説明

反応装置

【課題】消費電力が小さく、かつ小型の反応装置を提供すること。
【解決手段】供給された流体に対し内部で所定の反応を施す反応部3と、反応部3を収容する空洞を有するとともに、内面と外面との間に流路を有する収容部2と、流路5と反応部3の内部とを接続する接続部4とを備え、平面視したときに、流路5の少なくとも一部と反応部3とが重なり、その重なる部分における収容部2の内面が、反応部3からの輻射熱を吸収する輻射熱吸収面6である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された物質を別の物質に変換し出力する機能を有する反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、精密加工技術の進歩発展により、マイクロテクノロジーとよばれる新しい概念が登場してきた。すなわち、マイクロな微小空間を活用して、液体や気体を高速、高精度で制御し反応させるマイクロ化学システムは、反応・分析の効率化・高速化のための革新的な技術としてだけでなく、新反応系の場としても注目を集めている。特に、マイクロ化学プラントは従来の工業的物質生産の方式を変革するものとして、化学産業だけでなく関連する医療、製薬、バイオ関連、食品産業などからも大きな期待が寄せられている。
【0003】
マイクロ化学システムにおいては、最適な温度環境下にて化学反応が生じる反応部から反応部を収納する収容部への放熱を低減し、システムの小型化と熱効率を向上させた反応装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この反応装置では、収容部の外壁を2重構造にして真空容器を構成する、あるいは2重構造にした内外壁間に断熱材を充填することにより、反応部の熱が外部へ伝導して反応部の温度が低下するのを防止している。
【特許文献1】特開2003−2602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、携帯機器などの電子機器内に反応装置を収納するためには、更に小型化、低背化することが求められる。従来のように収容部の外壁を2重構造にすることは、反応装置全体が複雑化して大型化するため、携帯機器内に収納するのが困難であるという問題点を有していた。
【0005】
また、反応部において化学反応を施す流体に対して、あらかじめ気化等の反応を施す場合、そのような反応を施すための熱を別途供給する必要があり、反応装置自体の消費電力が大きくなるという問題点を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、消費電力が小さく、かつ小型の反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の反応装置は、供給された流体に対し内部で所定の反応を施す反応部と、該反応部を収容する空洞を有するとともに、内面と外面との間に流路を有する収容部と、前記流路と前記反応部の内部とを接続する接続部とを備え、平面視したときに、前記流路の少なくとも一部と前記反応部とが重なり、その重なる部分における前記収容部の内面が、前記反応部からの輻射熱を吸収する輻射熱吸収面であることを特徴とする。
【0008】
本発明の反応装置は好ましくは、前記輻射熱吸収面は、黒色であることを特徴とする。
【0009】
本発明の反応装置は好ましくは、前記輻射熱吸収面は、前記収容部の内面における他の部位よりも表面が粗いことを特徴とする。
【0010】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、前記反応部の表面と平行に位置される部位を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、前記反応部の表面に平行な面内で折れ曲がる少なくとも1つの屈曲部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、外部から供給された流体が収容部の低温部から高温部に向かって流れるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、前記収容部の温度に応じて、流路幅および深さの少なくとも一方に傾斜を設けていることを特徴とする。
【0014】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、複数に分岐若しくは合流されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、内部にフィンを設けていることを特徴とする。
【0016】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路の内壁面は、平面視したときに前記反応部と重なる部分が、他の部分よりも粗いことを特徴とする。
【0017】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路の内壁面は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、多孔質体からなることを特徴とする。
【0018】
本発明の反応装置は好ましくは、供給された流体に対して内部で所定の反応を施す反応部と、前記反応部を収容する空洞を有するとともに、内面と外面との間に流路を有する収容部と、前記流路と前記反応部の内部とを接続する接続部とを備え、平面視したときに、前記流路の少なくとも一部と前記反応部とが重なり、その重なる部分における前記収容部の内面が、熱を透過する熱透過面であり、前記流路の内壁面における前記熱透過面に対向する面が輻射熱吸収面であることを特徴とする。
【0019】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は、前記収容部の外部から前記反応部に流体を供給する供給流路の一部であることを特徴とする。
【0020】
本発明の反応装置は好ましくは、前記収容部は、内面と外面との間に前記反応部から前記収容部の外部に流体を排出する排出流路を備え、前記排出流路と前記供給流路は、近接して配置されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の反応装置は好ましくは、前記流路は外部から供給された流体を気化する気化部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の反応装置は、反応部で放出される熱を収容部で効率良く回収し、そして流体の反応に有効使用することができる。これにより、反応部を加温するための電力を低減でき、反応装置の消費電力化が可能となる。また、反応部の熱を外部へ伝導するのを有効に防止することができ、従来のように収容部を2重構造にする必要がなく、反応装置の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による反応装置の構成例を示す断面図である。1は反応装置、2は収容部、3は反応部、4は接続部、5は流路、6は輻射熱吸収面である。図1に示されるように、本実施の形態1による反応装置1は、反応部3、反応部3を収容する収容部2、収納部内の流路5、及び輻射熱吸収面6を備える。
【0025】
反応部3には、反応前の流体を供給する接続管4aと反応後の流体を排出する接続管4bがそれぞれ取り付けられている。収容部2は、ベース板2aと凹形状の蓋体2bとから成り、反応部3下面と収容部2のベース板2a上面とを接続管4a及び接続管4bを介して接続し、さらに凹形状の蓋体2bを用いて反応部3を封止することによって、反応部3を収容部2内に気密に封止した反応装置1が形成される。
【0026】
収容部2内の断熱性を高めるためには、収容部2内を真空にすることが好ましく、反応部3を封止する際、真空炉でのロウ材による封止や真空チャンバー内でのシームウェルド法などで行うと良い。
【0027】
収容部2は、反応部3を収納する容器としての役割を有する。それらは、例えば、SUS,Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等のFe系合金や、無酸素銅、アルミニウム等の金属材料、酸化アルミニウム(Al)質焼結体,ムライト(3Al・2SiO)質焼結体,炭化珪素(SiC)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,窒化珪素(Si)質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミック材料、石英等のガラス材料、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料等で形成されている。
【0028】
なお、収容部2に適用可能なガラスセラミックスは、ガラス成分とフィラー成分とから成る。そのガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである),SiO−B−MO系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−MO系(但し、Mは前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0029】
また、フィラー成分としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0030】
一方、収容部2が、例えば相対密度が95%以上の緻密質の酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合は、例えば、まず酸化アルミニウム粉末に希土類酸化物粉末や酸化アルミニウム粉末等の焼結助剤を添加,混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加,混合してペースト化し、このペーストをドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形,圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。その後、所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミック製の収容部2を得る。なお、収容部2の成形は粉末成形プレス法であっても良い。
【0031】
他方、収容部2が金属材料から成る場合は、切削法,プレス法,MIM(Metal Injection Mold)法等により所定の形状に形成される。
【0032】
また、収容部2が金属材料から成る場合には、腐食を防止するためにその表面は、例えばAu,Niのめっき処理や、ポリイミド等の樹脂コーティング等の被覆コーティング処理が行なわれることが望ましい。例えばAuめっき処理の場合であれば、その厚さは0.1〜5μm程度であることが望ましい。
【0033】
また、収容部2の少なくとも内側表面をAu、Ag、Al、Cu等のめっき処理膜等で覆うことにより、収容された反応部3で発生する輻射熱が収容部2に吸収されるのを効率良く防ぐことができ、反応装置1の昇温を抑制することが可能となる。
【0034】
以上のような収容部2は、反応装置1の小型化,低背化を可能とするためには厚さを薄くすべきであるが、機械的強度である曲げ強度は200MPa以上であることが好ましい。
【0035】
さらには、収容部2は、上記に述べた異種の材料の組合せでもよく、部分的に異なる材料を組合せて用いてもよい。
【0036】
収容部2を例えばベース板2aと凹形状の蓋体2bとした場合、反応部3下面と収容部2のベース板2a上面を接続管4aおよび接続管4bを介して接続し、さらに凹形状の蓋体2bを用いて反応部3を封止することによって、反応部3を収容部2内に気密に封止した反応装置1が形成される。封止方法としては、ベース板に、Au合金,Ag合金,Al合金等の金属ロウ材やガラス材による接合やシームウェルド法等、または抵抗溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接等により蓋体を取着する方法が考えられる。
【0037】
収容部2に収納される反応部3は、触媒等が担持された微細流路あるいは空隙を有しており、触媒等を用いて燃料を変性、転化、分解、混合し、別の物質に変換するための化学反応部として作用する。
【0038】
反応部3の形状は様々であり、例えば微小ケミカルデバイスとして、半導体製造技術等を適用して、例えば、シリコン等の半導体,石英,ガラス,金属、セラミックス等の無機材料の基材に、切削法,エッチング法,ブラスト法等により細い溝を形成することによって液体流路が作製され、操作中の液体の蒸発防止等を目的として、ガラス板、金属等のカバーを陽極接合、ロウ付け、溶接等により表面に密着させて使用される、例えば略四角形状のものが挙げられる。また、石英,ガラス,金属、セラミックス等の無機材料から成る管状であり、その内面に触媒が担持されているものでもよい。反応部3内には、温度調節機構、例えば、抵抗層等から成る薄膜ヒータ(不図示)や厚膜ヒータ(不図示)を形成し、表面にはこのヒータへ電力を供給する電極端子(不図示)が形成される。この温度調節機構により、各用途の反応に最適な100〜800℃程度の温度条件に調整することで、接続管4aが接続された燃料供給口から供給される燃料とその他反応に必要な燃料とを触媒等を介して反応させる。そして、反応後の流体は燃料排出口に接続された接続管4bから排出される。
【0039】
このようなヒータは、反応部3における触媒が担持された流路内や空隙内、あるいはその近傍に配置される。これにより、ヒータから発生する熱を効率的に各種化学反応に用いることができる。
【0040】
また、反応部3は、反応部3上の電極端子がボンディングワイヤやリード端子(不図示)を介して収容部2に電気的に接続される。これにより、電極端子を通じて反応部3の表面や内部に形成されたヒータを加熱することができる。その結果、反応部3において反応温度の維持が可能となり燃料の化学反応を安定させることができる。
【0041】
接続管4a、bは、収容部2と反応部3の間に位置する。接続管4a、bの材料としては、例えば、Fe−Ni合金,Fe−Ni−Co合金,SUS等の金属材料、Al質焼結体,3Al・2SiO質焼結体,SiC質焼結体,AlN質焼結体,Si質焼結体,ガラスセラミック焼結体等のセラミック材料、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料、または、ガラスが挙げられる。好ましくは、輻射熱を吸収し、この熱を第一反応が生じる流路5内へ効率よく伝達するという観点からは、金属から成るのがよい。また、収容部2および反応部3の熱膨張係数と同一または近似した金属が用いられるのがよく、例えば、収容部2でセラミック材料を用いている箇所に接続する場合、Fe−Ni合金,Fe−Ni−Co合金よりなるものが、実用時の温度変化に対して熱歪の発生を防止できるので好ましい。その場合、接続管4と収容部2および反応部3をAu−Sn合金,Au−Si合金,Au−Ge合金,Ag−Cu合金等の各種ロウ材で接合すると、良好な封着性が得られるとともに、良好な接続強度が得られる。
【0042】
次に、流路5は、例えば、反応部3での第二の反応を行なう前に施すべき第一の反応を行なうためのものである。第一の反応としては、例えば、反応部3へ供給する流体を気化するような反応が挙げられ、その場合、流路5は気化部5として機能する。
【0043】
本実施の形態1においては、以下、流路5が気化部である例について説明する。
【0044】
流路5は、収納部の内面と外面との間に位置し、接続管4a、4bに接続される。流路5は、収納部内で自由に形成されるが、本実施の形態1による反応装置1によれば、平面視したときに、流路5の少なくとも一部と反応部3とが重なることで、反応部3で発生した熱が輻射熱として収容部2の内面、更には流路5の表面に伝播し、反応部3と対向する表面には輻射熱吸収面6が配置されているため、輻射熱を効率よく吸収して第一の反応に用いることが出来る。そのため、外部から流体の気化に必要なエネルギーを少量だけ供給すればよいか、あるいは供給する必要がない。収容部2の内部に流路5を形成し、単純な構成で流体の気化に必要な熱を効率よく吸収することが可能であるため、小型の反応装置を実現することができる。なお、好ましくは反応部3からの輻射熱を有効に第一の反応に用いるという観点からは、反応部3と収納部2との距離が0.1mm〜5mmであるのがよい。
【0045】
また、本実施の形態1による反応装置1において、輻射熱吸収面6は黒色であるのがよい。これにより、輻射熱を更に効率よく吸収することが出来る。このような黒色の材料としては、輻射熱吸収面6を構成する材料として黒色の顔料等を混ぜることにより構成できる。
【0046】
また、収容部2の内面における輻射熱吸収面6の表面は他の部位の表面よりも表面が粗く形成されているのがよい。これにより、輻射熱が反射されにくくなり、輻射熱を更に吸収しやすくすることができる。このような輻射熱吸収面6の表面の表面粗さ(Rz)は、他の表面の表面粗さの3倍〜10倍であるのがよい。この構成により、輻射熱吸収面6の表面の粗面で輻射熱を効率よく吸収するとともに、輻射熱吸収面6以外の面では表面積を小さくして熱が放射されるのを有効に抑制し、収容部2に熱が伝達するのを有効に抑制できる。このような粗面は例えば、エッチングやブラスト処理、研磨処理により構成できる。
【0047】
また、流路5は、軸方向に反応部3の表面と平行に位置される表面を備えているのがよい。このような構成とすれば、高温の反応部3と流路5とを近接させることができ、外部への熱損失を低減し、気化に必要な熱を効率よく得る事が出来る。
【0048】
また、流路5は、反応部3の表面に沿って延在し、反応部3の表面に平行な面内で折れ曲がる少なくとも1つの屈曲部を有するのがよい。このような構成により、流体の量が多い場合も、流体の気化に必要な熱を効率よく吸収する事が出来る。つまり、反応部3に平行な面において、例えば、流路5をジグザグに折れ曲がるように構成すると、反応部3との対向面積が増加し、吸熱効率が向上する。
【0049】
また、流路5は、外部から供給された流体が収容部2の低温部から高温部に向かって流れているのがよい。このような構成により、気化された流体が途中で凝集される事を抑制する事が出来る。つまり、流路途中で凝集すると、液化した流体を気化するのが困難になる。
【0050】
また、流路5は、平面視したときに反応部3と重なる部分において、収容部2の温度に応じて、流路幅および深さの少なくとも一方に傾斜を設けるのがよい。このような構成により、流体の速度を制御する事が出来る。つまり、流路の入口側においては、流体の幅を広くし、または深さを深くする事で、流体の速度が遅くなるため、熱交換を十分に行う事が可能となり、流体の凝集も抑制される。
【0051】
また、流路5は、平面視したときに反応部3と重なる部分において、複数に分岐若しくは合流されるのがよい。このような構成にすることで、流体の流れが速い場合においても、流体の速度を遅く制御する事が出来、また熱交換に必要な流体の表面積を広くする事が出来る。
【0052】
また、流路5は、流路内部にフィンを設けているのがよい。このような構成にする事で、熱交換に必要な流体の表面積を広くする事が出来る。
【0053】
また、流路5の内壁面は、平面視したときに反応部3と重なる部分が、他の部分よりも粗いのがよい。このような構成にする事で、熱交換に必要な流体の表面積を広くする事が出来る。
【0054】
また、流路5の内壁面は、平面視したときに反応部3と重なる部分において、多孔質体であるのがよい。このような構成にする事で、熱交換に必要な流体の表面積を広くし、流体の凝集を抑制する事が出来る。
【0055】
また、流路5は、少なくとも反応部3に対向する部位が熱伝導性の高い材料からなり、この熱伝導性の高い材料からなる部位は、輻射熱吸収膜によって覆われているのがよい。このような構成により、輻射熱吸収膜で吸収した熱は熱伝導性の高い材料により均等に気化反応部に伝導されるため、流体の気化においてバラツキが生じにくく、安定して反応部3に気化された流体を供給することが可能である。このような熱伝導性の高い材料としては、銅やアルミニウムなどの金属が挙げられる。また輻射熱吸収膜の材料としては、黒色の顔料等が挙げられる。
【0056】
以上から、流体の流路3を収容部2内に配置しても、小型で低消費電力の反応装置1を提供することができる。
【0057】
なお、本実施の形態1による反応装置1では、流路5は、収容部2の内部において、接続管4が接続された部位と同一側に配置され、平面視して、接続管4を収容部2の端部に配置したが、流路5が反応部3からの熱を吸収できる位置にあれば、接続管4、及び流路5の配置は任意であってよい。
【0058】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図2は、本発明の実施の形態2による反応装置の構成例を示す断面図である。なお、図2において図1と同一の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。図2に示された反応装置11が図1に示された反応装置1と異なる点は、外部から供給された流体を内部で気化(第一の反応)する流路5(流路)と、流路5から供給された流体に所定の第二の反応を施す反応部3と、流路5及び反応部3を収容する収容部2とを備え、流路5は、少なくとも反応部3に対向する表面が熱を透過する熱透過面7であり、流路5の内面における熱透過面7に対向する面が輻射熱吸収面6である点である。
【0059】
これにより、熱透過面7を通じて熱が透過し、流体に直接供給されるため、反応部3と対向する流路5表面での熱損失が抑制され、効率的に熱が供給されるため、気化のバラツキが有効に防止できる。
【0060】
なお本発明の実施の形態1においても実施の形態2においても、流路5を、収容部2の外部から反応部3に流体を供給する供給管の一部として構成してもよい。このように供給管の一部を流路5として構成すると、製造工程が簡略化できる。
【0061】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図3は、本発明の実施の形態3による反応装置の構成例を示す断面図である。なお、図3において図1と同一の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。図3に示された反応装置21が図1に示された反応装置1と異なる点は、収容部2は、内面と外面との間に反応部3から収容部2の外部に流体を排出する排出流路8を備えており、排出流路8と供給流路5は、近接して配置されている。このような構成にする事で、反応部3に供給される低温の流体と反応部3から排出された高温の流体との熱交換を行うことが可能なため、更に熱交換を効率的に行う事が可能になる。
【0062】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1による反応装置の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2による反応装置の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2による反応装置の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1:反応装置
2:収容部
3:反応部
4a、b:接続部
5:流路(気化部)
6:輻射熱吸収面
7:熱透過面
8:排出流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された流体に対し内部で所定の反応を施す反応部と、該反応部を収容する空洞を有するとともに、内面と外面との間に流路を有する収容部と、前記流路と前記反応部の内部とを接続する接続部とを備え、
平面視したときに、前記流路の少なくとも一部と前記反応部とが重なり、その重なる部分における前記収容部の内面が、前記反応部からの輻射熱を吸収する輻射熱吸収面であることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記輻射熱吸収面は、黒色であることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記輻射熱吸収面は、前記収容部の内面における他の部位よりも表面が粗いことを特徴とする請求項1又は2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、前記反応部の表面と平行に位置される部位を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の反応装置。
【請求項5】
前記流路は、前記反応部の表面に平行な面内で折れ曲がる少なくとも1つの屈曲部を有することを特徴とする請求項4に記載の反応装置。
【請求項6】
前記流路は、外部から供給された流体が収容部の低温部から高温部に向かって流れるように形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の反応装置。
【請求項7】
前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、前記収容部の温度に応じて、流路幅および深さの少なくとも一方に傾斜を設けていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の反応装置。
【請求項8】
前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、複数に分岐若しくは合流されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の反応装置。
【請求項9】
前記流路は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、内部にフィンを設けていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の反応装置。
【請求項10】
前記流路の内壁面は、平面視したときに前記反応部と重なる部分が、他の部分よりも粗いことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の反応装置。
【請求項11】
前記流路の内壁面は、平面視したときに前記反応部と重なる部分において、多孔質体からなることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の反応装置。
【請求項12】
供給された流体に対して内部で所定の反応を施す反応部と、前記反応部を収容する空洞を有するとともに、内面と外面との間に流路を有する収容部と、前記流路と前記反応部の内部とを接続する接続部とを備え、
平面視したときに、前記流路の少なくとも一部と前記反応部とが重なり、その重なる部分における前記収容部の内面が、熱を透過する熱透過面であり、前記流路の内壁面における前記熱透過面に対向する面が輻射熱吸収面であることを特徴とする反応装置。
【請求項13】
前記流路は、前記収容部の外部から前記反応部に流体を供給する供給流路の一部であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の反応装置。
【請求項14】
前記収容部は、内面と外面との間に前記反応部から前記収容部の外部に流体を排出する排出流路を備え、前記排出流路と前記供給流路は、近接して配置されていることを特徴とする請求項13に記載の反応装置。
【請求項15】
前記流路は外部から供給された流体を気化する気化部であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−82817(P2009−82817A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255342(P2007−255342)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】