説明

反応性金属水素化物の封入方法

【課題】中空ガラス球体内に金属水素化物を封入する方法が提供される。
【解決手段】この方法は中空ガラス球体を用意することを含み、中空ガラス球体は内部容積を囲む殻を有する。中空ガラス球体は封室内部に配置され、室は負圧がその中に存在するほど排気される。排気される封室内の中空ガラス球体は殻がそれによって分子を拡散する余地があるほど外界要素に暴露される。ある場合に外界要素は熱、赤外線及びそれらの組合せである。その後は金属水素化物が蒸気の形態で用意され、中空ガラス球体を加えて排気される封室は金属水素化物蒸気にさらされ、金属水素化物の分子は殻を通じて内部容積に拡散する。その後は外界要素が殻を通じた分子拡散を大体禁じられ、中空ガラス球体内の金属水素化物が凝縮状態になるように中空ガラス球体から取り除かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般に物質を密封する方法に関する。さらに特定には本発明は反応性金属水素化物を封入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜(PEM)燃料電池での電気化学酸化反応は水蒸気を生ずるだけであり、一酸化炭素、二酸化炭素などのような少しの温室効果ガスも雰囲気に放射されないので、エネルギー源としての水素利用は注目されている。しかしながら水素は軽ガスであり、液体としての水素の貯蔵を与える極低液化温度を有するために水素の貯蔵は技術的問題点を呈する。それ自体では液体形態で水素を貯蔵するために要求されるエネルギーはエネルギー源として水素使用利得を超え、水素は一般的に気体形態で1平方インチ当たり5000〜10000ポンドの加圧下に貯蔵される。この形式の蓄積設備は容積標準で効率的でなく、貯蔵容器の破損に関して心配である。
【0003】
最有望な水素貯蔵方法の1つはアラネートまたはホウ化水素のような錯金属水素化物内で固体状態の水素貯蔵である。実際にこれらの物質は液体水素を少なくとも1.5倍越える水素密度を有する。例えば、アルミノボランは132 kg/m3の水素容積密度を有する。それ故に最近の研究努力はアルカリ、アルカリ土類、及び遷移金属基剤アラネートまたはホウ化水素のような錯金属水素化物の熱的水素貯蔵性を増進することに重点を合わせられた。しかしながら、これらの物質を媒介物で貯蔵する安全性はほとんど注意されなかった。例えば、どちらもすぐれた水素貯蔵性能をもつ共有結合テトラアラネートまたはテトラヒドロボレートのような不安定錯金属水素化物の防護は報告されなかった。これらの物質は感気ならびに感湿性であることを知られ、一般的に適切調節されるグローブボックス環境内で取扱を必要とする。ナトリウムアラネートNaAlH4及びホウ化水素リチウムのような錯金属水素化物を多孔壁シリカ系中空ガラスに注封することによる保護は以前に報告された。注封は100からほとんど何千オングストロームしかない寸法で変動するシリカガラス球体の壁内の気孔を通じて拡散する物質溶液により実施された。例解されないが、防壁は注封に続いて球外層を被覆することにより密封されるといわれていた。大抵の水素化物の溶媒への限定溶解度、及び壁細孔を密封する必要は多孔シリカ壁を通じた拡散による防御を入り組んで効率的でない工程にする。これによって、多孔壁形成、溶媒利用、及び注封後壁被覆の必要が排除されるほどに反応性金属水素化物を保護し、かくして効率のよいしかも単純封入法を達成する代替方法は好ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
金属水素化物を中空ガラス球体内に封入する方法が提供される。方法は中空ガラス球体を用意することを含み、中空ガラス球体は内部容積を囲む殻を有する。中空ガラス球体は封室内部に配置され、室は大気圧より低い圧力がその中に存在するほどに排気される。排気封室内で空孔ガラス領域は殻が分子をそれによって拡散する余地があるほど外界要素に暴露される。いくらかの実例では外界要素は熱、赤外線及びそれらの組合せである。その後に金属水素化物は気化物質の形態で用意され、中空ガラス領域の排気封室は金属水素化物蒸気に向けられ、水素化金属分子は殻を通じて内部容積に拡散する。その後に外界要素は殻を通じた分子拡散が大体禁じられ、中空ガラス球体内の金属水素化物が凝縮状態になるように中空ガラス球体から取り除かれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の実施形態を示す略線図である。
【0006】
【図2】本発明の実施形態を示す概略流れ図である。
【0007】
【図3】金属水素化物蒸気を注入前の中空ガラス球体を説明する図である。
【0008】
【図4】金属水素化物蒸気を注入後の中空ガラス球体を説明する図である。ならびに
【0009】
【図5】金属水素化物が凝縮状態にある中空ガラス球体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は金属水素化物を中空ガラス球体内に封入する方法を開示する。それ故にこの方法は水素収容物質の安全並びに効率性貯蔵法として便利性を有する。
【0011】
工程は中空ガラス球体を用意することを含み、中空ガラス球体は内部容積を囲む殻および金属酸化物をドープされた壁を有する。中空ガラス球体は減圧室のような封室に配置され、封室を負圧がその内部に存在するまで排気される。中空ガラス球体は封室内で外殻がそれを通じた分子拡散に余裕があるほど外界要素にさらされる。封室に加えて負圧をうけて中空ガラス球体内の気体分子は内部容積の中から周囲封室に放散しようとするものであることを認められる。このように負圧は中空ガラス球体内に準備される。
【0012】
工程は金属水素化物を蒸気の形態で供給し、それにまた排気された封室を金属水素化物蒸気に触れさせることを含む。金属水素化物は室温で蒸気状態でありうるかまたは室温で高蒸気圧の揮発性液体でありうる。封室の金属水素化物蒸気は中空ガラス球体の外殻を通じて内部容積の中へ拡散する。金属水素化物蒸気は中空ガラス球体の内部容積の中に拡散した後に外殻を通じた分子拡散が大体禁じられ、金属水素化物蒸気が凝縮状態に縮合するほど外界要素は中空ガラス球体から取り除かれる。
【0013】
さて図1を参照して本発明の実施形態は参照数字5で概括的に示される。実施形態5は中空ガラス球体100を用意し、封入粒子150が供給され、ただし、粒子150は凝縮金属水素化物112をその中に有する中空ガラス球体100を包含するほどに球体100に加工処理することを含む。
【0014】
本発明の別実施形態を例解する概略流れ図は参照数字10で図2に概括的に示される。この実施形態は段階20で封室を供給することを含む。封入室は真空を引かれることができ、一般的には減圧室として知られる任意区画であってよい。中空ガラス球体は段階30で封室内に配置される。複数の中空ガラス球体は減圧室内に配置されることができることは認識され、中空ガラス球体は熱及び/又は赤外線のような外界電熱線が適用されるときにそれによる分子拡散に適当である任意のガラスから製造される。ある場合に中空ガラス球体はシリカ系ガラスから製造されることができる。他の場合に中空ガラス球体は金属ドープされたシリカ主成分型のガラスから製造されることになる。
【0015】
中空ガラス球体が封室内に配置された後に室は段階40で負圧がそれの内部に存在するほど排気される。負圧は10-3〜10-7 torrの真空であることができる。封室は排気された後にまたは代替で封室が排気されている間に外界要素は段階50で中空ガラス球体に適用される。図2に示されるように外界要素は中空ガラス球体について熱及び/又は赤外線の作用を含むことができる。ある場合に中空ガラス球体の加熱は0℃と600℃の中間である球体温度を結果として生ずる。中空ガラス球体の外界電熱線暴露は中空ガラス球体の外殻を通じた分子拡散を与えることが認められる。加えて段階40で封室を排気することにより、差圧は中空ガラス球体の内部容積と中空ガラス球体を囲む封室の間に規定されるものであることが認められる。それ故に外界要素が段階50で供給され、それによって外殻を通じた拡散を増進するときに、差圧は中空ガラス球体の内部容積中ガス分子が外殻を通じて出て球体周囲の封室に拡散するものである駆動力を提供する。このように負圧は中空ガラス球体内に存在する。
【0016】
段階60で金属水素化物は蒸気の形態で供給される。ある場合に金属水素化物蒸気は凝縮状態にある金属水素化物を熱することにより供給されることができる。金属水素化物蒸気は排気された封室に入ることを許容され、そのために内部に圧力増加を生ずる。排気室内の圧力増加に加えて、金属水素化物蒸気の圧力は中空ガラス球体外側で中空ガラス球体内側の圧力より大である差圧が規定され、従って中空ガラス球体の外殻を通じて内部容積へ蒸気拡散を生ずる。
【0017】
相当の予定時間で外界要素は段階70で中空ガラス球体から取り除かれる。図2に示されるようにこれは中空ガラス球体の冷却及び/又は赤外線分離の形態をとることができる。中空ガラス球体の外界要素分離は凝縮状態に縮合する金属水素化物蒸気を球体内で与える。
【0018】
さて図3〜図5を見て例証実例は封入金属水素化物の形成に提供される。図3で始まり、中空ガラス球体100は外殻102と内部容積104を有することができる。中空ガラス球体100は封室内に配置されて室は排気された後に金属水素化物蒸気110が供給される。図3は封室に外側は放散した内部容積104内にあったガス分子の拡散により室内が排気された後、しかし金属水素化物蒸気110が内部容積104に拡散するよりも前に中空ガラス球体を示す。
【0019】
金属水素化物蒸気110が封室に供給される後に中空ガラス球体100外部と内部容積104の間に存在する差動圧力は図4に例解されるように外殻102を通じて内部容積104へ金属水素化物分子の拡散を生ずる。外殻102外面の金属水素化物分子は異核種に解離し、別れて外殻102を通じて拡散して再結合し、水素ガス圧を加えることにより金属水素化物蒸気を外殻102内面に形成することが可能であることが認められる。多少の予定時間で中空ガラス球体100の外殻102を通じた分子拡張拡散を与える外界要素は分離され、金属水素化物蒸気110は図5に示されるように凝縮状態112に縮合する。このように内部に凝縮金属水素化物112を有する中空ガラス球体100が準備される。かなりの例で中空ガラス球体100は1ミクロンと1ミリメートルの間の平均中央径を有する。ほかの例で中空ガラス球体100は5〜500μの平均中央径を有する。まださらにほかの例で中空ガラス球体100は10〜100μの平均中央径を有する。外殻102はある厚さを有することが認められる。厚みは0.1〜5μであることができ、かなりの例で0.1〜1μである。
【0020】
外界要素が中空ガラス球体100から分離された後に凝縮錯金属水素化物112は中空ガラス球体100内の内部容積104の最大50%まで占有し、他の例では凝縮金属水素化物112は中空ガラス球体100の内部容積104の大体全部を占有する。
【0021】
中空ガラス球体100に供給可能である熱は抵抗加熱、輻射加熱、及び誘導加熱等により与えられることができる。加えて赤外線はそう望まれるときに電圧印加され、外界要素が中空ガラス球体から取り除かれることになるときに電源を絶たれる赤外線供給源により供給されることができる。
【0022】
上述の図面、議論および記述は本発明の特定実施形態の実例となるが、実施上の限定になるものではない。多数のものからなるこの発明の改良法及び変法は難なくここに提示される教授を見込んで当該分野の熟練者にはっきりとわかるものである。すべての均等物を含む以下の特許請求の範囲であり、発明の範囲を規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ガラス球体内に金属水素化物を封入する方法であって、
内部容積を包囲する殻を有する中空ガラス球体を用意し;
該中空ガラス球体を封室に入れ;
該封室を負圧が該封室内に存在するほど排気し;
該封室内の該中空ガラス球体を外界要素に該殻がそれを通じた分子拡散を許されるほど暴露し;
金属水素化物を蒸気の形態で用意し;
該減圧排気された封室を金属水素化物蒸気に触れさせ;
該中空ガラス球体の該殻を通じた金属水素化物分子の拡散が大体禁じられ、該中空ガラス球体内で任意金属水素化物が凝縮状態になるように該外界要素を該中空ガラス球体から取り除くことを含む、方法。
【請求項2】
該中空ガラス球体は金属ドープされたシリカ系ガラスからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該中空ガラス球体は1ミクロン〜1ミリメートルの平均中央径を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該中空ガラス球体は5〜500μの平均中央径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該中空ガラス球体は10μ〜100μの平均中央径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該殻は0.1〜5μの厚みを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
該殻は0.1〜1μの厚みを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該封室内の負圧は10-3〜10-7 torrの減圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該外界要素は熱、赤外光量子及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該中空ガラス球体は50〜600℃の温度に暴露される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該中空ガラス球体は300〜600℃の温度に暴露される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該中空ガラス球体は金属水素化物蒸気に予定時間量暴露される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該凝縮金属水素化物は該中空ガラス領域内の内部容積の10%まで占める、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該凝縮金属水素化物は該中空ガラス領域内の内部容積の大体全部を占める、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
金属水素化物の蒸気は凝縮金属水素化物を熱することにより用意される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
中空ガラス球体内に金属水素化物を封入する方法であって、
複数の中空ガラス球体を用意し、該中空ガラス球体は各自内部容積を包囲する殻を有し;
金属水素化物を凝縮状態で用意し;
該中空ガラス球体を減圧室に配置し;
該減圧室を10-3〜10-7 torrの減圧にし;
該減圧室内の該中空ガラス球体を50〜600℃の温度に加熱し;
電圧印加される赤外線源で該中空ガラス球体を照射し;
該凝縮金属水素化物を金属水素化物蒸気形態に熱し;
該中空ガラス球体を金属水素化物蒸気に予定時間量を暴露し;
金属水素化物蒸気に暴露された該中空ガラス球体を該金属水素化物の凝縮温度未満の温度に冷却し;および
該赤外線源の電源を絶つことを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−256196(P2009−256196A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−68583(P2009−68583)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【Fターム(参考)】