説明

反応装置及び反応生成物の製造方法

【課題】液相での気体発生を伴う一段階の化学反応によって、目的とする反応生成物を生成するにあたり、溶液中へ原料を、気泡の層に阻害されることなく供給することができ、反応生成物を効率良く製造することができる反応装置を提供する。
【解決手段】第一原料5と第二原料とを混合液4中で化学反応させて反応生成物を得るために用いられる。この反応装置は、反応容器1、筒状体2及び液体吐出手段3を具備する。反応容器1は、前記混合液4が貯留され、又は連続的に供給され、この反応容器1内で前記化学反応が起こる。筒状体2の下端の開口2aは、前記反応容器1内の混合液4の液面よりも下方に配置され、この筒状体2の内部を通じて、前記第一原料5が、前記反応容器1へ供給される。液体吐出手段3は、前記筒状体2の内部を通じて、液体を前記反応容器1の内部へ吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置及びこの反応装置を用いて製造される反応生成物に関する。前記反応装置は、二種以上の化学物質を含む液相中で、気体の発生を伴う化学反応を生じさせ、目的とする反応生成物を生成する。
【背景技術】
【0002】
従来、フッ化カルシウムを化学的に製造する場合、通常は多段階の工程を経て製造されている。例えば、まず炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムを生成する。次に、前記酸化カルシウムを水と化学反応させて水酸化カルシウムを得る。前記水酸化カルシウムをフッ酸水溶液と混合し、液相中で水酸化カルシウムとフッ酸との化学反応を生じさせて、フッ化カルシウムを含む溶液を得る。そして、前記溶液からフッ化カルシウムを分離するものである。
【0003】
このようにして得られたフッ化カルシウムは例えば鉄鋼用融剤、ガラス及びホウロウの原料、光学用レンズ、レーザ用レンズ材料、光ファーバー関連材料等に用いることができる。
【0004】
上記のように、従来はフッ化カルシウムの製造のために煩雑な工程を経る必要があり、多大な手間と、エネルギーとが必要であった。
【0005】
一方、フッ化カルシウムを一段階の化学反応により生成する手法として、炭酸カルシウムとフッ酸とを反応させる方法も、知られている(特許文献1参照)。この場合、多数の工程を経ることがないため、製造工程の簡略化とエネルギーの削減が期待できる。また、工程数が少ないため、製造工程において不純物が混入する機会が減少し、高純度のフッ化カルシウムを得ることも期待できる。
【0006】
炭酸カルシウムとフッ酸とを化学反応させるための工業的なプロセスとしては、フッ酸水溶液が貯留されている反応容器中へ、炭化カルシウムを供給し、前記反応容器中で化学反応を生じさせることが考えられる。この場合、次の化学反応式に示される化学反応が生じ、フッ化カルシウムが生成される。
【0007】
2HF+CaCO3→CaF2+H2O+CO2
しかし、上記化学反応式に示されるように、炭酸カルシウムとフッ酸との化学反応は、二酸化炭素の発生を伴う。このような反応が液相中で生じると、二酸化炭素の気泡が多量に発生するという問題が生じる。そうすると、反応容器内の溶液の液面上に気泡の層が発生してしまう。この場合、炭酸カルシウムを反応容器へ供給すると、前記気泡の層に炭酸カルシウムが引っ掛かって捕捉されてしまい、炭酸カルシウムを前記溶液と混合することが困難となる。このような事態は、フッ化カルシウムの製造効率の低下の原因となってしまう。
【0008】
また、上記のように気泡の層が発生すると、反応容器から気泡の層が溢れ出すおそれもある。このような事態を回避するためには、反応容器を大型化する必要があり、反応装置全体の大型化を引き起こしてしまう。
【0009】
このような問題は、フッ化カルシウムを製造する場合に限らず、二種以上の化学物質を含む液相中で、気体の発生を伴う化学反応を生じさせて、目的とする反応生成物を生成する場合に、共通して生じる問題である。
【特許文献1】特開平8−259227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたものであり、液相での気体発生を伴う一段階の化学反応によって、目的とする反応生成物を生成するにあたり、溶液中へ原料を、気泡の層に阻害されることなく供給することができ、目的とする反応生成物を効率良く製造することができる反応装置、及びこの反応装置を用いた反応生成物の製造方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る反応装置は、少なくとも一種の化学物質を含む第一原料5と、少なくとも一種の化学物質を含む第二原料とを含む混合液4中で、気体の発生を伴う化学反応を起こさせて、前記混合液4中に目的とする反応生成物を生成するために用いられる反応装置である。この反応装置は、下記の構成を具備することを特徴とする。
【0012】
反応容器1。この反応容器1は、前記混合液4が貯留され、又は連続的に供給され、この反応容器1内で前記化学反応が起こる。
【0013】
筒状体2。この筒状体2の下端の開口2aは、前記反応容器1内の混合液4の液面よりも下方に配置され、この筒状体2の内部を通じて、前記第一原料5が、前記反応容器1へ供給される。
【0014】
液体吐出手段3。この液体吐出手段3は、前記筒状体2の内部を通じて、液体を前記反応容器1の内部へ吐出する。
【0015】
本発明は、上記構成を具備するため、反応容器1内で、第一原料5と、第二原料の溶液6とを混合することで、化学反応を生じさせ、目的とする反応生成物を生成することができる。このとき、反応容器1内の混合液4の液面上には、前記化学反応に伴って発生する気体によって、気泡の層が発生する。しかし、第一原料5は筒状体2の内部を通じて反応容器1に供給されるため、前記気泡の層は、主として筒状体2の内側で発生する。前記気泡は、液体吐出手段3にて吐出される液体によって破泡し、前記気泡の層の厚みが低減する。このため、筒状体2の内側で第一原料5を混合液4中へ供給する際、気泡の層に阻害されることがなくなる。
【0016】
また、上記反応装置において、液体吐出手段3が、反応容器1内の混合液4の一部を取り出して、この混合液4を前記反応容器1の内部へ吐出する機能を有することが好ましい。この場合、液体吐出手段3によって吐出される液体によって、反応容器1内の混合液の組成が変化することがなく、前記液体が混合液4中での化学反応を阻害することがない。また、前記液体を反応容器1の内部へ吐出しても、混合液4の量は増大せず、このため、反応容器1を大型化する必要がない。
【0017】
また、上記反応装置において、液体吐出手段3が、第二原料の溶液6を反応容器1の内部へ吐出する機能を有し、且つ、反応容器1は、この反応容器1に貯留されている混合液4の量が一定量を超えた場合に、前記混合液4を反応容器1の外部に導出して、反応容器1内に貯留されている混合液4の量を前記一定量に維持する機能を有することが好ましい。この場合、反応容器1に第二原料の溶液6を供給する際、この溶液6を、液体吐出手段3によって吐出される液体として利用することができる。また、第二原料の溶液6を反応容器1に連続的に供給すると共に、反応容器1内の混合液4を連続的に外部へ導出して、反応容器1内で前記化学反応を連続的に起こさせることができる。このため前記化学反応による反応生成物の生成を高効率で行うことができ、且つ、反応装置全体の小型化を図ることができる。
【0018】
また、上記反応装置が、前記筒状体2の内部の気圧を大気圧未満まで減圧する減圧手段7を具備することも好ましい。この場合、この筒状体2の内側における気泡の層の厚みを更に低減することができ、第一原料5の供給効率が更に高くなる。
【0019】
上記減圧手段7は、筒状体2の内部の気体を吸引して捕集し、この気体を浄化し、浄化後の前記気体を外部に放出する機能を有することも好ましい。この場合、筒状体2の内部の気体に環境汚染物質等が混入していても、この気体を浄化した後に外部に放出することができる。
【0020】
また、上記反応装置において、第一原料5が炭酸塩であり、第二原料が酸であることも好ましい。この場合、炭酸塩と酸とを反応させて、二酸化炭素の発生を伴う化学反応を起こし、反応生成物として塩を生成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、反応容器へ第一原料を供給する際に、気泡の層によって阻害されることがないため、第一原料の供給を効率良く行うことができる。また、反応容器を気泡の層の発生を加味して大型化する必要がなく、反応装置の小型化を図ることができる。また、一段階の化学反応により目的とする反応生成物を得ることができ、不純物の混入が少ない高純度の反応生成物を得ることができる。また、前記化学反応が気体発生を伴うため、得られる反応生成物は多孔質状に形成され、且つこの反応生成物中に溶媒が取り込まれ難くなる。このため、反応性生成物を濾過等の適宜の固液分離手段により容易に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0023】
(第一の実施形態)
まず、本実施形態において生じる化学反応について説明する。
【0024】
本実施形態では、第一原料5と第二原料とが、混合液4中で、気体の発生を伴う化学反応を起こし、目的とする反応生成物が混合液4中で生成される。以下、前記気体を副生成気体という。前記第一原料5は、一種類の化学物質、又は複数種類の化学物質の混合物である。また前記第二原料も、一種類の化学物質、又は複数種類の化学物質の混合物である。
【0025】
前記第一原料5としては、炭酸塩又は重炭酸塩を例示することができる。ここで、一価の金属Mの炭酸塩又は重炭酸塩は、一般式M2CO3、MHCO3、M2CO3・nMOHで表される。具体的には、第一原料5として、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)等や、これらの複合塩が挙げられる。
【0026】
前記第二原料としては、酸を例示することができる。具体的には、第二原料としてフッ酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)等が挙げられる。
【0027】
このような炭酸塩と酸とが化学反応を起こすと、二酸化炭素の発生を伴って、塩が生成される。
【0028】
例えば、第一原料5が炭酸カルシウムであり、第二原料がフッ酸である場合には、下記の化学反応式に示される化学反応により、二酸化炭素とフッ化カルシウムとが生成する。
【0029】
2HF+CaCO3→CaF2+H2O+CO2
また、第一原料5が炭酸カルシウムであり、第二原料が塩酸である場合には、下記の化学反応式に示される化学反応により、二酸化炭素と塩化カルシウムとが生成する。
【0030】
2HCl+CaCO3→CaCl2+H2O+CO2
また、第一原料5が炭酸カルシウムであり、第二原料が硝酸である場合には、下記の化学反応式に示される化学反応により、二酸化炭素と硝酸カルシウムとが生成する。
【0031】
2HNO3+CaCO3→Ca(NO32+H2O+CO2
また、第一原料5が炭酸ナトリウムであり、第二原料がフッ酸である場合には、下記化学反応式に示される化学反応により、二酸化炭素とフッ化ナトリウムとが生成する。
【0032】
2HF+Na2CO3→2NaF+H2O+CO2
また、第一原料5が炭酸マグネシウム、第二原料がフッ酸である場合には、下記化学反応式に示される化学反応により、二酸化炭素とフッ化マグネシウムとが生成する。
【0033】
2HF+MgCO3→MgF2+H2O+CO2
上記化学反応により得られる反応生成物である塩は種々の用途に使用することができる。例えばフッ化カルシウムについては鉄鋼用融剤、ガラス及びホウロウの原料、光学用レンズ、レーザ用レンズ材料、光ファーバー関連材料等に用いることができる。塩化カルシウムについては乾燥剤、溶剤脱水剤、製氷用かん水、苦汁の代用、防塵剤、融雪剤、氷結防止剤、サイズ剤、金属カルシウム原料等に用いることができる。硝酸ナトリウムについては肥料、染色加工剤、脱錆剤等に用いることができる。フッ化ナトリウムについては鉄鋼、アルミニウム等のフラックス剤、木材防腐剤、殺菌剤、殺そ剤、リムド綱の脱ガス剤、水道水のフッ素化剤、ホウロウの乳濁剤、家畜類の駆虫剤、カゼイン接着剤、虫歯予防剤等に用いることができる。フッ化マグネシウムについてはレンズ用材料、光学用レンズ、干渉フィルター等の光学材料のコーティング剤(反射損失の削減)、マグネシウム合金の表面処理剤、アルミニウムの表面コート、170nm以下の紫外線吸収材料等に用いることができる。
【0034】
第一原料5と第二原料との組み合わせは、液相中で気体発生を伴う化学反応により目的とする反応生成物が生成するものであれば、上記の組み合わせに限られない。例えば第一原料5として適宜の粉体を用いると共に第二原料として適宜の界面活性剤を用いて、粉体表面と界面活性剤との間で表面化学反応を生じさせることにより粉体の表面処理を行うことができる。
【0035】
次に、本実施形態における反応装置の構造を、図1を示して説明する。
【0036】
この反応装置は、反応容器1、筒状体2(脱泡・分離管)、及び液体吐出手段3を具備する。また、前記反応装置は、第一原料供給機構8、第二原料供給機構9、減圧手段7、及び熟成反応容器27も具備する。
【0037】
前記反応容器1について説明する。この反応容器1は第一原料5と、第二原料(本実施形態では第二原料の溶液6)とが供給される容器である。この反応容器1内で、前記第一原料5と第二原料の溶液6とが混合されて、混合液4が調製される。この混合液4中で前記第一原料5と第二原料とが、副生成気体の発生を伴う化学反応を起こし、目的とする反応生成物が生成する。
【0038】
この反応容器1の材質は、前記混合液4中に含まれる化学物質に対する耐食性能を有する材質から、適宜選択される。
【0039】
この反応容器1は、攪拌機10を備える。この攪拌機10は、反応容器1に貯留されている混合液4を攪拌する。
【0040】
前記筒状体2について説明する。この筒状体2は、上下方向の筒状に形成されている。この筒状体2の下端面には、反応容器1の内部に連通する開口2aが設けられている。図示の例では筒状体2の上端面は開放されているが、この上端面は閉塞されていても良い。また、筒状体2の下側の部位は反応容器1の内側に配置され、筒状体2の上側の部位は反応容器1よりも上方に突出している。
【0041】
また、この筒状体2の下端の開口2aは、反応容器1内の混合液4の液面よりも、下方に配置される。すなわち、筒状体2の下端部は、反応容器1内の混合液4に浸漬される。
【0042】
この筒状体2の前記上側の部位の側面には、原料供給口11が設けられている。この原料供給口11は、筒状体2の内側と外側とを連通する。また、原料供給口11の開口部分の下端縁からは、筒状体2の外側の斜め上方に向けて、ガイド板12(シュート)が延出している。
【0043】
また、筒状体2の上側の部位には、原料供給口11よりも下方において、筒状体2から分岐する捕集管13の一端が接続している。この捕集管13の内部は、筒状体2の内部に連通している。
【0044】
前記液体吐出手段3について説明する。この液体吐出手段3は、液体循環用配管14及び吐出ノズル15を具備する。
【0045】
液体循環用配管14は、反応容器1及び筒状体2の外側に配置されている。この液体循環用配管14は、反応容器1と筒状体2とを接続する。また、液体循環用配管14の一端は、反応容器1に接続され、反応容器1の内部と連通している。また、液体循環用配管14の一端と前記反応容器1との接続位置は、前記反応容器1内の混合液4の液面よりも下方の位置である。また、液体循環用配管14の他端部は、筒状体2の前記上側の部位の側面を貫通して、前記筒状体2の内部に配置されている。また、この液体循環用配管14の他端部には、吐出ノズル15が設けられている。この吐出ノズル15の配置位置は、前記原料供給口11よりも下方であり、且つ筒状体2と捕集管13との接続位置よりも上方である。また、吐出ノズル15は、筒状体2の内部における混合液4の液面に向けて、下向きに開口している。この吐出ノズル15は、液体をシャワー状に吐出し、この液体が筒状体2の内部における混合液4の液面全体に亘って降りかかるようにすることが好ましい。
【0046】
また、液体循環用配管14には、ポンプ16及び開閉弁17が設けられている。前記ポンプ16は、前記開閉弁17が開いた状態で、反応容器1内の混合液4を、液体循環用配管14を通じて、液体循環用配管14の始端から終端に向けて流動させる。
【0047】
前記第一原料供給機構8について説明する。この第一原料供給機構8は、固体状の第一原料5を前記反応容器1の内部へ供給する。この第一原料供給機構8は、前記筒状体2及び原料供給機18によって、構成される。原料供給機18は、筒状体2の原料供給口11を通じて、第一原料5を筒状体2の内部に投入する。このため、第一原料5が筒状体2の内部を通じて反応容器1の内部に供給される。図示の例では、原料供給機18は、ホッパー19及びフィーダー20を具備する。ホッパー19には第一原料5が投入され、このホッパー19を介して第一原料5がフィーダー20に供給される。フィーダー20は、ホッパー19から供給された第一原料5を、筒状体2の原料供給口11へ供給する。フィーダー20としてはベルトフィーダーが設けられている。尚、フィーダー20としては、その他一般的な公知の粉体輸送装置を適宜適用することも可能である。このフィーダー20の終端は、ガイド板12の上方に配置されている。またフィーダー20の始端の上方に、ホッパー19が配設されている。このため、ホッパー19がフィーダー20の始端に第一原料5を供給し、この第一原料5をフィーダー20が搬送し、この第一原料5がフィーダー20の終端からガイド板12上に落下する。第一原料5はガイド板12上を滑落し、原料供給口11に到達する。
【0048】
前記第二原料供給機構9について説明する。この第二原料供給機構9は、第二原料を、反応容器1内へ供給する。
【0049】
この第二原料供給機構9は、供給用タンク21及び供給用配管22を具備する。供給用タンク21は、第二原料の溶液6を貯留する容器である。ここで、前記第二原料の溶液6は、第二原料を溶解させて得られる溶液である。
【0050】
前記供給用配管22は、反応容器1と供給用タンク21とを接続する。この供給用配管22の終端は、反応容器1に接続され、この反応容器1の内部と連通している。図示の例では、供給用配管22の終端と反応容器1との接続位置は、反応容器1内の混合液4の液面よりも上方である。但し、供給用配管22にポンプ等の移送手段を設けて、この移送手段により溶液6を供給用タンク21から反応容器1へ移送する場合には、前記供給用配管22の終端の接続位置は特に制限されない。また、供給用配管22の始端は、供給用タンク21に接続され、この供給用タンク21の内部と連通している。供給用配管22の始端と供給用タンク21との接続位置は、供給用タンク21内の第二原料の溶液6の液面よりも下方であり、図示の例では供給用タンク21の底部である。また、供給用配管22には、開閉弁23が設けられている。
【0051】
また、供給用タンク21の底面は、反応容器1内の混合液4の液面よりも上方に配置されている。このため、開閉弁23を開くと、供給用配管22を通じて、供給用タンク21から反応容器1へ、第二原料の溶液6が供給される。
【0052】
また、供給用配管22にポンプを設けても良い。この場合、開閉弁23を開くと共に、ポンプを作動させることで、供給用配管22を通じて、供給用タンク21から反応容器1へ、第二原料の溶液6を供給することができる。この場合、供給用タンク21の底面を、反応容器1内の混合液4の液面よりも上方に配置する必要はない。
【0053】
前記減圧手段7について説明する。この減圧手段7は、前記捕集管13、排気ガス処理装置24、流量調整弁25、及び気体輸送機(排風機)26を、具備する。排気ガス処理装置24、流量調整弁25、及び気体輸送機26は、前記捕集管13の途中に設置されている。
【0054】
この減圧手段7は、前記筒状体2の内部の気圧を大気圧未満に減圧する機能を有する。また、本実施形態では、減圧手段7は、筒状体2の内部の気体を捕集し、この気体を浄化した後、反応装置の外部に放出する機能も有する。
【0055】
前記捕集管13の始端は、叙述の通り筒状体2に接続され、この捕集管13の終端は外部に開放されている。
【0056】
前記排気ガス処理装置24は、捕集管13を流通する気体を浄化する機能を有する。この排気ガス処理装置24としては、例えば充填塔、段塔、スクラバー、スプレー塔、濡壁塔、気泡塔、気泡攪拌塔等を設けることができる。
【0057】
前記気体輸送機26は、捕集管13を通じて筒状体2の内部の気体を吸引し、この気体を捕集管13の終端から外部に放出するための、駆動力を提供するものであり、例えばブロア、コンプレッサ、ファン等を設けることができる。
【0058】
前記流量調整弁25は、開度を調整することにより、捕集管13を流通する気体の流量を調整する。この流量調整弁25の開度を調整することで、筒状体2の内部の気圧を調整することができる。
【0059】
この減圧手段7は、前記筒状体2の内部の気圧(P)と、大気圧(P)との差(P−P)が、3.92hPa(40mmH2O)以下となる範囲で、前記筒状体2の内部の気圧を減圧することができる。
【0060】
前記熟成反応容器27について説明する。この熟成反応容器27には、前記反応容器1から反応後の混合液4(以下、生成液34という。)が供給される。このとき、生成液34中には未反応の第一原料5と第二原料とが残存している場合がある。この生成液34中に残存する第一原料5と第二原料との化学反応が、前記熟成反応容器27内で、更に進行する。この熟成反応容器27の材質は、前記生成液34中の化学物質に対して高い耐食性能を有する材質から、適宜選択される。
【0061】
前記熟成反応容器27は、攪拌機28を備える。この攪拌機28は、熟成反応容器27に貯留されている生成液34を攪拌する。
【0062】
前記熟成反応容器27と前記反応容器1とは、生成液供給管29によって接続されている。前記生成液供給管29の始端は反応容器1に接続され、この反応容器1の内側に連通している。この生成液供給管29の始端と反応容器1との接続位置は、反応容器1の底部である。また、生成液供給管29の終端は、熟成反応容器27に接続され、この熟成反応容器27の内側に連通している。また、この生成液供給管29には、開閉弁30が設けられている。
【0063】
また、図示の例では、熟成反応容器27の配置位置は、反応容器1の配置位置よりも下方である。但し、生成液供給管29にポンプ等の移送手段を設けて、この移送手段により生成液34を反応容器1から熟成反応容器27へ圧送する場合には、前記熟成反応容器27の配置位置は特に制限されない。
【0064】
次に、本実施形態の具体的な使用形態を説明する。
【0065】
まず、前記供給用タンク21に第二原料の溶液6を貯留する。生成液供給管29の開閉弁30は閉じておく。
【0066】
この状態で、前記供給用配管22の開閉弁23を開くと、第二原料の溶液6が、供給用配管22を通じて、供給用タンク21から反応容器1へ供給される。
【0067】
反応容器1内に所定量の第二原料の溶液6が貯留されたら、前記開閉弁23を閉じて、反応容器1への第二原料の溶液6の供給を停止する。このとき、前記筒状体2の下端部の開口2aが、前記反応容器1内の第二原料の溶液6の液面よりも下方に位置する状態とする。
【0068】
次に、前記液体循環用配管14の開閉弁17を開くと共にポンプ16を作動させる。このとき、前記反応容器1内の第二原料の溶液6の一部が、前記液体循環用配管14に流入し、前記筒状体2の内側において、吐出ノズル15から吐出される。
【0069】
また、前記気体輸送機26を作動させて、筒状体2の内側の気圧を減圧する。
【0070】
また、前記反応容器1の攪拌機10を作動させて、第二原料の溶液6を攪拌する。
【0071】
この状態で、前記原料供給機18のホッパー19に粉粒体状の第一原料5を投入すると共に、フィーダー20を作動させる。これにより、第一原料5が、筒状体2の内側を通じて、前記反応容器1内に供給される。
【0072】
このように前記反応容器1内に第一原料5と第二原料とが供給されたら、反応容器1内の第一原料5と第二原料とを含む混合液4中で、第一原料5と第二原料とが化学反応を起こし、この混合液4中で、目的とする反応生成物が生成する。この化学反応に伴って生成する副生成気体は、混合液4中で気泡となり、上方に浮かび上がる。このため、混合液4の液面上には、前記副生成気体による気泡の層31が形成される。このとき、筒状体2の下端の開口2aが、混合液4の液面よりも下方に配置されている。
【0073】
ここで、前記化学反応は、混合液4中における第一原料5が供給される位置、すなわち前記筒状体2の内側において、最も激しく進行する。このため、前記気泡は、主に筒状体2の内側で発生する。
【0074】
また、上記化学反応が進行している間、前記液体循環用配管14には前記反応容器1内の混合液4が流入し、この混合液4が、前記筒状体2の内側において前記吐出ノズル15から吐出される。前記吐出ノズル15から吐出された混合液4は、筒状体2の内側で前記気泡の層31に衝突し、この気泡を破泡させる。このため、前記気泡を筒状体2の内側で集中的に発生させると共に、この気泡を効率良く破泡させることができる。
【0075】
このように前記筒状体2の内側で前記気泡を破泡させるため、前記筒状体2の内側における前記気泡の層31の厚みを薄くすることができる。このため、反応容器1内に供給される粉粒体状の第一原料5が、前記気泡の層31に引っ掛かるような事態が起こることを、防ぐことができ、第一原料5の供給効率が良くなる。
【0076】
ここで、第二原料の溶液6と第一原料5とを混合する場合、第二原料の溶液6中の第二原料の含有量が充分であれば、化学反応に伴う副生成気体の発生量は、第一原料5の物質量(モル量)の値(a)と、前記副生成気体を1モル発生させるために要する第一原料5のモル数の値(b)とを乗じた値(a×b)(以下、「基準モル量」という)に比例する。一方、前記液体吐出手段3による気泡の破泡の度合いは、前記液体吐出手段3によって吐出される液体の吐出量に依存する。このため、本実施形態の反応装置において、筒状体2の内側における気泡の層31の厚みは、反応容器1へ供給される第一原料5の、単位時間ごとの基準モル量(以下、「基準供給速度」という)と、液体吐出手段3によって吐出される液体の吐出量とに依存する。特に、前記基準供給速度を、1分間あたりに供給される第一原料5の基準モル量の値(A)で表し、前記液体の吐出量の値を、kg/min単位の値(B)で表した場合、両者の値の比(B/A)が0.4以上であれば、前記気泡の層31の厚みを充分に薄くすることができる。尚、本実施形態では、液体吐出手段3による液体の吐出量は、吐出ノズル15から吐出される混合液4の吐出量である。
【0077】
また、上記化学反応が進行している間、前記筒状体2の内部の気圧は、減圧手段7によって、大気圧未満に減圧されているため、前記筒状体2の内面に結露による液滴の付着が生じることが防止される。このため、前記筒状体2の内側を落下する粉粒体状の第一原料5が、前記筒状体2の内面に付着して原料供給の不具合が生じることを防止することができ、第一原料5の供給効率が良くなる。
【0078】
ここで、前記結露が発生する理由、及び前記結露の発生を防止することができる理由は、次の通りである。前記反応容器1中で進行する化学反応により発生する気泡中には、前記反応容器1内の混合液4の蒸気が混入する。このため、前記気泡が破泡すると、筒状体2内には前記副生成気体だけでなく、前記混合液4の蒸気も充満する。筒状体2の内部が減圧されていないと、この筒状体2の内部における混合液4の蒸気の分圧が高くなり、筒状体2の内面に結露が生じる。また、前記液体吐出手段3によって混合液4を筒状体2の内部で吐出する際に、この混合液4の飛沫が筒状体2の内面に付着することもある。
【0079】
しかし、前記のように筒状体2の内部を減圧すると、筒状体2の内部で混合液4の蒸気の分圧が高くなることが防止され、結露の発生が防止される。
【0080】
また、減圧手段7を用いて筒状体2の内部を減圧する際、この筒状体2の内部の気体は前記捕集管13を通じて反応装置の外部に放出される。このとき、前記気体に混入されている混合液4の蒸気中に、環境汚染物質が含まれている場合には、自然環境を汚染してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、筒状体2の内部の気体は気体輸送機26による駆動力によって捕集管13に流入し、排気ガス処理装置24に送られる。この気体は排気ガス処理装置24によって浄化された後、反応装置の外部に放出される。このため、筒状体2の内部の気体に環境汚染物質が含まれていても、この気体を浄化した後に外部に放出することができる。例えば第二原料としてフッ酸等の酸を用いている場合、筒状体2の内部の気体には前記フッ酸等の酸が混入されるが、このような酸が反応装置の外部に放出されることを防ぐことができる。また、反応装置に酸を含む気体が充満することを防ぐことができ、この酸を含む気体による反応装置の腐食の発生を防止することもできる。
【0081】
更に、化学反応に伴う副生成気体の発生に伴い、筒状体2の内部の気体が上昇する。この気体が筒状体2の原料供給口11から吹き出すと、原料供給口11からの第一原料5の供給が阻害されるおそれがある。しかし、本実施形態では、減圧手段7における筒状体2と捕集管13との接続位置を、筒状体2の原料供給口11よりも下方としている。このため、筒状体2の内部を上昇する気体は原料供給口11に達する前に捕集管13に流入し、第一原料5の供給が阻害されることがなくなる。
【0082】
ここで、叙述のように、前記筒状体2の内部の気圧と、大気圧との差(P−P)は、3.92hPa(40mmH2O)以下であることが好ましい。この気圧の差(P−P)が3.92hPaを超える場合、筒状体2の内部の気体中における、混合液4中の化学物質の混入量が著しく多くなる。この場合、前記気体を反応装置の外部に放出する際の、浄化処理に必要とされる負担が、過大になる。
【0083】
次に、反応容器1へ所定量の第一原料5が供給されたら、前記原料供給機18を停止することで、反応容器1への第一原料5の供給を停止する。前記所定量は、例えば反応容器1内の第二原料に対する第一原料5の化学量論量とすることができ、この所定量は原料供給機18によって制御することができる。
【0084】
次に、前記液体吐出手段3を停止し、前記生成液供給管29の開閉弁30を開く。この場合、反応容器1の内部の反応後の混合液4(生成液34)は、生成液供給管29を通じて熟成反応容器27に供給される。このとき、生成液34中には未反応の第一原料5と第二原料が残存している場合がある。その後、前記開閉弁30を閉じる。次に、前記熟成反応容器27の攪拌装置を作動させて、前記熟成反応容器27内の生成液34を攪拌する。この状態でしばらくの間放置する。これにより、生成液34中の未反応の第一原料5と第二原料との化学反応を更に進行させる。
【0085】
次に、前記生成液34から、反応生成物を分離する。この反応生成物が溶媒に不溶性又は難溶性の固体である場合には、濾過等の適宜の固液分離手段により反応生成物を分離することができる。
【0086】
ここで、上記反応装置を用い、叙述のように第一原料5と第二原料とを化学反応させて、溶媒に難溶性又は不溶性の固体状の反応生成物を生成すると、前記反応生成物は一段階の化学反応により生成されるため、不純物の混入が少なくなる。
【0087】
また、前記化学反応は副生成気体の発生を伴うため、前記反応生成物は多孔質状に形成される。このため、前記反応生成物の内部に溶媒が閉じこめられることがなく、反応生成物の純度が更に高くなる。また、この反応生成物に溶媒が付着していても、この溶媒を、遠心分離濾過や吸引濾過等の手法を用いて、反応生成物から容易に除去することができる。従って、濾過により反応生成物と溶媒とを容易に分離することができ、反応生成物を分離する際の処理効率が良くなる。
【0088】
尚、本実施形態では第二原料供給機構9を設けなくても良い。この場合、反応生成物を得る際は、反応容器1へ第二原料の溶液6を適宜の手段で直接供給して貯留することができる。それ以外は上記と同様にして反応生成物を得ることができる。
【0089】
(第二の実施形態)
本実施形態において生じる化学反応は、第一の実施形態の場合と同一である。
【0090】
本実施形態における反応装置の構造を、図2を示して説明する。本実施形態と、第一の実施形態との間の相違点は、次の通りである。
【0091】
本実施形態では、第二原料供給機構9が、液体吐出手段3としても機能する。第一の実施形態では、第二原料供給機構9の供給用タンク21と反応容器1とを、供給用配管22で直接接続している。それに対して、本実施形態では、供給用配管22は、供給用タンク21と筒状体2とを接続する。前記液体循環用配管14の終端は、前記筒状体2の上側の部位の側面を貫通し、この筒状体2の内部に配置されている。この供給用配管22の終端には、吐出ノズル32が設けられている。図示の例では、前記吐出ノズル32の配置位置は、原料供給口11よりも下方であり、且つ筒状体2と捕集管13との接続位置よりも上方である。前記吐出ノズル32は、筒状体2の内部における混合液4の液面に向けて、下向きに開口している。また、吐出ノズル32は、筒状体2の内部における混合液4の液面に向けて、下向きに開口している。この吐出ノズル32は、液体をシャワー状に吐出し、この液体が筒状体2の内部における混合液4の液面全体に亘って降りかかるようにすることが好ましい。
【0092】
また、前記供給用配管22の始端は、供給用タンク21に接続され、この供給用タンク21の内部と連通している。この供給用配管22と供給用タンク21との接続位置は、供給用タンク21内の第二原料の溶液6の液面よりも下方であり、図示の例では供給用タンク21の底部である。前記供給用配管22には、開閉弁23と、ポンプ33とが設けられている。前記開閉弁23を開くと共に、前記ポンプ33を作動させると、供給用タンク21内の第二原料の溶液6を、供給用配管22を通じて、筒状体2に供給することができる。この第二原料の溶液6は、筒状体2を通じて、反応容器1へ供給される。
【0093】
また、第一の実施形態では、前記生成液供給管29の始端と反応容器1との接続位置は、反応容器1の底部であるが、本実施形態では、前記接続位置は反応容器1の側面である。この接続位置は、筒状体2の下端の位置よりも上方の位置とする。また、この生成液供給管29には、図1に示すような開閉弁30は設けられていない。
【0094】
上記相違点を除けば、本実施形態における反応装置は、第一の実施形態の反応装置と同一の構造を有する。
【0095】
次に、本実施形態の反応装置の使用形態について説明する。
【0096】
まず、前記供給用タンク21に第二原料の溶液6を貯留する。この状態で、前記供給用配管22の開閉弁23を開くと共に、ポンプ33を作動させることで、第二原料の溶液6が、供給用配管22を通じて、供給用タンク21から反応容器1へ供給される。このとき第二原料の溶液6は、筒状体2の内側において、吐出ノズル32から吐出され、この筒状体2の内側を通じて、反応容器1内に供給される。
【0097】
また、液体循環用配管14のポンプ16を作動させる。このとき、前記反応容器1内の第二原料の溶液6の一部が、前記液体循環用配管14に流入し、前記筒状体2の内側において、吐出ノズル15から吐出される。
【0098】
また、捕集管13の気体輸送機26を作動させて、筒状体2の内側の気圧を減圧する。
【0099】
また、前記反応容器1の攪拌機10を作動させて、第二原料の溶液6を攪拌する。
【0100】
この状態で、反応容器1内に所定量の第二原料の溶液6が貯留され、前記筒状体2の下端部が、前記反応容器1内の第二原料の溶液6に浸漬された状態となったら、前記原料供給機18のホッパー19に粉粒体状の第一原料5を投入すると共に、フィーダー20を作動させる。これにより、第一原料5を、筒状体2の内側を通じて、前記反応容器1内に供給する。
【0101】
このように前記反応容器1内に第一原料5と第二原料とが供給されたら、反応容器1内の第一原料5と第二原料とを含む混合液4中で、第一原料5と第二原料とが化学反応を起こし、この混合液4中に目的とする反応生成物が生成する。この化学反応に伴って生成する副生成気体は、混合液4中で気泡となり、上方に浮かび上がる。このため、混合液4の液面上には、前記副生成気体による気泡の層31が形成される。このとき、筒状体2の下端の開口2aが、混合液4の液面よりも下方に配置されている。
【0102】
ここで、前記化学反応は、混合液4中における第一原料5が供給される位置、すなわち前記筒状体2の内側において、最も激しく進行する。このため、前記気泡は、主に筒状体2の内側で発生する。
【0103】
また、上記化学反応が進行している間、前記液体循環用配管14には前記反応容器1内の混合液4が流入し、この混合液4が液体循環用配管14の終端の吐出ノズル15から吐出される。また、前記供給用配管22には第二原料の溶液6が流入しており、この第二原料の溶液6が、供給用配管22の終端の吐出ノズル32から吐出される。すなわち、前記混合液4と第二原料の溶液6が、筒状体2の内側において各吐出ノズル15,32からそれぞれ吐出される。各吐出ノズル15,32からそれぞれ吐出された混合液4と第二原料の溶液6とは、筒状体2の内側で前記気泡の層31に衝突し、この気泡を破泡させる。このため、前記気泡を筒状体2の内側で集中的に発生させると共に、この気泡を効率良く破泡させることができる。
【0104】
このため、前記筒状体2の内側における前記気泡の層31の厚みを薄くすることができ、第一の実施形態と同様に第一原料5の供給効率が良くなる。
【0105】
ここで、第一の実施形態の場合と同様に、本実施形態の反応装置において、筒状体2の内側における気泡の層31の厚みは、反応容器1へ供給される第一原料5の基準供給速度と、液体吐出手段3によって吐出される液体の吐出量とに依存する。特に、前記基準供給速度を、1分間あたりに供給される第一原料5の基準モル量の値(A)で表し、前記液体の吐出量の値を、kg/min単位の値(B)で表した場合、両者の値の比(B/A)が0.4以上であれば、前記気泡の層31の厚みを充分に薄くすることができる。尚、本実施形態では、液体吐出手段3による液体の吐出量は、各吐出ノズル15,32から吐出される混合液4及び第二原料の溶液6の吐出量を、合算した量である。
【0106】
また、上記化学反応が進行している間、前記筒状体2の内部の気圧は、減圧手段7によって、大気圧未満に減圧されているため、前記筒状体2の内面に結露が生じることが防止される。このため、第一の実施形態と同様に第一原料5の供給効率が良くなる。
【0107】
また、減圧手段7を用いて筒状体2の内部を減圧する際、この筒状体2の内部の気体は前記捕集管13を通じて反応装置の外部に放出される。このとき第一の実施形態と同様に、筒状体2の内部の気体に環境汚染物質が含まれていても、この気体を浄化した後に外部に放出することができ、また、反応装置に酸を含む気体が充満することを防ぐことができ、この酸を含む気体による反応装置の腐食の発生を防止することもできる。また、減圧手段7における筒状体2と捕集管13との接続位置を、筒状体2の原料供給口11よりも下方とすると、筒状体2の内部を上昇する気体は原料供給口11に達する前に捕集管13に流入し、第一原料5の供給が阻害されることがなくなる。
【0108】
また、第一の実施形態と同様の理由により、前記筒状体2の内部の気圧と、大気圧との差(P−P)は、3.92hPa(40mmH2O)以下であることが好ましい。
【0109】
本実施形態では、第一原料5と第二原料の溶液6を、双方共に反応容器1へ連続的に供給している。このとき、反応容器1内の混合液4の液面位置が、この反応容器1の側面における生成液供給管29の接続位置に達したら、反応容器1内の反応後の混合液4(生成液34)はオーバーフローして、生成液供給管29に流入し、熟成反応容器27へ供給される。このとき、この生成液34中には未反応の第一原料5及び第二原料が残存している場合がある。
【0110】
熟成反応容器27では、攪拌機28を作動させて、この熟成反応容器27内の生成液34を攪拌する。これにより、生成液34中の未反応の第一原料5と第二原料との化学反応を更に進行させる。
【0111】
次いで、前記生成液34から、反応生成物を分離する。この反応生成物が溶媒に不溶性又は難溶性の固体である場合には、濾過等の適宜の固液分離手段により反応生成物を分離することができる。
【0112】
本実施形態では、第一の実施形態と同様に、第一原料5と第二原料との化学反応により生成する反応生成物は一段階の化学反応により生成されるため、不純物の混入が少なくなる。また、第一の実施形態と同様に前記化学反応は副生成気体の発生を伴うため、前記反応生成物は多孔質状に形成され、従って、濾過により反応生成物と溶媒とを容易に分離することができ、反応生成物を分離する際の処理効率が良くなる。
【0113】
また、特に本実施形態のように第二原料の溶液6を反応容器1に連続的に供給すると共に、反応容器1内の反応後の混合液4(生成液34)を熟成反応容器27へ連続的に供給すると、反応容器1内で第一原料5と第二原料とを連続的に反応させることができる。この場合、反応容器1の寸法を小さくしても高い処理効率で第一原料5と第二原料とを化学反応させ、前記化学反応を高効率で起こさせることができる。このため、反応装置全体の小型化を図ることができる。
【0114】
上記のように本発明の実施形態を挙げたが、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、本発明は、特許請求の範囲において限定した以外は、特定の実施形態に制約されるものではない。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を、実施例を挙げて更に詳述する。
【0116】
(実施例1)
図1に示す構成の反応装置を用い、第一原料5として炭酸カルシウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。炭酸カルシウムとしては、目開き44μmの篩いを通過する粉体状のものを用いた。
【0117】
まず、供給用タンク21から反応容器1内に、60℃の5%フッ酸水溶液を100kg供給した。
【0118】
この状態で攪拌機10、液体吐出手段3及び減圧手段7を作動させると共に、原料供給機18を作動させた。このときの吐出ノズル15からの液体の吐出量は、22kg/minとした。また、筒状体2の内部の気圧Pと大気圧Pとの差(P−P)が、0.49hPaとなるようにした。また、第一原料5である炭酸カルシウムの供給速度は750g/minとし、この炭酸カルシウムの供給量の総量は12.5kgとした。
【0119】
次に、炭酸カルシウムの供給を終了した後、反応容器1内の混合液4の表面の気泡が消失したら、反応後の混合液4(生成液34)を熟成反応容器27に供給し、攪拌機28を作動させた状態で20分間放置した。
【0120】
次に、前記混合液4をNo.5Cの濾紙を用いて、吸引圧力(絶対圧)0.04MPaの条件で吸引濾過し、目的物であるフッ化カルシウムを得た。
【0121】
(実施例2,3)
炭酸カルシウムの供給速度を実施例2では1500g/minに、実施例3では2250g/minに変更した。それ以外は実施例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0122】
(実施例4)
図2に示す構成の反応装置を用い、第一原料5として炭酸カルシウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。炭酸カルシウムとしては、目開き44μmの篩いを通過する粒径を有する、粉体状のものを用いた。
【0123】
まず、供給用タンク21に60℃のフッ酸水溶液が貯留されている状態で、供給用配管22の開閉弁23を開くと共に、ポンプ33を作動させて、吐出ノズル32からフッ酸水溶液を吐出した。このときのフッ酸水溶液の吐出量は、6kg/minとした。
【0124】
このように反応容器1にフッ酸水溶液を供給することで、反応容器1内のフッ酸水溶液の液面が、筒状体2の下端よりも上方に位置するようになった後、攪拌機10、液体吐出手段3及び減圧手段7を作動させると共に、原料供給機18を作動させた。また、熟成反応容器27の攪拌機28も作動させた。このときの吐出ノズル15からの液体の吐出量は、20kg/minとした。また、筒状体2の内部の気圧は、大気圧よりも0.49hPaだけ低い圧力とした。また、第一原料5である炭酸カルシウムの供給速度は750g/minとし、この炭酸カルシウムの供給量の総量は12.5kgとした。
【0125】
このとき、反応容器1にはフッ酸水溶液と炭酸カルシウムとが連続的に供給され、また、反応容器1からオーバーフローした反応後の混合液4(生成液34)は、生成液供給管29を通じて熟成反応容器27へ連続的に供給された。このとき反応容器1内の混合液4の量は14Lに維持された。
【0126】
次に、供給用タンク21から反応容器1へのフッ酸水溶液の供給量の総量が100kgに達したら、供給用配管22の開閉弁23を閉じると共に、ポンプ33を停止させて、前記フッ酸水溶液の供給を停止した。
【0127】
上記フッ酸水溶液の供給停止後、20分間経過してから、熟成反応容器27内の混合液4をNo.5Cの濾紙を用いて、吸引圧力(絶対圧)0.04MPaの条件で吸引濾過し、目的物であるフッ化カルシウムを得た。
【0128】
(実施例5,6)
炭酸カルシウムの供給速度を実施例5では1500g/minに、実施例6では2250g/minに変更した。それ以外は実施例4と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0129】
(実施例7)
図2に示す構成の反応装置を用い、第一原料5として炭酸カルシウムを、第二原料の溶液6として2.5mol/Lの塩酸水溶液を用いた。前記炭酸カルシウムとしては、目開き44μmの篩いを通過する粒径を有する、粉体状のものを用いた。それ以外は実施例4と同様にして、塩化カルシウムを得た。
【0130】
(実施例8)
図2に示す構成の反応装置を用い、第一原料5として炭酸ナトリウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。前記炭酸ナトリウムとしては200メッシュの篩いを通過する粒径を有する、粉体状のもの(200メッシュアンダーパス品)を用いた。それ以外は実施例4と同様にして、フッ化ナトリウムを得た。
【0131】
(実施例9)
図2に示す構成の反応装置を用い、第一原料5として炭酸マグネシウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。前記炭酸マグネシウムとしては200メッシュの篩いを通過する粒径を有する、粉体状のもの(200メッシュアンダーパス品)を用いた。それ以外は実施例4と同様にして、フッ化マグネシウムを得た。
【0132】
(実施例10〜19)
実施例1において、炭酸カルシウムの基準供給速度Aと、液体吐出手段3による液体吐出量Bとを、下記表2に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0133】
(実施例20〜22)
実施例1において、筒状体2の内部の気圧Pと大気圧Pとの差(P−P)が、実施例20では1.47hPa、実施例21では2.45hPa、実施例22では2.94hPaとなるようにした。それ以外は実施例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0134】
(比較例1)
実施例1における反応装置において、筒状体2、液体吐出手段3及び減圧手段7を設けず、原料供給機18から直接第一原料5を反応容器1に供給するようにした(図3参照)。それ以外は実施例1と同様の反応装置を用い、第一原料5として炭酸カルシウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。炭酸カルシウムとしては、目開き44μmの篩いを通過する粉体状のものを用いた。
【0135】
まず、供給用タンク21から反応容器1内に、60℃の5%フッ酸水溶液を100kg供給した。
【0136】
この状態で攪拌機10を作動させると共に、原料供給機18を作動させた。このとき、第一原料5である炭酸カルシウムの供給速度は750g/minとし、この炭酸カルシウムの供給量の総量は12.5kgとした。
【0137】
次に、炭酸カルシウムの供給を終了した後、反応容器1内の混合液4の表面の気泡が消失したら、反応後の混合液4(生成液34)を熟成反応容器27に供給し、攪拌機10を作動させた状態で20分間放置した。
【0138】
次に、前記混合液4をNo.5Cの濾紙を用いて、吸引圧力(絶対圧)0.04MPaの条件で吸引濾過し、目的物であるフッ化カルシウムを得た。
【0139】
(比較例2)
炭酸カルシウムの供給速度を1500g/minに変更した以外は、比較例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0140】
(比較例3)
炭酸カルシウムの供給速度を2250g/minに変更した以外は、比較例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0141】
(比較例4)
第一原料5として水酸化カルシウムを用いた以外は、比較例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0142】
(比較例5)
第一原料5として塩化カルシウムを用いた以外は、比較例1と同様にして、フッ化カルシウムを得た。
【0143】
(比較例6)
実施例1における反応装置において、減圧手段7を設けなかった以外は実施例1と同様の反応装置を用い、第一原料5として炭酸カルシウムを、第二原料の溶液6として5%フッ酸水溶液を用いた。炭酸カルシウムとしては、目開き44μmの篩いを通過する粉体状のものを用いた。
【0144】
まず、供給用タンク21から反応容器1内に、60℃の5%フッ酸水溶液を100kg供給した。
【0145】
この状態で攪拌機10及び液体吐出手段3を作動させると共に、原料供給機18を作動させた。このときの吐出ノズル15からの液体の吐出量は、22kg/minとした。また、第一原料5である炭酸カルシウムの供給速度は750g/minとし、この炭酸カルシウムの供給量の総量は12.5kgとした。
【0146】
次に、炭酸カルシウムの供給を終了した後、反応容器1内の混合液4の表面の気泡が消失したら、この混合液4を熟成反応容器27に供給し、攪拌機10を作動させた状態で20分間放置した。
【0147】
次に、前記混合液4をNo.5Cの濾紙を用いて、吸引圧力(絶対圧)0.04MPaの条件で吸引濾過し、目的物であるフッ化カルシウムを得た。
【0148】
(評価試験1)
実施例1〜6について、第一原料5と第二原料との反応開始後の、筒状体2の内側における気泡の層31の厚みの経時変化を測定した。また、比較例1〜3について、第一原料5と第二原料との反応開始後の、反応容器1内での気泡の層31の厚みの経時変化を測定した。
【0149】
その結果を図4〜6に示す。図4は実施例1〜3、図5は実施例4〜6、図6は比較例1〜3についての結果である。
【0150】
この結果、図1に示す構成の反応装置を用いると共に第一原料5の供給速度を変化させた実施例1〜3、並びに図2に示す構成の反応装置を用いると共に第一原料5の供給速度を変化させた実施例4〜6では、気泡の層31の厚みは薄く、また目視で観察してもこの気泡の層31に第一原料5が引っ掛かるようなことがなかった。
【0151】
これに対して、図3に示す構成の反応装置を用いると共に第一原料5の供給速度を変化させた比較例1〜3では、気泡の層31の厚みは厚くなり、特に比較例3では気泡の層31が反応容器1からオーバーフローした。また、目視で観察した場合、この気泡の層31に第一原料5の引っかかりが生じ、混合液4中への第一原料5の供給が阻害されていた。
【0152】
また、図7に実施例1,4及び比較例1についての結果を示す。図中の点線は、反応容器1への第一原料5の供給を終了した時点を示す。図示のように、実施例1,4では第一原料5の供給を終了した後、速やかに気泡の層31が消失したが、比較例1では第一原料5の供給を終了した後も、長時間気泡の層31が残存した。
【0153】
また、実施例7〜10についても、同様に反応容器1内での気泡の層31の厚みの経時変化を測定しところ、実施例4とほぼ同一の結果が得られた。
【0154】
(評価試験2)
実施例1,4及び比較例4,5で得られたフッ化カルシウムにつき、イオン電極法にて純度を測定すると共に、濾過定数を導出した。前記濾過定数は、生成液34の吸引濾過により濾別されたフッ化カルシウムの重量(G)を、吸引濾過時の吸引圧力(V)、濾紙の面積(S)及び濾過に要した時間(T)で除した値(G/(V×S×T))で表した。
【0155】
この結果を下記表1に示す。
【0156】
【表1】

【0157】
上記結果から明らかなように、化学反応時に気体成分(二酸化炭素)の発生を伴う実施例1,4では、水酸化カルシウムに比してコスト的に有利な炭酸塩を使用しつつ、高純度のフッ化カルシウムを得ることができた。また実施例1,4では濾過定数が大きく、濾過による分離が容易であったのに対して、比較例4では濾過定数が低く、また比較例5では得られたフッ化カルシウムの粒径があまりに小さいため、NO.5Cの濾紙では濾別できなかった。
【0158】
(評価試験3)
実施例10〜19について、第一原料5と第二原料との反応開始から、2分後の時点での、筒状体2の内側における気泡の層31の厚み、及び筒状体2の外側における気泡の層31の厚みを測定した。その結果、下記表2及び図8に示す。図8中の□は筒状体2の内側における気泡の層31の厚みを、◇は筒状体2の外側における気泡の層31の厚みを、それぞれ示す。
【0159】
【表2】

【0160】
この結果から、気泡の層31の厚みは、炭酸カルシウムの基準供給速度Aと、液体吐出量Bとの比B/Aの値が大きくなるほど低減し、またこの気泡の層31の厚みは、前記B/Aの値が0.4以上となると著しく小さくなることが、確認された。
【0161】
(評価試験4)
実施例1,20〜22、並びに比較例6について、反応装置の稼働状況を観察した。この結果、減圧手段7を設けなかった比較例6では、原料供給口11から気体が吹き出して、炭酸カルシウムの一部が筒状体2の内部に投入されずにこぼれ落ちてしまった。また、筒状体2の上部の内面には液滴の付着が生じ、このため筒状体2の内面に炭酸カルシウムが付着して原料供給の不具合が生じた。それに対して、実施例1,20〜22では、いずれも原料供給口11からの気体の吹き出しは生じず、また筒状体2には液滴の付着は生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の第二の実施形態を示す概略図である。
【図3】比較例1〜5において用いられた反応装置の構成を示す概略図である。
【図4】実施例1〜3において、反応装置にて化学反応を進行させた場合の、反応容器における気泡の層の厚みの経時変化を示すグラフである。
【図5】実施例4〜5において、反応装置にて化学反応を進行させた場合の、反応容器における気泡の層の厚みの経時変化を示すグラフである。
【図6】比較例1〜3において、反応装置にて化学反応を進行させた場合の、反応容器における気泡の層の厚みの経時変化を示すグラフである。
【図7】実施例1,4及び比較例1において、反応装置にて化学反応を進行させた場合の、反応容器における気泡の層の厚みの経時変化を示すグラフである。
【図8】実施例10〜19について、炭酸カルシウムの基準供給速度と液体吐出量との比に対する、反応容器内の筒状体の内側における気泡の層の厚み、及び筒状体の外側における気泡の層の厚みを測定した結果を示すグラフであり、□は筒状体の内側における気泡の層の厚みを、◇は筒状体の外側における気泡の層の厚みを、それぞれ示す。
【符号の説明】
【0163】
1 反応容器
2 筒状体
2a 開口
3 液体吐出手段
4 混合液
5 第一原料
6 第二原料の溶液
7 減圧手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の化学物質を含む第一原料と、少なくとも一種の化学物質を含む第二原料とを含む混合液中で、気体の発生を伴う化学反応を起こさせて、前記混合液中に目的とする反応生成物を生成するために用いられる反応装置であって、
下記の構成を具備することを特徴とする、
反応容器、前記反応容器は、前記混合液が貯留され、又は連続的に供給され、この反応容器内で前記化学反応が起こる、
筒状体、前記筒状体の下端の開口は、前記反応容器内の混合液の液面よりも下方に配置され、この筒状体の内部を通じて、前記第一原料が、前記反応容器へ供給される、
液体吐出手段、前記液体吐出手段は、前記筒状体の内部を通じて、液体を前記反応容器の内部へ吐出する。
【請求項2】
請求項1に記載の反応装置において、
前記液体吐出手段が、前記反応容器内の混合液の一部を取り出して、この混合液を前記反応容器の内部へ吐出する。
【請求項3】
請求項1に記載の反応装置において、
前記液体吐出手段が、前記第二原料の溶液を前記反応容器の内部へ吐出する、
前記反応容器は、この反応容器に貯留されている混合液の量が一定量を超えた場合に、前記混合液を反応容器の外部に導出して、反応容器内に貯留されている混合液の量を前記一定量に維持する。
【請求項4】
請求項1に記載の反応装置において、
前記筒状体の内部の気圧を大気圧未満まで減圧する減圧手段を具備する。
【請求項5】
請求項4に記載の反応装置において、
前記減圧手段が、前記筒状体の内部の気体を吸引して捕集し、この気体を浄化し、浄化後の前記気体を外部に放出する。
【請求項6】
請求項1に記載の反応装置において、
前記第一原料が炭酸塩又は重炭酸塩であり、前記第二原料が酸である。
【請求項7】
請求項1に記載の反応装置を用いることによって、前記第一原料と第二原料とを化学反応させ、目的とする反応生成物を生成することを特徴とする反応生成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−43923(P2008−43923A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224488(P2006−224488)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000222875)東洋電化工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】