説明

反応性非天然アミノ酸遺伝コード付加

本発明は真核細胞で遺伝的にコードされるアミノ酸の数を拡大する翻訳成分を作製するための組成物と方法を提供する。前記成分としては、直交tRNA、直交アミノアシルtRNAシンテターゼ、tRNA/シンテターゼ対及び非天然アミノ酸が挙げられる。蛋白質と、非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を真核細胞で生産する方法も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛋白質を含有する組成物であって、前記蛋白質が少なくとも1種の非天然アミノ酸と、少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、前記少なくとも1種の翻訳後修飾が第1の反応基を含む前記少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子の結合を含む前記組成物。
【請求項2】
前記分子が色素、ポリマー、ポリエチレングリコール誘導体、光架橋剤、細胞傷害性化合物、アフィニティーラベル、ビオチン誘導体、樹脂、第2の蛋白質もしくはポリペプチド、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、又はポリヌクレオチドである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1の反応基がアルキニル又はアジド部分であり、第2の反応基がアジド又はアルキニル部分である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
第1の反応基がアルキニル部分であり、第2の反応基がアジド部分である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
非天然アミノ酸がp−プロパルギルオキシフェニルアラニンを含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
第1の反応基がアジド部分であり、第2の反応基がアルキニル部分である請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
非天然アミノ酸がp−アジド−L−フェニルアラニンを含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の翻訳後修飾が真核細胞においてin vivoで行われる請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
化学構造:
【化1】


をもつ非天然アミノ酸を含む組成物。
【請求項10】
更に直交tRNAを含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
非天然アミノ酸が直交tRNAと共有結合している請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
非天然アミノ酸がアミノアシル結合を介して直交tRNAと共有結合している請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
非天然アミノ酸が直交tRNAの末端リボース糖の3’OH又は2’OHと共有結合している請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
請求項9に記載の非天然アミノ酸を含む蛋白質。
【請求項15】
請求項9に記載の非天然アミノ酸を含む細胞。
【請求項16】
構造:
【化2】


をもつアジド色素を含む組成物。
【請求項17】
構造:
【化3】


をもつアジド色素を含む組成物。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のアジド色素を含む蛋白質。
【請求項19】
更に少なくとも1種の非天然アミノ酸を含み、アジド色素が[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している請求項18に記載の蛋白質。
【請求項20】
非天然アミノ酸がアルキニルアミノ酸を含む請求項19に記載の蛋白質。
【請求項21】
構造:
【化4】


(式中、nは100〜2,000の整数である)をもつアルキニルポリエチレングリコールを含む組成物。
【請求項22】
アルキニルポリエチレングリコールが約5,000〜約100,000Daの分子量をもつ請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項21に記載のアルキニルポリエチレングリコールを含む蛋白質。
【請求項24】
更に少なくとも1種の非天然アミノ酸を含み、アルキニルポリエチレングリコールが[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している請求項23に記載の蛋白質。
【請求項25】
非天然アミノ酸がアジドアミノ酸を含む請求項24に記載の蛋白質。
【請求項26】
p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物の合成方法であって、
N−tert−ブトキシカルボニルチロシンとKCOを無水DMFに懸濁する段階と;
臭化プロパルギルを(a)の反応混合物に加え、ヒドロキシル基とカルボキシル基をアルキル化することにより、構造:
【化5】


をもつ保護中間体化合物を得る段階と;
保護中間体化合物をMeOH中で無水HClと混合し、アミン部分を脱保護することにより、p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を合成する段階を含む前記方法。
【請求項27】
p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニンHClをNaOHとMeOHの水溶液に溶かし、室温で撹拌する段階と;
pHをpH7に調整する段階と;
p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を沈殿させる段階を更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アジド色素の合成方法であって、
ハロゲン化スルホニル部分を含む色素化合物を提供する段階と;
3−アジドプロピルアミンとトリエチルアミンの存在下に色素化合物を室温まで昇温させる段階と;
3−アジドプロピルアミンのアミン部分を色素化合物のハロゲン化物位置にカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む前記方法。
【請求項29】
色素化合物がダンシルクロリドを含み、アジド色素が請求項16に記載の組成物を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
反応混合物からアジド色素を精製する段階を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
アジド色素の合成方法であって、
アミン含有色素化合物を提供する段階と;
アミン含有色素化合物を適切な溶媒中でカルボジイミド及び4−(3−アジドプロピルカルバモイル)−酪酸と混合し、酸のカルボニル基を色素化合物のアミン部分とカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む前記方法。
【請求項32】
カルボジイミンが1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
アミン含有色素がフルオレセインアミンを含み、適切な溶媒がピリジンを含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アミン含有色素がフルオレセインアミンを含み、アジド色素が請求項17に記載の組成物を含む請求項31に記載の方法。
【請求項35】
アジド色素を沈殿させる段階と;
沈殿をHClで洗浄する段階と;
洗浄した沈殿をEtOAcに溶かす段階と;
アジド色素をヘキサン中で沈殿させる段階を更に含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
プロパルギルアミドポリエチレングリコールの合成方法であって、プロパルギルアミンを有機溶媒中で室温にてポリエチレングリコール(PEG)−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させ、請求項21に記載のプロパルギルアミドポリエチレングリコールを得る段階を含む前記方法。
【請求項37】
有機溶媒がCHClを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
酢酸エチルを使用してプロパルギルアミドポリエチレングリコールを沈殿させる段階を更に含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
プロパルギルアミドポリエチレングリコールをメタノール中で再結晶させる段階と;生成物を減圧乾燥する段階を更に含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含む真核細胞であって、前記O−RSが直交tRNA(O−tRNA)を真核細胞において少なくとも1種の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し;
(a)O−RS又はその一部が配列番号20−25のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列、その相補的ポリヌクレオチド配列、又はその保存変異体によりコードされるか;
(b)O−RSが配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列、又はその保存変異体を含むか;
(c)O−RSが天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸を含むか;あるいは
(d)O−RSが配列番号45に記載のアミノ酸配列をもつO−RSの少なくとも50%の効率でO−tRNAを少なくとも1種の非天然アミノ酸でアミノアシル化する前記細胞。
【請求項41】
更に直交tRNA(O−tRNA)を含み、前記O−tRNAがセレクターコドンを認識し、O−RSにより少なくとも1種の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化され、前記O−tRNAが配列番号65に対応する核酸の細胞内プロセシングにより細胞内で生産され、前記O−RSが配列番号48−63、及びその保存変異体から構成される群から選択されるポリペプチド配列を含む請求項40に記載の細胞。
【請求項42】
(a)配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号20−35のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)(a)、又は(b)のポリペプチドに特異的な抗体に対して特異的免疫反応性のポリペプチド;
(d)天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸を含むポリペプチド;
(e)配列番号36−48、又は86の少なくとも20個の連続アミノ酸を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸置換を含むポリペプチド;並びに
(f)(a)、(b)、(c)、(d)、又は(e)の保存変異体を含むアミノ酸配列から構成される群から選択されるポリペプチド。
【請求項43】
請求項42に記載のポリペプチドと賦形剤を含有する組成物。
【請求項44】
請求項42に記載のポリペプチドに対して特異的免疫反応性の抗体又は抗血清。
【請求項45】
請求項42に記載のポリペプチドと賦形剤を含有する組成物。
【請求項46】
請求項42に記載のポリペプチドに対して特異的免疫反応性の抗体又は抗血清。
【請求項47】
(a)配列番号20−35のいずれか1種に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチド配列に相補的であるか又は前記配列をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列又はその保存変異体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)請求項42に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)高ストリンジェント条件下で核酸の実質的に全長にわたって(a)、(b)、(c)、又は(d)のポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸;
(f)天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上の突然変異を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、又は(f)のポリヌクレオチドと少なくとも98%一致するポリヌクレオチド;並びに
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、又は(g)の保存変異体を含むポリヌクレオチドから構成される群から選択されるポリヌクレオチド。
【請求項48】
請求項47に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項49】
ベクターがプラスミド、コスミド、ファージ、又はウイルスを含む請求項48に記載のベクター。
【請求項50】
ベクターが発現ベクターである請求項48に記載のベクター。
【請求項51】
請求項48に記載のベクターを含む細胞。
【請求項52】
少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む少なくとも1種の蛋白質を真核細胞で生産する方法であって、
少なくとも1個のセレクターコドンを含み且つ前記蛋白質をコードする核酸を含む真核細胞を適当な培地で増殖させる段階を含み;前記培地が非天然アミノ酸を含み、前記真核細胞が、
前記細胞で機能し、前記セレクターコドンを認識する直交tRNA(O−tRNA)と;
前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、前記O−RSが配列番号48−53に対応するアミノ酸配列を含む前記方法。
【請求項53】
少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む少なくとも1種の蛋白質を真核細胞で生産する方法であって、
少なくとも1個のセレクターコドンを含み且つ前記蛋白質をコードする核酸を含む真核細胞を適当な培地で増殖させる段階を含み;前記培地が非天然アミノ酸を含み、前記真核細胞が、前記細胞で機能し、前記セレクターコドンを認識する直交tRNA(O−tRNA)と、前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、更に、
第1の反応基を含む前記非天然アミノ酸を前記真核細胞において前記蛋白質に組込む段階と;
第2の反応基を含む分子と前記蛋白質を接触させる段階を含み、第1の反応基が第2の反応基と反応し、[3+2]シクロ付加により前記分子を前記非天然アミノ酸と結合する前記方法。
【請求項54】
前記分子が色素、ポリマー、ポリエチレングリコール誘導体、光架橋剤、細胞傷害性化合物、アフィニティーラベル、ビオチン誘導体、樹脂、第2の蛋白質もしくはポリペプチド、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、又はポリヌクレオチドである請求項53に記載の方法。
【請求項55】
第1の反応基がアルキニル又はアジド部分であり、第2の反応基がアジド又はアルキニル部分である請求項53に記載の方法。
【請求項56】
第1の反応基がアルキニル部分であり、第2の反応基がアジド部分である請求項55に記載の方法。
【請求項57】
非天然アミノ酸がp−プロパルギルオキシフェニルアラニンを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
第1の反応基がアジド部分であり、第2の反応基がアルキニル部分である請求項55に記載の方法。
【請求項59】
非天然アミノ酸がp−アジド−L−フェニルアラニンを含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
請求項53に記載の方法により生産された蛋白質。
【請求項61】
蛋白質が少なくとも1種のin vivo翻訳後修飾により修飾されており、前記翻訳後修飾がN−グリコシル化、O−グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、及び糖脂質結合修飾から構成される群から選択される請求項60に記載の蛋白質。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【公表番号】特表2007−536899(P2007−536899A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517088(P2006−517088)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011833
【国際公開番号】WO2005/003294
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】