説明

反応射出成形により成形体を被覆するための反応性混合物並びに被覆成形体

本発明は、二重結合少なくとも2個を有する5(メタ)アクリレート少なくとも40質量%を含む、反応射出成形により成形体を被覆するための反応混合物に関し、その際、この反応性混合物は、少なくとも1種の光開始剤及び少なくとも1種の熱開始剤を含む。本発明は更に、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−マレイン酸−コポリマー及びポリメチルメタクリレート−コポリマーから成る群から選択した少なくとも1種のポリマーを含む射出成形法により得られる成形体及び二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレートの重合により得られる被覆を含む被覆成形体に関するが、その際、被覆が、格子切断試験により最高で1の接着強さ評価及びASTM1044(12/05)による耐引掻性試験(量500g、サイクル数=100)による20°における光沢の減少最高で10%を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応射出成形により成形体を被覆するための反応性混合物に関する。更に本発明は、被覆成形体に関する。
【0002】
例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)をベースとしていてよい熱可塑性プラスチック成形材料は、種々の用途に使用される。このために材料を成形品に押出成形又は射出成形する。
【0003】
成形品は今日では強い負荷がかかる部品、例えば移動性部品(自動車の内部−及び外部、電子機器のカバー、例えば携帯電話、コンピューター、オーガナイザー、MP3−プレーヤー又はテレビのカバー)、不透明な着色取り付け部品(例えば自動車工業で:サイドミラー、ピラークラディング、三角形ミラー)又は不透明な着色日用品を製造するために広く使用される。このように使用される成形品の表面は、高い負荷によって視覚的に看過できない引掻き傷が生じる傾向がある。その際、射出成形により製造された成形体は特に引掻き傷がつきやすい。製造時に取り付け部品を各々の自動車と簡単に色合わせすることができるように、製造された成形体の色調を変化させることは経済的観点から非常に難しい。
【0004】
耐引掻性の改善並びに色合わせするために、前記成形体に仕上塗を施すことができる。勿論反応性ラッカーの古典的な塗布は比較的費用がかかり、従って高価である。この方法は大量生産品を製造するためには不適当である。
【0005】
この理由から、射出成形法により耐引掻性層を成形体上に比較的経済的に塗布することができる方法が既に開発されている。例えば刊行物JP1130776及びJP2005074896には、耐引掻性層を有する成形体が得られる射出成形法が記載されている。
【0006】
刊行物JP1130776(Dainippon Toryo、1998)には、2段工程のRIM法が記載されている。先ずジシクロペンタジエンの複分解−RIMによって成形体が得られる。硬化後にRIM型の可動部を戻して、成形体と型の間に一定の間隙が生じるようにする。この間隙に第2RIM工程で、アクリル官能化ウレタンオリゴマー、スチレン、ジアクリレート架橋剤並びに場合により充填剤及び顔料(TiO2、滑石)から成る塗料材料を注入し、95℃で2分間ラジカル硬化させる。
【0007】
刊行物JP2005074896(Toyota Motor Corp.:Dainippon Toryo Co.)には、同じくRIM法が記載されている。第1の慣用の射出成形法で、プラスチック、特にポリカーボネート(PC)を平面状の成形品に加工する。次いで小さな間隙が生じるように型を開け、数秒間以内にアクリレート官能化ウレタンオリゴマー、アクリレート架橋剤、抑制剤及び有機過酸化物開始剤から成る反応性溶液を注入し、硬化させる。95℃で硬化は数秒間後に完了し、90秒後に複合体を取出す。これは良好な耐引掻性、複合接着性、温度変化−及び温水変化安定性を有する。全特許請求項で、イソホロンジイソシアネート−又はビス(イソシアノシクロヘキシル)メタン成分から成るウレタンオリゴマーの存在が不可欠である。
【0008】
前記成形体は、既に良好な特性を有する。勿論こうして得た成形体の耐引掻性を改善する試みは絶えず続けられている。更に、製造には時間がかかるので、方法は総じて費用が高くなる。更に成形体の耐候性には改善の余地がある。射出成形装置中における反応性混合物の時期尚早の重合によって、刊行物JP1130776及びJP2005074896に記載の射出成形法には更に問題が生じるので、この方法によって大量生産で短いサイクルタイムを得ることは殆ど不可能である。
【0009】
公知技術に鑑みて、本発明の課題は、成形体上に特に高い耐引掻性及び高い接着強さを有する被覆を生じる、反応射出成形により成形体を被覆するための反応性混合物を提供することであった。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、簡単かつ短時間で完全に硬化させることができる反応性混合物を提供することであった。
【0011】
更に本発明の課題は、簡単かつ経済的に実施することができる被覆成形体の製法を提供することであった。その際、成形体は出来る限り短いサイクルタイムで得られ、全体として僅かなエネルギー消費で得られねばならない。
【0012】
更に、優れた機械特性を有する成形体の製造も本発明の課題であった。成形体は特に高い耐引掻性及び硬度を有すべきである。更に被覆成形体は高い耐候性及び耐薬品性を有すべきである。
【0013】
これらの課題並びに具体的に記載してないが、本明細書に検討されている関係から直ちに誘導されるか又は推論される課題は、特許請求項1の全ての特徴を有する反応性混合物によって解決される。本発明による反応性混合物の合目的な変更態様は、請求項1に基づく従属請求項で保護される。方法及び成形体に関して請求項18及び27により根底をなす課題が解決される。
【0014】
従って本発明の目的は、二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレート少なくとも40質量%を含む、反応射出成形により成形体を被覆するための反応性混合物であり、これは反応性混合物が少なくとも1種の光開始剤及び少なくとも1種の熱開始剤を含むことを特徴とする。
【0015】
これによって意外にも、優れた耐引掻性を有し、非常に経済的に得ることができる被覆成形体を提供することができる。意外にも被覆は成形体で非常に高い接着強さを有する。更に本発明による反応性混合物を用いて得られる被覆は、高い耐候性を有する。更に被覆成形体は良好な機械的特性を有し、その際特に高い硬度及び良好な衝撃強さを示すことができる。
【0016】
更に本発明による反応性混合物は、成形体上に耐薬品性及び耐熱性の被覆の製造を可能にする。
【0017】
更に反応混合物は、所望の特性を特別な要求に合わせるために添加物を有することができる。従って成形体の色合わせは簡単に行うことができる。
【0018】
更に本発明による方法は、簡単かつ経済的に実施することができ、その際意外にも短いサイクルタイムを有する成形体が得られ、全体として僅かなエネルギー消費下で得ることができる。
【0019】
本発明による反応性混合物は、反応性混合物の全質量に対して少なくとも40質量%、有利には少なくとも60質量%、特に有利には少なくとも90質量%の二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレートを有する。概念"二重結合"とは、特にラジカル重合可能な炭素−炭素−二重結合である。用語"(メタ)アクリレート"は、アクリレート、メタクリレート並びに両方から成る混合物である。二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレートは架橋性モノマーとしても公知である。これには、特に二重結合2個を有する(メタ)アクリレート、例えば不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば2−プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート並びにジオール又は高価アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばグリコールジ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ−及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート及びジウレタンジメタクリレート;3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレート、例えばグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリットペンタ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0020】
少なくとも2個の二重結合を有する特に有利な(メタ)アクリレートは、特に1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリットテトラアクリレート及びジペンタエリスリットペンタアクリレートである。
【0021】
特別な変更態様によれば、反応性混合物は3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレート少なくとも1種を含むことができる。有利には3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレートの割合は、反応性混合物の質量に対して少なくとも10質量%、特に有利には少なくとも25質量%、特別有利には少なくとも50質量%及び極めて特に有利には少なくとも90質量%である。
【0022】
更に最高で90質量%、特に有利には最高で75質量%、特別に有利には最高で50質量%及び極めて特に有利には最高で7質量%の2個以下の二重結合を有するモノマーを含む反応性混合物が特に有利である。
【0023】
特別な態様によれば、反応性混合物は有利には1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はペンタエリスリットテトラアクリレートを含む。特に、トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタエリスリットテトラアクリレートを含む反応性混合物が特に有利であり、その際トリメチロールプロパントリアクリレート対ペンタエリスリットテトラアクリレートの質量比は、有利には10:1〜1:10の範囲、有利には5:1〜1:5の範囲、特に有利には3:1〜1:3の範囲及び極めて特に有利には2:1〜1:2の範囲であってよい。
【0024】
もう一つの態様によれば、反応性混合物は有利にはトリメチロールプロパントリアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含み、その際トリメチロールプロパントリアクリレート対1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの質量比は、有利には10:1〜1:10の範囲、有利には5:1〜1:5の範囲、特に有利には3:1〜1:3の範囲、極めて特に有利には2:1〜1:2の範囲であってよい。
【0025】
更に、有利にはペンタエリスリットテトラアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含む反応性混合物が特に有利である。ペンタエリスリットテトラアクリレート対1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの質量比は、有利には10:1〜1:10の範囲、有利には5:1〜1:5の範囲、特に有利には3:1〜1:3の範囲、極めて特に有利には2:1〜1:2の範囲であってよい。
【0026】
ペンタエリスリットテトラアクリレート及び/又はトリメチロールプロパントリアクリレートを含む反応性混合物は、意外にも特に高い耐引掻性と示し、この耐引掻性は特にペンタエリスリットテトラアクリレートの割合と共に増大する。1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及び/又はトリメチロ−ルプロパントリアクリレートを含む反応性混合物は、特にキセノン試験によって測定することができる、特に高いUV安定性を示す。従って、高い割合の1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを有する混合物はキセノン照射後でも研磨ディスク試験による高い耐引掻性を維持する。
【0027】
被覆の耐引掻性は特に、混合物の質量に対する重合性二重結合の数に左右される。この割合が高くなれば、それだけ被覆が獲得することができる耐引掻性は高くなる。従って有利には反応性混合物は、反応性混合物120g当たり少なくとも1モルの二重結合、特に有利には反応性混合物105g当たり少なくとも1モルの二重結合を有することができる。その際、耐引掻性は特に3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレートを使用することによって高めることができる。
【0028】
反応性混合物は、特に反応性射出成形法で使用することができる。従って混合物は、このような使用を可能にする粘度を有する。反応性混合物の動的粘度は有利には、25℃で1〜200mPasの範囲、特に有利には25℃で5〜50mPasの範囲であり、その際動的粘度はブルックフィールド(ULアダプターを用いて)により測定することができる。
【0029】
硬化用に反応性混合物は、モノマーをラジカル重合させることができる少なくとも1種の開始剤を含む。その際、熱作用によってラジカルを生成する熱開始剤又は電磁波照射でラジカル重合を開始させる光開始剤を使用することができる。意外にも熱開始剤及び光開始剤の両方を含む反応性混合物の使用によって特別な利点を得ることができる。この利点には特に、被覆成形体の製造における短いサイクルタイム並びに被覆の特に高い耐候性、耐引掻性及び接着強さが挙げられる。
【0030】
好適な熱開始剤は、特にアゾ化合物、ペルオキシ化合物、ペルスルフェート化合物又はアゾアミジンである。非限定的例は、ジベンゾイルペルオキシド、ジクメンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジカリウムペルスルフェート、アンモニウムペルオキシジスルフェート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸アミジン)ヒドロクロリド、ベンズピナコール、ジベンジル誘導体、メチルエチレンケトンペルオキシド、1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシアセテート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート並びにDuPont社から(登録商標)Vazo、例えば(登録商標)Vazo V50及び(登録商標)Vazo WSの名前で市販されているラジカル形成剤である。
【0031】
有利には反応性混合物は、反応性混合物の質量に対して0.01〜3質量%、有利には0.1〜2.5質量%及び特に有利には0.5〜1.5質量%の熱開始剤を含むことができる。
【0032】
有利な光開始剤には、特にα,α−ジエトキシアセトフェノン(DEAP、Upjon Corp)、n−ブチルベンゾインエーテル((登録商標)Trigonal−14、AKZO)及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン((登録商標)Irgacure651)及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド((登録商標)Irgacur819)及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン−1−オン((登録商標)Irgacure2959)が含まれ、これらは各々Ciba Geigy Corp.社から市販されている。
【0033】
光開始剤の割合は、それ自体重要ではない。有利には反応性混合物は、反応性混合物の質量に対して0.01〜10質量%、特に有利には0.3〜5質量%及び極めて特に有利には0.7〜2.3質量%の光開始剤を有する。
【0034】
特に有利な変更態様によれば、光開始剤対熱開始剤の質量比は、20:1〜1:5の範囲、有利には15:1〜1:1の範囲、特に有利には10:1〜2:1の範囲であってよい。
【0035】
前記成分の他に、反応性混合物は滑剤をふくむことができる。これによって意外にも、接着強さを問題となる値まで下げることなしに、被覆成形体の離型性を改善することができる。従って助剤として、例えばポリシロキサン、少なくともC20より少ない、有利にはC16〜C18炭素原子を有する飽和脂肪酸又は少なくともC20より少ない、有利にはC16〜C18炭素原子を有する飽和脂肪アルコールの群から選択した滑剤を含有してよい。反応性混合物の質量に対して最高でも0.25、例えば0.05〜0.2質量%の僅かな割合の量で含まれるのが有利である。例えばステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン−及びパルミチン酸の工業的混合物が好適である。更にアクリル化されたポリシロキサン、例えば13/6/αω2−ヘキシルアクリルシロキサンが有利であり、その際これらの化合物は例えばGoldschmidt GmbH社から商標RC725として入手することができる。ポリシロキサンは多い量で使用することもできる。例えば最高で10質量%、有利には最高で1質量%、極めて特に有利には最高で0.5質量%の割合が有利である。更に、例えばn−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール並びにn−ヘキサデカノール及びn−オクタデカノールから成る工業的混合物が好適である。特に有利な滑剤又は離型剤はステアリルアルコールである。
【0036】
更に反応性混合物は、常用の添加物、例えば着色剤、顔料、例えば金属顔料、UV安定剤、充填剤又はナノ材料、特にITO−ナノ粒子を含むことができる。これらの添加物の割合は、意図される用途に左右され、従って広い範囲であってよい。添加物が含まれている場合には、有利にはこの割合は、0〜30質量%、特に有利には0.1〜5質量%であてよい。
【0037】
本発明により提供される反応性混合物は、特に反応射出成形法による成形体の被覆用に使用することができる。従って被覆成形体の製法も本発明の目的である。
【0038】
射出成形法は以前から公知であり、広く使用されている。その際通常成形材料を射出成形型に射出し、冷却して成形体を得る。こうして得た成形体に次いで被覆を設けることができる。
【0039】
例えばこうして得た成形品を完全に冷却し、型から取出すことができる。第2の後続の別の射出成形工程で、次いで例えばこの予備成形物を空洞を設けたもう一つの型に入れるか又は移し、反応性混合物を型中に注入し、その際これは予備成形物上にふきつけられる。この方法はインサート法又はトランスファー法として公知である。次に達成可能な接着のためには、予備成形した成形品を予備加熱することが特に有利である。
【0040】
有利な態様によれば、被覆を有利には特に射出成形型を変えることによって行うことができ、その際成形体の被覆される表面と射出成形型の内面との間に間隙が生じる。生じた間隙を反応性混合物で射出成形によって充填することができる。反応性混合物を有利には先ず熱によって硬化させ、熱硬化後に放射によって硬化させることができる。
【0041】
この方法実施によって、高い耐引掻性を有する被覆成形体を得ることができ、その際被覆は特に良好な接着強さを有する。更に特に短いサイクルタイムを得ることもできる。
【0042】
このような方法の実施を可能にする装置は特に前記文書JP11300776及びJP2005074896に記載されている。
【0043】
被覆される成形体を製造するための成形材料は自体公知であり、その際この成形材料は必須成分として熱可塑性加工可能なポリマーを含有する。有利なポリマーには、例えばポリ(メタ)アクリレート、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(メタ)アクリルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルクロリドが含まれる。その際、ポリ(メタ)アクリレート及びポリ(メタ)アクリルイミドが有利である。これらのポリマーを単独で使用してもよいし、混合物として使用してもよい。更にこれらのポリマーはコポリマーの形であってもよい。有利なコポリマーは、特にスチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−マレイン酸−コポリマー及びポリメチルメタクリレート−コポリマー、特にポリメチルメタクリレート−ポリ(メタ)アクリルイミド−コポリマーである。
【0044】
特に有利な成形材料は、成形材料の全質量に対して少なくとも15質量%、有利には少なくとも50質量%、特に有利には少なくとも80質量%のポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド及び/又はポリメチルメタクリレート−コポリマーを有する。
【0045】
本発明の成形材料は、有利にはポリ(メタ)アクリレートを含有することができる。用語(メタ)アクリレートにはメタクリレート及びアクリレート並びにこれら両方から成る混合物が含まれる。
【0046】
ポリ(メタ)アクリレートは、モノマーの質量に対して少なくとも60質量%、有利には少なくとも80質量%の(メタ)アクリレートを有するモノマー混合物の重合によって得られるポリマーである。これらのモノマーは当業者に広く公知であり、市販されている。これらには特に、(メタ)アクリル酸及び飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート;不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばオレイル(メタ)アクリレート、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート等;(メタ)アクリル酸のアミド及びニトリル、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、1−メタクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート;及び多価(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0047】
前記(メタ)アクリレートの他にポリ(メタ)アクリレートを製造するために、前記メタクリレートと共重合可能であるその他の不飽和モノマーを使用することもできる。通常これらの化合物は、モノマーの質量に対して0〜40質量%、有利には0〜20質量%の量で使用され、その際コモノマーは単独で又は混合物として使用することができる。これには特に、1−アルケン、例えばヘキセン−1、ヘプテン−1;枝分かれアルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチルペンテン−1;ビニルエステル、例えばビニルアセテート;スチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;複素環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾース、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素添加ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素添加ビニルオキサゾール;ビニル−及びイソプレニルエーテル;マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド;及びジエン、例えばジビニルベンゼンが含まれる。
【0048】
有利なポリ(メタ)アクリレートは、各々重合されるモノマーの全質量に対して、少なくとも20質量%、特に少なくとも60質量%、特に有利には少なくとも80質量%のメチルメタクリレートを有する混合物の重合によって得られる。これらのポリマーは、本発明ではポリメチルメタクリレートと称する。有利な成形材料は、例えば分子量又はモノマー組成が異なる種々のポリ(メタ)アクリレートを含有することができる。
【0049】
ラジカル重合の種々の方法による前記モノマーからの(メタ)アクリレート−ホモ−及び/又はコポリマーの製造は自体公知である。従ってポリマーを塊状−、溶液−、懸濁−又は乳化重合で製造することができる。塊状重合は例えばHouben−Weyl、第E20巻、第2部(1987)、1145頁以降に記載されている。溶液重合に関する貴重な指摘は同書の1156頁以降に記載されている。懸濁重合法に関する説明は同書1149頁以降に記載されており、乳化重合は同書1150頁以降に記載説明されている。
【0050】
更に有利な成形材料は、ポリ(メタ)アクリルイミドを含むことができる。ポリ(メタ)アクリルイミドは、式(I)
【化1】

[式中、R及びRは同一又は異なる水素又はメチル基を表し、Rは水素又は炭素原子20個までを有するアルキル−又はアリール基を表す]により表される反復単位を有する。
【0051】
有利には構造(I)の単位は、ポリ(メタ)アクリルイミドの30質量%より多く、特に有利には50質量%より多く、極めて特に有利には80質量%より多い。
【0052】
ポリ(メタ)アクリルイミドの製造は自体公知であり、例えばGB−PS1078425、GB−PS1045229、DE−PS1817156(=US−PS3627711)又はDE−PS2726259(=US−PS4139685)に公開されている。
【0053】
更に、コポリマーは、例えばアクリル−又はメタクリル酸の、特にC原子1〜4個を有する低級アルコールとのエステル、スチレン、マレイン酸又はその無水物、イタコン酸又はその無水物、ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンから生じるその他のモノマー単位を含有することができる。閉環されないか又は非常に閉環されにくいコモノマーの割合は、モノマーの質量に対して30質量%、有利には20質量%、特に有利には10質量%を超えてはならない。
【0054】
有利には、ポリ(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)及び/又はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む成形材料を使用することができる。ポリ(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及び/又はPMMI−PMMA−コポリマーは有利にはPMMI及びPMMAのコポリマーであり、これはPMMAの部分的シクロイミド化によって製造される。(PMMAの部分イミド化によって製造されるPMMIは、通常使用されたPMMAの最高83%をイミド化して製造される。その際生成する生成物はPMMIと称されるが、厳密にはPMMI−PMMA−コポリマーである)。PMMA及びPMMI又はPMMI−PMMA−コポリマーは、例えばRoehm社の商標Pleximidとして市販されている。典型的なコポリマー(Pleximid8803)は、MMI−単位33%、MMA−単位54.4%、メタクリル酸単位2.6%及びアンヒドリド単位1.2%を有する。生成物並びにその製造は公知である(Hans R.Kricheldorf、Handbook of Polymer Synthesis、Part A、Marcel Dekker Inc.出版、New York−Basel−Hongkong、223頁以降;H.G.Elias、Makuromolekuele、Huethig und Wepf Verlag Basel−Heidelberg−New York;US−PSS2146209、4246374)。
【0055】
更に成形材料は、スチレン−アクリロニトリル−ポリマー(SAN)を含むことができる。特に有利なスチレン−アクリロニトリル−ポリマーは、各々重合されるモノマーの全質量に対して、スチレン70〜92質量%、アクリロニトリル8〜30質量%及びその他のコモノマー0〜22質量%から成る混合物の重合によって得ることができる。
【0056】
衝撃強さを改善するために成形材料を、シリコーンゴム−グラフトコポリマーと混合することができるが、このシリコーンゴム−グラフトポリマーは、コポリマーの全質量に対して0.05〜95質量%の一般式(RSiO2/2・(RSiO3/2・(SiO4/2[ここで、x=0〜99.5モル%、y=0.5〜100モル%、z=0〜50モル%であり、式中、RはC原子1〜6個を有する同一又は異なるアルキル−又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を表す]に相応する有機珪素ポリマーから成るコアa)、コポリマーの全質量に対して0〜94.5質量%のポリジアルキルシロキサン層b)及びコポリマーの全質量に対して5〜95質量の有機ポリマーから成るシェルc)から成るが、コアa)はグラフト前にビニル基を含みかつシェルc)はアクリル酸エステル及びメタクリレートを含む混合物のラジカル重合によって得られる。
【0057】
本発明による成形材料はその他のアクリレートゴム変性剤を含有することができる。意外にもこれによって、成形材料から製造した成形体の室温(約23℃)における優れた衝撃強さ挙動が得られる。機械的及び熱特性、例えばヤング率又はビカー軟化温度を高い水準に保つことが特に重要である。室温で同じノッチ付き衝撃強さ挙動をアクリレートゴム変性剤又はシリコーンゴム−グラフトポリマーの使用によってのみ達成しようとする場合にはこれらの値は著しく減少する。
【0058】
このようなアクリレートゴム変性剤は自体公知である。これらはコア−シェル−構造を有するコポリマーであり、その際コア及びシェルは高い割合の前記(メタ)アクリレートを有する。
【0059】
その際有利なアクリレートゴム変性剤は、組成が異なる2層のシェルを有する構造を有する。
【0060】
特に有利なアクリレートゴム変性剤は特に下記の構造を有する:
コア:コアの質量に対して少なくとも90質量%のメチルメタクリレート割合を有するポリマー。
【0061】
シェル1:第1シェルの質量に対して少なくとも80質量%のブチルアクリレート割合を有するポリマー。
【0062】
シェル2:第2シェルの質量に対して少なくとも90質量%のメチルメタクリレート割合を有するポリマー。
【0063】
例えばアクリレートゴム変性剤は下記の構造を有することができる:
コア:メチルメタクリレート(95.7質量%)、エチルアクリレート(4質量%)及びアリルメタクリレート(0.3質量%)から成るコポリマー
S1:ブチルアクリレート(81.2質量%)、スチレン(17.5質量%)及びアリルメタクリレート(1.3質量%)から成るコポリマー
S2:メチルメタクリレート(96質量%)及びエチルアクリレート(4質量%)から成るコポリマー
アクリレートゴム変性剤のコア対シェルの比は広い範囲で変化してよい。1層のシェルを有する変性剤の場合には、有利にはコア対シェルの質量比K/Sは、20:80〜80:20、有利には30:70〜70:30の範囲であるか又は2層のシェルを有する変性剤の場合には、コア対シェル1対シェル2の比K/S1/S2は、10:80:10〜40:20:40、特に有利には20:60:20〜30:40:30の範囲である。
【0064】
アクリレートゴム変性剤の粒度は、これに限定するものではないが、通常50〜1000nm、有利には100〜500nm、特に有利には150〜450nmである。
【0065】
本発明の特別な態様によれば、シリコーンゴム−グラフトコポリマー対アクリレートゴム変性剤の質量比は、1:10〜10:1、有利には4:6〜6:4である。
【0066】
特別な成形材料は、各々成分f1からf4の質量に対して、f1)ポリ(メタ)アクリレート20〜95質量%、f2)スチレン−アクリロニトリル−ポリマー0〜45質量%、f3)シリコーンゴム−グラフトコポリマー5〜60質量%、f4)アクリレートゴムをベースとする衝撃強さ変性剤0〜60質量%及び常用の添加物及び配合剤から成る。
【0067】
更に、重合される組成物、本発明による成形材料又はそれから得られる成形体は、その他の公知添加物を含有することができる。これらの添加物には、特に分子量調整剤、剥離剤、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滑剤、色料、流動改良剤、充填剤、光安定剤、顔料、耐候安定剤及び可塑剤が含まれる。
【0068】
添加物は常用量で、即ち全質量に対して80質量%まで、有利には30質量%までの量で使用する。この量が全質量に対して80質量%より多い場合には、プラスチックの特性、例えば加工性が損なわれる恐れがある。
【0069】
本発明によりマトリックスポリマーとして使用されるホモ−及び/又はコポリマーの重量平均分子量Mは、広い範囲で変化してよく、その際分子量は通常、成形材料の使用目的及び加工方法により決められる。しかし、これに制限するものではないが、通常20000g/モルと1000000g/モルの間、有利には50000〜500000g/モル、特に有利には80000〜300000g/モルである。
【0070】
被覆の厚さは、反応性混合物及び成形体の種類に左右されることが多い。非常に薄い被覆の製造は技術的に非常に難しい場合が多い。他方、非常に厚い被覆は屡亀裂形成の強い傾向を有し、その際接着強さは部分的に低下する。従って、被覆が有利には1μm〜100μm、特に5μm〜75μm、特に有利には8μm〜50μm、特別に特に有利には10μm〜40μm、極めて特に有利には15μm〜30μmの範囲の厚さを有する被覆成形体が特に有利である。被覆の厚さは成形体の被覆される表面と射出成形型の内面との間の間隙の大きさによって調節することができる。
【0071】
成形材料を射出成形型に射出する温度は、特にポリマー並びに添加物の種類に左右される。この操作温度は当業者に公知である。通常成形材料は150〜350℃、有利には220〜330℃の範囲の温度で射出成形型中に射出される。
【0072】
型の温度は同様に各々の成形材料用に常用の温度に調節することができる。有利には成形材料は、反応性混合物を間隙に射出する前に、40〜160℃、特に有利には70〜150℃、極めて特に有利には60〜80℃に冷却することができる。
【0073】
反応性混合物の熱硬化を行う温度は、熱開始剤の種類に左右される。熱硬化を有利には70〜160℃、有利には80〜130℃の範囲、特に有利には85〜120℃の範囲、極めて特に有利には90〜110℃の範囲で射出成形型で行う方法が特に有利である。熱硬化の温度が高すぎる場合には、US照射後に亀裂生成が起こる恐れがある。低すぎる温度では被覆は屡射出成形型の金属に対する高すぎる接着性を示し、その際部分的には耐引掻性を熱硬化でより高い温度によって改善することができる。前記範囲は特に有利であると実証されたが、これに制限されるものではない。
【0074】
特別な実施態様によれば、反応性混合物は例えば70〜85℃の範囲、有利には75〜80℃の範囲の温度で生じることができる。この態様は、反応性混合物が特に高い割合の少なくとも4個の二重結合を有する化合物、例えばペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレートを含む場合に、特に有利である。本発明による方法のもう一つの態様によれば、反応性混合物を85〜120℃の範囲、有利には90〜110℃の範囲の温度で硬化させることができる。この実施態様は、反応混合物が特に高い割合の二重結合2個又は3個を有する化合物、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを含む場合に特に有利である。
【0075】
反応性混合物は、射出成形品を型で冷却するのと同じ温度で硬化させることができる。その際、反応性混合物の重合(硬化)の開始及び速度は、熱開始剤の種類及び割合の選択並びに型温度の選択によって調節することができる。更に、硬化の開始を反応混合物中に含まれる多官能性(メタ)アクリレートの選択によって調節することができる。
【0076】
熱硬化後に予備硬化させた反応性混合物を0〜120℃、有利には10〜40℃の範囲の温度で照射によって硬化させることができる。このために、開始剤の種類に応じて常用の照射源を使用することができる。有利には硬化は特にUV線によって行うことができ、その際使用される照射源の波長は特に100nm〜500nm、有利には200nm〜400nmの範囲であってよい。
【0077】
本発明は、優れた特性プロフィールを有し、従って多様に使用することができる新規被覆成形体を提供する。従って本発明の目的は更に、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−マレイン酸−コポリマー及びポリメチルメタクリレート−コポリマーから成る群から選択した少なくとも1種のポリマーを含む射出成形法により得られる成形体及び二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレートの重合により得られる被覆を含む被覆成形体である。
【0078】
成形体は、例えば研磨ディスク試験によって測定することができる高い耐引掻性によって特に優れている。特にASTM1044(12/05)による耐引掻性試験によるヘイズ値(量500g、サイクル数=100)が最高で10%、特に有利には最高で6%、極めて特に有利には最高で3%増加する、被覆された透明な成形体が特に有利である。ASTM1044(12/05)による耐引掻性(量500g、サイクル数=100)は、更に20°における光沢の減少によって測定することができる。その際、有利な被覆成形体は、ASTM1044(12/05)による耐引掻性試験(量500g、サイクル数=100)後の20°における最高で10%、特に有利には最高で6%、極めて特に有利には最高で3%の光沢の減少を示す。20°における光沢の減少はDIN EN ISO2813により測定することができる。光沢変化の測定によって例えば着色成形体又は着色被覆の耐引掻性を測定することができる。
【0079】
更に本発明による成形体は、被覆の優れた接着強さを示すが、これは格子切断試験により調べることができる。このために被覆に十字形の切れ目を入れ、それによって碁盤目模様の小区画に分ける。その際、通常少なくとも20個の小区画、有利には少なくとも25個の小区画を作る。その際、線の間隔は約1mmである。次いで25mm幅の接着テープを貼り、再び剥ぎ取る。DIN EN ISO2409により測定して、cm当たりの接着テープの剥離力は、幅25mm当たり約10Nである。この試験実施用に例えばTesa社から商標名Typ4104として市販されている接着テープを使用することができる。有利には被覆成形体の格子切断試験による評価は、最高で1、特に有利には0である。実質的に小区画の5%より多く剥離されない場合に、被覆成形体の評価は1である。小区画が全く(0%)剥離されない場合には、被覆成形体の評価は0である。
【0080】
更に有利な被覆は、亀裂を有さず、高い耐薬品性を示す。従って被覆は特にエタノール、エタノール/水(70/30)、ベンジン、パンクレアチン、硫酸(1%)に対して耐性があり、その際これらの化合物と接触することによって、応力亀裂を生じない。
【0081】
有利な成形体は、1200MPa以上、有利には1600MPa以上のISO527(1mm/分で)によるヤング率を有することができる。更に本発明による成形体は、10kJ/m以上、有利には15kJ/m以上のCharpyによる衝撃強さを示す。
【0082】
更に、55以上、有利には60以上のDIN53455−1−3(1mm/分で)による引張強さを有するプラスチックを製造することができ、これは優れた耐引掻性を有する。
【0083】
耐引掻性成形体が、DIN5036第3部による透光率τD65≧88%、有利には≧90%を有することができることは特に意外である。成形体の前記機械的及び/又は光学的特性によって本発明は制限されるものではない。これらの記載はむしろ、良好な耐引掻性と同時に達成される成形体の特に優れた特性を表すために役立つものである。
【0084】
更に本発明の成形体は、優れた耐候性を示すことができる。従って、キセノン試験による耐候性は、有利には少なくとも1000時間、特に有利には少なくとも2000時間である。この安定性は、例えば透光性の僅かな減少又は耐引掻性の僅かな減少によって測定することができる。照射の開始時の透光性値に対して2000時間のキセノン照射後の透光性が最高で10%、特に有利には最高で5%しか減少しない被覆成形体が特に有利である。更に有利な成形体は、ASTM1044(12/05)による耐引掻性試験(量500g、サイクル数=100)後のヘイズ値の増加が、2000時間のキセノン照射後に最高で25%、特に有利には最高で15%を示すことができる。更にキセノン照射後の耐引掻性の測定は光沢の減少によっても可能である。その際有利な被覆成形体では、ASTM1044(12/05)による耐引掻性試験(量500g、サイクル数=100)後の20°における光沢の減少は、2000時間のキセノン照射後に最高で25%、特に有利には最高で20%、極めて特に有利には最高で15%である。
【0085】
更に、本発明による塗料を用いて得られた有利な被覆は、気候変化試験で高い安定性を示し、その際支持体の変化にも拘わらず僅かしか亀裂形成を生じない。有利には気候変化試験を実施するために図1に記載した負荷プログラムを使用した(BMW PR303−第d部)。
【0086】
次に本発明を実施例及び比較例につき詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明による気候変化試験の負荷プログラムを表す。
【0088】
比較例1
小規模試験で本反応性混合物の性能を試験した。このために先ず射出成形品(200×100×3mm)をPMMA−成形材料(8N、Roehm GmbH社から市販されている)から製造し、85℃に予備加熱した。予備加熱するために射出成形品を2個の金属円筒(高い光沢を有する)の間に置いたが、その際下の円筒は直径150mmを有し、上の金属円筒は直径120mmを有していた。上の金属円筒の過度の冷却を阻止するために、これを射出成形品の約5分間の温度調整後に取り下ろし、ホットプレートに載せ、更に加熱した(85℃で温度調整)。その間に射出成形品は大きな金属円筒上で平板状になり、これを重しを載せないでもう一度5分間更に加熱した。
【0089】
引き続き(射出成形品の10分間の温度調整後)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート68.60質量%、トリメチロールプロパントリアクリレート29.40質量%、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)1質量%及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)1質量%を含む反応性混合物1.5gを射出成形品に加え、反応溶液を直ちに85℃の熱い小金属円筒で重しをした(プレスした)。その後、被覆を60秒間硬化させたが、その際、反応は小金属円筒を載せてから約15秒後に開始した。これは反応溶液の出現により測ることができた。亀裂のない被覆が得られた。
【0090】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際0(非常に高い耐引掻性)から7(非常に僅かな耐引掻性)の尺度を用いた。こうして得た被覆は耐引掻性6(僅かな耐引掻性)を示した。
【0091】
例1
比較例1を実質的には繰り返したが、しかしその際、熱硬化後に被覆した射出成形品をUV照射により硬化させた。被覆は亀裂がない状態を維持した。被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際こうして得た被覆は耐引掻性3(良好な耐引掻性)を示した。
【0092】
比較例2
比較例1を実質的には繰り返したが、しかしその際1,6−ヘキサンジオールジアクリレート67.90質量%、トリメチロールプロパントリアクリレート29.10質量%、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)1質量%及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)2質量%を含む反応性混合物を使用した。
【0093】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性6(僅かな耐引掻性)を示した。
【0094】
例2
比較例2を実質的には繰り返したが、しかしその際、熱硬化後に被覆した射出成形品をUV照射により硬化させた。被覆は亀裂がない状態を維持した。被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際こうして得た被覆は耐引掻性3(良好な耐引掻性)を示した。
【0095】
例3
例1を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート97.75質量%、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.25質量%及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)2質量%を含む反応性混合物を使用した。
【0096】
熱硬化反応は約15秒後に開始した。UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約20μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0097】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性1(非常に良好な耐引掻性)を示した。
【0098】
例4
例3を実質的には繰り返したが、しかしその際反応温度を85℃から80℃に下げた。
【0099】
熱硬化反応は約25秒後に開始した。UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約25μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0100】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性1(非常に良好な耐引掻性)を示した。
【0101】
例5
例4を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート97.50質量%、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.50質量%及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)2質量%を含む反応性混合物を使用した。
【0102】
熱硬化反応は約15秒後に開始した。UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約12μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0103】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性1(非常に良好な耐引掻性)を示した。
【0104】
例6
例4を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート97.00質量%、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカ−ボネート(熱開始剤)1.00質量%及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)2質量%を含む反応性混合物を使用した。
【0105】
熱硬化反応は約8秒後に開始した。UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約13μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0106】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性1(非常に良好な耐引掻性)を示した。
【0107】
例7
例4を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート9g、ペンタエリスリットテトラアクリレート1g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0108】
UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約27μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0109】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性約0.5(非常に良好な耐引掻性)を示した。
【0110】
例8
例7を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ペンタエリスリットテトラアクリレート2g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0111】
UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約14μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0112】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性0(卓越した耐引掻性;筋力によって引掻き傷を生じることはできない)を示した。
【0113】
例9
例7を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート5g、ペンタエリスリットテトラアクリレート5g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0114】
UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られたが、これは厚さ約16μmを有した(4回の個々の測定の平均値)。
【0115】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性0(卓越した耐引掻性;筋力によって引掻き傷を生じることはできない)を示した。
【0116】
例10
例7を実質的には繰り返したが、しかしその際トリメチロールプロパントリアクリレート3g、ペンタエリスリットテトラアクリレート7g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.025g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0117】
熱硬化は85℃で行ったが、その際約30秒の硬化時間で十分であった。UV硬化後に、亀裂のない被覆が得られた。
【0118】
被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際、こうして得た被覆は耐引掻性0(卓越した耐引掻性)を示した。
【0119】
例11
小規模試験で本反応性混合物の性能を試験した。このために先ず射出成形品(200×100×3mm)をPMMA−成形材料(8N、Roehm GmbH社から市販されている)から製造し、85℃に予備加熱した。予備加熱するために射出成形品を2個の金属円筒(高い光沢を有する)の間に置いたが、その際下の円筒は直径150mmを有し、上の金属円筒は直径120mmを有していた。上の金属円筒の過度の冷却を阻止するために、これを射出成形品の約5分間の温度調整後に取り下ろし、ホットプレートに載せ、更に加熱した(85℃で温度調整)。その間に射出成形品は大きな金属円筒上で平板状になり、これを重しを載せないでもう一度5分間更に加熱した。
【0120】
引き続き(射出成形品の10分間の温度調整後)、トリメチロールプロパントリアクリレート5g、ペンタエリスリットテトラアクリレート5g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート(熱開始剤)0.025g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物1.5gを射出成形品に加え、反応溶液を直ちに85℃の熱い小金属円筒及び3kgの重さの金属ブロックで重しをした(プレスした)。その後、被覆を60秒間硬化させた。亀裂のない被覆が得られた。
【0121】
熱硬化後、被覆射出成形品をUV照射により硬化させた。その際冷却した被覆を約1分間重しなしでUV光で露光した。亀裂のない厚さ20μmの被覆が得られた。被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際こうして得た被覆は耐引掻性0(卓越した耐引掻性)を示した。
【0122】
例12
例11を実質的には繰り返したが、しかしその際80μmの層厚を製造した。このために射出成形品を、厚さ約80μmを有する環状に切断したポリエステルフィルムで覆った。
【0123】
熱硬化後に最初は亀裂のない被覆が得られた。しかしUV光の照射によって著しい亀裂が生じた。被覆の耐引掻性を小規模試験で鋼綿を用いて調べたが、その際こうして得た被覆は耐引掻性0(卓越した耐引掻性)を示した。
【0124】
例13
小規模試験で本反応性混合物の性能を試験した。このために先ず射出成形品(200×100×3mm)をPMMA−成形材料(8N、Roehm GmbH社から市販されている)から製造し、85℃に予備加熱した。予備加熱するために射出成形品を、170*170*27mmの大きさを有する2個の金属ブロック(高い光沢を有する)の間に置いた。上の金属ブロックの過度の冷却を阻止するために、これを射出成形品の約5分間の温度調整後に取り下ろし、ホットプレートに載せ、更に加熱した(85℃で温度調整)。その間に射出成形品は下の金属ブロック上で平板状になり、これを重しを載せないでもう一度5分間更に加熱した。
【0125】
引き続き(射出成形品の10分間の温度調整後)、トリメチロールプロパントリアクリレート5g、ペンタエリスリットテトラアクリレート5g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物1.5gを射出成形品に加え、反応溶液を直ちに85℃の熱い上の金属ブロックで重しをした。その後、被覆を60秒間硬化させた。亀裂のない被覆が得られた。
【0126】
熱硬化後、被覆射出成形品をUV照射により硬化させた。その際冷却した被覆を約1分間窒素なしでUV光で露光した。亀裂のない被覆が得られた。
【0127】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際成形体のヘイズ値は2.8%に上昇した。更に被覆の接着強さを格子切断試験を用いて測定した。このために被覆に十字形の切れ目を入れ、それによって碁盤目模様の小区画に分ける。その際、線の間隔は約1mmである。次いで接着テープを貼り、再び剥ぎ取る。この試験実施用にTesa社から商標名Typ4104として市販されている接着テープを使用した。被覆の接着強さは非常に高いので、小区画は全く剥離されなかった。
【0128】
例14
例13を実質的には繰り返したが、しかしその際、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0129】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際成形体のヘイズ値は5.4%に上昇した。更に被覆の接着強さを格子切断試験を用いて測定した。このために被覆に十字形の切れ目を入れ、それによって碁盤目模様の小区画に分ける。その際、線の間隔は約1mmである。次いで接着テープを貼り、再び剥ぎ取る。この試験実施用にTesa社から商標Typ4104として市販されている接着テープを使用した。被覆の接着強さは非常に高いので、小区画は全く剥離されなかった。
【0130】
更に、こうして製造した成形体に(BMW PR303−第d部)により気候変化試験を行ったが、その際負荷プログラムは図1に表す。成形体はこの試験によって強力に変形されたが、しかしその際被覆は非常に僅かな亀裂形成しか生じなかった。
【0131】
更に、こうして製造した成形体は、キセノン光(DIN EN ISO4892、第2部、キセノン試験装置:Atlas/Heraeus Typ1200)で2000時間照射したが、これによって透光性は91.8%から91.1%にだけ減少したにすぎない。被覆の耐引掻性はキセノン試験によっても僅かしか悪化してなかった。成形体のヘイズ値は5.4%から22.3%に増加した。
【0132】
例15
例13を実質的には繰り返したが、しかしその際、トリメチロールプロパントリアクリレート5g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.05g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0133】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際成形体のヘイズ値は5.8%に上昇した。更に被覆の接着強さを格子切断試験を用いて測定した。このために被覆に十字形の切れ目を入れ、それによって碁盤目模様の小区画に分ける。その際、線の間隔は約1mmである。次いで接着テープを貼り、再び剥ぎ取る。この試験実施用にTesa社から商標名Typ4104として市販されている接着テープを使用した。被覆の接着強さは非常に高いので、小区画は全く剥離されなかった。
【0134】
更に、こうして製造した成形体に(BMW PR303−第d部)により気候変化試験を行ったが、その際負荷プログラムは図1に表す。成形体はこの試験によって強力に変形されたが、しかしその際被覆は全く亀裂形成を示さなかった。
【0135】
更に、こうして製造した成形体は、キセノン光(DIN EN ISO4892、第2部、キセノン試験装置:Atlas/Heraeus Typ1200)で2000時間照射したが、これによって透光性は91.4%から91.1%にだけ減少したにすぎない。被覆の耐引掻性はキセノン試験によっても僅かしか悪化しなかった。成形体のヘイズ値は5.8%から13.5%に増加した。
【0136】
例16
例13を実質的には繰り返したが、しかしその際、トリメチロールプロパントリアクリレート7.2g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.8g、ポリシロキサン(滑剤:RC725、Goldschmidt GmbH社から市販)1.0g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.1g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。更に黒色に着色したPMMA−成形材料(8N schwarz90084、Roehm GmbH社から市販)を使用した。
【0137】
熱硬化は90℃で行ったが、その際約60秒の硬化時間で十分であった。UV硬化後に亀裂なしの被覆が得られた。
【0138】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際、DIN EN ISO2813による20°における6.8%の光沢の減少が得られた。
【0139】
例17
例16を実質的には繰り返したが、しかしその際、反応温度を90℃から95℃に高めた。
【0140】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際、DIN EN ISO2813による20°における5.3%の光沢の減少が得られた。
【0141】
例18
例15を実質的には繰り返したが、しかしその際、トリメチロールプロパントリアクリレート5g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.1g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。更に黒色に着色したPMMA−成形材料(8N schwarz90084、Roehm GmbH社から市販)を使用した。
【0142】
熱硬化は90℃で行ったが、その際約30秒の硬化時間で十分であった。UV硬化後に亀裂なしの被覆が得られた。
【0143】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際、DIN EN ISO2813による20°における4.7%の光沢の減少が得られた。
【0144】
更に、こうして製造した成形体に(BMW PR303−第d部)により気候変化試験を行ったが、その際負荷プログラムは図1に表す。成形体はこの試験によって強力に変形されたが、しかしその際被覆は全く亀裂形成を示さなかった。
【0145】
例19
例18を実質的には繰り返したが、しかしその際、トリメチロールプロパントリアクリレート7g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3g、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(熱開始剤)0.1g及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Irgacure184)0.20gを含む反応性混合物を使用した。
【0146】
熱硬化は90℃で行ったが、その際約60秒の硬化時間で十分であった。UV硬化後に亀裂なしの被覆が得られた。
【0147】
被覆の耐引掻性をASTM1044(12/05)による研磨ディスク試験(量500g、サイクル数=100)を用いて試験した。その際、DIN EN ISO2813による20°における1.8%の光沢の減少が得られた。
【0148】
更に、こうして製造した成形体に(BMW PR303−第d部)により気候変化試験を行ったが、その際負荷プログラムは図1に表す。成形体はこの試験によって強力に変形されたが、しかしその際被覆は全く亀裂形成を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレート少なくとも40質量%を含む、反応射出成形により成形体を被覆するための反応性混合物であって、該反応性混合物が少なくとも1種の光開始剤及び少なくとも1種の熱開始剤を含むことを特徴とする反応性混合物。
【請求項2】
反応性混合物が、二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレート少なくとも60質量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の反応性混合物。
【請求項3】
反応性混合物が、二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレート少なくとも90質量%を含むことを特徴とする、請求項2に記載の反応性混合物。
【請求項4】
反応性混合物が、3個以上の二重結合を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項5】
3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレートの割合が、反応性混合物の質量に対して少なくとも25質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性混合物。
【請求項6】
3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレートの割合が、反応性混合物の質量に対して少なくとも50質量%であることを特徴とする、請求項5に記載の反応性混合物。
【請求項7】
反応性混合物が、最高で75質量%の2個以下の二重結合を有するモノマーを含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項8】
反応性混合物が25℃で1〜200mPa*sの範囲の動的粘度を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項9】
反応性混合物が、反応性混合物の質量に対して0.01質量%〜3質量%の光開始剤を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項10】
反応性混合物が、反応性混合物の質量に対して0.03質量%〜5質量%の熱開始剤を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項11】
光開始剤対熱開始剤の質量比が、20:1〜1:5の範囲であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項12】
反応混合物が、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はペンタエリスリットテトラアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項13】
反応性混合物が、トリメチロールプロパントリアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含み、その際トリメチロールプロパントリアクリレート対1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの質量比が5:1〜1:5の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載の反応性混合物。
【請求項14】
反応性混合物が、トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタエリスリットテトラアクリレートを含み、その際トリメチロールプロパントリアクリレート対ペンタエリスリットテトラアクリレートの質量比が5:1〜1:5の範囲であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の反応性混合物。
【請求項15】
反応性混合物が、ペンタエリスリットテトラアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含み、その際ペンタエリスリットテトラアクリレート対1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの質量比が5:1〜1:5の範囲であることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項16】
反応性混合物が滑剤を含むことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項17】
反応性混合物が、着色剤、金属顔料、UV安定剤、充填剤又はナノ材料を含むことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の反応性混合物。
【請求項18】
被覆成形体の製法において、成形材料を射出成形型に射出し、冷却して成形体を得、射出成形型を変えて、成形体の被覆される表面と射出成形型の内面との間に間隙が生じるようにし、生じた間隙に射出成形によって請求項1から17までのいずれか1項に記載の反応性混合物を充填し、反応性混合物を先ず熱により硬化させ、熱硬化後に照射によって硬化させることを特徴とする方法。
【請求項19】
成形材料が、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−マレイン酸−コポリマー及びポリメチルメタクリレート−コポリマーから成る群から選択した少なくとも1種のポリマーを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
成形材料が、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド及び/又はポリメチルメタクリレート−コポリマー少なくとも50質量%を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
被覆の厚さが5μm〜75μmであることを特徴とする、請求項18から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
成形材料を射出成形型中に220〜330℃の範囲の温度で射出することを特徴とする、請求項18から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
反応性混合物を間隙中に射出する前に、成形材料を70〜150℃の範囲の温度に冷却することを特徴とする、請求項18から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
反応性混合物を80〜130℃の範囲の温度で射出成形型中で熱により硬化させることを特徴とする、請求項18から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
熱により硬化させた反応性混合物を10〜40℃の範囲の温度で照射により硬化させることを特徴とする、請求項18から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
熱により硬化させた反応性混合物をUV線を用いて硬化させることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルメチルイミド、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−マレイン酸−コポリマー及びポリメチルメタクリレート−コポリマーから成る群から選択した少なくとも1種のポリマーを含む射出成形法により得られる成形体及び二重結合少なくとも2個を有する(メタ)アクリレートの重合により得られる被覆を含む被覆成形体において、被覆が、格子切断試験により最高で1の接着強さ評価及びASTM1044(12/05)による耐引掻性試験(量500g、サイクル数=100)による20°における光沢の減少最高で10%を有することを特徴とする、被覆成形体。
【請求項28】
被覆が75〜120℃の範囲の温度で成形体の表面に塗布され、熱により硬化される反応性混合物の硬化によって得られることを特徴とする、請求項27に記載の成形体。
【請求項29】
被覆が5μm〜75μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項27又は28に記載の成形体。
【請求項30】
被覆が10μm〜40μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項29に記載の成形体。
【請求項31】
ASTM1044(12/05)による耐引掻性試験による20°における光沢の減少が最高で6%であることを特徴とする、請求項27から30までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項32】
成形体のASTM1044(12/05)による耐引掻性試験後のヘイズ値の増加が、2000時間のキセノン照射後に最高で25%を示すことを特徴とする、請求項27から31までのいずれか1項に記載の透明な成形体。
【請求項33】
成形体の被覆が格子切断試験により0の接着強さ評価を示すことを特徴とする、請求項27から32までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項34】
機械が請求項1から17までのいずれか1項に記載の反応性混合物を含むことを特徴とする、射出成形機。

【図1】
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【公表番号】特表2010−530455(P2010−530455A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512615(P2010−512615)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054678
【国際公開番号】WO2008/155149
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】