説明

収容体

【課題】薄物でも厚みがある収容物でも積載効率を損なうことなく収容することができると共に、収容される物品の損傷を防止する。
【解決手段】2枚の略方形のシート部材11,12を重ね合せ、1辺に収納物51を挿入する開口18を形成可能とし、他の辺を封止状態とした収容体10である。開口18を形成する上辺11a,12aに、折線16,17においてシート部材11,12と連続して形成され、折線16,17は相対する上辺11a,12aで重複しないものとして形成されているフラップ部20,30を備える。フラップ部20,30には、折り曲げられることにより前記開口部の半分の領域を閉塞する蓋片部21,31、シート部材11,12間に配置される間隔保持片部22,32、シート部材11,12の裏面に当接する延設片部23,33を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容体に係り、特に2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4つの辺部のうち少なくとも1辺に被梱包物を挿入可能な開口部が形成される収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品例えばOA機器を搬送するに当たっては、さまざまな物品を付属品として同包する。付属品としては、取扱説明書、プログラムインストール用のCDやメモリカード、オプショナルパーツなどがある。このような物品は、紙製の収容体に格納され、OA機器本体を収容する収納装置内にOA機器本体の梱包装置内に同包される。収容体はコートボールや段ボール製で、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた収容体形成片を組み立てて作られるものが採用される。このような収容体として以下のものが提案されている。
【0003】
特許文献1には、封筒の両端上下方向に折り込み線を形成し、梱包する物品の高さにあわせて両端を折り曲げて接着することで強度をもたせるものが記載されている。即ち、特許文献1には、封緘用閉じしろ及び接着しろが形成された段ボール紙を折り込み、且つ前記接着しろが接着されて形成される段ボール紙製封筒であり、その封筒の底部側には幅方向に沿った折り込み線を、両端側には上下方向に沿った折り込み線をそれぞれ形成させ、前記上下方向に沿った折り込み線は、両端側にそれぞれ複数形成させるものが記載されている。
【0004】
特許文献2には、緩衝材を有する封筒が記載されている。即ち、特許文献2には、ベロを有する紙製封筒の内面に、波形の凸部間に1直線上になる罫線を等間隔に施し、且つ凸部を内向きに半折用罫線にて半折した波形の紙製緩衝シートを両端部分において凸部を押し潰し、封筒開口縁と接着させるものが開示されている。
【0005】
特許文献3には、1枚の段ボールを折り畳むことで箱形状の梱包容器が構成されることが記載されている。即ち、特許文献3には、蓋の開き側端部の折曲げ片に切込みを設け、この切込みに箱本体側からロック用フラップを差込んで蓋をロックする梱包用段ボール箱において、前記ロック用フラップの指掛け部に切込み片を形成したものが開示されている。
【0006】
特許文献4には、梱包箱の内側に補強枠を設けることで積重ねても圧壊しないようにする梱包箱の補強構造が記載されている。即ち、特許文献4には、鋼製の台座状に段ボール箱を配置し、その段ボール箱の底部に穿設した透孔を通して、段ボール箱の内側に配置した補強枠を台座に支承させる構造が開示されている。
【0007】
特許文献5には、内容物が充填された収縮自在な容器を、箱型(三角形)の梱包箱により梱包する一方、内容物がなくなった状態の容器を、前記箱型の梱包箱を押し潰して平面状に変形した状態の梱包箱により回収する梱包箱が記載されている。即ち特許文献5には、内容物が充填された収縮自在な容器の外面を第1の壁部と第1の壁部に対向する第2の壁部とで押さえつけると共に摩擦力により容器を固定する包装箱が開示されている。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3094232号公報
【特許文献2】実用新案登録第3110361号公報
【特許文献3】特開平11−292057号公報
【特許文献4】特開昭60−23143号公報
【特許文献5】特開2005−178819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように、収容体に格納する物品はさまざまな大きさを有している。
即ち、取扱説明書やCDのように厚み寸法が小さいものや、メモリカードやオプショナルパーツの用にある程度厚み寸法を有するものがある。このような物品を収容するに際して上述した特許文献1〜4の収容体では、1つの形態のみに対応するものしか対応していないため、さまざまな厚さ寸法に対応する収容体が必要となる。現実には、厚さ寸法が小さい物品を収容するためには封筒を使用し、厚さ寸法が有するものを収容するためには箱型の収容体を使用するのが実情である。
【0010】
ここで、封筒は薄いため、積載効率を高めることができる反面、剛性がないことから、折れやすい物品を梱包することについては好ましくない。一方箱型の収容体の場合、6面が閉塞しているため剛性を保つことができ、梱包されている物品が折れるようなことはない。しかし、上述したように収容する物品の厚さ、体積、強度、形状は種々多様なものが存在していることから、それぞれ専用の梱包容器を製作するにはコストが嵩んでしまう。
【0011】
形状が変形する物品に対しても対応できる梱包装置として特許文献5のような梱包箱が提案されているが、特許文献5のものは、収納する物品は同一であり、その物品の形状が変化するものに対応するものであり、梱包装置そのものの剛性を有する機構を有さないので、梱包装置の形状を保ちつつ物品の運搬をすることには不向きである。
【0012】
そこで、本発明は、薄物でも厚みがある収容物でも積載効率を損なうことなく収容することができると共に、収容される物品の損傷を防止する収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4辺部のうち少なくとも1辺を対となる開放辺部として被梱包物の挿入開口部を形成可能とすると共に、その他の辺を封止状態とした収容体において、前記対となる各開放辺部には、折線において前記シート部材に連続して形成され、前記折線は、相対する開放辺部で互いに重複しないように形成されているフラップ部を備え、前記フラップ部は、前記開放辺部に隣接して形成され、折り曲げられることにより前記開口部の半分の領域を閉塞する蓋片部であって、対向する2つの蓋片部で前記開口の略全領域を閉塞する蓋片部を備えることを特徴とする収容体である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の収容体において、前記、各フラップ部は、前記蓋片部に隣接して形成され、折り曲げられることにより前記開口から収容体の内部に挿入され2枚のシート間に配置されて、2枚のシートの間隔を保持する間隔保持片部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載の収容体において、前記間隔保持片部は、対となる開口辺部に配置されるフラップ部のそれぞれに対となるよう設けられ、対となる2枚の間隔保持片部は収容体内部で重合されることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2又は3記載の収容体において、前記対となる2枚の間隔保持片部には切込部が形成され、2枚の間隔保持片部は収容体内部において係合されることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の収容体において、前記フラップ部は、前記蓋片部に隣接して形成され、折り曲げられることにより、反対側シート部材の裏面側に沿って延設され、前記シート部材に接触する延設片部を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2乃至5記載の収容体において、前記間隔保持片部は、前記蓋片部との境界から蓋片部と重ね合せるように折り曲げ可能であり、間隔保持片は蓋片部に重ねたとき、蓋片部の輪郭内に配置できる形状であることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項5又は6記載の収容体において、前記延設片部と、前記蓋片部との境界には、ミシン目を含む切り離し補助加工が施されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項4記載の収容体において、前記間隔保持片に設けられた切込部の先端形状には切り裂け防止加工が施されていることを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれか記載の収容体において、前記間隔保持片部は、前記蓋片部に重ね合せたときに、前記シート部材に近接する輪郭が前記蓋片部より小さく形成され、前記シート部材と間に隙間を生じるように形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明は、2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4つの辺部のうち少なくとも1辺から被梱包物を挿入可能な開口部と、開口部を封止するフラップ部が形成される収容体において、前記フラップ部は、折り曲げられることにより前記開放辺部を拡開することで形成される開口を塞ぐ蓋片部と、前記開口の高さを保持する間隔保持片部とを備えることを特徴とする収容体である。
【0023】
請求項11の発明は、2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4つの辺部のうち少なくとも1辺から被梱包物を挿入可能な開口部と、開口部を封止するフラップ部が形成される収容体において、前記フラップ部は、折り曲げられることにより前記開放辺部を拡開することで形成される開口を塞ぐ蓋片部と、前記開放辺部を拡開することで形成される収容体の形状を保持する形状保持部とを備えることを特徴とする収容体である。
【0024】
請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれか記載の収容体において、前記収容体の表面には、収容体の取扱説明が表示されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る収容体は、フラップ部を折り曲げることで封筒のように使用したり、フラップ部の蓋片部を折り曲げるとともに間隔保持部材又は延設片部をシート部材の間に介在させることで剛性を有した空間を形成するように使用したりすることができるので、薄物でも厚みがある収容物でも積載効率を損なうことなく収容することができると共に、収容される物品の損傷を防止するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0027】
以下本発明に係る収容体の実施例を図1乃至図14に基づいて説明する。図1は実施例に係る収容体の展開図である。
【0028】
本例に係る収容体10は、コートボール紙からなるブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成された形成体60を折り曲げ加工、接着加工して組み立てられる。形成体60は、図1に示すように、接続部13で連結している2枚のシート部材11,12を備えている。また、形成体60において、シート部材11及び12における接続部13と直交する開放辺部である上辺11a,12aには折線16,17を挟んでフラップ部20,30がそれぞれ形成されている。シート部材11及びフラップ部20と、シート部材12及びフラップ部30とは、その形状が略等しく形成され、接続部13を境にして左右に並べるように配置されている。また、シート部材12の2辺にはシート部材12との接着用の糊代14,15が形成されている。
【0029】
フラップ部20は、シート部材11の前記折線16を挟んで形成される蓋片部21と、この蓋片部21に折線25を挟んで形成される間隔保持片部22と、前記蓋片部21に折線24を介して形成される延設片部23とを備える。また、フラップ部30は、シート部材12に前記折線17を挟んで形成される蓋片部31と、この蓋片部31に折線35を挟んで形成される間隔保持片部32と、前記蓋片部31に折線34を介して形成される延設片部23とを備える。
【0030】
フラップ部20において、蓋片部21は、シート部材11の上辺11aの延長線上にある折線16と折線24とを等辺とし、折線25を底辺とする略二等辺三角形状をなす。そして、折線16の長さlは、シート部材11の幅寸法をLの1/2よりわずか、例えばコートボールの厚み分だけ、小さいものとしている。また、フラップ部30において、蓋片部31は折線17と折線34とを等辺とし、折線35を底辺とする略二等辺三角形状をなす。ここで、折線17の長さlの寸法は、シート部材12の幅寸法をLの1/2よりわずか(同上)に小さい寸法としている。
【0031】
蓋片部21と、蓋片部31とは、形成体60を組み立てて形成される収容体10の開口のそれぞれ略半分の領域を塞ぎ、2つの蓋片部21,蓋片部31で前記開口18の略全領域を塞ぐことができる。
【0032】
フラップ部20において、間隔保持片部22は、前記折線25、上辺22a、下辺22bを備える四角形をなしている。ここで、上辺22aは、前記上辺11aと平行に形成され、また、下辺22bはシート部材11の上辺11aと隙間sだけ離れて折線25に接合するように形成されている。即ち、間隔保持片部22を前記蓋片部21との境界である折線25から蓋片部21と重ね合せるように折り曲げて重ねたとき、間隔保持片部22は、蓋片部の輪郭内に配置されると共に、間隔保持片部22の下辺22bと、折線16との間に隙間を生じるように形成されている。
【0033】
また、蓋片部21には、その外側の上辺22aの略中央位置から間隔保持片部22の幅寸法中央付近まで、間隔保持片部32との係合用の切込部26が形成されている。この切込部26の切込み幅は、形成体60を形成するコートボールの厚さを考慮して決定される。また、切込部26の先端には、応力集中による切り裂けを防止するため切込部26と連続する円孔部27が開設されている。
【0034】
フラップ部30において、間隔保持片部32は、前記折線35、上辺32a、下辺32bを備える四角形をなしている。ここで、上辺32aは、前記上辺12aと平行に形成され、また、下辺32bはシート部材12の上辺12aと隙間sだけ離れて折線25に接合するように形成されている。即ち、間隔保持片部32を前記蓋片部31との境界である折線35から蓋片部31と重ね合せるように折り曲げて重ねたとき、間隔保持片部32は、蓋片部の輪郭内に配置されると共に、間隔保持片部32の下辺32bと、折線17との間に隙間を生じるように形成されている。
【0035】
また、蓋片部31には、その外側の上辺32aの略中央位置から間隔保持片部32の幅寸法中央付近まで、間隔保持片部22との係合用の切込部36が形成されている。この切込部36の切込み幅は、形成体60を形成するコートボールの厚さを考慮して決定される。また、切込部36の先端には、応力集中による切り裂けを防止するため切込部36と連続する円孔部37が開設されている。
【0036】
間隔保持片部22,32は、折線25,35で折り曲げられることにより開口から収容体10の内部に挿入され2枚のシート部材11,12間に配置されて、切込部26,36で係合され、2枚のシート部材11,12の間隔寸法を保持する。
【0037】
フラップ部20において、延設片部23は、折線24と、上辺23aと、側辺23bを備える三角形状をなしており、上辺23aは、前記延設片部23の上辺23aと一直線をなし、前記シート部材11の上辺11a及び折線16と平行に形成されている。また、側辺23bは、折線16に対して内側に傾斜するよう形成される。
【0038】
同様に、フラップ部30において、延設片部33は、折線34と、上辺33aと、側辺33bを備える三角形状をなしており、上辺33aは、前記延設片部33の上辺33aと一直線をなし、前記シート部材12の上辺12a及び折線17と平行に形成されている。また、側辺23bは、折線16に対して内側に傾斜するよう形成される。
【0039】
これらの延設片部23,33は、組み立てられたとき、相対するシート部材11,12の内面側に当接され、収容体10の形状を保持する。
【0040】
形成体60においてフラップ部20,30はシート部材11,12の近傍から突出することなく形成できブランクからの成形効率を良好なものとできる。
【0041】
次に形成体60の組み立て状態について説明する。図2は実施例に係る収容体の平面図、図3は実施例に係る収容体の斜視図である。形成体60を組み立てると、図2及び図3に示すように、収容体10を形成することができる。この状態で、シート部材11,12の3辺(図2中左右辺及び上辺に相当)は閉塞された状態に形成され、他の1辺(図中上辺に相当)は開放辺部として形成される。このような収容体10では、シート部材11,12を撓ませることにより、収容物を出し入れする開口18を開設することができ、この開口18は、前記蓋片部21,31で塞ぐことができる。
【0042】
また、収容体10を組み立てて、内部に収納物を入れない状態では、図2に示すように、シート部材11、シート部材12に形成されるフラップ部20及びフラップ部30が飛び出るようになる。なお、図3では、シート部材12に設けられたフラップ部30を折線17で若干折り曲げた状態を示している。
【0043】
次に、収容体10に収納物を収納する場合について説明する。まず厚み寸法がある収容物を収容する場合について説明する。図4は実施例に係る収容体の物品収容時の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、図5は実施例に係る収容体の厚物収容時の状態を示す図4(a)中のA−A線に相当する断面図、図6は収容体の一部切欠斜視図、図7乃至図10は収容体の組み立て時におけるフラップ部の折り曲げ手順を示す斜視図、図11は収容体の組み立て完了時の状態を示す斜視図である。
【0044】
収容体10では、厚みのある2つの収納物51,52あるいは1つの収納物53を収納することができる。図4及び図5に示すように、2つの収納物51,52は、切込部26,36を挟んで収納することができ、収納物53は切込部26,36を避けて収納することができる。
【0045】
まず、図3に示すように、シート部材11,12の開口側を広げて開口18を形成する。この状態で、収納物51,52,53を緩衝材で包むかあるいはそのまま開口18から収納する。次に、図7に示すようにこの開口18に間隔保持片部22,32を折線25,35で折り曲げ、図8に示すように、間隔保持片部22,32を重ね合せる。次いで、図9に示すように、それぞれの切込部26,36どうしを引っ掛け、同時に、延設片部23,33を折線24,34から内側に折り曲げる。そして、図10に示すように、延設片部23,33をシート部材11,12の内側に入れ込むようにし、且つ係合した切込部26,36の頂部に形成されている円孔部27,37を中心として図中矢印に示すように、間隔保持片部22,32を内側に回転させながら内部に送り込ませる。
【0046】
すると、図11に示すように、蓋片部21,31が開口18を塞ぎ、収容体10は収容体を格納した状態となる。この状態で、必要に応じて、蓋片部21,31をまたいで粘着テープ19を貼付すれば、蓋片部21,31は固定された状態となる。
【0047】
この状態において、収容体10の内部において、図6に示すように、間隔保持片部22,32は、切込部26,36で交差して係合している。また、蓋片部21,31の折線16,17の長さlは、シート部材11,12の幅寸法Lの1/2よりわずかに小さく形成しているから、折線25,35どうしは密着せず、組み立て時において、間隔保持片部22,32は折線25,35においてわずかに離間した状態となり、延設片部23,33はX状に交差して係合する。このため、係合した間隔保持片部22,32がシート部材11,12の間で安定した状態で配置される。
【0048】
そして、間隔保持片部22,32の上辺22a,32a及び下辺22b,32bがシート部材11,12の内面に近接して配置されため、間隔保持片部22,32が収容体10の支柱の役割を果たし収容体10の変形を防止する。
【0049】
また、10の組み立て状態において、延設片部23,33がシート部材11,12の内面に接触する。このため、開口18の周縁部の隙間を内側から塞ぐ他、シート部材11,12に係る荷重を蓋片部21,31で支えることができるようになる。
【0050】
よって、シート部材11,12の上面から力が加わっても、蓋片部21,31及び間隔保持片部22,32により収容体の形状を保持することができる。その後、必要に応じてフラップ部20を粘着テープ等で固定する。
【0051】
この状態で、収容体10は、図4に示すように、シート部材11、シート部材12、及び蓋片部21,31で形成される面の3つの面で構成されるとともに内部に間隔保持片部22,32による形状保持機能を有する部材が配置された立体構造物となり、この立体構造物は圧縮、捩れなど対して剛性を有するものとなり、内部に収容した収納物51,52,53を確実に保護することができる。
【0052】
また、本例に係る収容体10では蓋片部21,31、間隔保持片部22,32、延設片部33は、フラップ部20,30に一体として、コンパクトに形成されているため、簡易な構成でありながら剛性の高い収容体を形成できる。
【0053】
また、この収容体10は一方に向いて開口18側から接続部13方向に向け薄肉に形成されるから、収容体10を重ねて配置するとき、開口18側と接続部13側とを重ねて配置することにより、収納効率を良好なものとすることができる。さらに、この収容体10では、バーコードや識別名を表示したラベル等を貼付するに必要な平面部をシート部材11、シート部材12の他蓋片部21,31にも確保することができる。このときラベル等を蓋片部21,31からシート部材12にかけて貼付することにより、上述した固定用の粘着テープ19と兼用することができる。
【0054】
次に、収容体10に厚みのない例えば取扱説明書やCD等の薄物を収納する場合について説明する。図12は収容体に薄物を収容した場合を示す平面図である。この場合には、全体を封筒状として使用することができる。このときには、図12に示すように、蓋片部21,31、及び延設片部23,33を一体として、シート部材11,12を挟むようにそれぞれ異なる方向に向けて折り畳むようにする。このようにすることにより、シート部材11とシート部材12との間に形成される開口18を確実に塞ぐことができる。このとき、間隔保持片部22,32は、蓋片部21,31の内側に折り畳むようにすれば間隔保持片部22,32を蓋片部21,31の裏側に格納することができる。
【0055】
このとき、延設片部23,33は、蓋片部21,31の輪郭内に配置できる形状としているので、間隔保持片部22,32が蓋片部21,31の外側にはみ出ることがない。また、蓋片部21,31から間隔保持片部22,32を切り取って使用することができ、蓋片部21,31と、間隔保持片部22,32との間の折線25,35の位置に予めミシン目のような切り離し補助加工を施しておけば、間隔保持片部22,32をハサミ、ナイフなどの器具を使用することなく簡単に蓋片部21,31から切り離すことができる、
【0056】
また、本発明では、収容体10には、収容体10の取扱説明を表示することができる。図13は取扱説明を表示した収容体を示す斜視図、図14は収容体に表示される取扱説明の一例を示す図である。
【0057】
この例では、収容体10のシート部材12表面には、収容体10の組立手順図40が記載されている他、フラップ部20,30の蓋片部21,31、間隔保持片部22,32、延設片部23,33には、記号(この例は、記号「a」〜「g」、なお「g」は、図には現れていない)。この例では組立手順図40は、図14に示すように、4つのステップ(1〜4)にわたって記号を参照しつつ収容体10に厚みがある収容物を収容する場合について図解がされている。
【0058】
従って、このように、シート部材に組立手順図を記載した収容体10にあっては、作業者は、組立手順図40を参照しつつ容易に収容体10を組み立てることができる。
【0059】
なお、上記各実施例において、シート部材は紙製のコートボールとして説明したが、紙製の段ボール、樹脂製のシートや合成樹脂製の段ボール等を使用することができる。この場合は、収容体を耐久性に優れたものとすることができ繰り返し使用することができる。
【0060】
なお、上記実施例では形成体として、2枚のシート部材の接続部と、開放辺部である上辺とを直交するように形成したが、2枚のシート部材の接続部を、開放辺部と対向するように形成することができる。
【0061】
また、上記実施例では、収容体の一方に開放辺部を形成しフラップ部を形成したが、収容体の対向する2辺を開放辺部として、2個所に開口を形成し、それぞれの開口にフラップ部を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例に係る収容体の展開図である。
【図2】実施例に係る収容体の平面図である。
【図3】実施例に係る収容体の斜視図である。
【図4】実施例に係る収容体の物品収容時の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】実施例に係る収容体の厚物収容時の状態を示す図4(a)中のA−A線に相当する断面図である。
【図6】実施例に係る収容体のラップ部の折り曲げ状態を示す一部を切欠いて示した斜視図である。
【図7】実施例に係る収容体の組み立て時におけるフラップ部の折り曲げ手順を示す斜視図である。
【図8】実施例に係る収容体の組み立て時におけるフラップ部の折り曲げ手順を示す斜視図である。
【図9】実施例に係る収容体の組み立て時におけるフラップ部の折り曲げ手順を示す斜視図である。
【図10】実施例に係る収容体の組み立て時におけるフラップ部の折り曲げ手順を示す斜視図である。
【図11】実施例に係る収容体の組み立て完了時の状態を示す斜視図である。
【図12】実施例に係る収容体に薄物を収容した場合を示す平面図である。
【図13】取扱説明を表示した収容体を示す斜視図である。
【図14】収容体に表示される取扱説明の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 収容体
11,12 シート部材
11a,12a 上辺
13 接続部
14,15 糊代
16,17 折線
18 開口
19 粘着テープ
20,30 フラップ部
21,31 蓋片部
22,32 間隔保持片部
22a,32a 上辺
22b,32b 下辺
23,33 延設片部
23a,33a 上辺
23b,33b 側辺
24,34 折線
25,35 折線
26,36 切込部
27,37 円孔部
40 組立手順図
51,52 収納物
51,52,53 収納物
51 収納物
53 収納物
60 形成体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4辺部のうち少なくとも1辺を対となる開放辺部として被梱包物の挿入開口部を形成可能とすると共に、その他の辺を封止状態とした収容体において、
前記対となる各開放辺部には、折線において前記シート部材に連続して形成され、前記折線は、相対する開放辺部で互いに重複しないように形成されているフラップ部を備え、
前記フラップ部は、前記開放辺部に隣接して形成され、折り曲げられることにより前記開口部の半分の領域を閉塞する蓋片部であって、対向する2つの蓋片部で前記開口の略全領域を閉塞する蓋片部を備えることを特徴とする収容体。
【請求項2】
前記、各フラップ部は、前記蓋片部に隣接して形成され、折り曲げられることにより前記開口から収容体の内部に挿入され2枚のシート間に配置されて、2枚のシートの間隔を保持する間隔保持片部を備えることを特徴とする請求項1記載の収容体。
【請求項3】
前記間隔保持片部は、対となる開口辺部に配置されるフラップ部のそれぞれに対となるよう設けられ、対となる2枚の間隔保持片部は収容体内部で重合されることを特徴とする請求項2記載の収容体。
【請求項4】
前記対となる2枚の間隔保持片部には切込部が形成され、2枚の間隔保持片部は収容体内部において係合されることを特徴とする請求項2又は3記載の収容体。
【請求項5】
前記フラップ部は、前記蓋片部に隣接して形成され、折り曲げられることにより、反対側シート部材の裏面側に沿って延設され、前記シート部材に接触する延設片部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の収容体。
【請求項6】
前記間隔保持片部は、前記蓋片部との境界から蓋片部と重ね合せるように折り曲げ可能であり、間隔保持片は蓋片部に重ねたとき、蓋片部の輪郭内に配置できる形状であることを特徴とする請求項2乃至5記載の収容体。
【請求項7】
前記延設片部と、前記蓋片部との境界には、ミシン目を含む切り離し補助加工が施されていることを特徴とする請求項5又は6記載の収容体。
【請求項8】
前記間隔保持片に設けられた切込部の先端形状には切り裂け防止加工が施されていることを特徴とする請求項4記載の収容体。
【請求項9】
前記間隔保持片部は、前記蓋片部に重ね合せたときに、前記シート部材に近接する輪郭が前記蓋片部より小さく形成され、前記シート部材と間に隙間を生じるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の収容体。
【請求項10】
2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4つの辺部のうち少なくとも1辺から被梱包物を挿入可能な開口部と、開口部を封止するフラップ部が形成される収容体において、
前記フラップ部は、折り曲げられることにより前記開放辺部を拡開することで形成される開口を塞ぐ蓋片部と、前記開口の高さを保持する間隔保持片部とを備えることを特徴とする収容体。
【請求項11】
2枚の略方形のシート部材を重ね合せ、重ね合せされる4つの辺部のうち少なくとも1辺から被梱包物を挿入可能な開口部と、開口部を封止するフラップ部が形成される収容体において、
前記フラップ部は、折り曲げられることにより前記開放辺部を拡開することで形成される開口を塞ぐ蓋片部と、前記開放辺部を拡開することで形成される収容体の形状を保持する形状保持部とを備えることを特徴とする収容体。
【請求項12】
前記収容体の表面には、収容体の取扱説明が表示されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか記載の収容体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−94418(P2008−94418A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277298(P2006−277298)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】