同じであることを理解するであろう。
【0060】
本発明の方法において、各モノマーは、出発溶液に、約0.1〜5M、より普通には約0.5〜2M、好ましくは約1Mの濃度で存在し得る。
【0061】
適切な溶媒は、非プロトン性の極性有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン及びジクロロメタンである。
【0062】
いくつかの場合には、重合は加熱により開始され得る。しかし、他の場合には、特にいくつかのROMPモノマーでは、重合は室温で自然に起こり得る。
【0063】
触媒のルテニウム金属コアの配位子として働くことができるヘテロ原子を含んでいなくて、2環式アルケンを含むモノマーは、触媒の存在下に自然に重合する傾向がある。2環式アルケンを含まないか、或いは、ルテニウムと錯体を形成するヘテロ原子を含むモノマーは、加熱を必要とする傾向がある。
【0064】
デバイスがマイクロデバイスである場合、本発明の方法は、デバイス内にチャネルの一定のネットワークを作り出す初期工程を含み得る。これは、次の工程を用いて行われ得る。
【0065】
a)適切な基板を供用する工程と、
b)前記基板の表面上に指定のパターンを描く工程と、
c)前記パターンに合わせて前記基板表面をエッチングする工程と、
d)工程c)でのエッチング表面にカバーを付けることによりチャネルとする工程。
【0066】
別法として、それは、射出成形、ホットエンボス、キャスティング、リソグラフィー又は機械加工から選択される加工方法におけるポリマーの使用を含み得る。
【0067】
前記のように、本発明の方法により、内表面がポリマーでコーティングされた、マイクロデバイス又は内径約2mm未満の反応容器を備えるデバイスの製造が可能になる。
【0068】
こうして、本発明の更なる態様において、固相物理又は化学プロセスのためのポリマー基材により内表面がコーティングされているマイクロデバイス又は内径約2mm未満の反応容器を備えるデバイスが提供される。
【0069】
前記デバイスが固相放射化学プロセスの実施に適しているのが好ましい。
【0070】
デバイスをコーティングするための適切なポリマーは、本発明の第1の態様に関連して上に記載されている。
【0071】
本発明のデバイスを、自動合成システムを形作るように流体接続することができ、このような装置は本発明の別の態様となる。一連の固相放射化学プロセスは、装置(例えば、混合デバイス及び反応デバイス、その後に分析デバイス、最後に分離デバイス)内で実施され得る。このような自動合成システムにより、一連の固相放射化学プロセスは完全に自動化され得るであろう。完全自動化は、(i)利用者が放射性反応体とできるだけ接触しないこと、(ii)プロセスが可能な限り短い時間で行われるので、大きな比放射の生成物が得られる、ことを意味するので望ましい。
【0072】
本発明のデバイスは、固相放射化学プロセス、例えば、放射性同位元素の回収、放射化学合成又は放射化学的精製の実施に適している。
【0073】
本発明のデバイスを用いて実施され得る固相放射化学プロセスの例は、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水からの18Fフッ素イオンの回収、及び、18F標識放射性トレーサーの調製である。この場合、ポリマーコーティングが、上の一般式(III)のROMPポリマーを、特に、Rがトリアルキルアンモニウムであり、Rが存在せず、qが3である一般式(III)のROMPポリマーを含んでいることが特に好ましい。
【0074】
こうして、本発明の更なる態様において、Rが非求核性対イオンを有するトリ(C1〜6アルキル)アンモニウムであり、Rが存在せず、qが3である一般式(III)のROMPポリマーをポリマーコーティングが含む本発明のデバイスに、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水を通すことを含む、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水から18Fフッ素イオンを回収する方法が提供される。この反応は上のスキーム1に示されている。
【0075】
この場合、式(III)のRは、18Fフッ素イオンが結合したトリアルキルアンモニウムとなるので、デバイスはin situに放射性フッ素化を行うのに特に適したものとなる。
【0076】
好ましくは、このin situ放射性フッ素化は、18F標識放射性トレーサーの合成における1工程をなす。本明細書では、「放射性トレーサー」という用語には、担体付加及び無担体の放射標識化合物が含まれ、特に、放射性リガンド(高い比放射能で放射標識された化合物)が含まれる。
【0077】
当業者は、他の適切なR基を用いると、他の関心のある放射標識の固定化と、それらを次のin situ放射標識化反応に使用することが可能であることを理解するであろう。in situ放射標識化反応のために固定化され得る他の適切な放射性トレーサー標識の例には、他の非金属の陽電子放出核種、例えば、11C、13N、15O、17F、75Br、76Br又は124I;陽電子を放出する放射性金属、例えば、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Ga;ガンマ線を放出する放射性ハロゲン、例えば、123I、125I、131I又は77Br;並びに、ガンマ線を放出する放射性金属イオン、例えば、99mTc;が含まれる。
【0078】
が、18Fフッ素イオンが結合したトリアルキルアンモニウムであり、Rは存在せず、q=3であり、n=ポリマーの単位の数である式(III)のROMPポリマーを用いて調製され得る18F標識放射性トレーサーの具体例には、2−[18F]フルオロデオキシグルコース(2−[18F]−FDG)、L−6−[18F]フルオロ−DOPA、3’−デオキシ−3’−フルオロチミジン(FLT)、2−(1,1−ジシアノプロペン−2−イル)−6−(2−[18F]フルオロエチル)−メチルアミノ)−ナフタレン([18F]FDDNP)、5[18F]フルオロウラシル、5[18F]フルオロシトシン;及び、[18F]−1−アミノ−3−フルオロシクロブタン−1−カルボン酸([18F]−FACBC)が含まれる。いずれの場合でも、18F標識放射性トレーサーの非標識前駆体化合物がデバイスに導入される。18Fは求核置換により前駆体化合物に組み込まれて上記スキーム2に例示される18F標識放射性トレーサーを形成する。
【0079】
様々な18F標識放射性トレーサーの構造と、それらの合成の適切な前駆体が表Iに記載されている。
【0080】
【表1】

上の表Iにおいて、ORは、スルホン酸エステル(例えば、トリフレート又はノナフレート)のような脱離基であり、P〜Pはそれぞれ保護基である。適切な保護は、保護基の化学反応の標準的な方法を用いて実施され得る。フッ素化が完了した後、該技術分野においてやはり標準的である簡単な手順によって、保護基を除去することができる。適切な保護と脱保護の方法論は、例えば、“Protecting Groups in Organic Synthesis”,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(John Wiley&Sons Inc.)に見出される。
【0081】
放射性トレーサーの製造はまた、式I〜IIIのRが放射性トレーサー前駆体を含むデバイスでも適切に実施され得ることが、当業者により理解されるであろう。放射標識化は、放射標識をデバイスに導入し、その結果、一旦放射標識化が成功裏に行われると、ポリマーから放射標識された生成物を切り離すことによって実施される。
【0082】
式I〜IIIのいずれかのRがC1〜20アルキル基である場合、本発明のデバイスはクロマトグラフィーによる分離を実施するのに特に適している。疎水性相互作用によりアナライトが非特異的に結合するクロマトグラフィー法である逆相クロマトグラフィーで最も普通に使用される側鎖がC18炭化水素であるために、これが好ましい側鎖である。結合したアナライトは、極性が絶えず低下又は増大する溶液を用いる勾配溶離によって溶離され得る。
【0083】
式I〜IIIのいずれかのRが酵素を含む基である場合、そのデバイスは、酵素反応を実施するのに特に適している。ROMPポリマーに酵素が固定されると、反応混合物から酵素を除去するための分離工程がこの方法に必要でない。例としての反応は、11C−チミンの11Cチミジンへの変換であり、この場合、チミジンホスホリラーゼがROMPポリマーに固定化される。このようにして他の多くの酵素反応が実施され得ることが理解されるであろう。
【0084】
式I〜IIIのいずれかのRが、−SHである場合、デバイスは、例えば溶液から水銀イオンを取り出すための、スカベンジャーとして特に適している。
【0085】
実施例の簡単な説明
実施例1では、フッ素イオン(イオン交換)抽出のためのROMPポリマーの調製に適するROMPモノマーの合成を記載する。
【0086】
実施例2では、実施例1で用意されたモノマーを重合させる反応において用いられる架橋剤の合成を記載する。
【0087】
実施例3では、第三アミンROMPポリマーの合成を記載する。
【0088】
実施例4の結果により、合成したROPPポリマー樹脂を水媒体(例えば、サイクロトロンターゲットから得られるもの)からの18Fフッ素イオンの除去に成功裏に使用できることが示される。更に、この樹脂をKCO(水性)でフラッシングすることにより、フッ素イオンを樹脂から取り出すことができる(80%に達する収率で)。最後に、このROMP樹脂の性能は、この用途での業界標準であると言ってよい固相より優れていないとしても、少なくとも同等であることが示される。
【0089】
実施例5は、ターゲット水からフッ素イオンを抽出するためのフッ素イオン抽出ROMPポリマーのカートリッジ試験に関する。
【0090】
実施例6では、マイクロデバイスでの[18F]FDGの製造方法を記載する。
【0091】
実施例7は、ガラス、シリコン又はポリマーの基板表面に、マイクロチャネルの所定ネットワークの作製に関する。
【0092】
実施例8は、トリアルキルアンモニウム側鎖を有するROMPポリマーにより、マイクロデバイス表面をコーティングすることに関する。
【0093】
実施例9では、本発明のデバイスを用いる、18O濃縮水からの[18F]フッ素イオンの回収に用いられる方法を記載する。
【0094】
実施例において、次の略語を用いる。
【0095】
RT 室温
DCM ジクロロメタン
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
実施例1
フッ素イオン(イオン交換)抽出のためのROMPモノマーの合成
反応スキームは図1に示されている。
【0096】
(a)酸塩化物の合成
10g(72mMol)のノルボルネンカルボン酸1に、10.4mlの塩化チオニル2(17g、144mMol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下に2時間攪拌した(反応混合物は透明なシャンパン色の液体である)。
【0097】
次に、約45℃で、トルエンを分割して(4×6ml)加えることにより、回転エバポレータで過剰の塩化チオニルを除去した。酸塩化物3は窒素下で冷やしておけば、使用前に1週間までは保管できるであろう。
【0098】
(b)酸塩化物とアミンの反応
酸塩化物3に、15mlのDCMを加え、混合物を氷の上で冷やした。次に、0.8当量(5.92g、58mMol、7.3ml)のアミン4を攪拌しながら滴下して加えた。次に、反応混合物を放置してRTにし、更に2時間反応させた。この全手順を窒素雰囲気の下で実施した(アミン添加後、反応混合物は、白色析出物を含む不透明な蜂蜜色の溶液となる)。
【0099】
(c)粗モノマー混合物の精製
2時間の反応時間の後、反応混合物を、3×10mlの30%v/vの濃HPO(pHは約2)で抽出した。次に、合わせた水性成分を、濃NaOH(水性)を用いてpH12に調節し、4×12mlのDCMで抽出した。DCMの部分を合わせてMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下にDCMを除去して精製モノマー5(11.2gの金色の高沸点油状物、87%)を得た。
【0100】
C:H:Nの元素分析は、64.99%のC、9.34%のH、及び、11.30%のNを与えた(C132220、式量=222から計算した予想値は、70.23%のC、9.97%のH、及び、12.60%のNであった。)
実施例2
架橋剤の合成
図2は合成された架橋剤の化学構造を示している。
【0101】
1,4−ジヨード−ベンゼン(9.9g、30mMol)、ノルボルナジエン(35ml、325mMol)、ピペリジン(14.9ml、50mMol)及び(AcO)(PPhPd(II)(0.674g、3mMol)のDMF(45ml)溶液を攪拌しながら、ギ酸(3.46ml、63mMol)を滴下して加えた。TLCを用いて反応を追跡した(シリカ上でヘキサンの移動層、Rf(架橋剤)=0.5)。UVを用いてスポットをはっきりさせた。かなりの量の熱を発生し、混合物は溶液となった。41時間後に、反応を水(200ml)で止め、得られた混合物をヘキサン(4×100ml)で抽出した。有機相を合わせて、10%のNaOH(3×100ml)、10%のHPO(3×100ml)、水(3×100ml)及び飽和食塩水(1×100ml)で洗浄した。次に、有機相をMgSOで乾燥し、濃縮して暗赤色の油状物を得た。
【0102】
精製を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン)により、2工程で実施した。短い1次カラムにより暗赤色の不純物(Rf=0〜0.1)を除去して無色の油状物を得た。より大きなカラムでの更なる精製により、3.64gの白色固体1(46%)を得た。
【0103】
生成物の質量分析(EI+veモード)は、m/z=262[M]のピークを与えた。C:Hの元素分析は、91.51%のCと8.63%のHを与えた(C2022、式量=262から計算した予想値は、91.55%のCと8.45%のHであった)。CDCl中でのH−NMR(テトラメチルシラン(TMS)に対するδ(ppm)):7.2(s、4H、アリーリ−CH)、6.2(dm、H、ビニル−CH)、2.95(broad s、2H、アリル−CH)、2.88(broad s、2H、アリル−CH)、2.7(m、2H、ベンジル−CH)。
【0104】
実施例3
第三アミンROMPポリマーの合成
図3は第三アミンROMPポリマーの合成で用いられた反応スキームを示している。
【0105】
50mlの丸底フラスコにモノマー1(2g、9mMol)、架橋剤(0.262g、1mMol)、THF(12ml)及びDCM(2ml)を入れた。次に、フラスコの内容物を十分に混合し、窒素でフラッシングを行った。この溶液に、DCM(1ml)中の触媒(0.09g、約1%)を加え、再び内容物を混合した。次に、静置した反応混合物を40℃で1時間、不活性雰囲気の下に放置した。
【0106】
1時間後に、樹脂の粗生成物(茶色の半透明ゲル)を、スパチュラでいくつかの小片に分け、20mlの次の混合物:75%のTHF、20%のCHCN、及び、5%のエチルビニルエーテルを加えた。次に、冷却管を取付け、窒素下で混合物を120℃で1時間還流した。次に、樹脂をフリット付ガラス漏斗に移し、THF(20ml)とその後のジエチルエーテル(20ml)とで、続けて計3回洗浄し、その後、減圧乾燥した。乾燥樹脂生成物3は、茶色のまだら模様の固体(1.79g、79%、理論保持量 3.98mMol/g)である(図3を参照)。
【0107】
第四アンモニウム塩ポリマー4の生成のために、ヨウ化メチル(10当量、39.8mMol、5.65g、2.5ml)、THF(16ml)及びDCM(10ml)に、ポリマー3(1g)を加え、窒素雰囲気の下で1時間還流した(85℃)。次に、ポリマーをフリット付ガラス漏斗に移し、DCM(3×20ml)及びジエチルエーテル(3×20ml)で洗浄し、その後、減圧乾燥した(1.44g、92%)。
【0108】
C:H:N:Iの元素分析は、50.64%のC、7.48%のH、5.77%のN、及び、27.34%のIを与えた(C14.4424.781.850.930.93の「理論」モノマー単位、式量=356.5から計算した予想値は、48.66%のC、6.95%のH、7.22%のN、及び、32.95%のIであった)。
【0109】
実施例4
ターゲット水からのフッ素イオン抽出でのフッ素イオン抽出ROMPポリマーの試験
約3MBq(3mCi)を示す1.5mlの18Fフッ素イオン水溶液(すなわち、ターゲットからの直接の混合物)を、0.1gの樹脂を含む2.5mlのプラスチック漏斗(Mobitecカラム、図4B参照)に入れ、混合物を40分間激しく動かした。シリカ、第三アミン樹脂(図4Aの1)及び、Waters Accell(商標)QMA Sep−Packから取り出した固相(図4Aの3)を含む更に3つの追加の漏斗にもまた、18Fフッ素イオン水溶液を入れ、同様に処理した。これらはコントロール及び2つの比較グループとしてそれぞれ役立った。激しく動かした後、カラムから液体を除き、水でフラッシングした(3×1ml)。固相に保持された放射能と漏斗からフラッシングされた放射能との両方を測定した。
【0110】
代表的な1組の結果が下の表に示されている。
【0111】
【表2】

上の結果は樹脂の機能を立証したが、樹脂2と3(図4A)との間の抽出効率の直接の比較は、それぞれの対イオンが異なる(それぞれ、ヨウ素イオンと塩素イオン)ために、近似的である。これを正すために、QAMと第四アンモニウム樹脂をそれぞれ1MのKCO(3×1ml)と水(3×1ml)で状態調節した後、それらを用いて実験を繰り返した。これは、両方の樹脂が、直接比較が行えるカーボネートの形で存在していたことを意味した。下の表は代表的な1組の結果を示している。
【0112】
【表3】

水媒体からの18Fフッ素イオンの抽出は、図4Cに示されるイオン交換プロセスにより実現される。
【0113】
実施例5
ターゲット水からのフッ素イオン抽出でのフッ素イオン抽出ROMPポリマーのカートリッジ試験
この実験を実施するための機器構成が図5に示されている。機器構成は、アセトニトリル(1)の連続した流れを、HPLC注入バルブ(3)を通して、樹脂を入れたカラム(5)に供給するHPLCポンプ(2)からなる。水、KCO(水性)及び、18Fフッ素イオン水溶液を含む試薬は、2mlのステンレス鋼ループに充填され、その後、バルブを切り替えることによりアセトニトリルの流れに注入される(液体プラグ(plug)として)ことによって、樹脂と接触する。カラムからの排出液体とループからの廃棄物は、容器(10)及び(4)にそれぞれ捕集される。カラムは、加熱装置(成型アルミニウムブロック(6)、熱電対(8)、バンドヒーター(7)及び温度コントローラ(9)からなる)を用いて設定温度まで加熱され得る。樹脂は、カラム入口とカラム出口との両方にあるPTFEフリット(フィルターディスク)を用いてカラム(5)内に保たれている。
【0114】
カラムで実施された基本的なフッ素イオン抽出/回収の実験は次の様に進行した。乾燥アンモニウム樹脂(塩化物塩)(0.15g)をカラムに充填し、装置を組み上げた。次に、0.5ml/minの流量でアセトニトリルを連続して流すようにHPLCポンプを設定した。この流量で、それぞれループ/HPLCのバルブを通じて注入された、0.5MのKCO(3×2ml)と水(3×2ml)を詰めること(plug)によって、樹脂を状態調節した。次に、アセトニトリルの流れを、0.2ml/minに減らし、水で1mlにした約370MBq(10mCi)の18Fフッ素イオンをカラムに注入した。15分後に、更に5分間、流れを0.5ml/minに増やし、その後、捕集バイアル(10)の放射能を測定した。抽出されずにカラムを通過した放射能のパーセンテージは、変わらずに、<1%であった。次に、排出バイアル(10)を新しいものに代え、樹脂を2mlのKCO(0.5M)により、0.5ml/minでフラッシングした。この工程で、樹脂に固定されていたフッ素イオンは炭酸イオンと交換され、放射能がカラムを離れ捕集バイアルに回収された。この方法を用いて、樹脂にフッ素イオンを保持し、次いで、それをKCO(0.5M、2ml)に、平均で98%になる効率で回収することが可能であった。
【0115】
実施例6
マイクロデバイスでの[18F]FDGの製造
樹脂上にフッ素イオンを抽出する方法は、実施例5に詳細に記載した。フッ素イオン水溶液を、0.2ml/minでカラムに(t=0分)15分間かけて注入し、更に15分間、カラムを100℃に加熱し、その間アセトニトリルを流し続けた。この手順を、カラムから全ての水を共沸させて除去するように考案した。次いで、t=30分で、ループを無水アセトニトリルでフラッシングし、設定温度を75℃まで下げた。設定温度に達したら(t=X分)1(1mlのCHCN中に20mg;図6A)の溶液をループに充填し、カラムに注入した。最後に、t=X+20で、カラムを0.5MのKCO(水性)(2M)でフラッシングした。下に示す時間軸に沿ってこの手順を要約した。
【0116】
【表4】

水平の目盛りは分であり、それに沿って様々な操作が記されている。「」印はカラム排出バイアルが新しくされた時点を表す。全プロセスがアセトニトリルを続けて流しながら(0.2ml/min)実施されることにも注意。
【0117】
放射能全体の2%未満が、KCO(水性)の導入の前にカラム(/樹脂)から溶出した。KCO(水性)を樹脂に導入すると、放射能はほぼ定量的に捕集バイアルに溶出した(約99%)。次に、捕集バイアル内容物の放射化学組成を、ラジオHPLCを用いて求めた。図6Bの見本曲線を参照。
【0118】
同じ樹脂試料を用いた4回の実験の経過につれて、塩基でのフラッシングの前に、より大きなパーセンテージの放射能が、カラムから溶出することがわかった。4回目の実験では、このパーセンテージは全放射能のほぼ半分になった。この挙動の変化は、樹脂の変色(各実験の前の状態調節にも関わらず)と、フッ素イオン抽出効率が低下し続ける傾向(図6C参照)を伴っていた。
【0119】
実施例7
ガラス、シリコン又はポリマーの基板表面上にマイクロチャネルの所定ネットワークの作製
図7は、ガラス、シリコン又はポリマーの基板表面上に、マイクロチャネルの所定ネットワークの作製に含まれる工程を示している。
【0120】
直接描画リソグラフィー装置を使用して作ったマスクを用いて、基板への投影(露光)を行った。投影後、フォトレジストの露光部分を、次に、クロムを選択的に除去した。5%の(7:1のNHF:HF)、9.25%のHClの水溶液を用いた次のエッチングにより、深さ50μmの開いたチャネルを作り出した(エッチング速度 0.2μm/min)。エッチングの後、レジストとクロムの両層を除去した。工程を完了させるために、予めドリル加工したカバープレート(顕微鏡スライド)とエッチングした基板とを、DMF、アセトン及びメタノール中(各2分)で超音波洗浄し、濃硫酸に漬けた(2時間)。超純水で更に洗浄し、窒素気流の下で乾燥し、その後、炉に入れた。熱接合では、12時間の温度勾配プログラム(最高温度は600℃)を用いた。
【0121】
厚さ0.01インチ及び0.06インチの印刷グレードで感光性のソーダ石灰ガラス基板である76mm低反射クロム(Cr 1000+)を、Nanofilm(Westlake Village、カナダ)から購入した。透明ソーダ石灰ガラス顕微鏡スライド(26mm×75mm×1mm)、塩酸(HCl)、アセトン、メタノール、フッ化アンモニウム溶液(NH4F)、フッ化水素酸(HF)及び硫酸(HSO、比重 1.84)を、BDHから購入した。ジメチルホルムアミド(DMF)をAidrichから購入した。ShipleyのMicroposit 351現像液とShipleyのクロムエッチング液18を、Chestech Ltd.(Chestech Ltd.、Rugby、ウォーリックシャー、英国)を通して購入した。外径1.6mm(1/16インチ)で内径380μmのTeflonチューブは、Upchurch Scientifficから供給された。Glassealコネクター、1.6mm(1/16インチ)のスチール製ユニオン、peek製フィンガータイトフィッティング、及び、溶融シリカ製キャピラリー(外径 375μm)は、Supelcoにより供給された。Araldite 2014エポキシは、RS−Componentsにより供給された。
【0122】
チップの設計は、PC上で動く、Window 95向けのAutoCad LTで行われた。直接描画レーザー装置は、Heidelberg Instruments(Heiderberg Instruments Mikrotechnik GmbH、69126 ハイデルベルグ、ドイツ)による基本型装置のDWLIIであった。ガラスの接合に使用した炉は、Thermicon P(Heraeus)装置であった。
【0123】
実施例8
トリアルキルアンモニウム側鎖を有するROMPポリマーによるマイクロデバイス表面のコーティング
モノマー化合物1(図8)、架橋剤及び触媒のテトラヒドロフラン溶液をデバイス内に導入し、デバイスの内表面で重合が起こるように、クロム電極を用い、120Vの電圧をかけてデバイスを加熱した(約80℃)。同時に、ポリマーがマイクロチャネルを塞がないように(図9)、マイクロチャネルを通して窒素を流した。窒素の供給は1.5Bar(ほぼ、1〜2ml/min)で、液体の流れは5〜10μl/minであった。マイクロチャネルの幅(ガスの流れにより定められるものでない)は150μmであった。
【0124】
図10は、マイクロデバイスの概略、並びに、ROMPポリマーでコーティングされたマイクロチャネルの25倍及び100倍での顕微鏡写真を示している。次に、ポリマーのジアルキルアンモニウム基(化合物2)を、図8に示すin situでのメチル化により、トリアルキルアンモニウム基(化合物3)に変換した。
【0125】
実施例9
18O濃縮水からの[18F]フッ素イオンの回収
実施例8により用意されたデバイスに、[18F]フッ素イオン水溶液を導入した。これがマイクロチャネルを通過する際に、[18F]フッ素イオンは、イオン交換を通じて、ポリマー上に保持され(図11に示すように)、濃縮水はデバイスの出口から回収された。
【0126】
このポリマーを、加熱して、無水アセトニトリルをマイクロチャネルの中を通すことによって脱水できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】フッ素イオン(イオン交換)抽出向けROMPモノマーの合成に用いられた反応スキームを示す。
【図2】合成された架橋剤の化学構造を示す。
【図3】第三アミンROMPポリマーの合成に用いられた反応スキームを示す。
【図4A】第三アミン樹脂、第四アンモニウム樹脂、及びQMA樹脂の化学構造を示す。
【図4B】ターゲット水からのフッ素イオン抽出で、フッ素イオン抽出ROMPポリマーの試験に用いられた構成を示す。
【図4C】イオン交換プロセスによる水性媒体からの18Fフッ素イオンの抽出を示す。
【図5】ターゲット水からのフッ素イオン抽出で、フッ素イオン抽出ROMPポリマーのカートリッジ試験を実施するための機器構成を示す。
【図6A】[18F]−FDGの前駆体の放射性フッ素化を示す。Acはアシル保護基を表す。
【図6B】マイクロデバイスでの[18F]−FDG前駆体の放射性フッ素化の後で得られた捕集バイアル内容物の放射化学組成に関するラジオHPLC曲線の実例を示す。
【図6C】経時的な樹脂の挙動の変化(各実験前の状態調節にも関わらず)と、フッ素イオン抽出効率が低下し続ける傾向を示す。
【図7】ガラス、シリコン又はポリマーの基板表面上に、マイクロチャネルの所定ネットワークの作製に含まれる工程を示す。
【図8】RからRが独立にC1〜6アルキル基であるトリアルキルアンモニウム側鎖を有するROMPポリマーの合成を示す。
【図9】マイクロデバイスのマイクロチャネル内で重合がどのように行われるかを示す概略図である。中央の流れ(白)は、(調節シリンダからの)ガスであり、横の凹みを通る(シリンジポンプからの)液体の流れ(黒)がROMPポリマー反応混合物である。
【図10】マイクロデバイスの概略、並びに、ROMPポリマーでコーティングされたマイクロチャネルの25倍及び100倍での顕微鏡写真を示す。
【図11】[18F]フッ素イオン水溶液を導入した後、イオン交換により、マイクロデバイスのポリマーに[18F]−フッ素イオンが保持されることを示す。R〜Rは独立にC1〜6アルキル基である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)適切な溶媒中の1種以上のモノマーの溶液をデバイスに導入する工程と、
(ii)前記デバイスに不活性ガスの流れを導入する工程と、
(iii)前記モノマー溶液の重合を開始させる工程と
を含む、デバイスの内表面をポリマーでコーティングする方法。
【請求項2】
前記デバイスが、マイクロデバイス又は内径約2mm未満の反応容器である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不活性ガスが窒素又はアルゴンである、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスがマイクロデバイス又は長さ1〜100cmのループである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記デバイスが固相放射化学プロセスの実施に適している、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上のモノマーを開環メタセシス重合(ROMP)で重合することができ、前記溶液がルテニウムカルベン触媒と架橋剤を更に含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上のモノマーの重合で式(I)のROMPポリマーが生成する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
【化1】

式中、XはC4〜6シクロアルキル又はC4〜6ヘテロシクリル部分であり、
Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、C4〜10シクロアルキル、C4〜10ヘテロシクリル、C4〜10アリール、C4〜10ヘテロアリール、エーテル、PEG、スルフィド、アミド、スルファミド又はこれらの組合せの1以上(これらはいずれも1以上のR基で置換されていてもよい)を含むC〜C20リンカー基であり、
は、水素、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C4〜12シクロアルキル、C4〜12ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C(O)R、C1〜20アルキル−C(O)R、C2〜20アルケニル−C(O)R、C2〜20アルキニル−C(O)R、ニトロ、イソシアネート、C1〜10アルキル−C(O)−C(R−C(O)−C1〜10アルキル、アミノオキシ、ニトリル、塩化リン、スクシンイミド、塩化スルホニル、ハロゲン、トシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート、シラン、OR、SR、N(R、N(R、第四リン、C1〜20アルキル−R、C2〜20アルケニル−R、C2〜20アルキニル−R又は酵素若しくは触媒を含む基であり、
は、C(O)R、C1〜20アルキル−C(O)R、C2〜20アルケニル−C(O)R、C2〜20アルキニル−C(O)R、ニトロ、イソシアネート、C1〜10アルキル−C(O)−C(R−C(O)−C1〜10アルキル、アミノオキシ、ニトリル、塩化リン、スクシンイミド、塩化スルホニル、ハロゲン、トシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート、シラン、OR、SR、N(R、N(R、第四リン、C1〜20アルキル−R、C2〜20アルケニル−R又はC2〜20アルキニル−Rであり、
は、H、OH、C1〜20アルキル、OC1〜20アルキル、N(R、N(Rであり、
各Rは独立にH又はC1〜10アルキルであり、
は、OR、SR、N(R、N(R、C4〜10シクロアルキル、C4〜10ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである。
【請求項8】
式(I)のROMPポリマーにおいて、Rが、ハロゲン、OH、SH、C1〜20アルキル、C4〜12アリール、C1〜20アルキル−R、C1〜20アルキル−C(O)R、N(R、N(R又は酵素若しくは触媒を含む基であり、
がOHであり、Rが一般式(I)で定義した通りであり、RがN(R、N(R、アリール又はヘテロアリールである、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
式(I)のROMPポリマーにおいて、Rが、C1〜20アルキル、−N=C=O、−SH又はN(R(特に、18Fフッ素イオンが結合したもの)であるか、或いは、酵素若しくは触媒を含み、Rは一般式(I)で定義した通りである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
式(I)のポリマーが2個以上のR基を含む、請求項7乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上のモノマーの重合で式(II)のROMPポリマーが生成する、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
【化2】

式中、−L−、R及びnは、式(I)で定義した通りである。
【請求項12】
前記1種以上のモノマーの重合で式(III)のROMPポリマーが生成する、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
【化3】

式中、Rは及びnは、式(I)で定義した通りであり、
は式(I)の−L−で定義した適宜存在する基であり、
q=1〜4である。
【請求項13】
式(III)のROMPポリマーにおいて、Rがトリアルキルアンモニウムであり、Rが存在せず、q=3であり、n=ポリマーの単位の数である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
各モノマーが約0.1〜5Mの濃度で出発溶液に存在する、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記モノマー溶液において溶媒が非プロトン性極性溶媒である、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
重合を加熱によって開始する、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
重合が自発的に起こる、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記デバイスがマイクロデバイスであって、本発明の方法が該デバイス内にチャネルの一定のネットワークを作り出す最初の工程を含む、請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
マイクロデバイス又は内径約2mm未満の反応容器を備え、該内表面が固相物理又は化学プロセスのためのポリマー基材でコーティングされているデバイス。
【請求項20】
固相放射化学プロセスの実施に適した、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記内表面がROMPポリマーでコーティングされている、請求項19又は請求項20記載のデバイス。
【請求項22】
内表面が請求項7乃至請求項13のいずれか1項記載のポリマーでコーティングされている、請求項19乃至請求項21のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項23】
請求項19乃至請求項22のいずれか1項記載の2以上のデバイスを備え、それらが流体接続されている自動合成システム。
【請求項24】
がトリ(C1〜6アルキル)アンモニウムであり、非求核性対イオンをもち、Rが存在せず、qが3である一般式(III)のROMPポリマーを前記ポリマーコーティングが含む、請求項19乃至請求項22のいずれか1項記載のデバイス又は請求項23に記載のシステムに、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水を流す工程を含む、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水から18Fフッ素イオンを回収する方法。
【請求項25】
18F標識放射性トレーサーの合成の1工程である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
(i)Rがトリ(C1〜6アルキル)アンモニウムであり、非求核性対イオンをもち、Rが存在せず、qが3である一般式(III)のROMPポリマーを前記ポリマーコーティングが含む、請求項19乃至請求項22のいずれか1項記載のデバイス又は請求項23記載のデバイスに、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水を流して、18Fフッ素イオンを含む18O濃縮水から18Fフッ素イオンを回収する工程と、
(ii)前記デバイスに18F標識放射性トレーサーの未標識前駆体化合物を導入し、求核置換により18Fを該前駆体化合物に組み入れ、18F標識放射性トレーサーを形成する工程と
を含む、18F標識放射性トレーサーの合成方法。
【請求項27】
前記18F標識放射性トレーサーが、
2−[18F]フルオロデオキシグルコース(2−[18F]−FDG)、
L−6−[18F]フルオロ−DOPA、
3’−デオキシ−3’−フルオロチミジン(FLT)、
2−(1,1−ジシアノプロペン−2−イル)−6−(2−[18F]フルオロエチル)−メチルアミノ)−ナフタレン([18F]FDDNP)、
5[18F]フルオロウラシル;5[18F]フルオロシトシン、又は
18F]−1−アミノ−3−フルオロシクロブタン−1−カルボン酸([18F]−FACBC)である、請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2007−516332(P2007−516332A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546319(P2006−546319)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005410
【国際公開番号】WO2005/061110
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】